(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】エアーシャワー装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230912BHJP
A47K 10/48 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F24F7/06 Z
A47K10/48 A
(21)【出願番号】P 2022043840
(22)【出願日】2022-03-18
(62)【分割の表示】P 2020048841の分割
【原出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】大野 広行
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】磯部 好秀
(72)【発明者】
【氏名】塚原 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 真一
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-070974(JP,A)
【文献】実開平06-035843(JP,U)
【文献】特開2009-293862(JP,A)
【文献】国際公開第2020/050228(WO,A1)
【文献】特開平07-068227(JP,A)
【文献】実開平05-066441(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 9/00
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーを吹き付けるエアー吹付け装置を備えたエアーシャワー装置であって、
箱形の本体ケースと、当該本体ケース内に設けられた前記エアー吹付け装置とを備え、
本体ケースに隔壁が対向して設けられ、当該隔壁間が前記本体ケース内を前面側から背面側にかけて貫通するシャワー室とされ、
前記隔壁と前記本体ケースとの間は空気清浄化室とされ、
前記空気清浄化室は前記シャワー室を挟んで左右両側に配置され、
前記エアー吹付け装置は、互いに平行離間して設けられ、間に人間が進入する一対の吹出しノズルを備え、
一方の前記空気清浄化室に一方の前記吹出しノズルが設けられ、他方の前記空気清浄化室に他方の前記吹出しノズルが設けられ、
前記吹出しノズルは、前記人間の進入方向と交差する方向に沿って延在し、かつ前記人間にエアーを吹き付け、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定され、
前記空気清浄化室と前記シャワー室とはそれらの底部において開口によって連通しており、
前記空気清浄化室に、前記シャワー室内の空気を前記開口を通して前記空気清浄化室に送り込む送風機が設けられ、
前記開口にプレフィルタが設けられ、
前記プレフィルタは、前記空気清浄化室の下部において、前記シャワー室から遠い側の一縁部が本体ケースの底面に当接し、かつ前記シャワー室から近い側の他縁部が前記一縁部より高い位置に位置するように、傾斜しており、
前記空気清浄化室に、メインフィルタが前記吹出しノズルと対向して設けられ、
前記吹出しノズルは、前記プレフィルタおよび前記メインフィルタによって異物が捕集された清浄な空気を吹き出すことを特徴とするエアーシャワー装置。
但し、前記人間の進入方向とは、人間がエアーシャワー装置の一方の側に位置する外部から内部のシャワー室を通ってエアーシャワー装置の他方の側に位置するクリーンルームに向かう方向であり、
前記エアーの吹出し角度θは、前記吹出しノズルから人間側でかつ前記人間の進入方向と逆側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記人間の進入方向に対して垂直で、かつ、前記吹出しノズルの延在方向に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【請求項2】
前記
空気清浄化室は、仕切壁によって上下に区画され、
前記空気清浄化室に空気流通路が前記仕切壁を貫通して上下に延在して設けられ、
前記空気流通路の前記仕切壁より上側に前記メインフィルタが前記吹出しノズルと対向して設けられ、
前記プレフィルタを通過した空気が前記仕切壁より下側で前記空気流通路に流入して、当該空気流通路を上側に流通し、さらに、前記メインフィルタを通過した清浄な空気が前記空気清浄化室の前記仕切壁より上側の部分に入り、前記吹出しノズルに流入し、当該吹出しノズルから前記シャワー室に向けて吹き出されることを特徴とする請求項1に記載のエアーシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体にエアーを吹き付けることによって、当該物体を乾燥させたり、当該物体に付着している塵を吹き飛ばして除塵するエアー吹付け装置を備えたハンドドライヤー、エアーシャワー装置およびパスボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や電子部品等を生産する製造装置は、清浄な雰囲気に維持されるクリーンルームに設置される。クリーンルーム内の空気の清浄度を維持するために、クリーンルームの入口にエアーシャワー装置が設けられる場合がある。エアーシャワー装置は、クリーンルームに入る作業者の衣服等に付着した塵やワークや機器等の物品の表面に付着した塵を空気の吹き出し(エアーシャワー)により除去するために設けられる。
このようなエアーシャワー装置の一例として特許文献1に記載のものが知られている。このエアーシャワー装置は、クリーンルームの入口側に設けられ、当該クリーンルームに入室する被処理体(物品)を通過させることによって該被処理体の除塵および除菌を行う除塵・除菌装置である。この除塵・除菌装置は、エアーを噴出するエアー噴出手段と、除菌液を噴霧する噴霧手段とを備え、噴出されたエアーによって前記被処理体の除塵を行った後に、噴霧された除菌液によって前記被処理体の除菌を行うようにしている。除塵を行う場合、エアーシャワー室の側壁にエアーノズルを設け、このエアーノズルから被処理体にエアーを吹き付けるようにしている。
【0003】
クリーンルームへの入室前には準清浄環境の前室にて更衣、手洗いが行なわれる。手洗い後の乾燥には再汚染防止のためハンドドライヤー(手指乾燥機)が使用されることが多い。一般的なハンドドライヤーでは吹出ノズルから吹き出された高速気流により、手指に付着した水滴を吹き飛ばし非接触かつ短時間で乾燥が行える。
このようなハンドドライヤーの一例として特許文献2に記載のものが知られている。このハンドドライヤーは、上部に手挿入口が設けられた本体ケースの内部に、手挿入口により外部と連通する手乾燥室を形成し、手挿入口の内側に、手乾燥室の内奥側に向けて相互に交差する方向に空気を吹出す空気吹出しノズルを対向配置したものである。
【0004】
また、クリーンルーム内への物品の搬入、搬出の際に、塵埃等がクリーンルームへ入るのを防止するため、クリーンルームと室外とを遮蔽する壁にパスボックスが設けられ、ユーザがパスボックスを介して物品の搬入及び搬出を行うようにしている。
このようなパスボックスの一例として特許文献3に記載のものが知られている。このパスボックスは、ノズルおよび送風機を備えており、清浄された空気を、ノズルおよび送風機により高速ジェットエアーで噴射することにより、パスボックス内に搬入された物品に付着している塵埃を強制的に取り除くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-203756号公報
【文献】特開2004-236714号公報
【文献】特開2009-236354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した従来のエアーシャワー装置やパスボックスにおいて、除塵のためにエアーノズルから物品にエアーを吹き付けても、物品に付着している塵の一部が吹き飛ばされずに物品の表面に一部残存する虞がある。
また、上述した従来のハンドドライヤーでは、乾燥のためにエアーノズルから手にエアーを吹き付けても、手に付着している水分の一部が吹き飛ばされずに手の表面に一部残存する虞がある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、物体にエアーを吹き付けることで当該物品に付着している塵または水分を確実に吹き飛ばして除塵または乾燥できるエアー吹付け装置を備えたハンドドライヤー、エアーシャワー装置およびパスボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のハンドドライヤーは、エアーを吹き付けるエアー吹付け装置を備えたハンドドライヤーであって、
前記エアー吹付け装置は、互いに平行離間して設けられ、間に人間の手が挿入される一対の吹出しノズルを備え、
前記吹出しノズルは、前記手の挿入方向と交差する方向に沿って延在し、かつ前記手にエアーを吹き付け、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されていることを特徴とする。
但し、前記エアーの吹出し角度θは、前記吹出しノズルから手側でかつ前記手の挿入方向側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記手の挿入方向に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【0009】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズルから吹き出されるエアーの殆どが手の挿入方向と逆側、つまり指側と逆側の手首側に向かうため、指に付着している水分が吹き飛ばされ難くなるとともに、手の両面から吹き飛ばされた水分がハンドドライヤーの外部に水滴として飛散し易くなるからであり、θが35°を超えると、手に付着している水分が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがそれぞれ手の両面(手のひら面および甲面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが手の両面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって手の両面に付着している水分が吹き飛ばされる。
また、手の両面と略直交する側面側においては、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、手の側面ではコアンダ効果によってエアーが手の側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって手の側面に付着している水分が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、吹出しノズルから吹き出されたエアーの一部が手首側に流れて指の水分が吹き飛ばされ難くなる一方、手の表面に付着している水分が吹き飛ばされ易くなるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
また、前記吹出しノズルの長手方向の寸法は、手の表面(手のひら面および甲面)の幅方向の寸法より長く、かつ吹出しノズルの両端部が手の表面から幅方向に突出するような長さが好ましい。
【0010】
本発明においては、吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、手に付着している水分を吹き飛ばして確実に乾燥できる。
【0011】
また、本発明に係るエアーシャワー装置は、エアーを吹き付けるエアー吹付け装置を備えたエアーシャワー装置であって、
前記エアー吹付け装置は、互いに平行離間して設けられ、間に人間が進入する一対の吹出しノズルを備え、
前記吹出しノズルは、前記人間の進入方向と交差する方向に沿って延在し、かつ前記人間にエアーを吹き付け、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されていることを特徴とする。
但し、前記エアーの吹出し角度θは、前記吹出しノズルから人間側でかつ前記人間の進入方向方と逆側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記人間の進入方向に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【0012】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズルから吹き出されるエアーの殆どが人間の進入方向に向かうため、人間(の衣服)から吹き飛ばされた塵が人間の進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると、人間(の衣服)に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、左右一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがそれぞれ人間の対向する表面(正面および背面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが人間の両表面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって人間の両表面に付着している塵が吹き飛ばされて、除塵される。
また、人間の表面と略直交する肩の上面側および頭の上面側においては、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、人間の肩の上面および頭の上面ではコアンダ効果によってエアーが人間の肩の上面および頭の上面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって人間の肩の上面および頭の上面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、人間の表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなる一方、吹き飛ばされた塵が人間の進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0013】
また、前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、人間の下方向の寸法より長く、かつ吹出しノズルの上端が人間の頭より高く、吹出しノズルの下端が人間の足先より低いことが好ましい。
【0014】
本発明においては、吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、人間(の衣服)に付着している塵を吹き飛ばして確実に除塵できる。
【0015】
また、本発明に係るパスボックスは、エアーを吹き付けるエアー吹付け装置を備えたパスボックスであって、
前記エアー吹付け装置は、互いに平行離間して設けられ、間に物品が進入する一対の吹出しノズルを備え、
前記吹出しノズルは、前記物品の進入方向と交差する方向に沿って延在し、かつ前記物品にエアーを吹き付け、
前記吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されていることを特徴とする。
但し、前記エアーの吹出し角度θは、前記吹出しノズルから物品側でかつ前記物品の進入方向方と逆側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線と、前記物品の進入方向に対して垂直な垂直仮想線とのなす角度である。
【0016】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズルから吹き出されるエアーの殆どが物品の進入方向に向かうため、物品から吹き飛ばされた塵が物品の進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると、物品に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、左右一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがそれぞれ物品の対向する表面(両側面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが物品の両側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の両側面に付着している塵が吹き飛ばされて、除塵される。
また、物品の上面側および下面側においては、一対の吹出しノズルから吹き出されたエアーがぶつかり合って、物品の上面および下面ではコアンダ効果によってエアーが物品Bの上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品の上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度が小さいほど、物品の表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなる一方、吹き飛ばされた塵が物品の進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0017】
また、前記吹出しノズルの上下方向の寸法は、物品の上下方向の寸法より長く、かつ吹出しノルの上端が物体の上面より高く、吹出しノズルの下端が物体の下面より低いことが好ましい。
【0018】
本発明においては、吹出しノズルから吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品に付着している塵を吹き飛ばして確実に除塵できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、物体(手、人間、物品)にエアーを吹き付けることで当該物品に付着している水分または塵を確実に吹き飛ばして除塵または乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るハンドドライヤーを示すもので、(a)はハンドドライヤーの側面図、(b)はハンドドライヤーの正面図である。
【
図2】同、エアーの吹出し方向を説明するための図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るエアーシャワー装置を示すもので、(a)はエアーシャワー装置の側断面図、(b)はエアーシャワー装置の正面図である。
【
図5】同、エアーの吹出し方向を説明するための図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係るパスボックス素を示すもので、(a)はパスボックスの側断面図、(b)はパスボックスの正面図である。
【
図8】同、エアーの吹出し方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1および
図2は本発明に係るハンドドライヤーの実施形態を示すもので、
図1(a)はハンドドライヤーの側面図、
図1(b)は同正面図、
図2はエアーの吹出し方向を説明するための図である。
【0022】
図1および
図2に示すように、本実施形態のハンドドライヤー10は、ケース11とこのケース11内に設けられたエアー吹付け装置20とを備えている。
ケース11は矩形箱状に形成されており、このケース11内には、シンク12が収容されている。ケース11はシンク12を収容するケース本体11aと、このケース本体11aの上部開口部に着脱可能に取り付けられた上部カバー11bとを備えている。
上部カバー11bには、シンク12の上方において開口する手挿入口11cが設けられている。この手挿入口11cは、
図1(b)に示すように、横長の矩形状の開口となっている。
【0023】
シンク12は、矩形箱状に形成されており、その上部に開口が設けられている。この開口の上方に手挿入口11cが配置されており、シンク12は、開口と手挿入口11cにより外部と連通している。シンク12の底壁には排水口16が垂設され、この排水口16には、ケース本体1aの下部に設けられる下部ドレンパンに向けて延びる排水管17が接続されている。
また、シンク12の上面側でかつ奥側には自動水栓18が設けられ、この自動水栓18には給水管18aが接続され、この給水管18aに水に含まれる異物を捕集するためのフィルタ18bが接続され、このフィルタ18bが上水道に接続されている。
また、ケース11の内側上部には殺菌灯19が設けられ、この殺菌灯19により手に付着している菌を殺菌できるようになっている。
【0024】
ケース11の内部には前記エアー吹付け装置20が設けられている。このエアー吹付け装置は、上下一対の吹出しノズル21,21と、当該吹出しノズル21,21に空気を供給する空気供給部22とを備えている。
【0025】
空気供給部22は送風機23を備えている。送風機23はケース本体1aの下部に設けられたケーシング24の内部に設けられている。ケーシング24の前面(
図1(b)において左面)は開口しており、この開口部に不織布等で形成されたプレフィルタ25が設けられている。また、ケーシング24の後面(
図1(b)における右面)は開口しており、この開口部にHEPAフィルタ26が設けられている。
また、ケース1の右側面側には空気流通路27が上下に延在して設けられ、当該空気流通路27の上端部と前記吹付けノズル21,21の端部とが空気流通可能に接続されている。また、空気流通路27の下端部と、ケーシング24の後面側の開口とが空気流通可能に接続されている。
そして、このような構成の空気供給部22では、送風機23が起動することによって、ケース11の内部の空気がプレフィルタ25を通ってケーシング24内に吸引され、さらに当該空気がHEPAフィルタ26を通って空気流通路27に供給される。空気流通路27に供給された空気はプレフィルタ25およびHEPAフィルタ26によって異物が捕集された清浄な空気となり、当該空気が空気流通路27を流通して吹出しノズル21,21にその端部から供給される。吹出しノズル21,21から吹き出された空気はケース11の背面側に設けられた排気口11dから下部に戻りプレフィルタ25を通って循環する。
【0026】
吹出しノズル21,21はケース11の正面において、ケース11の左右側壁部間に延在して設けられており、その外周面に設けられた吹出口21aから空気を吹き出すようになっている。吹出しノズル21,21は上下に平行離間して設けられ、
図2に示すように、これら吹出しノズル21,21の間に人間の手Hが挿入され、当該手Hに向けて上下から空気を吹き出すようになっている。つまり、手Hをその手のひら面を下向きにして手挿入口11c(
図1参照)から吹出しノズル21,21間に挿入した場合、手のひら面(下面)に向けて下側の吹出しノズル21の吹出口21aから空気が吹出され、手の甲面(上面)に向けて上側の吹出しノズル21の吹出口21aから空気が吹出されるようになっている。
【0027】
吹出しノズル21,21は手Hの挿入方向(
図2において左右方向)と直交する方向(
図2において紙面と直交する方向)に延在する円筒状に形成され、上側の吹出しノズル21の外周面の最下部に、吹出しノズル21の延在方向と同方向に延びるスリット状の吹出口21aが設けられ、下側の吹出しノズル21の外周面の最上部に、吹出しノズル21の延在方向と同方向に延びるスリット状の吹出口21aが設けられている。
吹出しノズル21の吹出口21aから吹き出されるエアーの吹出し角度θは0°~35°に設定されているが、-35°~35°に設定してもよい。
但し、エアーの吹出し角度θは、吹出しノズル21から手側でかつ手Hの挿入方向側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線KL1と、手Hの挿入方向に対して垂直な垂直仮想線KL2とのなす角度である。本実施の形態では、エアーの吹出し角度θは5°程度に設定されている。
【0028】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズル21から吹き出されるエアーの殆どが手Hの挿入方向と逆側、つまり指側と逆側の手首側に向かうため、指に付着している水分が吹き飛ばされ難くなるとともに、手の両面から吹き飛ばされた水分がケース11、つまりハンドドライヤー10の外部に水滴として飛散し易くなるからあり、θが35°を超えると、手Hに付着している水分が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、上下一対の吹出しノズル21,21から吹き出されたエアーがそれぞれ手Hの両面(手のひら面および甲面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが手Hの両面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって手Hの両面に付着している水分が吹き飛ばされて、手Hの両面が乾燥される。
また、手Hの両面と略直交する側面側においては、一対の吹出しノズル21,21から吹き出されたエアーがぶつかり合って、手Hの側面ではコアンダ効果によってエアーが手Hの側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって手Hの側面に付着している水分が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θの絶対値が小さいほど、吹出しノズル21から吹き出されたエアーの一部が手首側に流れて指の水分が吹き飛ばされ難くなる一方、手Hの表面に付着している水分が吹き飛ばされ易くなるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0029】
また、吹出しノズル21の吹出口21aの開口幅つまりノズル幅w(
図2参照)は、
1mm~2mmに設定されている。ここで、吹出しノズル21のノズル幅を1mm~2mmに設定したのは、1mm未満では、吹出されるエアーの風量が少なくなって水分の吹き飛ばし効果を得難いからであり、2mmを超えると、エアーの風速(吹出し速度)が小さくなって、水分の吹き飛ばし効果を得難いからである。
なお、本実施形態では、吹出口21aは、吹出しノズル21の長手方向に所定間隔で2つ設けられ、各吹出口21aの長さは100mmとなっている。
【0030】
また、吹出しノズル21から吹き出されるエアーの吹出速度は100m/s~150m/sに設定されている。
ここで、吹出しノズル21から吹き出されるエアーの吹出速度を100m/s~150m/sに設定したのは、100m/s未満では、エアーの吹出速度が小さくなって水分の吹き飛ばし効果を得難いからであり、150m/sを超えると、エアーの吹出速度が大きくなって吹き飛ばされた水分が飛び散ってケース11から飛散する虞があるからである。
【0031】
なお、本実施形態では、吹出しノズル21を固定状態でケース11に設けたが、これに限ることなく、吹出しノズル21を側面視において左右に首振り可能に設けてもよい。この場合、エアーの吹出し角度θを0°~35°の任意の角度に容易に設定できる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態のハンドドライヤー10によれば、吹出しノズル21,21から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、手Hに付着している水分を確実に吹き飛ばして乾燥させることができる。
また、吹出しノズル21は、空気供給部22のプレフィルタ25およびHEPAフィルタ26によって異物が捕集された清浄な空気を吹き出すので、手Hに吹き出しエアーによって塵が付着するのを防止しながら、手Hの水分を吹き出して乾燥させることができる。
【0033】
さらに、エアーが吹き出される吹出しノズル21のノズル幅が1mm~2mm、吹出しノズル21から吹き出されるエアーの吹出速度が100m/s~150m/sであるので、エアーによる水分の吹き飛ばし効果を適切に得ることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図3~
図5は本発明に係るエアーシャワー装置の実施形態を示すもので、
図3(a)はエアーシャワー装置の側断面図、
図3(b)は同正面図、
図4は同平面図、
図5はエアーの吹出し方向を説明するための図である。
【0035】
図3~
図4に示すように、本実施形態のエアーシャワー装置30は、箱形の本体ケース32と、当該本体ケース32内に設けられたエアー吹付け装置40とを備えている。
本体ケース32には隔壁33,33が対向して設けられ、当該隔壁33,33間が本体ケース32内を前面側から背面側にかけて貫通するシャワー室34とされている。また、隔壁33と本体ケース32との間は、空気清浄化室35とされている。シャワー室34の両端にはドア36,36が設けられ、一方は外部に、他方はクリーンルームに連なっている。そして、一方のドア36を開けて人間N(
図5参照)が外部からシャワー室34に入り、他方のドア36を開けて人間Nがシャワー室34からクリーンルームに入るようになっている。
【0036】
空気清浄化室35はシャワー室34を挟んで左右両側に配置されている。つまり、本実施形態のエアーシャワー装置30は左右一対の空気清浄化室35,35を備えている。
空気清浄化室35,35にはエアー吹付け装置40を構成する左右一対の吹出しノズル41,41が設けられている。つまり、一方の空気清浄化室35に一方の吹出しノズル41が設けられ、他方の空気清浄化室35に他方に吹出しノズル41が設けられている。
吹出しノズル41は人間Nの通過方向(
図3(a)において左右方向)と交差する方向(
図3において上下方向、
図4において紙面と直交する方向)に沿って延在し、かつシャワー室34に居る人間Nにエアーを吹き付けるようになっている。また、吹付けノズル41は隔壁33にその幅方向中央部において固定されている。
【0037】
また、空気清浄化室35には、空気流通路35aが上下に延在して設けられており、当該空気流通路35aを形成する壁に送風機37が設けられている。また、空気清浄化室35とシャワー室34とはそれらの底部において開口によって連通しており、この開口に多数の吸込口を有する吸込板38が設けられ、この吸込板38に不織布やメッシュ状の織布等で形成されたプレフィルタ39が設けられている。
また、空気流通路35aの上部には、メインフィルタ35bが吹出しノズル41と対向して設けられている。
さらに、空気清浄化室35には、メインフィルタ35bより下方位置において仕切壁35cが設けられ、この仕切壁35cによって空気清浄化室35は上下に区画されている。
【0038】
このような空気清浄化室35では、送風機37を起動すると、シャワー室34内の空気が吸込板38を通して吸い込まれ、プレフィルタ39によって塵等の異物が捕集されたうえで、空気流通路35aに入り、この空気流通路35aを上側に流通し、さらに、メインフィルタ35bによって細かな異物が捕集されて清浄な空気となり、この空気が空気清浄化室35の仕切壁35cより上側の部分に入る。この部分に入った空気は吹出しノズル41に流入し、その吹出口41aからシャワー室34に向けて吹き出される。
【0039】
吹出しノズル41,41は人間Nの通過方向と直交する方向(
図3におい上下方向、
図4および
図5において紙面と直交する方向)に延在する円筒状に形成され、吹出しノズル41,41の対向する外周部に上下方向に延在するスリット状の吹出口41a,41aが設けられている。
また、
図5に示すように、吹出しノズル41の吹出口41aから吹き出されるエアーの吹出し角度θは0°~35°に設定されているが、-35°~35°に設定してもよい。
但し、エアーの吹出し角度θは、吹出しノズル41から人間側でかつ人間Nの進入方向方と逆側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線KL1と、人間Nの進入方向に対して垂直な垂直仮想線KL2とのなす角度である。また、本実施の形態では、エアーの吹出し角度θは5°程度に設定されている。
【0040】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズル41から吹き出されるエアーの殆どが人間Nの進入方向に向かうため、人間N(の衣服)から吹き飛ばされた塵が人間Nの進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると、人間N(の衣服)に付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、左右一対の吹出しノズル41,41から吹き出されたエアーがそれぞれ人間Nの対向する表面(正面および背面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが人間Nの両表面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって人間Nの両表面に付着している塵が吹き飛ばされて、除塵される。
また、人間Nの表面と略直交する肩の上面側および頭の上面側においては、一対の吹出しノズル41,41から吹き出されたエアーがぶつかり合って、人間Nの肩の上面および頭の上面ではコアンダ効果によってエアーが人間Nの肩の上面および頭の上面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって人間Nの肩の上面および頭の上面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度θが小さいほど、人間Nの表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなる一方、吹き飛ばされた塵が人間Nの進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0041】
また、吹出しノズル41の吹出口41aの開口幅つまりノズル幅w(
図3(a)参照)は、30mm~50mmに設定されている。ここで、吹出しノズル41のノズル幅を30mm~50mmに設定したのは、30mm未満では、吹出されるエアーの風量が少なくなって除塵効果を得難いからであり、50mmを超えると、エアーの風速(吹出し速度)が小さくなって、除塵効果を得難いからである。
【0042】
また、吹出しノズル41から吹き出されるエアーの吹出速度は18m/s~30m/sに設定されている。
ここで、吹出しノズル41から吹き出されるエアーの吹出速度を18m/s~30m/sに設定したのは、18m/s未満では、エアーの吹出速度が小さくなって除塵効果を得難いからであり、30m/sを超えると、エアーの吹出速度が大きくなって吹き飛ばされた塵が飛び散って、隔壁33,33で反射して人間Nに再付着する虞があるからである。
【0043】
なお、本実施形態では、吹出しノズル41を固定状態で隔壁33に設けたが、これに限ることなく、吹出しノズル31を平面視において左右に首振り可能に設けてもよい。この場合、エアーの吹出し角度θを0°~35°の任意の角度に容易に設定できる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のエアーシャワー装置30によれば、吹出しノズル41,41から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、人間Nに付着している塵を確実に吹き飛ばして除塵できる。
また、吹出しノズル41は、空気清浄化室35のプレフィルタ39およびメインフィルタ35bによって異物が捕集された清浄な空気を吹き出すので、人間Nに吹き出しエアーによって塵が付着するのを防止できる。
【0045】
(第3の実施形態)
図6~
図8は本発明に係るパスボックスの実施形態を示すもので、
図6(a)はパスボックスの側断面図、
図6(b)は同正面図、
図7は同平面図、
図8はエアーの吹出し方向を説明するための図である。
【0046】
図6~
図7に示すように、本実施形態のパスボックス50は、箱形の本体ケース52と、この本体ケース52が設置されるケース架台52aと、本体ケース52内に設けられたエアー吹付け装置70とを備えている。
本体ケース52には隔壁53a,53aが対向して設けられ、当該隔壁53a,53aの上端部には天井壁53bが隔壁53a,53aを連結するようにして設けられ、隔壁53a,53aの下端部には底壁53cが隔壁53a,53aを連結するようにして設けられている。そして、隔壁53a,53aと天井壁53bと底壁53cとで囲まれた空間が本体ケース52内を前面側から背面側にかけて貫通するシャワー室54とされている。
また、隔壁53a,53aおよび天井壁53bの外側でかつ本体ケース52の内側には内ケース55が設けられ、この内ケース55と本体ケース52との間に空気流通路56が設けられている。この空気流通路56は正面視において略門形に形成されている。
【0047】
また、本体ケース52の内側上部には、チャンバ57が設けられ、このチャンバ57内と空気流通路56とは連通している。また、チャンバ57の上面にはファン58が設けられ、下面にはメインフィルタ59が設けられている。
また、内ケース55の上壁はメインフィルタ59に密接しており、当該上壁には空気を通す開口がメインフィルタ59に対向して設けられている。
また、内ケース55の両側壁と前記隔壁53a,53aとの間および内ケース55の上壁と前記天井壁53bとの間は空気清浄化室60とされている。また、底壁53cとケース架台52aとの間は排気室61とされ、この排気室61と空気流通路56,56とが連通している。さらに、底壁53cは多数の吸入口を有する吸込板62を備えており、シャワー室54と排気室61とは吸込板62を介して連通している。また、吸込板62には不織布等で形成されたプレフィルタ63が設けられている。
また、シャワー室54の両端にはドア64,64が設けられ、一方は外部に、他方はクリーンルームに連なっている。そして、一方のドア64を開けて物品B(
図8参照)が外部からシャワー室54に搬入され、他方のドア64を開けて物品Bがシャワー室54からクリーンルームに搬出されるようになっている。
【0048】
空気清浄化室60にはエアー吹付け装置70を構成する左右一対の吹出しノズル71,71が設けられている。一方の吹出しノズル71は空気清浄化室60を形成する一方の隔壁53aに設けられ、他方の吹出しノズル71は空気清浄化室60を形成する他方の隔壁53aに設けられている。
吹出しノズル71は物品Bの通過方向(
図6(a)において左右方向)と交差する方向(
図6において上下方向、
図7において紙面と直交する方向)に沿って延在し、かつシャワー室54に搬入される物品Bにエアーを吹き付けるようになっている。また、吹付けノズル71は隔壁53aにその幅方向中央部において固定されている。
【0049】
このような空気清浄化室60では、ファン58を起動すると、シャワー室54内の空気が吸込板62を通して吸い込まれ、プレフィルタ63によって塵等の異物が捕集されたうえで、排気室61から空気流通路56に入り、この空気流通路56を上側に流通してチャンバ57に流入し、さらに、メインフィルタ59によって細かな異物が捕集されて清浄な空気となり、この清浄な空気が空気清浄化室60に入る。この空気清浄化室60に入った空気は吹出しノズル71,71に流入し、その吹出口71a,71aからシャワー室54に向けて吹き出される。
【0050】
吹出しノズル71,71は物品Bの通過方向と直交する方向(
図6におい上下方向、
図7および
図8において紙面と直交する方向)に延在する円筒状に形成され、吹出しノズル71,71の対向する外周部に上下方向に延在するスリット状の吹出口71a,71aが設けられている。
また、
図8に示すように、吹出しノズル71の吹出口71aから吹き出されるエアーの吹出し角度θは0°~35°に設定されているが、-35°~35°に設定してもよい。
但し、エアーの吹出し角度θは、吹出しノズル71から物品側でかつ物品Bの進入方向方と逆側に向けて吹出される吹出しエアーの気流仮想線KL1と、物品Bの進入方向に対して垂直な垂直仮想線KL2とのなす角度である。また、本実施の形態では、エアーの吹出し角度θは5°程度に設定されている。
【0051】
ここで、エアーの吹出し角度θを0°~35°に設定したのは、θが0°未満であると、吹出しノズル71から吹き出されるエアーの殆どが物品Bの進入方向に向かうため、物品Bから吹き飛ばされた塵が物品Bの進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるからであり、θが35°を超えると、物品Bに付着している塵が吹き飛ばされ難くなるからである。
エアーの吹出し角度θが0°~35°であると、左右一対の吹出しノズル71,71から吹き出されたエアーがそれぞれ物品Bの対向する表面(両側面)に当たり、コアンダ効果によってエアーが物品Bの両側面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品Bの両側面に付着している塵が吹き飛ばされて、除塵される。
また、物品Bの上面側および下面側(物品Bの下面と底壁53cとの間に所定の間隔がある場合の下面側)においては、一対の吹出しノズル71,71から吹き出されたエアーがぶつかり合って、物品Bの上面および下面ではコアンダ効果によってエアーが物品Bの上面および下面に沿って脈動を打ちながら流れるので、このエアーによって物品Bの上面および下面に付着している塵が吹き飛ばされる。
さらに、エアーの吹出し角度が小さいほど、物品Bの表面に付着している塵が吹き飛ばされ易くなる一方、吹き飛ばされた塵が物品Bの進入方向前方にあるクリーンルーム等に侵入する虞があるので、エアーの吹出し角度θはこれらの点を考慮して設定する。
【0052】
また、吹出しノズル71の吹出口71aの開口幅つまりノズル幅w(
図6(a)参照)は、30mm~50mmに設定されている。ここで、吹出しノズル71のノズル幅を30mm~50mmに設定したのは、30mm未満では、吹出されるエアーの風量が少なくなって除塵効果を得難いからであり、50mmを超えると、エアーの風速(吹出し速度)が小さくなって、除塵効果を得難いからである。
【0053】
また、吹出しノズル71から吹き出されるエアーの吹出速度は18m/s~30m/sに設定されている。
ここで、吹出しノズル71から吹き出されるエアーの吹出速度を18m/s~30m/sに設定したのは、18m/s未満では、エアーの吹出速度が小さくなって除塵効果を得難いからであり、30m/sを超えると、エアーの吹出速度が大きくなって吹き飛ばされた塵が飛び散って、隔壁53a,53aで反射して物品Bに再付着する虞があるからである。
【0054】
なお、本実施形態では、吹出しノズル71を固定状態で隔壁53aに設けたが、これに限ることなく、吹出しノズル71を平面視において左右に首振り可能に設けてもよい。この場合、エアーの吹出し角度θを0°~35°の任意の角度に容易に設定できる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のパスボックス50によれば、吹出しノズル71,71から吹き出されるエアーの吹出し角度θが0°~35°に設定されているので、物品Bに付着している塵を確実に吹き飛ばして除塵できる。
また、吹出しノズル71は、プレフィルタ63およびメインフィルタ59によって異物が捕集された清浄な空気を吹き出すので、物品Bに吹き出しエアーによって塵が付着するのを防止できる。
【符号の説明】
【0056】
H 手(物体)
N 人間(物体)
B 物品(物体)
θ エアーの吹出し角度
KL1 気流仮想線
KL2 垂直仮想線
10 ハンドドライヤー
30 エアーシャワー装置
50 パスボックス
20,40,70 エアー洗浄装置
21,41,71 吹出しノズル