(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】放電プロセス及び長尺ワークピースを加工するための装置
(51)【国際特許分類】
B23H 1/00 20060101AFI20230912BHJP
B23H 9/00 20060101ALI20230912BHJP
B23H 7/26 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B23H1/00 B
B23H9/00 Z
B23H7/26 Z
(21)【出願番号】P 2022514981
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2020025391
(87)【国際公開番号】W WO2021043439
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】102019000015773
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルキオニ、マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ベッシ、モランド
(72)【発明者】
【氏名】ガットリ、ディエゴ
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-053125(JP,A)
【文献】特表2013-506565(JP,A)
【文献】実開昭48-090273(JP,U)
【文献】特公昭44-002945(JP,B1)
【文献】実開平04-029319(JP,U)
【文献】特開平05-162018(JP,A)
【文献】特開昭62-124843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00
B23H 9/00
B23H 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺ワークピースを加工するための、型彫り放電加工プロセスを実行するように構成された装置(1)であって、前記長尺ワークピースは、第1
の端部(53)及び第2
の端部(54
)、縦軸(R)を有し、前記装置(1)は、
誘電流体を収容するように構成されたタンク(2)と、
ベースプレート(31)を備える支持フレーム(3)と、
前記長尺ワークピースに対して放電加工プロセスを実行するように構成された電極(8)が備えられた加工ヘッドユニット(7)と
を備え、
前記装置(1)は、
加工される前記長尺ワークピース(5)が載置及び回転され得る少なくとも1つの可調整支持体(4)を備え、
前記可調整支持体(4)の高さは、前記ベースプレート(31)に対して直交する第1の軸(Z)に対する前記長尺ワークピース(5)の位置を調整するように、調整可能であ
り、
前記装置(1)は、加工される前記長尺ワークピース(5)の前記
第1の端部(53)及び前記第2の端部
(54)の一方を把持し、その主軸(R)の周りでこれを回転させるように適合された回転部材(6)を更に備え、
前記可調整支持体(4)は、前記ベースプレート(31)上に調整可能に配置され、前記第1の軸(Z)に対して直交する第2の軸(Y)に対するその位置を調整するように構成されている、装置(1)。
【請求項2】
前記ベースプレート(31)は、前記第2の軸(Y)に沿って配置された1つ以上
の位置決めガイド
(311、312)を有し、
前記可調整支持体(4)の各々は、
前記位置決めガイド(311、312)のうちの1つに摺動可能に係合されるプレート(411)を有する本体(41)と、
それぞれの
前記位置決めガイド
(311、312)に沿って前記プレート(411)を前記ベースプレート(31)に固定するための調整可能な固定部材(415)と
を備える、請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ベースプレート(31)は、互いに平行な2つの
前記位置決めガイド(311、312)と、各々がそれぞれの
前記位置決めガイド(311、312)に係合された、対応する2つの
前記可調整支持体(4)とを有する、請求項
2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記可調整支持体(4)の前記本体(41)は、前記ベースプレート(31)に対して直交して配置された垂直部分(412)を備え、
前記可調整支持体(4)は、前記ベースプレート(31)に対して直交する方向に移動するように、前記垂直部分(412)に摺動可能に結合されたスライダ(42)を備える、請求項
2又は3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記垂直部分(412)は、
前記垂直部分(412)の面に固定された、少なくとも1対のピン(413)と、
調整グレイン(414)と
を備え、
前記スライダ(42)は、前記第
1の軸(Z)に沿って、前記ベースプレート(31)に直交
する互いに平行な2つの案内チャネル(421)を有し、
前記ピン(413)の各々は、それぞれの案内チャネル(421)に挿入され、
それにより、前記調整グレイン(414)に作用することによって、前記スライダ(42)の位置は、前記ベースプレート(31)に対して直交して、前記第1の軸(Z)の方向に沿って、前記本体(41)に対して調整できるようになっている、請求項
4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記可調整支持体(4)は、前記スライダ(42)上で枢動され、並んで配置された、少なくとも1対の軸受(43)を備え、前記長尺ワークピース(5)は、前記軸受(43)によって支持するように意図され、前記軸受(43)は、前記回転
部材(6)によって回転されると、その主軸(R)の周りで前記長尺ワークピース(5)の回転を可能にするように適合される、請求項
5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記回転
部材(6)は、
加工される前記長尺ワークピース(5)の前記第1
の端部(53)又は
前記第2
の端部(54
)の一方が挿入され得るハウジング(64)と、
前記長尺ワークピース(5)の前記第1
の端部(53)又は
前記第2
の端部(54
)が回転するために枢動される、前記ハウジング(64)内に配置された芯出しチップ(62)と
を有するカラー(61)を備える、請求項
6項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記回転
部材(6)は、
前記カラー(61)内に配置され、前記カラー(61)に挿入された加工される前記長尺ワークピース(5)の端部(53、54)に対して引っ張るために前記芯出しチップ(62)と機能的に結合された、引っ張りねじ(63)と、
前記カラー(61)に挿入された加工される前記長尺ワークピース(5)の端部(53、54)を把持するためのねじ式グレイン(66)を備えるフランジブッシュ(65)と
を備える、請求項
7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記加工ヘッドユニット(7)は、
3つのデカルト軸に沿って空間内で移動し、少なくとも1つの回転軸(B)に沿って回転するように配置されたヘッド(73)と、
前記放電加工プロセスを実行するための前記電極(8)を取り外し可能に結合することができる電極ホルダ(74)であって、前記電極ホルダ(74)は、回転軸(C)に沿って回転するように、前記ヘッド(73)と回転可能に結合される、電極ホルダ(74)と
を備える、請求項1
から8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記支持フレーム(3)は、ガイドが設けられて配置された、梁(33)を備え、
前記加工ヘッドユニット(7)は、
前記長尺ワークピース(5)の上で前記ヘッド(73)を移動させるように、前記梁(33)の前記ガイドに係合されたキャリア(71)と、
前記ベースプレート(31)に対して直交して配置された垂直支持体(72)であって、前記垂直支持体(72)の第1の端部は前記キャリア(71)に回転可能に結合され、前記垂直支持体(72)の第2の端部は前記ヘッド(73)に回転可能に結合される、垂直支持体(72)と
を備える、請求項
9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記長尺ワークピース(5)を処理中に沈めることができる、誘電液体を収容するように適合された
前記タンク(2)を備える、請求項1
から10のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記タンク(2)は、各々が垂直に移動可能な4つの隔壁(21、22、23、24)で作られている、請求項1
1に記載の装置(1)。
【請求項13】
少なくとも800ミリメートルの長さを有する
前記長尺ワークピース(5)の前記型彫り放電加工プロセスを実行するように構成されている、請求項1
から12のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記長尺ワークピースはモノリシックシャフト-インペラロータ(5)である、請求項1
から13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)は遠心圧縮機用である、請求項
14に記載の装置(1)。
【請求項16】
装置(1)による型彫り放電加工プロセスによってモノリシックシャフト-インペラロータ(5
)を加工するための方法であって、
前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)は、第1
の端部(53)及び第2
の端部(54
)、主軸(R)、及び少なくとも1つのインペラ(51、52)を有し、
前記装置(1)は、前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)に対して放電加工プロセスを実行するように構成された電極(8)が備えられた加工ヘッドユニット(7)を備え、
前記装置(1)は、加工される前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)が載置及び回転され得る少なくとも1つの可調整支持体(4)であって、前記
少なくとも1つの可調整支持体(4)の高さは、前記
装置(1)のベースプレート(31)に対して直交する第1の軸(Z)に対する前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の位置を調整するように調整可能である、少なくとも1つの可調整支持体(4)と、加工される前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の前記
第1の端部(53)及び前記第2の端部(54)の一方を把持し、その主軸(R)の周りでこれを回転させるように適合された回転部材(6)であって、前記回転部材(6)は、加工される前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の前記第1
の端部(53)又は
前記第2
の端部(54
)の一方が挿入され得るハウジング(64)を有するカラー(61)を備える、回転部材(6)と、を備
え、
前記方法は、
A.前記少なくとも1つの可調整支持体(4)
の軸受(43)上に前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)を配置するステップ(101)と、
B.前記カラー(61)の前記ハウジング(64)に前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の前記
第1の端部(53)及び前記第2の端部(54)の一方を挿入するステップ(102)と、
C.前記回転
部材(6)がその回転主軸(R)の上で前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)を回転させるように、前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の位置をチェックする
チェックステップ(103)と、
D.前記電極(8)によって前記型彫り放電加工プロセスを実行する
処理ステップ(104)と
を含
み、
前記可調整支持体(4)は、前記ベースプレート(31)上に調整可能に配置され、前記第1の軸(Z)に対して直交する第2の軸(Y)に対するその位置を調整するように構成されている、方法。
【請求項17】
前記チェックステップC(103)は、
C1.
前記加工ヘッドユニット(7)のヘッド(73)にダイヤルゲージ(9)を実装し
、前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)
の縦軸(R)を前記第1の軸(Z)及び前記第2の軸(Y)の双方に直交する第3の軸(X)に位置合わせするサブステップ(1031)、及び/又は
C2.前記ベースプレート(31)にダイヤルゲージ(9)を実装し、いくつかの位置で、前記回転
部材(6)によって前記可調整支持体(4)の前記軸受(43)の上で前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)を回転させるサブステップ(1032)
を備える、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記装置(1)は、誘電流体を収容するように構成されたタンク(2)を備え、
前記加工ヘッドユニット(7)は、3つのデカルト軸に沿って空間内で移動し、少なくとも1つの回転軸(B)に沿って回転するように配置された
前記ヘッド(73)と、前記放電加工プロセスを実行するための前記電極(8)を取り外し可能に結合することができる電極ホルダ(74)であって、前記電極ホルダ(74)は、回転軸(C)に沿って回転するように、前記ヘッド(73)と回転可能に結合される、電極ホルダ(74)とを備え、
前記処理ステップD(104)は、
D1.前記タンク(2)を誘電液体で満たすサブステップ(1041)と、
D2.前記ヘッド(73)によって、及び前記加工ヘッドユニット(7)によって、前記電極(8)を位置決めするサブステップ(1042)と、
D3.前記電極(8)によって、前記モノリシックシャフト-インペラロータ(5)の前記少なくとも1つのインペラ(51、52)上の鎌状のチャネル(511、521)を加工するサブステップ(1043)と
を備える、請求項1
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低加工公差が要求される、特に長くて扱いにくい要素部材の加工を可能にするように意図される、放電加工プロセスを実行するように構成された装置、その動作方法、及び一体型遠心圧縮機ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
型彫り放電加工プロセス(「型彫りEDM」プロセスとしても知られる)は、火花加工に基づく製造プロセスであり、これにより、放電、すなわち火花を使用して所望の形状の金属片が得られる。
【0003】
より詳細には、2つの電極の間の一連の高速反復電流放電によってワークピースから材料が除去され、これらの電極は、加工されるワークピースが浸漬される誘電液体によって隔離されている。電極は、適切な電圧も受ける。次に、工具電極は、加工されるワークピースと電気的に接触させられる。
【0004】
通常、電極のうちの1つは、工具-電極、又は単に「工具」又は「電極」と呼ばれ、他方は、「ワークピース-電極」、又は「ワークピース」と呼ばれる。
【0005】
容易に理解され得るように、プロセスは、工具とワークピースとの間の接触なしに実行される。実際、2つの電極の間の、使用される誘電液体に依存する適切な電圧は、所定の閾値において増加し、電極間の容積中の電場の強度は誘電体の強度よりも大きくなり、これは破壊されて、2つの電極の間に電流を流す。その結果、材料は電極から除去される。次に、電流が中断されると、通常は新しい液体誘電体が電極間容積内(又は工具-電極と加工されるワークピースとの間)に搬送され固体粒子が取り除かれて誘電体の絶縁特性が回復することを可能にする。この点について、この回復プロセス及びプロセスの高速化を容易にするために、誘電液体は、いくらかの乱流を引き起こすことによって移動させられる。
【0006】
型彫りEDMプロセスは通常、特に困難な加工動作のために適用され、例えば、複雑なチャネルを得ること、又は複雑な部品を成形することが必要とされるが、これらは、例えばフライス加工、ドリリングなどのような材料の機械的除去に基づいて、標準的な加工システムを用いて達成することはできない。
【0007】
現在、型彫りEDMプロセスは、円盤状のシャフト-インペラロータのインペラを加工するために適用されている。インペラは、側方の鎌状チャネルを有する、通常はロータシャフトに機械的に結合された、円盤状の機械的要素である。このようなチャネルは、いわゆるインデューサ側、すなわちガスがインペラに入る開口部と、ガスがインペラ自体から出てくる開口部であるエクスデューサ側とを有し、遠心圧縮機内のガスの通過を意図している。当該チャネルは、それらのうちの任意の2つの間にブレードも形成できるように、高精度で加工する必要がある。
【0008】
特に、上述のように円盤状である当該インペラは、比較的小さいサイズのため、誘電液体で満たされた容器又はタンクに浸漬できるので、型彫りEDMプロセスによって容易に加工される。したがって、作製されている間にチャネルの内側に容易に貫通することができる適切な鎌状の電極によって、適切なサイズで鎌状のチャネルが作製される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、現在、遠心圧縮機、ひいては前述のシャフト-インペラロータに対して、ますます高い性能が必要とされている。特に、ガスタービンに取り付けられると、当該シャフト-インペラロータは、最大30.000RPMの回転速度を受ける。これは、インペラに対するかなりの機械的応力及び歪みを伴う。
【0010】
インペラがフランジ及び/又は機械的部材によって結合されていないが、インペラ及びシャフトが単一部品で作られているモノリシックシャフト-インペラロータの使用により、機械的性能が向上し、所望の性能の達成が可能になることが見出された。
【0011】
上述のように、型彫りEDM加工プロセスを適用するための要件の1つは、加工されるワークピースが誘電液体に完全に浸漬される必要があることである。したがって、加工プロセスを実行する前に、誘電液体に完全に浸漬するために、加工されるワークピース全体を収容できる、当該誘電液体で満たされる容器を使用しなければならない。
【0012】
これは、扱いにくい部品では、上述の加工技術の適用が厄介であることを伴う。より具体的には、通常は1メートルを超える長さであるモノリシックシャフト-インペラロータの場合、これを垂直配置で収容するための適切な容器内のその配置は、実際のところ機能的でも便利でもあり得ない。
【0013】
また、要求される前述の性能を達成するために、シャフト-インペラロータは、特にランアウトの最小化に関して、低加工公差で実現されなければならない。より具体的には、シャフト-インペラロータは高い同軸度を有することが要求される。この目的のために、モノリシックシャフト-インペラロータの型彫りEDM加工中、後者は、任意の単一のチャネルを加工する前に、部分的な回転を必ず受けなければならない。この動作ステップは、上述の必要なランアウトを防止するために、高精度で実行されなければならない。この用途に必要な公差を前提として、垂直に配置されたシャフト-インペラロータが回転している間、その同軸性を取得及び維持することは、非常に複雑である。
【0014】
既知の機器は、低加工公差が必要とされるため、高い運転コスト及び動作の複雑さの両方に関して悪影響があるのは明らかである。
【0015】
したがって、本技術では、改良型装置及びその動作方法が歓迎されるだろう。より一般的には、モノリシックシャフト-インペラロータなどの長いモノリシックワークピースの加工を、型彫り放電加工プロセスによって、経済的で便利な方法で可能にする、加工装置又は機器を提供することが望ましいだろう。
【0016】
一態様では、本明細書に開示される主題は、特にモノリシックシャフト-インペラロータを加工するための、型彫り放電加工プロセスのための装置を対象とするが、これは扱いにくく重いため、高精度の加工が必要とされるとき、その加工は通常、容易ではない。装置は、ベースプレートを備える支持フレームと、放電加工プロセスを実行するための電極を有する加工ヘッドユニットとを備える。装置は可調整支持体を有し、その上で、ロータは特定の軸の周りに高精度で載置及び回転される。当該可調整支持体の高さは調整可能であり得る。装置は、加工されるモノリシックシャフト-インペラロータの端部の一方を把持し、その縦軸の周りでこれを回転させるように適合された回転部材を更に備える。
【0017】
別の態様では、改善された型彫り放電加工プロセスによってモノリシックシャフト-インペラロータを加工するための方法が開示される。方法はいくつかのステップを含むが、これらは別途指示されない限り、任意の適切な順序で実行することができる。すなわち、型彫り放電加工機の可調整支持体の軸受の上に少なくとも約0.80メートルのロータの長尺ワークピースを配置するステップと、モノリシックシャフト-インペラロータの端部の一方を回転部材のカラーのハウジングに挿入するステップと、ランアウトを大幅に減少されてそれ自体の対称軸の周りで回転しながら、電極によって型彫り放電加工プロセスを実行するのにモノリシックシャフト-インペラロータの位置が適していることをチェックするステップである。加工方法を実行している間、モノリシックシャフト-インペラロータは、回転部材によってそれ自体の軸の周りで回転させられる。回転は、支持体の軸受によって促進される。モノリシックシャフト-インペラロータは、その回転の低ランアウトが、高精度でのインペラ上のチャネルの加工を可能にするように、配置される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くは、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、理解が深まるにつれてすぐにより完全にわかるようになるであろう。
【
図1】
図1は、新しい放電加工プロセスのための装置の一実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の装置によって加工されるモノリシックシャフト-インペラロータを示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の装置の可調整支持体の一実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、ハウジング用のカラー及び
図6の回転テーブルのモノリシックシャフト-インペラロータの一端の把持を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1の装置の加工ヘッドユニットの一実施形態を示す図である。
【
図9】
図9は、型彫り放電加工プロセスを実行するように意図された、
図8の加工ヘッドユニット上に取り付けられた電極を示す図である。
【
図10】
図10は、加工されるモノリシックシャフト-インペラロータを位置決めするための調整動作を示す図である。
【
図11】
図11は、加工されるモノリシックシャフト-インペラロータを位置決めするための更なる動作を示す図である。
【
図12】
図12は、モノリシックシャフト-インペラロータを加工するための方法のフローチャートである。
【0019】
様々な図では、同様の部品は同じ参照番号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一態様によれば、本主題は、ランアウトに関する低加工公差が要求される、型彫り放電加工プロセスによって長尺ワークピースを処理するように構成された、改良型装置を対象とする。新しい改良型装置は、加工処理中に長尺ワークピースの軸対称性を維持するように、一意に設計される。
【0021】
装置は、モノリシックシャフト-インペラロータなどのような長尺ワークピースを加工することができ、これらは装置を支持する実質的に平坦な表面に対して水平に配置されてもよく、改善された型彫り放電加工プロセスによって長尺ワークピースが処理(例えば、加工、製作、作製など)されるように、誘電液体中の長尺ワークピースの完全な浸漬を可能にするようになっている。デカルト軸XYZを参照すると、長尺ワークピースは、X軸に位置合わせされていると見なされ得る、縦方向の主軸を有する。長尺ワークピースは、加工の間、このようなX軸の周りを回転することができる。動作中、長尺ワークピースは主軸の周りでも回転し、これに対して低いロールオフが達成されなければならない。また、電極は、非常に低い加工公差を可能にし、複雑な加工を実行するために、長尺ワークピース自体に対して移動することができる。電極は、ワークピースの周りの空間内で移動することができ、装置が載置されている平面に対して垂直な軸であるZ軸、及び他の二軸に直交するY軸に沿って並進もする。
【0022】
したがって、型彫り放電加工プロセスが実行されている間の長尺ワークピースのその主軸の周りの回転によって、並びに低ランオフの回転効果を達成するための長尺ワークピースの位置決めの制御によって、特にかさばるワークピースを処理する場合であっても、正確な処理と同時に、誘電液体のかなりの節約を得ることが可能である。実際、型彫り放電加工プロセスは、加工されるピースが誘電液体に完全に浸漬されることを必要とする。収容タンクの容積を低減するための配置では、長尺ワークピースを水平に配置することができる。これは、主軸の周りでのワークピースの回転の特定の制御が実行されることを暗示している。
【0023】
上記の結果を達成するために、装置には、長尺ワークピースをその主軸の周りで回転させるために支持及び微調整するように調整され得る支持体が備えられている。また、加工動作中にワークピースを回転させる手段も提供され、これは回転中にワークピース自体を所定位置にしっかりと保持する。このようにして、長尺ワークピースは、主軸の周りで滑らかに回転させられ、これは任意の起こり得るランオフを低減するために適切に支持される。
【0024】
ここで図面を参照すると、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、及び
図9は、全体として参照番号1で示される、型彫り放電加工(EDM)プロセスのための改良型装置の一実施形態を示している。装置1は、一般に、タンク2と、ベースプレート31を有する支持フレーム3と、モノリシックシャフト-インペラロータ5などの加工されるワークピースを支持するように適合された、当該ベースプレート31上に載置された可調整支持体4と、加工プロセス中にワークピースを回転させるための回転テーブル6と、型彫りEDM処理を実行するために電極8を保持するための加工ヘッド7とを備える。従来技術による装置又は機器とは異なり、装置1は、回転テーブル6と可調整支持体4との協働によって、低ランアウトで加工されている間の長尺ワークピースのその主軸の周りの回転の制御を可能にすることを規定する。また、従来技術とは異なり、装置1は、2の形状により、誘電液体の顕著な節約を可能にする。
【0025】
装置1の異なる部分は、以下に詳細に開示される。
【0026】
タンク2は誘電液体を収容するように適合されており、加工プロセスの間、加工されるワークピースがその中に沈められる。本実施形態では、タンク2は、垂直に移動可能な4つの垂直隔壁21、22、23、及び24からなる。より具体的には、Z軸がベースプレート31に直交する3つのデカルト軸XYZを考慮すると、X軸にはモノリシックシャフト-インペラロータ5の主軸Rが位置合わせされ、これは、この問題の場合、対称軸であり、以下でよりわかりやすく説明されるように、ワークピースが低ランオフで回転しなければならない軸であり、Y軸は他の2つのX-Z軸に直交する。したがって、当該隔壁21、22、23、及び24は、当該Z軸に沿って上昇及び下降することができる。また、当該隔壁21、22、23、及び24は、加工されるワークピース5を完全に覆うために誘電液体がタンク2に注がれることを可能にするのに必要なだけ上昇することができる。
【0027】
タンク2は、実質的に水平な位置で加工されるワークピース5を完全に沈めるように、誘電液体の収容が可能である限り、他の方法で実現することもできる。
【0028】
支持フレーム3は、第1の位置決めガイド311及び第2の位置決めガイド312を有する、加工されるワークピースを支持するための、底部に載置された、当該ベースプレート31を備え、その機能は以下でより良く定義される。上述のデカルト軸を更に参照すると、当該第1の位置決めガイド311及び第2の位置決めガイド312は、互いに平行であり、Y軸の方向に沿って配置される。
【0029】
支持フレーム3は、ベースプレート31の縁部に載置され、後者に対して垂直に配置された、支持ブロック32も備える。支持フレーム3は、以下でよりわかりやすく説明されるように、上部に配置され、加工ヘッドユニット7の空間内での移動を可能にするためのガイド(図示せず)が設けられた、梁33も備える。
【0030】
いくつかの実施形態では、以下でより良く論じられるように、他の移動システム又は解決策又は変形例を予測することができ、すると梁33及び支持フレーム3は、異なる構成を有することができる。
【0031】
上述のように、開示される装置1は、少なくとも0.8メートルの長尺ワークピースを加工するように構成される。装置1は、ターボ機械の様々なタイプの構成要素及び部分に使用することができ、一実施形態では、
図4に示されるものなどの長尺のモノリシックシャフト-インペラロータを加工(又は製造)するように構成される。このロータは、圧縮機などのターボ機械で使用するように構成され得る。圧縮機は、遠心圧縮機であってもよい。
【0032】
特に、
図4に示される長尺のモノリシックシャフト-インペラロータ5は、ロータシャフト50と、実質的にロータ5の中心に位置して互いに対向する2つのインペラ51及び52とを有する。当該モノリシックシャフト-インペラロータ5は、2つの端部53及び54も有する。本明細書に記載される新しい放電加工機及びプロセスを使用して製作/製造することができる長尺のモノリシックシャフト-インペラロータ5の典型的な最小サイズの単なる例として、1018mmの長さを有することができ、その一方でインペラは、187mmの半径を有し得る。測定値は、ここでは単なる一例として示されており、異なる寸法を提供することができるため、保護範囲に関する限定と見なされるべきではないことは明らかである。
【0033】
一般に、装置1は、少なくとも800ミリメートルから最大2000ミリメートル以上の長尺ワークピースを加工するために、便利に使用される。実際、一体に形成され、縦方向の主軸から径方向外向きに延在する円盤状のインペラを有する、上記で示された長さのモノリシックシャフト-インペラロータは、前の場合にはインペラが増加した機械的応力を受ける可能性があるので、シャフトに結合されたインペラを有するものと比較して改善された機械的性能を有する。
【0034】
装置1は、2つの可調整支持体4を含むように構成されてもよい。2つの可調整支持体4の各々は、本体41を有する(
図5参照)。各本体41は、プレート411及び垂直部分412を有する。プレート411は、当該ベースプレート31の上面に固定されるように、第1の位置決めガイド311又は第2の位置決めガイド312の一方に摺動可能に係合される。特に、このような配置は、モノリシックシャフト-インペラロータ5を水平に位置決めできるようにすることを意図する、支持体4の最適な位置合わせを可能にする。従来技術による機器には、必要なときはいつでもその主軸Rの周りで、ロータ5、及び一般にかさばる、加工される長尺要素の回転を可能にすることができる、調整可能な垂直支持体が備えられていない。
【0035】
垂直部分412は、当該プレート411に対して、したがって当該ベースプレート31に対して直交して配置される。当該可調整支持体4の当該本体41はまた、当該垂直部分412の面に固定された1対のピン413と、調整グレイン414とを含み、その機能は以下でよりわかりやすく説明される。
【0036】
また、当該可調整支持体4の各々の当該本体41は、Y軸に沿った各可調整支持体4の位置を調整するように、それぞれの第1の位置決めガイド311又は第2の位置決めガイド312に沿ってプレート411をベースプレート31に固定するための、適切に調整可能な固定部材415も備える。
【0037】
当該可調整支持体4の各々は、Z軸方向に沿って、すなわちベースプレート31に直交して、互いに平行に配置された2つの案内チャネル421を有するスライダ42も備える。当該ピン413の各々は、それぞれの案内チャネル421に摺動可能に挿入される。このようにして、スライダ42は、当該ピン413によって案内されながら、当該本体41に対して垂直に移動することができる。2つの平行な案内チャネル421の提供により、当該可調整支持体4上に位置決めされたときに垂直支持体4の、次いでモノリシックシャフト-インペラロータ5の位置決めの容易な調整を確実にするために、スライダは、いかなる回転も受けることなく垂直に(すなわち、ベースプレート31に直交して)確実に並進することができる。
【0038】
上記で開示された可調整支持体4の構造は、必要な加工プロセスを実行するために、所望の位置でのモノリシックシャフト-インペラロータ5(又は任意の他のタイプの長尺ワークピース)の主軸の精密な位置合わせを可能にする。長尺ワークピースの主軸Rを適切に位置合わせするために、その垂直及び水平位置の微調整を可能にすることができる他の構造も実現することができる。
【0039】
可調整支持体4は、加工される長尺ワークピースを指示することができるように、当該スライダ42上で枢動され、並んで配置された、1対の軸受43も備える。特に、モノリシックシャフト-インペラロータ5の場合、当該2つの可調整支持体4の各々は、
図2に見られるように、当該ロータ5を端部53及び54の各々とそれぞれにより近いインペラ51又は52との間の実質的に中間点で支持するように配置される。軸受43は、図示される実施形態ではX軸に位置合わせされた、文字Rで言及されるワークピースの対称軸の周りで、加工されるロータ5の自身の主軸、すなわち第1の回転軸Aに沿ったその正確で滑らかな回転を可能にする。見てわかるように、当該固定部材415によって、ベースプレート31に対する各可調整支持体4の位置を調整することが可能である。更に、調整グレイン414に作用することによって、スライダ42、及び結果的に、前述のように加工される前にモノリシックシャフト-インペラロータ5が配置される軸受43を正確に上昇又は下降させることも可能である。
【0040】
それぞれの可調整支持体4の上に配置された各対の軸受43は、2つの適切に可調整支持体4上に配置されたモノリシックシャフト-インペラロータ5を収容してその重量を担持することができ、同時に、ロータ5は、低ランオフで、その主軸の周りで滑らかに回転することができる。
【0041】
図示される実施形態では、2つの可調整支持体4は、処理ステップ中の最適な支持及び位置決めを可能にするように、回転テーブル6に対して、それぞれ当該第1の位置決めガイド311及び第2の位置決めガイド312に沿って移動可能である、X軸に沿って位置合わせされ、一般にシャフト5又はワークピースの2つの中間点での支持を可能にするような方法で、配置される。
【0042】
より具体的には、2つの可調整支持体4は、加工されるモノリシックシャフト-インペラロータ5がその上に載置されたときに、2つの実質的に好ましくは対称な中間位置で支持されるように、当該ベースプレート31に固定される。
【0043】
回転テーブル6は、ロータ5を所定位置に保持する機能を有し、加工ステップ中にその主軸Rの周りでこれを回転させる。回転テーブル6は、当該支持ブロック32上に配置及び固定される。また、
図6及び
図7を参照すると、当該回転テーブル6は、当該回転テーブル6の面のうちの1つの中心に載置されたカラー61を有し、当該カラー61は、ロータ5の正しい組み立てを容易にし、当該回転テーブル6によって引き起こされるモノリシックシャフト-インペラロータ5の同軸回転、すなわち低ランオフでのロータ5の主軸の周りの回転を確実にするように適合されていることがわかる。
【0044】
カラー61はその中心に、ロータ5の端部53を収容するように意図されるハウジング64を有する。カラー61の当該ハウジング64内では、芯出しチップ62が取り付けられ、円錐座(図示せず)に実装され、引っ張りねじ63によって引っ張られる。芯出しチップ62によって、ロータシャフト5を正確に芯出しすることが可能であり、一般に、モノリシックシャフト-インペラロータ5又はワークピースの主軸R(縦軸)に対する回転を可能にする。
【0045】
また、カラー61内には、当該ハウジング64に挿入された後にモノリシックシャフト-インペラロータ5の端部53を把持するためのねじ式グレイン66を備えるフランジブッシュ65がある。フランジブッシュ65及びねじ式グレイン66は、主軸Rの周りで回転させるためにも必要な、モノリシックシャフト-インペラロータ5の安全な把持を可能にし、これが摺動又はシフトするのを回避する。
【0046】
回転テーブル6は、図示されない電動モータなどのような適切な駆動ユニットによって、当該回転軸Aの周りで回転可能である。図示される実施形態では、回転軸Aは、ロータ5の主軸Rと位置合わせされる(平行である)。
【0047】
いくつかの実施形態では、回転テーブル6は、当該モノリシックシャフト-インペラロータ5が可調整支持体4上に載置されている間、これを把持及び回転することが可能な任意の回転部材であり得る。
【0048】
フランジブッシュ65及びそのねじ式グレイン66により、回転運動を摩擦によって当該ロータシャフト5に伝達することが可能であり、以下でよりわかりやすく説明されるように、処理ステップ中にその段階的な回転を可能にする。
【0049】
本実施形態による装置1の
図8及び
図9にも示されている加工ヘッドユニット7は、キャリア71が加工される当該モノリシックシャフト-インペラロータ5の上のX-Y平面上を移動できるように、当該支持フレーム3の梁33上に載置されたガイド(ガイドは図示せず)に沿って、本実施形態では移動可能なキャリア71を備える。
【0050】
当該加工ヘッドユニット7は、入れ子式の垂直支持体72を備え、これはZ軸に沿って配置される。当該垂直支持体72の第1の端部は、当該キャリア71と回転可能に結合される。また、当該加工ヘッドユニット7は、第2の回転軸Bの周りで、当該垂直支持体72の第2の端部と回転可能に結合された、ヘッド73を備える。
【0051】
上記の配置により、ヘッド73は、3つのデカルト自由度(X、Y、及びZ軸)、及び本実施形態では当該Z軸と平行な当該第2の回転軸Bの周りの1つの回転自由度に沿った空間内で、移動することができる。
【0052】
型彫りEDMプロセスを実行するための電極8が取り外し可能に結合され得る電極ホルダ74は、第3の回転軸Cに沿って、今度は自分が当該ヘッド73に取り外し可能に結合される。第3の回転軸Cは、Z軸に対して直交して配置される。
【0053】
上記の配置により、電極ホルダ74は、ヘッド73の同じ4つの自由度、並びに第3の回転軸Cの周りの追加の回転自由度に沿った空間内で移動することができる。したがって、電極ホルダ74は、5つの自由度にわたって加工されるモノリシックシャフト-インペラロータ5(又は任意の長尺ワークピース)を取り囲む空間内で移動することができる。上記でよりわかりやすく説明されたように、シャフト-インペラロータ5が第1の回転軸Aの周りで段階的に回転できることも考慮すると、電極ホルダ74とシャフト-インペラロータ5との間の相対移動は、本実施形態では、合計6つの自由度、すなわち(3つのデカルト軸に沿った)3つの並進自由度、及び(回転軸A、B、及びCの周りの)3つの回転自由度を特徴とする。したがって、装置1は、顕著な動作柔軟性に恵まれている。既述のように、図示される本実施形態では、回転A軸はX軸と一致し、これに対して使用中、長尺ワークピースの主軸Rが位置合わせされ、その一方で回転B軸はY軸と一致する。
【0054】
更に別の実施形態では、例えば、いくつかの並進及び回転自由度に沿った空間内で電極を移動及び配向することが可能な、1つ以上の手首を有するロボットアームのような、シャフト-インペラロータ5を取り囲む空間内で、電極ホルダ74、ひいては電極8を移動させるための他のシステムを提供することができる。このようにして、電極8は、ワークピースの任意の部分で型彫りEDMプロセスを実行するために、モノリシックシャフト-インペラロータ5の表面の任意の点に到達することができる。
【0055】
既に上述されたように、電極8は鎌状であり、これは、実現及び加工されるチャネルのサイズに応じてそのサイズを変化させるために、電極ホルダ74に取り外し可能に結合され得る。
【0056】
図9は、電極8がインペラ51の側面にどのように入り、遠心圧縮機のためのブレード511’(又はインペラ52の521’)も実現するように意図される鎌状のチャネル511(電極はインペラ52のチャネル521を実現することができる)を実現するかを示す。
【0057】
容易に理解できるように、当該
図9に示されるようなチャネルを加工することは、材料の機械的除去に基づく、すなわちフライス加工又はドリリング加工プロセスによる従来のシステムでは、ほぼ不可能ではなかったとしても複雑になり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、モノリシックシャフト-インペラロータ5の任意の部分、特にインペラ51又は52の側面若しくはロータの任意の他の部分に容易に到達するように、ヘッド72を空間内で移動させる他の構造を予測することができ、チャネル511及び512のインデューサ側、すなわちガスがインペラに入る開口部と、ガスがインペラ自体から出てくる開口部であるエクスデューサ側とを実現するようになっている。上述のように、並びに例として、ヘッド72は、空間内で当該ヘッド72を配向するための更に増加した自由度が提供されるように、関節式人型アームに取り付けることができる。
【0059】
上述の型彫り放電加工プロセスのための装置1の動作は、以下のとおりである。
【0060】
図10、
図11、及び
図12を参照すると、第1の動作ステップとして、装置1が組み立てられると、モノリシックシャフト-インペラロータ5の端部53は、可調整支持体4上に配置され(
図12、フローチャート10のステップ101)、カラー61のハウジング64に挿入される(
図12、ステップ102)。端部53は、芯出しチップ62上で枢動され、ねじ63によって引っ張られる。
【0061】
次に、
図12のステップ103に示されるように、モノリシックシャフト-インペラロータ5の主軸Rは、回転テーブル6の中心に対して直交する方向に沿って正確に位置決めされなければならない。位置合わせチェックは、型彫りEDM技術によってインペラ51及び52のそれぞれのチャネル511及び521の実現を実行するために加工される前のモノリシックシャフト-インペラロータ5全体の平面性及び同心性を保証するために重要である。位置合わせチェックは、実際には、1つ以上のダイヤルゲージ9によって実行される。
【0062】
より具体的には、ダイヤルゲージ9によって、基本的に2つのチェックが行われる。
-第1のチェックでは、
図12のステップ1031に示されるように、ダイヤルゲージ9は、ヘッド73に実装され、モノリシックシャフト-インペラロータ5全体がX軸と平行であること、すなわちモノリシックシャフト-インペラロータ5の縦回転軸RがX軸と位置合わせされていることをチェックするために、X軸に沿ってスクロールされる(
図10も参照)。
-第2のチェックでは、
図12のステップ1032に示されるように、ベースプレート31にダイヤルゲージ9を実装し、2つの可調整支持体4の4つの軸受43の上の回転テーブル6の回転(
図11も参照)を通じてモノリシックシャフト-インペラロータ5(又は加工されるワークピース)を回転させることによって、いくつかの位置でモノリシックシャフト-インペラロータ5の同心性がチェックされる。
【0063】
可調整支持体4は、モノリシックシャフト-インペラロータ5の主軸RをX軸に適切に位置合わせした状態で維持し、ロータ5は2つの軸(Y、Z)で調整可能である。より具体的には、各可調整支持体4は、当該Y軸に沿って位置合わせされた、当該ベースプレート31のそれぞれの第1の位置決めガイド311又は第2の位置決めガイド312に沿って位置決めすることができ、その一方で、ベースプレート31に対する、すなわちZ軸に沿った可調整支持体4の、そしてモノリシックシャフト-インペラロータ5の高さを調整するために、スライダ42を垂直部分412上でスクロールできるように、調整グレイン414が回転できる。
【0064】
ロータ5が位置決めされると、その可能な回転中の任意の可能なランオフを低減するように、
図12のステップ104に示されるように、ワークピース-電極がこれに接続され、加工プロセスが開始できる。次に、4つの隔壁21、22、23、及び24が上昇し、モノリシックシャフト-インペラロータ5を覆うために当該4つの隔壁21、22、23、及び24によって形成された容器内に誘電液体が導入される(
図12、ステップ1041参照)。
【0065】
この構成では、全ての位置決め調整が行われた後、型彫りEDMプロセスを実行するために電極8がインペラ51又は52の側に到達し、
図12のステップ1042に示されるように、チャネル511又は51を実現する。
【0066】
理解され得るように、電極8は、インペラ51又は52の任意の点に到達することができ、加工ヘッドユニット7、特にキャリア71、垂直支持体72によって、及び電極ホルダ74を第3の回転軸Cの周りで回転させることによって、その位置及び配向を変化させる。また、モノリシックシャフト-インペラロータ5は、電極8が各インペラ51又は52の全ての周縁に容易に到達できるように、回転テーブル6によって第1の回転軸Aに沿って段階的に回転し、こうして
図12のステップ1043に示されるように、チャネル511又は512を実現する。
【0067】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法工程の順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0068】
例えば、上記で開示された実施形態では、型彫りEDMプロセスのための装置が記載されており、これはその主軸の周りの回転中にランアウトを低減することを目的としているが、当業者は、開示された配置が、低減されたランアウトが必要とされ得る異なるシステムで使用され得ることを、理解するだろう。
【0069】
その1つ以上の例が図に例示されている本開示の実施形態を、詳細に参照してきた。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して述べられる特定の特徴、構造、又は特性が、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0070】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。