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特許7348414ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20230912BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20230912BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230912BHJP
   G01S 17/931 20200101ALN20230912BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/86
G01C3/06 130
G01C3/06 120Q
G01C3/06 110V
G01C3/06 140
G01S17/931
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022564059
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021058407
(87)【国際公開番号】W WO2021213788
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102020110809.5
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マインケ マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ブック セバスチャン
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/185780(WO,A1)
【文献】特開2021-148746(JP,A)
【文献】特開2005-91173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0391270(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0029905(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法であって、
-ライダー反射点(R)までの距離が、ライダーから放出されるレーザパルスを検知するアクティブ計測及び前記ライダーの周辺に存在する光線を前記ライダーが検知するパッシブ計測において決定され、
-前記アクティブ計測において、第1の距離値が、レーザパルスの信号継続時間に基づいて決定され、
-前記パッシブ計測において、第2の距離値が、互いに異なる計測位置で実施された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定され、
-次いで、前記第2の距離値が前記第1の距離値を所定量だけ上回る場合に、ブルーミングが推定される
ことを特徴とする、ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項2】
前記パッシブ計測において用いられる前記ライダーが第1のライダー(1)と、前記第1のライダー(1)とは異なる位置に配置された第2のライダー(2)とで構成され、
-前記パッシブ計測が、2つの二次元強度計測に基づき、
-第1の強度計測が、前記第1のライダー(1)を使用して実施され、
-第2の強度計測が、前記第2のライダー(2)を使用して実施される
ことを特徴とする、請求項1に記載のライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項3】
前記2つのパッシブ強度計測が、同時に、又は時間的に相前後して実施される
ことを特徴とする、請求項2に記載のライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項4】
前記パッシブ計測において用いられる前記ライダーが第1のライダー(1)で構成され、
-前記パッシブ計測が、2つの二次元強度計測に基づき、
-第1の強度計測が、第1の位置にある前記第1のライダー(1)を使用して実行され、
-第2の強度計測が、同じ前記第1のライダー(1)を使用して、前記第1の計測よりも後の時点において、前記第1の位置とは異なる第2の位置で実施される
ことを特徴とする、請求項1に記載のライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項5】
前記パッシブ計測が、立体視方法を使用して前記2つの二次元強度計測において撮像された二次元強度画像を評価することにより実施される
ことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項6】
前記パッシブ計測で使用される前記立体視方法としてセミグローバルマッチングアルゴリズムが使用される
ことを特徴とする、請求項に記載のライダー計測においてブルーミングを認識するための方法。
【請求項7】
少なくとも1つのライダー(1、2)を有する、ライダー計測においてブルーミングを認識するため装置であって、
処理部が、
-前記少なくとも1つのライダー(1、2)のライダー反射点(R)からの距離を、前記ライダーから放出されるレーザパルスを検知するアクティブ計測及び前記ライダーの周辺に存在する光線を前記ライダーが検知するパッシブ計測において決定し、
-前記アクティブ計測において、第1の距離値を、レーザパルスの信号継続時間に基づいて決定し、
-前記パッシブ計測において、第2の距離値を、互いに異なる計測位置で実行された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定し、
-次いで、前記第2の距離値が前記第1の距離値を所定量だけ上回る場合に、ブルーミングを推定する
ように構成されている
ことを特徴とする、ライダー計測においてブルーミングを認識するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも1つのライダーを有する、ライダー計測においてブルーミングを認識するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
独国特許第10 2005 003 970(A1)号から、電動車両でのセンサ配置の機能性を特定するための方法が公知であり、その方法では、センサ配置によって検知される領域が様々なサブ領域に分割され、特定の周辺領域からサブ領域に割り当てられるセンサ信号が、センサ配置の機能性を特定するために分析される。ここで、センサ信号は、特定の周辺領域を通過する際に様々なサブ領域に対して相前後して検知されるものであって、分析されるものである。サブ領域とは、様々なライダーセンサの撮像領域、又は1つのライダーセンサの様々な角度セクターをいう。
【0004】
更に、独国特許第10 2018 003 593(A1)号から、車両の支援システムを作動させるための方法が公知であり、その方法では、支援システムを使用して、自動運転モードにおいて車両が動かされ、支援システムが、車両内かつ/又は車両上に配置された多数の検知ユニットを有する周辺センサを含む。車両の自動運転モードにおいて、車両の周辺とその範囲内にある物体とは、検知ユニットを使用して検知される。その場合に、個々の検知ユニットの機能は、監視モジュールを使用して継続して監視され、検知ユニットの一つが故障した際は、この故障した検知ユニットに接続された支援機能のみが、監視モジュールに接続されたプランニングモジュールを使用して非作動にされる。検知ユニットは、ライダーに基づくセンサを含む。
【0005】
米国特許出願公開第2019/0391270(A1)号には、高反射性表面の存在下でライダーを使用して周辺観察を向上させるための反射システムが記載されている。反射システムは、複数のプロセッサ、そのプロセッサと通信する記憶装置を含む。更に、反射システムは、命令を有するスキャンモジュールを含み、その命令がプロセッサによって実行されると、結果としてプロセッサは、強く反射する遮蔽体の観察が第1の点群に含まれるという決定に対して、第1の点群の検知に使用される初期光線の初期強度とは異なる走査強度で走査光線の放出を制御するとともに、ライダーを動的に制御して、遮蔽体を除いた第2の点群を検知する。更に、出力モジュールには命令が用意されており、その命令がプロセッサによって実行されると、結果としてプロセッサは、第1の点群及び第2の点群から構成された点群を生成し、遮蔽体による外乱を低減させることでライダー使用時の周辺の観察を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ライダー計測においてブルーミングを認識するための新規の方法及び新規の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の目的は、請求項1に開示された特徴を有する方法と、請求項7に開示された特徴を有する装置とで解決される。
【0008】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明に係る、ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法では、ライダー反射点までの距離が、アクティブ計測及びパッシブ計測において決定され、前記アクティブ計測において、第1の距離値が、レーザパルスの信号継続時間に基づいて決定され、前記パッシブ計測において、第2の距離値が、互いに異なる計測位置で実施された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定される。次いで、前記第2の距離値が前記第1の距離値を所定量だけ上回る場合に、ブルーミングが推定される。
【0010】
ここで、二次元強度計測を用いたパッシブ計測とは、少なくとも1つのライダーを使用した周辺の撮像であると理解され、その撮像では、少なくとも1つのライダーが、レーザ光線を能動的に放出することなく、周辺に存在する光線のみを検知する。
【0011】
ここで、ブルーミングとは、本明細書では、ライダー計測における露光過多又はクロストークであると理解される。ブルーミングは、例えば、ライダーから放出されたレーザパルスが強く反射する標的、例えば道路標識又はヘッドライトリフレクタによって反射される場合に起こる。この場合、あまり反射しない標的と比較して、放出されたエネルギーの多くがライダーに送り返される。この送り返された光線は、通常、最適に集束されていない。その理由は多様であり、標的からの反射が最適に反射していないためであることが多く、空気中の微粒子がレーザ光線を偏向するため、又はライダーのカバー上の汚れが光散乱の原因となるためであることもある。これにより、送り返された光が、空間的に近接して配置されているライダーの複数の受光セルに当たったり、送り返された光が隣接する画素に移ったりする可能性がある。その結果、検出器の感度に関係なく距離計測が作動することとなる。標的から反射されるエネルギー量は、光が進まなければならない距離が長くなるにつれて急速に低減するため、ブルーミング現象は、通常、ライダーからの距離が短いほど強くなる。
【0012】
ライダーは、ライダーの周辺の正確な三次元表示を可能にするものであるため、運転者支援システム及び他の自動作動プラットフォーム、例えばロボットにおいて、重要な役割を担う。しかし、ブルーミングが発生すると、ライダーとライダーの周辺で検知された物体との間の距離の計測において誤った結果を招くおそれがある。特に、ブルーミング現象により誤ったライダー計測が起こりうるため、周辺の正確な三次元表示がより困難となる。
【0013】
本方法を使用することで、ライダー計測においてブルーミングを高い信頼性で認識することが容易に可能となるため、そのような距離計測における誤った結果を防止でき、又は少なくとも確実に認識できる。この結果、例えば、自動化、特に高度に自動化された、又は自動運転若しくは自動移動式の車両及びロボットといった用途において安全な作動が実現される。
【0014】
本方法の考えられる実施形態では、前記パッシブ計測が、2つの二次元強度計測に基づき、第1の強度計測が、第1のライダーを使用して実施され、第2の強度計測が、前記第1のライダーとは異なる位置に配置された第2のライダーを使用して実施される。これにより、パッシブ計測を簡単にかつ高い信頼性で実行でき、その結果、ブルーミングを特に高い信頼性で認識できる。
【0015】
本方法の更に考えられる実施形態では、前記2つの二次元強度計測が、同時に、又は時間的に相前後して実施される。特に強度計測が同時に実施される場合は、距離のパッシブ計測を極めて迅速に実施できる。
【0016】
本方法の更に考えられる実施形態では、前記パッシブ計測が、2つの二次元強度計測に基づき、第1の強度計測が、第1の位置にあるライダーを使用して実行され、第2の強度計測が、同じ前記ライダーを使用して、第1の計測よりも後の時点において、前記第1の位置とは異なる第2の位置で実施される。これにより、パッシブ計測を簡単にかつ高い信頼性で実行でき、その結果、ブルーミングを特に高い信頼性で認識でき、その場合に二次元強度計測の実行に必要なライダーは1つだけであることから、使用するハードウェア及び費用を特に少なくできる。
【0017】
本方法の更に考えられる実施形態では、前記パッシブ計測が、立体視方法を使用して前記2つの二次元強度計測において撮像された二次元強度画像を評価することにより実施される。このような立体視方法は、ライダー反射点までの距離、ひいてはライダーの周辺の物体までの距離を高い信頼性で決定する。
【0018】
本方法の更に考えられる実施形態では、立体視方法としてセミグローバルマッチングアルゴリズムが使用され、これにより二次元強度画像における画素までの距離、ひいてはライダーの周辺の物体までの距離決定を極めて高い信頼性でかつ特に正確に実行できる。
【0019】
ライダー計測においてブルーミングを認識するための装置は、少なくとも1つのライダーを有しており、本発明によれば、処理部が、前記少なくとも1つのライダーのライダー反射点からの距離を、アクティブ計測及びパッシブ計測において決定し、前記アクティブ計測において、第1の距離値を、レーザパルスの信号継続時間に基づいて決定し、前記パッシブ計測において、第2の距離値を、互いに異なる計測位置で実行された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定し、次いで、前記第2の距離値が前記第1の距離値を所定量だけ上回る場合に、ブルーミングを推定するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本装置を使用することで、ライダー計測においてブルーミングを高い信頼性で認識することが容易に可能となるため、ライダーを使用して実行された距離計測における誤った結果を防止でき、又は少なくとも確実に認識できる。その結果、例えば、自動化、特に高度に自動化された、又は自動運転若しくは自動移動式の車両及びロボットといった用途において安全な作動が実現される。
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明の代表的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ライダーの配置及びライダーによって監視される周辺の概略図である。
図2】異なる時点でのライダーの配置及びライダーによって監視される周辺の概略図である。
図3図2に係るライダーを使用して第1の時点で撮像されたライダー画像の概略図である。
図4図2に係るライダーを使用して第2の時点で撮像されたライダー画像の概略図である。
図5】2つのライダーの配置及びライダーによって監視される周辺の概略図である。
図6図5に係る第1のライダーを使用して撮像されたライダー画像の概略図である。
図7図5に係る第2のライダーを使用して撮像されたライダー画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
互いに対応する部分は、全ての図において同一の符号が付けられている。
【0024】
図1には、ライダー1の配置及びライダー1によって監視される周辺が示されている。
【0025】
ライダー1の周辺内には、ライダー1によって撮像領域E内で撮像される2つの物体O1、O2が存在する。
【0026】
ライダー1は、例えば、自動化、特に高度に自動化された、又は自動運転式の車両に配置されている。ライダー1は、代替的に、ロボットにも配置され得る。
【0027】
第1の物体O1は、高反射性物体O1、例えば道路標識、例えば、車道FBの上方に配置された高速道路標識である。第2の物体O2は、車道上にあり、任意の反射率、例えば、第1の物体O1より低い又は高い反射率もまた有する。
【0028】
ライダー1を使用して、レーザパルスの放出と、反射されたレーザパルスがライダー1の受信器に当たるまでの時間の計測とにより、ライダー1の周辺の物体O1、O2までの距離が決定される。ここで、ライダー1の計測率及び空間解像度を向上させるために、ライダー1は複数のレーザ及び/又は複数の受信器を含んでもよい。また、ライダー1を使用して実行される計測は、スキャンとも称され、ライダー画像とも称される二次元計測グリッドとして完全なスキャンが読み取られるように実施される。
【0029】
図示されたライダー1の周辺において、レーザ計測中、第1の物体O1が、その高い反射率のため、ブルーミング点P1~Pnを物体O1の上側及び下側に同じ距離で生じさせることから、いわゆるブルーミングアーチファクトが発生する。これらのブルーミング点P1~Pnがそのようなものとして検出されない場合は、更なるデータ処理、例えばセンサ融合において、そこに障害物、例えば渋滞後尾が存在すると推定される結果、場合によっては運転者支援システムにより意図しないブレーキングが作動させられるという危険が生じる。
【0030】
図2は、互いに異なる時点t1、t2でのライダー1の配置及びライダー1によって監視される周辺を示している。図3には、図2に係るライダー1を使用して第1の時点t1で撮像されたライダー画像B1が示されており、図4には、図2に係るライダー1を使用して第1の時点t1に続く第2の時点t2で撮像されたライダー画像B2が示されている。ここで、ライダー画像B1、B2はそれぞれ二次元計測グリッド又は二次元強度画像を示しており、それらの軸は垂直角度αの値及び水平角度βの値を表示するため、垂直角度αと水平角度βとが画像座標を形成する。
【0031】
ライダー1は、自ら移動するプラットフォーム、例えば、自動化、特に高度に自動された、又は自動運転若しくは自動移動式の車両又はロボットに配置される。
【0032】
既述のとおり、レーザパルスの放出と、反射されたレーザパルスがライダー1の受信器に当たるまでの時間の計測とにより、ライダー1の周辺の物体O1、O2からの距離がライダー1を使用して決定される。ここで、反射は、それぞれの物体O1、O2、例えばいわゆるランドマークに属するライダー反射点Rにおいて生成される。
【0033】
ライダー1は通常アクティブセンサとみなされるが、これは、上記の説明によれば、Time-of-Flight計測としても知られる継続時間計測を実施するために、ライダー1がエネルギーを能動的に送出する必要があるからである。ライダー1の受信器は、その感度が十分に高い場合には、能動的な照明なしでライダー1に後方散乱するライダー1の周辺光の強度をライダー1の規定波長で計測することにも使用できる。このようにして、ライダー1を使用することで、ある光景の極めて動的なグレースケール画像をパッシブ二次元強度計測において生成可能である。受動的に反射される光の強度は著しく低いことから、このようなパッシブ計測時にはブルーミング現象が発生しない。そのようなパッシブ計測は、ここでアクティブ計測の直前又は直後に実施できるため、記録された光景は2つの計測間でほとんど相違を見せない。アクティブ計測がライダー1の周辺の正確な三次元表示を提供する一方で、パッシブ計測は物体O1、O2の二次元外観の一層高度な詳細を実現する。これにより、両方の計測原理を補完できる。
【0034】
自ら移動するプラットフォームに配置及び掲示されたライダー1は、ライダー反射点Rからの距離のアクティブ計測の実施と、強度のパッシブ計測の実施との双方に適している。ここで、パッシブ計測は、アクティブ計測の直前又は直後に実施できる。
【0035】
ライダー計測においてブルーミングを決定するために、ライダー反射点Rからの距離は、アクティブ計測及びパッシブ計測において、ライダー1で検知されたデータを活用して決定される。これは、アクティブ計測においてライダー1からライダー反射点Rまで行きライダー1まで戻るレーザパルスの信号継続時間に基づく第1の距離値を用いて行なわれる。
【0036】
続いて、パッシブ計測において、第2の距離値が、互いに異なる計測位置で実施された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定される。
【0037】
次いで、第2の距離値が第1の距離値を所定量だけ上回る場合、特に第1の距離値よりも顕著に大きい場合に、ブルーミングが推定される。
【0038】
ここで、パッシブ計測は2つの二次元強度計測に基づいており、その場合に、第1の強度計測は、第1の位置にあるライダー1を使用して第1の時点t1で実施され、第2の強度計測は、同じライダー1を使用して、第1の計測よりも後の第2の時点t2において、第1の位置とは異なる第2の位置で実施される。2つの時点t1、t2間において、ライダー反射点Rに対するライダー1の相対位置は、プラットフォームの動きに応じて変化する。
【0039】
ここで、2つの計測間におけるライダー1の動きは、例えば、慣性計測ユニットを評価することにより既知であり、この慣性計測ユニットは、可動式プラットフォームに同様に配置され、ライダー1又は共通の基準系に関して校正されている。
【0040】
ライダー画像B1、B2における様々な視角からの特徴的な位置、例えばランドマークの観察によって、観察された光景の三次元再構成が実行可能になる。ライダー1の移動に起因して、特徴的な位置、ひいては関連するライダー反射点R、又はそれを表示する二次元強度画像内で記録された画素は、周辺の互いに異なる位置から撮像されたライダー画像B1、B2において互いに異なる位置に現れうる。この現象は、一般に運動視差と称される。2つの時点t1、t2間におけるライダー1の動きが既知であり、かつ1つの同じライダー反射点Rの位置が両方のライダー画像B1、B2内で見つかる場合は、三次元位置、ひいてはライダー反射点Rまでの距離を簡単な三角測量によって再構成できる。
【0041】
例えば、パッシブ計測は、立体視方法、例えばセミグローバルマッチングアルゴリズムを使用して、2つの二次元強度計測を評価することにより実施される。
【0042】
ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法として考えられる代表的な実施形態について、以下に説明する。
【0043】
最初に、一般に知られているステレオマッチングアルゴリズム、例えばセミグローバルマッチングアルゴリズムは、2つの異なる視点から撮像された受動的なライダー画像B1、B2内で各画素間の角度変化を決定するために使用される。例えば、ライダー1は、時点t1において、ライダー反射点R又はそれを表示する画素を、10°の垂直角度α及び5°の水平角度βにおいて認識する。時点t2において、ライダー1は、ライダー反射点R又はそれを表示する画素を、10°の垂直角度α及び20°の水平角度βにおいて認識する。
【0044】
両方のライダー画像B1、B2の撮像間におけるライダー1の三次元移動は既知であるため、第1及び第2の計測からの対応する位置角度の情報は、計測された画素位置、すなわちライダー反射点Rの三次元座標を三角測量するために使用できる。
【0045】
任意の画素位置でのアクティブ計測と、上述の三角測量により導き出されたパッシブ計測との比較によって、ブルーミングの存在を推定することが可能となる。Structure-from-Motionアルゴリズムで導き出されるパッシブ計測によって、アクティブ計測よりも著しく大きい計測が得られる場合には、これに関する妥当な理由としてブルーミングを推定できる。
【0046】
図5は、2つのライダー1、2の配置及びライダー1、2によって監視される周辺を示している。図6には、図5に係るライダー1を使用して撮像されたライダー画像B1が示され、図7には、同じ時刻に、図5に係る別のライダー2を使用して撮像されたライダー画像B2が示されている。ここで、ライダー画像B1、B2はそれぞれ二次元計測グリッド又は二次元強度画像を示しており、それらの軸は、垂直角度αの値及び水平角度βの値を表示するため、垂直角度αと水平角度βとが画像座標を形成する。
【0047】
ライダー1、2は両方とも、自ら移動するプラットフォーム、例えば自動化、特に高度に自動化された、又は自動運転若しくは自動移動式の車両又はロボットに配置されている。ライダー1、2は、同期されてもいるため、同時に同種の空間的角度を撮像するように構成されている。
【0048】
ライダー1、2は両方とも、ライダー反射点Rからの距離のアクティブ計測の実行と、強度のパッシブ計測の実行との双方に適している。ここで、パッシブ計測は、アクティブ計測の直前又は直後に実施できる。
【0049】
ライダー計測においてブルーミングを決定するために、この代表的な実施形態では、ライダー反射点Rまでの距離が、アクティブ計測及びパッシブ計測において、ライダー1、2を使用して記録されたデータを活用して決定される。これは、アクティブ計測において、ライダー1及び/又はライダー2からライダー反射点Rまで行きライダー1及び/又はライダー2まで戻るレーザパルスの信号継続時間に基づいて第1の距離値を決定することで行われる。
【0050】
続いて、パッシブ計測において、第2の距離値が、互いに異なる計測位置で実施された二次元強度計測の三角測量に基づいて決定される。
【0051】
次いで、第2の距離値が第1の距離値を所定量だけ上回る場合、特に第1の距離値よりも顕著に大きい場合に、ブルーミングが推定される。
【0052】
ライダー1、2の外部パラメータ、すなわちライダー1、2の位置及び/又は配列は既知である。このために、ライダー1、2は、相互に又は共通の基準系に関して校正されている。
【0053】
これによって、図2図4に関して説明した代表的な実施形態に対し、パッシブ計測を2つの二次元強度計測に基づくものとすることができ、この場合に、第1の強度計測は第1のライダー1を使用して実施され、第2の強度計測は第1のライダー1とは異なる位置に配置された第2のライダー2を使用して実施される。
【0054】
ライダー1、2を使用して互いに異なる視角からの光景を同時に記録することによって、異なる視角からのライダー画像B1、B2における特徴的な位置、例えばランドマークの観察が可能となり、ひいては観察された光景の三次元再構成が実行可能となる。ライダー1、2の互いに異なる位置により、特徴的な位置、ひいては関連するライダー反射点R、又はそれを表示する画素は、互いに異なる周辺位置から撮像されたライダー画像B1、B2内において互いに異なる位置に現れうる。ライダー1、2の相互に対する相対位置及びそれらの外部パラメータは既知であるため、1つの同じライダー反射点R又はそれを表示する画素の位置が両方のライダー画像B1、B2内で見つかる場合は、三次元位置、ひいてはライダー反射点Rからの距離を簡単な三角測量によって再構成できる。
【0055】
例えば、パッシブ計測は、立体視方法、例えばセミグローバルマッチングアルゴリズムを使用して、2つの二次元強度計測の評価により実施される。
【0056】
ライダー計測においてブルーミングを認識するための方法として考えられる代表的な実施形態について、以下に説明する。
【0057】
まず、一般に知られているステレオマッチングアルゴリズム、例えばセミグローバルマッチングアルゴリズムは、2つの異なる視点から記録された受動的なライダー画像B1、B2内で各画素間の角度変化を決定するために使用される。例えば、ライダー1は、ライダー反射点R又はそれを表示する画素を、10°の垂直角度α及び5°の水平角度βにおいて認識する。同じ時刻に、ライダー1は、ライダー反射点R又はそれを表示する画素を、例えば、垂直角度αが10°の及び水平角度βが20°において認識する。
【0058】
2つのライダー1、2の座標系間の変換は既知であるため、対応する位置角度の情報は、計測された画素位置、すなわちライダー反射点Rの三次元座標を三角測量するために、ライダー1、2を使用して実行されるパッシブ強度計測に使用できる。
【0059】
任意の画素位置でのアクティブ計測と、上述の三角測量により導き出されたパッシブ計測との比較によって、ブルーミングの存在を推定することが可能となる。パッシブ計測によって、アクティブ計測よりも著しく大きい計測が得られる場合には、これに関する妥当な理由として、ブルーミングを推定できる。
【符号の説明】
【0060】
1 ライダー
2 ライダー
B1 ライダー画像
B2 ライダー画像
E 撮像領域
FB 車道
O1 物体
O2 物体
P1~Pn ブルーミング点
R ライダー反射点
t1 時点
t2 時点
α 角度
β 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7