(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C25C 7/02 20060101AFI20230912BHJP
C25C 3/34 20060101ALI20230912BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230912BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20230912BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20230912BHJP
B22F 3/17 20060101ALI20230912BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C25C7/02 308Z
C25C3/34 Z
B22F1/00 P
B22F7/08 B
B22F5/00 J
B22F3/17 C
C22C9/00
(21)【出願番号】P 2023086391
(22)【出願日】2023-05-25
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202310259858.9
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522311129
【氏名又は名称】▲カン▼州晨光希土新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楊少華
(72)【発明者】
【氏名】崔振紅
(72)【発明者】
【氏名】李慧
(72)【発明者】
【氏名】歐陽森林
(72)【発明者】
【氏名】謝耀
(72)【発明者】
【氏名】何芳頌
(72)【発明者】
【氏名】呉広東
(72)【発明者】
【氏名】謝康偉
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106978613(CN,A)
【文献】特開昭59-049964(JP,A)
【文献】中国実用新案第208414580(CN,U)
【文献】特開2006-102775(JP,A)
【文献】特開昭57-185903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 7/02
B22F 1/00
B22F 7/08
B22F 5/00
B22F 3/17
C22C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類溶融塩電解用タングステン電極であって、開口タングステンハウジング及び銅合金を含み、
前記銅合金は、前記開口タングステンハウジング内に位置し、
前記銅合金の側壁と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層が設置され、
前記銅合金の底部は、前記開口タングステンハウジングの内底部と接触
し、
前記銅合金は、銅-バナジウム合金及び/又は銅-ニオブ合金を含むことを特徴とする希土類溶融塩電解用タングステン電極。
【請求項2】
前記銅-バナジウム合金中のバナジウムの質量パーセント含有量は5~15%であり、
前記銅-ニオブ合金中のニオブの質量パーセント含有量は3~20%であることを特徴とする請求項
1に記載のタングステン電極。
【請求項3】
前記開口タングステンハウジングの外径は65~120mmであり、内径は40~70mmであり、
前記開口タングステンハウジングの底部の厚さは10~20mmであることを特徴とする請求項1に記載のタングステン電極。
【請求項4】
前記銅合金の直径は20~60mmであり、
前記タングステンバッファ層の厚さは3~8mmであることを特徴とする請求項1に記載のタングステン電極。
【請求項5】
前記開口タングステンハウジングの密度は18g/cm
3以上であり、
前記タングステンバッファ層の密度は12~14g/cm
3であることを特徴とする請求項1に記載のタングステン電極。
【請求項6】
銅合金を前記開口タングステンハウジング内に配置し、前記銅合金と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステン粉末を添加し、プレスして電極ブランクを得るステップと、前記銅合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合うステップと、
前記電極ブランクを鍛造して、前記希土類溶融塩電解用タングステン電極を得るステップとを含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の希土類溶融塩電解用タングステン電極の製造方法。
【請求項7】
前記プレスの圧力は50~80MPaであり、時間は2~5hであることを特徴とする請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記鍛造の温度は1000~1500℃であることを特徴とする請求項
6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類金属電解の技術分野に属し、具体的には、希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類金属は、主に高性能希土類永久磁石材料の製造に用いられ、電子情報、新エネルギー自動車、新材料等の分野における重要な基礎原料である。希土類金属の製造プロセスは、主に溶融塩電解法を主とする。溶融塩電解法は、主に電解質系に応じて2種類に分けられ、1つは、塩化希土類電解質系、すなわち、RECl3-KCl(REは希土類金属)等の二元電解質系であり、もう1つは、フッ化物-酸化物電解質系、すなわち、RE2O3-REF3-LiF等の三元系であり、塩化希土類電解質系は、塩化物溶融塩の揮発性が高く、希土類金属の塩化物溶融塩における溶解度が大きいため、消費電力が高く、電流効率が低く、収率が低くなり、フッ化物-酸化物電解質系は、電流効率が高く、原料が安定しており、現在の溶融塩電解法の主な電解質系となっている。
【0003】
フッ化物-酸化物電解質系は、電解プロセス中に、原料の希土類酸化物が解離し、希土類陽イオン及び酸素陰イオンになり、直流電界の作用により、希土類陽イオンが陰極へ移動し、陰極で電子を得て希土類金属に還元され、酸素陰イオンが陽極へ移動し、陽極で電子を失って酸素を生成する。
【0004】
陰極は、通常、高価なタングステン金属で製造される。一方では、タングステン金属の密度が大きいため、従来のタングステン電極の質量が高くなり、他方では、タングステン電極の抵抗が高く、導電性が低いため、タングステン電極での消費電力量が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法を提供することにあり、本発明が提供するタングステン電極は、軽量で、優れた導電性を有し、タングステン電極での消費電力量を低減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、希土類溶融塩電解用タングステン電極を提供し、開口タングステンハウジング及び銅合金を含み、
前記銅合金は、前記開口タングステンハウジング内に位置し、
前記銅合金の側壁と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層が設置され、
前記銅合金の底部は、前記開口タングステンハウジングの内底部と接触する。
【0008】
好ましくは、前記銅合金は、銅-バナジウム合金及び/又は銅-ニオブ合金を含む。
【0009】
好ましくは、前記銅-バナジウム合金中のバナジウムの質量パーセント含有量は5~15%であり、
前記銅-ニオブ合金中のニオブの質量パーセント含有量は3~20%である。
【0010】
好ましくは、前記開口タングステンハウジングの外径は65~120mmであり、内径は40~70mmであり、
前記開口タングステンハウジングの底部の厚さは10~20mmである。
【0011】
好ましくは、前記銅合金の直径は20~60mmであり、
前記タングステンバッファ層の厚さは3~8mmである。
【0012】
好ましくは、前記開口タングステンハウジングの密度は18g/cm3以上であり、
前記タングステンバッファ層の密度は12~14g/cm3である。
【0013】
本発明はさらに、銅合金を前記開口タングステンハウジング内に配置し、前記銅合金と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステン粉末を添加し、プレスして電極ブランクを得るステップと、前記銅合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合うステップと、
前記電極ブランクを鍛造して、前記希土類溶融塩電解用タングステン電極を得るステップとを含む、上記技術的解決手段に記載の希土類溶融塩電解用タングステン電極の製造方法を提供する。
【0014】
好ましくは、前記プレスの圧力は50~80MPaであり、時間は2~5hである。
【0015】
好ましくは、前記鍛造の温度は1000~1500℃である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、希土類溶融塩電解用タングステン電極を提供し、開口タングステンハウジング及び銅合金を含み、前記銅合金は、前記開口タングステンハウジング内に位置し、前記銅合金の側壁と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層が設置され、前記銅合金の底部は、前記開口タングステンハウジングの内底部と接触する。本発明は、銅合金をタングステン電極の芯体とし、一部のタングステン金属を代替し、タングステン電極全体の質量を低減させることができるとともに、タングステン電極の導電性をさらに向上させ、タングステン電極での消費電力量を低減させることができ、同時に、銅合金とタングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層を設置することで、実際の使用における銅合金の線膨張によるタングステンハウジングへの破壊を回避し、タングステン電極全体の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が提供する希土類溶融塩電解用タングステン電極の断面の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、希土類溶融塩電解用タングステン電極を提供し、開口タングステンハウジング及び銅合金を含み、
前記銅合金は、前記開口タングステンハウジング内に位置し、
前記銅合金の側壁と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層が設置され、
前記銅合金の底部は、前記開口タングステンハウジングの内底部と接触する。
【0019】
本発明が提供する希土類溶融塩電解用タングステン電極の断面の構造概略図は、
図1に示すとおりであり、ここで、1は銅合金、2は開口タングステンハウジング、3はタングステンバッファ層である。
【0020】
本発明において、前記銅合金は、好ましくは、銅-バナジウム合金及び/又は銅-ニオブ合金を含む。
【0021】
本発明において、前記銅合金の純度は、好ましくは99.9%より大きい。本発明において、前記銅-バナジウム合金中のバナジウムの質量パーセント含有量は、好ましくは5~15%、さらに好ましくは8~13%、より好ましくは10~12%である。本発明において、前記銅-ニオブ合金中のニオブの質量パーセント含有量は、好ましくは3~20%、さらに好ましくは5~18%、より好ましくは10~15%である。本発明において、前記銅合金の成分は均一であり、偏析及び介在現象がない。
【0022】
本発明において、前記銅合金の直径は、好ましくは20~60mm、さらに好ましくは25~55mm、より好ましくは30~50mmである。
【0023】
本発明において、前記銅合金の長さは、好ましくは、前記開口タングステンハウジングのキャビティの長さと同じである。
【0024】
本発明において、前記開口タングステンハウジングの外径は、好ましくは65~120mmであり、内径は、好ましくは40~70mmである。本発明において、前記開口タングステンハウジングの長さは、好ましくは700~1100mmである。本発明において、前記開口タングステンハウジングの底部の厚さは、好ましくは10~20mm、さらに好ましくは12~18mm、より好ましくは13~15mmである。
【0025】
本発明において、前記開口タングステンハウジングは、好ましくは製造により得られる。本発明において、前記開口タングステンハウジングの製造方法は、好ましくは、
タングステン粉末を金型に入れて成形し、得られたモデルを順次プレス、焼結及び鍛造して、前記開口タングステンハウジングを得るステップを含む。
【0026】
本発明において、前記タングステン粉末の純度は、好ましくは99%より大きい。本発明において、前記タングステン粉末の粒度D50は、好ましくは6μmである。本発明において、前記成形のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。
【0027】
本発明において、前記プレスの圧力は、好ましくは200~240MPa、さらに好ましくは210~230MPa、より好ましくは220MPaであり、時間は、好ましくは22~24h、さらに好ましくは23hである。本発明において、前記プレスは、好ましくは、静水圧プレスで行われる。本発明において、前記プレスのプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。
【0028】
本発明において、前記焼結は、好ましくは、水素雰囲気中で行われる。本発明において、前記焼結の温度は、好ましくは2200~2350℃、さらに好ましくは2250~2300℃であり、前記焼結の温度まで昇温する昇温速度は、好ましくは10~12℃/minであり、保温時間は、好ましくは18~22h、さらに好ましくは19~21h、より好ましくは20hである。前記焼結が完了した後、本発明はまた、好ましくは、得られた製品を冷却することを含む。本発明において、前記冷却の方法は、好ましくは、水素雰囲気中で室温まで自然冷却するものである。本発明において、前記焼結は、好ましくは、雰囲気焼結炉で行われる。
【0029】
本発明において、前記鍛造の温度は、好ましくは1300~1500℃、さらに好ましくは1350~1450℃、より好ましくは1400℃である。本発明において、前記鍛造のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。
【0030】
前記鍛造が完了した後、本発明はまた、好ましくは、得られた製品を矯正及び研磨することを含む。本発明において、前記矯正のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。本発明において、前記研磨のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて、前記製品の厚さ公差を0.1~0.5mmに制御すればよい。
【0031】
本発明において、前記開口タングステンハウジングの密度は、好ましくは18g/cm3以上である。
【0032】
本発明において、前記タングステンバッファ層の厚さは、好ましくは3~8mm、さらに好ましくは4~7mm、より好ましくは5~6mmである。本発明において、前記タングステンバッファ層の密度は、好ましくは12~14g/cm3、さらに好ましくは13g/cm3である。本発明において、前記タングステンバッファ層は、実際の使用における銅合金の線膨張によるタングステンハウジングへの破壊を回避し、タングステン電極全体の安定性を向上させることができる。
【0033】
本発明はまた、銅合金を前記開口タングステンハウジング内に配置し、前記銅合金と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステン粉末を添加し、プレスして電極ブランクを得るステップと、前記銅合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合うステップと、
前記電極ブランクを鍛造して、前記希土類溶融塩電解用タングステン電極を得るステップとを含む、上記技術的解決手段に記載の希土類溶融塩電解用タングステン電極の製造方法を提供する。
【0034】
本発明において、特に断りのない限り、すべての原料は、当業者によく知っている市販製品である。
【0035】
本発明は、銅合金を前記開口タングステンハウジング内に配置し、前記銅合金と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステン粉末を添加し、プレスして電極ブランクを得、前記銅合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合う。
【0036】
本発明において、前記タングステン粉末は、上記の技術的解決手段に記載のタングステン粉末と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0037】
本発明において、前記プレスの圧力は、好ましくは50~80MPa、さらに好ましくは55~75MPa、より好ましくは60~70MPaであり、時間は、好ましくは2~5h、さらに好ましくは3~4hである。本発明において、前記プレスは、好ましくは、静水圧プレスで行われる。本発明において、前記プレスのプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。
【0038】
本発明は、前記電極ブランクを得た後、前記電極ブランクを鍛造して、前記希土類溶融塩電解用タングステン電極を得る。
【0039】
本発明において、前記鍛造の温度は、好ましくは1000~1500℃、さらに好ましくは1100~1400℃、より好ましくは1200~1300℃である。本発明において、前記鍛造のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。
【0040】
前記鍛造が完了した後、本発明はまた、好ましくは、得られた製品を矯正及び研磨することを含む。本発明において、前記矯正のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて行えばよい。本発明において、前記研磨のプロセスは特に限定されず、当業者によく知っているプロセスを用いて、前記製品の厚さ公差を0.03~0.1mmに制御すればよい。
【0041】
本発明をさらに説明するために、以下では図面及び実施例を参照して、本発明が提供する希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0042】
実施例1
【0043】
タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を金型に入れて成形し、得られたモデルを静水圧プレスに入れ、220MPaで22hプレスし、得られたブランクを雰囲気焼結炉に入れ、水素雰囲気中で12℃/minの昇温速度で2300℃まで昇温して焼結し、22h保温し、焼結が完了した後、水素雰囲気中で室温まで自然冷却し、その後、1500℃まで加熱して鍛造し、鍛造が完了した後、得られた物品を矯正及び研磨して(厚さ公差を0.1~0.5mmに制御する)、開口タングステンハウジング(密度は18.1g/cm3、外径は84mm、長さは800mm、肉厚は15mm、底部の厚さは20mmである)を得た。
【0044】
長さが780mm、直径が44mmの銅-バナジウム合金(純度が99.9%より大きく、バナジウムの質量パーセント含有量が8%である)を開口タングステンハウジング(銅-バナジウム合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合う)に配置し、タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を前記銅合金と前記タングステンハウジングとの間に5mmの厚さで添加し、その後、静水圧プレスに入れ、60MPaで3hプレスして、電極ブランクを得た。
【0045】
電極ブランクを1350℃で鍛造した後、矯正及び研磨して(厚さ公差を0.03~0.1mmに制御する)、タングステン電極(直径は80mm、長さは800mm、タングステンバッファ層の密度は13g/cm3である)を得た。
【0046】
実施例2
【0047】
タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を金型に入れて成形し、得られたモデルを静水圧プレスに入れ、230MPaで20hプレスし、得られたブランクを雰囲気焼結炉に入れ、水素雰囲気中で12℃/minの昇温速度で2300℃まで昇温して焼結し、23h保温し、焼結が完了した後、水素雰囲気中で室温まで自然冷却し、その後、1500℃まで加熱して鍛造し、鍛造が完了した後、得られた物品を矯正及び研磨して(厚さ公差を0.1~0.5mmに制御する)、開口タングステンハウジング(密度は18.0g/cm3、外径は105mm、長さは930mm、肉厚は18mm、底部の厚さは20mmである)を得た。
【0048】
長さが910mm、直径が57mmの銅-ニオブ合金(純度が99.9%より大きく、ニオブの質量パーセント含有量が10%である)を開口タングステンハウジング(銅-ニオブ合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合う)に配置し、タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を前記銅合金と前記タングステンハウジングとの間に6mmの厚さで添加し、その後、静水圧プレスに入れ、70MPaで5hプレスして、電極ブランクを得た。
【0049】
電極ブランクを1400℃で鍛造した後、矯正及び研磨して(厚さ公差を0.03~0.1mmに制御する)、タングステン電極(直径は100mm、長さは930mm、タングステンバッファ層の密度は14g/cm3である)を得た。
【0050】
実施例3
【0051】
タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を金型に入れて成形し、得られたモデルを静水圧プレスに入れ、220MPaで22hプレスし、得られたブランクを雰囲気焼結炉に入れ、水素雰囲気中で10℃/minの昇温速度で2200℃まで昇温して焼結し、22h保温し、焼結が完了した後、水素雰囲気中で室温まで自然冷却し、その後、1500℃まで加熱して鍛造し、鍛造が完了した後、物品を矯正及び研磨して(厚さ公差を0.1~0.5mmに制御する)、開口タングステンハウジング(密度は18.2g/cm3、外径は78mm、長さは750mm、肉厚は14mm、底部の厚さは15mm)を得た。
【0052】
長さが735mm、直径が42mmの銅-ニオブ合金(純度が99.9%より大きく、ニオブの質量パーセント含有量が8%である)を開口タングステンハウジング(銅合金の中心軸が前記開口タングステンハウジングの中心軸と重なり合う)に配置し、タングステン粉末(純度が99%より大きく、粒度D50が6μmである)を前記銅合金と前記タングステンハウジングとの間に4mmの厚さで添加し、その後、静水圧プレスに入れ、50MPaで2hプレスして、電極ブランクを得た。
【0053】
電極ブランクを1300℃で鍛造した後、矯正及び研磨して(厚さ公差を0.03~0.1mmに制御する)、タングステン電極(直径は75mm、長さは750mm、タングステンバッファ層の密度は12g/cm3である)を得た。
【0054】
性能試験
【0055】
試験例1
【0056】
実施例1~3で得られたタングステン電極の質量を表1に示す。
【0057】
表1 実施例1~3で得られたタングステン電極の質量
【0058】
表1から分かるように、本発明が提供するタングステン電極は、従来の純タングステン電極に比べて、同じ寸法での質量が大幅に低下した。
【0059】
試験例2
【0060】
実施例1~3で得られたタングステン電極の抵抗を試験し、得られた試験結果を表2に示す。
【0061】
表2 実施例1~3で得られたタングステン電極の抵抗
【0062】
表2から分かるように、本発明が提供するタングステン電極は、従来の純タングステン電極に比べて、同じ寸法での導電性が改善された。
【0063】
試験例3
【0064】
実施例1~3で得られたタングステン電極及び純タングステン電極を陰極とし、グラファイトを陽極とし、Pr(Nd)2O3-Pr(Nd)F3-LiFを電解質系とし、電解温度1100℃、電流強度6000~8000Aで、希土類溶融塩電解試験を行い、陰極電圧降下を試験し、得られた試験結果を表3に示す。
【0065】
表3 実施例1~3で得られたタングステン電極及び純タングステン電極の陰極電圧降下
【0066】
表3から分かるように、本発明が提供するタングステン電極は、従来の純タングステン電極に比べて、同じ寸法での電圧降下が下降した。
【0067】
上記実施例は本発明を詳細に説明したが、それは本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、進歩性なしに本実施例に基づいて他の実施例を取得することができ、これらの実施例はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0068】
1 銅合金、2 開口タングステンハウジング、3 タングステンバッファ層
【要約】
【課題】希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、希土類金属電解の技術分野に属し、具体的には、希土類溶融塩電解用タングステン電極及びその製造方法に関する。本発明は、希土類溶融塩電解用タングステン電極を提供し、開口タングステンハウジング及び銅合金を含み、前記銅合金は、前記開口タングステンハウジング内に位置し、前記銅合金の側壁と前記開口タングステンハウジングとの間にタングステンバッファ層が設置され、前記銅合金の底部は、前記開口タングステンハウジングの内底部と接触する。本発明は、銅合金をタングステン電極の芯体とし、一部のタングステン金属を代替し、タングステン電極全体の質量を低減させることができるとともに、タングステン電極の導電性をさらに向上させ、タングステン電極での消費電力量を低減させることができる。
【選択図】
図1