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  • 特許-車両の荷室構造 図1
  • 特許-車両の荷室構造 図2
  • 特許-車両の荷室構造 図3
  • 特許-車両の荷室構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】車両の荷室構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/01 20060101AFI20230913BHJP
   B60R 5/04 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B60R13/01
B60R5/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020074565
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021172116
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 綾規
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淑人
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2085970(KR,B1)
【文献】特開2019-026130(JP,A)
【文献】特表2000-512946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00 - 7/14
B60R 13/01 - 13/04
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室のデッキ側の荷室内側面を構成するデッキ側トリムと、
前記デッキ側トリムの上側に配置されてルーフ側の荷室内側面を構成するルーフ側トリムと、を含む車両の荷室構造であって、
前記デッキ側トリムは、
荷室内側面から荷室外側に向かって凹んだ凹部と、
前記凹部の荷室内側の下端から上方に突出したフックと、
前記フックの荷室外側で、前記凹部の底壁に形成された貫通穴と、を上部に備え、
ルーフ側トリムは、前記デッキ側トリムの前記凹部の前記底壁の荷室外側で前記貫通穴を覆うように下端から下方向に向かって延びる延長部を備えること、
を特徴とする車両の荷室構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の荷室構造であって、
前記デッキ側トリムは、前記凹部の下壁の荷室外側端に前記貫通穴につながる切欠き部が設けられており、
前記ルーフ側トリムは、前記延長部の下端に接続される折れ曲がり部を有し、
前記折れ曲がり部は、前記延長部の下端から荷室内側に折れ曲がり、先端部分が前記デッキ側トリムの前記貫通穴を通って前記凹部の下壁の上方に重なって、前記切欠き部を覆っていること、
を特徴とする車両の荷室構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の荷室構造であって、
前記デッキ側トリムは、前記凹部の上側に前記ルーフ側トリムに嵌合する嵌合部を有すること、
を特徴とする車両の荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷室の荷室内側面を構成するデッキ側トリムとルーフ側トリムで構成される車両の荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の荷室に買い物袋や荷物袋等を吊り下げるフックを設ける構造が提案されている。例えば、特許文献1には、デッキ側トリムに開口を設け、この開口にフックのハウジングをクリップ等で固定する構造が記載されている。
【0003】
また、特許文献2,3には、車室側面のルーフサイドインナに取付けブラケットを介してフックのケースを固定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-52316号公報
【文献】特開2003-226199号公報
【文献】特開2009-166544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1-3に記載された構造は、車両の内装部材に開口を設け、この開口にフックのケーシングを固定するものである。このため、構造が複雑で部品点数が多くなり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、簡便な構成で荷室の側面にフックを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両の荷室構造は、荷室のデッキ側の荷室内側面を構成するデッキ側トリムと、前記デッキ側トリムの上側に配置されてルーフ側の荷室内側面を構成するルーフ側トリムと、を含む車両の荷室構造であって、前記デッキ側トリムは、荷室内側面から荷室外側に向かって凹んだ凹部と、前記凹部の荷室内側の下端から上方に突出したフックと、前記フックの荷室外側で、前記凹部の底壁に形成された貫通穴と、を上部に備え、ルーフ側トリムは、前記デッキ側トリムの前記凹部の前記底壁の荷室外側で前記貫通穴を覆うように下端から下方向に向かって延びる延長部を備えること、を特徴とする
【0008】
このように、デッキ側トリムの凹部の下端に上側に突出したフックを設け、フックの荷室外側の凹部の底壁にフックと凹部とを一体で樹脂成形する際の型抜き用に設けられた貫通穴を、底壁の荷室外側からルーフ側トリムの延長部で覆う構成とするので、フックをデッキ側トリムと一体構造とすると共に、型抜き用の貫通穴からボデーのインナパネルが見えないようにして見栄えをよくすることができる。これにより、簡便な構成で荷室の側面にフックを構成することができる。
【0009】
本発明の車両の荷室構造において、前記デッキ側トリムは、前記凹部の下壁の荷室外側端に前記貫通穴につながる切欠き部が設けられており、前記ルーフ側トリムは、前記延長部の下端に接続される折れ曲がり部を有し、前記折れ曲がり部は、前記延長部の下端から荷室内側に折れ曲がり、先端部分が前記デッキ側トリムの前記貫通穴を通って前記凹部の下壁の上方に重なって、前記切欠き部を覆ってもよい。
【0010】
このように、折れ曲がり部の先端部分が凹部の下壁の上側に重なって切欠き部を覆うので、荷室内から切欠き部を通してボデーのインナパネルが見えないようにできる。これにより、凹部の見栄えを向上させることができる。
【0011】
本発明の車両の荷室構造において、前記デッキ側トリムは、前記凹部の上側に前記ルーフ側トリムに嵌合する嵌合部を有してもよい。
【0012】
これにより、フックに荷物を吊り下げた場合に荷物の荷重によりデッキ側トリムが荷室内側に倒れないようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、簡便な構成で荷室の側面にフックを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の車両の荷室構造を示す斜視図である。
図2図1に示すデッキ側トリムに設けられたフック部分の詳細を示す斜視図である。
図3図2に示すA-A断面図である。
図4図2に示すA-A断面の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施形態の荷室構造100について説明する。図1に示すように、荷室構造100は荷室10のデッキ側トリム20とルーフ側トリム40とで構成される。なお、各図に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、車両60の前方向(進行方向)、上方向、右方向をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、車両後方向、下方向、左方向を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0016】
車両60の後部座席61とバックドア開口62との間には荷室10が設けられている。荷室10は、デッキ面を構成するデッキパネル11と、左右の荷室内側面12を構成するデッキ側トリム20及びルーフ側トリム40と、ルーフ面を形成するルーフパネル50とで区画されている。
【0017】
デッキ側トリム20は、左右の荷室内側面12のデッキ側の荷室内側面21を構成する樹脂製の一体成形パネル部材である。デッキ側トリム20の下端はデッキパネル11の車両幅方向の両端に接続されている。ルーフ側トリム40は、デッキ側トリム20の上側に配置されてデッキ側トリム20とルーフパネル50との間の左右のルーフ側の荷室内側面41を構成パネル部材である。ルーフ側トリム40の上端は、ルーフパネル50の車両幅方向の両端に接続されている。ルーフ側トリム40もデッキ側トリム20と同様、樹脂製の一体成形パネルである。デッキ側トリム20の上端29はルーフ側トリム40の下端42に接続されている。
【0018】
デッキ側トリム20の上部には、凹部22と、フック28とが設けられている。図2に示すように、凹部22は、荷室内側面21から荷室外側に向かって凹んだ角が丸い四角形状の窪みであり、上壁23と前後の側壁26と下壁24と底壁25とで構成されている。フック28の荷室外側の底壁25の中央部には、底壁25を貫通する貫通穴27が設けられている。貫通穴27は、凹部22とフック28とを一体で樹脂成形する際の型抜き用の穴である。また、凹部22の下壁24の荷室外側端には貫通穴27とつながる切欠き部24aが設けられている。
【0019】
フック28は、凹部22の下端である下壁24の表面から上方向に突出した板状部分である。図3に示すように、フック28は荷室内側面21から荷室内側に出っ張らないように構成されているので、物が引っかかることがなく見栄えが良くなっている。フック28の高さは凹部22の高さよりも低く、フック28の前後方向の幅は凹部22の前後方向の幅より短くなっている。このため、フック28の上側と前側と後側には空間ができている。このため、フック28の上から買い物袋の取手等を掛けて買い物袋をフック28から吊り下げることができる。
【0020】
図3に示すように、ルーフ側トリム40は、下端42から下方向に向かって延びる延長部43と、延長部43の下端に接続される折れ曲がり部44とを有している。延長部43は、下端42から凹部22の上壁23の荷室外側まで下方向に延びた後、荷室外側に折れ曲がる上側部43aと、上側部43aに接続されて凹部22の底壁25の荷室外側に沿って貫通穴27の下部まで延びる下側部43bとで構成されている。下側部43bは、凹部22の底壁25の荷室外側で貫通穴27を覆っている。
【0021】
折れ曲がり部44は、延長部43の下側部43bの下端から荷室内側に折れ曲がり、先端部分45がデッキ側トリム20の貫通穴27を通って凹部22の下壁24の上方に重なっている。これにより、折れ曲がり部44は、下壁24の切欠き部24aを覆い、荷室内から切欠き部24aを通してボデーのインナパネルが見えないようにしている。
【0022】
図4に示すように、デッキ側トリム20とルーフ側トリム40とはそれぞれ樹脂の一体成形パネルである。デッキ側トリム20は、上端29に設けられた係合部30をルーフ側トリム40の下端42に設けられた係合穴46に係合することによりルーフ側トリム40に固定される。図4に示すように、係合部30の先端を係合穴46に差し込んでいくと、係合部30の下部31が係合穴46の下側に配置されたクリップ47の上側に入り込み、図3に示すように、係合部30の上側に設けられた凸部32が係合穴46の荷室外側の面に係合する。これによって、デッキ側トリム20の上端29がルーフ側トリム40の下端42に固定される。
【0023】
このように、デッキ側トリム20の上端29がルーフ側トリム40の下端42に固定されるので、フック28に荷物を吊り下げた場合に荷物の荷重によりデッキ側トリム20が荷室内側に倒れないようにすることができる。
【0024】
以上説明したように、車両60の荷室構造100は、デッキ側トリム20の凹部22の下端に上側に突出したフック28を設け、フック28と凹部22とを一体で樹脂成形する簡便な構成で荷室内側面12にフック28を形成できる。また、フック28が荷室内側面21から荷室内側に出っ張らないので、物が引っかかることがなく、フック28の見栄え及び使い勝手が向上する。
【0025】
また、デッキ側トリム20を一体で樹脂成形する際の型抜き用の貫通穴27を、底壁25の荷室外側からルーフ側トリム40の延長部43で覆う構成としている。更に、ルーフ側トリム40の折れ曲がり部44の先端部分45が凹部22の下壁24の上側に重なって先端部分45が下壁24の切欠き部24aを覆うように構成している。これにより、荷室内から貫通穴27或いは切欠き部24aを通してボデーのインナパネルが見えないように構成して凹部22の見栄えの向上を図ることができる。また、凹部22の中に物が落ちた場合でも、物が切欠き部24aから下に落下してしまうことを抑制できる。
【0026】
このように、実施形態の車両60の荷室構造100は、簡便な構成で荷室内側面12にフック28を形成することが出来ると共に、フック28や凹部22の見栄え及び使い勝手の向上を図ることができる。
【0027】
以上の説明では、デッキ側トリム20は、延長部43と折れ曲がり部44とを有することとして説明したが、延長部43を貫通穴27の下端よりも下側まで延長して折れ曲がり部44を設けなくてもよい。この場合でも、貫通穴27を通してボデーのインナパネルが見えないようにして凹部22の見栄えが悪くならないようにできる。
【符号の説明】
【0028】
10 荷室、11 デッキパネル、12,21,41 荷室内側面、20 デッキ側トリム、22 凹部、23 上壁、24 下壁、24a 切欠き部、25 底壁、26 側壁、27 貫通穴、28 フック、29 上端、30 係合部、31 下部、32 凸部
40 ルーフ側トリム、42 下端、43 延長部、43a 上側部、43b 下側部、44 折れ曲がり部、45 先端部分、46 係合穴、47 クリップ、50 ルーフパネル、60 車両、61 後部座席、62 バックドア開口、100 荷室構造。
図1
図2
図3
図4