(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ピーク検出方法、装置、及び回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20230913BHJP
G01R 19/04 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
G01R19/04 B
(21)【出願番号】P 2020573109
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019038650
(87)【国際公開番号】W WO2020005796
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】マキシム ジェームズ フランケ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ライアン ハンシュケ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ アモロソ
(72)【発明者】
【氏名】ロザリオ ストラクアダイニ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-114993(JP,A)
【文献】特開平10-032977(JP,A)
【文献】特開2003-009534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
G01R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク検出器であって、
第1の入力端子と第1の出力端子とを有する第1のピークホールド回路であって、第1の時間間隔の間
に前記第1の入力端子における整流された入力電圧の第1のピークを判定し、前記第1の時間間隔と異なる第2の時間間隔の間
に前記整流された入力電圧の第2のピークを追跡する
ように構成される、前記第1のピークホールド回路
と、
第2の入力端子と第2の出力端子を有する第2のピークホールド回路であって、前記第2の時間間隔の間
に前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方を判定する
ように構成される、前記第2のピークホールド回路
と、
を含み、
前記第1の出力端子が前記第1のピーク
と前記第2のピーク
とを前記第2のピークホールド回路に搬送するために前記第2の入力端子に結合され、前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方が前記第2の出力端子において出力される、ピーク検出器。
【請求項2】
請求項1に記載のピーク検出器であって、
前記整流された入力電圧が閾値を満たすとき
に、前記第2の出力端子における前記第2のピークホールド回路の出力を前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力にセットする
ように構成される制御信号生成器を
更に含む、ピーク検出器。
【請求項3】
請求項2に記載のピーク検出器であって、
前記制御信号生成器が、前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力をリセットする
ように更に構成される、ピーク検出器。
【請求項4】
請求項2に記載のピーク検出器であって、
前記制御信号生成器が、
前記第2の時間間隔の間
に、前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力の複数のリセットを防止し、
前記第2の時間間隔の間
に、前記第2の出力端子における前記第2のピークホールド回路の出力への前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力の複数のセッティングを防止する
、
ように更に構成される、ピーク検出器。
【請求項5】
請求項2に記載のピーク検出器であって、
前記制御信号生成器が、
前記第2の時間間隔の間に、前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力がリセットされることを保証し、
第2の時間間隔の間に、前記第2の出力端子における前記第2のピークホールド回路の出力が前記第1の出力端子における前記第1のピークホールド回路の出力にセットされることを保証する
、
ように更に構成される、ピーク検出器。
【請求項6】
請求項1に記載のピーク検出器であって、
前記第1の時間間隔が前記整流された入力電圧の半波サイクルであり、前記整流された入力電圧が整流された交流信号である、ピーク検出器。
【請求項7】
請求項1に記載のピーク検出器であって、
前記第2の出力端子に結合され、前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方に基づいて力率改善回路を充電
、放電する
ように構成されるオン-オフコントローラを
更に含み、
前記整流された入力電圧が整流された交流電圧である、ピーク検出器。
【請求項8】
請求項1に記載のピーク検出器であって、
前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方に基づく利得を有する自動利得制御回路を
更に含み、
前記整流された入力電圧が整流された無線周波数電圧である、ピーク検出器。
【請求項9】
力率改善回路を制御する方法であって、
前記波形の第1のサイクル部の間
に波形の第1のピークを追跡すること
と、
前記波形の第2のサイクル部の間
に前記波形の第2のピークを追跡すること
と、
前記波形の第2のサイクル部の間
に前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方を追跡すること
と、
前記第1のピーク
と前記第2のピーク
との大きい方に基づいて力率改善回路を選択的に充電すること
と、
前記波形が閾値を満たすときに、前記第1のピークと前記第2のピークとの大きい方を追跡する第1のピークホールド回路の第1の出力を前記第2のピークを追跡する第2のピークホールド回路の第2の出力にセットすることと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第2のピークホールド回路の第2の出力をリセットすることを
更に含む、方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第2のサイクル部の間
に、前記第2のピークホールド回路の第2の出力への前記第1のピークホールド回路の第1の出力の複数のセッティングを防止すること
と、
前記第2のサイクル部の間
に、前記第2のピークホールド回路の第2の出力の複数のリセットを防止すること
と、
を
更に含む、方法。
【請求項12】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第2のサイクル部の間に、前記第1のピークホールド回路の第1の出力が前記第2のピークホールド回路の第2の出力にセットされることを保証すること
と、
前記第2のサイクル部の間に、前記第2のピークホールド回路の第2の出力がリセットされることを保証すること
と、
を
更に含む、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1のサイクル部が交流信号の半波サイクルである、方法。
【請求項14】
ピーク検出器であって、
第1の入力端子と第2の
出力端子とを有する第1のピークホールド回路と、
前記第
2の
出力端子に結合される第3の入力端子と、第4の出力端子とを有する第2のピークホールド回路であって、
第5の端子と第6の端子と第7の端子とを有する第1の演算増幅器であって、前記第5の端子が前記第3の入力端子に結合される、前記第1の演算増幅器と、
第8の端子と第9の端子とを有する第1のダイオードであって、前記第8の端子が前記第7の端子に結合され、前記第9の端子が前記第4の出力端子に結合される、前記第1のダイオードと、
第10の端子と第11の端子と第12の端子とを有する第1のスイッチであって、前記第10の端子が前記第7の端子と前記第8の端子とに結合され、前記第11の端子が前記第9の端子と前記第4の出力端子とに結合され、前記第12の端子が第1のリセット信号に結合される、前記第1のスイッチと、
第13の端子と第14の端子とを有する第1のコンデンサであって、前記第13の端子が前記第4の出力端子と前記第6の端子と前記第9の端子と前記第11の端子とに結合され、前記第14の端子が接地に結合される、前記第1のコンデンサと、
を含む、前記第2のピークホールド回路と、
を含む、ピーク検出器。
【請求項15】
請求項
14に記載のピーク検出器であって、
前記第1のピークホールド回路が、
第16の端子と第17の端子と第18の端子とを有する第2の演算増幅器であって、前記第16の端子が前記第1の入力端子に結合される、
前記第2の演算増幅器
と、
第19の端子と第20の端子とを有する第2のダイオードであって、前記第19の端子が前記第18の端子に結合され、前記第20の端子が前記第2の出力端子に結合される、
前記第2のダイオード
と、
第21の端子と第22の端子とを有する第2のコンデンサであって、前記第21の端子が前記第2の出力端子
と前記第17の端子
と前記第20の端子
とに結合され、前記第22の端子が接地に結合される、
前記第2のコンデンサ
と、
第23の端子と第24の端子と第25の端子とを有する第2のスイッチであって、前記第23の端子が前記第2の出力端子
と前記第21の端子
と前記第20の端子
とに結合され、前記第24の端子が接地に結合され、前記第25の端子が第2のリセット信号に結合される、
前記第2のスイッチ
と、
を含む、ピーク検出器。
【請求項16】
請求項
15に記載のピーク検出器であって、
論理回路
であって、
前記第1のリセット信号を提供するために前記第12の端子に結合される第1の出力を有する第1のパルス生成器
と、
前記第1の出力に結合される第1の入力と、前記第2のリセット信号を提供するために前記第25の端子に結合される第2の出力とを有する第2のパルス生成器
と、
を含む、前記論理回路を
更に含む、ピーク検出器。
【請求項17】
請求項
16に記載のピーク検出器であって、
前記論理回路が、前記第1のリセット信号のインスタンス
と前記第2のリセット信号のインスタンス
とを離間するために前記第1の入力に結合される第3の出力を有するブランキング回路を
更に含む、ピーク検出器。
【請求項18】
請求項
14に記載のピーク検出器であって、
第1のピーク
と第2のピーク
との大きい方に基づいて力率改善回路を充電
、放電する
ように構成されるオン-オフコントローラを
更に含む、ピーク検出器。
【請求項19】
請求項
14に記載のピーク検出器であって、
第1のピーク
と第2のピーク
との大きい方に基づく利得を有する自動利得制御回路を
更に含む、ピーク検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、ピーク検出器に関し、特に、ピーク検出方法、装置、及び回路に関する。
【背景技術】
【0002】
交流(AC)-直流(DC)コンバータのための力率改善(PFC)コントローラは、ACラインの電圧変化を補償するために、ACを整流したライン上のピーク電圧を検出し、出力電力段の充電時間を調整する。PFCの目標は、AC供給によって測定された電力消費を、DC負荷によって実際に消費された電力と一致させることである。PFCコントローラは、検出したピークを用いて、DC負荷に供給される電流をシェーピングし、そのため、DC負荷は、AC供給に対して実質的に現実(例えば、実質的に抵抗性)であるように見える。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示の教示に従って構成され及び例示の電力コンバータにおいて示される、ピーク検出器を有する例示のPFCコントローラを図示する。
【0004】
【
図2】
図1の例示のピーク検出器を実装するために用いられ得る例示のピーク検出器回路の図である。
【0005】
【
図3】
図2の例示の制御信号生成器回路のための例示の機械読み出し可能命令、例示のハードウェア実装の状態機械、又はハードウェア論理のフローチャートである。
【0006】
【
図4】
図2の例示のピーク検出器の例示の動作の間の信号を示すグラフである。
【0007】
【
図5】本開示の教示に従って構成されるピーク検出器を有する例示の自動利得制御(AGC)回路を図示する。
【0008】
【
図6】例示の無線周波数(RF)信号に対する
図5のAGC回路の例示の適用の間の信号を図示するグラフである。
【0009】
【
図7】
図2の例示のピーク検出器回路と共に用いられ得る別の例示のピーク検出器トポロジーの図である。
【0010】
概して、図面及び添付の明細書を通して、同じ又は同様の部分を指すために同じ参照番号が用いられる。提示される種々の図面に示される接続ライン又はコネクタは、種々の要素間の例示の機能的関係及び/又は物理的若しくは論理的結合を表すことが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ライン電圧変化を補償するためのAC-DC電力コンバータの電力段の充電時間の調整は、PFCのライン電圧フィードフォワードと呼ばれる。ライン電圧フィードフォワードの有効性は、ライン電圧のためのピーク検出の精度に強く依存する。例示のデジタル的解決策が、入力ライン電圧をデジタル化することによってピーク検出を行う。一旦、入力ライン電圧がデジタル的にキャプチャされると、フィードフォワード信号を判定するために、デジタルコンパレータ及びメモリレジスタが用いられ得る。従来のデジタル的解決策は複雑なものであり、重要なエリア、精度、複雑性等の要件を有する高解像度アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、低解像度非線形ADC、高忠実度サンプリング技法/回路、精密コンパレータ、デジタルデコーダ等に頼っている。付加的な従来の解決策は、入力ライン電圧を、パルス幅変調器(PWM)を制御するランプ信号に変換するために、複雑なフィルタを用いる。
【0012】
本願において、デジタル的でありフィルタベースの解決策の少なくとも欠陥及び複雑性を克服する、コスト効率のよいシンプルなライン電圧ピーク検出方法、装置、システム、及び回路が開示される。開示されるライン電圧ピーク検出方法、装置、システム、及び回路は、正のライン過渡現象を(例えば、それらが生じた際に)追跡し得、波サイクルの4分の3内で負のライン過渡現象を感知及び追跡し得る。4分の3波サイクルとは、或るゼロ交差と、次のゼロ交差に続くピークとの間にある、AC信号の部分を指す。開示される例は、正のライン過渡現象の形状及び特性を、例えば、全般に、詳細に、迅速に、瞬時に、実質的に、効果的に、本質的に追跡することによって、正のライン過渡現象を追跡し、偶発的な処理時間、偶発的な信号伝搬時間等を無視する。開示される方法、装置、システム、及び回路は、正のライン電圧過渡現象を補償し、負のライン電圧過渡現象の影響を減らし(例えば、最小化し)、及び/又は、全波サイクルの間に生じ得る非対称のピークを補償するAC-DCコンバータのための、正確で高速で高感度のライン電圧フィードフォワードを実現する。正のライン電圧過渡現象は、レギュレートされる出力に接続される電力段及び/又は回路における損傷となり得る。負のライン電圧過渡現象は、レギュレートされる出力の一層長いアンダーシュートとなり得るが、それらは損傷に関連しないので、概して一層許容されている。
【0013】
次に、非限定的な例を詳細に参照する。非限定的な例のいくつかは、添付の図面に図示される。
【0014】
図1は、例示のAC-DC電力変換回路102を有する例示の電力コンバータ100の図である。例示のAC-DC電力変換回路102は、例示のAC-DCコンバータ回路104及び例示のPFC回路106を含む。例示のPFC回路106は、入力端子106A及び出力端子106Bを有する。PFC回路106の入力端子106Aは、AC-DCコンバータ回路104の例示の整流器108の出力端子108Aに接続される(例えば、直接的に及び/又は間接的に結合される)。PFC回路106の出力端子106Bは、AC-DC電力変換回路がDC電力を供給している負荷110の端子110Aに接続される。負荷110の別の端子110Bは接地に接続される。
【0015】
図1の例示の整流器108は、AC-DC電力変換回路102の入力端子112A及び112B間のAC入力ライン電圧V
IN_LINE112を、整流器108の出力端子108A及び接地端子116間の整流された入力ライン電圧V
IN114(例えば、整流されたAC入力ライン電圧)に変換する。PFC回路106は、整流された入力ライン電圧V
IN114から、コンデンサ120の出力電圧V
OUT118を形成する。
【0016】
AC-DC電力変換回路102によって生成される出力電圧V
OUT118の品質を改善するために、
図1の例示の電力コンバータ100は、例示のPFCコントローラ122を含む。例示のPFCコントローラ122は、電力コンバータ100の力率を増加させるように、例示のPFC回路106を制御する。AC電力システムの力率は、有効電力(例えば、1ラインサイクルにわたってシステムにおいて入力される電力の平均値と定義される)と、皮相電力(例えば、電力システムに対する入力電圧RMS値と入力電流RMS値との積と定義される)との比を指し、0から1の閉区間における無次元数である。或る電力システムにおいて、伝送される使用可能電力の所与の量に対し、低い力率を有する負荷は、高い力率を有する負荷よりも大きな電流を引き込む。
【0017】
図1の例示のPFCコントローラ122は、正弦波であり及びAC入力電圧V
IN_LINE112と同相であるAC入力電流126を形成するために、可変デューティサイクルでPFC回路106のスイッチ124をオフ及びオンにする。AC入力電流126が正弦波であり、AC入力電圧V
IN_LINE112と同相であるとき、負荷110は、AC入力電圧V
IN_LINEのソース(例えば、電力会社)にとって純粋に真の負荷として現れ、それゆえ、電力は、高い力率で負荷110に提供され得る。いくつかの例において、例示のPFCコントローラ122は、一つ又は複数のアナログ回路を用いて実装される。
【0018】
動作において、PFCコントローラ122は、PFC回路106を二つの状態間で循環させる。第1の状態は、PFCコントローラ122がスイッチ124を閉じる(例えば、電界効果トランジスタ(FET)をオンにする)ときに生じる。この状態では、例示のインダクタ128が整流器108を介して励磁され、それにより、インダクタ128を介して流れる電流130が増加する。同時に、ダイオード132が(そのアノード端子132Aが接地に接続されるので)逆バイアスされ、それにより、エネルギーが、コンデンサ120によって負荷110に提供される。第2の状態において、PFCコントローラ122はスイッチ124を開く(例えば、FETをオフにする)。この状態では、インダクタ128は無励磁化し、インダクタ128がエネルギーを負荷110に供給するにつれて、及びコンデンサ120を再充電するために、インダクタ電流130は低減する。
【0019】
図1の例示のPFCコントローラ122は、上述の二つの状態間のPFC回路106の循環を制御する。これらの状態間を交互に循環させることは、一定である出力電圧V
OUT118を維持することによって電力コンバータ100の力率を制御し、及び、インダクタ電流130の平均とその後にAC入力電流126の平均とを制御する方式で、急速に(例えば、数十又は数百キロヘルツ(kHz)などの高周波数で)成される。
【0020】
インダクタ電流130が、第1の状態において増加し、第2の状態において低減するので、PFCコントローラ122がスイッチ124を開く及び閉じるデューティサイクルは、インダクタ128を介して流れるインダクタ電流130が低減している時間の量に対する、インダクタ128を介して流れるインダクタ電流130が増加している時間の量を判定する。スイッチ124が動作するデューティサイクルを変えることによって、PFCコントローラ122は、インダクタ電流130の平均を制御し得る。負荷110によって消費される予測される電流を追跡するためにインダクタ電流130の平均を制御することによって、力率及び全高周波歪み(THD)が著しく改善され得る。或る理想的なシステムにとって、インダクタ電流130は整流された正弦波であり、AC入力電流126は正弦波であり、インダクタ電流130及びAC入力電流126は互いに及びVIN_LINEに整合するように位相される。PFCの目的は、負荷の形状及び大きさを、AC入力電流126及びインダクタ電流130の位相整合に影響させないことである。例えば、DC負荷は「位相」を有さない。
【0021】
ピークを検出及び追跡し、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINの負の過渡現象(例えば、波形、信号等)を感知するために、
図1の例示のPFCコントローラ122はピーク検出器136を含む。
図2に関連して下記でより詳細に説明するように、例示のピーク検出器136は、ライン138上に出力電圧VPK_OUTを生成する。ピーク検出器136は、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINのピークを迅速に追跡し、AC入力ライン電圧V
IN_LINE112のラインサイクルの半波サイクル+4分の1に対応する時間間隔内で、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINの大きさの減少を追跡する。
【0022】
スイッチ124に対してライン140上に制御信号を生成するために、
図1の例示のPFCコントローラ122は、ピーク検出器136によって検出されるピークに基づいてライン140上に制御信号を生成する例示のスイッチオン-オフコントローラ142を含む。例示のスイッチオン-オフコントローラ142は、ライン140上に制御信号を、或るパルス幅PWを有するように生成する。このパルス幅PWは、
PW=ton_constant×COMP/VPK_OUT
2
として数学的に表現することができ、ここで、
・パルス幅PWは、秒単位の時間で測定され、
・ton_constantは、ボルト×秒単位のCOMP/VPK_OUT
2を秒単位の時間に変換する定数であり、
・COMPは、端子144上の電圧であり、
・ライン138上の出力電圧VPK_OUTは、ピーク検出器によって判定される。
一つのパルスから次のパルスまでの時間(スイッチング期間)は、PFCコントローラ122がどのように働くかに従って変わり得る。いくつかの例では、固定のスイッチング期間が、コントローラの内部の発振器(例えば、連続伝導モード(CCM)を実装するコントローラ)に基づく。異なる制御戦略が用いられる場合、スイッチング期間は、サイクル毎に変化し得る。例えば、遷移モード(TrM)において、スイッチ124は、インダクタ電流がゼロに減衰するときオンにされる。いくつかの例において、(例えば、PFCコントローラ122に対して内部の)誤差増幅器が、負荷110上の出力電圧VOUTに比例する電圧を、(例えば、PFCコントローラ122に対して内部の)基準と比較し、ライン上のVOUTに比例する電圧が基準を下回る場合にCOMPを増加させ、ライン上のVOUTに比例する電圧が基準を上回る場合にCOMPを低減させる。いくつかの例において、COMPは、ラインサイクルにわたって一定であると考えられ得るのに充分にゆっくりと変化される。
【0023】
電力コンバータ100を実装する例示の方式が
図1に図示される一方、
図1に図示される要素、プロセス、及び/又はデバイスの一つ又は複数が、任意のその他の方式で組み合わされ、分割され、再配置され、省かれ、なくされ、及び/又は、実装され得る。また、
図1の例示の電力コンバータ100は、
図1に図示されるものに加えて、又はそれらの代わりに、一つ又は複数の要素、プロセス、及び/又はデバイスを含み得、及び/又は、図示される要素、プロセス、及びデバイスの任意の一つ以上又は全てを含み得る。本願において用いられるように、「通信して」という表現は、その変形も含め、直接的通信、及び/又は、一つ又は複数の媒介構成要素を介する間接的通信を包含し、直接的な物理的(例えば、有線)通信及び/又は一定の通信を必要とせず、付加的に、周期的間隔、スケジュールされた間隔、非周期的間隔、及び/又は一度限りの事象における選択的通信を含む。
【0024】
図2は、
図1の例示のピーク検出器136を実装するために用いられ得る例示のピーク検出器200(例えば、ピーク検出器回路)の図である。ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINを追跡するために、例示のピーク検出器200は、例示のピーク検出器回路202及び204を含む。
図2の例示のピーク検出器回路202及び204は、パイプライン、シリアル等の構成において接続されるアナログピークホールド回路である。ピーク検出器回路202の出力端子202Aが、ピーク検出器回路204の入力端子204Aに接続される。
【0025】
図2の第1のピーク検出器回路202は、例示のアナログピークホールド回路を含み、アナログピークホールド回路は、電流半波サイクルに対するライン134上のピーク検出器入力電圧PDIN上の最も高いピークを、ライン206上の例示の電圧VPK_TRACKとして継続的に追跡する。例示のピーク検出器回路202は、例示の演算増幅器208を含み、演算増幅器208は、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINに接続される第1の入力端子208Aを有し、及び、例示のダイオード210の端子210Aに接続される出力端子208Bを有する。ダイオード210の別の端子210Bは、演算増幅器208の第2の入力端子208Cに接続され、例示のコンデンサCTRACK212の端子212Aに接続され、及び、ピーク検出器回路202の出力端子202Aに接続される。コンデンサCTRACK212の別の端子212Bが接地に接続される。スイッチ214の端子214Aが、ダイオード210の端子210Bに接続され、スイッチ214の第2の端子214Bが接地に接続される。
【0026】
例示のピーク検出器回路202は、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINの最も高いピークを、ライン206上の電圧VPK_TRACKとして追跡及びホールドする。スイッチ214の制御端子214Cに接続される、ライン216上の例示のリセット信号RESET_TRACKが、例示のスイッチ214を閉じるまで、ピークはホールドされ、それにより、例示のコンデンサCTRACK212を放電し、ライン206上の出力電圧VPK_TRACKを、例えば小さい値又は最小値(例えば、ゼロ)に、リセットする。追跡動作において、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINは、コンデンサCTRACK212を充電し、例示のダイオード210は、コンデンサCTRACK212が放電しないようにする。ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINがさらに増加する場合、コンデンサCTRACK212は一層高い電圧までさらに充電される。ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINが以前のピーク値を下回って低減する場合、コンデンサCTRACK212上の電圧は、以前のピーク値にとどまる。
【0027】
図2の第2のピーク検出器回路204は、(a)第1のピーク検出器回路202によって追跡される、電流半波電圧のライン206上のピークVPK_TRACKと、(b)第2のピーク検出器回路204によってライン218の電圧VPKとしてホールドされる、以前の半波サイクルのピークとの大きい方、大規模な方等を継続的に追跡する別の例示のアナログピークホールド回路である。例示のピーク検出器回路204は例示の演算増幅器220を含む。例示の演算増幅器220は、ピーク検出器回路204の入力端子204Aに接続される第1の入力端子220Aを有し、また、例示のダイオード222の端子222Aに接続される出力端子220Bを有する。ダイオード222の別の端子222Bが、演算増幅器220の第2の入力端子220Cに接続され、例示のコンデンサCOUT224の端子224Aに接続され、また、ピーク検出器回路204の出力端子204Bに接続される。コンデンサCOUT224の別の端子224Bが接地に接続される。スイッチ226の第1の端子226Aが、ダイオード222の端子222Bに接続され、スイッチ226の第2の端子226Bが、ダイオード222の端子222Aに接続される。
【0028】
半波ラインサイクル遷移において、スイッチ226の端子226Cに接続される、ライン230上のリセット信号RESET_VPKが、例示のスイッチ226を閉じ、それにより、例示のダイオード222をバイパスして、ライン206上の電圧VPK_TRACKが(ライン218上の電圧VPKより低い場合でも)、ライン218上の電圧VPKとしてバッファ及びホールドされることを可能にする。すなわち、ピーク検出器回路204のライン218上の出力電圧VPKは、ピーク検出器回路202のライン206上の出力電圧VPK_TRACKにセットされる。第2のピーク検出器回路204のためのライン230上のリセット信号RESET_VPKは、第1のピーク検出器回路202のためのライン216上のリセット信号RESET_TRACKより前に生じる。それにより、電流半波サイクルのためのライン206上のピーク電圧VPK_TRACKは、ライン206上の電圧VPK_TRACKが、第1のピーク検出器回路202においてリセットされる前に、第1のピーク検出器回路202から第2のピーク検出器回路204に、ライン218上の電圧VPKとして伝送される。ピーク検出器回路202及び204のための制御信号を生成するために、例示のピーク検出器200は例示の制御信号生成器回路232を含む。例示の制御信号生成器回路232は、リセット信号RESET_TRACK216とライン230上のリセット信号RESET_VPKとを生成する。
【0029】
ピーク検出器回路202及び204のリセットを開始するかどうかを判定するために、
図2の例示の制御信号生成器回路232は例示のコンパレータ234を含む。例示のコンパレータ234は、コンパレータ234の第1の入力234A上における、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINを、コンパレータ234の第2の入力234Bにおけるライン236上の閾値LINE_RESET_THRESHOLDと比較する。各半波サイクルの終わり付近で、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINは、ライン236上の閾値LINE_RESET_THRESHOLDより下に下がることによってライン236上の閾値LINE_RESET_THRESHOLDを公称的に(nominally)満たし、それにより、コンパレータ234によって、ライン238上の出力LOW_LINE_DETECT上に論理立ち上がりエッジを生じさせる。
【0030】
ライン236上のLINE_RESET_THRESHOLDの値は、ゼロ交差を検出するように選択される。また、及び/又は代替として、ライン236上のLINE_RESET_THRESHOLDの値は、例えば分圧器260によって生成されるライン138上の最新の出力電圧VPK_OUTに比例し得る(例えば、最新の出力電圧VPK_OUTの10パーセントであり得る)。ライン236上の比例閾値LINE_RESET_THRESHOLDを用いると、ピーク検出器200は、定常状態の間、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINのピークに比例する一定の時間において更新され、一層予想可能な挙動となる。
【0031】
ピーク検出器回路202及び204のリセットをいつ開始するかを判定するために、
図2の例示の制御信号生成器回路232は、例示のORゲート240、例示のタイマー242、及び例示のブランキング回路244を含む。ORゲート240は、コンパレータ234によるライン238上の出力LOW_LINE_DETECTの論理OR及びタイマー242の出力246を計算する。ライン238上の出力LOW_LINE_DETECTが論理高であるとき、或いは、タイマー242の出力246が、タイマー242が満了したことを示す論理高であるとき、ORゲート240の出力248は論理高である。いくつかの例において、公衆の交流電源(public mains)のための最大ライン期間は21.3ミリ秒(ms)であり、タイマー242は、最大ラインの半分の期間より長い時間期間をカウントする。従って、図示される例において、タイマー242は、ピーク検出器回路202及び204が少なくとも12ミリ秒(12ms)毎にリセットされることを保証する。いくつかの応用例において、入力AC電圧が異なる期間を有し得(例えば、飛行機では、期間は概ね2.5msである)、それゆえこの場合、タイマー242のために一層短い時間(例えば、2.6ms)が選択され得る。
【0032】
ブランキング間隔(例えば、ブランキング回路244のライン250上の出力の論理低部分)の間、ピーク検出器回路202及び204は、リセットされることが防止される。ライン250上の出力上の論理低は、論理ANDゲート254の出力252が論理低から論理高に遷移することを防止する。ブランキング間隔は、ピーク検出器回路202及び204のリセットが近接し過ぎて生じることを防止する。ブランキング間隔の終わりにおいて、ライン238上のLOW_LINE_DETECTが論理高である場合、或いは、タイマー242が満了した場合、論理立ち上がりエッジが論理ANDゲート254の出力252上に生じる。論理ANDゲート254の出力上の論理立ち上がりエッジはタイマー242をリセットする。
【0033】
ライン216上にリセット信号RESET_TRACK及びライン230上にリセット信号RESET_VPKをつくるために、例示の制御信号生成器回路232は、第1の例示のパルス生成器256(例えば、立ち上がりエッジ単安定パルサー)及び第2のパルス生成器258(例えば、立ち下がりエッジ単安定パルサー)を含む。立ち上がりエッジが論理ANDゲート254の出力252上で生じるとき、パルス生成器256が、ライン230上のリセット信号RESET_VPKを高にセットし、それにより、時間2の持続時間の間スイッチ226を閉じ、これが、ライン218上の電圧VPKを、ライン206上の電圧VPK_TRACKと等しくセットする。論理立ち下がりエッジが、ライン230上のリセット信号RESET_VPK上で生じるとき、第2のパルス生成器258がライン214上のリセット信号RESET_TRACKを高にセットし、それにより、時間1の持続時間の間スイッチ214を閉じ、これが、ライン206上の電圧VPK_TRACKをゼロにリセットする。
【0034】
例示のハードウェア論理、ハードウェア実装の状態機械、及び/又は、
図2の制御信号生成器回路232を実装するためのそれらの任意の組み合わせを表すフローチャートを
図3に示す。例示のハードウェア論理、ハードウェア実装の状態機械が
図3に図示されるフローチャートを参照して説明されるが、例示の制御信号生成器回路232を実装する多くのその他の方法が代替として用いられ得る。例えば、ブロックの実行順が変更され得、及び/又は、説明されるブロックのいくつかが、変更され、なくされ、又は組み合わされ得る。また、及び/又は代替として、ブロックの任意のもの又は全てが、一つ又は複数のハードウェア回路(例えば、ディスクリート及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路要素、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンパレータ、演算増幅器(オペアンプ)、論理回路等)、プロセッサによって実装され得る。
【0035】
図3の例示のハードウェア実装の状態機械は、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINが閾値を満たして(例えば、ライン236上の閾値LINE_RESET_THRESHOLDより下に下がり)、ライン238上の出力LOW_LINE_DETECT上に立ち上がりエッジを生じさせること(ブロック302)、又はタイマー242(例えば、12msタイマー)が満了すること(ブロック304)で始まる。(例えば、ORゲート240によって判定される)これらの二つの事象のうち最初の方が、(例えば、ブランキング回路244によって判定される)ブランキング間隔の間に生じる場合(ブロック306)、その最初の方は無視され、他方の事象を待つ。
【0036】
二つの事象のうちの最初の方がブランキング間隔(例えば、12ms)外で生じる場合、ピーク検出器202及び204のリフレッシュシーケンスが実施される。例示のパルス生成器256(例えば、立ち上がりエッジ単安定パルサー)は、ライン230上のリセット信号RESET_VPKを高にセットし、それにより、時間2の持続時間(例えば、4ms)の間(ブロック310)スイッチ226を閉じ(ブロック308)、これが、ライン218上の電圧VPKを、ライン206上の電圧VPK_TRACKと等しくセットする(ブロック316)。スイッチ226が閉じられると、次のブランキング時間が開始され(ブロック312)、タイマー242(例えば、12msタイマー)がリセットされる(ブロック314)。別のパルス生成器258(例えば、パルス生成器256のリセットによってトリガされる立ち下がりエッジ単安定パルサー)がライン214上の信号RESET_TRACKを高にセットし、それにより、時間1の持続時間(例えば、4ms)の間(ブロック320)、スイッチ214を閉じ(ブロック318)、これが、ライン206上の電圧VPK_TRACKをゼロにリセットする。時間1が経過した後(ブロック320)、ライン214上の信号RESET_TRACKがリセットされ、それにより、スイッチ214を開く(ブロック322)。スイッチ214を開くことでリフレッシュシーケンスが完了する。
【0037】
ライン206上のVPK_TRACKが最小値まで放電されることを可能にするために、時間1は充分な長さ(例えば、4ms)であるように選択され、スイッチ214の出力は充分強くなければならない。ライン218上の電圧VPKをライン206上の電圧VPK_TRACKにセットするために、時間2は充分な長さ(例えば、4ms)であるように選択され、スイッチ226の出力は充分強くなければならない。
【0038】
ブランキング間隔の期間(例えば、12ms)は、半波サイクルの間、ピーク検出器回路202及び204の複数のリセット、複数のセット、複数の更新等を防止して、リセット、セット、更新等のインスタンスを離間するために充分な長さであるように選択される。
【0039】
ゼロ交差が検出されない場合、タイマー242は、ピーク検出器回路202及び204の少なくとも一つの更新が各半波サイクルの間に生じることを保証する。ゼロ交差が検出されたとき、タイマー242は、第2のリフレッシュシーケンスをトリガすることを回避する。
【0040】
ピーク検出器200の例示の動作を
図4の例示のグラフを参照して説明する。
図4の図示される例を、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINの5つの半波サイクル402、404、406、408、及び410を参照して説明する。例示の半波サイクル402において、ライン206上の電圧VPK_TRACK及びライン138上の電圧VPK_OUTは、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINを追跡する。ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINが、閾値LINE_RESET_THRESHOLDより下に下がるとき(円412を参照)、ライン206上の電圧VPK_TRACKは、半波サイクル404において用いるため、長さ時間1の第1の間隔414の間、ライン138上の電圧VPK_OUTに伝送され、ライン206上の電圧VPK_TRACKは、長さ時間2の第2の間隔416の間、ゼロにリセットされる。
【0041】
半波サイクル406において、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINは、前の半波サイクル402及び404より大きいピークを有する。ライン206上の電圧VPK_TRACKとライン138上の電圧VPK_OUTの両方が、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINを瞬時に追跡し、それゆえ、電力コンバータ100に対する如何なる回路損傷も防止する。
【0042】
半波サイクル408に示すように、ライン206上の電圧VPK_TRACKは、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINが半波サイクル406におけるほど大きくなくても、半波サイクル408の間にわたってホールドされる。これは、ライン134上のピーク検出器入力電圧PDINが任意の更なる正の過渡現象を有する場合、電力コンバータ100に対する如何なる回路損傷も防止することを助ける。
【0043】
本願において開示される例示のピーク検出器は、本開示の教示に従って波形のピークを知ること又は推測することが有益であるその他の応用例においても用いられ得る。例えば、振幅変調された波形の包絡線の検出や、ライン電圧又はピーク(RMS)モニタリングが行われる太陽熱及び風力発電などのインバータ応用例である。
【0044】
図5は、例えば、
図2~
図4に関連して開示されるような例示のピーク検出器502を有する、例示のAGC回路500を図示する。
図5の例示のピーク検出器502は、ライン504上の受信信号のピークを追跡し、
図2のライン138上の例示の電圧VPK_OUTとしてピークを出力する。例示のコンパレータ506が、ライン138上の電圧VPK_OUTを、ライン508上のターゲットVPEAK_TARGETと比較する。ライン510上のコンパレータ506の出力が、受信増幅器512の利得を制御するために用いられる。
【0045】
図6は、RF信号への、
図5の自動利得制御回路500の例示の適用を示すグラフである。
図6の例において、受信RF信号602は、時間606において増加したピーク振幅604を有する。上述したように、ピーク検出器502は、受信信号602のピーク振幅604の増加を迅速に追跡する。受信信号602のピーク振幅604の増加に応答して、受信増幅器512の利得608が低下し、それにより、利得制御信号610を概ね均一であるように調整する。いくつかの例において、RF応用例に対し、ピークの10パーセントではなく、ゼロ交差が用いられる。
【0046】
演算増幅器208、220、ダイオード210、222、及びコンデンサ212、224を含む例示のピーク検出器トポロジーを
図2に示したが、他のピーク検出器トポロジーが用いられてもよい。
図7は、第1のピーク検出器回路202及び/又は第2のピーク検出器回路204を実装するために用いられ得る別の例示のピーク検出器トポロジーを図示する。また、及び/又は代替として、第1のピーク検出器回路202及び/又は第2のピーク検出器回路204は、異なるピーク検出器トポロジーを実装し得る。
【0047】
図7の例示のピーク検出器トポロジーは、演算増幅器704の出力に基づいて、オープンドレインPMOSデバイス708のゲート電圧を変える。入力電圧706が出力電圧702より大きいとき、演算増幅器704はオープンドレインPMOSデバイスをオンにし、それにより、コンデンサ710を充電する。入力電圧706が出力電圧702より小さいとき、演算増幅器704はオープンドレインPMOSデバイスをオフにし、それにより、コンデンサ710の出力電圧702を維持する。
【0048】
本願において、「含む(including、comprising)」(及びその全ての変化形及び時制)は、非限定的な用語であるように用いられる。それゆえ、特許請求の範囲が、「含む」の任意の変化形(例えば、含む(comprises)、(includes)、(comprising)、(including)、有する(having)等)を、プリアンブルとして又は任意の種類の請求項の記載において用いる場合、対応する請求項又は記載の範囲から逸脱することなく、付加的な要素、用語等が存在し得ることを理解すべきである。本願において用いられるように、「少なくとも」という表現は、例えば、或る請求項のプリアンブルにおいて移行句として用いられる場合、「含む」という用語が非限定的な用語であるのと同様に非限定的である。例えば、A、B、及び/又はCといった形態で用いられる場合の「及び/又は」という用語は、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AとB、(5)AとC、(6)BとC、及び(7)AとBとCなど、A、B、Cの任意の組み合わせ又はサブセットを指す。
【0049】
上記から、力率改善のためのピーク検出を行う、例示の方法、装置、及び回路を開示してきたことが理解されよう。開示された方法、装置、及び回路は、アナログ-デジタル変換、ディスクリートコンパレータ、複合スイッチネットワーク、複合スイッチ制御をなくすことによって、力率改善の効率を高める。全く対照的に、開示した例は、二つの半波ピーク-ホールド検出器及びシンプルな制御論理のみを必要とする。
【0050】
例示のピーク検出方法、装置、システム、及び回路が本願において開示される。それらの更なる例及びその組み合わせは、少なくとも下記を含む。
【0051】
例1は、第1のピークホールド回路と第2のピークホールド回路を含むピーク検出器である。第1のピークホールド回路は、第1の入力端子と第1の出力端子とを有し、第1の時間間隔の間、第1の入力端子における整流された入力電圧の第1のピークを判定し、第2の時間間隔の間、整流された入力電圧の第2のピークを追跡する。第2の時間間隔は第1の時間間隔とは異なる。第2のピークホールド回路は、第2の入力端子と第2の出力端子とを有し、第2の時間間隔の間、第1のピーク及び第2のピークの大きい方を判定する。第1の出力端子は、第1のピーク及び第2のピークを第2のピークホールド回路に搬送するために第2の入力端子に結合され、第1のピーク及び第2のピークの大きい方が第2の出力端子において出力される。
【0052】
例2は、制御信号生成器をさらに含む、例1のピーク検出器である。制御信号生成器は、整流された入力電圧が閾値を満たすとき、第2の出力端子における第2のピークホールド回路の出力を、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力にセットする。
【0053】
例3は、制御信号生成器が、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力をリセットするためのものである、例2のピーク検出器である。
【0054】
例4は、制御信号生成器が、第2の時間間隔の間、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力の複数のリセットを防止し、第2の時間間隔の間、第2の出力端子における第2のピークホールド回路の出力への、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力の複数のセッティングを防止するためのものである、例2のピーク検出器である。
【0055】
例5は、制御信号生成器が、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力が、第2の時間間隔の間リセットされることを保証し、第2の出力端子における第2のピークホールド回路の出力が、第2の時間間隔の間、第1の出力端子における第1のピークホールド回路の出力にセットされることを保証するためのものである、例2のピーク検出器である。
【0056】
例6は、第1の時間間隔が、整流された入力電圧の半波サイクルであり、整流された入力電圧が、整流された交流信号である、例1のピーク検出器である。
【0057】
例7は、第2の出力端子に結合されるオン-オフコントローラをさらに含み、整流された入力電圧が、整流された交流電圧である、例1のピーク検出器である。オン-オフコントローラは、第1のピーク及び第2のピークの大きい方に基づいて力率改善回路を充電及び放電するためのものである。
【0058】
例8は、第1のピーク及び第2のピークの大きい方に基づく利得を有する自動利得制御回路をさらに含み、整流された入力電圧が、整流された無線周波数電圧である、例1のピーク検出器である。
【0059】
例9は、力率改善回路を制御する方法であり、この方法は、波形の第1のサイクル部の間、波形の第1のピークを追跡すること、波形の第2のサイクル部の間、波形の第2のピークを追跡すること、及び、波形の第2のサイクル部の間、第1のピーク及び第2のピークの大きい方を追跡し、第1のピーク及び第2のピークの大きい方に基づいて力率改善回路を選択的に充電することを含む。
【0060】
例10は、波形が閾値を満たすとき、第1のピーク及び第2のピークの大きい方を追跡する第1のピークホールド回路の第1の出力を、第2のピークを追跡する第2のピークホールド回路の第2の出力にセットすることをさらに含む、例9の力率改善回路を制御する方法である。
【0061】
例11は、第2のピークホールド回路の第2の出力をリセットすることをさらに含む、例10の力率改善回路を制御する方法である。
【0062】
例12は、第2のサイクル部の間、第2のピークホールド回路の第2の出力への、第1のピークホールド回路の第1の出力の複数のセッティングを防止し、第2のサイクル部の間、第2のピークホールド回路の第2の出力の複数のリセットを防止することをさらに含む、例10の力率改善回路を制御する方法である。
【0063】
例13は、第1のピークホールド回路の第1の出力が、第2のサイクル部の間、第2のピークホールド回路の第2の出力にセットされることを保証し、第2のピークホールド回路の第2の出力が、第2のサイクル部の間リセットされることを保証することをさらに含む、例10の力率改善回路を制御する方法である。
【0064】
例14は、第1のサイクル部が交流信号の半波サイクルである、例9の波形において力率改善回路を制御する方法である。
【0065】
例15は下記を含むピーク検出器である。
【0066】
例15のピーク検出器は、
第1の入力端子と第2の入力端子とを有する第1のピークホールド回路、及び、
第1の入力端子に結合される第3の入力端子と、第4の出力端子とを有する第2のピークホールド回路、
を含む。
第2のピークホールド回路は、
第5の端子と、第6の端子と、第7の端子とを有する第1の演算増幅器であって、第5の端子が第3の入力端子に結合される、第1の演算増幅器、
第8の端子と第9の端子とを有する第1のダイオードであって、第8の端子が第7の端子に結合され、第9の端子が第4の出力端子に結合される、第1のダイオード、
第10の端子と、第11の端子と、第12の端子とを有する第1のスイッチであって、第10の端子が第7の端子及び第8の端子に結合され、第11の端子が第9の端子及び第4の出力端子に結合され、第12の端子が第1のリセット信号に結合される、第1のスイッチ、及び、
第13の端子と第14の端子とを有する第1のコンデンサであって、第13の端子が、第4の出力端子、第6の端子、第9の端子、及び第11の端子に結合され、第14の端子が接地に結合される、第1のコンデンサ、
を含む。
【0067】
例16は、例15のピーク検出器であって、第1のピークホールド回路が、
第16の端子と、第17の端子と、第18の端子とを有する第2の演算増幅器であって、第16の端子が第1の入力端子に結合される、第2の演算増幅器、
第19の端子と第20の端子とを有する第2のダイオードであって、第19の端子が第18の端子に結合され、第20の端子が第2の出力端子に結合される、第2のダイオード、
第21の端子と第22の端子とを有する第2のコンデンサであって、第21の端子が、第2の出力端子、第17の端子、及び第20の端子に結合され、第22の端子が接地に結合される、第2のコンデンサ、及び、
第23の端子と、第24の端子と、第25の端子とを有する第2のスイッチであって、第23の端子が、第2の出力端子、第21の端子、及び第20の端子に結合され、第24の端子が接地に結合され、第25の端子が第2のリセット信号に結合される、第2のスイッチ、
を含む。
【0068】
例17は例16のピーク検出器であって、さらに論理回路を含み、論理回路が、
第1のリセット信号を提供するために、第12の端子に結合される第1の出力を有する第1のパルス生成器、及び
第1の出力に結合される第1の入力と、第2のリセット信号を提供するために、25の端子に結合される第2の出力とを有する第2のパルス生成器、
を含む。
【0069】
例18は例17のピーク検出器であって、論理回路がさらに、第1のリセット信号のインスタンスと第2のリセット信号のインスタンスとを離間するために、第1の入力に結合される第3の出力を有するブランキング回路を含む。
【0070】
例19は例15に記載のピーク検出器であって、さらに、第1のピーク及び第2のピークの大きい方に基づいて力率改善回路を充電及び放電するためのオン-オフコントローラを含む。
【0071】
例20は例15に記載のピーク検出器であって、さらに、第1のピーク及び第2のピークの大きい方に基づく利得を有する自動利得制御回路を含む。
【0072】
幾つかの例示の方法、装置、及び回路を本願で開示してきたが、本願の適用の範囲はこれらに限定されない。むしろ、本願は、公正に本願の範囲内に含まれる全ての方法、装置、及び回路に及ぶ。