(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B68G 7/052 20060101AFI20230913BHJP
A47C 31/02 20060101ALI20230913BHJP
B60N 2/58 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B68G7/052 A
A47C31/02 B
B60N2/58
(21)【出願番号】P 2021118961
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】倉田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】堀江 弘人
(72)【発明者】
【氏名】大森 啓雄
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-102199(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B68G 7/052
A47C 31/02
B60N 2/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、
前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有
し、
前記誘導凹部は、前記溝が延びる方向に先端が位置する楔形に形成されることを特徴とするシート。
【請求項2】
パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、
前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有し、
前記表皮材は、裏面側に突出する断面U字形の状態で縫製された縫製ラインが形成されており、
前記誘導凹部は、前記縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に形成されることを特徴とす
るシート。
【請求項3】
パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、
前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有し、
前記表皮材は複数からなり、隣接して配置される前記表皮材の端部を突き合わせて裏面側に突出した状態で縫製された縫製ラインが形成されており、
前記誘導凹部は、前記縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に形成されることを特徴とす
るシート。
【請求項4】
前記パッドに、前記表皮材が前記パッドを覆ったときに前記縫製ラインを挿入する溝状部が形成されていることを特徴とする請求項
2又は
3に記載のシート。
【請求項5】
前記吊り込み位置において、前記パッドの表面に前記縫製ラインを挿入する前記溝状部と交差する方向に先端が位置する楔形に形成された切欠凹部を有することを特徴とする請求項
4に記載のシート。
【請求項6】
前記吊り込み位置において前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み部材を備え、
前記吊り込み部材は、係止部と、該係止部より柔軟で前記係止部と前記表皮材とを連結する連結部とを有し、
前記パッドは、前記係止部を固定する固定部材と、該固定部材と連結し前記溝状部に沿って前記パッドに埋め込まれるワイヤと、を有することを特徴とする請求項
4又は
5に記載のシート。
【請求項7】
前記吊り込み位置において前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み部材を備え、
前記吊り込み部材は、前記縫製ラインに沿って延びる細長の係止部と、前記係止部より柔軟で前記係止部と前記表皮材とを連結する連結部と、を有し、
前記吊り込み部材は、両端において前記吊り込み部材の移動を規制する位置規制部を有し、
前記パッドは、前記吊り込み部材の前記係止部とワンタッチで係合する係合部材を有し、
前記係合部材は、一部が前記パッドに埋め込まれて前記パッドに固定されていることを特徴とする請求項
4又は
5に記載のシート。
【請求項8】
前記パッドに形成された前記溝状部の溝底部において、前記溝状部の深さ方向に窪む窪み部が形成されており、
前記係合部材は、前記窪み部に配置されることを特徴とする請求項
7に記載のシート。
【請求項9】
前記誘導凹部は、前記溝が延びる方向に角部が位置する三角形に形成されることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートに係り、特に、シートを覆う表皮材の一部が吊り込まれたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道等の車両に搭載される車両用シートには、乗員が着座するシートクッションや乗員の背凭れとなるシートバック等が設けられている。シートクッション及びシートバックは、例えば発泡性樹脂材料から成るシートクッションパッド及びシートバックパッド(以下、特に両者を区別しない場合はパッドと呼ぶ場合がある)と、それらを覆うシートカバーとしての表皮材とを備えている。
【0003】
このような、パッドに表皮材が被せてあるシートは、パッドの表面に孔又は溝を形成して、この孔又は溝の中に表皮材を吊り込むことにより、そのシートの外観形状を維持している。例えば、特許文献1には、パッドと、それを覆う表皮材(文献ではそれぞれクッション材と表皮部材と記載されている)と、ボトムプレートとを有し、射出成形により吊り込み用部材と表皮材とを一体的に形成した車両用シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吊り込み方法では、シートの表面側に窪みが形成されるものの、その窪みに生じる皺又は溝については不規則に多数生じていた。一方、近年においては、シート表面の意匠性を高めるために、特定の方向に延びる皺又は溝(以下、単に皺も含めて溝と称する場合がある)を作ることが求められるようになり、所定の位置に皺又は溝を確実に形成する構造が求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、シートの表面において所定の位置に溝が形成されるシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明のシートによれば、パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有し、前記誘導凹部は、前記溝が延びる方向に先端が位置する楔形に形成されることにより解決される。
また、上記課題は、本発明のシートによれば、パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有し、前記表皮材は、裏面側に突出する断面U字形の状態で縫製された縫製ラインが形成されており、前記誘導凹部は、前記縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に形成されることにより解決される。
また、上記課題は、本発明のシートによれば、パッドと、該パッドを覆う表皮材と、を備え、前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み位置において、前記表皮材の表面の所定位置に溝を形成する起点として、前記表皮材の裏面に形成される誘導凹部を有し、前記表皮材は複数からなり、隣接して配置される前記表皮材の端部を突き合わせて裏面側に突出した状態で縫製された縫製ラインが形成されており、前記誘導凹部は、前記縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に形成されることにより解決される。
【0008】
表皮材の裏面に誘導凹部を設けることにより、吊り込んだとき、誘導凹部により溝形状が誘導されるため、シートの表面において所定の位置に溝が形成されるようになる。
従来はボタン等を用いて吊り込んでいたが、ボタン等を用いることなく所定位置に溝を形成することができ、外観商品性の高いシートを提供することができる。
【0009】
また、誘導凹部を楔形に形成することで、シート表面の吊り込み位置からより正確に所定の位置に溝が延びるように形成されるようになる。
【0010】
また、縫製ラインにより、シート表面に溝の形状を形成すると共に、縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形の誘導凹部を形成することで、シート表面に形成された溝に交差する溝を形成することができ、これにより例えば十字形に窪む溝を形成することができる。
【0011】
また、複数の表皮材を縫製して縫製ラインを形成することにより、シート表面に溝を形成すると共に、縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に誘導凹部を形成することにより、シート表面に形成された溝に対して交差する溝を形成することができ、これにより例えば十字形に窪む溝を容易に形成することが可能となる。
【0012】
また、上記のシートにおいて、前記パッドに、前記表皮材が前記パッドを覆ったときに前記縫製ラインを挿入する溝状部が形成されているとよい。
縫製ラインを挿入する溝状部を形成することで、容易に吊り込みをすることができる。
【0013】
また、上記のシートにおいて、前記吊り込み位置において、前記パッドの表面に前記縫製ラインを挿入する前記溝状部と交差する方向に先端が位置する楔形に形成された切欠凹部を有するとよい。
パッドの表面に切欠凹部を有することで、交差する方向においてより明瞭に、シートの表面において、縫製により表面に形成された溝と交差する溝を形成することができる。
【0014】
また、上記のシートにおいて、前記吊り込み位置において前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み部材を備え、前記吊り込み部材は、係止部と、該係止部より柔軟で前記係止部と前記表皮材とを連結する連結部とを有し、前記パッドは、前記係止部を固定する固定部材と、該固定部材と連結し前記溝状部に沿って前記パッドに埋め込まれるワイヤと、を有するとよい。
係止部と連結部を有する吊り込み部材を備えることにより、より深い位置において吊り込みを行うことができる。
【0015】
また、上記のシートにおいて、前記吊り込み位置において前記表皮材を前記パッドに吊り込む吊り込み部材を備え、前記吊り込み部材は、前記縫製ラインに沿って延びる細長の係止部と、前記係止部より柔軟で前記係止部と前記表皮材とを連結する連結部とを有し、前記吊り込み部材は、両端において前記吊り込み部材の移動を規制する位置規制部を有し、前記パッドは、前記吊り込み部材の前記係止部とワンタッチで係合する係合部材を有し、前記係合部材は、一部が前記パッドに埋め込まれて前記パッドに固定されているとよい。
吊り込み部材の両端において、吊り込み部材の移動を規制する位置規制部を有することにより、吊り込み部材のズレが抑制される。また、係合部材により、容易に吊り込み部材を取り付けることができる。
【0016】
また、上記のシートにおいて、前記パッドに形成された前記溝状部の溝底部において、前記溝状部の深さ方向に窪む窪み部が形成されており、前記係合部材は、前記窪み部に配置されるとよい。
窪み部に係合部材が配置され、吊り込み部材の係止部が係合部材と係合されると共に、窪み部の側壁に位置規制部が当接することで吊り込み部材の移動が規制され、ズレが抑制され、より容易に取り付けることができる。
【0017】
また、上記のシートにおいて、前記誘導凹部は、前記溝が延びる方向に角部が位置する三角形に形成されるとよい。
誘導凹部を三角形に形成することで、シート表面の吊り込み位置からより正確に所定の位置に溝が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表皮材の裏面に誘導凹部を設けることにより、吊り込んだとき、誘導凹部により溝形状が誘導されるため、シートの表面において所定位置に溝が形成されるようになる。従来はボタン等を用いて吊り込んでいたが、ボタン等を用いることなく所定位置に溝を形成することができ、外観商品性の高いシートを提供することができる。
また、誘導凹部を楔形に形成することで、シート表面の吊り込み位置からより正確に所定の位置に溝が形成される。
また、縫製ラインにより、シート表面に溝の形状を形成すると共に、縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形の誘導凹部を形成することで、シート表面に形成された溝に交差する溝を形成することができ、これにより例えば十字形に窪む溝を形成することができる。
また、複数の表皮材を縫製して縫製ラインを形成することにより、シート表面に溝を形成すると共に、縫製ラインと交差する方向に先端が位置する楔形に誘導凹部を形成することにより、シート表面に形成された溝に対して交差する溝を形成することができ、これにより例えば十字形に窪む溝を容易に形成することが可能となる。
また、縫製ラインを挿入する溝状部を形成することで、容易に吊り込みをすることができる。
また、パッドの表面に切欠凹部を有することで、交差する方向においてより明瞭に、シートの表面において、縫製により表面に形成された溝と交差する溝を形成することができる。
また、係止部と連結部を有する吊り込み部材を備えることにより、より深い位置において吊り込みを行うことができる。
また、吊り込み部材の両端において、吊り込み部材の移動を規制する位置規制部を有することにより、吊り込み部材のズレが抑制される。また、係合部材により、容易に吊り込み部材を取り付けることができる。
また、窪み部に係合部材が配置され、吊り込み部材の係止部が係合部材と係合されると共に、窪み部の側壁に位置規制部が当接することで吊り込み部材の移動が規制され、ズレが抑制され、より容易に取り付けることができる。
誘導凹部を三角形に形成することで、シート表面の吊り込み位置からより正確に所定の位置に溝が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】シートクッションを覆う
図1の部分Aに位置する表皮材の裏面を示す図である。
【
図3A】
図2のIIIA-IIIA線に沿った断面図である。
【
図3B】
図2のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。
【
図4】表皮材を取り除いた状態のシートクッションパッドを上方から見た図である。
【
図5】吊り込み部材と係合する樹脂クリップを示す斜視図である。
【
図6A】吊り込み部材を、樹脂クリップを用いてシートクッションパッドに取り付けた状態を示す
図4のVIA-VIA線に沿った断面図である。
【
図6B】吊り込み部材を、樹脂クリップを用いてシートクッションパッドに取り付けた状態を示す、
図6AのVIB-VIB線に沿った断面図である。
【
図6C】吊り込み部材を、Cリングを用いてシートクッションパッドに取り付けた状態を示す断面図である。
【
図7A】U字状に形成された誘導凹部の例を示す図である。
【
図7B】円形状に形成された誘導凹部の例を示す図である。
【
図10】楔形凹部の配置の別例を示す図であり、シートバックの吊り込み位置を斜め前方から見た斜視図である。
【
図11】楔形凹部の配置の別例を示す図であり、表皮材の裏面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るシートの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、乗物用内装部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0021】
なお、以下では、シートの一例として車両に搭載される車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向(換言すると、シート本体の幅方向)であり、車両用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
なお、以下に説明する車両用シートの各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0022】
<車両用シートS>
本実施形態に係る車両用シート(以下、車両用シートS)の基本構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は車両用シートSの斜視図であり、
図1中車両用シートSの一部については、図示の都合上、シートクッションパッド10及びシートバックパッド20から表皮材11、21を外した構成にて図示している。
【0023】
車両用シートSは、車体フロアの上に載置され、車両の乗員が着座するシートである。本実施形態において車両用シートSは、車両の前側に配置されたフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、車両用シートSは後部座席に相当するリアシートとしても利用可能である。
【0024】
車両用シートSは、
図1に示すように、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション1、着座者の背部を支える背凭れ部分となるシートバック2、及び、シートバック2の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト3を主な構成要素とする。シートクッション1とシートバック2とはリクライニング機構を挟み込むように連結されており、シートバック2は、シートクッション1に対して回動して、角度調整可能に連結されている。
【0025】
車両用シートSの中には、骨格となる図示しないシートフレームが設けられている。シートフレームは、シートクッション1のフレームであるシートクッションフレームと、シートバック2のフレームであるシートバックフレームとから構成されている。シートクッション1は、シートクッションフレームに載置されるシートクッションパッド10と、
図1に示すように、シートクッションパッド10を被覆し、詳細を後述する表皮材11とを備える。シートバック2は、シートバックフレームを内部に有するシートバックパッド20と、シートバックパッド20を被覆する表皮材21と、を備える。
【0026】
<吊り込み位置の溝>
また、シートクッション1の着座面には、縫製により前後方向に延びる溝13aが形成されており、その中間部において、前後方向に延びる溝13aと交差する、幅方向に延びる溝13bが形成されている。溝13aと溝13bとが交差する部分が、吊り込み位置12となっており、シートクッション1の底部に向かって表皮材11が吊り込まれている。
シートバック2の背凭れ面には、上下方向に延びる溝23aと、溝23aと交差する幅方向に延びる溝23bとが形成されている。溝23aと溝23bとが交差する部分が、吊り込み位置22となっており、
図1に示すように4箇所の吊り込み位置22が設けられおり、吊り込み位置22では、表皮材21が後方(より詳細にシートバック2の背面方向)に向けて吊り込まれている。
【0027】
従来の吊り込み方法では、縫製により形成された皺又は溝以外はその延びる方向や数が不定であった。本実施形態では、吊り込み位置12、22において、縫製により前後方向に延びる溝以外に、所定の方向、すなわち左右方向(幅方向)に延びる溝が形成されるように構成されている。以下では、所定の方向に溝が延びるよう形成された吊り込み位置12、22における吊り込み構造について説明する。
【0028】
まず、シートクッション1の溝13a、13bを形成する吊り込み構造について、
図1-
図7を用いて説明し、その後、
図8から
図11を用いてシートバック2の溝23a、23bを形成する吊り込み構造について説明する。
【0029】
図2は、シートクッション1の着座面を覆う
図1の部分Aに位置する表皮材11の裏面を示す図であり、
図3A及び
図3Bは吊り込み位置12の構造を示す断面図である。
図3A及び
図3Bに示すように、シートクッション1の表皮材11は、多層構造を有し、表材30と、ウレタンフォーム等のクッション材31と、裏材32とが積層されて構成されている。クッション材31は表材30にラミネートされることにより接合されている。また、裏材32はクッション材31に全体又は部分的に一体に接合されている。
【0030】
表材30としては、例えば皮革(天然皮革、合成皮革)や布帛(織物、編物、不織布)などが用いられる。クッション材31としては、例えば弾性変形可能な軟質のウレタンフォームなどの樹脂発泡体が用いられる。裏材32としては、例えば薄手のナイロンハーフが用いられる。裏材32に、布帛、樹脂シートが用いられてもよい。
なお、シートバック2の表皮材21も、シートクッション1の表皮材11と同様の多層構造を有し、表材30と、クッション材31と、裏材32とから構成されている。
【0031】
シートカバーである表皮材11は、
図2に示すように、複数の表皮材11-1~11-3(以下、特に区別する必要がない場合、表皮材11-1~11-3をまとめて表皮材11と称する場合がある)を縫合することで形成されており、その縫製ライン15は、後述するシートクッションパッド10に形成された溝状部16に挿入可能に位置されている。縫合された表皮材11の裏面11bには、シートクッションパッド10の表面側から裏面側、言い換えれば車両用シートSの下方に向けて引き回される吊り込み部材33が、縫製ライン15に設けられている。
【0032】
縫製ライン15は、
図3A及び
図3Bに示すように、隣接して配置される表皮材11-1の端部と表皮材11-2の端部とを突き合わせて、又は、表皮材11-2の端部と表皮材11-3との端部とを突き合わせて、表皮材11の裏面11b側に突出した状態で設けられている。縫製ライン15を形成し吊り込むことにより、シートクッション1のシート表面(表皮材11の表面11a)において、前後方向に延びる溝13aが形成される。
【0033】
<楔形凹部>
また、表皮材11の裏面11bには、吊り込み位置12のそれぞれにおいて、誘導凹部として一対の楔形凹部14、14が、縫製ライン15を間に挟んで形成されている。楔形凹部14は、
図3A及び
図3Bに示すように、表皮材11から、クッション材31と裏材32とを剥ぎ取り、表材30のみを残すことにより形成される。
【0034】
図2に示すように、一対の楔形凹部14、14のそれぞれの先端14aは、吊り込み位置12において溝13bが延びる左右方向、言い換えれば、縫製ライン15と交差する方向に位置している。
そして、隣接する表皮材11の表材30を縫製し、その部分に、後述する吊り込み部材33を縫製により取り付ける。吊り込み部材33を、シートクッションの着座面から下方に向かう方向(言い換えれば底面に向けて)に引き込むことにより、楔形凹部14の形状に合わせて、表材30が変形し、楔形凹部14の先端14aに合わせて溝13bが形成されるようになる。
本実施形態の楔形凹部14は、
図2に示すように楔形凹部14の先端14aに、言い換えれば溝13bが延びる方向に角部が位置する三角形に形成されている。
【0035】
このように、吊り込み位置12において、縫製ライン15を挟んで一対の楔形凹部14を形成することで、吊り込み部材33により吊り込んだ時に、表材30が変形する。
図3Aの二点鎖線で示すように、表材30が楔形凹部14の形状に合わせて変形して所定の溝形状となり、縫製ライン15による溝13aと交差する溝13bをシートクッション1の表面11a(着座面)に作ることができる。
なお、本実施形態の表皮材11では、縫製ライン15を形成する部分(縦壁となる部分)において、吊り込み位置12のクッション材31と裏材32とは剥ぎ取られることなく、縫製ライン15の両側に一対の楔形凹部14、14が形成されている。これは一例であり、吊り込み位置12のそれぞれの縫製ライン15においても、クッション材31及び裏材32を剥ぎ取り、表材30を残し、吊り込み部材33を取り付けてもかまわない。
【0036】
<吊り込み部材>
吊り込み位置12のそれぞれには、表皮材11を吊り込むための吊り込み部材33が取り付けられている。吊り込み部材33は、上述のように表皮材11を吊り込み位置12において吊り込むための部材であり、係止部34と、係止部34より柔軟で表皮材11の表材30と係止部34とを連結する連結部材35とを備える。
【0037】
係止部34は、細長に形成された樹脂製の部材であり、後述するシートクッションパッド10に取り付けられた係合クリップ40に保持される部分である。
連結部材35は、
図3Aに示すように略台形状に形成された不織布により形成されている。連結部材35は、上端側において表皮材11の表材30と縫製(縫製部15a)により接合されており、下端側(シートクッションパッド10側)の端部に係止部34が取り付けられている。連結部材35の表材30と連結する部分の上辺の長さは、係止部34と連結する下辺よりも短くなっている。
係止部34は、後述するシートクッションパッド10に形成された溝状部16の窪み部18に挿入される。窪み部18は、係止部34と略同じ長さで形成されていて、吊り込み部材33の両端(より詳細には係止部34の両端)にある位置規制部36は、窪み部18の側壁に当接することで、長手方向(縫製ライン15が延びる方向)の移動が規制されるよう構成されている。また、位置規制部36は係止部34の端部においてフランジ状に形成されている(
図5参照)。フランジ状の部分が係止部34を保持する係合クリップ40の保持部40bに当接することによっても長手方向の移動を規制することが可能になっている。
【0038】
<溝状部>
図4~
図6Cを用いて、シートクッションパッド10に形成される溝状部16について説明する。
図4は、表皮材11を取り除いた状態のシートクッション1を示す上面図である。
図5は、溝状部16の底部(より詳しくは窪み部18)に取り付けられる係合クリップ40(係合部材の一例)を示す斜視図である。
図6Aは、
図4のVIA-VIA線に沿った断面図、
図6Bは、
図6AのVIB-VIBに沿った断面図であり、吊り込み部材33が係合クリップ40により保持され、シートクッション1の吊り込み位置12に溝13a、13bを形成した状態を示す図である。
図6Cは、Cリング(固定部材)を用いて吊り込み部材33を取り付けた状態を示す図である。
【0039】
図4に示すように、シートクッションパッド10は、シートクッションのシートフレームを構成する一対のサイドフレーム5、5と、一対のサイドフレーム5、5を連結する後方側連結フレーム6及び前方側連結フレーム7と、受圧部材42とにより支持されている。受圧部材42は、後方側連結フレーム6と前方側連結フレーム7とに接続された線状部材43と樹脂部材とにより構成される。
【0040】
シートクッションパッド10には、表皮材11の縫製ライン15を収納する溝状部16が形成されている。溝状部16は、
図4に示すように前後方向に延びるよう形成されている。吊り込み位置12は、溝状部16に配置されている。溝状部16を形成することで、表皮材11の縫製ライン15が収納可能となり容易に吊り込みをすることができる。
また、吊り込み位置12は、受圧部材42を構成する線状部材43を避けた位置に配置されている。それにより、乗り心地を阻害しないようになっている。
【0041】
また、溝状部16条の吊り込み位置12は、シートクッションパッド10又は受圧部材42に配置される乗員検知センサ41を避けた位置に配置されいて、乗員検知センサ41の乗員検知を阻害しないように構成されている。
また、シートクッション1の着座面には土手部を除いて複数のヒータが設けられている場合がある。ヒータを避けて吊り込み位置12を配置することにより、ヒータの有り無しにも対応することが可能となっている。
【0042】
<切欠凹部>
シートクッションパッド10の吊り込み位置12において、
図4に示すように溝状部16を挟んで、一対の切欠凹部17、17が形成されている。各切欠凹部17は、表皮材11の楔形凹部14に対応してほぼ同じ形状となるよう形成されており、その先端はシート表面に形成する溝13bに位置するよう配置されている。表皮材11の裏面11bだけでなく、シートクッションパッド10側にも形成することで、吊り込んだときに表皮材11の表材30がより深く引き込まれ、シートクッション1の表面に形成される溝がよりはっきりと表れる。
【0043】
<窪み部>
また、溝状部16には、吊り込み位置12において、溝状部16の溝底部から更に深さ方向に窪む窪み部18が形成されている。この窪み部18には、
図6A及び
図6Bに示すように、表皮材11から延びる吊り込み部材33の係止部34と連結部材35の一部とが挿入される。挿入された係止部34は、窪み部18の底部に設けられた係合クリップ40によりワンタッチで係合され、係合された状態で表皮材11の表材30を吊り込んだ状態を維持できるようになる。
【0044】
シートクッション1の表皮材11は、係合クリップ40が溝状部に16固定され状態で、吊り込み部材33が係合クリップ40によって係合保持されることにより、縫製ライン15を溝状部16に沿って吊り込んだ状態で固定される。このようにして、シートクッションパッド10の表面を覆うように張設される表皮材11が、所定の溝形状のラインを形成する。
【0045】
図5を用いて、係合クリップ40について詳述する。係合クリップ40は、
図4に示すように溝状部16、より詳しくは窪み部18の底部に配置される部材である。係合クリップ40は、基板40aと、吊り込み部材33の係止部34を係合した状態で保持する一対の保持部40b、40bと、シートクッションパッド10に係止した状態で支持する複数の支持部40cと、を有している。
【0046】
より具体的に述べると、係合クリップ40は、平板上の基板40aを有しており、基板40aの中心側には、少なくとも一対の保持部40b、40bが、鉛直方向に立設されている。この一対の保持部40b、40bは、それぞれの上端部において吊り込み部材33の係止部34に係合する係合爪40d、40dを備えており、これら係合爪40d、40dを互いに対向させた状態で、一対の保持部40b、40bが配置されている。
一対の保持部40b、40bの間に形成された隙間に、吊り込み部材33の係止部34を挿入することにより、ワンタッチで係止部34を保持させることできる。
【0047】
また、複数の支持部40cは、基板40aの両側部から鉛直方向に立設し、先端において外側に向けて延出する爪部40eを有している。
図6Bに示すように、係合クリップ40が窪み部18に挿入された状態で、支持部40cの爪部40eが窪み部18の側壁に引っ掛かり、係合クリップ40が窪み部18の内部に固定される。
なお、係合クリップ40を窪み部18に接着剤により固定されてもよい。また、シートクッションパッド10内に係合クリップ40を取り付ける手段として、クッション材を発泡させるときに、金型のキャビンティ内の所定位置にあらかじめ係合クリップ40を配置し一体に形成することにより取り付けてもよい。
なお、上述したように、係合クリップ40が保持する吊り込み部材33の両端には位置規制部36が設けられている。位置規制部は
図5に示すように外側に向けて突出する凸部によりフランジ状に形成されている。吊り込み部材33は、長手方向に移動したとき、窪み部18の側壁に当接することによっても位置が規制されている。また、位置規制部36が、係合クリップ40の保持部40bの端部に当接することによっても、吊り込み部材33の長手方向の移動が規制されるようになっている。位置規制部36は、
図5に示すように係止部34の両側に形成されてよい。また、位置規制部36は係止部34の片側に突出するように形成されてもよい。
【0048】
吊り込み部材33の係止部34を固定する部材として係合クリップ40は一例であり、他の部材により吊り込み部材33を固定しても構わない。例えば
図6Cに示すように、溝状部16に沿ってワイヤ38を埋め込み、ワイヤ38にCリング37(固定部材)を取り付けて、Cリング37により吊り込み部材33の係止部34を固定してもよい。
なお、吊り込み部材33の固定は、係合クリップ40を用いる手段と、Cリング37を用いて固定する手段とが併用されてもよい。
【0049】
本実施形態では、三角形に形成された楔形凹部14を表皮材11に形成して、シートクッション1の表面の所定位置に溝を形成していた。この楔形凹部14の三角形の形状は一例であり、
図7Aに示す楔形凹部14AのようにU字形状であってもよい。U字形状の先端14Aaが、溝13bが延びる方向に配置される。
また、
図7Bに示す楔形凹部14Bのように円形であってもよい。円の頂部が先端14Baとなり、溝13bが延びる方向となる。また、楔形凹部14は細長の矩形で形成されたスリットであってもかまわない。
図2に示すように、三角形の角部を溝13aが延びる方向に配置することにより、溝13aの断面がV字状に形成され易くなり溝の形状が明確になるため、楔形凹部14は三角形に形成するのが望ましい。
【0050】
次に、
図1、
図8及び
図9を用いて、シートバックの背凭れ面に形成される溝23a、23bについて説明する。
図8は、シートバック2の前面(背凭れ面)を示す図であり、
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面図である。
【0051】
図1及び
図8に示すように、背凭れ面には、4箇所の吊り込み位置22に、十字状の溝(吊り込み線)が形成されていて、十字状の溝の中心は点で吊り込まれている。吊り込み線である溝23a、23bは、中心点から遠ざかるにつれてフェードして溝の線が消えるように形成されている。
【0052】
シートクッション1の吊り込み位置12のある着座面は、複数の表皮材11を縫製していたが、シートバック2の吊り込まれる表皮材21は、一枚の表皮材21により形成されている。
上下方向に延びる溝23aを形成するために、
図9に示すよう吊り込み位置22において、表皮材21を断面U字形に縫製して縫製ライン25を形成している。表皮材21の裏面21bにおいては、シートクッション1の吊り込み位置12と同様に、縫製ライン25を挟んで一対の楔形凹部24、24が形成されている。楔形凹部24のそれぞれは、表皮材21の、クッション材31(スラブ)と裏材32を剥ぎ取り、表材30を残すことにより形成される。
【0053】
図9に示すように、U字状に折り畳まれた表皮材21は、根元部分で縫製され、縫製ライン25を形成する。また、その縫製された表材30の下端部において、縫製部25aにより吊り込み部材33が取り付けられている。吊り込み部材33は、シートクッション1の吊り込み部材33と同様の構成であるためその説明は省略する。
【0054】
シートバックパッド20には、吊り込み位置22に、表皮材21に形成された縫製ライン25が挿入できるよう溝状部26が形成されており、更に深さ方向に窪む窪み部28が形成されている。また、シートバックパッド20側にも溝状部26を挟んで、表皮材21の楔形凹部24に対応する位置に対向して切欠凹部27が形成されている。
【0055】
シートバックパッド20に形成された窪み部28にも、シートクッション1と同様に係合クリップ40が配置され、吊り込み部材33の係止部34がワンタッチで取り付けられる。シートバック2に取り付けられた係合クリップ40の詳細は、シートクッション1に取り付けられる係合クリップ40と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
【0056】
シートバック2の表皮材21の一部を断面U字状に縫製し、縫製ライン25と交差する方向に先端が位置するよう楔形凹部24を形成することで、シートバック2の背凭れ面に、十字状の吊り込み溝を形成することができる。
【0057】
図8及び
図9に示すシートバック2では、表皮材11の吊り込み位置22において、縫製ライン25を形成して、上下方向に延びる溝23aを形成していた。これは一例であり、
図10及び
図11に示すように、吊り込み位置22Aにおいて、上下方向に延びる溝23aについても、幅方向に延びる溝23bと同様に、楔形凹部24を表皮材21の裏面21bに形成して、吊り込んだときに形成されるようにしてよい。
【0058】
より、具体的に述べると、
図11に示すように、上下方向に延びる溝23aを吊り込んだときに表皮材21の表面21aに形成するように先端の位置が上方向又は下方向に配置された楔形凹部24が形成されている。また、幅方向に延びる溝23bを形成するために、先端の位置が左方向又は右方向に配置された楔形凹部24が形成されている。
吊り込み位置22Aにおいては、中央にひも状の吊り込み部材33Bが取り付けられており、吊り込み部材33Bをシートバック2の背面側に引き込み固定することにより、十字状の溝23a、23bが表皮材21の表面21aに形成されるようになる。
シートバックパッド20側にも、十字状に配置された楔形凹部24に対応するよう、切欠凹部27が形成されてもよい。
【0059】
なお、本実施形態では、上下及び左右方向に延びる十字状の溝を形成しているが、これは一例であり、縫製する方向を斜めにしたり、楔形凹部24の先端24aを斜め方向に延びる位置に合わせたりすることで、例えばX字状に交差する溝を形成してもよい。所望の方向に延びる吊り込み溝を形成することで、デザインの自由度が向上し外観の意匠性を向上させることができる。
【0060】
<シート製造方法>
所定の位置に溝が形成される車両用シートSの製造方法について説明する。
シートクッション1又はシートバック2を構成する表皮材11、21とシートクッションパッド10、シートバックパッド20とを準備する(準備工程)。
表皮材11、21の吊り込み位置12、22に吊り込み部材33を取り付ける(吊り込み部材取付工程)。
【0061】
表皮材11、21を吊り込む吊り込み位置12、22に、表皮材11、21の表面の所定位置に溝13b、23bを形成する起点として、表皮材11、21の裏面11b、21bに楔形凹部14、24(誘導凹部)を形成する(楔形凹部形成工程)。
シートクッションパッド10又はシートバックパッド20を表皮材11、21で覆い、吊り込み部材33の係止部34を係合クリップ40に取り付けて、シートクッション1又はシートバック2の表面に吊り込み溝を形成する(吊り込み溝形成工程)。
吊り込まれたシートクッション1又はシートバック2をシートフレームに取り付けて車両用シートSを完成させる(シート組立工程)。
【0062】
パッドに形成される縫製ライン15、25を挿入する溝状部16、26は製造する際に予め形成されていてもよい。また、係合クリップ40を、シートクッションパッド10、シートバックパッド20を製造する際に所定の位置に配置して、一体成形により固定してもよい。
【0063】
以上、図を用いて本実施形態のシートとして、車両に搭載される車両用シートSについて説明した。本発明のシートによれば、表皮材の裏面に誘導凹部を設けることにより、吊り込んだとき、誘導凹部により溝形状が誘導されるため、シートの表面において所定の位置に溝が形成されるようになる。また、従来はボタン等を用いて吊り込んでいたが、ボタン等を用いることなく所定位置に溝を形成することができ、外観商品性の高いシートを提供することができる。
なお、シートは、車両に搭載される車両用シートSに限らず、様々な目的として用いられるシートに応用することが可能である。例えば、鉄道、航空機、船舶等に搭載される乗物用シートに適用することが可能である。また、家具であるソファや椅子、クッション等にも適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
S 車両用シート(シート)
1 シートクッション
2 シートバック
3 ヘッドレスト
5 サイドフレーム
6 後方側連結フレーム
7 前方側連結フレーム
10 シートクッションパッド
11、11-1、11-2、11-3 表皮材
11a 表面
11b 裏面
12 吊り込み位置
13a、13b 溝
14、14A、14B 楔形凹部(誘導凹部)
14a、14Aa、14Ba 先端
15 縫製ライン
15a 縫製部
16 溝状部
17 切欠凹部
18 窪み部
20 シートバックパッド
21 表皮材
21a 表面(シート表面)
21b 裏面
22 吊り込み位置
23a、23b 溝
24 楔形凹部(誘導凹部)
24a 先端
25 縫製ライン
25a 縫製部
26 溝状部
27 切欠凹部
28 窪み部
30 表材
31 クッション材
32 裏材
33 吊り込み部材
34 係止部
35 連結部材
36 位置規制部
37 Cリング(固定部材)
38 ワイヤ
40 係合クリップ(係合部材)
40a 基板
40b 保持部
40c 支持部
40d 係合爪
40e 爪部
41 乗員検知センサ
42 受圧部材
43 線状部材