(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230913BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20230913BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230913BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20230913BHJP
【FI】
B60N2/90
A63F13/24
G06F3/01 510
G06F3/0487
(21)【出願番号】P 2019079901
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0269601(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0077288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 31/12,7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートシステムであって、
シート本体と、
前記シート本体内に設けられた少なくとも1つの第1センサと、
前記シート本体に着座したユーザが到達可能であり、且つ前記シート本体外に設けられた少なくとも1つの第2センサと、
表示部を備えたアプリケーション実行装置とを有し、
前記第1センサ及び前記第2センサが前記アプリケーション実行装置のためのアプリケーションコントローラを構成
し、
前記アプリケーション実行装置は前記第1センサ及び前記第2センサの中から操作入力を行うための少なくとも1つの操作入力センサを選択する選択処理を行った後に、選択された前記操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行することを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
シートシステムであって、
シート本体と、
前記シート本体内に設けられた少なくとも1つの第1センサと、
前記シート本体に着座したユーザが到達可能であり、且つ前記シート本体外に設けられた少なくとも1つの第2センサと、
表示部を備えたアプリケーション実行装置とを有し、
前記第1センサ及び前記第2センサが前記アプリケーション実行装置のためのアプリケーションコントローラを構成し、
前記アプリケーション実行装置は前記ユーザに前記第1センサ及び前記第2センサの中から少なくとも1つの操作入力センサを選択させる選択処理を行った後に、選択された前記操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行することを特徴とするシートシステム。
【請求項3】
前記シートシステムはドアを有する車両に搭載され、
前記第2センサの少なくとも1つは前記ドアのドアトリムに設けられていることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記第2センサの少なくとも1つは、ルーフ、フロア、ピラー及びインストルメントパネルのいずれか1つに設けられていることを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記アプリケーション実行装置は、前記第1センサ及び前記第2センサのうち少なくとも2つのセンサからの信号に基づいてアプリケーションを実行することを特徴とする
請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着座可能なシートを含むシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機客室に設けられるシートシステムであって、客室内に配置された乗物用シートと、乗物用シートの背部に設けられたゲーム端末とを含むものが公知である(例えば、特許文献1)。ゲーム端末は平面型の映像表示装置からなる映像表示部と、スイッチ、キーボード、及びライトペンを備えた操作部(入力装置)とを備えている。乗員は前席に設けられたゲーム端末を取り外して、着座した状態でゲームを楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のゲーム端末の操作部は、スイッチ、キーボード、及びライトペン等に限られている。よって、特許文献1のゲーム端末ではゲームの操作手段が限定され、例えば、乗員が身体を動かして楽しむことのできるゲーム等のアプリケーションを構成することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、シート本体と、アプリケーション実行装置とを備えたシートシステムであって、アプリケーションの操作手段を増やすことを課題とする。
とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、シートシステム(1、101、201、301)であって、シート本体(5、305)と、前記シート本体内に設けられた少なくとも1つの第1センサ(51、351)と、前記シート本体に着座したユーザが到達可能であり、且つ前記シート本体外に設けられた少なくとも1つの第2センサ(52、352)と、表示部(73、373)を備えたアプリケーション実行装置(72、372)とを有し、前記第1センサ及び前記第2センサが前記アプリケーション実行装置のためのアプリケーションコントローラを構成することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第1センサ及び第2センサが設けられているため、第1センサのみが設けられている場合に比べて、操作入力を行うためのセンサの数を増やすことができる。これにより、アプリケーションの操作手段を増やすことができる。
【0008】
また、上記の態様において、前記シートシステムはドア(15、16)を有する車両(S)に搭載され、前記第2センサの少なくとも1つは、前記ドアのドアトリム(17、18)に設けられているとよい。
【0009】
この構成によれば、第2センサをユーザにとって操作入力し易い位置に配置することができる。
【0010】
また、上記の態様において、前記第2センサの少なくとも1つは、ルーフ(40)、フロア(3)、ピラー(60)及びインストルメントパネル(20)のいずれか1つに設けられているとよい。
【0011】
この構成によれば、第2センサを車室内のユーザが操作入力可能な位置に設けることができる。
【0012】
また、上記の態様において、前記シート本体は前席シート本体(5A)と、前記前席シート本体の後方に配置された後席シート本体(5B)とを含み、前記前席シート本体及び前記後席シート本体はそれぞれ、着座面(13)を構成するシートクッション(10)と、前記シートクッションの後部に接続されたシートバック(11)とを有し、前記第1センサは前記後席シート本体に設けられ、前記第2センサの少なくとも1つは前記前席シート本体の前記シートバックの背面に設けられているとよい。
【0013】
この構成によれば、前席シート本体のシートバックの背面にセンサを設けることによって、後席シートに着座したユーザが入力し易い位置に第2センサを配置することができる。
【0014】
また、上記の態様において、前記アプリケーション実行装置は前記第1センサ及び前記第2センサの中から操作入力を行うための少なくとも1つの操作入力センサを選択する選択処理を行った後に、選択された前記操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行するとよい。
【0015】
この構成によれば、実行処理において、操作入力センサ以外のセンサへの入力による誤動作を防止することができる。
【0016】
また、上記の態様において、前記アプリケーション実行装置は前記ユーザに前記第1センサ及び前記第2センサの中から少なくとも1つの操作入力センサを選択させる選択処理を行った後に、選択された前記操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行するとよい。
【0017】
この構成によれば、実行処理に用いるセンサ以外のセンサへの入力による誤動作を防止することができる。また、ユーザが第1センサ及び第2センサから操作入力センサを選択することができるため、ユーザに適したセンサを選択することができる。
【0018】
また、上記の態様において、前記アプリケーション実行装置は、前記第1センサ及び前記第2センサのうち少なくとも2つのセンサからの信号に基づいてアプリケーションを実行するとよい。
【0019】
この構成によれば、第1センサと第2センサとの信号に基づいて実行処理が行われるため、2つの操作入力センサへの操作入力に基づいたアプリケーションを構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記課題を解決するために、シートシステムであって、シートシステムであって、シート本体と、シート本体内に設けられた少なくとも1つの第1センサと、シート本体に着座したユーザが到達可能であり、且つシート本体外に設けられた少なくとも1つの第2センサと、表示部を備えたアプリケーション実行装置とを有し、第1センサ及び第2センサが前記アプリケーション実行装置のためのアプリケーションコントローラを構成する構成によれば、第1センサ及び第2センサが設けられているため、第1センサのみが設けられている場合に比べて、操作入力を行うためのセンサの数を増やすことができる。これにより、アプリケーションの操作手段を増やすことができる。
【0021】
また、上記の態様において、シートシステムはドアを有する車両に搭載され、第2センサの少なくとも1つは、ドアのドアトリムに設けられている構成によれば、第2センサをユーザにとって操作入力し易い位置に配置することができる。
【0022】
また、上記の態様において、第2センサの少なくとも1つは、ルーフ、フロア、ピラー及びインストルメントパネルのいずれか1つに設けられている構成によれば、第2センサを車室内のユーザが操作入力可能な位置に設けることができる。
【0023】
また、上記の態様において、シート本体は前席シート本体と、前席シート本体の後方に配置された後席シート本体とを含み、前席シート本体及び後席シート本体はそれぞれ、着座面を構成するシートクッションと、シートクッションの後部に接続されたシートバックとを有し、第1センサは後席シート本体に設けられ、第2センサの少なくとも1つは前席シート本体のシートバックの背面に設けられている構成によれば、前席シート本体のシートバックの背面にセンサを設けることによって、後席シートに着座したユーザが入力し易い位置に第2センサを配置することができる。
【0024】
また、上記の態様において、アプリケーション実行装置は第1センサ及び第2センサの中から操作入力を行うための少なくとも1つの操作入力センサを選択する選択処理を行った後に、選択された操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行する構成によれば、実行処理において、操作入力センサ以外のセンサへの入力による誤動作を防止することができる。
【0025】
また、上記の態様において、アプリケーション実行装置はユーザに第1センサ及び第2センサの中から少なくとも1つの操作入力センサを選択させる選択処理を行った後に、選択された操作入力センサからの信号に基づいてアプリケーションを実行する実行処理を実行する構成によれば、実行処理に用いるセンサ以外のセンサへの入力による誤動作を防止することができる。また、ユーザが第1センサ及び第2センサから操作入力センサを選択することができるため、ユーザに適したセンサを選択することができる。
【0026】
また、上記の態様において、アプリケーション実行装置は、第1センサ及び第2センサのうち少なくとも2つのセンサからの信号に基づいて実行処理を行う構成によれば、第1センサと第2センサとの信号に基づいて実行処理が行われるため、2つの操作入力センサへの操作入力に基づいたアプリケーションを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態に係るシートシステムを搭載した車両の車室の斜視図
【
図3】100m走のゲームアプリケーションで実行される処理のフローチャート
【
図4】(A)参加意思入力画面、(B)センサ選択画面、及び(C)シート調節受付画面を説明するための説明図
【
図5】(A)室内灯調節受付画面、(B)ゲーム実行画面、及び(C)キャラクタがゴールに到達したときのゲーム実行画面を説明するための説明図
【
図6】第2実施形態に係るシートシステムのアプリケーション実行装置を含むネットワーク構成図
【
図7】第3実施形態に係るシートシステムを搭載した車両の車室の斜視図
【
図8】第3実施形態に係るゲームのゲーム実行画面を説明するための説明図
【
図9】100m走のゲームアプリケーションの変形例におけるゲーム実行画面を説明するための説明図
【
図10】本発明に係るシートシステムが設けられた部屋の例
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明に係るシートシステム1の実施形態を説明する。
【0029】
<<第1実施形態>>
図1に示すように、シートシステム1は自動車等の車両Sに設けられ、車室2を画定するフロア3上に配置された複数のシート本体5を有する。以下では、シート本体5に着座した乗員(以下、ユーザ)から見た方向を基準として、前後、左右、及び上下方向をそれぞれ定めて、説明を行う。また、必要に応じて、左右方向におけるシート本体5に近づく方向を内方、離れる方向を外方と記載する。
【0030】
本実施形態では、シートシステム1はシート本体5として、1列目を構成する左右一組のフロントシート本体5Aと、2列目を構成する左右一組のミッドシート本体5Bと、3列目を構成するリアシート本体5Cとを含む。左右のミッドシート本体5Bはそれぞれ、対応するフロントシート本体5Aの後方に配置され、フロントシート本体5Aとミッドシート本体5Bとは前後に並ぶように配置されている。本実施形態では、リアシート本体5Cは左右のミッドシート本体5Bの後方において左右に延在し、2人分の着座領域を構成するベンチシートとなっている。
【0031】
各シート本体5は、車室2のフロア3に設けられたシートクッション10と、シートクッション10の後部に結合されたシートバック11と、シートバック11の上側に設けられたヘッドレスト12とを有する。シートクッション10は着座したユーザを臀部及び大腿部を下方から支持する着席部であり、その上面に着座面13を構成している。シートバック11は着座したユーザの背部を後方から支持する背もたれ部である。
【0032】
図1に示すように、車両Sにはフロントシート本体5Aの車外側にフロントドア15が設けられ、ミッドシート本体5Bの車外側にリアドア16が設けられている。フロントドア15、及びリアドア16の車内側の側面にはそれぞれドアトリム17、18が結合されている。リアシート本体5Cの車外側において、車室2を画定する壁面にはそれぞれリアサイドトリム19が設けられている。また、フロントシート本体5Aの前方正面には、インストルメントパネル20が設けられている。インストルメントパネル20は運転席を構成するフロントシート本体5Aの前方、且つ助手席を構成するフロントシート本体5Aの前方に位置し、運転席に着座したユーザ、及び助手席に着座したユーザそれぞれから接触可能な位置に配置されている。
【0033】
図2には、ミッドシート本体5Bを斜め後方から見たときの斜視図が例示されている。シートクッション10はそれぞれ、骨格をなすシートクッションフレームと、シートクッションフレームに支持されたパッドと、パッドの外面に被せられた表皮材とを有する。同様に、シートバック11はそれぞれ、骨格をなすシートバックフレームと、シートバックフレームに支持されたパッドと、パッドの外面に被せられた表皮材とを有する。シートバックフレームは、下端においてシートクッションフレームに取り付けられている。
【0034】
パッドは、例えば発泡ウレタン等の可撓性を有する樹脂材料から形成されている。表皮材は、例えば織布や皮革、合成皮革から形成されている。
【0035】
図1に示すように、フロントシート本体5A及びミッドシート本体5Bはそれぞれその位置及び形状を調節するための調節機構25を備えている。調節機構25はシートクッション10とフロア3との間に設けられ、シートクッション10をフロア3に対して前後方向に所定範囲内で移動可能とするスライド機構26を含む。更に、調節機構25は、シートバック11をシートクッション10に対して所定範囲内で傾動させるリクライニング機構27を含む。また、調節機構25は、シートクッション10をフロア3に対して鉛直軸回りに回転させる回転機構28を含んでいてもよく、シートクッション10をフロア3に対して上下動させるハイト調節機構29を含んでいてもよい。
【0036】
調節機構25にはそれぞれ、シート本体5の位置又は形状を変化させるためのアクチュエータ35が設けられている。より具体的には、
図1に示すように、スライド機構26にはそれぞれ、入力される信号に応じて対応するシート本体5をそれぞれフロア3に対して前後方向に移動させる前後動アクチュエータ36が設けられている。リクライニング機構27はそれぞれ、入力される信号に応じて、対応するシートバック11をシートクッション10に対して傾動させる傾動アクチュエータ37が設けられている。回転機構28はアクチュエータ35として、シートクッション10をフロア3に対して回転させるモータ38を含み、ハイト調節機構29はシートクッション10のフロア3に対して上下動させる上下動アクチュエータ39を含むとよい。
【0037】
シートシステム1は、車室2の上面を画定するルーフ40(天井)に設けられ、車室2の内部を照らす照明である室内灯41を含む。本実施形態では室内灯41は各シート本体5の前上方に設けられている。室内灯41はそれぞれ入力される信号に応じて、点灯及び消灯が可能であり、更に、その明るさが変更可能である。すなわち、室内灯41は点灯制御、消灯制御、及び調光制御が可能である。
【0038】
シートシステム1は更に乗車したユーザからの入力を受け付ける第1センサ51及び第2センサ52(
図2参照)を有する。第1センサ51はシート本体5の内部に設けられ、そのシート本体5に着座したユーザからの入力を受け付ける。第1センサ51は各シート本体5のシートクッション10に設けられ、シートクッション10へのユーザの着座面13への着座を検知するセンサである。すなわち、第1センサ51は対応するシート本体5の着座面13を検知領域51Sとする着座センサである。本実施形態では、第1センサ51はシートクッション10の着座面13(上面)の圧力を検出する圧力センサによって構成されている。第1センサ51はシート本体5に着座したユーザの膝の上げ下げに応じた圧力の変化を検出することができる。但し、第1センサ51はその他のセンサであってもよく、例えば、シートクッション10又はシートバック11に設けられユーザの着座によってオンとなるメンブレンスイッチを複数含んでいてもよい。また、第1センサ51はシートクッション10又はシートバック11に設けられユーザの近接を検知する近接センサ、又は、シートバック11へのユーザの接触(タッチ)を検出するタッチセンサであってもよい。また、第1センサ51はユーザの接触によるシートクッション10又はシートバック11の表面の温度変化を検出する温度センサであってもよい。また、第1センサ51はユーザの接触によるシートクッション10又はシートバック11の表面の湿度変化を検出する湿度センサであってもよい。
【0039】
第2センサ52はシート本体5に着座したユーザからの到達可能な位置に設けられていればよく、車室2を画定するいかなる部材に設けられてもよい。第2センサ52はそれぞれ、センサが設けられた部材の車内側の面の所定領域(以下、タッチ領域52S)へのユーザの接触を検知するためのセンサである。第2センサ52はそれぞれユーザの接触によってタッチ領域52Sに加わる圧力、タッチ領域52Sに加わる閾値以上の荷重、ユーザのタッチ領域52Sへの近接、ユーザの接触によるタッチ領域52Sの温度変化、及びユーザの接触によるタッチ領域52Sの湿度変化の少なくとも1つに基づいて、ユーザの接触を検知するとよい。すなわち、第2センサ52はタッチ領域52Sに加わる圧力を検知する圧力センサ、タッチ領域52Sに加わる荷重によってオンとなるメンブレンスイッチ、タッチ領域52Sへの近接を検知する近接センサ、タッチ領域52Sの温度を検知する温度センサ、及びタッチ領域52Sの湿度を検知する湿度センサの少なくとも1つを含んでいるとよい。
【0040】
本実施形態では、
図2に示すように、第2センサ52はフロントシート本体5Aの内部に設けられ、フロントシート本体5Aのシートバック11の背面上部をタッチ領域53Sとするセンサ53を含む。更に、第2センサ52はミッドシート本体5Bの内部に設けられ、ミッドシート本体5Bのシートバック11の背面上部をタッチ領域54Sとするセンサ54を含む。
図1に示すように、第2センサ52は、更に、ドアトリム17、18それぞれの車内側の側面にタッチ領域55S、56Sが設けられたセンサ55、56と、リアサイドトリム19の車内側の側面にタッチ領域57Sが設けられたセンサ57と
、インストルメントパネル20の車内側の面にタッチ領域58Sが設けられたセンサ58とを含む。第2センサ52は更に、ルーフ40(天井)に設けられ、ルーフ40の車内側の面にタッチ領域59Sが設定されたセンサ59を含んでいてもよい。第2センサ52はまた、窓柱を構成するピラー60に設けられ、ピラー60の車内側の面にタッチ領域61Sが設けられたセンサ61を含んでいてもよい。タッチ領域58S、59S、60Sはそれぞれ、いずれかのシート本体5に着座したユーザから接触(タッチ)可能な位置に設けられているとよい。
【0041】
シートシステム1は更に、第1センサ51それぞれと、第2センサ52それぞれと、前後動アクチュエータ36それぞれと、傾動アクチュエータ37それぞれと、室内灯41それぞれとに接続された制御装置70を有する。制御装置70は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、ドライバ等から構成された電子制御ユニット(ECU)である。制御装置70は、第1センサ51及び第2センサ52からの信号を受信するとともに、前後動アクチュエータ36、傾動アクチュエータ37、及び室内灯41に信号を送信して、前後動アクチュエータ36、傾動アクチュエータ37、及び室内灯41に適宜出力させることによって、それぞれ制御する。
【0042】
シートシステム1は更に、乗車したユーザに保持されたアプリケーション実行装置72を有する。アプリケーション実行装置72はタッチパネル73、メモリ、及び中央演算処理装置(以下、処理装置74)を備えたいわゆるスマートフォンである。タッチパネル73は情報を表示する表示部として機能するとともに、ユーザからの接触による入力を受け付ける入力部として機能する。処理装置74は車両Sに設けられた制御装置70と無線により通信し、第1センサ51及び第2センサ52による検知結果を取得することができる。また、処理装置74は制御装置70に所定の信号を送信することによって、前後動アクチュエータ36、傾動アクチュエータ37、及び室内灯41をそれぞれ制御することができる。
【0043】
処理装置74はユーザからのセンサへの入力に応じて、タッチパネル73に表示されたキャラクタを移動させる100m走のゲームアプリケーションを実行可能である(
図4(A)及び
図5(C)参照)。以下では、処理装置74において実行されるゲームアプリケーションにおいて行われる処理の詳細について、
図3、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0044】
処理装置74はまず、
図3に示すように、ユーザの参加意志が入力される参加受付画面80(
図4(A)参照)をタッチパネル73に表示して、ユーザからの参加意志を示す入力を受け付ける(ST1)。参加受付画面80においては、参加意志があることに対応する「はい」の入力ボタンと、参加意志がないことに対応する「いいえ」の入力ボタンとが含まれる。
【0045】
参加受付画面80において処理装置74は「はい」の入力ボタンへのタッチを検出すると、
図3に示すように、処理装置74はタッチパネル73にセンサ選択画面81(
図4(B)参照)を表示し、ユーザに操作入力を行う1つのセンサ(以下、操作入力センサ)を選択させる選択受付処理を実行する(ST2)。参加受付画面80において処理装置74は「いいえ」の入力ボタンへのタッチを検出すると、アプリケーションを終了させる。
【0046】
選択受付処理において、処理装置74はまず、制御装置70と例えば、Bluetooth(登録商標)による無線通信を行うことによってアプリケーション実行装置72の位置を取得する。処理装置74は取得されたアプリケーション実行装置72の位置から、アプリケーション実行装置72を保持するユーザの着座位置を推定する。次に、処理装置74は推定されたユーザの着座位置に基づいて、ユーザが着座する面、すなわち着座面13を推定し、着座面13へのタッチを検出する第1センサ51を第1入力センサに決定する。
【0047】
更に、処理装置74は推定されたユーザの着座位置に基づいて、第2センサ52の中から着座したユーザが到達可能であり、且つ、ユーザが着座するシート本体5の外部に設けられたセンサを抽出し、第2入力センサを決定する。本実施形態では、処理装置74は第2センサ52の中から2つの第2入力センサである第2前入力センサ及び第2横入力センサを決定する。より具体的には、処理装置74はユーザの前方に位置し、着座したユーザが到達可能なセンサを第2前入力センサに、ユーザの側方に位置し、着座したユーザが到達可能なセンサを第2横入力センサにそれぞれ決定する。
【0048】
本実施形態では、ユーザの着座位置がミッドシート本体5B(後席シート本体)である場合には、処理装置74はミッドシート本体5Bのシートクッション10に設けられた第1センサ51を第1入力センサに決定する。更に、処理装置74はユーザが着座するミッドシート本体5Bの前側のフロントシート本体5A(前席シート本体)のシートバック11の背面上部に設けられた第2センサ52を第2前入力センサに決定する。第2前入力センサはユーザのフロントシート本体5Aのシートバック11の背面上部への接触を検知する。
【0049】
ユーザの着座位置がフロントシート本体5Aである場合には、インストルメントパネル20への接触を検知する第2センサ52を第2前入力センサに決定する。ユーザの着座位置がリアシート本体5Cである場合には、ミッドシート本体5Bのシートバック11の背面上部に設けられ、ユーザのミッドシート本体5Bのシートバック11の背面上部への接触を検知する第2センサ52を第2前入力センサに決定する。
【0050】
本実施形態では、処理装置74はユーザの着座位置がミッドシート本体5Bであるときには、ミッドシート本体5Bの側方に位置するリアドア16のドアトリム17に設けられた第2センサ52を第2横入力センサに決定する。同様に、ユーザがフロントシート本体5Aに着座しているときには、フロントシート本体5Aの側方に位置するフロントドア15のドアトリム18に設けられた第2センサ52を第2横入力センサに決定する。ユーザがリアシート本体5Cに着座しているときには、リアシート本体5Cの側方に位置するリアサイドトリム19に設けられた第2センサ52を第2横入力センサに決定する。
【0051】
次に、処理装置74は第1センサ51と、第2前センサと、第2横センサの位置をそれぞれ、タッチパネル73に表示する。このとき、
図4(B)に示すように、処理装置74はユーザの着座位置に基づいて車室2内の画像を構成し、タッチパネル73に表示するとよい。
【0052】
同時に、処理装置74は
図4(B)に示すように、タッチパネル73に第1センサ51に対応する「A」ボタンと、第2前センサに対応する「B」ボタンと、第2横センサに対応する「C」ボタンとを表示する。その後、処理装置74はタッチパネル73の各ボタンへのタッチを検知することによってユーザの選択を受け付ける。処理装置74は、センサ選択画面81において「A」ボタン、「B」ボタン、又は「C」ボタンへのタッチを検知すると、処理装置74はユーザの選択結果を操作入力センサのIDとしてメモリに保存し、選択受付処理を完了する。このとき、本実施形態では、処理装置74はタッチが検知されたボタンを示すID(例えば、「A」「B」「C」等)を操作入力センサのIDとしてメモリに記憶する。
【0053】
選択受付処理が完了すると、処理装置74はユーザの着座位置がフロントシート本体5A、又はミッドシート本体5Bであるかを判定する(ST3)。着座位置がフロントシート本体5A又はミッドシート本体5Bであるときには、シート本体5の自動調節の受付を行い(ST4)、着座位置がリアシート本体5Cであるときには、シート本体5の自動調節の受付を行うことなく、室内灯41の自動調節の受付を行う。
【0054】
図3に示すように、シート本体5の自動調節の受付を行うときに、処理装置74はタッチパネル73にシート調節受付画面82(
図4(C)参照)を表示して、ユーザのシート調節処理の実行を希望する意志を示す入力を受け付ける(ST4)。シート調節受付画面82においては、シート本体5の自動調節の実行を希望する意志があることに対応する「はい」の入力ボタンと、意志がないことに対応する「いいえ」の入力ボタンとが表示される。
【0055】
シート調節受付画面82において「はい」ボタンへのタッチを検知すると、処理装置74は調節機構25のアクチュエータ35を駆動して、ユーザの着座するシート本体5をユーザがゲームを行い易いように変位させるシート調節処理を行う(ST5)。ここでいう変位はシート本体5の平行移動、回転、及び変形を含み、少なくとも、シートクッション10のフロア3に対する前後動と、シートバック11のシートクッション10に対する傾動とを含む。本実施形態では、シート調節受付画面82において「はい」ボタンへのタッチを検知すると、処理装置74は制御装置70を介して前後動アクチュエータ36を駆動させ、ユーザの着座するシート本体5を可能な限り後方へ移動させる。更に、処理装置74は制御装置70を介して傾動アクチュエータ37を駆動させ、ユーザの着座するシート本体5のシートバック11をユーザの着座するシート本体5のシートクッション10に対して可能な限り前方に傾動させる。これにより、シートバック11は起立した姿勢となる。
【0056】
調節機構25が回転機構28を含む場合には、処理装置74はシート調節処理において、シート本体5を回転させて、ユーザがゲームを行いやすい位置にシート本体5を変位(移動)させるとよい。より具体的には、処理装置74はシート調節処理において、シート本体5を前方に向くように回転させるとよい。これにより、ユーザによりゲームを楽しむ環境を提供することができる。
【0057】
シート本体5の変位が完了すると、
図3に示すように、処理装置74は室内灯41の自動調節を受け付ける室内灯調節受付画面83(
図5(A)参照)を表示し、ユーザの室内灯自動調節の実行を希望する意志を示す入力を受け付ける(ST6)。
【0058】
室内灯調節受付画面83において「はい」ボタンへのタッチを検知すると、処理装置74は室内灯41をオフにする(ST7)。室内灯41がオフになると、処理装置74は、
図3に示すように、タッチパネル73にゲーム実行画面84(
図5(B)参照)を表示する。室内灯調節受付画面83において「いいえ」ボタンへのタッチを検知すると、処理装置74は室内灯41のオン、オフを切り替えることなく、タッチパネル73にゲーム実行画面84を表示する。
【0059】
処理装置74はゲーム実行画面84を表示すると、メモリを参照して、ユーザが選択した操作入力センサのIDを取得する。その後、処理装置74はユーザが選択した操作入力センサによって検知された信号に基づいて、タッチパネル73に表示されたキャラクタをゴールへ向けて移動させる100m走のアプリケーションを実行する実行処理を行う(ST8)。より具体的には、メモリにAボタンに対応するIDが操作入力センサのIDとして保存されているときには、処理装置74は制御装置70を介して第1入力センサによって検知された信号を取得する。その後、処理装置74は、第1入力センサによって検知された信号に基づいて、タッチパネル73に表示されたキャラクタを移動させる。本実施形態では、処理装置74は、第1入力センサによって検出されたシート本体5に着座したユーザの膝の上げ下げに応じてキャラクタを前進させるように構成されているとよい。
【0060】
メモリにBボタンに対応するIDが操作入力センサのIDとして保存されているときには、処理装置74は第2前入力センサによって検知された信号に基づいてキャラクタを移動させる。より具体的には、制御装置70は、第2前センサによって検出されたユーザの接触(タッチ)に応じてキャラクタを前進させるとよい。
【0061】
メモリにCボタンに対応するIDが操作入力センサのIDとして保存されているときには、処理装置74は第2横センサによって検知された信号に基づいてキャラクタを移動させる。より具体的には、制御装置70は、第2横入力センサによって検出されたユーザの接触(タッチ)に応じてキャラクタを前進させるとよい。
【0062】
但し、処理装置74は、操作入力センサによって検知された信号の大きさに応じて、キャラクタの移動量を変更するとよい。キャラクタがゴールに達すると、処理装置74はタッチパネル73にゴールに達するまでに要した時間(タイム)や消費カロリー等を含む結果表示画面85(
図5(C)参照)を表示し、その後、アプリケーションを終了する。
【0063】
次に、このように構成したシートシステム1の動作について説明する。例えば、ミッドシート本体5Bに着座したユーザが100m走のゲームのアプリケーションを起動すると、アプリケーション実行装置72のタッチパネル73に参加受付画面80が表示される。ユーザが「はい」のボタンにタッチすると、センサ選択画面81が表示される。このとき、処理装置74は第1センサ51の中から、ユーザが着座する着座面13への接触を検出するセンサを選択して第1入力センサに設定する。また、処理装置74は、第2センサ52の中からフロントシート本体5Aのシートバック11の背面に設けられ、その背面へのユーザの接触を検知するセンサを第2前入力センサに設定する。また、処理装置74はミッドシート本体5Bの側方に位置するリアドア16に設けられたドアトリム18に設けられ、その車内側の面へのユーザの接触を検知するセンサを第2横入力センサに設定する。その後、処理装置74はセンサ選択画面81に第1入力センサ、第2前入力センサ、及び第2横入力センサの位置と、それぞれに対応するボタンとをタッチパネル73に表示する。これにより、ユーザは、第1入力センサ、第2前入力センサ、及び第2横入力センサの中から操作入力センサを選択することができる。
【0064】
その後、ユーザがセンサ選択画面81に表示されたボタンにタッチしてセンサを選択すると、処理装置74はタッチパネル73にシート調節受付画面82を表示する。ユーザがシート調節受付画面82に表示された「はい」のボタンにタッチすると、ミッドシート本体5Bが可能な限り後方へ移動する。これにより、フロントシート本体5A及びミッドシート本体5Bの間の距離が大きくなり、ユーザが着座するミッドシート本体5Bは着座したユーザが脚の上下動を行い易い位置に配置される。同時にユーザが着座するミッドシート本体5Bのシートバック11がシートクッション10に対して起立し、ミッドシート本体5Bは着座したユーザが脚の上下動を行い易い形状となる。これにより、アプリケーション実行装置72はシート本体5を車内のユーザがよりゲームを楽しむことのできる位置及び形状となるように調節することができる。すなわち、アプリケーションの利用に適するようにシート本体5の位置及び形状が調節され、ユーザによりゲームを楽しむ環境を提供することができる。
【0065】
次に、処理装置74はアプリケーション実行装置72のタッチパネル73には室内灯調節受付画面83を表示する。ユーザが室内灯調節受付画面83の「はい」のボタンにタッチすると、室内灯41は消灯とされる。これにより、ユーザはタッチパネル73の画面表示を認識し易くなる。これにより、よりゲームを楽しむことのできる環境がユーザに提供される。
【0066】
その後、処理装置74はタッチパネル73にゲーム実行画面84を表示する。ユーザは自らが選択した操作入力センサに入力することによってキャラクタを移動させる。すなわち、第1センサ51、及び第2センサ52の中から選択された操作入力センサがアプリケーション実行装置72のアプリケーションコントローラを構成している。キャラクタがゴールに達すると処理装置74は100m走のゲームアプリケーションを終了させる。
【0067】
次に、このように構成したシートシステム1の効果について説明する。センサ選択画面81において、ユーザは、第1入力センサ、第2前入力センサ、及び第2横入力センサの中からキャラクタを操作するための入力を行う操作入力センサを選択することができる。これにより、車室2に第1センサ51のみが設けられた場合に比べて、ユーザが入力することのできるセンサの数を増やすことができる。よって、例えば、足の不自由なユーザが第2前センサ又は第2横センサを選択し、ゲームを楽しむことができる。すなわち、シートシステム1によってより多くのユーザに対応した操作入力方法を提供することができる。また、アプリケーション実行装置72によって実行されるゲームアプリケーションの操作手段を増やすことができる。これにより、より多くのユーザがゲームアプリケーションを楽しむことができ、ユーザにより多彩なアプリケーションを提供することができる。
【0068】
ユーザが着座するシート本体5のシートクッション10に設けられたセンサが第1入力センサに設定される。これにより、第1センサ51をユーザから入力し易い位置に設けることができる。また、ユーザはシート本体5に着座した状態でゲームアプリケーションを操作することができ、ゲームアプリケーションの操作が容易である。
【0069】
ユーザが着座するシート本体5の前方に位置するインストルメントパネル20又はシートバック11の背面に設けられたセンサが第2前入力センサに設定される。これにより、ユーザが入力し易い位置に設けられたセンサを第2前入力センサに設定することができる。
【0070】
ユーザが着座するシート本体5の側方に位置するドアトリム17、18又はリアサイドトリム19に設けられたセンサが第2横入力センサに設定される。これにより、ユーザが入力し易い位置に設けられたセンサを第2横入力センサに設定することができる。
【0071】
上記実施形態では、ゲームアプリケーションには、ユーザに第1センサ51、第2前センサ、及び第2横センサの中から少なくとも1つのセンサを選択させる選択処理と、選択されたセンサからの信号に基づいてキャラクタを移動させる実行処理とが含まれる。これにより、ユーザが意図せず選択したセンサ以外のセンサにタッチした場合であっても、キャラクタが移動せず、選択したセンサ以外のセンサへの入力による誤動作を防止することができる。また、ユーザが第1入力センサ及び第2入力センサからゲームアプリケーションを操作するために用いるセンサ、すなわち操作入力センサを選択することができるため、ユーザはゲームアプリケーションの操作に適したセンサを自ら選択することができる。
【0072】
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係るシートシステム101は、アプリケーション実行装置72の構成、100m走のゲームアプリケーションに含まれる選択受付処理、シート調節処理、及び実行処理の詳細が第1実施形態とは異なり、他の構成については第1実施形態と同様である。よって、他の構成については説明を省略する。
【0073】
本実施形態に係るアプリケーション実行装置72は
図6に示すように、GPS受信機102を備え、アプリケーション実行装置72の処理装置74は公衆回線通信によって、インターネット等のネットワーク103を介して天気情報を保持するサーバ104に接続可能となっている。
【0074】
処理装置74は選択受付処理において、GPS受信機102を介して人工衛星からの信号を受信し、アプリケーション実行装置72の位置を取得する。その後、処理装置74はネットワーク103を介して天気情報を保持するサーバ104に接続する。その後、処理装置74はサーバ104からそのアプリケーション実行装置72の位置において予測される外気温を取得する。予測される外気温が所定の閾値以上であるときには、処理装置74は第1センサ51を選択し、選択結果である第1センサ51のIDをメモリに保存する。このとき、処理装置74は外気温が閾値以上であるため、タッチパネル73に外気温が閾値以上であるため、操作入力センサを処理装置74が選択したことをユーザに通知する画面をタッチパネル73に表示するとよい。予測される外気温が所定の閾値未満であるときには、第1実施形態と同様に、タッチパネル73に、第1入力センサ、第2前入力センサ及び第2横入力センサの位置と、「A」~「C」ボタンとを表示する。その後、処理装置74はタッチパネル73の各ボタンへのタッチを検知することによってユーザの操作入力センサの選択を受け付け、操作入力センサのIDをメモリに保存する。
【0075】
処理装置74はシート調節処理において、サーバ104からの情報に基づいて調節機構25の作動量を制御する。より具体的には、処理装置74はシート調節処理において外気温が閾値以上であるときには、外気温が閾値未満である場合に比べて、シートバック11がシートクッション10に対して若干後方に傾いた位置となるように傾動アクチュエータ37の作動量を制御し、シート本体5を変形させる。
【0076】
処理装置74は、実行処理において外気温が閾値以上であるときには、外気温が閾値未満である場合に比べて、第1入力センサへの入力に対してより早くキャラクタを移動させる。すなわち、処理装置74は実行処理において外気温が閾値以上であるときに、第1入力センサへの入力に対するキャラクタ移動速度を高める。
【0077】
第2実施形態に係るシートシステム101の動作、及び効果について説明する。選択受付処理において外気温度が閾値以上と予測されるとき、例えば夏日等において、処理装置74によって第1センサ51が操作入力センサとして選択される。これにより、ユーザが第2前センサ又は第2横センサに入力を行う場合に比べて、ユーザがゲーム中に行う運動の量を低減することができる。これにより、予測される外気温が閾値以上となる場合、例えば夏日等において、ユーザがゲームを行うことによって体力を消耗し過ぎることを防止することができる。一方、外気温度が閾値未満であるときには、ユーザ自らが第1入力センサ、第2前入力センサ、及び第2横入力センサの中から操作入力センサを選択する。
【0078】
このように、第2実施形態に係るシートシステム101では、サーバ104に保持されたユーザの周辺環境に関連する情報である外気温に基づいて操作入力センサが選択される。すなわち、シートシステム1では、ユーザの周辺環境に適したセンサが操作入力センサに選択されて、ユーザはその操作入力センサに入力を行うことでゲームアプリケーションを操作することができる。これにより、シートシステム1の使い勝手が向上する。
【0079】
更に、本実施形態では、外気温が閾値以上であるときには、キャラクタは第1入力センサへの入力に対する移動速度が高められる。これにより、ユーザがゲーム中に行う運動の量を低減することができ、よりユーザにより適した環境を提供することができる。
【0080】
外気温が閾値以上であるときには、シートバック11がシートクッション10に対して若干後方に傾いた位置となる。これにより、外気温が閾値以上であるときに、ユーザの背中とシートバック11との間に隙間が生じ易くなる。これにより、ユーザはより涼しい環境でゲームを楽しむことができ、シート本体5がユーザにより適した形状となる。すなわち、処理装置74がサーバ104から情報に基づいてユーザの状況に合わせて傾動アクチュエータ37を制御することができるため、よりゲームを楽しむことのできる環境をユーザに提供することができる。
【0081】
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係るシートシステム201は第1実施形態に係るシートシステム1に比べて、スピーカ202を含む点が異なる。また、第3実施形態ではアプリケーション実行装置72において実行されるゲームの内容が第1実施形態とは異なり、参加受付画面80、選択受付処理及び実行処理が異なる。第3実施形態のその他の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
図7に示すように、シートシステム201は左右のフロントドア15のドアトリム17に設けられたスピーカ202Aと、左右のリアドア16のドアトリム18に設けられたスピーカ202Bと、左右のリアサイドトリム19に設けられたスピーカ202Cとを有している。スピーカ202A、202B、202Cは対応するトリム17、18、19の車外側の側面に結合され、所定の信号線を介して、制御装置70に接続されている。各スピーカは制御装置70からの信号に基づいて車室2の内部に向けて音声を発生させる。すなわち、制御装置70は各スピーカ202A、202B、202Cから出力される音声を制御可能である。制御装置70はアプリケーション実行装置72の処理装置74からの信号を受信して、各スピーカに信号を出力する。
【0083】
アプリケーション実行装置72において実行されるゲームアプリケーションはゲーム実行画面284(
図8参照)に示すように、ユーザが音楽に合せてセンサに入力を行うものである。
【0084】
処理装置74は選択受付処理において、第1実施形態と同様に、センサ選択画面81に第1入力センサ、第2前入力センサ、及び第2横入力センサとを表示して、ユーザから2つの操作入力センサを受け付ける。処理装置74は2つの操作入力センサのIDをメモリに保存する。
【0085】
処理装置74は実行処理において、まずアプリケーション実行装置72を保持するユーザの着座位置を取得し、着座位置に最も近接したスピーカ202を出力スピーカとして抽出する。その後、処理装置74は、出力スピーカから所定の音楽を出力させる。このとき、処理装置74は音楽に対応するゲーム実行画面284(
図8参照)を表示するとともに、制御装置70を介して2つの操作入力センサからの信号を同時に取得する。処理装置74はこのときユーザに操作入力センサそれぞれへの入力指示をゲーム実行画面284に表示するとよい。更に、処理装置74は2つの操作入力センサからの信号に基づいて、音楽と操作入力センサそれぞれへのユーザの入力のタイミングとの一致度を算出して、結果を画面に表示するとよい。
【0086】
第3実施形態に係るシートシステム201の効果について説明する。第3実施形態に係るシートシステム201はスピーカ202を含んでいるため、音に合せて操作入力センサに入力を行うゲームアプリケーションを構成することができる。また、ゲームの実行に適するように、アプリケーション実行装置72は制御装置70を介してスピーカ202から音声を発生させることができる。これにより、アプリケーション実行装置72はユーザにより臨場感があり、よりゲームを楽しむことのできる環境を提供することができる。すなわち、アプリケーション実行装置72はアプリケーション実行装置72の利用に適した環境をユーザに提供することができる。
【0087】
処理装置74は2つの操作入力センサからの信号に基づいて実行処理を行う。これにより、アプリケーション実行装置72で実行させるゲームアプリケーションを複数の操作入力センサからの信号に基づいて操作することができる。これにより、ユーザに提供することのできるゲームアプリケーションのバリエーションを増やすことができる。
【0088】
以上で、具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、一つのアプリケーション実行装置72によって100m走のゲームアプリケーションが実行される例が記載されていたが、この態様には限定されない。例えば、アプリケーション実行装置72は互いに無線通信可能に構成され、複数台のアプリケーション実行装置72において100m走のゲームアプリケーションが同時に実行できるように構成してもよい。
【0089】
より具体的には、100m走のゲームをミッドシート本体5Bに2人のユーザが着座している場合に、2人で同時に100m走のゲームを楽しめるように構成してもよい。この場合には、1つのアプリケーション実行装置72においてゲームアプリケーションが起動されると、アプリケーション実行装置72は車内にある他のアプリケーション実行装置72に通知を行うように構成するとよい。また、
図9に示すように、アプリケーション実行装置72はタッチパネル73にそれぞれのユーザに対応するキャラクタを表示し、各操作入力センサへの入力に応じてキャラクタを前進させるように構成するとよい。これにより、ユーザがそれぞれ自らに適した操作入力センサを選択することができるため、着座センサへの入力が困難な身体の不自由なユーザも含めて複数人が同時にゲームを楽しむことができる。
【0090】
上記実施形態では車両Sに搭載されたシートシステム1、101、201について説明したが、この態様には限定されない。例えば、
図10に示すように、シートシステム301は着座可能なシート本体305(椅子)とデスク306(机)が配置された部屋302に設けられてもよい。デスク306にはアプリケーション実行装置72であるコンピュータが設けられ、デスク306上にはモニタ373が配置されている。シート本体305は、部屋302の下面を画定する床303上に設けられた支持台309と、支持台309に支持され、着座面313を構成するシートクッション310(着席部)と、背もたれを構成するシートバック311(背もたれ部)とを有しているとよい。支持台309には、支持台309を床303に対して前後及び左右に移動させ、且つ鉛直軸回りに回転させる調節機構325と、調節機構325の駆動を制御する制御装置370とが収容されている。調節機構325は複数の車輪325Aと、車輪325Aそれぞれの駆動を制御するモータ325Bとを含む。アプリケーション実行装置372はゲームアプリケーションが実行されたときに、制御装置370と無線通信することによってシート本体305の位置を取得する。その後、アプリケーション実行装置372は、制御装置370を介して調節機構325を作動させてシート本体305を前後左右に移動させ、更に、シート本体305を鉛直軸回りに回転させることで、ゲームをするのに適した位置にシート本体305を移動させるとよい。
【0091】
また、シート本体305の内部、より詳細にはシートクッション310の内部には、着座面313へのユーザの接触を検知する第1センサ351が設けられ、デスク306上にはユーザの接触を検知する第2センサ352が設けられているとよい。アプリケーション実行装置372は、シート本体305に着座したユーザからの第1センサ351及び第2センサ352への操作入力に応じて、ゲームアプリケーションを実行するとよい。
【0092】
また、シートシステム1はシート本体5と、シート本体5の形状を変化させるエアセル及びエアセルの内部に空気を給排する給排装置を備えたエアセル調節機構とを有し、エアセル調節機構は制御装置70によって作動されるように構成してもよい。処理装置74はシート調節処理において、制御装置70を介してエアセル調節機構を作動させてシート本体5を変形させるとよい。より具体的には、処理装置74はシート調節処理において給排装置を駆動させてエアセル内部の空気を排気するとよい。これにより、ゲームアプリケーションが実行されるときにユーザが動きやすくなり、ユーザにゲームを楽しむことのできる環境を提供することができる。
【0093】
シートシステム1はシートバック11の上部を下部に対して左右方向を軸線として回転させる中折れ機構を備えたシート本体5を有し、中折れ機構は制御装置70によって作動されるように構成してもよい。処理装置74はシート調節処理において、制御装置70を介して中折れ機構を作動させて、ゲームするのに適した形状にシート本体5を変形させるとよい。
【0094】
また、シートシステム1はシートバック11に対して変位可能に支持されたアームレスト380(
図7参照)を有するシート本体5と、アームレスト380をシートバック11に対して変位させるアームレスト調節機構381とを有するときには、アームレスト調節機構381は制御装置70によって作動されるように構成してもよい。処理装置74はシート調節処理において、制御装置70を介してアームレスト調節機構381を作動させてアームレスト380を変位させるとよい。
【0095】
上記実施形態において、アプリケーション実行装置72は実行処理の前に調節機構25を作動させるように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、アプリケーション実行装置72はゲームの展開に応じて、調節機構25を作動させるように構成されていてもよい。また、アプリケーション実行装置72はゲームの展開に応じて、室内灯41の明るさを変更するように構成するとよい。
【0096】
上記実施形態において、アプリケーション実行装置72はスマートフォンであったが、この態様には限定されない。アプリケーション実行装置72はタブレット、スレートPC、又はカーナビゲーションシステムによって構成されていてもよい。
【0097】
また、
図7に示すように、第2センサ52は、車室2の下面を画定するフロア3に設けられ、フロア3に対するユーザの接触(タッチ)を検知するセンサ401を含んでいてもよい。また、第2センサ52はセンタコンソール402に設けられ、センタコンソール402へのユーザの接触(タッチ)を検知するセンサ403を含んでいてもよく、また、第2センサ52はウィンドウ404に設けられ、それぞれに対する接触(タッチ)を検知するセンサ405を含んでいてもよい。また、第1センサ51は、シートバック11の内部に設けられ、シートバック11の左右側部に設けられ前方に突出するボルスタ部406の前面へのユーザの接触を検知するセンサ407を含んでいてもよい。また、ドアトリム17、18又はシート本体5にアームレスト408が設けられているときには、第1センサ51及び第2センサ52はそれぞれアームレスト408に対する接触(タッチ)を検知するセンサ409を含んでいてもよい。
【0098】
上記第2実施形態において、処理装置74はサーバ104から予測される気温を取得するように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、処理装置74はサーバ104から予測される天気、湿度又は降水量を取得し、取得した情報に基づいて、調節機構25の作動量を制御するように構成されていてもよい。
【0099】
上記第3実施形態では、アプリケーション実行装置72、372は2つの操作入力センサからの信号に基づいてゲームアプリケーションを実行していたがこの態様には限定されない。アプリケーション実行装置72、372は第1センサ51、351又は第2センサ52、352に含まれる3つ以上のセンサからの信号に基づいて、ゲームアプリケーションを実行してもよい。
【0100】
上記実施形態では、調節機構25はスライド機構26、リクライニング機構27、シートクッション10をフロア3に対して鉛直軸回りに回転させる回転機構28、及びハイト調節機構29を含んでいたが、調節機構25はこれらには限定されない。調節機構24は、例えば、フロア3の少なくとも一部を回転させるフロア回転機構を含んでいてもよい。このとき、フロア3は車体を構成するフレームに固定され円形の開口部を有する板状の固定部と、開口部に収容されるとともに固定部と面一をなす円盤状の可動部を含むとよい。可動部は車体を構成するフレームに対して鉛直方向を軸線とする回転可能に支持され、フロア回転機構は可動部をフレームに対して回転させるモータを含むとよい。
【0101】
また、調節機構25は左右方向を軸線としてシート本体5を回転させる回転機構を含んでいてもよい。このとき、シート本体5が車体を構成するフレームに左右方向を軸線とする回転可能に支持され、調節機構25はシート本体5を回転させるモータを含むとよい。
【0102】
シート本体5がシートクッション10の前方に設けられたオットマンを含む場合には、調節機構25はオットマンを変位させる変位機構を含んでいてもよい。また、シートクッション10の前後に伸縮自在である場合には、調節機構25はシートクッション10を伸縮させて、前後長を変更するアクチュエータを含んでいてもよい。
【0103】
また、シートシステム1はシート本体5、より詳細にはシートクッション10又はシートバック11に設けられたヒータ501(
図7参照)を含んでいてもよい。このとき、制御装置70はヒータ501に接続されて、ヒータ501に印加する電圧を調節可能であるとよい。これにより、制御装置70はヒータ501の発熱量を変更可能となる。これにより、アプリケーション実行装置72は制御装置70に信号を送信し、ヒータ501の発熱量を調節することができる。よって、シートシステム1はユーザによりアプリケーションの利用に適した環境を提供することができる。
【0104】
また、シートシステム1は車室内の空調を行う空調装置502(
図7参照)を含み、制御装置70は空調装置502に接続されて空調装置502を制御可能であってもよい。空調装置502は車室内の温度や湿度などを調節する装置であり、いわゆるエアー・コンディショナーであってよい。
【0105】
また、シートシステム1はシート本体5の内部に収容され、着座したユーザに振動を伝えるための振動デバイスを含んでいてもよい。このとき、制御装置70は振動デバイスに接続され、振動デバイスを制御可能であるとよい。制御装置70はアプリケーションの実行内容に合わせて、振動デバイスを駆動させるとよい。
【0106】
上記実施形態では、アプリケーション実行装置72、372においてゲームアプリケーションが実行されていたが、この態様には限定されない。アプリケーション実行装置72、372において、例えば、文書作成やイラストの作成のためのアプリケーションが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 :第1実施形態に係るシートシステム
5 :シート本体
5A :フロントシート本体(前席シート本体)
5B :ミッドシート本体(後席シート本体)
10 :シートクッション
11 :シートバック
13 :着座面
15 :フロントドア
16 :リアドア
17 :ドアトリム
18 :ドアトリム
51 :第1センサ
52 :第2センサ
72 :アプリケーション実行装置
73 :タッチパネル
101 :第2実施形態に係るシートシステム
201 :第3実施形態に係るシートシステム
301 :別実施形態に係るシートシステム
305 :シート本体
310 :シートクッション
311 :シートバック
351 :第1センサ
352 :第2センサ
372 :アプリケーション実行装置
373 :モニタ