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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】熱源ユニット及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/20 20210101AFI20230913BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230913BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
F25B41/20 Z
F25B1/00 101G
F25B1/00 101Z
F25B49/02 520C
F25B49/02 520H
F25B49/02 520K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021207527
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023092358
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】近藤 東
(72)【発明者】
【氏名】阪江 覚
(72)【発明者】
【氏名】冨田 千晴
(72)【発明者】
【氏名】浮田 一輝
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075259(JP,A)
【文献】特開平09-273839(JP,A)
【文献】特開2016-205729(JP,A)
【文献】国際公開第2013/080914(WO,A1)
【文献】米国特許第06076367(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/20
F25B 1/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用ユニット(5)と接続されることにより、冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を構成する熱源ユニット(2)であって、
冷媒を圧縮する圧縮機(21)と、
前記冷媒の凝縮器として用いられる第1熱交換器(24)と、
前記第1熱交換器を凝縮器として用いる通常運転時に、前記第1熱交換器から出た前記冷媒を溜めるレシーバ(26)と、
前記第1熱交換器をバイパスして、前記圧縮機の吐出側と前記レシーバとを接続する第1流路(P1)と、
前記第1流路を開閉する第1弁(V1)と、
を備え、
前記レシーバは、前記通常運転時の前記冷媒回路における前記第1熱交換器と前記利用ユニットの間に設けられ、
前記冷媒回路内の冷媒量を検知するための冷媒量検知運転時に、前記第1弁が開く、
熱源ユニット。
【請求項2】
前記通常運転時に、前記第1弁を閉め、かつ、前記冷媒量検知運転時に、前記第1弁を開ける、制御部(81)をさらに備える、
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
前記第1熱交換器と接続され、前記レシーバをバイパスする第2流路(P2)をさらに備え、
前記冷媒量検知運転時に、前記冷媒は、前記第1熱交換器から前記第2流路に流れる、
請求項1または2に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
前記第2流路を開閉する第2弁(V2)をさらに備える、
請求項3に記載の熱源ユニット。
【請求項5】
前記通常運転時に、前記レシーバの下流側に配置される第3弁(V3)をさらに備え、
前記冷媒量検知運転時に、前記第3弁の開度が小さくなる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱源ユニット。
【請求項6】
前記第1熱交換器と接続され、前記レシーバをバイパスする第2流路(P2)をさらに備え、
前記第2流路は、前記第3弁をバイパスする、
請求項5に記載の熱源ユニット。
【請求項7】
前記第1熱交換器と接続され、前記レシーバをバイパスする第2流路(P2)と、
前記第2流路を開閉する第2弁(V2)と、
をさらに備え、
前記冷媒量検知運転時には、前記第1弁が開いた後に、前記第2弁が開くとともに、第3弁の開度が小さくなる、
請求項5または6に記載の熱源ユニット。
【請求項8】
前記冷媒量検知運転は、前記第1熱交換器を凝縮器として用いるときの凝縮器出口温度、前記冷媒回路の高圧、前記冷媒回路の低圧、前記レシーバの出口温度、外気温、蒸発温度、及び前記圧縮機の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量の検知を行う、
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱源ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱源ユニットと、
前記熱源ユニットと接続され、第2熱交換器を含む利用ユニットと、
を備える、
冷凍装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱源ユニット及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2015-75259号公報)には、利用側熱交換機から要求される熱負荷に応じた冷凍サイクル運転である通常運転と、冷媒回路内の冷媒量の適否を判定するための冷凍サイクル運転である冷媒量判定運転とを切り換えて行うことが可能な冷凍装置が開示されている。特許文献1の冷凍装置では、冷媒量判定運転において、レシーババイパス管に冷媒を流して、レシーバをバイパスさせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の冷凍装置において、通常運転時には、レシーバは高温となり、冷媒量判定運転時には、レシーバは低温となる。このため、冷媒量判定運転を頻繁に行うと、レシーバの高温状態と低温状態とが繰り返されることに起因して、レシーバ外殻の結露、配管接続部への熱応力作用などの現象が起こる。したがって、特許文献1の冷凍装置では、この現象に耐えるために、塗装やろう付けを行う必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る熱源ユニットは、利用ユニットと接続されることにより、冷凍サイクルを行う冷媒回路を構成する熱源ユニットである。熱源ユニットは、圧縮機と、第1熱交換器と、レシーバと、第1流路と、第1弁と、を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する。第1熱交換器は、冷媒の凝縮器として用いられる。レシーバは、第1熱交換器を凝縮器として用いる通常運転時に、第1熱交換器から出た冷媒を溜める。第1流路は、第1熱交換器をバイパスして、圧縮機の吐出側とレシーバとを接続する。第1弁は、第1流路を開閉する。冷媒回路内の冷媒量を検知するための冷媒量検知運転時に、第1弁が開く。
【0005】
第1観点の熱源ユニットによれば、冷媒量検知運転時に第1弁が開くので、圧縮機から吐出される冷媒を、第1熱交換器をバイパスする第1流路を介して、レシーバに送ることができる。これにより、レシーバ内の液冷媒を冷媒回路に押し出して、レシーバをガス冷媒で充満させた状態で、冷媒量検知運転を行うことができる。このため、冷媒量検知運転を行っても、レシーバは高温状態を維持できる。したがって、冷媒量検知運転の頻度を上げても、レシーバ外殻の結露、配管接続部への熱応力作用などの現象を減らすことができる。
【0006】
第2観点に係る熱源ユニットは、第1観点の熱源ユニットであって、制御部をさらに備える。制御部は、通常運転時に、第1弁を閉め、かつ、冷媒量検知運転時に、第1弁を開ける。
【0007】
第2観点に係る熱源ユニットでは、第1熱交換器を凝縮器として用いる通常運転時に、第1弁を閉めて、第1流路を使わない。このため、通常運転と冷媒量検知運転とを適切に行うことができる。
【0008】
第3観点に係る熱源ユニットは、第1観点または第2観点の熱源ユニットであって、第2流路をさらに備える。第2流路は、第1熱交換器と接続され、レシーバをバイパスする。冷媒量検知運転時に、冷媒は、第1熱交換器から第2流路に流れる。
【0009】
第3観点に係る熱源ユニットでは、冷媒量検知運転時に、第2流路に冷媒を流すことによって、レシーバに冷媒を送ることを減らすことができる。このため、レシーバに液冷媒が溜まることを抑制できるので、冷媒量検知運転において、冷媒量を検知する精度を高めることができる。
【0010】
第4観点に係る熱源ユニットは、第3観点の熱源ユニットであって、第2弁をさらに備える。第2弁は、第2流路を開閉する。
【0011】
第4観点に係る熱源ユニットでは、冷媒量検知運転時に、第2弁を開けることによって、第2流路に冷媒を流すことができるとともに、通常運転時に、第2弁を閉めることによって、第2流路に冷媒を流すことを抑制できる。このため、通常運転と冷媒量検知運転とをより適切に行うことができる。
【0012】
第5観点に係る熱源ユニットは、第1観点から第4観点の熱源ユニットであって、第3弁をさらに備える。第3弁は、通常運転時に、レシーバの下流側に配置される。冷媒量検知運転時に、第3弁の開度が小さくなる。
【0013】
第5観点に係る熱源ユニットでは、冷媒量検知運転時に、レシーバの下流に配置された第3弁の開度を小さくすることによって、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制できる。
【0014】
第6観点に係る熱源ユニットは、第5観点の熱源ユニットであって、第2流路をさらに備える。第2流路は、第1熱交換器と接続され、レシーバをバイパスする。第2流路は、第3弁をさらにバイパスする。
【0015】
第6観点に係る熱源ユニットでは、冷媒量検知運転時に、レシーバ及び第3弁をバイパスする第2流路に冷媒を流すことができる。このため、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制しつつ、冷媒量検知運転を行うことができる。
【0016】
第7観点に係る熱源ユニットは、第5観点または第6観点の熱源ユニットであって、第2流路と、第2弁と、をさらに備える。第2流路は、第1熱交換器と接続され、レシーバをバイパスする。第2弁は、第2流路を開閉する。冷媒量検知運転時には、第1弁が開いた後に、第2弁が開くとともに、第3弁の開度が小さくなる。
【0017】
第7観点に係る熱源ユニットでは、第1弁が開くことによって、レシーバ内の液冷媒を押し出した後に、第2弁が開くことによって、レシーバ内に液冷媒が溜まることを抑制できるとともに、第3弁の開度が小さくなることによって、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制できる。このため、液冷媒の密度を保ちつつ、冷媒量を検知することができる。
【0018】
第8観点に係る熱源ユニットは、第1観点から第7観点の熱源ユニットであって、冷媒量検知運転は、第1熱交換器を凝縮器として用いるときの凝縮器出口温度、冷媒回路の高圧、冷媒回路の低圧、レシーバの出口温度、外気温、蒸発温度、及び圧縮機の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量の検知を行う。
【0019】
第8観点に係る熱源ユニットでは、凝縮器出口温度、高圧、低圧、レシーバの出口温度、外気温、蒸発温度、及び圧縮機の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量を検知するので、冷媒量検知運転を容易に実現できる。
【0020】
第9観点に係る冷凍装置は、第1観点から第8観点の熱源ユニットと、利用ユニットと、を備える。利用ユニットは、熱源ユニットと接続され、第2熱交換器を含む。
【0021】
第9観点の冷凍装置では、上記熱源ユニットを備えているので、冷媒量検知運転の頻度を上げても、レシーバ外殻の結露、配管接続部への熱応力作用などの現象を減らす冷凍装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。
図2】実施形態に係る冷凍の制御ブロック図である。
図3】通常運転の冷却運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図4】冷媒量検知運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図5】冷媒量検知運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図6】冷媒量検知運転のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の一実施形態に係る冷凍装置について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(1)冷凍装置
(1-1)全体構成
図1に示すように、冷凍装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、低温倉庫、輸送コンテナ、店舗のショーケース等の庫内の冷却を行う装置である。
【0025】
冷凍装置1は、主として、熱源ユニット2と、利用ユニット5と、連絡配管6、7と、制御部8と、を有している。連絡配管6、7は、熱源ユニット2と利用ユニット5とを接続する。制御部8は、熱源ユニット2及び利用ユニット5の構成機器を制御する。そして、冷凍装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源ユニット2と、利用ユニット5と、連絡配管6、7とが接続されることによって構成されている。
【0026】
冷凍装置1は、通常運転と、冷媒量検知運転と、を行うことが可能に構成されている。冷媒量検知運転は、冷媒回路10内の冷媒量を検知するための冷凍サイクル運転である。通常運転は、冷媒量判定運転以外の運転である。また、通常運転は、利用ユニット5から要求される熱負荷に応じた冷凍サイクル運転である。ここでは、通常運転は、庫内の冷却を行う冷却運転と、庫内の加熱を行う加熱運転と、を含む。
【0027】
(1-2)機器の詳細構成
(1-2-1)熱源ユニット
熱源ユニット2は、屋外に設置されている。熱源ユニット2は、上記のように、連絡配管6、7を介して利用ユニット5に接続されており、冷凍サイクルを行う冷媒回路10の一部を構成している。
【0028】
次に、熱源ユニット2の構成について説明する。熱源ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、アキュムレータ23と、第1熱交換器24と、第1ファン25と、レシーバ26と、分岐配管27と、過冷却膨張弁28と、過冷却熱交換器29と、第1弁V1と、第2弁V2と、第3弁V3と、第1流路P1と、第2流路P2と、を有している。
【0029】
圧縮機21は、低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21として、例えば、インバータにより回転数が制御されるモータよって駆動される容積式圧縮機を用いることができる。
【0030】
圧縮機21は、吸入側に吸入管21aが接続されており、吐出側に吐出管21bが接続されている。吸入管21aは、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。吐出管21bは、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。
【0031】
吸入管21aには、アキュムレータ23が接続されている。アキュムレータ23は、流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21の吸入側へ流す。
【0032】
四路切換弁22は、冷媒の流路を切り換えるための弁である。四路切換弁22は、冷却運転時には、圧縮機21の吐出管21bと、第1熱交換器24のガス側のガス冷媒管24aとを接続する(図1の四路切換弁22の実線を参照)。これにより、第1熱交換器24が圧縮機21によって圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、かつ、第2熱交換器52が第1熱交換器24において凝縮された冷媒の蒸発器として機能する。また、四路切換弁22は、加熱運転時には、圧縮機21の吐出管21bとガス側の連絡配管7とを接続するとともに、圧縮機21の吸入管21aと、第1熱交換器24のガス側のガス冷媒管24aとを接続する(図1の四路切換弁22の点線を参照)。これにより、第2熱交換器52が圧縮機21によって圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、かつ、第1熱交換器24が第2熱交換器52において凝縮された冷媒の蒸発器として機能する。
【0033】
第1熱交換器24は、空気と冷媒とを熱交換するための機器である。第1熱交換器24は、冷却運転時には冷媒の凝縮器として機能し、加熱運転時には冷媒の蒸発器として機能する。第1熱交換器24として、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いることができる。ただし、第1熱交換器24は、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
【0034】
第1熱交換器24のガス側にガス冷媒管24aが接続されており、液側に液冷媒管24bが接続されている。ガス冷媒管24aは、四路切換弁22と、第1熱交換器24のガス側端とを接続する冷媒管である。液冷媒管24bは、第1熱交換器24の液側端と液側の連絡配管6とを接続する冷媒管である。なお、液冷媒管24bは、冷却運転時に冷媒が通る流路である。
【0035】
第1ファン25は、熱源ユニット2内に室外空気を吸入して、第1熱交換器24において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出する。第1ファン25として、例えば、DCファンモータ等からなるモータによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等を用いることができる。
【0036】
レシーバ26は、冷媒回路10における余剰冷媒を貯留する冷媒容器である。レシーバ26は、運転状態の変化により蒸発器内や凝縮器内の冷媒量が変化したときに、液冷媒を貯留して冷媒回路10を循環する冷媒量を調整する。レシーバ26は、第1熱交換器24と過冷却熱交換器29との間に配置されている。
【0037】
分岐配管27と、過冷却膨張弁28と、過冷却熱交換器29とは、過冷却回路を構成している。
【0038】
分岐配管27は、過冷却熱交換器29と第3弁V3との間の液冷媒管24bと、圧縮機21の吸入側と、を接続している。分岐配管27は、冷却運転時に過冷却熱交換器29を出た冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る。
【0039】
過冷却膨張弁28は、分岐配管27に配置されている。詳細には、過冷却膨張弁28は、分岐配管27上において、第3弁V3と過冷却熱交換器29との間に配置されている。過冷却膨張弁28は、過冷却熱交換器29から出た冷媒を、過冷却熱交換器29を入口から入る冷媒の冷却源とするために減圧する。ここでは、過冷却膨張弁28は、開度の調整ができる電動膨張弁である。
【0040】
過冷却熱交換器29は、過冷却膨張弁28よりも下流側の分岐配管27を流れる冷媒と、第1熱交換器24の下流側の液冷媒管24bを流れる冷媒とを熱交換するための機器である。過冷却熱交換器29において、分岐配管27に入り、過冷却膨張弁28で減圧された冷媒は、第1熱交換器24を出た冷媒を冷却する。このように、過冷却熱交換器29は、第1熱交換器24を凝縮器として用いる冷却運転時に、第1熱交換器24から出た冷媒を冷やす。過冷却熱交換器29として、例えば、プレート式、二重管式などの熱交換器を用いることができる。
【0041】
第1流路P1は、第1熱交換器24をバイパスして、圧縮機21の吐出側とレシーバ26とを接続する。第1流路P1は、冷媒量検知運転時に、第1熱交換器24をバイパスして、圧縮機21から吐出された冷媒をレシーバ26に送る配管である。なお、図1では、第1流路P1は、吐出管21bを含む。冷媒量検知運転時には、第1流路P1に冷媒が流れ、通常運転時には、第1流路P1に冷媒が流れない。本実施形態では、冷媒量検知運転時には、第1流路P1に冷媒が流れ、冷却運転時及び加熱運転時には、第1流路P1に冷媒が流れない。
【0042】
第1流路P1には、第1流路P1を開閉する第1弁V1が配置されている。第1弁V1は、例えば、電動弁、電磁弁などである。ここでは、第1弁V1は、開度の調整ができない電動弁である。冷媒量検知運転時に、第1弁V1は開き、通常運転時に、第1弁V1は閉じる。本実施形態では、冷媒量検知運転時に、第1弁V1は開き、冷却運転時及び加熱運転時に、第1弁V1は閉じる。
【0043】
第2流路P2は、第1熱交換器24と接続され、レシーバ26をバイパスする。第2流路P2は、冷媒量検知運転時に、第1熱交換器24を通った冷媒を、レシーバ26を通らずに、連絡配管6に送るための配管である。第2流路P2は、冷媒量検知運転時に、第1熱交換器24の下流側に設けられる。本実施形態では、第2流路P2は、冷媒量検知運転時の冷媒流れにおいて、第1熱交換器24と、過冷却熱交換器29の下流側の配管とを接続して、過冷却熱交換器29をさらにバイパスする。第2流路P2は、第3弁V3をさらにバイパスする。
【0044】
第2流路P2には、第2弁V2が配置されている。第2弁V2は、例えば、電動弁、電磁弁などである。ここでは、第2弁V2は、開度の調整ができない電動弁である。第2弁V2は、第2流路P2を開閉する。冷媒量検知運転時に、第2弁V2は開き、通常運転時に、第2弁V2は閉じる。
【0045】
第3弁V3は、通常運転(本実施形態では冷却運転)時に、レシーバ26の下流側に配置される。ここでは、第3弁V3は、通常運転(本実施形態では冷却運転)時に、過冷却熱交換器29の下流側に配置される。第3弁V3は、開度の調整ができる。ここでは、第3弁V3は、電動膨張弁である。
【0046】
冷媒量検知運転時に、第3弁V3の開度が小さくなる。本実施形態では、冷媒量検知運転において、第3弁V3は、最小開度である。通常運転時に、第3弁V3は、第1熱交換器24を流れる冷媒の流量の調整等を行う。冷媒量検知運転時の第3弁V3の開度は、通常運転時の第3弁V3の開度よりも小さい。ここでは、通常運転から冷媒量検知運転に切り替わった時に、第3弁V3の開度を小さくする。
【0047】
冷媒量検知運転時には、第1弁V1が開いた後に、第2弁V2が開くとともに、第3弁V3の開度が小さくなる。
【0048】
また、熱源ユニット2には、複数の逆止弁V4~V9が設けられている。具体的には、第1逆止弁V4は、第1熱交換器24の冷媒流れ下流側において、レシーバ26の冷媒流れ上流側に配置されている。また、第1逆止弁V4は、液冷媒管24bに設けられている。第1逆止弁V4は、第1熱交換器24側からの冷媒の流れを許容し、レシーバ26側からの冷媒の流れを遮断する。
【0049】
第2逆止弁V5は、レシーバ26と第1熱交換器24との間に配置されている。第2逆止弁V5は、レシーバ26側からの冷媒の流れを許容し、第1熱交換器24側からの冷媒の流れを遮断する。
【0050】
第3逆止弁V6は、加熱運転時に、過冷却熱交換器29をバイパスする冷媒配管に設けられている。第3逆止弁V6は、第1閉鎖弁31側からの冷媒の流れを許容し、第1熱交換器24側からの冷媒の流れを遮断する。
【0051】
第4逆止弁V7は、第3弁V3と第1閉鎖弁31との間に配置されている。第4逆止弁V7は、第3弁V3側からの冷媒の流れを許容し、第1閉鎖弁31側からの冷媒の流れを遮断する。
【0052】
第5逆止弁V8は、四路切換弁22とアキュムレータ23との間に配置されている。第5逆止弁V8は、四路切換弁22側からの冷媒の流れを許容し、アキュムレータ23側からの冷媒の流れを遮断する。
【0053】
第6逆止弁V9は、圧縮機21と四路切換弁22との間に配置されている。第6逆止弁V9は、圧縮機21側からの冷媒の流れを許容し、四路切換弁22側からの冷媒の流れを遮断する。
【0054】
また、熱源ユニット2には、閉鎖弁31、32が設けられている。第1閉鎖弁31は、熱源ユニット2と連絡配管6との接続部に設けられている。第2閉鎖弁32は、熱源ユニット2と連絡配管7との接続部に設けられている。第1閉鎖弁31及び第2閉鎖弁32は、手動で開閉される弁である。ここでは、第1閉鎖弁31には液冷媒が流れ、第2閉鎖弁32にはガス冷媒が流れる。
【0055】
また、熱源ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、図1及び図2に示すように、熱源ユニット2には、吸入圧力センサ41、吐出圧力センサ42、吸入温度センサ43、吐出温度センサ44、室外温度センサ45、第1熱交換器出口温度センサ46、過冷却熱交換器出口温度センサ47及びレシーバ出口温度センサ48が設けられている。吸入圧力センサ41は、圧縮機21の吸入圧力を検出する。吐出圧力センサ42は、圧縮機21の吐出圧力を検出する。吸入温度センサ43は、圧縮機21の吸入温度を検出する。吐出温度センサ44は、圧縮機21の吐出温度を検出する。室外温度センサ45は、熱源ユニット2内に流入する室外空気の温度を検出する。第1熱交換器出口温度センサ46は、第1熱交換器を凝縮器として用いるときの凝縮器の出口温度を検出する。過冷却熱交換器出口温度センサ47は、第1熱交換器24を凝縮器として用いるときの過冷却熱交換器29の出口温度を検出する。レシーバ出口温度センサ48は、レシーバ26の出口温度を検出する。
【0056】
(1-2-2)利用ユニット
利用ユニット5は、庫内を冷却する庫内ユニットである。利用ユニット5は、連絡配管6、7を介して熱源ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成する。
【0057】
利用ユニット5は、主として、利用側膨張弁51と、第2熱交換器52と、第2ファン53と、を有している。
【0058】
利用側膨張弁51は、第2熱交換器52の液側に接続された電動膨張弁等であり、第2熱交換器52を流れる冷媒の流量の調整等を行う。また、利用側膨張弁51は、冷媒の通過を遮断することも可能である。
【0059】
第2熱交換器52は、庫内の空気と冷媒とを熱交換するための機器である。第2熱交換器52は、冷却運転時には冷媒の蒸発器として機能し、庫内の空気を冷却する。また、第2熱交換器52は、加熱運転時には冷媒の凝縮器として機能し、庫内の空気を加熱する。第2熱交換器52として、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いることができる。ただし、第2熱交換器52は、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
【0060】
第2ファン53は、利用ユニット5内に空気を吸入するとともに、第2熱交換器52で冷媒と熱交換された空気を庫内に供給する。第2ファン53として、例えば、DCファンモータ等からなるモータによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等を用いることができる。
【0061】
また、利用ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用ユニット5には、庫内温度センサ54、図2に示す第2熱交換器入口温度センサ55及び第2熱交換器出口温度センサ56が設けられている。庫内温度センサ54は、利用ユニット5に流入する空気の温度(庫内温度)を検出する。第2熱交換器入口温度センサ55は、第2熱交換器52の入口(冷却運転時には液液側)の冷媒の温度を検出する。第2熱交換器出口温度センサ56は、第2熱交換器52の出口(冷却運転時にはガス側)の冷媒の温度を検出する。
【0062】
(1-2-3)連絡配管
連絡配管6、7は、冷凍装置1を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。連絡配管6、7は、熱源ユニット2と利用ユニット5との組み合わせや設置場所等の条件に応じて長さや管径が異なるものである。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、連絡配管6、7の長さや管径等の条件に応じた適正な量の冷媒を充填する必要がある。ここでは、連絡配管6には液冷媒が流れ、連絡配管7にはガス冷媒が流れる。
【0063】
(1-3)制御の詳細構成
図2に示すように、冷凍装置1は、構成機器の運転制御を行うために、第1制御部81と第2制御部82とリモコン60とが伝送線や通信線を介して接続された制御部8を備えている。第1制御部81は、熱源ユニット2に設けられている。第2制御部82は、利用ユニット5に設けられている。なお、ここでは、第1制御部81、第2制御部82及びリモコン60が伝送線や通信線を介して有線接続されているが、無線接続されていてもよい。
【0064】
冷凍装置1の第1制御部81、第2制御部82及びリモコン60の制御装置は、各種演算及び処理を行い、例えば、CPUなどの演算処理装置により実現される。
【0065】
(1-3-1)第1制御部
第1制御部81は、熱源ユニット2を構成する各部の動作を制御する。第1制御部81は、主として、第1CPU81aと、第1伝送部81bと、第1記憶部81cと、を有している。第1制御部81は、吸入圧力センサ41、吸入温度センサ43、吐出圧力センサ42、吐出温度センサ44、室外温度センサ45、第1熱交換器出口温度センサ46、過冷却熱交換器出口温度センサ47及びレシーバ出口温度センサ48の検出信号を受けることができるように構成されている。
【0066】
第1CPU81aは、第1伝送部81b及び第1記憶部81cに接続されている。第1伝送部81bは、第2制御部82との間で制御データ等の伝送を行う。第1記憶部81cは、制御データ等を記憶する。そして、第1CPU81aは、第1伝送部81b及び第1記憶部81cを介して、制御データ等の伝送及び読み書きを行いつつ、熱源ユニット2に設けられた構成機器としての圧縮機21、四路切換弁22、第1ファン25、第1弁V1、第2弁V2、第3弁V3、過冷却膨張弁28等の運転制御を行う。
【0067】
(1-3-2)第2制御部
第2制御部82は、利用ユニット5を構成する各部の動作を制御する。第2制御部82は、主として、第2CPU82aと、第2伝送部82bと、第2記憶部82cと、第2通信部82dと、を有している。第2制御部82は、庫内温度センサ54、第2熱交換器入口温度センサ55及び第2熱交換器出口温度センサ56の検出信号を受けることができるように構成されている。
【0068】
第2CPU82aは、第2伝送部82b、第2記憶部82c及び第2通信部82dに接続されている。第2伝送部82bは、第1制御部81との間で制御データ等の伝送を行う。第2記憶部82cは、制御データ等を記憶する。第2通信部82dは、リモコン60との間で制御データ等の送受信を行う。そして、第2CPU82aは、第2伝送部82b、第2記憶部82c及び第2通信部82dを介して、制御データ等の伝送、読み書き及び送受信を行いつつ、利用ユニット5に設けられた構成機器としての第2ファン53、利用側膨張弁51等の運転制御を行う。
【0069】
(1-3-3)リモコン
リモコン60は、ユーザーが各種設定を入力するものである。リモコン60は、主として、リモコンCPU61と、リモコン記憶部62と、リモコン通信部63と、リモコン操作部64と、リモコン表示部65と、を有している。
【0070】
リモコンCPU61は、リモコン記憶部62、リモコン通信部63、リモコン操作部64及びリモコン表示部65に接続されている。リモコン記憶部62は、制御データ等を記憶する。リモコン通信部63は、第2通信部82dとの間で制御データ等の送受信を行う。リモコン操作部64は、ユーザーからの制御指令等の入力を受け付ける。リモコン表示部65は、運転表示等を行う。そして、リモコンCPU61は、リモコン操作部64を介して運転指令や制御指令等の入力を受け付けて、リモコン記憶部62に制御データ等の読み書きを行い、リモコン表示部65に運転状態や制御状態の表示等を行いつつ、リモコン通信部63を介して、第2制御部82に制御指令等を行う。
【0071】
このように、冷凍装置1は、構成機器の運転制御を行う制御部8を備えている。そして、制御部8は、吸入圧力センサ41、吸入温度センサ43、吐出圧力センサ42、吐出温度センサ44、室外温度センサ45、第1熱交換器出口温度センサ46、過冷却熱交換器出口温度センサ47、レシーバ出口温度センサ48、庫内温度センサ54、第2熱交換器入口温度センサ55及び第2熱交換器出口温度センサ56の検出信号等に基づいて構成機器としての圧縮機21、四路切換弁22、第1ファン25、過冷却膨張弁28、第1弁V1、第2弁V2、第3弁V3、第2ファン53、利用側膨張弁51等の制御を行い、冷却運転、加熱運転、冷媒量検知運転及び各種制御を行うことができるように構成されている。
【0072】
(1-3-4)第1制御部による通常運転及び冷媒量検知運転の制御
第1制御部81は、通常運転と冷媒量検知運転とを切り換えて行うように制御する。第1制御部81は、通常運転時に、利用ユニット5からの熱負荷に応じて、各種機器21、22、25及び各種弁28、V1~V3を制御する。
【0073】
第1制御部81は、通常運転時に、第1弁V1を閉めて、第1流路P1に冷媒が流れないように制御する。
【0074】
また、第1制御部81は、通常運転時に、第2弁V2を閉めて、第2流路P2に冷媒が流れないように制御する。これにより、第1制御部81は、冷却運転時に、第1熱交換器24から、液冷媒管24bを通って、レシーバ26へ冷媒を流す。
【0075】
また、第1制御部81は、利用ユニット5から要求される熱負荷に応じて、第3弁V3の開度を制御する。ここでは、第1制御部81は、冷却運転時には、第3弁V3を全開にする。
【0076】
第1制御部81は、冷媒回路10内の冷媒量を検知するための冷媒量検知運転時に、第1弁V1を開ける。ここでは、第1制御部81は、冷媒量検知運転時に切り替わった時に、第1弁V1を開ける。これにより、第1制御部81は、第1流路P1に冷媒を流す。
【0077】
また第1制御部81は、冷媒量検知運転時に、第2弁V2を開ける。これにより、第1制御部81は、第1熱交換器24から第2流路P2に冷媒を流す。ここでは、第1制御部81は、冷媒量検知運転時に、第1熱交換器24から、レシーバ26及び第3弁V3をバイパスする第2流路P2に冷媒を流す。
【0078】
また、第1制御部81は、冷媒量検知運転時に、第3弁V3の開度を小さくする。ここでは、第1制御部81は、冷媒量検知運転時に切り替わったときに、第3弁V3の開度を最小開度にする。
【0079】
また、第1制御部81は、冷媒量検知運転時には、第1弁V1を開けた後に、第2弁V2を開くとともに、第3弁V3の開度を小さくする。
【0080】
また、第1制御部81は、冷媒量検知運転時に、第1熱交換器24を凝縮器として用いるときの凝縮器出口温度、冷媒回路10の高圧、冷媒回路10の低圧、レシーバ26の出口温度、外気温、蒸発温度、及び圧縮機21の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量の検知を行う。なお、凝縮器出口温度は、第1熱交換器出口温度センサ46で検出される。冷媒回路10の高圧は、吐出圧力センサ42で検出される。冷媒回路10の低圧は、吸入圧力センサ41で検出される。レシーバ26の出口温度は、レシーバ出口温度センサ48で検出される。外気温は、室外温度センサ45で検出される。蒸発温度は、吸入圧力センサ41で検出された吸入圧力を冷媒の飽和温度に換算することによって得られる。圧縮機21の回転数は、圧縮機21から把握される。
【0081】
本実施形態では、凝縮器における冷媒の凝縮温度と凝縮器の出口温度との温度差である過冷却度(具体的には、吐出圧力センサ42で検出される冷媒の圧力を飽和温度に換算し、この飽和温度から第1熱交換器出口温度センサ46で検出される冷媒の温度を差し引いた温度差)を用いて、冷媒量検知運転を行う。
【0082】
(2)冷凍装置の動作
次に、図1図5を参照して、本実施形態の冷凍装置1の動作について説明する。冷凍装置1では、通常運転としての冷却運転及び加熱運転と、冷媒量検知運転とが行われる。以下、冷却運転及び冷媒量検知運転について説明する。なお、下記の冷凍装置1の動作は、冷凍装置1の機器構成を制御する第1制御部81及び第2制御部82を有する制御部8によって行われる。
【0083】
(2-1)冷却運転
冷却運転の動作について、図3を参照して説明する。冷却運転では、冷凍サイクルの低圧の値(吸入圧力センサ41の検出値)が一定値になるように圧縮機21の運転周波数が制御され、第2熱交換器52の出口の冷媒の過熱度が所定の目標値になるように、利用側膨張弁51の開度が調節される。
【0084】
冷却運転は、リモコン操作部64を介して冷却運転の指令を受け付けた制御部8が、熱源ユニット2及び利用ユニット5の構成機器としての圧縮機21、四路切換弁22、第1ファン25、第1弁V1、第2弁V2、弟3弁V3、利用側膨張弁51、第2ファン53等を運転制御することによって行われる。
【0085】
図3に示すように、冷却運転時には、第1弁V1を閉めて、第1流路P1に冷媒を流さない。また、冷却運転時には、第2弁V2を閉めて、第2流路P2に冷媒を流さない。また、冷却運転時には、第3弁V3を全開にする。また、冷却運転時は、四路切換弁22によって、圧縮機21の吐出側が第1熱交換器24のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側の連絡配管7を介して第2熱交換器52のガス側に接続される(図3の四路切換弁22の実線を参照)。また、冷却運転時には、第1熱交換器24は、凝縮器として用いられる。
【0086】
冷却運転では、低圧のガス冷媒が、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、逆止弁V9及び四路切換弁22を経由して第1熱交換器24に送られる。高圧のガス冷媒は、第1熱交換器24において、第1ファン25によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、逆止弁V4を経由してレシーバ26に送られ、レシーバ26内に一時的に溜められた後、過冷却熱交換器29に送られる。過冷却熱交換器29でさらに冷却された高圧の液冷媒は、第3弁V3、逆止弁V7及び閉鎖弁31を経由して、熱源ユニット2から流出する。
【0087】
熱源ユニット2から流出した冷媒は、液側の連絡配管6を経由して、利用ユニット5に送られる。利用ユニット5では、高圧の液冷媒が、利用側膨張弁51によって減圧された後に、第2熱交換器52に送られる。この冷媒は、第2熱交換器52において、第2ファン53によって供給される庫内の空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、利用ユニット5から流出する。
【0088】
利用ユニット5から流出した冷媒は、ガス側の連絡配管7を経由して熱源ユニット2に送られ、閉鎖弁32、四路切換弁22及び逆止弁V8及びアキュムレータ23を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
【0089】
ここで、本実施形態の過冷却回路の冷却運転時の役割について説明する。過冷却熱交換器29を出た冷媒の一部を分岐して、分岐配管27を通じて、圧縮機21に送る。また、過冷却熱交換器29において、分岐配管27を流れて過冷却膨張弁28で減圧された冷媒によって、利用ユニット5へ流れる冷媒を冷却する。
【0090】
(2-2)冷媒量検知運転
冷媒量検知運転の動作について、主に図2及び図4図6を参照して説明する。ここでは、通常運転としての冷却運転が所定時間行われた後に、冷媒量検知運転を行って、冷媒回路10内の冷媒量が基準量を満たすかどうかを検知する例について、説明する。
【0091】
図6に示すように、まず、第1制御部81は、冷媒量検知運転を行うことを受信すると、冷媒量検知制御を開始する(ステップS1)。
【0092】
次に、第1制御部81(詳細には第1CPU81a)は、冷却運転が行われているか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、冷却運転が行われていない場合には、冷媒量検知制御を終了する(ステップS9)。一方、ステップS2において、冷却運転が行われている場合には、冷媒量検知運転を開始する。
【0093】
具体的には、第1弁V1を開ける(ステップS3)。これにより、図4に示すように、第1熱交換器24をバイパスして、圧縮機21の吐出側とレシーバ26とを接続する第1流路P1に冷媒が流れる。このため、圧縮機21から吐出されるガス冷媒を、第1熱交換器24をバイパスする第1流路P1を介して、レシーバ26に送ることができる。このようにして、レシーバ26内の液冷媒を冷媒回路10に押し出して、レシーバ26をガス冷媒で充満させる。
【0094】
このように、このステップS3では、レシーバ26内の液冷媒を排出する運転を行う。この運転では、以下の動作を行う。圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、第1流路P1からレシーバ26に送られる。そして、レシーバ26から排出された液冷媒は、過冷却熱交換器29、第3弁V3、逆止弁V7及び閉鎖弁31を経由して、熱源ユニット2から流出する。熱源ユニット2から流出した冷媒は、連絡配管6を経由して、利用ユニット5に送られる。利用ユニット5に送られた冷媒は、利用側膨張弁51及び第2熱交換器52を経由して、利用ユニット5から流出する。利用ユニット5から流出した冷媒は、連絡配管7を経由して熱源ユニット2に送られ、閉鎖弁32、四路切換弁22及び逆止弁V8及びアキュムレータ23を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
【0095】
次に、レシーバ26内の液冷媒が排出されたか否かを判定する(ステップS4)。本実施形態のステップS4では、図6に示すように、過冷却度が第1値未満であるか否かを判定する。ここでは、第1制御部81は、過冷却熱交換器29における冷媒の凝縮温度と、過冷却熱交換器29の出口温度との温度差である、過冷却熱交換器29出口の過冷却度f(HP)-TLを用いる。
【0096】
より具体的には、第1制御部81は、吐出圧力センサ42で検出された圧縮機21の吐出圧力HPと、過冷却熱交換器出口温度センサ47で検出された過冷却熱交換器29の出口温度TLと、を取得する。そして、取得した吐出圧力HPを飽和温度f(HP)に換算し、この飽和温度f(HP)から過冷却熱交換器29の出口温度TLを差し引いた温度差である過冷却度f(HP)-TLを算出する。本実施形態では、第1制御部81は、この過冷却度f(HP)-TLが、第1値未満であるか否かを判定する。第1値は、例えば1であるが、任意に設定することができる。
【0097】
ステップS4において、過冷却度f(HP)-TLが第1値以上である場合には、その状態を保持する。一方、ステップS4において、過冷却度f(HP)-TLが第1値未満である場合には、レシーバ26内の液冷媒が押し出されて、ガス冷媒が充満したと判定する。
【0098】
次に、第2弁V2を開けるとともに、第3弁V3の開度を小さくする(ステップS5)。ステップS5での第2弁V2の開動作及び第3弁V3を絞る動作は、ほぼ同時に行われる。
【0099】
第2弁V2を開けることによって、図5に示すように、レシーバ26をバイパスして、第1熱交換器24から第2流路P2に冷媒が流れる。これにより、レシーバ26に冷媒を送ることを抑制できる。本実施形態では、ステップS5では、レシーバ26及び過冷却熱交換器29に冷媒を送ることを抑制する。
【0100】
また、第3弁V3の開度を小さくすることによって、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制できる。
【0101】
このように、このステップS5では、冷媒回路10内の冷媒量を判定するための運転を行う。この運転では、以下の動作を行う。圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、逆止弁V9、四路切換弁22及び第1熱交換器24を経由して、第2流路P2に送られる。そして、第2弁V2、逆止弁V7及び閉鎖弁31を経由して、熱源ユニット2から流出する。熱源ユニット2から流出した冷媒は、連絡配管6を経由して、利用ユニット5に送られる。利用ユニット5に送られた冷媒は、利用側膨張弁51及び第2熱交換器52を経由して、利用ユニット5から流出する。利用ユニット5から流出した冷媒は、連絡配管7を経由して熱源ユニット2に送られ、閉鎖弁32、四路切換弁22及び逆止弁V8及びアキュムレータ23を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
【0102】
次に、冷媒回路10内の冷媒量が基準量を満たしているか否かを判定する(ステップS6)。本実施形態のステップS6では、図6に示すように、過冷却度が第2値未満であるか否かを判定する。ここでは、第1制御部81は、凝縮器として用いられる第1熱交換器24における冷媒の凝縮温度と凝縮器として用いられる第1熱交換器24の出口温度Tclとの温度差である過冷却度f(HP)-Tclを用いる。
【0103】
より具体的には、第1制御部81は、吐出圧力センサ42で検出された圧縮機21の吐出圧力HPと、第1熱交換器出口温度センサ46で検出された第1熱交換器24の出口温度Tclと、を取得する。そして、取得した吐出圧力HPを飽和温度f(HP)に換算し、この飽和温度f(HP)から第1熱交換器24の出口温度Tclを差し引いた温度差である過冷却度f(HP)-Tclを算出する。本実施形態では、第1制御部81は、この過冷却度f(HP)-Tclが、第2値以上であるか否かを判定する。第2値は、例えば3であるが、任意に設定することができる。
【0104】
ステップS6において、過冷却度f(HP)-Tclが第2値以上である場合には、第1制御部81は、冷媒回路10内の冷媒量が正常であると判定する(ステップS7)。一方、ステップS6において、過冷却度f(HP)-Tclが第2値未満である場合には、第1制御部81は、冷媒回路10内の冷媒量が異常であると判定する(ステップS8)。
ここでは、ステップS8において冷媒量が異常であると判定されると、冷媒回路10内の冷媒量が基準量を満たしていないので、冷媒漏洩が生じていることを報知する。
【0105】
ステップS7及びS8において冷媒回路10内の冷媒量を検知すると、冷媒量検知制御を終了する(ステップS9)。このような冷媒量検知運転は、不定期に行ってもよいが、本実施形態では定期的に行う。定期的な運転として、例えば、冷媒量検知運転は1日1回行われる。
【0106】
(3)特徴
(3-1)
以上説明したように、本実施形態に係る冷凍装置1及び熱源ユニット2は、圧縮機21と、第1熱交換器24と、レシーバ26と、第1流路P1と、第1弁V1と、を備える。圧縮機21は、冷媒を圧縮する。第1熱交換器24は、冷媒の凝縮器として用いられる。レシーバ26は、第1熱交換器24を凝縮器として用いる通常運転時に、第1熱交換器24から出た冷媒を溜める。第1流路P1は、第1熱交換器24をバイパスして、圧縮機21の吐出側とレシーバ26とを接続する。第1弁V1は、第1流路P1を開閉する。冷媒回路10内の冷媒量を検知するための冷媒量検知運転時に、第1弁V1が開く。
【0107】
ここでは、冷媒量検知運転時に第1弁V1が開くので、図4に示すように、圧縮機21から吐出される冷媒を、第1熱交換器24をバイパスする第1流路P1を介して、レシーバ26に送ることができる。これにより、レシーバ26内の液冷媒を冷媒回路10に押し出して、レシーバ26をガス冷媒で充満させた状態で、図5に示すように、冷媒量検知運転を行うことができる。このため、冷媒量検知運転を行う際に、図4に示すように、レシーバ26は、高温の液冷媒を排出しても高温のガス冷媒が充填されるので、高温状態を維持できる。したがって、冷媒量検知運転の頻度を上げて、通常運転と冷媒量検知運転との切り替え頻度が多くても、レシーバ26の温度変化を減らすことができるので、レシーバ26外殻の結露、配管接続部への熱応力作用などの現象を減らすことができる。これにより、レシーバ26の耐力を上げずに、通常運転及び冷媒量検知運転を行うことができる。
【0108】
また、冷媒量検知運転を行っても、第2熱交換器52による庫内の冷却を続行できるので、冷却能力の低下を抑制することができる。
【0109】
(3-2)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、第1制御部81をさらに備える。第1制御部81は、通常運転時に、第1弁V1を閉め、かつ、冷媒量検知運転時に、第1弁V1を開ける。
【0110】
ここでは、第1熱交換器24を凝縮器として用いる冷却運転時に、第1弁V1を閉めて、第1流路P1を使わない。一方、冷媒量判定運転時に、第1弁V1を開けて、第1流路P1を使う。このため、通常運転と冷媒量検知運転とを適切に行うことができる。
【0111】
(3-3)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、第2流路P2をさらに備える。第2流路P2は、第1熱交換器24と接続され、レシーバ26をバイパスする。冷媒量検知運転時に、冷媒は、第1熱交換器24から第2流路P2に流れる。
【0112】
ここでは、冷媒量検知運転時に、第2流路P2に冷媒を流すことによって、レシーバ26に冷媒を送ることを減らすことができる。このため、図4に示すレシーバ26内の液冷媒を排出する運転後に、図5に示す冷媒量を判定する運転を行っても、レシーバ26に液冷媒が溜まることを抑制できる。したがって、冷媒量検知運転において、冷媒量を検知する精度を高めることができる。
【0113】
(3-4)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、第2弁V2をさらに備える。第2弁V2は、第2流路P2を開閉する。
【0114】
ここでは、冷媒量検知運転時に、第2弁V2を開けることによって、第2流路P2に冷媒を流すことができる。一方、通常運転時に、第2弁V2を閉めることによって、第2流路P2に冷媒を流すことを抑制できる。このため、通常運転と冷媒量検知運転とをより適切に行うことができる。
【0115】
(3-5)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、第3弁V3をさらに備える。第3弁V3は、通常運転時に、レシーバ26の下流側に配置される。冷媒量検知運転時に、第3弁V3の開度が小さくなる。
【0116】
ここでは、冷媒量検知運転時に、レシーバ26の下流に配置された第3弁V3の開度を小さくすることによって、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制できる。
【0117】
(3-6)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、第2流路P2をさらに備える。第2流路P2は、レシーバ26及び第3弁V3をさらにバイパスする。
【0118】
ここでは、冷媒量検知運転時に、レシーバ26及び第3弁V3をバイパスする第2流路P2に冷媒を流すことができる。このため、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制しつつ、冷媒量検知運転を行うことができる。
【0119】
(3-7)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2において、冷媒量検知運転時には、第1弁V1が開いた後に、第2弁V2が開くとともに、第3弁V3の開度が小さくなる。
【0120】
ここでは、図4に示すように、第1弁V1が開くことによって、レシーバ26内の液冷媒を押し出した後に、図5に示すように、第2弁V2が開くことによって、レシーバ26内に液冷媒が溜まることを抑制できるとともに、第3弁V3の開度が小さくなることによって、液冷媒の密度が低くなりすぎることを抑制できる。このため、液冷媒の密度を保ちつつ、冷媒量を検知することができる。
【0121】
(3-8)
本実施形態の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、冷媒量検知運転は、第1熱交換器24を凝縮器として用いるときの凝縮器出口温度、冷媒回路10の高圧、冷媒回路10の低圧、レシーバ26の出口温度、外気温、蒸発温度、及び圧縮機21の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量の検知を行う。
【0122】
ここでは、凝縮器出口温度、高圧、低圧、レシーバ26の出口温度、外気温、蒸発温度、及び圧縮機21の回転数の少なくとも1つを用いて、冷媒量を検知するので、冷媒量検知運転を容易に実現できる。
【0123】
なお、過冷却熱交換器29をさらに備える冷凍装置1及び熱源ユニット2において、冷媒量検知運転は、過冷却熱交換器29の前後の温度を用いてもよい。
【0124】
(3-9)
本実施形態の冷凍装置1は、熱源ユニット2と、利用ユニット5と、を備える。利用ユニット5は、熱源ユニット2と接続され、第2熱交換器52を含む。
【0125】
ここでは、上記熱源ユニット2を備えているので、冷媒量検知運転の頻度を上げても、レシーバ26外殻の結露、配管接続部への熱応力作用などの現象を減らす冷凍装置1を実現できる。
【0126】
(4)変形例
(4-1)変形例A
上記実施形態では、冷媒量検知運転は、通常運転としての冷却運転が所定時間行われた後に、冷媒量検知運転を行う動作を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本開示の冷媒量検知運転は、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態を安定させる運転を行いつつ、冷媒回路10内の冷媒量が目標量に到達するまで冷媒回路10に冷媒を充填する運転に適用してもよい。
【0127】
このように、本開示の冷凍装置1及び熱源ユニット2は、冷媒量検知運転として、冷媒回路10内の冷媒量が基準量を満たすか否かを検知する冷媒漏洩検知運転と、試運転時に冷媒を充填する冷媒充填運転と、を行うことができる。
【0128】
(4-2)変形例B
上記実施形態では、冷媒量検知運転時に、レシーバ26内の液冷媒が排出されたか否かを判定する工程(ステップS4)では、過冷却熱交換器29の出口の過冷却度を用いて判定しているが、これに限定されない。本開示の冷媒量検知運転では、ステップS4において、別の指標を用いてもよく、レシーバ26内に貯留される液冷媒の液面を検出してもよい。
【0129】
(4-3)変形例C
上記実施形態では、冷媒量検知運転時に、熱源ユニット2が検出する指標を用いて、冷媒量の検知を行うが、これに限定されない。冷媒量検知運転は、利用ユニット5が検出する指標を用いてもよく、熱源ユニット2及び利用ユニット5が検出する指標を用いてもよい。本変形例では、冷媒量検知運転は、利用ユニット5の利用側膨張弁51の開度、第2熱交換器52の出口温度などを用いて、冷媒量の検知を行う。
【0130】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、1つの利用ユニット5を備える冷凍装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本開示の冷凍装置は、2つ以上の利用ユニットを備えてもよい。この場合、各利用ユニットの容量は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0131】
(4-5)変形例E
上記実施形態では、過冷却回路を備える冷凍装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例では、分岐配管27、過冷却膨張弁28及び過冷却熱交換器29は、省略されている。
【0132】
(4-6)変形例F
上記実施形態では、冷却運転及び加熱運転が可能な冷凍装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例では、冷却運転専用の冷凍装置である。
【0133】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0134】
1 :冷凍装置
2 :熱源ユニット
5 :利用ユニット
10 :冷媒回路
21 :圧縮機
24 :第1熱交換器
26 :レシーバ
52 :第2熱交換器
81 :第1制御部(制御部)
P1 :第1流路
P2 :第2流路
V1 :第1弁
V2 :第2弁
V3 :第3弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
【文献】特開2015-75259号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6