(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/06 20060101AFI20230913BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20230913BHJP
B65D 83/00 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
A45D33/06
A45D34/04 560
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2019038629
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】久我 渉
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505321(JP,A)
【文献】特開昭64-080310(JP,A)
【文献】特表2017-500897(JP,A)
【文献】特表2002-517311(JP,A)
【文献】特開2004-115372(JP,A)
【文献】実開昭62-127216(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00-34/04
B65D 83/00
B65D 83/06
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する化粧料を収容し当該化粧料を開口から外部に流出可能とする収容部を有する内容器と、
前記内容器を収納し前記開口から流出した前記化粧料を外部に流出可能とする孔部を有する外容器と、
前記孔部の周囲に設けられた弁座に、先端部の弁体が着座して前記孔部を閉止するバルブと、を備え、
前記内容器は、
その底部が弾性変形可能に構成され、
前記底部から立設された筒状の外側部と、当該外側部の内側に前記底部から筒状に立設され前記バルブが当該バルブの移動方向に当接する内側部と、を備え、
前記収容部は、前記内容器の前記外側部の内周面と前記内側部の外周面と前記底部との間に形成され、
前記弁体は、前記外容器の底部に当接する弾性体により前記弁座に着座する方向に付勢され、前記内側部の筒孔には、前記弾性体が挿入されており、
前記バルブは、前記内容器の前記内側部に全周に亘って密着し、
前記バルブの前記弁体が押圧されると、前記弁体の移動に伴い前記内側部が移動して
前記内容器の前記底部が弾性変形すると共に、前記弁体と前記弁座との間に、前記化粧料を流出可能とする流路が形成されることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記化粧料は粉体化粧料であることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記外容器の底部には、前記内容器の前記底部の前記内側部より外側の部分に当接する突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記内側部の筒孔には、前記バルブが挿入され、前記バルブの外周面が前記内容器の前記内側部の内周面の全周に亘って密着していることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記バルブには、当該バルブの外周面から側方に延びる複数の突起が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内に、化粧品(化粧料)を収容した化粧品ホルダーを軸線方向に移動可能に収納すると共に、化粧品ホルダーと容器底部との間に、化粧品ホルダーを前方へ付勢するコイルばねを配設し、容器に対して着脱可能とされるキャップに、軸線方向に延びる柄杆を介して塗布部を設け、キャップを容器に取り付けると、塗布部が容器内に進入し化粧品ホルダーに収容された化粧品に当接し押さえ付けながら、化粧品ホルダーをコイルばねの付勢力に抗して軸線方向に後退させ、一方、キャップを容器から取り外すと、化粧品ホルダーがコイルばねの付勢力により前進し、塗布部が化粧品から離れるまで化粧品に当接した状態となる化粧品塗布具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この化粧品塗布具にあっては、キャップを容器に取り付けた状態で、キャップと化粧品との間に、化粧品に接する空間が形成され、また、化粧品ホルダーと容器との間に、化粧品ホルダーが移動するための移動隙間(摺動隙間)が、化粧料に接する空間に連通して形成され、また、化粧品ホルダーと容器底部との間に、化粧品ホルダーが前後進するための移動空間が、移動隙間に連通して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような化粧品塗布具では、化粧料に接する空間、移動隙間及び移動空間が、化粧品を揮発させる揮発空間となるため、揮発空間が大きく、化粧品の乾燥が早まるという問題があり、化粧品の揮発を抑制すべく、揮発空間を小さくすることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、揮発空間を小さくできる化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による化粧料容器は、流動性を有する化粧料を収容し当該化粧料を開口から外部に流出可能とする収容部を有する内容器と、内容器を収納し開口から流出した化粧料を外部に流出可能とする孔部を有する外容器と、孔部の周囲に設けられた弁座に、先端部の弁体が着座して孔部を閉止するバルブと、を備え、内容器は、その底部が弾性変形可能に構成され、底部から立設された筒状の外側部と、当該外側部の内側に底部から筒状に立設されバルブが当該バルブの移動方向に当接する内側部と、を備え、収容部は、内容器の外側部の内周面と内側部の外周面と底部との間に形成され、弁体は、外容器の底部に当接する弾性体により弁座に着座する方向に付勢され、内側部の筒孔には、弾性体が挿入されており、バルブは、内容器の内側部に全周に亘って密着し、バルブの弁体が押圧されると、弁体の移動に伴い内側部が移動して内容器の底部が弾性変形すると共に、弁体と弁座との間に、化粧料を流出可能とする流路が形成されることを特徴としている。
【0008】
このような化粧料容器によれば、弁体が押圧されると、内容器の内側部が移動し内容器の底部が弾性変形して弁体が弁座から離座するため、内容器の化粧料を、弁体と弁座との間に形成された流路から流出させることができる。ここで、弁体が離座する動作は、内容器全体が移動することによるものではなく、内容器の内側部の移動による内容器の底部の弾性変形により行われ、弁体を有するバルブは、内容器の内側部に全周に亘って密着している。このため、内容器全体が移動するための移動隙間がなく、揮発空間は、弁座に着座している弁体から内容器の収容部に収容されている化粧料までの空間のみとなり、揮発空間を従来に比して小さくできる。
【0009】
ここで、化粧料は粉体化粧料であるのが好適である。化粧料を粉体化粧料とすると、粉体化粧料は、化粧料容器を逆さまにしても当該粉体化粧料を収容する収容部の底部に付着したままで出てこないことがあるが、上述のように、弁体が押圧されると内容器の底部が弾性変形するため、内容器の底部に付着した粉体化粧料が出やすくなる。
【0010】
また、外容器の底部には、内容器の底部の内側部より外側の部分に当接する突起が設けられていると、弁体の押圧により、内容器の底部において突起に対する当接部分より内側の部分を、弁体の移動方向に容易に弾性変形させることができる。
【0011】
また、内側部の筒孔には、バルブが挿入され、バルブの外周面が内容器の内側部の内周面の全周に亘って密着しているのが好ましい。このような構成を採用した場合、弁体の押圧が解除されると弁体を弁座に容易に着座させることができると共に、弁体を安定して移動させることができる。
【0012】
また、バルブには、当該バルブの外周面から側方に延びる複数の突起が設けられていると、弁体の押圧によって弁体と弁座との間に形成された流路から流出しようとする化粧料を、バルブの外周面に設けられ側方に延びる複数の突起により撹拌しながら好適に流出させることができる。また、弁体の押圧と解除を繰り返して弁体を弁座に離座、着座させれば、化粧料を、より一層撹拌しながら流出させることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、揮発空間を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る化粧料容器を示す外観図である。
【
図4】
図2に示す化粧料容器からキャップ及びパフを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】化粧料容器の使用方法を説明するための縦断面図である。
【
図11】
図2中のジョイント部を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について
図1~
図20を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る化粧料容器を示す外観図、
図2は、化粧料容器の縦断面図、
図3は、化粧料容器の分解斜視図、
図4は、化粧料容器からキャップ及びパフを取り外した状態を示す斜視図、
図5は、化粧料容器の使用方法を説明するための縦断面図、
図6は、ベースを示す外観図、
図7は、ベースの縦断面図、
図8は、ベースの平面図、
図9は、内容器を示す外観図、
図10は、内容器の縦断面図、
図11は、ジョイント部を示す外観図、
図12は、ジョイント部の縦断面図、
図13は、バルブを示す外観図、
図14は、バルブの縦断面図、
図15は、バルブの平面図、
図16は、栓部材を示す外観図、
図17は、栓部材の縦断面図、
図18は、栓部材の平面図、
図19は、パフを示す外観図、
図20は、パフの平面図である。なお、以下の説明において、「上」、「下」、は、
図2に示す化粧料容器を基準とした方向とする。
【0016】
本実施形態の化粧料用容器は、使用者が化粧料を例えば皮膚等の被塗布部に塗布する際に用いられるものである。化粧料は、特に好適であるとして、ここでは、例えばパウダー等の粉体化粧料とされている。
【0017】
図1及び
図2に示すように、化粧料容器100は、化粧料Pを収容する容器本体1と、容器本体1に着脱可能に装着される蓋体としてのキャップ2と、を備え、容器本体1とキャップ2との間に、パフ3が、収納されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、容器本体1は概略、化粧料Pを収容する内容器4と、内容器4を収納すると共に、当該内容器4の化粧料Pを外部へ流出可能とする孔部5を有する外容器6と、孔部5を開閉可能とするバルブ7と、バルブ7を孔部5を閉止する方向(塞ぐ方向)に付勢する弾性体としての圧縮コイルバネ8と、を備える。
【0019】
外容器6は、ベース9と、ジョイント部10と、栓部材11と、を備えている。
【0020】
ベース9は、
図2、
図3、
図6~
図8に示すように、有底円筒状に構成され、中央に、圧縮コイルバネ8及びバルブ7の下部を外挿する円筒部12が立設されている。この中央の円筒部12の高さは、外側の円筒部13の高さより高くなっている。
【0021】
ベース9の底部14には、外側の円筒部13の内周面に連設されて、ベース9の軸心に向かって延び、内容器4の底部35の外側の部分(詳しくは後述)に当接する突起(突条)15が、周方向に沿って等間隔で複数(ここでは12個)設けられている。突起15は、外側の円筒部13から、中央の円筒部12と外側の円筒部13との間の中央近くまで延びている。また、ベース9の外側の円筒部13の外周面には、ジョイント部10を装着するための凸部19が円環状に設けられている。
【0022】
ジョイント部10は、
図2、
図3、
図11及び
図12に示すように、段付き円筒状に構成され、内外径が小径の上部の円筒部20と、上部の円筒部20に段差部22を介して連設され、ベース9の外側の円筒部13に外挿される内外径が大径の下部の円筒部21と、を備える。下部の円筒部21の下端側の内周面には、ベース9の凸部19に嵌合する凹部26が円環状に設けられている。
【0023】
上部の円筒部20の外周面には、キャップ2を装着するための雄螺子23が円環状に設けられている。円筒部20の上部の外周面には、キャップ2との間で気密をとるためのOリング25(
図2参照)が装着されている。円筒部20の内周面には、栓部材11を装着するための凹部24が円環状に設けられている。
【0024】
栓部材11は、
図2、
図3、
図16~
図18に示すように、ジョイント部10の上部の円筒部20に内挿される円筒部27と、円筒部27の内周面の軸線方向中程から上方(キャップ2側)へ延びてドーム状を成し内容器4を覆う覆部28と、覆部28の中央の頂点部に設けられた孔部5と、を備えている。円筒部27の上部には、ジョイント部10の上部の円筒部20の上端面に当接する鍔部31が設けられている。円筒部27の下部の外周面には、ジョイント部10の凹部24に嵌合する凸部32が円環状に設けられている。孔部5は、化粧料Pの外部への流出を可能とする孔部であり、覆部28の下面(ベース9の底部14側の面)における孔部5の周囲が、バルブ7の先端部の後述する弁体29が着座する弁座30となっている。
【0025】
図2に示す内容器4は、弾性変形可能な材質から形成され、ここでは、軟質材より形成されている。軟質材としては、一例として、ポリエチレン、ポリピロピレン等を採用できる。
【0026】
内容器4は、
図2、
図3、
図9及び
図10に示すように、外容器6内、より詳しくは、ベース9内に収容され、円筒状の外側部33と円筒状の内側部34とを平板状の底部35で連結した形状を呈している。外側部33の高さは、内側部34の高さより低くなっている。
【0027】
化粧料Pを収容する収容部36は、底部35から立設された円筒状の外側部33の内周面と、外側部33の内側に底部35から円筒状に立設された内側部34の外周面と、底部35の上面との間に形成されている。そして収容部36の上部で、外側部33の内周面と内側部34の外周面との間が、化粧料Pを流出可能とする開口37となっている。外側部33の上部には、ベース9の外側の円筒部13の上端面とジョイント部10の段差部22との間に挟まれる鍔部16が設けられている。
【0028】
底部35の底面には、外側部33と内側部34との間の略中間位置に、上方に凹む溝部38が所定幅(径方向長さ)で円環状に設けられている。この溝部38は、底部35を弾性変形しやすくするためのものである(詳しくは後述)。そして、底部35の溝部38の外周側の端縁aより外側の部分が、ベース9の突起15が当接する当接部となっている。
【0029】
内側部34の上部の外周面には、バルブ7を装着するための凹部41が円環状に設けられ、内側部34の上端面は、バルブ7が当接するための当接面となっている。
【0030】
バルブ7は、
図2、
図3、
図13~
図15に示すように、上方(キャップ2側)にドーム状に形成された弁体29と、弁体29の下端に連設され放射状に突出する複数の突起42と、突起42の基部に連設されて下方へ延びる円筒部43と、を備える。弁体29は、その凸部の下端の外周面に、気密をとるためのOリング18(
図2参照)を備え、当該Oリング18が、栓部材11の弁座30に着座する。
【0031】
複数の突起42は、ここでは、12個設けられている。突起42は、平面視三角形状を呈し、その頂点が外方へ向かう構成となっている。円筒部43は、段付き円筒状に構成され、外径が大径で内容器4の内側部34の上端面に当接する上部の円筒部44と、外径が小径で内容器4の内側部34に内挿される下部の円筒部45と、を備える。下部の円筒部45の外周面には、内容器4の内側部34の凹部41に嵌合する凸部46が円環状に設けられている。
【0032】
圧縮コイルバネ8は、
図2及び
図3に示すように、ベース9の中央の円筒部12と内容器4の内側部34との間に配置されると共に、ベース9の底部14とバルブ7の下部の円筒部45の下端面との間に配置される。
【0033】
パフ3は、
図2、
図3、
図19及び
図20に示すように、円板状に構成され、その上面には、ストラップ47が取り付けられている。このパフ3は、栓部材11の覆部28とキャップ2との間に配置される。
【0034】
キャップ2は、
図2及び
図3に示すように、有頂円筒状に構成され、有頂部はドーム状を呈している。キャップ2の円筒部の内周面には、ジョイント部10の雄螺子23に螺合する雌螺子48が形成されている。
【0035】
次に、化粧料容器100の組み立て手順を
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0036】
先ず、ベース9の中央の円筒部12に圧縮コイルバネ8を外挿し、次いで、ベース9内に内容器4を入れ、内容器4の外側部33の鍔部16の下端面を、ベース9の外側の円筒部13の上端面に当接させると共に、内容器4の底部35の溝部38の外周側の端縁aより外側の部分を、ベース9の突起15に当接させる。そして、内容器4の収容部36に化粧料Pを所定量入れる。
【0037】
次いで、ジョイント部10を、ベース9の外側の円筒部13に外挿し押し込み、ジョイント部10の凹部26をベース9の凸部19に嵌合させ一体化すると共に、ジョイント部10の段差部22とベース9の外側の円筒部13の上端面との間に、内容器4の外側部33の鍔部16を挟み込む。このように、ジョイント部10の段差部22とベース9の外側の円筒部13の上端面との間に、内容器4の外側部33の鍔部16を挟み込むことにより、気密がとられている。
【0038】
次いで、バルブ7の下部の円筒部45を内容器4の内側部34の筒孔に内挿し押し込み、上部の円筒部44の下端面を内容器4の内側部34の上端面に当接させると共に、下部の円筒部45の凸部46を内容器4の内側部34の凹部41に嵌合させ一体化する。このように、バルブ7の下部の円筒部45の凸部46と内容器4の内側部34の凹部41とを嵌合させることにより、バルブ7の下部の円筒部45は、内容器4の内側部34の全周に亘って密着し、気密がとられている。
【0039】
次いで、栓部材11をジョイント部に内挿し押し込み、栓部材11の円筒部27の凸部32をジョイント部10の凹部24に嵌合させ一体化する。このように、栓部材11の円筒部27の凸部32とジョイント部10の凹部24とを嵌合させることにより、気密がとられている。
【0040】
この状態で、バルブ7の下部の円筒部45の下端面が、圧縮コイルバネ8に当接して上方に付勢され、バルブ7の弁体29のOリング18が、栓部材11の弁座30に着座した状態となっている。この状態を示したのが、
図4である。このように、バルブ7の弁体29(Oリング18を含む)と栓部材11の弁座30とが密着することにより、気密がとられている。
【0041】
次いで、パフ3を栓部材11の覆部28上に載せ、キャップ2の雌螺子48をジョイント部10の雄螺子23に螺合させ、キャップ2を締め込むことにより、
図1及び
図2に示す化粧料容器100が得られる。この状態で、パフ3は、
図2に示すように、栓部材11のドーム状を成す覆部28とキャップ2のドーム状を成す有頂部に挟まれ、ドーム状の形状に倣って変形している。また、ジョイント部10のOリング25とキャップ2の円筒部の内周面とが密着することにより、気密がとられている。
【0042】
このような化粧料容器100にあっては、
図2に示すキャップ2を容器本体1に取り付けた状態において、揮発空間Sが、弁座30に着座している弁体29から内容器4の収容部36に収容されている化粧料Pまでの空間、より具体的には、栓部材11の円筒部27と、栓部材11の覆部28と、バルブ7において栓部材11の覆部28下で露出している部分と、内容器4の化粧料Pとの間に画成されている。なお、容器本体1からキャップ2及びパフ3を取り外した
図4に示す状態にあっても、揮発空間Sは、
図2と同様な空間となっている。
【0043】
次に、化粧料容器100の使用方法の一例を、
図2及び
図5を参照しながら説明する。
【0044】
先ず、
図2に示すキャップ2を容器本体1から取り外し、パフ3のストラップ47に例えば中指と人差し指等の指Fを入れて(
図5参照)パフ3を取り出す。
【0045】
次いで、
図5に示すように、容器本体1を逆さまにする。すると、化粧料Pは矢印で示すように弁体29側へ移動する(落下する)が、弁体29が孔部5を閉止している(
図2参照)ため、化粧料Pは外部へ流出しない。
【0046】
この状態で、パフ3を弁体29に押し当て矢印で示すように弁体29を押圧する。すると、内容器4にあっては、
図2に示すように、底部35の溝部38の外周側の端縁aを支点とし、内側部34においてバルブ7の上部の円筒部44の下端面に当接する部分bを力点とし、内側部34においてベース9の底部14側の端部cを作用点とし、てこの原理で、底部35が弾性変形する(
図5参照)。具体的には、内側部34が、ベース9の底部14側へ移動し、底部35の溝部38の外周側の端縁aを支点として、底部35の端縁aより内側部分、すなわち、底部35においてベース9の突起15に対する当接部分より内側の部分が、ベース9の底部14側に湾曲する。
【0047】
さらに、
図5に示すように、内側部34が、ベース9の底部14側へ移動することにより、底部35においてベース9の突起15に対する当接部分より内側の部分の湾曲が大きくなり、底部35の溝部(凹部)38の底面50(
図10も参照)が、ベース9の底部14の突起15の先端部51に当接する。そして、ベース9の底部14の先端部51に当接する底面50の部分dを支点として、当該当接する部分dより内側部分が、ベース9の底部14側にさらに湾曲し、内側部34においてベース9の底部14側の作用点となる端部cが、ベース9の底部14に接近した状態となる。
【0048】
この状態にあっては、弁体29が弁座30から離座するため、弁体29と弁座30との間には、化粧料Pの外部への流出を可能とする流路Rが形成される。この流路Rを介して化粧料Pが流出し、パフ3に付着させることができ、使用者は、化粧料Pが付着したパフ3を被塗布部に塗布することができる。
【0049】
ここで、化粧料Pが流出するにあたっては、化粧料Pは、バルブ7の外周面に設けられ側方に延びる複数の突起42により、撹拌されながら好適に流出することになる。そして、弁体29の押圧と解除を繰り返し、弁体29を弁座30に離座、着座させることにより、所望量の化粧料Pをパフ3に付着させることができる。
【0050】
使用者は、使用が終わったら、容器本体1を逆さまから
図4に示す元の状態に戻し、孔部5が弁体29で塞がれている栓部材11の覆部28上にパフ3を載せ、キャップ2を容器本体1に取り付け、
図1及び
図2に示す化粧料容器100とする。
【0051】
このように、本実施形態においては、弁体29が押圧されると、内容器4の内側部34が移動し内容器4の底部35が弾性変形して弁体29が弁座30から離座するため、内容器4の化粧料Pを、弁体29と弁座30との間に形成された流路Rから流出させることができる。
【0052】
そして、特に本実施形態では、弁体29が離座する動作は、内容器全体が移動することによるものではなく、内容器4の内側部34の移動による内容器4の底部35の弾性変形により行われ、弁体29を有するバルブ7は、内容器4の内側部34に全周に亘って密着しているため、内容器全体が移動するための移動隙間がなく、揮発空間Sは、弁座30に着座している弁体29から内容器4の収容部36に収容されている化粧料Pまでの空間のみとなり、揮発空間を従来に比して小さくできる。
【0053】
ここで、粉体化粧料にあっては、化粧料容器を逆さまにしても当該粉体化粧料を収容する収容部の底部に付着したままで出てこないことがあるが、上述のように、弁体29が押圧されると内容器4の底部14が弾性変形するため、内容器4の底部14に付着した粉体化粧料が出やすくなっている。
【0054】
また、本実施形態においては、外容器9の底部14に、内容器4の底部35の内側部34より外側の部分に当接する突起15が設けられているため、弁体29の押圧により、内容器4の底部35において突起15に対する当接部分より内側の部分を、弁体29の移動方向(
図2の下方;ベース9の底部14側)に容易に弾性変形させることができる。
【0055】
また、本実施形態においては、弁体29は、外容器9の底部14に当接する圧縮コイルバネ8により弁座30に着座する方向に付勢され、内側部34の筒孔には、バルブ7及び圧縮コイルバネ8が挿入され、バルブ7の外周面が内容器4の内側部34の内周面の全周に亘って密着しているため、弁体29の押圧が解除されると弁体29を弁座30に容易に着座させることができると共に、弁体29を安定して移動させることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、バルブ7には、当該バルブ7の外周面から側方に延びる複数の突起42が設けられているため、弁体29の押圧によって弁体29と弁座30との間に形成された流路Rから流出しようとする化粧料Pを、複数の突起42により撹拌しながら好適に流出させることができる。また、弁体29の押圧と解除を繰り返して弁体29を弁座30に離座、着座させることにより、化粧料Pを、より一層撹拌しながら流出させることができる。
【0057】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、ベース9とジョイント部10で内容器4の鍔部16を挟んでいるが、挟まない形状でベース9にジョイント部10が連設されている構成でも良い。この場合、係合部等の嵌合等により内容器4をベース9側に固定すれば良い。
【0058】
また、上記実施形態においては、内側部34の内周面にバルブ7の下部の円筒部45の外周面が密着するようにしているが、内側部34の上部を縮径すると共にバルブ7の下部の円筒部45を拡径して、バルブ7の下部の円筒部45が内側部34の上部に外挿されるように構成を変更し、内側部34の上部の外周面にバルブ7の下部の円筒部45の内周面が密着するようにしても良い。この場合、内側部34の縮径された上部の下端面に、圧縮コイルバネ8が当接する構成とするのが好ましい。
【0059】
また、上記実施形態においては、弾性変形を容易とすべく、内容器4の底部35の底面に円環状の溝部38が凹設されているが、溝部38はなくても良い。この場合、弁体29が押圧されると、底部35においてベース9の突起15の先端部51に当接している部分を支点として、内容器4の底部35がベース9の底部14側へ弾性変形することになる。なお、内容器4は、その底部35が、弁体29の押圧により弾性変形可能であれば良い。
【0060】
また、上記実施形態においては、バルブ7の弁体29がOリング18を有し当該Oリング18により気密をとっているが、弁体29のみが栓部材11の弁座30に着座し気密をとれれば、Oリング18はなくても良い。
【0061】
また、上記実施形態においては、化粧料容器100がパフ3を収納しているが、パフ3がない化粧料容器に対しても適用できる。
【0062】
また、上記実施形態においては、特に好適であるとして、化粧料Pを粉体化粧料としているが、液状化粧料に対しても適用でき、要は、流動性を有する化粧料に対して適用できる。
【符号の説明】
【0063】
4…内容器、5…孔部、6…外容器、7…バルブ、8…圧縮コイルバネ(弾性体)、9…ベース、10…ジョイント部、11…栓部材、14…外容器の底部、15…外容器の突起、29…弁体、30…弁座、33…外側部、34…内側部、35…内容器の底部、36…収容部、37…内容器の開口、42…バルブの突起、100…化粧料容器、P…化粧料(粉体化粧料)、R…流路。