IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイオン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-基板洗浄用ブラシ 図1
  • 特許-基板洗浄用ブラシ 図2
  • 特許-基板洗浄用ブラシ 図3
  • 特許-基板洗浄用ブラシ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】基板洗浄用ブラシ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230913BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20230913BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20230913BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
B08B7/04 A
B08B1/04
B08B3/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019099190
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020194867
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500004069
【氏名又は名称】アイオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】川口 覚嗣
(72)【発明者】
【氏名】中垣 知幸
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-017454(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0048220(KR,A)
【文献】特開2000-173966(JP,A)
【文献】特開2002-028584(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2002-0022220(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/00 -13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心が上下方向に延びる基板洗浄装置のブラシ回転軸と一体的に回転することによって基板を洗浄する基板洗浄用ブラシであって、
前記ブラシ回転軸の下端に取付けられるホルダ上部と、前記ホルダ上部を前記ブラシ回転軸に取付けたホルダ取付状態で前記ホルダ上部から下方へ延びる円筒状のホルダ下部と、前記ホルダ取付状態で前記ホルダ下部の下端内縁から径方向内側へ突出する中空円板状のホルダ底板部とを有し、前記ホルダ取付状態で、前記ホルダ上部の下面と前記ホルダ下部の内周面と前記ホルダ底板部の上面とはブラシ収容空間を区画し、前記ホルダ底板部の内周縁は、前記ホルダ下部の内径よりも小径な円形状のホルダ開口を区画し、前記ブラシ収容空間の中心軸と前記ホルダ開口の中心軸とが前記ブラシ回転軸の前記軸心と略一致するブラシホルダと、
前記ホルダ開口を挿通不能な円柱状であり、前記ブラシ収容空間に収容されて保持される被保持部と、前記被保持部よりも小径で前記ホルダ開口を挿通可能な円柱状であり、前記ホルダ取付状態の前記ブラシ収容空間に前記被保持部が保持されたブラシ取付状態で、前記ホルダ開口を挿通して下方へ突出する洗浄部とを一体的に有し、前記ブラシ取付状態で前記洗浄部の下面を前記基板に上方から接触させて洗浄するブラシ本体と、を備え、
前記ブラシホルダは、前記ホルダ取付状態で前記ホルダ底板部の前記内周縁から下方へ突出する円筒状のブラシ変形規制部を有し、
前記ブラシ変形規制部の内周面は、前記ホルダ底板部の前記内周縁とともに前記ホルダ開口を区画し、
前記ブラシホルダの前記ホルダ開口の上下長さは、前記ブラシ本体の前記被保持部からの前記洗浄部の突出長さの1/4以上であって、前記洗浄部の突出長さよりも短い
ことを特徴とする基板洗浄用ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄用ブラシであって、
前記ホルダ下部の前記内周面には、前記ブラシ収容空間に収容された前記ブラシ本体の前記被保持部の外周面を径方向内側へ部分的に弾性変形させる複数の突起が形成されている
ことを特徴とする基板洗浄用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をブラシ洗浄する基板洗浄装置に取付けられて使用される基板洗浄用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上部取着部と下部保持部とからなるブラシホルダにブラシ本体を保持して構成された基板洗浄用ブラシが記載されている。ブラシ本体の上半部は大径部であり、下半部は大径部よりも小径の小径部である。ブラシ本体は、連続的な気孔が形成され、親水性を有し、湿潤時には良好な柔軟性、弾力性を呈する多孔質素材により形成されている。ブラシホルダの上部取着部の上面中央部には、基板洗浄用ブラシを基板洗浄装置のブラシ回転軸に取着するための係止部が一体に突設されている。ブラシホルダの下部保持部の内径寸法は、ブラシ本体の大径部の外径より僅かに大きく、下部保持部の下端近くの内周面には、支持環状部が一体に形設されている。支持環状部の内径寸法は、ブラシ本体の小径部の外径より僅かに大きくかつ大径部の外径より小さい。
【0003】
ブラシホルダにブラシ本体を組み込むには、下部保持部の支持環状部の円形孔にブラシ本体の小径部を挿入し、下部保持部内にブラシ本体を収容した後、下部保持部の上端部に上部取着部の嵌合部を嵌着させる。これにより、ブラシ本体がブラシホルダに保持され、ブラシ本体の下端面が下部保持部の下端より下方へ突き出た状態になる。
【0004】
基板の洗浄は、基板洗浄用ブラシを基板洗浄装置のブラシ保持アームのブラシ回転軸に取り付け、スピンチャックに保持された基板を鉛直軸回りに回転させながら、基板上に純水等の洗浄液を供給し、基板洗浄用ブラシを自転させながら上方位置から下降させ、ブラシ本体の下面を基板表面に接触させた状態で、基板洗浄用ブラシを基板の表面に沿って基板上を中心部から周縁部に向かって移動させることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-181025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の基板洗浄用ブラシによる洗浄では、ブラシ本体の小径部の下面が基板の表面上を移動し、柔軟な小径部が回転軸(鉛直軸)に対して傾斜するように径方向へ弾性変形するため、径方向への小径部の弾性変形に応じて、基板の表面に対する小径部の接触圧も変動する。このため、径方向へ弾性変形可能な小径部の上下方向の長さが過大であると、小径部の接触圧の変動も大きくなり、基板の被洗浄面を均等に洗浄することが難しくなる。従って、被洗浄面を均一に洗浄するためには、径方向へ弾性変形可能な小径部の上下方向の長さを、小径部による洗浄効果を損ねない範囲(所望の洗浄効果を奏するように弾性変形する範囲)において、できるだけ短く抑えることが好ましい。
【0007】
しかし、特許文献1の基板洗浄用ブラシでは、薄板状の支持環状部の円形孔を小径部が挿通し、円形孔の上下方向の長さは、大径部からの小径部の突出長さに対して極めて短い。このため、径方向へ弾性変形可能な小径部の上下方向の長さが過大となり、被洗浄面を均等に洗浄することができないおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、基板の被洗浄面の全域を均等に洗浄するために好適な基板洗浄用ブラシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、軸心が上下方向に延びる基板洗浄装置のブラシ回転軸と一体的に回転することによって基板を洗浄する基板洗浄用ブラシであって、ブラシホルダとブラシ本体とを備える。
【0010】
ブラシホルダは、ホルダ上部とホルダ下部とホルダ底板部とを有する。ホルダ上部は、ブラシ回転軸の下端に取付けられる。ホルダ下部は、ホルダ上部をブラシ回転軸に取付けたホルダ取付状態でホルダ上部から下方へ延びる円筒状である。ホルダ底板部は、ホルダ取付状態でホルダ下部の下端内縁から径方向内側へ突出する中空円板状である。ホルダ取付状態で、ホルダ上部の下面とホルダ下部の内周面とホルダ底板部の上面とはブラシ収容空間を区画し、ホルダ底板部の内周縁は、ホルダ下部の内径よりも小径な円形状のホルダ開口を区画し、ブラシ収容空間の中心軸とホルダ開口の中心軸とがブラシ回転軸の軸心と略一致する。
【0011】
ブラシ本体は、被保持部と洗浄部とを一体的に有する。被保持部は、ホルダ開口を挿通不能な円柱状であり、ブラシ収容空間に収容されて保持される。洗浄部は、被保持部よりも小径でホルダ開口を挿通可能な円柱状であり、ホルダ取付状態のブラシ収容空間に被保持部が保持されたブラシ取付状態で、ホルダ開口を挿通して下方へ突出する。ブラシ本体は、ブラシ取付状態で洗浄部の下面を基板に上方から接触させて洗浄する。
【0012】
ブラシホルダのホルダ開口の上下長さは、ブラシ本体の被保持部からの洗浄部の突出長さの1/4以上であって、洗浄部の突出長さよりも短い。なお、洗浄部の洗浄能力を考慮すると、ホルダ開口の上下長さは、洗浄部の突出長さの2/3以下が好適である。
【0013】
基板の被洗浄面を洗浄する場合、ブラシ回転軸を中心として回転するブラシ本体の洗浄部の下面を被洗浄面に上方から押し当てて被洗浄面上を移動させる。係る移動により、洗浄部は、ブラシ回転軸に対して傾斜するように径方向へ弾性変形する。
【0014】
上記構成では、ブラシホルダのホルダ開口の上下長さは、ブラシ本体の被保持部からの洗浄部の突出長さの1/4以上であって、洗浄部の突出長さよりも短いので、ブラシ本体の洗浄部の被保持部側(上端側)において、洗浄部の突出長さの1/4以上の上下長さの範囲の径方向の弾性変形がホルダ開口によって規制される。従って、径方向へ弾性変形可能な洗浄部の上下方向の長さを、洗浄部による洗浄効果を損ねない範囲(所望の洗浄効果を奏するように弾性変形する範囲)において、できるだけ短く抑えることができ、被洗浄面の全域を均等に洗浄することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様の基板洗浄用ブラシであって、ブラシホルダは、ホルダ取付状態でホルダ底板部の内周縁から下方へ突出する円筒状のブラシ変形規制部を有する。ブラシ変形規制部の内周面は、ホルダ底板部の内周縁とともにホルダ開口を区画する。
【0016】
上記構成では、ホルダ底板部の内周縁から下方へ突出するブラシ変形規制部を設け、ホルダ開口をホルダ底板部の内周縁とブラシ変形規制部の内周面とによって区画するので、ホルダ開口の上下長さに合わせてホルダ底板部を厚肉化する必要がない。
【0017】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の基板洗浄用ブラシであって、ホルダ下部の内周面には、ブラシ収容空間に収容されたブラシ本体の被保持部の外周面を径方向内側へ部分的に弾性変形させる複数の突起が形成されている。
【0018】
上記構成では、ブラシホルダに対するブラシ本体の被保持部の回転をホルダ下部の複数の突起によって抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板の被洗浄面の全域を均等に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る基板洗浄用ブラシの分解斜視図である。
図2図1のブラシ本体をブラシホルダに装着した基板洗浄用ブラシの断面図である。
図3図2の平断面図であり、(a)はIIIa-IIIa断面を、(b)はIIIb-IIIb断面を、(c)はIIIc-IIIc断面を、(d)はIIId-IIId断面をそれぞれ示す。
図4図1のブラシ本体を他の形態のブラシホルダに装着した例の基板洗浄用ブラシの断面図であり、(a)は第1の変形例を、(b)は第2の変形例をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る基板洗浄用ブラシ(以下、単に洗浄用ブラシと称する)1について、図1図3を参照して説明する。
【0022】
図2に示すように、洗浄用ブラシ1は、ブラシホルダ10とブラシ本体30とから構成され、基板洗浄装置のブラシ回転軸2の下端に取付けられて使用される。ブラシ回転軸2の軸心3は、上下方向(略鉛直方向)に延び、洗浄用ブラシ1は、ブラシ回転軸2と一体的に回転することによって基板4の被洗浄面(基板4の上面の略全域)5をブラシ洗浄する。洗浄対象の基板4は、例えば半導体ウエハ、液晶表示装置用やフォトマスク用のガラス基板、光ディスク用の基板等の各種基板であり、基板洗浄装置は、基板4を水平姿勢に保持し鉛直軸(軸心3)回りに回転させながら被洗浄面5上へ洗浄液を供給してブラシ洗浄を行う。
【0023】
図1図3に示すように、ブラシホルダ10は、上ホルダ(ホルダ上部)11と下ホルダ12とから構成される。上ホルダ11及び下ホルダ12は、例えばポリプロピレン等の硬質樹脂材によって形成され、上ホルダ11に下ホルダ12を組付けることによって一体化される。
【0024】
上ホルダ11は、円板状の上ホルダ大径部13と、上ホルダ大径部13よりも僅かに小径な円板状の上ホルダ小径部14と、外周面に雄ネジが形成されたホルダ雄ネジ部15とを一体的に有し、上ホルダ大径部13と上ホルダ小径部14とホルダ雄ネジ部15とは、同軸状に設けられている。上ホルダ小径部14は上ホルダ大径部13の下面から下方へ突出し、ホルダ雄ネジ部15は上ホルダ大径部13の上面から上方へ突出する。上ホルダ小径部14の外周面には、複数(本実施形態で2箇所)の係止突部16が突設され、ホルダ雄ネジ部15の上面には、下方へ延びる有底の角穴17が形成されている。
【0025】
上ホルダ11は、基板洗浄装置のブラシ回転軸2側の角形軸(図示省略)を角穴17に挿入し、ホルダ雄ネジ部15にナット(図示省略)を螺合して締付けることによってブラシ回転軸2の下端に取付けられ、ブラシ回転軸2と一体的に回転する。
【0026】
下ホルダ12は、円筒状のホルダ下部18と、中空円板状のホルダ底板部19と、円筒状のブラシカバー部20と、円筒状のブラシ変形規制部21とを一体的に有し、ホルダ下部18とホルダ底板部19とブラシカバー部20とブラシ変形規制部21とは、同軸状に設けられている。
【0027】
ホルダ下部18の外径は、上ホルダ大径部13の外径と略同径に形成され、ホルダ下部18の内径は、上ホルダ小径部14の外径と略同径に又はそれよりも僅かに大径に形成されている。ホルダ下部18の一端部(上端部)には、上ホルダ小径部14の係止突部16が挿入されて係合可能な複数(本実施形態では2箇所)の係止孔22が形成され、上ホルダ小径部14の下端をホルダ下部18に上方から挿入し、係止突部16を係止孔22に係合することにより、下ホルダ12が上ホルダ11に固定的に取付けられる。
【0028】
ホルダ下部18は、下ホルダ12を上ホルダ11に取付け、上ホルダ11をブラシ回転軸2に取付けたホルダ取付状態で、上ホルダ11から下方へ延びる。ホルダ底板部19は、ホルダ取付状態でホルダ下部18の下端内縁から径方向内側へ突出する。ブラシカバー部20は、ホルダ下部18と同径の円筒状であり、ホルダ取付状態でホルダ下部18の下端から連続して下方へ延びる。ブラシ変形規制部21は、ブラシカバー部20よりも小径の円筒状であり、ホルダ取付状態でホルダ底板部19の内周縁から下方へ突出する。ホルダ底板部19からのブラシカバー部20の突出高さとブラシ変形規制部21の突出高さとは、それぞれ任意に設定可能であり、本実施形態では両者を略等しい突出高さに設定している。
【0029】
ホルダ取付状態において、上ホルダ11の下面とホルダ下部18の内周面とホルダ底板部19の上面とはブラシ収容空間23を区画する。ホルダ底板部19の内周縁は、ブラシ変形規制部21の内周面とともに、ホルダ下部18の内径(ホルダ下部18の内周面の直径)よりも小径な円形状のホルダ開口24を区画する。また、ブラシ収容空間23の中心軸とホルダ開口24の中心軸とは、ブラシ回転軸2の軸心3と略一致する。
【0030】
ブラシ本体30は、親水性を有するスポンジ状の多孔質素材によって形成され、円柱状の被保持部31と、被保持部31よりも小径な円柱状の洗浄部32とを一体的に有する。多孔質素材は、例えばPVAを原料とした多孔質素材(PVAt系多孔質素材)である。PVAt系多孔質素材は、例えばPVAに酸を触媒としてホルムアルデヒドを結合させるホルマール化反応によりポリビニルホルマールを生成し、その際、気孔生成剤を加えて気孔形成を行ない、不溶性の多孔質基質が完成した後、気生成剤を抽出することにより製造される。PVAt系多孔質素材により形成されたブラシ本体30は、その全域に連続的な気孔が形成され、親水性を有し、湿潤時には良好な柔軟性及び弾力性を呈し、乾燥時には弾力性が喪失して硬化する。
【0031】
被保持部31は、ホルダ開口24を挿通不能な外径(ホルダ開口24よりも大きい外径)を有し、ブラシ収容空間23に収容されて保持される。洗浄部32は、被保持部31よりも小径でホルダ開口24を挿通可能な外径を有し、ホルダ取付状態のブラシ収容空間23に被保持部31が保持されたブラシ取付状態で、ホルダ開口24を挿通して下方へ突出する。ブラシホルダ10にブラシ本体30を装着する場合、上ホルダ11と下ホルダ12とを分離し、下ホルダ12のホルダ開口24に洗浄部32を挿入しながらブラシ収容空間23に被保持部31を収容し、下ホルダ12を上ホルダ11に取付ける。これにより、被保持部31が上ホルダ11の下面とホルダ底板部19の上面とによって上下から挟まれて保持される。ブラシ本体30によるブラシ洗浄時には、洗浄部32の下面が基板4の被洗浄面5に上方から接触する。
【0032】
ホルダ下部18の内周面には、ブラシ収容空間23に収容された被保持部31の外周面を径方向内側へ部分的に弾性変形させる複数の突起25が一体的に突設されている。本実施形態では、半円弧状で上下方向に延びる12箇所の突起25が、周方向に略等間隔に形成されている。
【0033】
ブラシホルダ10のホルダ開口24の上下長さL2は、ブラシ本体30の被保持部31からの洗浄部32の突出長さL1の1/4以上であって、且つ洗浄部32の突出長さL1よりも短く設定されている(L1>L2≧L1/4)。本実施形態では、洗浄部32の洗浄能力を考慮して、ホルダ開口24の上下長さL2を洗浄部32の突出長さL1の1/4以上2/3以下の範囲内(L1×2/3≧L2≧L1/4)に設定している。
【0034】
洗浄用ブラシ1を基板洗浄装置のブラシ回転軸2に取り付けて基板4の被洗浄面5をブラシ洗浄する場合、例えば、スピンチャック(図示省略)に保持された基板4を鉛直軸回りに回転させながら、基板4の被洗浄面5上に純水等の洗浄液を供給し、洗浄用ブラシ1を自転させながら上方位置から下降させ、ブラシ本体30の洗浄部32の下面を被洗浄面5に接触させた状態で、洗浄用ブラシ1を基板4の中心部から周縁部に向かって被洗浄面5に沿って移動させる。このように、ブラシ回転軸2の軸心3を中心として回転するブラシ本体30の洗浄部32の下面を被洗浄面5に上方から押し当てて被洗浄面5上を移動させるため、洗浄部32は、ブラシ回転軸2(軸心3)に対して傾斜するように径方向へ弾性変形する。
【0035】
本実施形態では、ブラシホルダ10のホルダ開口24の上下長さL2は、ブラシ本体30の被保持部31からの洗浄部32の突出長さL1の1/4以上で、且つ洗浄部32の突出長さL1よりも短いので、ブラシ本体30の洗浄部32の上端側において、洗浄部32の突出長さL1の1/4以上の上下長さの範囲の径方向の弾性変形がホルダ開口24によって規制される。従って、径方向へ弾性変形可能な洗浄部32の上下方向の長さを、洗浄部32による洗浄効果を損ねない範囲(所望の洗浄効果を奏するように弾性変形する範囲)において、できるだけ短く抑えることができ、被洗浄面5の全域を均等に洗浄することができる。
【0036】
また、ホルダ底板部19の内周縁から下方へ突出するブラシ変形規制部21を設け、ホルダ開口24をホルダ底板部19の内周縁とブラシ変形規制部21の内周面とによって区画するので、ホルダ開口24の上下長さL2に合わせてホルダ底板部19を厚肉化する必要がない。
【0037】
また、ブラシホルダ10に対するブラシ本体30の被保持部31の回転をホルダ下部18の複数の突起25によって抑制することができ、洗浄性能がさらに向上する。
【0038】
なお、本発明は、一例として説明した上述の実施形態、及びその実施例に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0039】
例えば、図4(a)に示すように、ブラシカバー部20(図2参照)を省略したブラシホルダ10としてもよい。また、図4(b)に示すように、ブラシカバー部20及びブラシ変形規制部21(図2参照)を省略し、ホルダ底板部19を厚肉化することによってホルダ開口24の上下長さを所望の長さに伸長させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、基板をブラシ洗浄する基板洗浄装置に取付けられて使用される基板洗浄用ブラシとして有用である。
【符号の説明】
【0041】
1:基板洗浄用ブラシ
2:ブラシ回転軸
3:ブラシ回転軸の軸心
4:基板
5:被洗浄面
10:ブラシホルダ
11:上ホルダ(ホルダ上部)
12:下ホルダ
13:上ホルダ大径部
14:上ホルダ小径部
15:ホルダ雄ネジ部
16:係止突部
17:角穴
18:ホルダ下部
19:ホルダ底板部
20:ブラシカバー部
21:ブラシ変形規制部
22:係止孔
23:ブラシ収容空間
24:ホルダ開口
25:突起
30:ブラシ本体
31:被保持部
32:洗浄部
L1:洗浄部の突出
L2:ホルダ開口の上下長さ
図1
図2
図3
図4