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  • 特許-日除け付き帽子及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】日除け付き帽子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/0182 20210101AFI20230913BHJP
   A42B 1/18 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A42B1/0182 Z
A42B1/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019143458
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021025154
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】597093115
【氏名又は名称】株式会社シオジリ製帽
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】塩尻 英一
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0326791(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0349961(KR,Y1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0457080(KR,Y1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0001993(KR,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0011170(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/018
A42B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の頭部を覆うクラウンと、
クラウンの下縁から前方に突出して設けられた前鍔と、
着用者の顔面前方を覆う前方被覆部、及び、着用者の顔面側方を覆う左右一対の側方被覆部を有する日除け布と
を備えた日除け付き帽子であって、
前方被覆部及び左右一対の側方被覆部が、連続して形成されて、
日除け布における、前方被覆部の上部に、前鍔挿入用開口部が設けられ、
それぞれの側方被覆部の上縁が、クラウン及び前鍔に対して、前鍔の上面側で前鍔の基端縁に沿って縫合され、
左右一対の側方被覆部が、前鍔の先端縁における左右両側から垂下されて、前鍔の前側部分が、前鍔挿入用開口部を通じて日除け布から前方に突出した状態とされることによって、前方被覆部が、前鍔における前後方向中途部分から垂下する構造とされた
ことを特徴とする日除け付き帽子。
【請求項2】
前鍔挿入用開口部における前鍔よりも下側に位置する部分を、着用者の目を出すための目出し用開口部として利用することができるようにした
請求項記載の日除け付き帽子。
【請求項3】
請求項1又は2記載の日除け付き帽子を製造する日除け付き帽子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の顔面を覆う日除け布を備えた日除け付き帽子と、その製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
日差しが強い時期に屋外で活動すると、日焼けしやすい。女性等、日焼けを気にする人は、日焼け止めを使用することもある。しかし、日焼け止めを塗る作業には、手間を要する。また、顔は、汗を掻きやすいため、顔に日焼け止めを塗ったとしも汗で流れ落ちやすい。このため、日焼け止めを頻繁に塗り直す必要がある。
【0003】
このような実状に鑑みて、これまでには、着用者の顔面を覆う日除け布を備えた日除け付き帽子が提案されている。例えば、特許文献1の図1には、クラウン6の下縁に日除け布1を縫い付けた日除け付き帽子が記載されている。また、特許文献2の図1には、前鍔に相当する部分の先端縁から日除け布を垂下した状態に設けた日除け付き帽子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-183440号公報
【文献】実用新案登録第3218185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の日除け付き帽子のように、日除け布をクラウンの下縁(前鍔の基端縁)から垂下させると、日除け布が着用者の顔に近い位置で垂れ下がるようになる。このため、日除け布が汗で顔に貼り付いて着用者が不快に感じるおそれがある。また、着用者が息苦しさを感じるようになるおそれもある。
【0006】
これに対し、特許文献2の日除け付き帽子のように、日除け布を前鍔の先端縁から垂下させると、日除け布が着用者の顔から遠い位置で垂れ下がるようになる。このため、着用者が日除け布を目障りに感じやすくなる。また、日除け布の重みが着用者に伝わりやすくなり、着用者が疲れを感じやすくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、
(1)日除け布が着用者の顔面に貼り付きにくい。
(2)着用者が息苦しさを感じにくい。
(3)着用者が日除け布を目障りに感じにくい。
(4)着用者が日除け布の重みを感じにくく疲れにくい。
という利点を有し、快適に着用することができる日除け付き帽子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
着用者の頭部を覆うクラウンと、
クラウンの下縁から前方に突出して設けられた前鍔と、
着用者の顔面を覆う日除け布と
を備えた日除け付き帽子であって、
日除け布における着用者の顔面前方を覆う部分が、前鍔における前後方向中途部分から垂下する構造とされた
ことを特徴とする日除け付き帽子
を提供することによって解決される。
【0009】
このように、着用者の顔面を覆う日除け布を、前鍔における前後方向中途部分(前鍔の先端縁における前側区間(着用者の顔の真正面に位置する区間)と、前鍔の基端縁とを除いた部分のこと。以下同じ。)から垂下させることによって、日除け布が、着用者の顔に近づきすぎず、且つ、着用者の顔から離れすぎない位置で垂れ下がるようになる。このため、日除け布が着用者の顔に貼り付きにくくするだけでなく、着用者が息苦しさを感じにくくすることも可能になる。また、着用者が日除け布を目障りに感じにくくするだけでなく、着用者が日除け布の重みを感じにくくすることも可能になる。したがって、日除け付き帽子を快適に着用できるものとすることが可能になる。
【0010】
本発明の日除け付き帽子において、日除け布の上縁は、前鍔の下面側で固定してもよい。しかし、この場合には、前鍔に対して日除け布を綺麗な状態でしっかりと固定しにくいという問題がある。というのも、前鍔は、通常、鍔芯と、鍔芯の上面側を覆う鍔表地と、鍔芯の下面側を覆う鍔裏地とで構成されており、鍔芯によってある程度の硬さを有する部分となっているところ、このように硬さを有する前鍔に対して可撓性を有する日除け布をシワなく綺麗な状態で、且つ、所望のラインに沿って固定することは、必ずしも容易ではないからである。
【0011】
このため、本発明の日除け付き帽子においては、
日除け布の上縁を、前鍔の上面側で前鍔の基端縁(前鍔とクラウンとの境界線)に沿って固定し、
前鍔の前側部分を、日除け布の上部に設けられた前鍔挿入用開口部を通じて日除け布から前方に突出させる
ことによって、
日除け布における着用者の顔面側方を覆う部分を、前鍔の先端縁における左右両側から垂下させるとともに、日除け布における着用者の顔面前方を覆う部分を、前鍔における前後方向中途部分から垂下させる構造とする
ことが好ましい。
【0012】
このように、日除け布の上縁を前鍔の基端縁に沿って固定することで、日除け布の上縁をシワなく綺麗な状態で固定することが可能になる。また、前鍔の前側部分を、日除け布の上面に設けられた前鍔挿入用開口部に挿入して前方に突出させることで、前鍔の先端縁における前側区間からは日除け布が垂れ下がらないようにする(前鍔の先端縁における前側区間よりも後方に控えた位置から日除け布が垂れ下がるようにする)ことも可能になる。
【0013】
このときには、日除け布の上縁を、クラウンの下縁と前鍔の基端縁との縫合部分で、クラウン及び前鍔に対して縫合することも好ましい。これにより、クラウンの下縁と前鍔の基端縁とを縫合するのと同時に、日除け布の上縁をクラウンの下縁及び前鍔の基端縁に対して縫合することができるようになる。すなわち、日除け布の縫合工程を別途設ける必要がなくなり、日除け付き帽子の製造工程をシンプルにすることが可能になる。
【0014】
上記のように、日除け布の上部に前鍔挿入用開口部を設ける場合には、前鍔挿入用開口部における前鍔よりも下側に位置する部分を、着用者の目を出すための目出し用開口部として利用できるようにする(前鍔挿入用開口部が前鍔によって完全に塞がれないようにし、その塞がれなかった部分を目出し用開口部として利用できるようにする)ことが好ましい。これにより、目出し用開口部を設ける工程を別途設けなくても、日除け布に目出し用開口部を設けることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によって、
(1)日除け布が着用者の顔面に貼り付きにくい。
(2)着用者が息苦しさを感じにくい。
(3)着用者が日除け布を目障りに感じにくい。
(4)着用者が日除け布の重みを感じにくく疲れにくい。
という利点を有し、快適に着用することができる日除け付き帽子を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る日除け付き帽子を示した斜視図である。
図2】本発明に係る日除け付き帽子を上方から見た状態を示した平面図である。
図3】本発明に係る日除け付き帽子を前方から見た状態を示した正面図である。
図4】本発明に係る日除け付き帽子を側方から見た状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の日除け付き帽子の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明に係る日除け付き帽子を示した斜視図である。図2は、本発明に係る日除け付き帽子を上方から見た状態を示した平面図である。図3は、本発明に係る日除け付き帽子を前方から見た状態を示した正面図である。図4は、本発明に係る日除け付き帽子を側方から見た状態を示した側面図である。
【0018】
本発明の日除け付き帽子は、図1に示すように、クラウン10と、前鍔20と、日除け布30とを備えたものとなっている。この日除け付き帽子は、日除け布30で着用者の顔を覆うことで、着用者の顔を日焼けから守ることができるものとなっている。以下、本発明の日除け付き帽子を構成する各部材について説明する。
【0019】
1.クラウン
クラウン10は、着用者の頭部を覆うための部分となっている。本実施態様の日除け付き帽子において、クラウン10は、複数枚(図1の例では6枚)の二等辺三角形状の生地(いわゆる「レンゲ」)を繋ぎ合わせて半球状に形成したものとなっている。しかし、クラウン10を構成する生地の形態は、これに限定されない。例えば、クラウン10の左側面部を形成する半円状の生地と、クラウン10の中央部左側を形成する帯状の生地と、クラウン10の中央部右側を形成する帯状の生地と、クラウン10の右側面部を形成する半円状の生地とからなる4枚の生地を繋ぎ合わせることによっても、半球状のクラウン10を得ることができる。また、クラウン10は、着用者の頭部全体を覆うもの(半球状のもの)である必要はなく、着用者の頭部の一部を覆うものであってもよい。例えば、サンバイザーにおけるヘッドバンドのように、着用者の頭部における下側部分のみを覆うもの(頭頂部を覆わないもの)であってもよい。
【0020】
クラウン10は、クラウン10の外面側を形成するクラウン表地と、クラウン10の内面側を形成するクラウン表地等からなる複層構造としてもよいが、本実施態様の日除け付き帽子では、クラウン10を1層のみで形成している。これにより、クラウン10の通気性を高めることができる。また、クラウン10を軽量化し、頭部に着用しても疲れにくいものとすることができる。クラウン10を構成する生地としては、合成繊維や天然繊維等からなる各種生地を用いることができる。しかし、本発明の日除け付き帽子は、主に、日差しの強い厚い時期に着用することを想定したものであるため、クラウン10は、通気性に優れた生地で形成することが好ましい。
【0021】
このように、通気性に優れた生地としては、メッシュ生地が挙げられる。本実施態様の日除け付き帽子においても、メッシュ生地によってクラウン10を形成している。クラウン10を形成するメッシュ生地としては、ラッセルメッシュ生地やトリコットメッシュ生地等の経編メッシュ生地や、緯編メッシュ生地や、平織メッシュ生地や、綾織メッシュ生地や、朱子織メッシュ生地等が例示される。これらのメッシュ生地は、通常、ポリエステルやナイロン等の合成繊維や、綿等の天然繊維や、或いはこれらの複合繊維等を編製又は織製することによって形成される。
【0022】
クラウン10を形成するメッシュ生地の目付は、それを形成する生地や繊維の種類等によっても異なり、特に限定されないが、通常、50~300g/mの範囲とされる。クラウン10の通気性を良好に保つためには、メッシュ生地の目付は、250g/m以下とすることが好ましく、200g/m以下とすることがより好ましい。本実施態様の日除け付き帽子では、ポリエステル繊維からなる目付が190g/m程度のラッセルメッシュ生地(いわゆるスポーティメッシュ)でクラウン表地及びクラウン裏地を形成している。ただし、クラウン10を形成する6枚の生地(レンゲ)のうち、クラウン10の前方に配される2枚の生地(着用者の額周辺を覆う2枚の生地)は、他の生地よりも目付を大きくしている。このため、これらの2枚の生地は、他の生地よりも硬くなっている。これにより、クラウン10の内面側に、前立て等の保形材を設けなくても、クラウン10を綺麗な半球状に保つことができるようになっている。
【0023】
クラウン10を構成する複数枚の生地の繋ぎ合わせは、通常、縫合によって行われる。しかし、クラウン10を構成する生地を、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる繊維で形成する場合等には、これらの生地は、シームレス加工(例えば、超音波による振動で生地同士を摩擦することで熱を発生させ、生地を溶融させて互いに溶着させる加工等)によって繋ぎ合わせることもできる。
【0024】
本実施態様の日除け付き帽子においては、図2及び図4に示すように、クラウン10の後方下部に、半円状の切欠部を設けている。この切欠部には、アジャスター40が取り付けられる。このアジャスター40は、クラウン10の寸法を調節するためのものとなっている。本実施態様の日除け付き帽子においては、アジャスター40を、前記切欠部における一方の縁部に固着されたベルト部材と、前記切欠部における他方の縁部に固定されたベルト通し部材とで構成している。このアジャスター40は、ベルト部材をベルト通し部材に通して折り返し、ベルト部材における折り返された部分(先端側)を、同ベルト部材における折り返されていない部分(基端側)に対して固着する位置を変更することで、ベルト部材の長さを変更し、クラウン10の寸法を調節するものとなっている。
【0025】
また、本実施態様の日除け付き帽子においては、クラウン10の内面側における下縁に沿った箇所であって、前記切欠部(アジャスター40を設ける切欠部)を除いた区間に、ビン皮(図示省略)を設けている。このビン皮は、汗取りバンドとも呼ばれるもので、着用者の頭部の汗が、顔に流れ落ちないように吸い取るための部分となっている。
【0026】
2.前鍔
前鍔20は、図1に示すように、クラウン10の下縁から前方に突出して設けられた部分となっている。この前鍔20は、着用者の目に日光が直接入らないようにするための庇としての機能を発揮する部分となっている。本実施態様の日除け付き帽子において、前鍔20は、クラウン10の下縁における点Qと点Qとを結ぶ前側区間から前方に突出した状態に設けている。前鍔20の形態は、特に限定されないが、通常、平面視三日月状とされる。前鍔20は、通常、剛性を有する芯材(鍔芯)の上面側及び下面側をそれぞれ前鍔表地及び前鍔裏地で覆った構造とされる。
【0027】
3.日除け布
日除け布30は、図1に示すように、前鍔20の周辺から垂下されることによって、着用者の顔を覆うための部分となっている。日除け布30は、遮光性と可撓性を有するものであれば、その素材を特に限定されない。本実施態様の日除け付き帽子においては、日除け布30を、クラウン10と同様のメッシュ生地によって形成している。これにより、日除け布30を、日差しを遮りながらも、空気を取り入れることが可能なものとして、着用者が暑さを感じにくいものとすることができる。日除け布30を形成するメッシュ生地の仕様は、クラウン表地やクラウン裏地を形成するメッシュ生地と同様であるため、説明を割愛する。
【0028】
日除け布30は、着用者の顔面前方を覆う前方被覆部32と、着用者の顔面側方を覆う側方被覆部33とを有している。側方被覆部33は、左頬側を覆うものと、右頬側を覆うものとの左右一対で設けられている。これにより、日除け布30で顔の前面側を覆うだけでなく、顔の側方を覆うこともでき、顔における広い範囲を日焼けから守ることが可能になる。日除け布30は、前方被覆部32と側方被覆部33とが分離した構造のものであってもよいが、通常、前方被覆部32と側方被覆部33とが連続した構造とされる。本実施態様の日除け付き帽子においては、日除け布30の上部(より具体的には、前方被覆部32の上部)に、前鍔20の前側部分を挿入して突出させるための前鍔挿入用開口部31を形成している。
【0029】
本発明の日除け付き帽子は、この日除け布30の取付け箇所に特徴を有するものとなっている。すなわち、日除け布30(特に前方被覆部32)をクラウン10の下縁(前鍔20の基端縁)に取り付けて、日除け布30がその部分から真下に垂れ下がるようにすると、日除け布30が着用者の顔に近い位置で垂れ下がるようになる。このため、日除け布30が汗で顔に貼り付いて着用者が不快に感じるおそれがあるだけでなく、着用者が息苦しさを感じるようになるおそれもある。また、日除け布30を前鍔20の先端縁における前側区間(図1における点Qと点Qとの間の区間)に取り付けて、日除け布30がその部分から真下に垂れ下がるようにすると、日除け布30が着用者の顔から遠い位置で垂れ下がるようになる。このため、着用者が日除け布30を目障りに感じやすくなるだけでなく、日除け布30の重みが着用者に伝わりやすくなって、着用者が疲れを感じやすくなる。
【0030】
この点、本発明の日除け付き帽子は、図1に示すように、日除け布30の前方被覆部32が、前鍔20における前後方向中途部分から垂れ下がるようにしている。これにより、日除け布30の前方被覆部32が、着用者の顔に近づきすぎず、且つ、着用者の顔から離れすぎない位置で垂れ下がるようになっている。したがって、日除け布30が着用者の顔に貼り付きにくくするだけでなく、着用者が息苦しさを感じにくくすることも可能となっている。また、着用者が日除け布30を目障りに感じにくくするだけでなく、着用者が日除け布30の重みを感じにくくすることも可能となっている。
【0031】
日除け布30は、その前方被覆部32が前鍔20における前後方向中途部分から垂れ下がるのであれば、その取付け構造を特に限定されない。日除け布30は、その上縁を前鍔20の下面側に固定することもできる。しかし、そうすると、日除け布30をシワなく綺麗な状態で、且つ、所望のラインに沿って固定することが難しくなる。
【0032】
このため、本実施態様の日除け付き帽子においては、日除け布30の上縁を、前鍔20の上面側で前鍔の基端縁(前鍔20とクラウン10との境界線)に沿って固定するとともに、前鍔20の前側部分を、上記の前鍔挿入用開口部31を通じて日除け布30から前方に突出させており、日除け布30における側方被覆部33を前鍔20の先端縁における左右両側から垂下させるとともに、日除け布30における前方被覆部32を、前鍔20における前後方向中途部分から垂下させている。
【0033】
より具体的には、図2に示すように、日除け布30における側方被覆部33の上縁を、点Pと点Pとの間の区間、及び、点Pと点Pとの間の区間で、前鍔20及びクラウン10に対して固定するとともに、前鍔20の前側部分を前鍔挿入用開口部31から前方に突出させることで、側方被覆部33が、前鍔20の先端縁における点Qと点Qとの間の区間、及び、点Qと点Qとの間の区間から垂れ下がるようにするとともに、前方被覆部32が、前鍔20の先端縁における点Qと点Qとを結ぶ線分Qの下側に垂れ下がるようにしている。
【0034】
図3及び図4に示すように、前鍔挿入用開口部31は、それに前鍔20を差し込んでも、前鍔20の下側に余裕のある寸法に形成している。具体的には、前鍔挿入用開口部31の上下幅を、前鍔20の上下幅よりも広く形成している。これにより、前鍔挿入用開口部31における前鍔20よりも下側に位置する部分を、着用者の目を出すための目出し用開口部として利用することが可能となっている。既に述べたように、本実施態様の日除け付き帽子においては、日除け布30をメッシュ生地で形成したため、日除け布30に目出し用開口部を設けなくても、着用者は、日除け布30の外側の様子を視認することができるものの、日除け布30に目出し用開口部31を設けることによって、視認性をさらに良好にすることが可能となっている。
【0035】
日除け布30の上縁は、前鍔20又はクラウン10に対し、取り外すことができない状態で固定される。日除け布30の固定方法は、特に限定されないが、通常、縫合が採用される。ただし、日除け布30を縫合するために1つ工程を設けると、日除け付き帽子の製造コストが増大する。このため、本実施態様の日除け付き帽子においては、日除け布30の上縁を、クラウン10の下縁と前鍔20の基端縁との間に挟み込んだ状態で、クラウン10の下縁と前鍔20の基端縁とを縫合するようにしている。これにより、クラウン10の下縁と前鍔20の基端縁とを縫合する際に、それらの間に挟み込まれた日除け布30の上縁がクラウン10の下縁及び前鍔20の基端縁に縫合されるようになる。したがって、日除け布30の縫合工程を別途設ける必要がなくなり、日除け付き帽子の製造工程をシンプルにして、日除け付き帽子の製造コストを抑えることが可能となっている。
【0036】
6.用途
本発明の日除け付き帽子に係る構成は、その用途を特に限定されるものではなく、各種の帽子で採用することができる。なかでも、野球帽やランニング帽等の運動帽や、農作業時等に着用する作業帽で好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 クラウン
20 前鍔
30 日除け布
31 前鍔挿入用開口部(目出し用開口部)
32 前方被覆部
33 側方被覆部
40 アジャスター
図1
図2
図3
図4