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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】複数の視野外障害物を検知するシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230913BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019185481
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021060878
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)、電波有効利用促進型研究開発(先進的電波有効利用型)、フェーズI新規採択課題「見通し外センシングのためのマイクロ波・ミリ波同時利用技術の研究開発」の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川西 哲也
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-202599(JP,A)
【文献】特開2018-036920(JP,A)
【文献】特開平06-243385(JP,A)
【文献】特開平05-290192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野外障害物検知システム(1)に用いられ,対象物(3)を知らせるための電波源(5)であって,
前記電波源(5)は,車両(7)からの電波を受信する受信部(9)と,
前記受信部(9)が前記電波を受信し,前記電波に対応した反射電波を出力する反射電波出力部(11)と,
前記反射電波出力部(11)が反射電波を出力する動作を開始するタイミングを制御するタイミング制御部(13)と,を有し,
前記タイミング制御部(13)は,前記受信部(9)が前記電波を受信した後,前記反射電波出力部(11)が反射電波を出力する動作をランダムに開始するように制御する,
電波源。
【請求項2】
請求項1に記載の電波源(5)と,前記車両(7)に取り付けられる視野外障害物検知装置(21)と,を有する視野外障害物検知システム(1)であって,
前記視野外障害物検知装置(21)は,
前記車両(7)からの電波を出力するための電波発生装置(23)と,
前記電波源(5)からの反射電波を受信する電波受信部(25)と,
を有する,システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって,
前記視野外障害物検知装置(21)は,
第2の視野外障害物検知装置(22)から出力される第2の電波を受信する第2の電波受信部(27)と,
第2の電波受信部が第2の電波を受信した場合に,前記電波発生装置(23)が出力する電波のタイミングを制御する第2のタイミング制御部(29)と,
をさらに有する,
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,視野外障害物を検知するシステムやそれに用いられる電波源に関する。より詳しく説明すると,この発明は,電波源が電波を受信した後,無線部分の作動開始のタイミングを制御することで,作動開始後に受信した電波を反射するタイミングを制御し,それにより干渉を防止できるシステムや電波源に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-36920号公報には,視野外障害物検知システムが記載されている。このシステムは,視野外障害物を検知する優れたシステムである。しかし,同時に複数の対象物から反射電波が出力された場合,反射電波の干渉により測定に誤差が生じる場合や,特定の対象物からの応答が検出できなくなる場合が起こりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-36920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この明細書に記載される発明のひとつは,複数の対象物から反射電波が出力された場合であっても,測定誤差を軽減でき,特定の対象物を検出できない事態を軽減できるシステムや,そのシステムに用いられる電波源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は,例えば,電波源が電波を受信した後,無線部分の作動開始のタイミングを制御することで,複数の反射電波による干渉を防止できるという知見に基づく。
【0006】
この明細書に記載される発明のひとつは,視野外障害物検知システム1に用いられ,対象物3を知らせるための電波源5に関する。
電波源5は,受信部9,反射電波出力部11,及びタイミング制御部13を有する。
受信部9は,車両7からの電波を受信するための要素である。
反射電波出力部11は,受信部9が受信した電波に対応した反射電波を出力するための要素である。
タイミング制御部13は,反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始するタイミングを制御するための要素である。
【0007】
電波源5の好ましい例は,タイミング制御部13が,受信部9が電波を受信した後,反射電波出力部11が反射電波を出力する動作をランダムに開始するように制御するものである。
【0008】
電波源5の好ましい例は,タイミング制御部13が,受信部9が電波を受信した後,所定期間のみ反射電波出力部11が反射電波を出力するように制御するものである。
【0009】
この明細書に記載される上記した発明とは別の発明は,視野外障害物検知システム1に関する。視野外障害物検知システム1は,上記した電波源5と,車両7に取り付けられる視野外障害物検知装置21とを有するシステムである。視野外障害物検知装置21は,車両7からの電波を出力するための電波発生装置23と,電波源5からの反射電波を受信する電波受信部25と,を有する。
【0010】
視野外障害物検知システム1の好ましい例は,視野外障害物検知装置21が,第2の電波受信部27と,第2のタイミング制御部29とをさらに有するものである。
第2の電波受信部27は,第2の視野外障害物検知装置22から出力される第2の電波を受信するための要素である。
第2のタイミング制御部29は,第2の電波受信部が第2の電波を受信した場合に,電波発生装置23が出力する電波のタイミングを制御するための要素である。
【発明の効果】
【0011】
電波源が電波を受信した後,無線部分の作動開始のタイミングを制御することで,複数の反射電波による干渉を防止できる。このため,本発明は,複数の対象物から反射電波が出力された場合であっても,測定誤差を軽減でき,特定の対象物を検出できない事態を軽減できるシステムやそのシステムに用いられる電波源を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は,視野外障害物検知システムの構成例を示す概念図である。
図2図2は,視野外障害物検知システムの動作例を説明するためのフロー図である。
図3図3は,カーナビゲーション画像の例を示す図である。
図4図4は,警報表示がなされたカーナビゲーション画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0014】
図1は,視野外障害物検知システムの構成例を示す概念図である。この明細書に記載される発明のひとつは,視野外障害物検知システム1に用いられ,対象物3を知らせるための電波源5に関する。対象物3を知らせるためのとは,対象物3に物理的に接触(又は接着)する場合のみならず,対象物3のいずれかの部分と接触し続けることができる場合や,対象物の所持物(例えば人のかばん)に収容されるなど対象物から所定の範囲に存在し続けることができる場合も含む。電波源5が,対象物3の存在や位置を知らせることができるので,視野外障害物検知システムを用いて対象物3の位置を推測できる。
【0015】
視野外障害物検知システム1は,主に車両の運転者が視認できない障害物を検知するためのシステムである。視野外障害物検知システムは,上記した電波源の他,携帯端末によって実現されてもよいし,車両に搭載された視野外障害物検知装置を用いて実現されてもよい。このシステムは,例えば,コンピュータにより実現され,コンピュータの各種手段により自動的に処理がなされる。
【0016】
対象物3は,車両を運転する者にとって避けるべき障害物となりうる物を意味する。対象物3の例は,車,ベビーカー,自転車,人及びペットである。対象物の具体的な例は,人であり,好ましい対象物は,子供,障害者又は老人である。
【0017】
電波源は,視野外障害物検知装置からの電波を受信し,特定の動作を行うことで,車両(車両に搭載された視野外障害物検知装置)に対し,対象物の存在を知らせるための要素である。電波源は,対象物が所持する携帯端末であってもよいし,対象物に取り付けられる物であってもよい。電波源は,自ら電波を発生するものであってもよいし,電波を反射するものであってもよい。車両の例は,自動車,作業用車両,自動二輪車,及び自転車である。
【0018】
図1に示されるように,電波源5は,受信部9,反射電波出力部11,及びタイミング制御部13を有する。
受信部9は,車両7からの電波を受信するための要素である。受信部9の例は,アンテナである。電波源5は,例えば携帯端末のアプリケーションにより実装できる。つまり,このアプリケーションは,携帯端末の受信部が,電波を受信した場合に,携帯端末の記憶部から情報を読み出して,携帯端末の反射電波出力部に所定の信号を発信するように制御するものであればよい。電波を反射するものの例は,反射板である。具体的な電波源の例は,靴,校章,ワッペン,ランドセル,携帯端末又はベルトに取り付けられた反射シート又は反射板である。
【0019】
電波の周波数や強度は特に限定されない。電波は,マイクロ波帯以下の周波数を有することが好ましい。この電波の例は,ISMバンドであり,2.4GHz,5GHz,及び27MHzといったマイクロ波帯以下の電波であることが好ましい。
【0020】
反射電波出力部11は,受信部9が受信した電波に対応した反射電波を出力するための要素である。反射電波出力部11は,例えば,出力信号を出力する回路と,回路からの電気信号を無線信号に変換するためのアンテナとを含む。
【0021】
タイミング制御部13は,反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始するタイミングを制御するための要素である。タイミング制御部13が,受信部9が電波を受信した後,ランダムに反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始するように制御するものであってもよい。例えば,電波源5の記憶部は,所定数(例えば10以上1000以下)の遅延時間値を記憶しておく。そして,受信部9が電波を受信した後,記憶部からランダムに遅延時間値を読み出す。そして,読み出した遅延時間値に相当する時間後に,反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始すればよい。すると,動作開始後に受信した電波に基づいて,反射電波が出力されるようになる。タイミング制御部13は,受信部9が電波を受信した後,所定期間のみ反射電波出力部11が反射電波を出力するように制御するものであってもよい。この所定期間も上記と同様に制御できる。例えば,測定距離を150メートルまでとした場合,往復300メートルに要する電波の伝搬時間(電波が測定距離を往復することに要する時間)は1マイクロ秒になる。このため,反射電波出力部11が反射電波を出力する所定期間を,上記の伝搬時間の値の0.5倍以上10倍以下(上限及び下限は適宜5倍,3倍,2倍又は1倍としてもよい)とすることが望ましい。所定期間を上記の伝搬時間の10倍より大きくすると安定的に測定できるものの,収容できる端末数が減るという問題も生じ得る。一方,所定期間を上記の伝搬時間の0.5倍より小さくすると,強い反射波が必要となり,反射波が弱い場合には受信信号の周波数及び位相の測定感度が低下する場合がある。
【0022】
次に,視野外障害物検知システム1について説明する。視野外障害物検知システム1は,上記した電波源5と,車両7に取り付けられる視野外障害物検知装置21とを有するシステムである。視野外障害物検知装置21は,車両7からの電波を出力するための電波発生装置23と,電波源5からの反射電波を受信する電波受信部25と,を有する。視野外障害物検知装置21は,コンピュータによって支援されていてもよい。コンピュータは,電波発生装置23が出力する電波を制御するとともに,電波受信部25が受信した電波(反射電波を含む)を解析する。そして,コンピュータは,車両に搭乗する運転手や車両を管理するシステムに関し,解析した電波に基づいた制御を行う。制御の例は,歩行者の位置を知らせるための出力を行うものである。
【0023】
次に,視野外障害物検知システム1の動作例について説明する。
図2は,視野外障害物検知システムの動作例を説明するためのフロー図である。
【0024】
電波出力工程:S11
視野外障害物検知装置21は,コンピュータの指令に基づいて,電波を出力する(電波出力工程:S11)。この明細書において,「車両7からの電波」は,車両に設置された視野外障害物検知装置21や車両に搭載された携帯端末である視野外障害物検知装置21から出力された電波を意味する。「車両7からの電波」には,車両そのものから出力された電波のみならず,車両そのものから電波が出力されないものも含む。例えば,視野外障害物検知装置21が出力する電波の周波数は,時間とともに変化するものであることが好ましい。電波の周波数が時間とともに変化すれば,反射電波を受信した場合に,どのタイミングで出力した電波であるか把握することができる。そのような周波数変化の例は,のこぎり波,三角波,及び正弦波である。そのような電波の例は,周波数掃引信号、及び周波数ホッピング信号である。コンピュータは,その記憶部に,出力信号の周波数と,その周波数を出力した時間を記憶する。
【0025】
電波受信工程:S12
電波源の受信部9が,車両7からの電波を受信する(電波受信工程:S12)。この際,対象物が複数存在すると,それぞれの電波源の受信部が,車両からの電波を受信することとなる。以下,複数の電波源を区別するため,第1の電波源,第2の電波源のようにもよぶ。
【0026】
タイミング制御工程:S13
第1の電波源のタイミング制御部13は,反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始するタイミングを制御する(タイミング制御工程:S13)。例えば,電波源に増幅器が含まれる場合,増幅器の電源をONにするタイミングを制御する。また,例えば,電波源に,反射電波を得るための回路が存在する場合,その回路の電源をONにするタイミングを制御する。このタイミングは,時間的なタイミングを意味する。タイミングを制御するとは,タイミングを調整することを意味する。つまり,この例の電波源は,最初の電波を受信した段階では,視野外障害物検知装置21が観測できるような反射電波を出力できない状態にある。そして,第1の電波源のタイミング制御部13が,無線部分を動作可能とすることにより,視野外障害物検知装置21が観測できるような反射電波を出力できるようになる。
【0027】
第1の電波源のタイミング制御部13が,無線部分を動作可能とするタイミングは,ランダムであってもよい。無線部分は,電波源のうち無線出力の動作を行う部分を意味する。上記の例では,例えば,反射電波出力部11が無線部分に相当する。ランダムとは,例えば,あらかじめ複数の時間を設定しておき,最初の電波を受信してから無線部分を動作可能とするタイミングを,設定したいずれかの時間後となるようにすればよい。つまり,電波源は,タイミング制御部13が,受信部9が電波を受信した後,ランダムに反射電波出力部11が反射電波を出力する動作を開始するように制御するものであってもよい。このような制御は,例えば,コンピュータの記憶部に複数の時間候補を記憶させておき,演算部がランダムに記憶部に記憶した時間候補を読み出せばよい。そして,読み出した時間に基づいて,無線部分が動作可能となる時間を調整すればよい。
【0028】
視野外障害物検知装置21は,電波を連続的に出力し続けることが想定される。すると,電波源の受信部9は,第1の電波の後に視野外障害物検知装置21から出力された電波を,引き続き受信する。そして,一定時間のうちに電波源から出力された反射電波は,視野外障害物検知装置21により受信されると考えられる。このため,電波源は,無線部分を動作可能にし続ける必要はない。よって,タイミング制御部13は,受信部9が電波を受信した後,所定期間のみ反射電波出力部11が反射電波を出力するように制御するものであってもよい。
【0029】
反射電波出力工程:S14
第1の電波源の反射電波出力部11は,受信部9が受信した電波に対応した反射電波を出力する(反射電波出力工程:S14)。反射電波出力部11は,例えば,受信部9が受信した電波を電気信号に変換し,増幅回路にて信号強度を増幅した後,アンテナを用いて反射電波として出力してもよい。反射電波出力部11は,例えば,受信部9が受信した電波を電気信号に変換し,逓倍回路にて信号の周波数を逓倍した後,アンテナを用いて反射電波として出力してもよい。逓倍回路は,周波数を整数倍するための回路である。このようにして反射電波が電波源から出力される。第1の電波源から出力された反射電波を第1の反射電波ともよぶ。
【0030】
第2の電波源及び第3の電波源は,第1の電波源と同様に,それぞれ第2の反射電波及び第3の反射電波を出力する。第1の電波源,第2の電波源及び第3の電波源の無線部分の動作が開始されるタイミングが異なっている。このため,これらの電波源が受信する電波のタイミングや周波数が異なる。そのため,第1の反射電波,第2の反射電波及び第3の反射電波は,異なるタイミングで出力される。また,これらの反射電波の周波数は,異なっている。このため,第1の反射電波,第2の反射電波及び第3の反射電波に干渉が生じない。
【0031】
反射電波受信工程:S15
視野外障害物検知装置21の電波受信部25が,電波源5からの反射電波を受信する(反射電波受信工程:S15)。電波源が複数の場合,電波受信部25は,例えば,第1の反射電波,第2の反射電波及び第3の反射電波を受信する。
【0032】
解析工程:S16
視野外障害物検知装置21の解析部(コンピュータにより実装される)は,受信した電波の受信時刻と,周波数を解析する。解析部は,記憶部に記憶した出力電波の周波数を読み出す。そして,受信した電波と同じ周波数の出力電波がある場合,その出力電波の出力時刻を読み出す。そして,受信した電波の受信時刻と,出力電波の出力時刻とを用いて,車両と対象物との距離を演算する(解析工程:S16)。記憶部には電波の速度が記憶されているので,記憶された速度を読み出して,時刻の差を用いることで,車両と対象物との距離を推測できる。演算により求められた距離は,記憶部に記憶するとともに,適宜出力されればよい。このようにして,対象物との距離を求めることができ,その距離に基づく各種制御を行うことができる。例えば,自動車の速度40km/hとして,10メートル移動に要する時間である0.9秒以内に10個の端末を同時に検出することを可能とするために,ランダムな開始時間の範囲を90ミリ秒以下とすればよい。
【0033】
視野外障害物検知システム1の好ましい例は,視野外障害物検知装置21が,第2の電波受信部27と,第2のタイミング制御部29とをさらに有するものである。
第2の電波受信部27は,第2の視野外障害物検知装置22から出力される第2の電波を受信するための要素である。物理的には,電波受信部25が第2の電波受信部27を兼ねてもよい。例えば,一つのアンテナが,電波受信部25及び第2の電波受信部27として機能してもよい。
【0034】
第2の視野外障害物検知装置22は,(第1の)視野外障害物検知装置21が取り付けられた車両7とは別の車両に取り付けられた視野外障害物検知装置である。
【0035】
第2のタイミング制御部29は,第2の電波受信部が第2の電波を受信した場合に,電波発生装置23が出力する電波のタイミングを制御するための要素である。例えば,第2のタイミング制御部29は,電波発生装置23が出力する電波のタイミングを連続的ではなく,所定間隔ごととなるように制御する。この際,電波発生装置23が電波を出力する期間が,電波を出力しない期間よりも短くなるように制御することが好ましい。このようにすることで,複数の視野外障害物検知装置からの電波が干渉しあう事態を防止できる。
【0036】
図1に示されるように,このシステムのある例は,視野外障害物検知装置21が,解析部31,外界センサ33,警報発生部35,及び出力部37を有し,それぞれ情報の授受を行うことができるように接続されている。上記以外の要素と情報の授受を行うことができるようにされていてもよい。解析部31は,入出力部,演算部,制御部及び記憶部を有している。そして,入出力部から情報が入力された場合,制御プログラムの指令に基づいて,適宜記憶部から情報を読み出し,演算部に演算処理を行わせ,記憶部に適宜記憶させるほか,入出力部から所定の信号を出力できるようにされている。
【0037】
1又は複数の外界センサ33が所定方向の画像を撮影する。この場合,先に説明したように,運転手の視野方向の視野を撮影してもよい。外界センサ33が撮影した画像は,解析部31に伝えられる。解析部31は,例えば,カーナビゲーションシステムや対象物認証装置(例えば,人認証装置)における記憶部,演算部及び制御部を有していてもよい。すると,解析部31は,外界センサ33が撮影した画像データと,記憶部が記憶する対象物に関するデータとを照合して,外界センサ33が撮影した画像に,人が含まれるか検知する。また,カーナビゲーションシステムの記憶部のデータを読み出して,外界センサ33による撮影画像が,周囲環境と一致しているか否かの判定を行ってもよい。このようにして外界センサ33は,対象物(例えば人)を特定する。また解析部31は,撮影画像に基づいて,対象物の位置を推測する。そのうえで解析部31は,対象物とその位置情報を記憶する。この対象物は,ひとつとは限らない。この対象物を視認による対象物とする。
【0038】
一方,電波受信部25が対象物からの電波を受信する。この電波は,対象物3の電波源5が発生するものであってもよいし,電波発生装置23から発生された電波を対象物3の電波源5が反射したものであってもよい。解析部31は,電波受信部15が受信した電波を解析し,受信した電波を発した対象物の位置を特定する。例えば,電波が,電波発生装置23から発生されたものである場合は,受信した電波の周波数変化(送信した電波と受信した電波の周波数差)や,受信した電波の方角を用いて,電波を送信した時間と受信した時間の差を用いて,対象物の位置を特定できる。そのうえで,対象物とその位置情報を記憶部に記憶させる。この対象物を電波による対象物とする。
【0039】
解析部31は,記憶部から,視認による対象物及びその位置,電波による対象物及びその位置を読み出す。解析部31は,そのうえで,各対象について,電波による対象物であり視認による対象物でないものを求める。解析部31は,視認による対象物でもあり,かつ電波による対象物でもあるものを求めてもよい。さらに,解析部31は,視認による対象物でなく,かつ電波による対象物であるものを求めてもよい。また,所定のルールに従った対象物の存在を求めてもよい。そのうえで,解析部31は,警報発生部35へ所定の制御信号を出力する。警報発生部35は,警報信号を出力部37へ出力する。すると,出力部37は,警報を出力する。
【0040】
次に,カーナビゲーションシステムを併用した例を示す。図3は,カーナビゲーション画像の例を示す図である。
【0041】
車両7に取り付けられた電波発生装置23が電波を放出する。この電波は,例えば,常に送信され続けていてもよい。一方,カーナビゲーションシステムの記憶部に電波放出地点(及び進行方向)を記憶しておき,GPSなどで電波放出地点に到達したと判断した際に電波発生装置23が電波を放出するようにしてもよい。また,電波放出地点に到達し,さらに所定方向に車両7が進行している場合に,電波発生装置23が電波を放出するようにしてもよい。電波放出地点は,例えば,過去一定以上の事故が発生している個所へ向かう地点や,壁12が存在するなど,視界が遮られる位置に向かう地点である。電波放出地点は,幼稚園や小学校の通学路であってもよい。
【0042】
警報発生部35は,所定の条件を満たす場合に,運転手に警告音を鳴らすか,振動や光により,注意を促すものであってもよいし,車内の画面に警告を示す文字,アイコン,キャラクタを表示させるものであってもよい。社内の画面の例は,カーナビゲーション端末である。
【0043】
図4は,警報表示がなされたカーナビゲーション画像の例を示す図である。図4中の矢印は,カーナビゲーションにより示された車両の進行方向である。また,図4では,人を示すアイコンが,対象物の位置に点灯している。この例では,対象物3は,壁12に隠れて,車両からは視認できない。このように,警報発生部35は,カーナビゲーション画像に,壁の背後に,子供などの対象が存在することを示し,運転手に注意を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は,自動車産業などにおいて利用されうる。
【符号の説明】
【0045】
1 視野外障害物検知システム
3 対象物
5 電波源
7 車両
9 受信部
11 反射電波出力部
13 タイミング制御部
21 視野外障害物検知装置
22 第2の視野外障害物検知装置
23 電波発生装置
25 電波受信部
27 第2の電波受信部
29 第2のタイミング制御部
図1
図2
図3
図4