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  • 特許-生コンクリート流動化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】生コンクリート流動化剤
(51)【国際特許分類】
   C04B 16/06 20060101AFI20230913BHJP
   C04B 14/04 20060101ALI20230913BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20230913BHJP
   D06M 101/32 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
C04B16/06 C
C04B14/04 Z
D06M15/333
D06M101:32
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019221899
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021091560
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】508069383
【氏名又は名称】ワーク・ファイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 建夫
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-293587(JP,A)
【文献】特開2009-209023(JP,A)
【文献】特開2005-225695(JP,A)
【文献】特開2001-287975(JP,A)
【文献】特開平10-259044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B7/00-32/02
C04B40/00-40/06
C04B103/00-111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートに混和されてその流動化を促進する生コンクリート流動化剤において、有機合成繊維の束が親水性高分子化合物の糊剤で被覆されて乾燥した50~120デニールの糸が0.3~1.0mmの長さに切断されてなる断片を主成分として重量比で35%以上含有する生コンクリート流動化剤(A)と、人工ゼオライトの微粉末粒子が前記糊剤で表面を被覆された糊剤被覆ゼオライトであって前記糊剤の前記糊剤被覆ゼオライトに対する重量比が0.2~0.5%である糊剤被覆ゼオライト(B)を、重量比で(A):(B)=35:65~55:45で混合した生コンクリート流動化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリート流動化剤に関し、殊に、生コンクリートに混和することでその流動性を改善してワーカビリティを向上させながら、高品位のコンクリートが得られるようにする生コンクリート流動化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製の構造物は、時間の経過によりクラックやひび割れが生じたりアルカリ骨材反応により組織の劣化が生じたりして、強度低下が進行していくことが知られている。そのため、生コンクリートの水―セメント比を低くして硬化後の強度を高めたり、鋼繊維やガラス繊維等の繊維材を混入させて補強したりすることが従来から行われている。
【0003】
しかし、水―セメント比を低くすると、生コンクリートの流動性が低下してワーカビリティの悪化を招きやすくなり、繊維材を混入すると生コンクリートの流動性が低下することに加え、コンクリート中の繊維材の分散状態がまばらになって強度上の不均一を招きやすくなることから、ワーカビリティが悪化して施工コストの上昇に繋がったり、仕上がり不良の頻度が増してしまったりするという問題がある。
【0004】
これに対し、特開2017-7905号公報には、所定の弾性率を有して繊維末端部損傷度が5%以下の有機繊維を生コンクリートに混入させるコンクリートの補強技術が提案されており、有機繊維の分散性を高めてファイバーボールの発生を回避しながら高い補強性能を実現して、高品位のコンクリートを得ることを可能にしている。
【0005】
しかしながら、この補強技術において使用する有機繊維は、繊維長が6~60mmのポリビニルアルコール繊維であって、アスペクト比が20~200のものであることから、補強機能を期待できる量を生コンクリートに混入した場合は、繊維材の分散性はある程度確保できても流動性の低下は回避できなくなるため、ワーカビリティ悪化の問題は充分に解消することができない。
【0006】
一方、特公平7-115897号公報も記載されているように、陽イオン交換体であるゼオライトを生コンクリートに添加することにより、コンクリート中に存在するアルカリ金属イオンを捕捉してアルカリ骨材反抗を回避しながら、そのポラゾン効果でコンクリート組織の緻密化を促進させる効果があることが知られている。ところが、通常のゼオライトを使用した場合、原材料費が嵩みやすくなることに加え、生コンクリートの流動性を低下させやすくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-7905号公報
【文献】特公平7-115897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、生コンクリート流動化剤について、生コンクリートのワーカビリティを向上させながら、高品位のコンクリートが得られるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、生コンクリートに混和されてその流動化を促進する生コンクリート流動化剤において、有機合成繊維(単繊維)の束が親水性高分子化合物の糊剤で被覆されて乾燥したことで一体をなす50~120デニールの糸が0.3~1.0mmの長さに切断されてなる断片を、主成分として重量比で35%以上含有することを特徴とする、生コンクリート流動化剤とした。
【0010】
このように、有機合成繊維からなる細い単繊維の束を、親水性高分子化合物の糊剤で被覆して乾燥させた糸を1.0mm以下の短い断片に切断したものを主成分としながら、繊維による補強を主目的とするのではなく生コンクリートの流動性を高める流動化剤として使用することにより、その繊維長の短さから物理的な流動性の低下を招くことなく、有機合成繊維の束を被覆した親水性高分子化合物による糊剤の作用で、混練中に糸が単繊維にばらけることを回避しながら、その親水性及び水分子の微細化能等の作用により、施工時の流動性と保水性を確保しやすいものとしている。
【0011】
また、この生コンクリート流動化剤において、その糸の断片の長さについては、0.5~0.7mmとしたものが好ましく、その断片を構成する単繊維の太さは1.0~3.0デニールであることが好ましい。このような構成を採用することで、生コンクリートの流動性と保水性を確保しながら混練後の均一性にも優れた生コンクリート流動化剤となる。
【0012】
さらに、被覆・乾燥後の糊剤の断片に対する重量比は、0.2~0.5%とすることが好ましく、斯かる割合にて親水性高分子化合物の糊剤で糸を被覆することにより、有機合成繊維とセメントとの間で適度な接着性を実現しながら、施工時における高い流動性を確保しやすいものとなる。
【0013】
さらにまた、上述した生コンクリート流動化剤において、その断片を構成する有機合成繊維がポリエステル繊維であるものとすれば、低コストで優れた流動化を実現しやすいものとなる。
【0014】
加えて、上述した生コンクリート流動化剤において、その有効成分の一つとして、石炭灰(フライアッシュ)を原料として製造された微粉末状の人工ゼオライトを重量比で45%以上含有していることを特徴としたものとすれば、人工ゼオライトの陽イオン交換能により、短時間で生コンクリート中に混和されやすくなるとともに、その吸着能及びポラゾン効果でアルカリ骨材反応を抑制して、コンクリート組織の緻密化を促進できるものとなる。
【0015】
この場合、その人工ゼオライトは、その微粉末粒子が前記親水性高分子化合物の糊剤で表面を被覆された糊剤被覆ゼオライトであり、その糊剤の糊剤被覆ゼオライトに対する重量比が0.2~0.5%であることを特徴としたものとすれば、人工ゼオライトの微粉末も生コンクリートの流動化剤として機能するものとなり、糊剤で被覆された糸の断片による流動化機能を増強する効果が期待できるものとなるが、有機合成繊維の束が親水性高分子化合物の糊剤で被覆されて乾燥した50~120デニールの糸が0.3~1.0mmの長さに切断されてなる断片を主成分として重量比で35%以上含有する上述した生コンクリート流動化剤(A)と、前記糊剤被覆ゼオライト(B)の両方を必須成分とし、重量比で(A):(B)=35:65~55:45で混合した生コンクリート流動化剤とすれば、生コンクリートの流動化機能及び硬化後の品質が最も良好なものとなる。

【0016】
そして、上述した生コンクリート流動化剤の所定量が、水溶性の小分け袋に封入されたものとして、生コンクリートに投入することで生コンクリートの水分により小分け袋が溶けてそのまま混和されることを特徴としたものとすれば、取り扱いに極めて便利であることに加え、投入量の設定・調整が容易且つ確実なものとなる。
【発明の効果】
【0017】
有機合成繊維の束を親水性高分子化合物の糊剤で被覆した糸を0.3~1.0mmの断片に切断した断片を主成分とした本発明によると、生コンクリートのワーカビリティを向上させながら高品位のコンクリートが得られるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例によるスランプ経時変化と対照例のスランプ経時変化を比較したグラフである。
図2】糊剤被覆ゼオライトを生コンクリートに混和した場合のスランプ経時変化と対照例のスランプ経時変化を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の生コンクリート流動化剤は、ミキサ等の混練手段で混練している生コンクリートに投入して所定時間混和させることで、その流動性を改善して作業性(ワーカビリティ)を良好にしながら硬化後のコンクリートの品質を向上させる粉末状の混和剤であり、有機合成繊維の束を親水性高分子化合物の糊剤で被覆してなる糸を1.0mm以下の短い断片に切断したものを主成分としている。
【0020】
本実施の形態の生コンクリート流動化剤は、生コンクリート4~5立米当たり10g程度の少量使用を想定しており、その構成は、有機合成繊維(単繊維)の束を親水性高分子化合物の糊剤で被覆した50~120デニールの糸を0.3~1.0mmの長さに切断した断片からなる粉末が、主成分として重量比で35%以上含有されていることを特徴としている。
【0021】
即ち、ポリエステルやレーヨン等の有機合成繊維(単繊維)を束ねることで前述した太さの糸にし、ポリビニルアルコール等の親水性高分子化合物による糊剤の水溶液に浸漬する等して、その糸の表面に付着させて糊付けを行い、その後、糊剤が被覆した状態で糸を乾燥させてから、裁断機等で短い断片に切断して粉末状にしたものである。
【0022】
これにより、その繊維長の短さから生コンクリートの流動性の低下を物理的に招きにくいものとなるが、有機合成繊維の束を親水性高分子化合物の糊剤で被覆して固めたことにより、糸が混練中に単繊維に分解してしまうことを回避できることに加え、その表面の糊剤が、セメント組織に対し接着性の低い有機合成繊維を接着しやすい状態にするとともに、その親水性により生コンクリートの流動性と保水性を向上させることができる。
【0023】
尚、有機合成繊維の糸およびその断片については、様々なサイズ・態様で作成して生コンクリートの流動性や硬化後の品質等を試験した結果から、糸を構成する単繊維の太さは1.0~3.0デニールが好ましく、2デニール前後のものが最も好ましく、被覆後の糸を切断した断片の長さは1.0mm以下が好ましく、0.5~0.7mmが最も好ましい。
【0024】
また、親水性高分子化合物による糊剤の糸への付着方法としては、ポリビニルアルコール等の粉末・顆粒状の糊剤を所定濃度の水溶液にしてこれに糸を浸漬することのほか、所定の溶媒に溶かした溶液や懸濁液に浸漬したり、これらの水溶液、溶液、懸濁液を糸の束に塗布又はスプレーしたりすることにより、被覆した状態にしても良い。尚、親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールのほか、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ等を使用することができる。
【0025】
一方、本願出願人・発明者らは、先に特開2009-209023号公報において、人工ゼオライト(フライアッシュ)を主成分とした生コンクリート混和剤を提案しており、この生コンクリート混和剤を使用することで、生コンクリートの流動性を確保しながらワーカビリティの悪化を回避して施工コストを低廉に抑え、硬化後には強度・耐久性に優れたコンクリートを得られるものとしている。
【0026】
ところで、生コンクリート混和剤としての人工ゼオライトは、アルカリ金属イオンの吸着能及びポラゾン効果により、アルカリ骨材反応を抑制しながらコンクリート組織の緻密化を促進することを可能にするが、比較的高価な材料であることに加え、生コンクリートの流動性を低下させてしまう場合もあるため、ワーカビリティを低下させて施工コストを高騰させる要因となりやすかった。
【0027】
この問題に対し、本願発明者らは、石炭灰を原料として微粉末状にしたものが低コストで有効に活用できることを見出すとともに、これに親水性高分子化合物の糊剤で被覆したものが生コンクリートの流動性を改善させることを見出しており、先の出願で提案したものである。この人工ゼオライトとしては、平均粒径20μm前後のものが、コンクリートにおける拡散性・硬化後の組織の緻密性の観点から好適であった。
【0028】
今回、本願発明者らは、上述した生コンクリート流動化剤において、その有効成分の一つとして、前述の石炭灰を原料として製造した微粉末状の人工ゼオライトを所定比率で混合することに想到したものであり、いくつかの試験結果から、重量比で45%以上を含有させることで、人工ゼオライトの陽イオン交換能で硬化後のコンクリート組織の緻密化を実現して品質の向上が期待できることを明かになっている。
【0029】
また、その人工ゼオライトの表面を親水性高分子化合物の糊剤で被覆したものを上述した生コンクリート流動化剤に混合した場合は、上述の有機合成繊維の束を親水性高分子化合物で被覆した生コンクリート流動化剤の流動化機能・保水機能を増強するという、相乗効果が発揮されることが判明している。
【0030】
尚、有機合成繊維の糸及び人工ゼオライトを親水性高分子化合物で被覆することによる作用・効果については、その生コンクリートに対する混入量の少なさから、親水性高分子化合物自体の親水性による流動性・保水性の改善機能は比較的小さいと考えられるが、親水性高分子化合物で被覆されたゼオライト粒子や有機合成繊維の糸の断片が、生コンクリートとともにミキサの回転により混練されることで静電気を生じて周囲をマイナスイオン化し、それが生コンクリート中の水分子を微細化して拡散しやすい状態にすることが、生コンクリート全体の流動性を高めることに寄与しているものと推察される。
【実施例
【0031】
以下に、本発明の生コンクリート流動化剤の実施例について詳細に説明する。上述した実施の形態と同様に作成した本発明の生コンクリート流動化剤を、実際に生コンクリートに混和して得たもの及びこれが硬化したコンクリートと、生コンクリート流動化剤を混和していない生コンクリート及びこれが硬化したコンクリートについて、下記の試験を実施してその結果を比較した。
【0032】
[試料の作成]
(生コンクリート流動化剤:本発明)糊付糸の断片の作成:ポリエステル原糸(東レ社製、商品名テトロン(登録商標)75-36SD、2.08dの単繊維を36本束にした75dの原糸)を、PVA10%水溶液(日本酢ビ・ポバール社製、ポバールJP-05Y)を体積比で水100に対し30を溶解してなる水溶液に浸漬して被覆させ、取り出して乾燥させたもの(乾燥後にPVAが0.3重量%になる)を、細断機で0.5~0.7mmに裁断して粉末状にした。
(生コンクリート)A:ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、B:骨材(細骨材は粒度0.5~5.0mm、粗粒率2.85の砂、荒骨剤は粒度5.0~20mm、粗粒率6.70の砕石)、C:練り混ぜ水
A,B,Cを用い、JIS A 1138(試験室におけるコンクリートの作り方)に従い、スランプを12.0cm、単位セメント量300kg/立米、骨材率51.7%、水セメント比57.0%とした(強制練りミキサで50リットル作成)。
(本発明:SPC)上記生コンクリート(50リットル)に生コンクリート流動化剤を0.1g(1立米あたり2g換算)投入し、15秒間練り混ぜて作成した。
(対照例:ベースCON)上記生コンクリートに生コンクリート流動化剤を投入しないもの。
【0033】
各試料は、JIS A 1115(フレッシュコンクリートの試料採取方法)及び、JIS A 1132(コンクリート強度試験用供試体の作り方)に従って作成し、直径100mm×200mmの円柱状(強度試験)、100mm×100mm×400mmの角柱状(長さ試験)とし、成形後の試料は、約24時間で脱型したものを温度20±2℃の恒温水槽中で剤齢7日まで養生後、気中養生を行った(試験毎に各々3本、合計12本)。
【0034】
[試験1:長さ変化試験]JIS A 1129-2(モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法―第2部:コンタクトゲージ方法)に準拠した。標準尺の長さと乾燥開始時に測定した結果から測定箇所ごとに基長を求め、乾燥収縮ひずみの算出に用いた。測定材齢は水中養生7日後を基長(0週)として、1週、4週、8週、13週、26週とした。
【0035】
【表1】
【0036】
(結果)質量減少率については有意差が認められなかったが、長さ変化率については、本発明の方が顕著に小さく、殊に、第26週目において対照例が-821であったのに対し、本発明が-774であり、本発明は乾燥に伴う長さ変化が顕著に小さかった。
【0037】
[試験2:圧縮強度・静弾性係数試験]JIS A 1149「コンクリートの静弾性係数試験方法」に準拠し、材齢28日に試験を実施した。
【0038】
【表2】
【0039】
(結果)圧縮強度及び静弾性係数については、本発明は対照例との間で有意差は認められなかった。
【0040】
[試験3:スランプ経時変化試験]上述の方法で作成した生コンクリートに、本発明の生コンクリート流動化剤を混入したものと、混入しないものについてスランプ経時変化試験を行い、生コンクリートの流動性向上機能について検証した。図1がその結果を示すグラフである。
【0041】
(結果)スランプ経時変化試験では、本発明は0分~60分まで対照例と殆ど差がなかったが、90分の時点で対照例が7.0cmであったのに対し、本発明が9.0cmであり、1時間を経過した後でも良好な流動性を維持していた。
【0042】
尚、上述した糊剤被覆ゼオライト微粉末について、本願発明者らは過去に上記試験とほぼ同様の試験を行っており、表3はその圧縮強度試験の結果を示し、図2はスランプ経時変化試験の結果のグラフを示している。
【0043】
【表3】
【0044】
この表から、糊剤被覆ゼオライト微粉末を生コンクリート混入したもの(試作品)は、28日経過時点で、それを混入していないものよりも圧縮強度が顕著に向上していることが分かり、また、図2のスランプ経時変化試験のグラフから、0分から90分後まで総ての時間に亘って流動性を維持していることが分かっている。
【0045】
そして、上述した本願発明の生コンクリート流動化剤(A)と前述の糊剤被覆ゼオライト微粉末(B)を様々な割合で混ぜ合わせることで、本発明における応用例としての生コンクリート流動化剤(C)を作成して、生コンクリートに混和して各々コンクリートを作成したところ、A:Bの比率(重量比)としては、35:65~55:45の場合に、生コンクリートの流動化機能及び硬化後の品質が最も良好になることが判明しており、特に、40:60の場合が特に良好であり、A及びBの単体使用の場合よりも優れた結果が得られたことから、両者の相乗効果が発揮されやすい割合であると考えられた。
【0046】
以上、述べたように、生コンクリート流動化剤について、本発明により、生コンクリートのワーカビリティを向上させながら、高品位のコンクリートが得られるようになった。
図1
図2