(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】食品と接触する用途のプラスチック材料の精製用の装置及びプロセス
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20230913BHJP
B29C 48/405 20190101ALI20230913BHJP
B29C 48/395 20190101ALI20230913BHJP
B29C 48/76 20190101ALI20230913BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20230913BHJP
B29B 7/84 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B29B17/02
B29C48/405
B29C48/395
B29C48/76
B29B7/48
B29B7/84
(21)【出願番号】P 2019567279
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 IB2018054496
(87)【国際公開番号】W WO2018234983
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】102017000067821
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510294885
【氏名又は名称】コストルツィオーニ メッカニケ ルイギ バンデラ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】カル,ロベルト
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-208608(JP,A)
【文献】特開平04-062382(JP,A)
【文献】特開平04-174287(JP,A)
【文献】特開昭62-151317(JP,A)
【文献】特開2013-203816(JP,A)
【文献】実開昭56-021518(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01703239(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0100995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
B29C 48/405
B29C 48/395
B29C 48/76
B29B 7/48
B29B 7/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品と接触する用途のプラスチック材料
から、前記プラスチック材料内の汚染物質を除去する、プラスチック材料の精製用装置であって、精製するプラスチック材料を受け入れる少なくとも1個の反応器(4)を有し、前記少なくとも1個の反応器は、
内部に充填されるプラスチック材料用の開口と、内部から取り出される前記プラスチック材料用の開口とを有しており、密閉される筐体と、
通気開放部と、
前記プラスチック材料の充填及び取り出し用の前記開口に関連付けられており、開口を開閉するそれぞれの弁手段と、
さらなる弁手段を介して前記通気開放部と流体連結されている真空ポンプ(5)と、
処理中に反応器(4)内で材料が撹拌されることを確実にするために前記筐体内に位置している撹拌手段(16)と、
前記反応器(4)に関連付けられている加熱手段と、
を有し、
前記加熱手段は、エネルギーを前記反応器(4)内に収容されているプラスチック材料に供給する放射加熱手段(2)を有しており、
前記少なくとも1個の反応器(4)には、精製するプラスチック材料が、前記反応器(4)の上流に位置しているヒータ(3)から供給され、
前記ヒータ(3)は、
供給手段を有している筐体と、
前記ヒータ(3)の前記筐体内へ、前記ヒータ内のプラスチック材料の供給の方向に対する逆流である加熱されている空気(A)の流れを吹き込む換気手段と、
前記ヒータ(3)内に収容されているプラスチック材料にエネルギーを供給する放射加熱手段(21)と、を有していることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記放射加熱手段は、極性分子の励起を促進する少なくとも1個のマイクロ波放射加熱装置を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記少なくとも1個の反応器の壁に関連付けられている加熱手段を有し、電気抵抗及び/または加熱されている液体が内部を流れる凹部を有している、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記反応器(4)は、反応器(4)の内部と外部環境との間の熱交換を減少させる断熱層を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記供給手段は、プラスチック材料を入口と出口との間で供給するブレードを備えている、水平方向の回転の軸線を有する軸を備えており、
前記ヒータ(3)の前記放射加熱手段(21)は、極性分子の励起を促進する少なくとも1個のマイクロ波放射加熱装置を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記反応器(4)から出る前記精製されているプラスチック材料の少なくとも1個のバッファ(6)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
プラスチック材料の押し出し機(30)を有し、
前記押し出し機(30)は、請求項1から6のいずれか1項に記載の汚染物質からのプラスチック材料の精製用の装置の下流に配置されていることを特徴とする、プラスチック押し出し設備。
【請求項8】
前記押し出し機は、2軸押し出し機(31、32)を収容しているシャーシ(29)を有し、前記押し出し機は、押し出されるプラスチック材料用の入口(33)を有し、通気ポート(34、35、37、38)を備えている複数の通気ゾーン(A、C、D)と、密封ゾーン(B)と、前記スクリュー(31、32)によって作動する搬送及び計測ゾーン(E)とを有し、
前記押し出し機の前記2個のスクリュー(31、32)は、共に回転する、つまり同じ回転の方向を有し、
第1の通気ゾーン(A)は、大気への通気のために設けられており、大気への通気ための前記第1の通気ゾーン(A)は、抽出フード(35)を備えており、
第2の通気領域ゾーン(C及びD)は、真空ポンプ(11)を備えている第1の通気部(37)と、真空ポンプ(11)を備えている第2の通気部(38)と、を直列に有して設けられており、
密封ゾーン(B)は、前記第1の通気ゾーン(A)と第2の通気ゾーン(C及びD)との間に設けられており、処理中の材料の劣化を防止するために低い圧力の下で半溶融材料が充填されている前記スクリュー(31、32)上に位置している一連のカム(36)で構成されている、請求項7に記載の押し出し設備。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の食品と接触する用途のプラスチック材料の汚染物質からの精製用装置によって、プラスチック材料を精製するプロセスであって、
精製するプラスチックを加熱するステップと、
材料を5ミリバール以下の圧力の真空に曝すステップと、
精製するプラスチック材料を加熱されている反応器内で混合するステップと、
を有し、
精製するプラスチック材料は、処理する材料にエネルギーを供給する放射加熱手段(2)によって前記反応器内で加熱されることを特徴とする、プロセス。
【請求項10】
精製するプラスチック材料は、前記反応器(4)内で少なくとも1個のマイクロ波加熱装置(2)によって加熱される、請求項9に記載のプラスチック材料を精製するプロセス。
【請求項11】
精製するプラスチック材料を加熱するステップが、ヒータ(3)内で、
加熱されるプラスチック材料の供給の流れに対する高温の空気の逆流の対流及び、
前記ヒータ(3)内に収容されているプラスチック材料にエネルギーを供給する放射加熱手段(21)である少なくとも1個のマイクロ波加熱装置(21)と、によって実施される、請求項9または10に記載のプラスチック材料を精製するプロセス。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか1項に記載の汚染物質からのプラスチック材料の精製用の装置によって実施されることを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載のプラスチック材料を精製するプロセス。
【請求項13】
プラスチック材料を押し出すプロセスであって、
押し出し機の中でプラスチック材料を押し出すステップ、を有し、
前記押し出すステップには、請求項9から12のいずれか1項に記載のプラスチック材料を精製するプロセスが先行していることを特徴とする、プロセス。
【請求項14】
前記押し出すステップは、請求項8に記載の押し出し設備の押し出し機を使用して実行される、請求項13に記載のプラスチック材料を押し出すプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による食品と接触する用途のプラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレートの精製用の装置に関する。
【0002】
さらなる実施形態によれば、本発明は、プラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレートの押し出しシステムにも関する。
【0003】
またさらなる実施形態によれば、本発明は、食品と接触する用途のプラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレートの精製用のプロセスだけでなく、そのような精製されているプラスチック材料の押し出しプロセスに関する。
【背景技術】
【0004】
説明の便宜上、本説明は、プラスチック材料の考え得る例として、(PETという略語によっても特徴付けられている)ポリエチレンテレフタレートを特に参照して非限定的に行う。
【0005】
今日、ポリエチレンテレフタレートの使用は、たとえば、容器、瓶、トレー等の製造用に非常に行き渡っており、使用後に再生できる可能性も考慮すると、再生されたポリエチレンテレフタレートを原材料としてプラスチック材料の以降のライフサイクルで全体的に、または部分的に使用することができる。
【0006】
そのため、今日では、押し出しプロセスの原材料として、瓶、ジャー、トレイ等の再生される製品を断片化し、切断することによって得られたフレークの形態の再生されたプラスチック材料を全体的に、または部分的に使用する必要性が強く感じられている。
【0007】
しかし、押し出しラインに供給される原材料としての再生されているポリエチレンテレフタレートの使用にはいくつかの問題があって、まず、元の原材料の過度の湿度及びプラスチック材料の以前のライフサイクルからの、または再生プロセス自体からの再生されている原材料内の好ましくない汚染物質の存在による問題がある。
【0008】
この点について、プラスチック材料の押し出し過程での過度の湿度の存在によって、使用される原材料の事前の脱湿なしに、押し出し過程によって製品を得ることが困難になる。
【0009】
この脱湿は、脱湿する原材料を、換気サイロ内に数時間、160℃の温度に維持することによって得ることができる。
【0010】
その代わりに、SMC Technology Srl名義の、Pagotto Amedeo氏による特許文献1によると、脱湿されている材料を湿気のある空気の流れに対して反対にゆっくりと前進させ、また、前述のヒータの内部で処理される材料に作用するマイクロ波発生器を備えている装置の使用が提案されている。
【0011】
さらに、特許文献2によれば、溶融状態の材料の特別に構成されている脱気領域のおかげで、再生プラスチック材料の予防的な脱湿過程を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許第1703239号明細書
【文献】欧州特許第1226922号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、文献によれば、揮発性及び不揮発性の物質、極性及び非極性の物質が存在している汚染物質から再生されたプラスチック材料を精製できるようにする問題が残っている。この精製は、押し出しプロセスから得られる製品を食品との接触に適したものにするために必要である。
【0014】
本発明の基礎となる問題は、前述の要件に適合するような構造的及び/または機能的な特徴を有しており、したがって、同時に従来技術の前述の欠点を未然に防ぐ、再生から得られた再生プラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレートの精製のための装置及びプロセスを考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この問題は、請求項1の前提部分によるプラスチック材料の精製用の装置だけでなく、請求項8によるプラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレート用の押し出しシステムによっても解決される。
【0016】
さらなる実施形態によれば、この問題は、食品と接触する用途のプラスチック材料、特にポリエチレンテレフタレートの精製用のプロセスだけでなく、そのような精製されているプラスチック材料の押し出しプロセスによって解決される。
【0017】
食品と接触する用途のプラスチック材料の精製用の本発明の装置だけではなく:
本発明のプラスチック材料用の押し出しシステム、
プラスチック材料の精製用の本発明のプロセス、
本発明の押し出しプロセス、
の利点が、添付の図面を参照した非限定的な例としての好ましい実施形態のいくつかの以下の記述から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の食品との接触を意図しているプラスチック材料を精製する装置及びプラスチック材料押し出し機を有しているプラスチック材料から作られている押し出しシステムの簡略化されている模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の押し出しシステムの共に回転する2軸押し出し機の立面図である。
【
図3】
図3は、
図2の2軸押し出し機の2個のスクリューの模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2の押し出し機の上側の部分の拡大されている断面を示している。
【
図5】
図5は、
図4の押し出し機の断面の詳細の拡大図である。
【
図6】
図6は、
図4の押し出し機の断面の詳細の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図4の押し出し機の断面の詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照すると、参照番号1は、全体として、プラスチック材料の押し出し、特に、ポリエチレンテレフタレートの押し出しのための本発明のシステムを示している。
【0020】
図1の図に示している実施形態によれば、プラスチック押し出しシステム1は、直列に配置されている以下の段階を有している。
全体的にまたは部分的に再生されているプラスチック材料の供給手段14及び再生されるときには通常フレークの形態で供給されるプラスチック材料の精製前処理を実施する加熱手段を有している第1の段階I;
汚染物質からのプラスチック材料の精製用の第2の段階II;
段階IIで処理されたプラスチック材料を蓄積する考え得る(任意採用に過ぎない)第3の段階III;
段階IIで処理されたプラスチック材料が供給される2軸押し出し機30を有している押し出しの第4の段階IV。
【0021】
前述の第1段階Iは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい一般的にフレークの形態の全体的にまたは部分的に再生されいてるプラスチック材料が出口と入口との間で流れることができる密閉される容器によって識別されるヒータ3を有している。
【0022】
ヒータ3のフレーク材料の入口の開口は、前述の供給手段14と相互作用し;例えば、あらかじめ設定されている量のプラスチック材料を収容するように意図されている充填ホッパを示している。
【0023】
ヒータ3の内側には、例えば約60分の期間の、予測される処理の時間に等しい時間でヒータ3の入口の端部と出口の端部との間で処理チャンバ3a内でのプラスチック材料のフレークの前進を保証することを意図している進行手段がある。
【0024】
前述の進行手段は、前述のチャンバ3a内に位置しており、プラスチック材料のフレークのヒータ3の入口の端部と出口の端部との間での前述の前進をその回転が保証する不図示のブレードを備えており水平方向の回転の軸線を備えている軸を有していることが好ましい。
【0025】
ただし、ヒータ3は、プラスチック材料の進行に対して逆流の、ヒータ3内に流れ込む(
図1のAで示している)加熱されている空気の流れによって駆動される。
【0026】
前述の加熱されている空気の流れAは、ヒータ3内で処理されるプラスチック材料に対して3重の効果を発生する:
プラスチック材料の湿度の程度の減少(乾燥);
非常に揮発性の汚染物質からの第1の精製;
プラスチック材料の加熱。
【0027】
ヒータ3の容器内でのプラスチック材料の加熱に関しては、このヒータばかりでなく高温の空気の流速および温度が、ヒータ3の容器の出口の位置で185℃以下であって、ともかくも150℃未満ではなく、好ましくは160℃未満ではなく、より好ましくは170℃に近く、それ未満ではないプラスチック材料の温度を決定することを指摘するのが有用である。
【0028】
温度の値の前述の範囲は、プラスチック材料自体に対する好ましくない劣化を引き起こすことなく、ヒータ3内で処理されるプラスチック材料に対する前述の3重の効果を保証するものである。
【0029】
内部でプラスチック材料の前処理が行われる前述のヒータ3には、ヒータ3の出口での前述の指定された温度に達するまでのヒータ3を通過するプラスチック材料の加熱に貢献し、極性分子の励起を促進する放射加熱手段21も備わっていることが好ましい。
【0030】
前述の放射加熱手段21は、1個または2個以上のマイクロ波加熱装置、本質的にマイクロ波発生器を有している、より好ましくは、それからなることが好ましい。
【0031】
ヒータ3のプラスチック材料の入口の開口から追い出される加熱されている空気の前述の流れは、排出された空気のフィルタリング及びデカンテーション用のシステムによって、好ましくは空気の流れが前述の充填ホッパを通過した後で、処理されることが好ましい。
【0032】
プラスチック材料のフレークの汚染材からの精製用の前述の第2の段階IIを考慮すれば、少なくとも反応器4を備えていることが明らかである。
【0033】
図1に示している実施形態によれば、押し出しシステム1の第2の段階IIは、互いに平行して作動する2個の反応器4を有しており、各反応器4は、ヒータ3内で処理されるプラスチック材料の1時間の生産量の少なくとも50%に等しい、好ましくは50%と65%との間のプラスチック材料の量を収容するのに適している容量を有している。これによって、ヒータ3内でプラスチック材料を連続している態様で処理して、加熱中の一様ではない滞留を回避し、反応器4での不連続モードでの動作が可能になって有利である。
【0034】
設置コストが増加するとしても、第1の段階Iのヒータ3の生産容量に少なくとも等しいかわずかに高い容量を全体として有している多数のより小さい反応器を設けることによって、同じ結果、つまり連続している第1の段階I及び不連続な第2の段階IIを得ることもできるのは明らかである。
【0035】
ヒータ3の容器の出口は、容器4の入口に回転弁15、つまり、高温の材料をヒータ3の容器の出口から2個の反応器4の一方の入口に制御されている態様で通過させることが可能な排出弁を介して接続されている。
【0036】
各反応器4は、加熱手段、外側の壁、つまり反応器ジャケットに関連付けられている例えば電気ヒータまたは加熱されている液体によって覆われている隙間及び、反応炉の内側の外部環境との間での熱交換を減少させる外側の断熱層を有している。
【0037】
つまり、本質的に、反応器4の壁に関連付けられている前述の加熱手段及び前述の断熱層は、前述の第1段階Iにおいて以前に加熱されているプラスチック材料の温度をできるだけ維持し、したがって反応器4に滞留している期間にプラスチック材料の温度が下がり得ることを回避する機能を有している。
【0038】
考察したシステム1の寸法設定であれば、つまり2個の独立している反応器4を備えていれば、充填されたプラスチック材料の不連続な態様での必要な処理段階を実施するのに各反応器4が使用する処理時間は、30分に実質的に等しくなる。プラスチック材料の処理プロセスを実施するために、実質的に反応器4での精製プロセスの間、反応器4の内側があらかじめ設定されている真空値に維持されることを保証するように、システム1は、フィルタ13を介して反応器4の開口に吸引によって接続されている真空ポンプ5を有している。
【0039】
特に、反応器4の内側での加熱されているプラスチック材料の処理のプロセスは、プロセスサイクルの開始及び終わりに設けられている遷移過程を当然除いて、5ミリバール以下の圧力で、より好ましくは5ミリバール未満の圧力で発生するのが好ましい。
【0040】
反応器4内での精製は、反応器4が185℃以下で、いずれにしても150℃以上の、好ましくは、160℃以上の、より好ましくは170℃に近くそれ以上の温度で行われることが好ましい。実際に、より高い温度は、プラスチック材料の好ましくない劣化の原因になるのに対して、より低い温度は、過度に長い材料の処理時間が必要になって、実施中の処理の生産性が低下することが見出されている。
【0041】
反応器4は、エネルギーを反応器4内に収容されているプラスチック材料に供給し、極性分子の励起を促進する放射加熱手段2も有していることが有利である。
【0042】
この点について、以下の要因が強調される:
真空の存在、
処理されるプラスチック材料の非常に低い熱伝導性、
処理されるプラスチック材料の少なくとも部分的なフレークの適合性、
によって、反応器4の壁から内部に収容されているプラスチック材料へ伝導する可能性のある熱エネルギーの量を非常にわずかにすることができるので、前述の電気ヒータは、反応器4の内側に収容されているプラスチック材料を効果的に加熱できるというよりも、前述の断熱にもかかわらず反応器4によって周囲の環境に発散する熱エネルギーを補う目的を実際に有している。
【0043】
反応器4の放射加熱手段2は、その代わりに、熱を反応器4内に収容されているプラスチック材料に供給し、第1の段階Iのヒータ3内でプラスチック材料が到達した温度をさらに完全にするか、または少なくとも最適に維持することができる。
【0044】
このため、本発明の好ましい実施形態は、段階IIの上流にヒータ3を設けている。
【0045】
反応器4の前述の放射加熱手段2は、極性分子の励起を促進して、簡単な態様で汚染物質の蒸気圧力に達して、その結果、真空ポンプ5によって実施される吸引によってプラスチック材料から取り除かれるようにする、1個または2個以上のマイクロ波加熱装置を有している、より好ましくはそれらからなることが好ましい。
【0046】
そのため、各反応器4は:
回転弁15によってヒータ3の容器からの出口と相互作用する、精製するあらかじめ加熱されている材料の入力部;
精製された材料を蓄積するバッファを任意に介した、精製された材料を押し出しラインへ供給する精製された材料の出口;
真空ポンプ5に接続されている出力部;
反応器4の内側のブロワーによって発生した空気の流れによる飛沫同伴によって材料を取り出すことができるようにするブロワーに接続されている入口;
材料及び/または空気の密封中または開放中に前述の開口に適用される弁手段、
備えている。
【0047】
反応器4は、反応器4の内側の材料の攪拌を確実にして、放射手段2の暴露範囲内に収容されている固体プラスチック材料及び反応器自体の内側の壁の一様な暴露を確実にするために、内部の攪拌機16、例えば回転攪拌機を有していることが好ましい。
【0048】
図1の実施形態によれば、押し出しシステム1は、全体として前述の第3の段階IIIを識別する反応器4から送られてくる精製された材料の1個または2個以上の蓄積バッファ6も有している。
【0049】
バッファ6は、第4の段階IVの2軸押し出し機30に供給するように、より具体的には第4の段階IVの充填ホッパ33に供給するように構成されている。
【0050】
以前に強調したように、バッファ6の存在をなくすことができる。その場合、反応器4は、押し出し機30に供給する充填ホッパ33に精製された材料を直接取り出す。
【0051】
そのため、押し出しシステム1の第4の段階IVは、充填ホッパ33を装備している2軸スクリュー押し出し機30を有している。
【0052】
押し出し機30は、同じ回転方向に共に回転する2個のスクリュー31及び32が内部に配置されているケーシング29を有している。
【0053】
反応器4によってすでに処理されているプラスチック材料は、例えば油で温度調整されている押し出し機30の内部で前進しながら2個のスクリュー31及び32の間で処理される。
【0054】
充填ホッパ33から始まる押し出し機30の第1の部分の後に位置している第1の領域Aに対応して、押し出し機30の胴体内には、「開放空気」と呼ばれる脱気、つまり環境内での脱気を行う吸引フード35を任意に配置できる開口34が作られている。
【0055】
前述の吸引フード35は、わずかな減圧を行うので、プラスチック材料は依然として固体の状態、例えばフレーク等の形態であって、吸い込まれたり、押し出し機30自体から取り除かれたりしない。押し出し機30のこの領域のプラスチック材料は、スクリュー31及び32の溝を部分的にしか埋めず、どのような過度の減圧でも、このプラスチック材料の一部が取り除かれてしまう可能性のあることを考慮することが実際に必要である。
【0056】
さらに、後続の第2のゾーンBにおいて押し出し機30の内部で前進すると、栓として作用する部品の配置が識別される。この領域は、ほとんど溶融している材料が充填されており、わずかな圧力の下にあるスクリュー31及び32上に位置している一連のカム36の存在によって識別することができる。以下でよりよく説明するように、以降の脱気グループの強い減圧が前の環境での脱気に影響しないことを予測することができる。
【0057】
実際に、続くゾーンCにおいて、真空ポンプ11、または、その代わりに吸引チムニーを使用した第1の脱気37が行われ、さらなる領域Dにおいて、真空ポンプ11またはその代わりに吸引チムニーを使用した第2の脱気38が短い距離で続く。前述の脱気37及び38は、例えば、長さの比率が34及び42の直径の押し出し機においては、2個のチムニーの間の距離が約6~9メートルのタンデム脱気を識別している。
【0058】
内部では、スクリュー31及び32の各々は、溶融している材料が部分的にだけ充填され、真空吸引動作よりも広く材料の表面を曝すように製造されている。このように、発生した真空のおかげで、塊全体に同じ処理が効率的に施される。
【0059】
この脱気は、あらゆる残留した湿気の取り除き及び前述の第2の段階IIの反応器4内で実施された処理ステップの後で依然として存在している汚染物質の取り除きに対する決定的な作用を有している。
【0060】
それから、押し出し機30は、そのスクリュー31及び32によって運搬及び投与が行われるさらなるゾーンEに連続している。
【0061】
最後に、押し出し機30において、そのような手順によって作られた材料の最終ポンピングが実施される最後のゾーンFが存在している。
【0062】
ただし、押し出しシステム1の前述の第2段階IIは、特に反応器4内で処理されるプラスチック材料が事前に指定された過程の温度で事前に加熱されているばかりでなく、加熱されている空気の逆流が換気され、とりわけ、放射手段、特にマイクロ波発生器によって加熱される第1段階Iで実施された処理過程を経ている場合に、プラスチック材料の高容量の精製を達成できる。
【0063】
前述の精製システムは、汚染物質から処理するプラスチック材料を精製する非常に高い容量を有している。
【0064】
プラスチック材料が依然として固体の状態の部分における端部が開放されている脱気部34及び材料が流体の状態の時の真空ポンプ11を備えている2個の連続している脱気部37及び38を有している押し出し機30の構造は、システム1の第2の段階IIよりも処理容量が低く異なっているが、汚染物質の除去に関して非常に高い分離能力を有し、したがって、処理されているプラスチック材料の非常に強力な精製を実現可能である。
【0065】
以上の説明からわかるように、本発明のプラスチック材料の精製用の装置だけでなく、本発明のプラスチック押し出しシステム、本発明の押し出しによるプラスチック材料の精製用のプロセス、及び本発明の押し出しプロセスは、前述の要件を満たし、従来技術を参照して説明した本明細書の導入部分で言及した欠点を同時に克服すことができる。
【0066】
プラスチック材料処理システム及び前述の押し出し機を備えている押し出しの2個のシステムの直列の組み合わせによって、現在有効なFDA及びEFSA標準の要件を確実に満たすことができる非常に高いレベルの精製を得ることができる。
【0067】
そのため、好ましい実施形態では、前述の精製プロセスが、両方の過程:反応器内でのプラスチック材料の精製及び前述の特定の押し出し機30を使用した以降の押し出し過程にあらかじめ対応するようになっている。
【0068】
当業者は、偶発的で特定の要件に対応するために、説明した、しかし以下の特許請求の範囲によって定められるような本発明の保護の範囲内にすべてが含まれる内容に対して様々な修正と変更を行い得ることは明らかである。