(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ユビキノールの共結晶及びそれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 43/23 20060101AFI20230913BHJP
C07C 65/03 20060101ALI20230913BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230913BHJP
A61K 31/09 20060101ALI20230913BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230913BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230913BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230913BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20230913BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230913BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20230913BHJP
A61K 31/122 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
C07C43/23 G CSP
C07C65/03 Z
A23L33/10
A61K31/09
A61P3/10
A61P3/06
A61P9/10
A61P39/06
A61P43/00 105
A61K45/00
A61P7/02
A61K31/122
(21)【出願番号】P 2020544010
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2019054420
(87)【国際公開番号】W WO2019162429
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519451832
【氏名又は名称】センター フォー インテリジェント リサーチ イン クリスタル エンジニアリング,エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】CENTER FOR INTELLIGENT RESEARCH IN CRYSTAL ENGINEERING,S.L.
【住所又は居所原語表記】C.Isaac Newton s/n,Edificio Disset,local A5,ParcBIT,07121 PALMA DE MALLORCA(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プロヘンス ロペス,ラフェル
(72)【発明者】
【氏名】バルバス カニェロ,ラファェル
(72)【発明者】
【氏名】ボフィル エレーラ,リディア
(72)【発明者】
【氏名】ド サンデ ロペス,ダフネ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/176842(WO,A1)
【文献】特開2015-131766(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122531(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/033054(WO,A1)
【文献】特表2007-524596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A23L
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶
であって、
前記水素結合ドナーコフォーマが、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、レゾルシノール、及び尿素からなる群から選択される、共結晶。
【請求項2】
前記
水素結合ドナーコフォーマが3-ヒドロキシ安息香酸であり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで1.36、2.74及び4.12±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶。
【請求項3】
前記粉末X線回折図が、17.04、17.81、19.30及び23.28±0.3度2シータに特徴的なピークをさらに含む、請求項
2に記載の共結晶。
【請求項4】
前記
水素結合ドナーコフォーマが3,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで1.34、2.69及び4.04±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶。
【請求項5】
前記粉末X線回折図が、14.60、17.29及び18.06±0.3度2シータに特徴的なピークをさらに含む、請求項
4に記載の共結晶。
【請求項6】
前記
水素結合ドナーコフォーマが3,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで1.37、2.75及び4.13±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶。
【請求項7】
前記粉末X線回折図が、16.23、16.90、17.67及び19.22±0.3度2シータに特徴的なピークをさらに含む、請求項
6に記載の共結晶。
【請求項8】
前記
水素結合ドナーコフォーマが2,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで
1.43、2.89及び4.33±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶。
【請求項9】
前記水素結合ドナーコフォーマが尿素であり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで
1.41、2.89及び4.36±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶
。
【請求項10】
前記水素結合ドナーコフォーマがレゾルシノールであり、Cu-K
α放射、λ=1.5406Åで
1.44、2.91及び4.38±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項
1に記載の共結晶
。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれかで定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの前記共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物。
【請求項12】
医薬組成物又は栄養補助食品である、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
心血管系薬剤、抗高脂血症剤、抗糖尿病剤、及び抗血小板剤からなる群から選択される1又は複数の有効成分をさらに含む医薬組成物である、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
医薬品として使用するための、請求項1~
10のいずれかで定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶。
【請求項15】
CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、並びに神経学的状態の予防及び/又は治療に使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載のユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月23日に出願の欧州特許出願第18382109.9号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ユビキノールの共結晶、その調製方法、及び医薬品又は栄養補助食品としてのそれらの使用に関する。また、それらを含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
CoQ-10(コエンザイムQ-10)は、ユビキノンとして一般に知られている脂溶性キノンである。
【0004】
ユビキノンは、ほとんどの生物に含まれており、細胞エネルギーの生産に不可欠である。ユビキノンは体内で合成することができるが、ユビキノンの必要性がそれを合成する体の能力を超える状況が発生する場合がある。ユビキノンは食事源から得ることができ、粉末状で錠剤又は懸濁液として投与されることが多い。ただし、ユビキノンのバイオアベイラビリティは限られている。
【0005】
ユビキノールは、コエンザイムQ10(ユビキノンとしても公知である)の還元型であり、CAS No.992-78-9を有する。細胞のエネルギー生産と抗酸化保護におけるユビキノールのレドックス機能は、ユビキノール(還元型)とユビキノン(酸化型)の間のレドックスサイクルにおいて2つの電子を交換する能力に基づく。経口摂取すると、ユビキノールはユビキノンよりも優れたバイオアベイラビリティを示す。
【0006】
ユビキノールの健康上の利点は公知である。特に、ユビキノールは最適な心臓の健康をサポートし、自然な細胞のエネルギー生産をサポートし、酸化ストレスによる身体の損傷を防ぎ、多くのコレステロール薬によって減少したCoQ10血中濃度を補充する。ユビキノールは栄養補助食品として販売されている。
【0007】
ユビキノールの構造は式(I)に対応する:
【化1】
【0008】
ユビキノールは、特許文献1に開示されているような結晶化形態で調製することができる。当該出願に開示された手順は、ユビキノールの結晶形態I及びIIをもたらす。それにもかかわらず、ユビキノールは酸素と光の存在下で容易に酸化され、ユビキノンに戻るように変換される。したがって、酸化を最小限に抑えるために、ユビキノールは、不活性雰囲気下などの実質的に空気又は酸素が含まれない状態で、密閉容器に包装、保管、及び輸送する必要がある。
【0009】
有効成分は固体形態が異なれば、異なる特性を有することができ、例えば、溶解性、又はバイオアベイラビリティに関して特定の利点を提供し得ることが知られている。したがって、ある形態が一つのタイプの製剤により適切であり、他の形態が他の異なる製剤により適切となるため、新しい固体形態の発見により、有効成分の薬物動態特性を改善し、その結果、該有効成分を含有する医薬製剤の特性を改善することができる。
【0010】
特に、近年、共結晶形成が、有効成分の薬物動態データを改善するための実行可能な戦略として浮上している。有効成分又は有効成分の塩をコフォーマ(共結晶の第2成分)と共結晶化することにより、有効成分又はその塩の既存の固体形態と比較して独特な特性を有する、有効成分の新しい固体形態が作製される。そのような異なる特性は、例えば、より良い加工又は取り扱い特性を促進すること、溶解プロファイルを好ましい方向に変化させること、又は安定性及び貯蔵寿命を改善することによって、製剤を改善するための基礎を提供し得る。ただし、共結晶形成は予測不能であり、実際には常に可能であるとは限らない。さらに、化合物が形成されるまで、化合物の特定の共結晶の特性を予測する方法はない。特定の共結晶を取得するための適切なコフォーマ及び適切な条件を見つけるには、かなりの時間、労力、及びが必要である。
【0011】
当技術分野で公知のことから、ユビキノールの新しい安定な固体形態を見つけて、それらを含有する医薬製剤の医薬特性を改善する必要が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願第2015284311号A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、ユビキノールが、本明細書で以下に定義される水素結合ドナーコフォーマと共結晶を形成できることを見出した。前述のユビキノールの共結晶を提供することで、ユビキノールの安定性に関連する問題を克服するための新しいツールが提供される。これらの共結晶は、空気にさらされた場合でも室温で安定性が高く、取り扱いが容易になることがわかっている。この特性により、共結晶は、ユビキノールを含有する医薬組成物又は食品組成物の調製により適したものとなる。
【0014】
特に水素結合ドナーコフォーマとの共結晶形成は予測不能である。ユビキノールの共結晶を得ようとする試みは文献には見出されていない。
【0015】
したがって、本明細書で以下に定義される水素結合ドナーコフォーマとの共結晶形態でユビキノールの改善された結晶形態を提供することは、当技術分野への貢献と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の第1の態様は、ユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の提供に言及する。
【0017】
本発明の第2の態様は、ユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物に言及する。
【0018】
最後に、本発明の第3の態様は、医薬品として使用するためのユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶の粉末X線回折図(XRPD)を示す。この図は、強度(I;カウント)対角度2シータ(°)を表している。
【
図2】ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶水和物の粉末X線回折図(XRPD)を示す。この図は、強度(I;カウント)対角度2シータ(°)を表している。
【
図3】ユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶の粉末X線回折図(XRPD)を示す。この図は、強度(I;カウント)対角度2シータ(°)を表している
【
図4】ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶水和物のTGAを示す。サーモグラムは、損失重量(w/w%)対温度(℃)を表している。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本出願において本明細書で使用されるすべての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で公知の通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は以下に示すとおりであり、特に明示的に述べた定義がより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体に一律に適用されることを意図している。
【0021】
本発明の目的のために、具体的に述べられていない限り、温度、時間などの与えられた範囲は、概算と見なされるべきである。
【0022】
本発明の目的のために、用語「共結晶」は、本明細書では、室温(20~25℃)で単位格子を構成し、分子間相互作用により相互作用する少なくとも2つの異なる成分を有する結晶体を指す。したがって、共結晶では、1つの成分が1又は複数の中性成分と一緒に結晶化する。共結晶は、結晶格子内に1又は複数の溶媒分子を含んでもよい。したがって、「共結晶水和物」又は「水和共結晶」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用される。それらは、結晶格子中に溶媒として水を含む共結晶を指す。
【0023】
「によって得られる共結晶」という表現は、本発明の各特定の共結晶をそれを得る方法によって定義するために本明細書では使用され、本明細書に開示される対応する方法のいずれかによって得られる生成物を指す。本発明の目的のために、表現「得られる」、「得られた」及び同等の表現は交換可能に使用され、いずれの場合でも、表現「得られる」は表現「得られた」を包含する。
【0024】
X線回折図の特徴的なピークの値が得られた場合、これらは「近似」値であると言える。値は、X線回折計でCu-Kα放射線、λ=1.5406Åにおいて測定された、対応するリスト又は表に示されている値±0.3度(2シータ)であることを理解すべきである。
【0025】
本発明の共結晶の成分の比が特定される場合、それは、共結晶を形成する成分間のモル比を指す。「モル比」という用語は、共結晶の各成分のモルでの化学量論量を表すために使用される。モル比は、1H NMR(プロトン核磁気共鳴)、熱重量分析(TGA)、又は単結晶X線回折(SCXRD)によって決定することができる。モル比の値がTGAに従って示されている場合、これらは測定誤差による「近似」値であると言える。モル比が言及される場合、それはモル比±0.2%に対応することを理解すべきである。結果のばらつきは、TGA装置の固有の感度によるものである。
【0026】
「室温」という用語は、加熱又は冷却を行わない環境の温度を指し、一般に20℃~25℃で構成される。
【0027】
「一晩」という用語は、10時間~20時間までの時間間隔を指す。
【0028】
「アルキル」という用語は、本明細書又は特許請求の範囲で指定された数の炭素原子を含む、飽和した直鎖又は分枝型の炭化水素鎖を指す。例としては、とりわけ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルの基が挙げられる。
【0029】
上記のように、本発明の第1の態様は、ユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶を提供することである。
【0030】
一実施形態では、水素結合ドナーコフォーマは、有機カルボン酸、有機アルコール、及び尿素からなる群から選択される。
【0031】
「有機カルボン酸」という用語は、少なくとも1つの-COOH基を含む薬学的に許容される有機酸を指す。一実施形態では、ユビキノールの共結晶は、水素結合ドナーコフォーマがR
1(COOH)
nの化合物から選択される有機カルボン酸のものである
【化2】
【0032】
(式中、R1は、1又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、及び(C2-C6)アルキニルからなる群から選択され;R2は、H及びOHからなる群から選択され;R3は、H及び-COOHからなる群から選択され;R4は(C1-C6)アルキルであり;並びにnは1~3から選択される整数である)。特に、水素結合ドナーコフォーマは、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸などの安息香酸である。
【0033】
特定の実施形態では、安息香酸は3-ヒドロキシ安息香酸であり、ユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.36、2.74及び4.12±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、ユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、17.04、17.81、19.30及び23.28±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0034】
より具体的には、本発明のユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表1に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0035】
【0036】
発明のユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、
図1のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0037】
別の実施形態では、安息香酸は3,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.34、2.69及び4.04±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、本発明のユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、14.60、17.29、及び18.06±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0038】
より具体的には、本発明のユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表2に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0039】
【0040】
本発明のユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、
図2のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0041】
一実施形態では、ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は水和物共結晶である。より具体的には、この共結晶は、TGA分析による含水量が1.6%±0.1%の水和物である。
【0042】
別の実施形態では、安息香酸は3,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、ユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.37、2.75及び4.13±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、本発明のユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、16.23、16.90、17.67、及び19.22±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0043】
より具体的には、本発明のユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表3に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0044】
【0045】
本発明のユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸の共結晶は、
図3のようなX線回折図によってさらに特徴づけることができる。
【0046】
別の実施形態では、安息香酸は2,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、ユビキノールと2,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.43、2.89及び4.33±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。特定の実施形態では、ユビキノールと2,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、14.60、14.86、18.82及び19.05±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0047】
より具体的には、本発明のユビキノールと2,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表4に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0048】
【0049】
別の実施形態では、水素結合ドナーコフォーマは尿素であり、ユビキノールと尿素との共結晶は、約1.41、2.89及び4.36±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。特定の実施形態では、ユビキノールと尿素との共結晶は、16.04、18.97、20.41、及び23.16±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0050】
より具体的には、本発明のユビキノールと尿素との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表5に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0051】
【0052】
別の実施形態では、水素結合ドナーコフォーマはレゾルシノールであり、ユビキノールとレゾルシノールとの共結晶は、約1.44、2.91及び4.38±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、ユビキノールとレゾルシノールとの共結晶は、18.63、19.02、20.15及び23.00±0.3度2シータ(Cu-Kα放射、λ=1.5406Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0053】
より具体的には、本発明のユビキノールとレゾルシノールとの共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表6に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0054】
【0055】
ユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶を調製するための、以下の工程を含む方法の提供もまた本発明の一部である:
a)メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、ベンジルアルコール、ギ酸、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水、アンモニア水、ジエチルアミン、及びそれらの混合物からなるリストから選択された有機溶媒中で水素結合ドナーコフォーマの濃縮溶液を調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノールを添加する工程;
又は、代替的に、有機溶媒中でユビキノールの濃縮溶液を調製して、懸濁液が観察されるまで水素結合ドナーコフォーマを添加する工程;
b)共結晶が形成されるまで、懸濁液を室温で撹拌する工程;並びに
c)こうして得られた共結晶を単離する工程。
【0056】
一実施形態では、工程(a)は室温で行われる。
【0057】
別の実施形態では、任意選択で上記で定義した方法の特定の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて、単離工程c)は、例えば、以下の操作の1又は複数によって有機溶媒を除去する工程を含むことができる:濾過、真空下における濾過、デカンテーション及び遠心分離、又は当業者に公知の他の適切な技術。特に、工程c)は、固体の濾過により行われる。別の実施形態では、工程c)は、単離された共結晶を乾燥させる工程をさらに含む。特に、共結晶は室温で、特に真空条件下で乾燥される。一般に、真空には0.5mbar~3mbarで構成される圧力が含まれる。
【0058】
特に、水素結合ドナーコフォーマは、有機カルボン酸及び有機アルコールからなる群から選択される。より具体的には、水素結合ドナーコフォーマは、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸などの安息香酸である。本発明において出発物質として使用されるユビキノール、及びコフォーマ、特に、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸などの安息香酸は市販されている。
【0059】
例として、ユビキノールと安息香酸との共結晶は、以下の工程によって得ることができる:
a)3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸などの安息香酸の濃縮溶液を上記で定義した有機溶媒中で調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノールを添加する工程;
b)懸濁液を室温で撹拌する工程;並びに
c)得られた固体を濾過して、乾燥させる工程。
【0060】
代替的には、ユビキノールと安息香酸との共結晶は、以下の工程によって得ることができる:
a)ユビキノールの濃縮溶液を有機溶媒中で調製して、懸濁液が観察されるまで、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸などの安息香酸を添加する工程;
b)懸濁液を室温で撹拌する工程;
c)得られた固体を濾過して、乾燥させる工程。
【0061】
別の例として、ユビキノールと尿素との共結晶は、以下の工程によって得ることができる:
a)ユビキノールの濃縮溶液を極性有機溶媒、特にアセトニトリル中で調製して、懸濁液が観察されるまで尿素を添加する工程、代替的には尿素の濃縮溶液を上記の極性有機溶媒中で調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノールを添加する工程;
b)懸濁液を室温で撹拌する工程;
c)得られた固体を濾過して、乾燥させる工程。
【0062】
別の例として、ユビキノールとレゾルシノールとの共結晶は、以下の工程によって得ることができる:
a)ユビキノールの濃縮溶液を有機溶媒、特にジクロロメタン中で調製して、懸濁液が観察されるまでレゾルシノールを添加する工程、代替的にはレゾルシノールの濃縮溶液を上記の有機溶媒中で調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノールを添加する工程;
b)懸濁液を室温で撹拌する工程;
c)得られた固体を濾過して、乾燥させる工程。
【0063】
一実施形態では、有機溶媒は極性有機溶媒である。
【0064】
別の特定の実施形態では、安息香酸は3-ヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒は、アセトニトリル、キシレン、酢酸エチル及びブタノールからなる群から選択される。特に、溶媒はアセトニトリルである。
【0065】
特定の実施形態では、安息香酸は3,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒はブタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル及びアセトンからなる群から選択される。特に、溶媒はブタノールである。
【0066】
別の特定の実施形態では、安息香酸は3,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒は、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ブタノール、メチルイソブチルケトン、ベンジルアルコール、及びギ酸からなる群から選択される。特に、溶媒はアセトニトリルである。
【0067】
別の特定の実施形態では、安息香酸は2,5-ジヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒は酢酸エチルである。
【0068】
特定の実施形態では、3-ヒドロキシ安息香酸とユビキノールとのモル比は1:1である。
【0069】
別の特定の実施形態では、3,5-ジヒドロキシ安息香酸とユビキノールとのモル比は1:1である。
【0070】
さらに別の特定の実施形態では、ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、TGA分析により水分含有量が1.6%±0.1%の水和物である。上記の共結晶の一部を形成する水は、溶媒中に含まれる水から、又は大気湿度から得られる。
【0071】
特に、上記のいずれの方法においても、撹拌は10~20時間行われる。
【0072】
本発明の上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶はまた、その調製方法によって定義されてもよい。したがって、本発明のこの態様は、任意選択で前記方法の任意の好ましい、若しくは特定の実施形態を含む方法、及び上記で開示した方法の特徴のいくつかの可能な組み合せによって得られる、上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶として製剤化することができる。
【0073】
本発明の第2の態様は、上記で定義したユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物に関する。
【0074】
「有効量」という用語は、その適用後に治療効果を提供する共結晶の量を指す。
【0075】
一実施形態では、本発明の第2の態様の組成物は、上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の薬学的有効量を、1又は複数の適切な薬学的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物である。「医薬組成物」という用語は、希釈剤又は担体などの他の化学成分を含む、本明細書で開示される共結晶の混合物を指す。医薬組成物は、生物への共結晶の投与を容易にする。特に、医薬組成物(pharmaceutical compositon)は、吸入、筋肉内、皮下、経口、又は局所投与用に製剤化することができる。
【0076】
一実施形態では、本発明の第2の態様の組成物は、上記で定義したユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な経口的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む栄養補助食品である。「栄養補助食品」という用語は、食事を補助することを目的とした成分を含む、経口摂取される製品を指す。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、ソフトジェル、ジェルキャップ、液体、粉末、バー、ドリンク、シェイク、その他の食品の形態をとることができる。一例として、栄養補助食品は、運動能力を高めるためのものであってもよい。
【0077】
「許容される賦形剤又は担体」という用語は、液体又は固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料などの許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各成分は、組成物の他の成分と適合性があるという意味で許容されなければならない。また、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性又は他の問題若しくは合併症なしに、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触して使用するのに適している必要がある。医薬組成物(pharmaceutical compositon)において、許容される賦形剤又は担体は、薬学的に許容される賦形剤又は担体である。
【0078】
特定の実施形態では、上記で定義された医薬組成物は、心血管系薬剤、抗高脂血症剤、抗糖尿病剤、及び抗血小板剤からなる群から選択される1又は複数の有効成分をさらに含む。特定の実施形態では、上記で定義した栄養補助食品は、L-カルニチン、キシリトール、ビタミン、カロチノイド、フラボノイド、銅、亜鉛、及びマンガンからなる群から選択される1又は複数の有効成分をさらに含む。
【0079】
心血管系薬剤の例としては、限定するものではないが、アドラフィニル、アドレナロン、アミドフリン、アプラクロニジン、ブドララジン、クロニジン、シクロペンタミン、デクスメデトミジン、ジメトフリン、ジピベフリン、エカバピド、エフェドリン、エピネフリン、フェノキサゾリン、グアナベンズ、グアンファシン、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、インダナゾリン、イソメテプテン、メフェンテルミン、メタラミノール、メトキサミン、メチルヘキサンアミン、ミドドリン、ミバゼロール、モダフィニル、モキソニジン、ナファゾリン、ノルエピネフルン、ノルフェネフリン、オクトドリン、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、ハイドロクロライド、フェニルプロパノールアミン、フェニルプロピルメチルアミン、フォレドリン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、リルメニジン、シネフリン、タリペキソール、テトラヒドロゾリン、チアメニジン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、チラミン、及びキシロメタゾリンなどのアルファアドレナリン作動薬(alpha andrenergic agonist);アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、デノパミン、ジキソエテドリン、ドペキサミン、エフェドリン、エピネフリン、エタフェドリン、エチルノレピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、メトキシフェナミン、マブテノール、メタプロテレノール、オキシフェドリン、ピルブテロール、プレナルテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール、及びキサモテロールなどのベータアドレナリン作動薬(beta andrenergic agonist);アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、エルゴロイドメシレート、フェンスピリド、イダゾキサン、インドラミン、ラベタロール、モナテピル、ナフトピジル、ニセルゴリン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、トラゾリン、トリメタゾシン、及びヨヒンビンなどのアルファアドレナリン遮断薬(alpha andrenergic blocker);アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブチドエイン塩酸塩、ブトフィロール(butofilol)、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、ランジオロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロパノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、タータトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、及びキシベノロールなどのベータアドレナリン遮断薬(beta andrenergic blocker);アセブトロール、アセカイニド、アデノシン、アジマリン、アルプレノロール、アミオダロン、アプリンジン、アロチノロール、アテノロール、アジミリド、ベバントロール、ビジソミド、ブレチリウムトシレート、ブクモロール、ブフェトロール、ブナフチン、ブニトロロール、ブルラノロール、ブチドリン塩酸塩、ブトベンジン、カポベン酸、カラゾロール、カルテオロール、シフェンリン、クロラノロール、ジソピラミド、ドフェチリド、エンカイニド、エスモロール、フレカイニド、ヒドロキニジン、イブチリド、インデカイニド、インデノロール、臭化イプラトロピウム、ランジオロール、リドカイン、ロラジミン、ロルカイニド、メオベンチン、メキシレチン、モリシジン、ナドキソロール、ニフェナロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ペンチソミド、ピルシカイニド、ピンドロール、ピルメノール、プラクトロール、プラジマリン、プロカインアミド塩酸塩、プロネタロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ピリノリン、キニジン、セマチリド、ソタロール、タリノロール、テディサミル、チリソロール、チモロール、トカイニド、ベラパミル、及びキシベノロールなどの抗不整脈薬;アリールアルキルアミン:ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル;ジヒドロピリジン誘導体、例えばアムロジピン、アラニジピン、バミジピン、ベニジピン、シルニジピン、エフォニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン;ピペラジン誘導体、例えばシンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、並びにベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン、モナテピル、及びペルヘキシリンなどの他のもの、などのカルシウムチャネル遮断薬;アモトリフェン、ベンフロジルヘミサクシネート、ベンジオダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフロロール、クロニトレート、クロリクロメン、ジラゼプ、ドロプレニラミン、エフロキサート、エリスリチルテトラニトレート、エタフェノン、フェンジリン、ヘキセストロールビス([β-ジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシレート、ケリン、リドフラジン、マンニトールヘキサニトレート、ニトログリセリン、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ペントリニトール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニルアミン、プロパチルニトレート、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、トロルニトリルホスフェート及びビスナジンなどの血管拡張剤;抗低血圧薬:アメジニウムメチル硫酸塩、アンジオテンシンアミド、ドーパミン、ジメトフリン、エチフェルミン、エチレフリン、ゲペフリン、メタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、ノルエピネフリン、フォレドリン、及びシネフリンなどの昇圧剤;並びにジゴキシン、ミルリノン、ドブタミン、及びドーパミンなどの変力剤が挙げられる。
【0080】
抗高脂血症剤の例としては、限定するものではないが、コレスチラミン樹脂、コレセベラム塩酸塩、コレスチポール、及びポリデキシドなどの胆汁酸封鎖剤;ベザフィブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、及びテオフィブラートなどのフィブリン酸誘導体;アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンナトリウム、ピタバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンなどのhmg coaレダクターゼ阻害剤;エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びドコサペンタエン酸などのオメガ-3-脂肪酸;及びアシピモックス、ニコチン酸アルミニウム、ニセリトロール、ニコクロナート、ニコモール、及びオキシニアシン酸などのニコチジン酸誘導体;並びにアシフラン、ベンフルオレックス、β-ベンザルブチルアミド、カルニチン、硫酸コノドロチン、クロメストロン、デタキストラン、デキストラン硫酸ナトリウム、エイコサペンタエン酸、エリタデニン、エゼチミブ、フラザボル、メグルトール、メリナミド、u-オリザセタール、パンテチン、テトラ酢酸ペンタエリスリトール、a-フェニルブチルアミド、ピロザジル、プロブコール、レスベラトロール、b-シトステロール、スルトシル酸(sultosilic acid)、チアデノール、トリパラノール、及びキセンブシンなどの他の抗高脂血症剤が挙げられる。
【0081】
抗糖尿病薬の例としては、限定するものではないが、ビグアナイド(すなわち、メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン)、スルホニル尿素(すなわち、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボムリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド、トラザミド、トルブタミド、トルサイクロマイド)、チアゾリジンジオン(すなわち、ピオグリアタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、ベータアドレナリン遮断薬(andrenergic blocker)、及びアカルボース、メソシュウ酸カルシウム、ミグリトール、ナテグリニド、レパグリニド、ボグリボースなどの他の抗糖尿病薬が挙げられる。
【0082】
抗血小板剤の例としては、限定するものではないが、チロフィバン、ジピリダモール、アナグレリド、エポプロスタノール、エプチフィバチド、クロピドロゲル、シロスタゾール、及びトリクロピジンが挙げられる。
【0083】
ビタミンの例としては、限定するものではないが、ビタミンA(酢酸塩又はパルミチン酸塩、ベータカロテン)、ビタミンB1(チアミン(アノイリン))(塩酸塩又は一硝酸塩)、B2(リボフラビン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンB12(メコバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ニコチン酸、ビタミンD2(エルゴ-カルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンE(アルファトコフェロール酢酸エステル(alpha tocopheryl acetate)、アルファトコフェロールコハク酸エステル(alpha tocopheryl succinate)、アルファトコフェロール、γ-トコフェロール)、ビタミンK(フィロキノン、メナジオンなど)、及びニコチンアミドリボシドが挙げられる。
【0084】
カロチノイドの例としては、限定するものではないが、ルテイン、リコピン、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、β-クリプトキサンチン、カプサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンが挙げられる。
【0085】
フラボノイドの例としては、限定するものではないが、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン、ルチン、カテキン、エピカテキン、ECG、ガロカテキン、EGC、EGCG、シアニジン、カフェイン酸、テアフラビン、テアフラビンガレート、ルテオリン、ダイゼイン、ジェネステイン、及びグリシテインが挙げられる。
【0086】
本発明の組成物は、最新技術で周知の方法に従って調製することができる。適切な賦形剤及び/又は担体、並びにそれらの量は、調製される製剤のタイプに従って、当業者によって容易に決定することができる。
【0087】
上記で定義されたユビキノールの共結晶について上に開示されたすべての実施形態は、本発明の組成物にも適用される。
【0088】
本発明の第3の態様は、医薬品として使用するための、上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶に関する。
【0089】
特に、上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶は、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、不妊症、及びフリードライヒ運動失調症などの神経学的状態の予防及び/又は治療に使用するためのものである。この態様はまた、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、不妊症、及びフリードライヒ運動失調症などの神経学的状態の予防及び/又は治療のための医薬品の調製のための、上記で定義されたユビキノールと安息香酸などの水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の使用として製剤化することができる。この態様はまた、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、不妊症、及びフリードライヒ運動失調症などの神経学的状態に罹患している、又は罹患しやすい哺乳動物の予防及び/又は治療のための方法であって、前記哺乳動物に上記で定義されたユビキノールと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1または複数の許容される賦形剤又は担体と一緒に投与する工程を含む方法に関する。
【0090】
説明及び特許請求の範囲を通して、「含む」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、添加物、成分又は工程を除外することを意図するものではない。さらに、「含む」という言葉は、「からなる」という場合も包含する。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、説明を検討することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施により習得することができる。以下の実施例及び図面は例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。図面に関連し、特許請求の範囲の中で括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲の明瞭度を高めるための試みであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本発明は、本明細書に記載された特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
【実施例】
【0091】
一般事項
ユビキノールはBOC Sciencesから市販されており、3-ヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、及び2,5-ジヒドロキシ安息香酸はSigma-Aldrichから市販されている。
【0092】
粉末X線回折(PXRD)分析は、厚さ10マイクロメートルのポリエステルフィルム又は厚さ15マイクロメートルのポリアミド(カプトン)フィルムの間に粉末サンプルを挟み、半径240ミリメートルのPANalytical X’Pert PRO MPD q/q粉末回折計で、集束ミラーとフラットなサンプル透過ジオメトリを備えた収束ビームの構成で、以下の実験条件において分析した:CuKα放射(λ=1.5406Å);作業電力:45kV及び40mA;0.4mmのビーム高さを規定する入射ビームスリット;入射及び回折ビーム0.02ラジアンソーラースリット;PIXcel検出器:有効長=3.347°;2θ/θは、2~40°2θまでスキャンし、ステップサイズは0.026°2θで、測定時間は1ステップあたり76秒である。
【0093】
熱重量分析(TGA)は、Mettler-Toledo TGA-851e熱天秤で行った。実験条件:容量70μLのアルミナるつぼ、流量50mL/分の乾燥窒素雰囲気、加熱速度10℃/分。
【0094】
実施例1.-ユビキノールと3-ヒドロキシ安息香酸との共結晶(P58-VI)の調製
3-ヒドロキシ安息香酸(100mg)のアセトニトリル(1.25mL)中濃縮溶液を調製した。懸濁液が観察されるまでユビキノールを加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた(m.p.:58.8℃)。同じ共結晶を、アセトニトリルの代わりにブタノール中での晶析反応によっても得た。
【0095】
1H-NMRによれば、これにより、P58の1分子あたり1分子の3-ヒドロキシ安息香酸を含む新しい形態を得ることができたと思われる。
【0096】
実施例2.-ユビキノールと3,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶水和物(P58-III)の調製
ユビキノール(50mg)のブタノール(0.8mL)中濃縮溶液を調製した。懸濁液が観察されるまで、3,4-ジヒドロキシ安息香酸を溶液に加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。同じ共結晶を、ブタノールの代わりにAcOEt中での晶析反応によっても得た。
【0097】
DSCは、水の損失及び溶融に対応する2つの連続した吸熱プロセスを示す(開始:45.4℃)。水の化学量論はTGA分析から推測されている(1.64%、開始:30.2℃)。表題の共結晶の一部を形成する水は、溶媒に含まれる水から、又は大気湿度から得られる。
【0098】
下記の表7に示すように、元素分析により、ユビキノール3,4-ジヒドロキシ安息香酸一水和物共結晶のモル比[1:1:1]が確認された。
【表7】
【0099】
実施例3.-ユビキノールと3,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶(P58-V)の調製
3,5-ジヒドロキシ安息香酸(100mg)のアセトニトリル(0.8mL)中濃縮溶液を調製した。懸濁液が観察されるまでユビキノールを加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた(m.p.:66.0℃)。同じ共結晶を、アセトニトリルの代わりにメチルエチルケトン、又はEt2O中での晶析反応によっても得た。
【0100】
下記の表8に示すように、ユビキノール3-ヒドロキシ安息香酸共結晶の元素分析により、モル比[1:1]が確認された。
【表8】
【0101】
実施例4.-ユビキノールと2,5-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶の調製
ユビキノール(100mg)の酢酸エチル(0.2mL)中濃縮溶液を調製した。懸濁液が観察されるまで、2,5-ジヒドロキシ安息香酸を加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0102】
実施例5.-ユビキノールと尿素との共結晶の調製
尿素(20mg)のイソプロパノール(0.6mL)中濃縮溶液を調製した。
懸濁液が観察されるまでユビキノールを加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0103】
実施例6.-ユビキノールとレゾルシノールとの共結晶の調製
レゾルシノール(500mg)のジクロロメタン(0.5mL)中濃縮溶液を調製した。懸濁液が観察されるまでユビキノールを加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0104】
実施例7.-ユビキノール:ベンジルアルコール(P58-G)の調製
化合物ユビキノール:ベンジルアルコールを、ベンジルアルコール又はエタノール中での晶析反応によって、及びユビキノールとベンジルアルコールとの滴下粉砕によって得た。1H-NMR及びTGAによれば、これにより、ユビキノール1分子あたり1分子のベンジルアルコールを含む新しい形態を得ることができたと思われる。
【0105】
実施例8.-安定性研究-異なる条件における共結晶に対するユビキノールの比較
異なる形態の安定性を、2つの実験条件下で研究した。サンプルをシリーズFDバインダーチャンバー内において両方の条件下で保存し、定期的に分析した。
-条件A:25℃及び相対湿度57%;
-条件B:40℃、相対湿度75%。
【0106】
相対湿度を管理するために、臭化ナトリウム塩の飽和溶液(57%RH)及び塩化ナトリウムの飽和溶液(75%RH)を使用した。表9は、ユビキノンが検出された時点を管理することによって測定した、25℃における安定性を示している。
【表9】
【0107】
表10及び11は、25℃、57%HR及び40℃、75%HRでの安定性を、記載の日の後に検出された形態を示すことで示している。少なくとも14日後、ユビキノンは検出されなかった。
【表10】
【表11】
【0108】
2サンプルを1H-NMRで分析し、2:3のモル比(ユビキノール:ユビキノン)でユビキノンが存在することを確認した。
【0109】
共結晶P58-Vの安定性は、共結晶P58-IIIと同様であると予想される。
【0110】
実施例9.-非晶質形態のユビキノールの調製
非晶質ユビキノールを、DSC装置(アルミ製るつぼを備えたMettler Toledo822)での溶融実験からの急冷(quenching)により検出した。ガラス転移中点は、2~20℃/分のいくつかの加熱速度で-68℃~-60℃の間で決定した。
【0111】
引用リスト
1.米国特許出願第2015284311号A1明細書