(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】水溶性ケイ素溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/46 20060101AFI20230913BHJP
C09K 23/54 20220101ALI20230913BHJP
【FI】
C01B33/46
C09K23/54
(21)【出願番号】P 2022062367
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2022-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513273203
【氏名又は名称】株式会社 life park. biz
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】金子 昭伯
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕也
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-090611(JP,A)
【文献】特表2011-529973(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171132(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/205912(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/46
C09K 23/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加して、水溶性ケイ素溶液を製造する工程を備え、
前記水溶性ケイ素溶液は、ナノ化されたケイ素粒子をベースに集団化された多重層型ミセルコロイダル構成を有する、
ことを特徴とする水溶性ケイ素溶液の製造方法。
【請求項2】
水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加する工程と、
抗火石粉末を70重量%以上使用し、粘土をバインダとして略球形状等の所望の形態にし、1000℃から1500℃で焼結した素焼体に、前記ケイ素を添加した前記機能水を接触させる工程と、
抗火石粉末を97重量%使用し、さらに3重量%の合成糊及び適量の珪素水を加えることによって形成した抗火石入りの釉薬を素焼体の表面に塗布し、1000℃から1500℃で焼成した焼成体に、前記素焼体に接触した前記機能水を接触させて水溶性ケイ素溶液を得る工程と、
を備え、
前記水溶性ケイ素溶液は、オリゴマー六量体を形成するオルトケイ酸を含む、
ことを特徴とする水溶性ケイ素溶液の製造方法。
【請求項3】
前記機能水は、抗火石、火成岩または岩石由来のケイ酸を含む水、若しくは温泉水または湧き水を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性ケイ素溶液
の製造方法。
【請求項4】
8000質量ppm以上のケイ酸イオンを含有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性ケイ素溶液
の製造方法。
【請求項5】
0.8質量%以上0.93質量%以下のケイ素を含有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性ケイ素溶液
の製造方法。
【請求項6】
鉱物または植物由来の非晶質ケイ素を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性ケイ素溶液
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な分野において機能水の有用をさらに向上させた高濃度のケイ素を含有する水溶性ケイ素溶液および水溶性ケイ素溶液の製造方法に関し、さらに詳しくは、水溶性オルトケイ酸を含有する機能水に鉱物または植物由来のケイ素を添加したミセルコロイダル構成の水溶性ケイ素溶液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ケイ酸を含む機能性を持った水(以下、機能水と呼ぶ)は健康美容分野をはじめ、農業畜産、工業分野においてもあらゆる有用性が確認されている。機能水は、抗火石(軽石の一種)を用いた水の改質技術において、有用な特性を有する改質水であって、市場に送り出す試みが現実化する状況である。
【0003】
特許文献1は、溶質としてケイ酸イオンを含み、ケイ素の含有量が水道水のそれより高い、20℃において比重が1を超える性質の、ケイ酸水溶液を開示する。また、特許文献1には、下記のように記載されている。
【0004】
“日本機能水学会の定義によれば、機能水とは「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と定義されている。「水溶液」である以上は、その性質は溶質の種類と量と、水溶液が置かれた温度と圧力によって決まってしまう。まずは、水分子以外の物質の種類と量を評価することが重要である。さらに液体構造にまで踏み込む場合は、溶質の周りの水の配置を調べたりしなければならない。
【0005】
従来、抗火石を用いた水の改質技術において、有用な特性を有する改質水を製造することができるが、このような水を機能水として世に送り出す試みは未だなされていない。
【0006】
これに鑑み、本発明は、抗火石を用いた水を機能水として提供する。”
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記文献1は、機能水の提供に関する文献であるが、抗火石を用いた水を機能水に変換する構成であり、下記のように記載されている。
【0009】
“このように、オルト珪酸水溶液は、オルト珪酸が環状六量体を形成することで、構造的に安定化する。オルト珪酸は六量体では、単量体や二量体などの低量体と比べて、外側表面がより多く負に帯電するため、外側表面に水分子が結合または引き寄せられてオルト珪酸を核とする水の集合体を形成することができる。
【0010】
通常、溶媒中の水分子は、水分子が単体で浮遊している状態と、ある程度寄り集まって集合体を形成している状態とが併存していると考えられている。純水では、水分子同士が水素結合だけで集合体を形成するが、本実施形態に係るオルト珪酸水溶液では、
図2に示すように、オルト珪酸の六量体が化学結合により結合されているとともに、オルト珪酸の六量体の周りに水分子が電気的に結合するため、純水と比べて強固な集合体を形成する。一方で、本実施形態に係るオルト珪酸水溶液の水の形態は、水道水と比べて、集合体の径が小さくなる。液相中での水のネットワーク構造は極めて寿命が短く、絶えず別のネットワーク構造へと変化し、特定の構造が記憶されることはないとされてはいるが、動的行動をとる集合体の径が小さくなる分、浸透性は高くなる。たとえば、水道水の集合体の径は200nm程度であるのに対して、本実施形態に係る水溶液の水の集合体の径は80~100nmとなる。”
これに対して、本発明は、様々な分野において機能水の有用をさらに向上させた高濃度のケイ素を含有す
る水溶性ケイ素溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係る水溶性ケイ素溶液の製造方法は、
水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加して、水溶性ケイ素溶液を製造する工程を備え、
前記水溶性ケイ素溶液は、ナノ化されたケイ素粒子をベースに集団化された多重層型ミセルコロイダル構成を有する、
ことを特徴とする。
また、本発明に係る水溶性ケイ素溶液の製造方法は、
水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加する工程と、
抗火石粉末を70重量%以上使用し、粘土をバインダとして略球形状等の所望の形態にし、1000℃から1500℃で焼結した素焼体に、前記ケイ素を添加した前記機能水を接触させる工程と、
抗火石粉末を97重量%使用し、さらに3重量%の合成糊及び適量の珪素水を加えることによって形成した抗火石入りの釉薬を素焼体の表面に塗布し、1000℃から1500℃で焼成した焼成体に、前記素焼体に接触した前記機能水を接触させて水溶性ケイ素溶液を得る工程と、
を備え、
前記水溶性ケイ素溶液は、オリゴマー六量体を形成するオルトケイ酸を含む、
ことを特徴とする。
【0012】
前記機能水は、抗火石、火成岩または岩石由来のケイ酸を含む水、若しくは温泉水または湧き水を含むとよい。
【0013】
8000質量ppm以上のケイ酸イオンを含有するとよい。
【0014】
0.8質量%以上0.93質量%以下のケイ素を含有するとよい。
【0017】
鉱物または植物由来の非晶質ケイ素を含むとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、形式的にはオルト珪酸の四段目解離により生成し、水溶液中では、例えば、強塩基性であっても、イオンは確認されず、マグネシウム塩の橄欖石のような天然鉱物中に存在し、ネソ珪酸塩と呼ばれる。正四面体構造で、鉄橄欖石結晶中においてSi-0結合距離は164pmであるオルト珪酸イオン(orthosilicate,SiO4-4)を採用することができる。これにより、様々な分野において機能水の有用をさらに向上させた高濃度のケイ素を含有する水溶性ケイ素溶液の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(イ)水の階層構造を説明する図と、(ロ)その要部拡大図で、四面体(正四面体)の構造を示した図
【
図3】(イ)コロイドの表面陰電荷を示す図と、(ロ)集団行動する珪素化合物コロイド粒子の電荷とその働きを示す図
【
図4】オルト珪酸オリゴマー六量体の結晶構造を示した図で、(イ)はゆずのしぼり汁の顕微鏡写真を、(ロ)はトマトの皮の顕微鏡写真を、それぞれ示す
【
図5】ミセルコロイダルのエネルギー進化の過程模様を示した図
【
図8】水溶性ケイ素溶液の製造方法のフローチャート
【
図9】従来のウモ濃縮液(イ)と、本発明の生体マトリックスウモとの比較写真で、本発明の集団化が進捗した多重層型ミセルコロイダル(ロ)が構成されている図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施例を図面に基づき順次説明する。これらは、好ましい一例であり、各実施例の説明、及び/又は、図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0022】
従来の考えでは、「水溶液」は、溶質と水が分子や原子、イオンの状態で均一に混じりあった状態で、しかも、「水溶液」である以上は、その性質は溶質の種類と量と、水溶液が置かれた温度と圧力によって決まってしまう。従って、水分子以外の物質の種類と量を評価することが重要である。さらに液体構造にまで踏み込む場合は、溶質の周りの水の配置を調べる必要がある。
【0023】
その一方で、水は、溶け込む物資の、分子や原子、イオンがコロイド状態で寄り合っており、極めて、複雑かつ動的に混合している混合体であることから、水の集合体は、階層構造体と云える。
【0024】
即ち、水は珪素(ケイ素)の化合物「珪砂塩」が水分子同士以上に強く水素結合したことから、マクロ結合でなり、かつ宇宙の構造体と同じと考えられ、階層構造体として捉えるのが最も理解できる。
【0025】
本発明では、この階層構造体の考えを基にし、課題を解決することを意図する。
【0026】
本発明の考えの基本となる、階層構造体は、隙間を備えた物性である。例えば、
図1(イ)と(ロ)において示した、水の階層構造体(基本構造体)を説明すると、水は、3オングストローム(10Å=1mm)の四面体であって、詳細は、中心に重心酸素Oを、二頂点に水素H(+)を、それぞれに備え、かつ他の二頂点に酸素O(-)を備えた構造体であり、しかも、この分子同士が引き合った水素結合となる。電荷位置を備えた、集団(クラスター)となっている。このクラスターは、21分子の集合体が通常と考えられている。
図1(ロ)中において、温泉中のメタ珪酸と、海水中のオルト珪酸等に関し、説明している。
【0027】
本発明の水溶性ケイ素溶液は、水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出した非晶質ケイ素を添加したものである。機能水は、好ましくは、抗化石、火成岩または岩石由来のケイ酸を含む水、若しくは温泉水または湧き水を含む。水溶性ケイ素溶液は、好ましくは、8000質量ppm以上、9000質量ppmのケイ酸イオンを含有することが望ましい。また、水溶性ケイ素溶液は、好ましくは、0.8質量%以上0.93質量%以下のケイ素を含有する。
【0028】
珪酸塩は鉱物の主成分であり、地殻では酸素に次いで豊富に存在する。さまざまな酸化物やオルト珪酸塩は、例えば、石英、長石、水晶、ザクロ石、オパール、雲母、石綿等の鉱物の形で産出するが、水溶性珪素としては珪素やアルミナに近い成分の天然石を水と接触させ、水に溶出した水溶性珪素を得る方法が一般的である。従って、自然界には石等の鉱石から溶出したごく低濃度のオルト珪酸がある(海水中の平均濃度0.00673g/l)と報告されている)ように、水溶性珪素はオルト珪酸塩である。
【0029】
次に、水の呼吸作業(水のミネラルの離合集散の繰り返し動作「動き」)を説明する。
【0030】
一次粒子は2ナノメートル(2nm)の大きさであり、これらが合体した二次粒子は20-30ナノメートル(20-30nm)の大きさであり、さらにこの二次粒子が合体した三次粒子は100ナノメートル(100nm)の大きさであって、
図1(イ)中に示すように、各粒子は絶えず激しく離合集散を繰り返している。約2nmの一次粒子の中に水の分子、四面体の形をしたものが約240~250個も詰まっている。この四面体は水素を仲立ちとして、ネットワーク構造になっている。二次粒子も三次粒子も同じネットワークであり、水は決して静止しているのではなく、絶えず激しく動き、かつ振動し、その振動波を周りの空間に伝搬している。粒子と粒子の間は隙間だらけであり、この隙間に水以外のものが何時でも自由に入りこめるため、物質が水に溶けるのである。
【0031】
従って、水集団の長波長の振動を、周波数500~4000kHz(波長75~600m、ラジオ波の中・長波域)で捉えている。約6オングストローム弱に平均5.4個の分子を有する水のクラスター振動域に比べ約300倍の波長域である。周波数の対比計算で、集団の大きさは約170~180nm(分子数約1.4~1.5億個)であり、このレベルのものは多く見受けられる。大きなものほど長い波長の、小さなものほど短い波長の固有振動を持っている。水に内在する自律リズムの実在を、パルス分光器アクアアナライザのスペクトル分析で明らかになったように、集合・離散状態で動いている(自律リズム的な動きと、エネルギーのやり取りをする脈動と云える)。
【0032】
また、水の集団の秘めた力とは「集団のリズム力」から発生される二つの力であり、一つは、溶媒としての場の振動作用。溶液の安定性を整える触媒のような、場の調律リズム作用で、溶液の秩序維持のエネルギー源となる。
【0033】
もう一つは、集団の電気双極子のリズミカルな動きに誘発される電気的エネルギー作用であり、溶液の活性化のエネルギー源となる。水が電気を抱くことも、磁気を抱くこともすでに科学の世界で実証されているが、この水の二つの力を、例えば、「水の集団の動的な力」と考えられる。
【0034】
水の力(エネルギー)の判定を別の見地から考えると、例えば、文学的な概念「秩序」と「活性」を基準に据え、物理や化学、そして数学を擁して「科学的に」捉えられる。曲論では、「水の集団の『秩序』の行き着く先は、原則として、固体の『氷』であり、『活性』の行き着く先が、気体の『蒸気』」である。この流れによると、秩序は「寄り集い」の集団を維持しようとする力であり、所謂、拘束力となることと、進むと集団自身の動きが完全に拘束され「氷」となる。この状態では、液体としての活動は停止する。そして、活性は「寄り集い」の構成「水分子」の個性を発揮しようとする力であり、集団から外れ大気に散逸する。さらに進むと、集団自身の求心力が消滅し、沸騰、蒸発する。「気体」状態で胡散霧消し(後述する)、液体としての活動は停止する。
【0035】
すなわち、水の集団も秩序と活性は表裏一体である。もっとも両面活動ができる液体、即ち、「中庸」という包容性の範囲である。秩序と活性の双方がともにその機能を発揮できるような小集団活動が存在することであって、水を「中庸の水」と考える。また、前述の水の階層構造体を、簡易に説明する一例として、水分子は個人、水のクラスターは核家族レベルと考えられ、かつ一次粒子は大家族や村落に相当し、二次粒子は市や町で、三次粒子は都道府県レベル集団に相応する。言い換えれば、人間関係(ヒト社会)の「秩序」と「活性」は、水集団でも同じと考え云いと思料する。
【0036】
図1(イ)と(ロ)に示した、四面体(正四面体)の構造を詳細に説明すると、原子番号6番の炭素は、L殻のS軌道とP軌道を別々に使うのではなく、すべてを合体させた、新しいエネルギー順位が同じ4筋の軌道を作ることで、きれいなバランスの取れた立体系を作り出すことができる。それがsp3混成軌道と呼ばれる正四面体(正三角形4面を組み合わせた、頂点が4つ存在する正三角錐)の構造である。
【0037】
正4面体の中央(重心)に原子の核が存在し、4つの頂点に存する電子と対峠している。4つの電子はそれぞれ同等の位置で、かつ同等の力で他の物質の電子と手をつなぎ共有結合することが出来る。そして、様々な結合体を創り出します。炭素の作る、完全に等方性で、まったく偏りのない、バランスの取れた、シンプルな立体形は、有機化合物が誕生する基本要素と考えられる。
【0038】
この考えは、更に珪素についても同様のことが云える。炭素がL殻で4筋の軌道が合体し、新エネルギー順位のsp3混成軌道を作るように、M殻で同様のsp3混成軌道を作ればよい。それが、原子番号14番の元素(シリコン/Si)です。それぞれの4つの頂点で酸素(O)と共有結合して、正四面体の構造を形成する。この原子特性が、電子工学から医療まで、珪素が重宝がられる要因でもある。珪素は酸素としっかり手を結び、自然界では珪素化合物シリカSiO2を基盤に様々な化合物を構築する。
【0039】
物理学によれば、どの結晶でも構成原子は絶対零度(マイナス273℃)でも振動し、光を放っている。水も同様に、四面体構造中の水素や酸素自身が振動するばかりでなく、四面体構造が振動し、その振動波が空間中に伝搬していく。四面体1個だけでなくネットワーク集団も固有の振動し、この振動が元となり、さらに大きな集団の長い波長の脈動を誘発している。「水の場の振動」と云われている。
【0040】
図2では、水の水素結合と双極子特性について説明する。電気エネルギーの元になるものとは、水分子は、磁石のように振舞うことのできる双極子特性と、4本の腕で他の分子、又は水分子とも結合する水素結合という二重の物理化学的な電気特性を持ち合わせている。水分子を構成する酸素原子が水素原子よりも電子を引き付ける力が強く、水分子の電子分布は酸素原子側に偏ることになる。水分子は、酸素原子側にマイナスの、水素原子側にプラスの電荷を帯びた粒子となっている。すなわち、水分子は棒磁石のようにプラスとマイナスが対になった状態であり、双極子特性と呼ばれる水の大事な電気エネルギーの起点となる(誘電分極の現象の基となる)。
【0041】
水分子のプラスの電荷を帯びた水素原子は、酸素等のマイナスの電荷を帯びた原子や分子であり、軽い電気的な水素結合を作る。遺伝子DNAの二重螺旋構造も水素結合で結ばれている。勿論、水素と酸素から成る水分子は、水分子同士で水素結合する。その結果、いくつかの水分子が集まってできたものが、先にも述べたクラスターと呼ばれる塊である。二つの、振動と電気エネルギーの機能が水に備わっているので、水は集団という「秩序」を構成し、また、集団としての電気的な力「活性」も発揮できる。
【0042】
図3(イ)と(ロ)は、水の集団に大きく影響を及ぼす「界面特性」とコロイドの電気特性「表面陰電荷」を示す図である。
【0043】
ここで、前記胡散霧消の構造を説明すると、土(粘土鉱物)の原料は岩石であり、岩石の骨格を作っているのは珪素である。岩石の風化で出来た珪素化合物である粘度鉱物は陰電荷を持っており、カルシウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、ナトリウム、水素などの陽イオンを電気的に引き付けている。このような鉱物は風化の途中で、その養分を放出する。そして、これらの陽イオンは、植物の根から分泌される根酸(水素イオン)によってたやすく置き換えられ植物に吸収される。粘度鉱物の養分保持の役割となる。珪素がなければ、地表の養分の大部分が水で流され胡散霧消すると考える。さらに、珪素鉱物の電気エネルギー作用を説明すると、珪素鉱物コロイド粒子の表面陰電荷は、健康の基本要素「血液さらさら」の一つの要素である。さらに、その奥に潜む珪素の電気的な特性、正四面体構造を
図1で述べた。珪素の4本の手、それぞれの頂点に酸素が位置する珪素化合物の独特の基本構造において、これらの現象はすべて珪素という元素の最外殻に位置している4つの電子と酸素の最外殻の2つの不対電子(同一方向の回転スピンを有する電子が同一軌道に入っている不安定な状態を云う)との共有結合による。その結合の頂点に位置する酸素は、一つの不安定な見合い用の電子を持つこととなる。この見合い用の電子を介して、電子供与的な結合の輸が集団を広げる。この現象が、
図3(イ)に示す、珪酸塩コロイド粒子の表面陰電荷効果と考えられる。
【0044】
さらに、コロイド粒子の電気化学性について説明する。珪酸塩コロイド粒子の集団としての電気的な動作である「ゼータ電位」に着目する。
図3(ロ)は、水集団の電気二重層の構成範囲をなす根幹であり、また、水溶液の誘電分極の単位的な存在ともなる電気的な集団構成の核といえる。水の集団の科学的な理論解明における、重要な要素である。
【0045】
表面陰電荷のコロイド粒子を、電離プラスイオンが取り囲み、集団で行動を共にする。さらに、その周囲にイオン層の電荷力に影響を受ける層が構成される。集団移動の追随には多少の遅れを生じるが、層の外縁界面部分は、電気的に中立となる。この位置までが集団の仲間である。
図3(ロ)は、寄り集い集団で行動する珪素化合物コロイド粒子の電荷とその働きの特徴的様相を表わしている。ゼータ電位の電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高くなる。逆に、データ電位がゼロ近くになると、粒子は凝縮しやすくなる。そこで、ゼータ電位は分散された粒子の分散安定性の指標として用いられている。
【0046】
図4は、オルト珪酸オリゴマー六量体(環状六量体)の結晶構造を示した図である。粘土鉱物は、環状六量体として、シリカ(SiO2)73~77%、ナトリウム(Na)13~15%、石灰(CaO2)1~2%、苦土(MgO)0.65~0.77%、その他7.3~9%で構成される。外力により特定の振動周期をもつ性質があり、この性質により、水に入れると水分子に影響を与える。例えば、アルミニウムが、それを核としてケイ素が6個以上結合した非晶質のアロフェン、モンモリロナイト、サポナイトの一種の様相を呈する。ただし、アロフェンは、アモルファスまたは結晶化度の低い水和アルミニウム、オルト珪酸塩でできた粘土準鉱物である。モンモリロナイトは、粘土鉱物(オルト珪酸塩鉱物)の一種で、スメクタイトグループに属する。化学組成はNa0.66Si8(Al3.34Mg0.66)O20(OH)4。結晶系は単斜晶系。粘土鉱物の一つである。サポナイトは、粘土鉱物の一種モンモリロナイト族の中でMgに富む種。Na0.66(Si7.34Al0.66)Mg6O20(OH)4の組成であるが、Mgの一部をAlで置換した種をアルミニアンサポナイトであり、この粘土鉱物よりケイ素0.4ppm、マグネシウム0.2ppm溶出するが、アルミニウムは全く溶出しない。アルミニウムは分子量の大きい縮合で、オルト珪酸イオンのSi原子の一部をAl3+イオンで置き換えたアルミオルト珪酸イオンとして存在し、オルト珪酸がアルミニウムとアルミナ8面体を構成し、オルト珪酸は+イオンを捕まえる酸素の手を外へ数多く伸ばしているため酸素と水が結合して、オルト珪酸のみがオルト珪酸のオリゴマー環状六量体として水に溶出すると考えられる。
【0047】
また、海水中のオルト珪酸は不安定であるが、環状型多量体に変異することで、安定が図れる。このように、安定した形が環状六量体であることで、例えば、オリゴマーは強い親水性を有し、かつその内側及び周囲には水分子が結合・付随し、強固なコロイダルを形成することが理解できる。
【0048】
また、
図4中において、(イ)はゆずのしぼり汁の顕微鏡写真を、(ロ)はトマトの皮の顕微鏡写真を、それぞれ示している。
【0049】
図5および
図9(ロ)は、ミセルコロイダルのエネルギー進化の過程模様を示した図である。umo(登録商標)は、一般的に、2nm以下のコロイドがベースで、それらが調律リズムで寄り集った群れであって、400~1000nmミセルコロイド粒子(以下、MCとする。)、さらに中空型MC、三層型MCが形成されることと、集団化が進み、かつ3~6μmの粒子となると多重層型MCが構成される。本発明の水溶性ケイ素溶液は、好ましくは、約2nmのナノ化されたケイ素粒子をベースに集団化された多重層型ミセルコロイダル構成を有する。即ち、周辺環境変化に追従する形態を、確保したものと考えられる。これに対して、
図9(イ)に示す比較例である従来原料のウモ濃縮溶液では、集団化されていない。
【0050】
従って、umo(登録商標)の機能性、例えば、浸透性の向上が図れる。また、機械分野では、切削刃、工具の長寿命化等に有効であり、生活環境では、水の長期保存の可能性と、野菜の保存の長期化等に寄与できる。
【0051】
図6は、造水機1の模式図であり、機能水を製造するための装置である。造水機1は、抗火石塔2と、GO塔3、RC塔4と、蛇口5でなる。
【0052】
造水機1は、天然の抗火石を充填した筒状の容器で、抗火石塔2を通水する際に抗火石と接触する。また、濾過処理された原水(水道水)を抗火石塔2に導入し、抗火石塔2を通水した機能水は、GO塔3へと移送される。GO塔3には、抗火石粉末を用いて製造された球形の素焼体(セラミック焼成体)が充填されている。この素焼体は、たとえば50マイクロメートル以上、550マイクロメートル以下の比較的粗い粒径に調整された抗火石粉末を70重量%以上使用し、粘土をバインダとして略球形状等の所望の形態にし、1000℃から1500℃程度の高温焼結で形成する。
【0053】
GO塔3を通水した機能水は、RC塔4から、循環タンクに戻される。また、造水機1は、RC塔4を備えた構造では、原水の水質やケイ素水溶液の用途(例えば、水の集合体の粒子径がより小さく高い浸透性が必要とされる工業的用途)によっては、RC塔4を通水させてから、造水機1、又は図示しないタンクへと再び戻される。RC塔4は、抗火石の粉末を用いて製造された球形の焼成体が充填されている。この焼成体として、例えば、素焼体の表面に、50マイクロメートル以上550マイクロメートル以下の抗火石粉末を97重量%使用し、さらに3重量%の合成糊及び適量の珪素水を加えることによって形成した抗火石入りの釉薬を塗布し、1000℃から1500℃の焼成温度で焼成したものを使用する。
【0054】
水溶性ケイ素溶液の製造方法は、
図8に示したフローチャートに示される。まず、原水として水道水を調達し(ST-1)、清澄化のためにろ過する(ST-2)。具体的には、塩素、不純物の除去である。続いて、造水機1での処理と、循環処理する(ST-3)。例えば、抗火石層処理で、所定時間通水処理する。その後、処理済みの水に対して、鉱物・植物由来の珪素を添加し(ST-4)、保管時間を置くか、必要によりミキシング処理する(ST-5)。ミキシングは、指定の圧力下、及び/又は、時間の管理下で処理する(ST-6)。この一例の処理を介して、所望する多重層型ミセルコロイダル構成される(ST-7)、その後は、製品の取出しである(ST-8)。その後、水溶性ケイ素溶液が得られる。
【0055】
尚、オルト珪酸水溶液は、前述の如く、オルト珪酸が環状六量体を形成し構造的に安定化する。オルト珪酸は六量体では、単量体や二量体などの低量体と比べて、外側表面がより多く負に帯電し、外側表面に水分子が結合、又は引き寄せられてオルト珪酸を核とする水の集合体を形成する。従って、溶媒中の水分子は、水分子が単体で浮遊している状態と、ある程度寄り集まって集合体を形成する状態が併存する。その為、純水では、水分子同士が水素結合だけで集合体を形成する。オルト珪酸水溶液では、
図4に示すように、オルト珪酸の六量体が化学結合により結合されており、かつオルト珪酸の六量体の周りに水分子が電気的に結合するため、純水と比べて強固な集合体を形成する。一方で、オルト珪酸水溶液の水の形態は、水道水と比べて、集合体の径が小さくなる。液相中での水のネットワーク構造は極めて寿命が短く、絶えず別のネットワーク構造へと変化し、特定の構造が記憶されることはないが、動的行動をとる集合体の径が小さくなる分、浸透性は高くなる。例えば、水道水の集合体の径は200nm程度であるが、水溶液の水の集合体の径は80~100nmとなる。即ち、浸透力を増す(浸透性の向上である)。
【0056】
図4の如く、水分子同士は、水分子の水素原子が他の水分子の酸素原子に引きつけられて水素結合を行っている。しかし、オルト珪酸水溶液では、このオルト珪酸が存在し、水分子の水素原子は、他の水分子の酸素原子よりも、オルト珪酸の酸素原子に強く引きつけられる。故に、オルト珪酸水溶液では、
図2または
図3(イ)と(ロ)に示すように、オルト珪酸と水分子とが強く結合し、直径2nm以下の大きさの一次集合体を構成している。また、オルト珪酸水溶液では、一次集合体が多く存在することで、直径2nm以下の一次集合体同士が互いに集合し、直径0.4~1.2nm程度の二次集合体を形成すると考えられる。
図5は、オルト珪酸水溶液の一次集合体および二次集合体を説明するための図であり、
図5中(A)は、球状の二次集合体を、また、(B)乃至(D)は、ドーナツ状の二次集合体を図示している。そして、
図4の如く、海水中のオルト珪酸は不安定で環状型多量体で安定を図る。最も安定した形が環状六量体である。オリゴマーは強い親水性を有しその内側及び周囲には水分子が結合・付随し、強固なコロイダルを形成している。
【0057】
図7は、珪素水溶液生成システム01を示す図であり、原水タンク02、循環タンク03、また貯留タンク04、珪素水溶液の取出し口05、及び造水機1から構成されている。矢印の如く、ケイ素を添加する。
【0058】
その他(1)として、オルト珪酸水溶液は、環状六量体のオルト珪酸を主に含み、かつ水分子が環状六量体のオルト珪酸の周囲に六角形の構造で集合するという特性を有する。また、本実施形態に係る、オルト珪酸水溶液では、水分子が環状六量体のオルト珪酸の周囲に六角形の構造で集合することで、比重や比誘電率についても、水道水とは異なる特性を有するものと考えられる。
【0059】
また、その他(2)として、オルト珪酸水溶液(水溶性珪素)は、水晶との接触で生成された、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素であって、オルト珪酸水溶液中に、水溶性ケイ素の含有量を高め、かつオルト珪酸が六量体を形成し易くできる。そして、望ましくは、植物由来の水溶性ケイ素を添加したオルト珪酸水溶液を、振動機器に備えた装置に収容し、固有の振動を付与、及び/又は撹拌付与することで、オルト珪酸の六量体の形成に寄与できると考えられる。
【0060】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態、及び、変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1 造水機
2 抗火石塔
3 GО塔
4 RC塔
5 蛇口
01 珪素水溶液生成システム
02 原水タンク
03 循環タンク
04 貯留タンク
05 取出し口
【要約】
【課題】様々な分野において機能水の有用をさらに向上させた高濃度のケイ素を含有する水溶性ケイ素溶液および水溶性ケイ素溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】水溶性ケイ素溶液は、水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加したものである。水溶性ケイ素溶液の製造方法は、水溶性ケイ酸を含む機能水に石英を含む鉱物または植物から抽出したケイ素を添加する工程を備える。
【選択図】
図1