(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230913BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20230913BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230913BHJP
G02F 1/19 20190101ALI20230913BHJP
G02B 26/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 302
G09F9/00 366G
G02F1/1333
G02F1/13 505
G02F1/19
G02B26/02 H
(21)【出願番号】P 2019154326
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
【住所又は居所原語表記】25 Madison Avenue New York,NY,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】永谷 真平
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0241860(US,A1)
【文献】特開平02-103134(JP,A)
【文献】特表2018-534007(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
G02B 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の前面に沿って設けられ、前記表示部の前記前面から出射された画像光を透過する板状体と、
流体が充填された状態と前記流体が排出された状態とに切り替えられる、前記表示部の前記前面と前記板状体との間に形成された間隙部と
を有
し、
前記間隙部に高分子分散型液晶層が設けられた
表示装置。
【請求項2】
前記間隙部では、前記流体を第1流体として、前記第1流体が排出された状態において、前記第1流体よりも屈折率が小さい第2流体が充填される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1流体は液体であり、前記第2流体は気体である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記板状体と前記第1流体との屈折率の差は、前記板状体と前記第2流体との屈折率の差よりも小さい
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2流体は空気である
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記板状体は、前記表示部の前記前面に対向する背面側に凹凸形状を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記凹凸形状は半球状の形状である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示部の前記前面から出射された画像光のうち、前記板状体の少なくとも1つの側端面から出射された画像光を検出する受光部
をさらに含む
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記表示部の異常の有無を判定する表示部異常判定部
をさらに含む
請求項
8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記間隙部の異常の有無を判定する間隙部異常判定部
をさらに含む
請求項
8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記間隙部の液量を判定する液量判定部
をさらに含む
請求項
8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記受光部は複数の色ごとの受光強度を検出する
請求項
8に記載の表示装置。
【請求項13】
前記間隙部に対して前記流体を供給又は排出する給排部
をさらに含む
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記給排部は、
前記間隙部から排出された前記流体を貯留する貯留部と、
前記間隙部と前記貯留部とを接続する給排路と、
前記給排路を通じて前記貯留部から前記間隙部に前記流体を送液し、又は、前記間隙部から前記貯留部に前記流体を送液するポンプと
を有する
請求項
13に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表示装置に関し、特に、画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の画像を表示する表示パネルの画面を鏡に切り替えることができる表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビジョン受像機等の表示パネルは、画面サイズが大型化するにつれて、電源を切った状態での屋内装飾品としての重要性が高まっている。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、画像を表示していない状態での意匠性の向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の表示装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部の前面に沿って設けられ、前記表示部の前記前面から出射された画像光を透過する板状体と、流体が充填された状態と前記流体が排出された状態とに切り替えられる、前記表示部の前記前面と前記板状体との間に形成された間隙部とを有し、前記間隙部に高分子分散型液晶層が設けられた表示装置である。
【0007】
本技術の第1の側面の表示装置においては、表示部の前面と画像光を透過する板状体との間の間隙が、流体が充填された状態と前記流体が排出された状態とに切り替えられる。また、前記表示部の前記前面と前記板状体との間に形成された間隙部に高分子分散型液晶層が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】表示装置の一実施の形態の外観を例示した斜視図である。
【
図2】表示パネルの第1の構成例を示す鉛直断面図である。
【
図3】表示装置の枠体内部の表示パネルの第1の構成例を示した斜視図である
【
図4】表示パネルの第1の構成例を用いた表示装置の分解斜視図である。
【
図5】透過/反射切替部の作用を説明する図である。
【
図6】表示パネルの光学系のみを示した鉛直断面図である。
【
図7】板状体の背面を凹凸面とする場合の第1形態の背面を拡大して示した断面図である。
【
図8】板状体の背面を凹凸面とする場合の第2形態の背面を拡大して示した断面図である。
【
図9】表示パネルの第1の構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【
図10】制御部が行う透過/反射切替部に関する処理の例を説明するフローチャートである。
【
図11】制御部が行う透過/反射切替部に関する処理の例を説明するフローチャートである。
【
図12】表示パネルの第2の構成例を示す鉛直断面図である。
【
図13】表示パネルの第2の構成例を用いた表示装置の分解斜視図である。
【
図14】表示パネルの第2の構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【
図15】制御部が行う表示パネルの第2の構成例における透過/反射切替部に関する処理の例を説明するフローチャートである。
【
図16】制御部が行う表示パネルの第2の構成例における透過/反射切替部に関する処理の例を説明するフローチャートである。
【
図17】表示パネルの第3の構成例を示す鉛直断面図である。
【
図19】表示パネルの第3の構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【
図20】受光部による画像光の検出を利用して制御部が行う判定処理の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
【0010】
<<本技術を適用した表示装置の一実施の形態>>
図1は、本技術を適用した表示装置の一実施の形態の外観を例示した斜視図である。
【0011】
図1の表示装置11は、例えば、テレビジョン放送の映像(画像)を表示するテレビジョン受像機における表示装置であり、表示パネル12、枠体13、及び、貯留タンク14を有する。
【0012】
表示パネル12は、画像を表示する部分であり、周縁部が矩形状の枠体13で囲まれて枠体13に支持される。貯留タンク14は、枠体13の背面に設置される。貯留タンク14については後述する。
【0013】
<表示パネル12の第1の構成例>
図2は、表示パネル12の第1の構成例を示す鉛直断面図である。なお、本明細書において、表示パネル12に関する鉛直断面図とは、表示パネル12の画面に垂直な面で表示パネル12を鉛直方向に切断した断面を示す。また、本明細書において、表示パネル12に表示される画像の光(画像光)が観視者に出射される方向を表示パネル12の前側(前面側)とし、前側と反対の方向を表示パネル12の後側(背面側)とする。
【0014】
また、
図3は、表示装置11の枠体13内部の表示パネル12の第1の構成例を示した斜視図であり、
図4は、表示パネル12の第1の構成例を用いた表示装置11の分解斜視図である。
図3及び
図4を適宜参照して
図2の表示パネル12の構成例について説明する。
【0015】
図2では、表示パネル12の構造が簡易化されて示されており、表示パネル12は、表示部15、透過/反射切替部16、貯留部17、第1給排路18、ポンプ19、第2給排路20を有する。
【0016】
表示部15は、詳細な構成を省略した周知の表示パネルである。例えば、表示部15は、液晶表示パネルであり、液晶層、偏光板、カラーフィルタ、ガラス基板、透明電極、及び、バックライトなどを含む。なお、表示部15は、有機EL表示パネル、プラズマディスプレイパネル、FED(Field Emission Display)パネル等の任意の種類の表示パネルであってよい。
【0017】
透過/反射切替部16は、表示部15よりも前側に設けられる(
図3及び
図4参照)。透過/反射切替部16は、透過状態と反射状態とに切り替えられる。透過状態は、表示部15に表示された画像からの画像光を透過し、かつ、表示パネル12の前側から入射する外光の反射を抑える状態である。反射状態は、表示パネル12の前側から入射する外光の反射を透過状態よりも増加させる状態である。
【0018】
透過/反射切替部16は、板状体21、反射防止層22、及び、間隙部23を有する(
図3及び
図4参照)。
【0019】
板状体21は、表示部15の前面15Fに沿って約1mm乃至約2mm等の厚さの間隙部23が形成されるように設けられる。板状体21は、表示部15の前面15Fよりもわずかに大きい矩形状に形成され、かつ、約1mm乃至約2mm等の厚さを有する。また、板状体21は、例えばアクリル樹脂により成形され、少なくとも可視光を透過する特性を有する。
【0020】
板状体21の周縁部は、
図1及び
図4に示された枠体13の内周部に固定され、枠体13を介して表示部15に一体的に固定される。
【0021】
反射防止層22は、板状体21の前面21Fの全体に貼着された例えば反射防止フィルムであり、反射防止層22の前面22Fから入射した光の反射を抑止する。反射防止フィルムとしては例えば大日本印刷社製の商品名「DSG-17V1」を採用してもよい。
【0022】
間隙部23は、表示部15の前面15Fと板状体21の背面21Bとの間に設けられる。すなわち、間隙部23は、表示部15の前面15Fと板状体21の背面21Bとの間の間隙であって、周縁部が枠体13で囲まれた空間である。
【0023】
間隙部23には、少なくとも可視光に対して透明の液体40と気体41とが切り替えて充填される。液体40は、屈折率が少なくとも気体41の屈折率よりも高く、かつ、板状体21の屈折率に対して気体41よりも屈折率の差が少ない高屈折率の液体である。例えば、屈折率が約1.5のアクリル樹脂(屈折率が約1.5)により板状体21が成形されている場合、屈折率が約1.5の流動パラフィン(ミネラルオイル)を液体40として用いてもよい。
【0024】
気体41は、例えば、屈折率が約1.0の空気である。ただし、気体41は、空気以外の気体であっても板状体21の屈折率に対して液体40よりも屈折率の差が大きい気体であればよい。また、板状体21の屈折率に対して液体40よりも屈折率の差が大きい液体を気体41の代わりに用いてもよい。すなわち、板状体21と液体40との屈折率の差が、板状体21と気体41との屈折率の差よりも小さくなる関係となる気体41として、又は気体41の代わりとして、空気以外の流体を用いてもよい。さらに、間隙部23に気体41を充填する代わりに間隙部23を真空としてもよい。
【0025】
すなわち、間隙部23は、屈折率の異なる2種類の流体(低屈折率の流体と高屈折率の流体)が切り替えて充填されるようにしてもよいし、屈折率が真空と異なる1種類の流体が間隙部23に充填される場合とその流体が間隙部23から排出されて真空となる場合とで切り替えられるようにしてもよい。
【0026】
また、表示パネル12は、間隙部23に充填する液体40と気体41とを切り替えるための給排部として貯留部17、第1給排路18、ポンプ19、及び、第2給排路20を有する。
【0027】
貯留部17は、
図1、
図3、及び、
図4に示された貯留タンク14内の空間部であり、間隙部23に充填する液体40と気体41とを貯留する。なお、貯留部17の容量は、間隙部23の容量よりも大きい。
【0028】
第1給排路18、ポンプ19、及び、第2給排路20は、間隙部23と貯留部17との間に設けられる。
【0029】
第1給排路18は、
図3及び
図4に示すチューブやパイプ等の配管部材25によって形成された管路である。第1給排路18の一端は、間隙部23の下端付近に連通され、第1給排路18の他端は、貯留部17の下端付近に連通される。第1給排路18は、貯留部17から間隙部23に液体40を供給する管路として、また、間隙部23から貯留部17に液体40を排出する管路として用いられる。
【0030】
ポンプ19は、
図3及び
図4のように例えば貯留タンク14の下端部であって、第1給排路18に設けられる。ポンプ19は、送液方向を、貯留部17から間隙部23への方向と、間隙部23から貯留部17への方向との双方向に切り替え可能な双方向ポンプである。
【0031】
第2給排路20は、
図3及び
図4のチューブやパイプ等の配管部材26によって形成された管路である。第2給排路20の一端は、間隙部23の上端付近に連通され、第2給排路20の他端は、貯留部17の上端付近に連通される。第2給排路20は、貯留部17から間隙部23に気体41を供給する管路として、また、間隙部23から貯留部17に気体41を排出する管路として用いられる。
【0032】
<透過/反射切替部16の作用>
続いて、透過/反射切替部16の作用について
図5を用いて説明する。
図5のAは、表示パネル12において、間隙部23に液体40が充填されて透過/反射切替部16が透過状態に設定されている様子を表し、
図5のBは、間隙部23に気体41が充填されて透過/反射切替部16が反射状態に設定されている様子を表す。
【0033】
観視者が表示パネル12に表示された映像(画像)を観視する場合、透過/反射切替部16は
図5のAの透過状態に設定される。すなわち、ポンプ19が作動して第1給排路18により貯留部17から間隙部23に液体40が供給される。このとき、液体40は、間隙部23の下側から貯留されて、液面が徐々に上昇する。また、貯留部17から間隙部23への液体40の移動により間隙部23と貯留部17とに気体41の気圧差が生じ、間隙部23内の気体41が、第2給排路20を通じて貯留部17に排出される。そして、
図5のAのように、間隙部23の略全体に液体40が貯留されると、ポンプ19が停止する。
【0034】
なお、表示部15の画像が表示される画面の上端をある程度超える高さまで間隙部23に液体40が貯留されれば、間隙部23の上端まで液体40が完全に貯留された状態との効果上の違いはない。以下において、間隙部23に液体40が充填されたという場合には、間隙部23の上端まで液体40が完全に貯留された状態と効果上等価となる状態まで間隙部23に液体40が貯留された場合も含む。
【0035】
透過/反射切替部16が
図5のAの透過状態に設定された場合、表示パネル12に表示された画像からの画像光は、表示部15の前面15Fから出射された後、間隙部23、板状体21、及び、反射防止層22を順に透過して反射防止層22の前面22F(表示パネル12の前面)から前方に向けて出射される。
【0036】
ここで、液体40の屈折率は、板状体21の屈折率、及び、表示部15の前面15Fを形成する光学材料の屈折率に近いため、表示部15と間隙部23との境界面M4(表示部15の前面15F)、及び、板状体21と間隙部23との境界面M3(板状体21の背面21B)での反射による画像光の減衰は少ない。また、反射防止層22の性質により、反射防止層22と反射防止層22の前面側の外気との境界面M1(反射防止層22の前面22F、すなわち、表示パネル12の前面)、及び、板状体21と反射防止層22との境界面M2(板状体21の前面21F、かつ、反射防止層22の背面22B)での反射による画像光の減衰も少ない。
【0037】
したがって、観視者が表示部15に表示された画像を観視する際に、表示部15の前面15F側に、透過/反射切替部16が設けられたことによる影響は略生じない。
【0038】
また、表示パネル12の前面側から表示パネル12に入射した外光は、反射防止層22、板状体21、間隙部23を順に透過して表示部15に入射する。このとき、境界面M1乃至M4のいずれにおいても外光の反射は少なく、表示パネル12に入射した外光は略反射しない。
【0039】
したがって、観視者が表示部15に表示された画像を観視する際において、外光の影響は略生じない。
【0040】
このように透過/反射切替部16が透過状態に設定されることにより、表示パネル12は、観視者が表示部15の画像を観視する際に適した状態となる。以下において、透過/反射切替部16が透過状態に設定されたときの表示パネル12の状態を画像表示状態という。
【0041】
一方、表示パネル12を使用しない場合、例えば、テレビジョン受像機の電源をオフ(視聴停止)するように、ユーザ操作が行われた場合、透過/反射切替部16は
図5のBの反射状態に設定される。すなわち、ポンプ19が作動して第1給排路18により間隙部23から貯留部17に液体40が排出される。このとき、間隙部23の液体40の液面が徐々に下降する。また、間隙部23から貯留部17への液体40の移動により、貯留部17の気体41が、第2給排路20を通じて貯留部17から間隙部23に供給される。そして、
図5のBのように、間隙部23の略全体に気体41が充填されると、すなわち、間隙部23の略全体から液体40が排出されると、ポンプ19が停止する。
【0042】
なお、間隙部23の下端に液体40がわずかに残る程度であれば、間隙部23の下端まで液体40が完全に排出された状態との効果上の違いはない。以下において、間隙部23に気体41が充填されたという場合には、間隙部23の下端まで液体40が完全に排出された状態と効果上略等価となる状態も含む。
【0043】
透過/反射切替部16が
図5のBの反射状態に設定された場合、表示パネル12の前面側から表示パネル12に入射した外光の一部は、反射防止層22、板状体21、間隙部23を順に透過して表示部15に入射する。
【0044】
ここで、気体41の屈折率と液体40の屈折率とを比較した場合、気体41の屈折率の方が、板状体21の屈折率、及び、表示部15の前面15Fを形成する光学材料の屈折率との差が大きい。そのため、透過/反射切替部16が透過状態のときと比較して反射状態では、境界面M3及び境界面M4における外光の反射が増加する。
【0045】
境界面M3で反射した外光は、板状体21及び反射防止層22を透過し、かつ、境界面M2及び境界面M1での反射による減衰を略生じることなく、反射防止層22の前面22Fから出射される。
【0046】
また、境界面M4で反射した外光は、間隙部23、板状体21、及び、反射防止層22を透過して、反射防止層22の前面22Fから出射される。境界面M4で反射した外光は、境界面M3での反射による減衰を生じるが、境界面M2及び境界面M1での反射による減衰を略生じない。
【0047】
したがって、表示パネル12に入射した外光の一部が境界面M3及び境界面M4で反射して外光の反射光として表示パネル12の前面(反射防止層22の前面22F)から出射される。表示パネル12の前面から出射される外光の反射光は、主として境界面M3及び境界面M4で反射した反射光が混在した光であり、表示パネル12の画面が外光の色みを帯びる。室内において通常は白色光が外光となるので、表示パネル12の画面が白みを帯びる。したがって、屋内の壁が白色などの明るい色であれば特に表示パネル12を壁の色に溶け込ませることができる。なお、表示パネル12を使用しない場合であっても、透過/反射切替部16を透過状態に設定できるようにし、使用者の要求に応じた意匠性を選択できるようにしてもよい。
【0048】
このように透過/反射切替部16が反射状態に設定されることにより、表示パネル12は、表示パネル12を使用しないときに高い意匠性を得る状態となる。以下において、透過/反射切替部16が反射状態に設定されたときの表示パネル12の状態を休止状態という。
【0049】
<板状体21の構成例>
次に、透過/反射切替部16における板状体21の背面21Bについて複数の形態について説明する。
【0050】
図6は、表示パネル12の光学系のみを示した鉛直断面図である。
【0051】
図6において、板状体21の背面21Bは、平坦面としてもよいし、凹凸形状を有する凹凸面としてもよい。
【0052】
図7は、板状体21の背面21Bを凹凸面とする場合の第1形態の背面21Bを拡大して示した断面図である。
図7において、板状体21の背面21Bは、ランダムな形状と大きさの微細な凹凸を有する。間隙部23に気体41が充填されて透過/反射切替部16が反射状態に設定されている場合において、表示パネル12に入射した外光が、板状体21内を進行して背面21B(境界面M3)に入射すると、微細な凹凸を有する背面21Bによって外光の一部が反射する。この反射の際に、外光は、背面21Bの様々な方向に向く微細な面によって、様々な方向に散乱(拡散)する。
【0053】
したがって、背面21Bを平坦面とした場合と比べると、透過/反射切替部16が反射状態に設定されているときの表示パネル12の画面がより散乱性が高まり白色化される。
【0054】
一方、間隙部23に液体40が充填されて透過/反射切替部16が透過状態に設定されている場合においては、板状体21と液体40との屈折率の差異が小さいために板状体21の背面21Bでの画像光及び外光の反射は略生じず、背面21Bに凹凸形状を形成したことによる影響は略生じない。
【0055】
図8は、板状体21の背面21Bを凹凸面とする場合の第2形態の背面21Bを拡大して示した断面図である。
図8において、板状体21の背面21Bは、略半球状の突部21Dが多数配列された形状を有する。すなわち、背面21Bの凹凸形状の各々が半球状に形成される。間隙部23に気体41が充填されて透過/反射切替部16が透過状態に設定されている場合において、表示パネル12に入射した外光が、板状体21内を進行して背面21B(境界面M3)に入射すると、多数の半球状の突部21Dを有する背面21Bによって外光の一部が反射する。この反射の際に、外光は、背面21Bの様々な方向に向く面によって、様々な方向に散乱(拡散)する。また、同一の突部21D内における複数回の反射により、外光の入射方向への回帰反射が増加する。
【0056】
したがって、背面21Bを平坦面とした場合と比べると、透過/反射切替部16を反射状態に設定されているときの表示パネル12の画面の散乱反射率が高まりより白色化されるとともに画面も明るくなる。
【0057】
一方、間隙部23に液体40が充填されて透過/反射切替部16が透過状態に設定されている場合においては、板状体21と液体40との屈折率の差異が小さいために板状体21の背面21Bでの画像光及び外光の反射は略生じず、背面21Bを凹凸面にしたことによる影響は略生じない。
【0058】
<透過/反射切替部16の制御>
図9は、表示パネル12の第1の構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【0059】
図9において、テレビジョン受像機51は、表示パネル12、チューナ52、復調部53、分離部54、音声信号処理部55、スピーカ56、映像信号処理部57、制御部58、操作入力部59、及び、ポンプ駆動部60を有する。
【0060】
チューナ52は、不図示のアンテナまたはケーブル等を介してテレビ放送の映像データと音声データとを含む多重化データを取得し、復調部53に供給する。
【0061】
復調部53は、チューナ52からの多重化データを復調し、分離部54に供給する。
【0062】
分離部54は、復調部53からの復調された多重化データを映像データと音声データとに分離し、音声データを音声信号処理部55に供給し、映像データを映像信号処理部57に供給する。
【0063】
音声信号処理部55は、分離部54からの音声データを復号し、復号した音声信号をスピーカ56に供給する。
【0064】
スピーカ56は、音声信号処理部55からの音声信号を音波として出力する。
【0065】
映像信号処理部57は、分離部54からの映像データを復号し、復号した映像信号を表示パネル12の表示部15に供給する。表示部15は、映像信号処理部57からの映像信号を映像(画像)として表示する。
【0066】
制御部58は、各部を統括的に制御する。
【0067】
操作入力部59は、不図示のリモートコマンダ等からのユーザ操作を取得し、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部58に供給する。
【0068】
ポンプ駆動部60は、
図2に示したポンプ19の作動の開始や停止、送液方向の切替等の制御部58からの指示に基づいてポンプ19を駆動する。
【0069】
また、
図9には、表示パネル12の構成部として、
図2等に示した表示部15と、貯留部17と、透過/反射切替部16の板状体21、反射防止層22、及び、間隙部23と、第1給排路18と、ポンプ19と、第2給排路20とが示されているが、説明は省略する。
【0070】
<透過/反射切替部16の制御に関する処理手順>
図10は、制御部58が行う透過/反射切替部16に関する処理の例を説明するフローチャートであり、透過/反射切替部16を透過状態に設定して表示パネル12を画像表示状態に設定する際の処理の例を示す。
【0071】
ステップS11では、制御部58は、操作入力部59からの操作信号に基づいて、テレビジョン受像機51の電源をオンにするユーザ操作が行われたか否かを判定する。
【0072】
ステップS11において、テレビジョン受像機51の電源をオンにするユーザ操作が行われていないと判定された場合、処理は、ステップS11を繰り返す。
【0073】
一方、ステップS11において、テレビジョン受像機51の電源をオンにするユーザ操作が行われたと判定された場合、処理は、ステップS11からステップS12に進む。
【0074】
ステップS12では、制御部58は、ポンプ駆動部60に対してポンプ19の送液方向を貯留部17から間隙部23への方向としてポンプ19の作動の開始を指示する。これにより、ポンプ19が作動し、間隙部23への液体40の供給が開始される。処理は、ステップS12からステップS13に進む。
【0075】
ステップS13では、制御部58は、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部58は、ポンプ19の作動を開始してからの経過時間が事前に決められた判定時間に達したか否かを判定する。判定時間は、間隙部23に気体41が充填された状態から間隙部23に液体40が充填された状態となるまでに要する時間に設定される。
【0076】
ステップS13において、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS13を繰り返す。
【0077】
一方、ステップS13において、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過したと判定された場合、処理は、ステップS13からステップS14に進む。
【0078】
ステップS14では、制御部58は、ポンプ駆動部60に対してポンプ19の作動の停止を指示する。
【0079】
以上のステップS11乃至ステップS14の処理により、テレビ放送を視聴するために観視者がテレビジョン受像機51の電源をオンすると、間隙部23に液体40が貯留されて透過/反射切替部16が透過状態に設定され、表示パネル12が画像表示状態に設定される。
【0080】
図11は、制御部58が行う透過/反射切替部16に関する処理の例を説明するフローチャートであり、透過/反射切替部16を反射状態に設定して表示パネル12を休止状態に設定する際の処理の例を示す。
【0081】
ステップS21では、制御部58は、操作入力部59からの操作信号に基づいて、テレビジョン受像機51の電源をオフにするユーザ操作が行われたか否かを判定する。
【0082】
ステップS21において、テレビジョン受像機51の電源をオフにするユーザ操作が行われていないと判定された場合、処理は、ステップS21を繰り返す。
【0083】
一方、ステップS21において、テレビジョン受像機51の電源をオフにするユーザ操作が行われたと判定された場合、処理は、ステップS21からステップS22に進む。
【0084】
ステップS22では、制御部58は、ポンプ駆動部60に対してポンプ19の送液方向を間隙部23から貯留部17への方向としてポンプ19の作動の開始を指示する。これにより、ポンプ19が作動し、間隙部23からの液体40の排出、すなわち、間隙部23への気体41の供給が開始される。処理は、ステップS22からステップS23に進む。
【0085】
ステップS23では、制御部58は、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部58は、ポンプ19の作動を開始してからの経過時間が事前に決められた判定時間に達したか否かを判定する。判定時間は、間隙部23に液体40が充填された状態から間隙部23に気体41が充填された状態となるまでに要する時間である。
【0086】
ステップS23において、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS23を繰り返す。
【0087】
一方、ステップS23において、ポンプ19の作動を開始してから一定時間が経過したと判定された場合、処理は、ステップS23からステップS24に進む。
【0088】
ステップS24では、制御部58は、ポンプ駆動部60に対してポンプ19の作動の停止を指示する。
【0089】
以上のステップS21乃至ステップS24の処理により、テレビ放送の視聴を停止するために観視者がテレビジョン受像機51の電源をオフにする操作を行うと、間隙部23から液体40が排出され、間隙部23に気体41が充填されて透過/反射切替部16が反射状態に設定され、表示パネル12が休止状態に設定される。
【0090】
なお、以上の
図10及び
図11で説明した制御部58の処理は、透過/反射切替部16の透過状態又は反射状態への切替えをテレビジョン受像機51の電源操作に連動させる場合の処理であるが、透過/反射切替部16の透過状態又は反射状態への設定は、テレビジョン受像機51の電源操作とは関係なく行うようにしてもよい。
【0091】
以上の表示パネル12の第1の構成例によれば、構造が簡単な透過/反射切替部16の透過状態と反射状態との切り替えによって表示パネル12の反射特性を切り替えることができる。そして、表示パネル12の消灯時等の画像を表示しない状態において、透過/反射切替部16を反射状態とすることで、表示パネル12の反射特性を白色に近い特性あるいは略白色とすることができ、反射が大きいガラス戸内に表示パネルが仕舞われた様な状態とすることができる。そのため、表示装置が設置された部屋の中で目立つ事なく表示装置をインテリアに馴染ませる事ができ、使用者の要求に応じた意匠性の向上を図ることができる。また、表示パネル12に画像を表示する状態においては、透過/反射切替部16を透過状態とすることで画像の劣化が生じないようにすることができる。
【0092】
<<表示パネル12の第2の構成例>>
図12は、表示パネル12の第2の構成例を示す鉛直断面図であり、
図13は、表示パネル12の第2の構成例を用いた表示装置11の分解斜視図である。
【0093】
なお、図中、
図2及び
図4に示した表示パネル12と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
【0094】
図12及び
図13の表示パネル12は、表示部15、貯留部17、第1給排路18、ポンプ19、第2給排路20、及び、透過/反射切替部71を有する。したがって、
図12及び
図13の表示パネル12は、表示部15、貯留部17、第1給排路18、ポンプ19、及び、第2給排路20を有する点で、
図2及び
図4の場合と共通する。但し、
図12及び
図13の表示パネル12は、
図2及び
図4の透過/反射切替部16の代わりに、透過/反射切替部71が設けられている点で、
図2及び
図4の場合と相違する。
【0095】
図12及び
図13の透過/反射切替部71は、板状体21、反射防止層22、間隙部23、及び、高分子分散型液晶板72(高分子分散型液晶層)を有する。したがって、
図12及び
図13の透過/反射切替部71は、板状体21、反射防止層22、及び、間隙部23を有する点で、
図2及び
図4の透過/反射切替部16と共通する。但し、
図12及び
図13の透過/反射切替部
71は、高分子分散型液晶板72が新たに設けられている点で、
図2及び
図4の透過/反射切替部16と相違する。
【0096】
高分子分散型液晶板72は、平板状に形成されており、表示部15の前面15F及び板状体21の背面21Bに沿って、表示部15の前面15F及び板状体21の背面21Bの両面との間に間隙が形成されるように、間隙部23の中に設けられる。
【0097】
高分子分散型液晶板72は、一対の透明電極フィルムの間に高分子分散型液晶が封入された構造を有する。そして、高分子分散型液晶板72は、高分子分散型液晶に駆動電圧が印加されない状態では、高分子分散型液晶板72に入射した光を散乱する。一方、高分子分散型液晶板72は、高分子分散型液晶に駆動電圧が印加された状態では、高分子分散型液晶板72に入射した光をそのまま透過する。
【0098】
続いて、透過/反射切替部71の作用について説明する。
【0099】
透過/反射切替部71を透過状態に設定して表示パネル12を画像表示状態に設定する場合には、
図2の透過/反射切替部16と同様に、間隙部23に液体40が充填される。そして、高分子分散型液晶板72に駆動電圧が印加されて高分子分散型液晶板72が光を透過する状態(透過状態)に設定される。これにより、透過/反射切替部71は高分子分散型液晶板72が設けられていない
図2の透過/反射切替部16と同様に、入射した光が略透過する透過状態となる。すなわち、表示部15から出射された画像光は高分子分散型液晶板72が設けられたことによる影響を受けることなく間隙部23を透過し、さらに、
図2の透過/反射切替部16の場合と同様に板状体21及び反射防止層22を略反射することなく透過して表示パネル12の前面から出射される。
【0100】
一方、透過/反射切替部71を反射状態に設定して表示パネル12を休止状態に設定する場合には、
図2の透過/反射切替部16と同様に、間隙部23に気体41が充填される。そして、高分子分散型液晶板72に駆動電圧が印加されず、高分子分散型液晶板72が光を散乱させる状態(散乱状態)に設定される。これにより、透過/反射切替部71は入射した光の多くを散乱反射する反射状態となる。すなわち、表示パネル12に入射した外光のうち、間隙部23に進入して高分子分散型液晶板72に入射した外光は、高分子分散型液晶板72において散乱する。そして、散乱した外光のうち、表示パネル12の前面側に向かう光が表示パネル12の前面から出射される。これによって、高分子分散型液晶板72を設けない
図2の透過/反射切替部16と比較して、休止状態での表示パネル12の画面が、明るく、かつ、外光色(主として白色)に近いものとなる。
【0101】
<透過/反射切替部71の制御>
図14は、
図12の表示パネル12の第2構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【0102】
なお、図中、
図9のテレビジョン受像機51及び
図12の表示パネル12と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
【0103】
図14のテレビジョン受像機81は、表示パネル12、チューナ52、復調部53、分離部54、音声信号処理部55、スピーカ56、映像信号処理部57、制御部58、操作入力部59、ポンプ駆動部60、及び、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)駆動部82を有する。したがって、
図14のテレビジョン受像機81は、表示パネル12、チューナ52、復調部53、分離部54、音声信号処理部55、スピーカ56、映像信号処理部57、制御部58、操作入力部59、及び、ポンプ駆動部60を有する点で、
図9の場合と共通する。ただし、
図14のテレビジョン受像機81は、PDLC駆動部82が新たに設けられている点で、
図9の場合と相違する。
【0104】
PDLC駆動部82は、制御部58からの指示に基づいて、高分子分散型液晶板72に駆動電圧を供給し、又は、高分子分散型液晶板72に駆動電圧の供給を停止する。
【0105】
<透過/反射切替部71の制御に関する処理手順>
図15は、制御部58が行う透過/反射切替部71に関する処理の例を説明するフローチャートであり、表示パネル12の透過/反射切替部71を透過状態に設定して表示パネル12を画像表示状態に設定する際の処理の例を示す。
【0106】
なお、図中、ステップS31乃至ステップS34は、
図10のフローチャートのステップS11乃至ステップS14と同一の処理であるので、その説明は省略する。
【0107】
ステップS35では、制御部58は、PDLC駆動部82に対して高分子分散型液晶板72への駆動電圧の供給を指示する。これにより、PDLC駆動部82は、高分子分散型液晶板72に駆動電圧を供給して高分子分散型液晶板72を透過状態に設定する。
【0108】
ステップS31乃至ステップS35の処理により、透過/反射切替部71の間隙部23に液体40が充填され、かつ、高分子分散型液晶板72が透過状態となる。そして、これによって、透過/反射切替部71が透過状態に設定されて、表示パネル12が画像表示状態に設定される。
【0109】
図16は、制御部58が行う透過/反射切替部71に関する処理の例を説明するフローチャートであり、表示パネル12の透過/反射切替部71を反射状態に設定して表示パネル12を休止状態に設定する際の処理の例を示す。
【0110】
なお、図中、ステップS41乃至ステップS44は、
図11のフローチャートのステップS21乃至ステップS24と同一の処理であるので、その説明を省略する。
【0111】
ステップS45では、制御部58は、PDLC駆動部82に対して高分子分散型液晶板72への駆動電圧の供給の停止を指示する。これにより、PDLC駆動部82は、高分子分散型液晶板72への駆動電圧の供給を停止し、高分子分散型液晶板72を散乱状態に設定する。
【0112】
ステップS41乃至ステップS45の処理により、透過/反射切替部71の間隙部23に気体41が充填され、かつ、高分子分散型液晶板72が散乱状態となる。そして、これによって、透過/反射切替部71が反射状態に設定されて、表示パネル12が休止状態に設定される。
【0113】
なお、表示パネル12の第2の構成例においては、間隙部23は常に気体41で充填された状態、又は、常に液体40で充填された状態とし、高分子分散型液晶板72を透過状態と散乱状態とで切り替えることで、透過/反射切替部71を透過状態と反射状態とで切り替えるようにしてもよい。また、高分子分散型液晶板72の前面側及び背面側のうちのいずれか一方は間隙部23の空間が存在していなくてもよい。
【0114】
以上の表示パネル12の第2の構成例によれば、構造が簡単な透過/反射切替部71の透過状態と反射状態との切り替えによって表示パネル12の反射特性を切り替えることができる。そして、表示パネル12の消灯時等の画像を表示しない状態において、透過/反射切替部71を反射状態とすることで、表示パネル12の反射特性を白色に近い特性あるいは略白色とすることができ、反射が大きいガラス戸内に表示パネルが仕舞われた様な状態とすることができる。そのため、表示装置が設置された部屋の中で目立つ事なく表示装置をインテリアに馴染ませる事ができ、使用者の要求に応じた意匠性の向上を図ることができる。また、表示パネル12に画像を表示する状態においては、透過/反射切替部71を透過状態とすることで画像の劣化が生じないようにすることができる。
【0115】
<<表示パネル12の第3の構成例>>
図17は、表示パネル12の第3の構成例を示す鉛直断面図である。なお、図中、
図2の表示パネル12と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
【0116】
図17の表示パネル12は、透過/反射切替部16の板状体21の下側の端面(下側端面21L)に沿って受光部91が新たに設けられている点のみで
図2の場合と相違する。
【0117】
図18は、
図17におけるA-A矢視図であり、板状体21の前面21Fを正面から示した図である。
図17及び
図18において、受光部91は、板状体21の下側端面21Lに沿って設けられる。受光部91は、複数の受光素子D1乃至DN(Nは正の整数であり、受光素子の個数を表す)を有し、それらの受光素子D1乃至DNが板状体21の下側端面21Lに沿った方向に一列に配列される。なお、受光部91として、一次元イメージセンサを用いてもよい。また、受光素子D1乃至DNは一つであってもよい。さらに、受光部91は、板状体21の下側端面21L以外の側端面に設けてもよいし、複数の側端面に設けてもよい。
【0118】
また、受光部91の受光素子D1乃至DNは上側(板状体21の下側端面21Lに対向する側)を受光面として配置され、板状体21の下側端面21Lから出射された光を受光する。
【0119】
さらに、
図18における画面範囲92は、表示部15において画像が表示される画面の範囲を示す。受光部91の受光素子D1乃至DNは、その画面範囲92の横方向の範囲内において例えば等間隔に配置される。なお、
図18中において、受光部91の左側から右側に向かって受光素子D1、D2、・・・、DNの順に配置されているものとする。
【0120】
続いて、受光部91の作用について説明する。
【0121】
透過/反射切替部16を反射状態とし、表示パネル12を画像表示状態に設定する。このとき事前に決められたパターンのテスト画像が表示部15に表示されるものとする。
図17に示すテスト画像の画像光Lが間隙部23から板状体21に入射した際に、一部の画像光Lが板状体21内で反射を繰り返す。そして、板状体21内で反射を繰り返した画像光Lが板状体21の下側端面21Lに到達し、下側端面21Lから出射される。下側端面21Lから出射された画像光Lは受光部91の各受光素子D1乃至DNにより受光され、画像光Lの受光強度が検出される。各受光素子D1乃至DNにより検出された受光強度は受光部91から出力される。後述のように、受光部91からの各受光素子D1乃至DNの受光強度に基づいて、間隙部23や表示部15における異常の有無の判定が行われる。
【0122】
<判定処理>
図19は、
図17の表示パネル12の第3の構成例を用いたテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【0123】
なお、図中、
図9のテレビジョン受像機51と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
【0124】
また、
図19においては、
図9におけるチューナ52、復調部53,分離部54、音声信号処理部55、及び、スピーカ56は省略されている。
【0125】
図19のテレビジョン受像機101は、表示パネル12、映像信号処理部57、制御部58、操作入力部59、ポンプ駆動部60、センサ駆動部102、及び、データ記憶部110を有する。したがって、
図19のテレビジョン受像機101は、表示パネル12、映像信号処理部57、制御部58、操作入力部59、及び、ポンプ駆動部60を有する点で、
図9の場合と共通する。ただし、
図19のテレビジョン受像機101は、センサ駆動部102、及び、データ記憶部110が新たに設けられている点で
図9の場合と相違する。
【0126】
さらに、
図19の制御部58は、テスト画像生成部103、データ取得部104、判定値算出部105、判定部106、及び、後処理部107を内包する。したがって、
図19の制御部58は、テスト画像生成部103、データ取得部104、判定値算出部105、判定部106、及び、後処理部107が新たに設けられている点で、
図9の場合と相違する。
【0127】
図19において、センサ駆動部102は、データ取得部104からの指示に基づいて受光部91を作動させ、各受光素子D1乃至DNで検出された受光強度を取得してデータ取得部104に供給する。
【0128】
テスト画像生成部103は、後述のテスト画像を生成して、映像信号処理部57に供給する。映像信号処理部57は、テレビ放送の映像に代えてテスト画像生成部103からのテスト画像を表示部15に表示させる。
【0129】
データ取得部104は、受光部91の各受光素子D1乃至DNで検出された受光強度をセンサ駆動部102から取得し、判定値算出部105に供給する。
【0130】
判定値算出部105は、データ取得部104からの受光強度に基づいて、判定部106における判定(検出)に用いる判定値を算出し、判定部106に供給する。
【0131】
判定部106は、判定値算出部105からの判定値に基づいて、間隙部23における液体40の貯留量(液量)の判定、間隙部23における液体40(気体41)の充填異常の有無の判定、表示部15における表示の異常(輝度、色の劣化等)の有無の判定などを行う。そして、判定部106は、判定した結果を後処理部107に供給する。
【0132】
後処理部107は、判定部106からの判定結果に応じた処理を実施する。例えば、判定結果を表す画像を生成して、映像信号処理部57に供給する。映像信号処理部57では、後処理部107からの画像をテレビ放送の映像に代えて、又は、重畳して表示部15に表示させる。
【0133】
データ記憶部110は、判定部106において参照する実測値等の参照値を記憶している。
【0134】
図20は、受光部91による画像光の受光強度の検出を利用して
図19の制御部58が行う判定処理の例を説明するフローチャートである。
【0135】
ステップS51では、テスト画像生成部103(
図19参照)は、表示部15の画面全体を例えば白色で塗りつぶす画像をテスト画像として生成し、映像信号処理部57に供給する。これにより、表示部15にテスト画像が表示される。なお、テスト画像は白色以外であってもよい。処理は、ステップS51からステップS52に進む。
【0136】
ステップS52では、データ取得部104は、表示部15にテスト画像が表示された際に、センサ駆動部102から受光部91の各受光素子D1乃至DNで検出された受光強度を取得し、判定値算出部105に供給する。処理は、ステップS52からステップS53に進む。
【0137】
ステップS53では、判定値算出部105は、ステップS52でデータ取得部104から供給された受光素子D1乃至DNの各々の受光強度を全て加算した総受光強度を判定値として算出し、判定部106に供給する。処理は、ステップS53からステップS54に進む。なお、以下において、受光素子D1乃至DNの各々の受光強度を全て加算した総受光強度を、受光部91の総受光強度、又は、単に総受光強度という。
【0138】
ステップS54では、判定部106は、判定値算出部105からの判定値と、データ記憶部110に記憶されている参照値とに基づいて、間隙部23の液量を判定し、又は、判定値が適正か否かを判定する。なお、判定部106がいずれか一方のみの判定を行う場合であってもよい。
【0139】
まず、間隙部23の液量を判定する場合を例示すると、データ記憶部110には、透過/反射切替部16が反射状態のときから透過状態となるまでの間において、間隙部23の液量を所定量ずつ増加させながら、かつ、テスト画像を表示部15に表示させながら実測された受光部91の総受光強度の実測値が参照値として、間隙部23の液量を表す液量情報と対応付けられて記憶されている。
【0140】
判定部106は、データ記憶部110に記憶されている実測値のうち、ステップS53で判定値算出部105から供給された判定値に最も近い実測値に対応付けられた液量情報が表す液量を間隙部23における現在の液量と判定する。そして、判定部106は、判定した間隙部23の液量を判定結果として後処理部107に供給する。処理は、ステップS54からステップS55に進む。なお、液量情報は、間隙部23の液量を表す情報であれば、間隙部23の液量の最大値に対する割合等、液量そのものの値でなくてもよい。
【0141】
ステップS55では、後処理部107は、ステップS54で判定部106から供給された判定結果に応じた後処理を行う。例えば、後処理部107は、判定部106からの判定結果(間隙部23の液量)を表す画像を生成し、映像信号処理部57に供給する。映像信号処理部57は、後処理部107からの画像をテレビ放送の映像に代えて、又は、テレビ放送の映像に重畳して表示部15に表示させる。
【0142】
また、透過/反射切替部16を反射状態から透過状態に切り替える際、又は、透過状態から反射状態に切り替える際に、この
図20のフローチャートの判定処理を実施することで、後処理部107は、ポンプ19の停止の判断を行うことができる。
【0143】
すなわち、透過/反射切替部16を反射状態から透過状態に切り替える際に
図10のステップS13の代わりに、この
図20のフローチャートの判定処理を繰り返し実施する。そして、ステップS55において、後処理部107は、ステップS54で判定部106から供給された間隙部23の液量に基づいて、透過/反射切替部16が透過状態となる液量まで間隙部23に液体40が貯留されたことを検出した場合にポンプ19を停止させる。透過/反射切替部16を透過状態から反射状態に切り替える際も同様であるので説明は省略する。
【0144】
一方、
図20のフローチャートのステップS54において判定値が適正か否かを判定する場合について説明する。この場合、透過/反射切替部16が透過状態又は反射状態に設定されている際に、
図20のフローチャートの判定処理が実施されることを前提とする。そして、データ記憶部110には、透過/反射切替部16が透過状態に設定されている場合と、反射状態に設定されている場合とで、テスト画像を表示部15に表示させて実測された受光部91の総受光強度の実測値が参照値としてデータ記憶部110に記憶されている。
【0145】
透過/反射切替部16が透過状態に設定されているときに、この
図20のフローチャートの判定処理が実施された場合、判定部106は、データ記憶部110から透過/反射切替部16が透過状態に設定されているときの総受光強度の実測値を読み出す。そして、読み出した実測値に対してステップS53で判定値算出部105から供給された判定値が誤差範囲内の値であれば判定値が適正と判定し、誤差範囲外の値であれば判定値が適正でないと判定する。そして、判定部106は、その判定結果を後処理部107に供給する。
【0146】
ステップS55では、後処理部107は、ステップS54で判定部106から供給された判定結果が、判定値が適正でないという結果の場合、間隙部23における液体40の充填異常、又は、表示部15における表示の異常(輝度、色の劣化等)と判定する。すなわち、後処理部107は、間隙部23に液体40が十分充填されていないか、または、表示部15における表示が適正に行われていないと判定する。なお、判定値が適正でない場合、間隙部23における液体40の充填異常、及び、表示部15における表示の異常のうち、予め決められたいずれか一方の異常と判定するようにしてもよい。
【0147】
また、ステップS54で判定部106から供給された判定結果が、判定値が適正でないという結果の場合、後処理部107は、例えば、間隙部23における液体40の充填異常、又は、表示部15における表示の異常を通知する画像を生成し、映像信号処理部57に供給する。映像信号処理部57は、後処理部107からの画像をテレビ放送の映像に代えて、又は、テレビ放送の映像に重畳して表示部15に表示させる。
【0148】
なお、判定値が適正でないという結果の場合において、後処理部107は、ポンプ駆動部60にポンプ19の駆動を指示し、間隙部23に液体40を補給するようにしてもよい。また、判定値が適正であるという結果の場合においては、後処理部107は、間隙部23及び表示部15が正常であることを通知する画像を生成して、映像信号処理部57に供給し、表示部15に表示させてもよいし、後処理としての特別な処理を行わなくてもよい。
【0149】
また、透過/反射切替部16が反射状態に設定されている場合に、この
図20のフローチャートの判定処理が実施されたときも、透過/反射切替部16が透過状態に設定されている場合と同様に、後処理部107は、間隙部23における気体41の充填異常の有無、又は、表示部15における表示の異常(輝度、色の劣化等)の有無を判定することができる。なお、詳細な説明は省略する。
【0150】
さらに、ステップS51において、テスト画像生成部103は、表示部15の画素の色の種類(R、G、B等)ごと、又は、任意の複数の色ごとに表示部15の画面全体を一色で塗りつぶすテスト画像を生成し、表示部15に表示させるようにしてもよい。この場合、各色のテスト画像ごとに
図20のフローチャートの判定処理が行われる。そして、ステップS54において、判定部106が、テスト画像として表示された複数の色のうちの一部の色のテスト画像のときの判定値が適正でないと判定したときには、ステップS55において、後処理部107は、間隙部23における液体40(又は気体41)の充填異常ではなく、表示部15における表示の異常であることを特定することができ、かつ、異常が生じている色も特定できる。判定部106が、全ての色のテスト画像のときの判定値が適正でないと判定したときには、後処理部107は、間隙部23の充填異常、又は、表示部15の表示異常と判定することができる。
【0151】
また、テスト画像の色を変える代わりに、受光部91は受光素子D1乃至DNとしてカラーセンサを用いて複数の色ごとの受光強度を検出してもよい。この場合に、例えば、ステップS53において、判定値算出部105は、色ごとの総受光強度を判定値として算出し、ステップS54において、判定部106は、色ごとに判定値が適正か否かを判定する。これによって、テスト画像の色を変える場合と同様に後処理部107は、間隙部23の充填異常、又は、表示部15の表示異常を判定することができる。
【0152】
なお、テスト画像として表示パターンを画面内で移動させながら順次、受光部91で受光強度を検出することで、表示異常が発生している箇所の検知も可能である。
【0153】
以上の表示パネル12の第3の構成例によれば、構造が簡単な透過/反射切替部16の透過状態と反射状態との切り替えによって表示パネル12の反射特性を切り替えることができる。そして、表示パネル12の消灯時等の画像を表示しない状態において、透過/反射切替部16を反射状態とすることで、表示パネル12の反射特性を白色に近い特性あるいは略白色とすることができ、反射が大きいガラス戸内に表示パネルが仕舞われた様な状態とすることができる。そのため、表示装置が設置された部屋の中で目立つ事なく表示装置をインテリアに馴染ませる事ができ、使用者の要求に応じた意匠性の向上を図ることができる。また、表示パネル12に画像を表示する状態においては、透過/反射切替部16を透過状態とすることで画像の劣化が生じないようにすることができる。
【0154】
さらに、受光部91を設けたことで簡易な構成で、間隙部23の液量の判定、や、間隙部23や表示部15の異常の有無の判定を行うことができる。なお、受光部91は、表示パネル12の第3の構成例と同様に、
図12等に示した表示パネル12の第2の構成例において板状体21の側端面に設けてもよく、その場合においても表示パネル12の第3の構成例と同様の効果を奏する。
【0155】
以上、本技術は、テレビジョン受像機の表示装置だけでなく、PC(personal computer)などの画像を表示する表示装置の全てに適用できる。
【0156】
なお、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
<1> 画像を表示する表示部と、
前記表示部の前面に沿って設けられ、前記表示部の前記前面から出射された画像光を透過する板状体と、
流体が充填された状態と前記流体が排出された状態とに切り替えられる、前記表示部の前記前面と前記板状体との間に形成された間隙部と
を有する表示装置。
<2> 前記間隙部では、前記流体を第1流体として、前記第1流体が排出された状態において、前記第1流体よりも屈折率が小さい第2流体が充填される
<1>に記載の表示装置。
<3> 前記第1流体は液体であり、前記第2流体は気体である
<2>に記載の表示装置。
<4> 前記板状体と前記第1流体との屈折率の差は、前記板状体と前記第2流体との屈折率の差よりも小さい
<2>又は<3>に記載の表示装置。
<5> 前記第2流体は空気である
<3>又は<4>に記載の表示装置。
<6> 前記板状体は、前記表示部の前記前面に対向する背面側に凹凸形状を有する
<1>乃至<5>のいずれかに記載の表示装置。
<7> 前記凹凸形状は半球状の形状である
<6>に記載の表示装置。
<8> 前記間隙部に高分子分散型液晶層が設けられた
<1>乃至<7>のいずれかに記載の表示装置。
<9> 前記表示部の前記前面から出射された画像光のうち、前記板状体の少なくとも1つの側端面から出射された画像光を検出する受光部
をさらに含む
<1>乃至<8>のいずれかに記載の表示装置。
<10> 前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記表示部の異常の有無を判定する表示部異常判定部
をさらに含む
<9>に記載の表示装置。
<11> 前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記間隙部の異常の有無を判定する間隙部判定部
をさらに含む
<9>又は<10>に記載の表示装置。
<12> 前記受光部により検出された画像光の受光強度に基づいて前記間隙部の液量を判定する液量判定部
をさらに含む
<9>乃至<11>のいずれかに記載の表示装置。
<13> 前記受光部は複数の色ごとの受光強度を検出する
<9>乃至<12>のいずれかに記載の表示装置。
<14> 前記間隙部に対して前記流体を供給又は排出する給排部
をさらに含む
<1>乃至<13>のいずれかに記載の表示装置。
<15> 前記給排部は、
前記間隙部から排出された前記流体を貯留する貯留部と、
前記間隙部と前記貯留部とを接続する給排路と、
前記給排路を通じて前記貯留部から前記間隙部に前記流体を送液し、又は、前記間隙部から前記貯留部に前記流体を送液するポンプと
を有する
<14>に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0157】
11 表示装置, 12 表示パネル, 13 枠体, 15 表示部, 16,71 透過/反射切替部, 17 貯留部, 18 第1給排部, 19 ポンプ, 20 第2給排部, 21 板状体, 22 反射防止層, 23 間隙部, 40 液体, 41 気体, 51,81,101 テレビジョン受像機, 57 映像信号処理部, 58 制御部, 72 高分子分散型液晶板, 91 受光部