(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】配車装置、配車システム、および配車方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2019044120
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏夫
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への相乗りを望む行先が異なる複数の乗客の
前記行先での待ち時間、乗車場所、乗車日時、および行先を含む乗車情報を取得し、
前記
乗車情報に基づいて、
前記乗客が前記行先に到着してからサービスを受けられるまでの待ち時間をパラメータとした行先待ち時間スコア、および、前記乗客の前記行先に到着したときの混雑度による快適性をパラメータとした行先快適性スコアを少なくとも含んで算出される前記行先での前記乗客の待機環境を予測し、
相乗りさせる各々の前記乗客の異なる行先およ
び到着予想時刻に基づいて予測される各々の前記乗客の前記待機環境が最適となる前記車両の走行ルートを決定して前記車両を配車する制御部
を備える配車装置。
【請求項2】
前記制御部は、
相乗りさせる各々の前記乗客の
前記行先待ち時間スコア、および
前記行先快適性スコアが最も均等になる走行ルートを決定する、請求項1に記載の配車装置。
【請求項3】
前記制御部は、
配車した前記車両の配車結果に基づいて、前記待機環境の予測条件を補正する、請求項1または請求項2に記載の配車装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記行先から当該行先の状況を取得し、
前記行先の状況に基づいて、前記待機環境を予測する、請求項1~
3のいずれか一つに記載の配車装置。
【請求項5】
車両への相乗りを望む行先が異なる複数の乗客の
前記行先での待ち時間、乗車場所、乗車日時、および行先を含む乗車情報を取得し、
前記
乗車情報に基づいて、
前記乗客が前記行先に到着してからサービスを受けられるまでの待ち時間をパラメータとした行先待ち時間スコア、および、前記乗客の前記行先に到着したときの混雑度による快適性をパラメータとした行先快適性スコアを少なくとも含んで算出される前記行先での前記乗客の待機環境を予測し、
相乗りさせる各々の前記乗客の異なる行先およ
び到着予想時刻に基づいて予測される各々の前記乗客の前記待機環境が最適となる前記車両の走行ルートを決定して前記車両を配車する制御部
を備える配車装置と、
前記配車装置との間で情報通信を行う前記車両と、
前記行先に設置されて前記配車装置との間で情報通信を行う端末装置と
を備えることを特徴とする配車システム。
【請求項6】
配車装置の制御部が、
車両への相乗りを望む行先が異なる複数の乗客の
前記行先での待ち時間、乗車場所、乗車日時、および行先を含む乗車情報を取得し、
前記
乗車情報に基づいて、
前記乗客が前記行先に到着してからサービスを受けられるまでの待ち時間をパラメータとした行先待ち時間スコア、および、前記乗客の前記行先に到着したときの混雑度による快適性をパラメータとした行先快適性スコアを少なくとも含んで算出される前記行先での前記乗客の待機環境を予測し、
相乗りさせる各々の前記乗客の異なる行先およ
び到着予想時刻に基づいて予測される各々の前記乗客の前記待機環境が最適となる前記車両の走行ルートを決定して前記車両を配車する
ことを含む配車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、配車装置、配車システム、および配車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相乗りを望む複数の乗客から運行依頼を受けた場合に、各乗客の出発日、出発地、および到着地等に基づいて乗客のグルーピングを行い、1つの運行で複数の乗客を効率よく車両に乗せて目的地へ送り届けるシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に、各乗客の出発日、出発地、および到着地等に基づいて乗客のグルーピングを行い、1つの運行で複数の乗客を目的地へ送り届けるだけでは、各乗客の利便性および快適性に対する配慮に欠ける場合がある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、相乗りする各乗客の利便性および快適性を配慮した相乗り車両を配車することができる配車装置、配車システム、および配車方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る配車装置は、乗車情報取得部と、待機環境予測部と、配車部とを備える。乗車情報取得部は、車両への相乗りを望む複数の乗客の乗車場所、乗車日時、および行先を含む乗車情報を取得する。待機環境予測部は、前記行先および前記行先への到着予想時刻に基づいて、前記行先での前記乗客の待機環境を予測する。配車部は、各々の前記乗客の行先および前記到着予想時刻に基づいて予測される各々の前記乗客の前記待機環境が最適となる前記車両の走行ルートを決定して前記車両を配車する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る配車装置、配車システム、および配車方法は、相乗りする各乗客の利便性および快適性を配慮した相乗り車両を配車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る配車システムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る予測条件の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る配車結果の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る配車装置によって配車されるシェアタクシーの走行ルートの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る配車装置によって配車されるシェアタクシーの走行ルートの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る配車装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、配車装置、配車システム、および配車方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る配車システム100の構成の一例を示す説明図である。
図1に示すように、実施形態に係る配車システム100は、配車装置1と、相乗り車両の一例であるシェアタクシーTと、乗客の行先の一例である病院D1やレストランD2等に設置される端末装置(以下、行先装置と略称する場合がある)とを含む。
【0011】
なお、
図1には、1台のシェアタクシーTを図示しているが、配車装置1は、複数台のシェアタクシーTの配車管理を行うことができる。また、
図1には、行先の一例として病院D1と、レストランD2とを図示しているが、配車装置1との間で情報通信を行う行先装置が設置される行先は、病院D1およびレストランD2に限定されるものではなく、任意の施設や店舗であってもよい。また、配車装置1との間で情報通信を行う行先装置が設置される行先の数については、任意に設定変更が可能である。
【0012】
配車装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、例えば、インターネット等の通信ネットワークNを介して、シェアタクシーT、病院D1の行先装置、およびレストランD2の行先装置等と情報通信可能に接続される。
【0013】
また、通信部2は、通信ネットワークNを介して、複数の乗客U1,U2が携帯するスマートフォン等の端末装置M1,M2と情報通信可能に接続される。なお、以下では、複数の乗客U1,U2のうちの任意の乗客を乗客Uと記載し、乗客Uが携帯する端末装置を端末装置Mと記載する。
【0014】
記憶部3は、例えば、データフラッシュ等の情報記憶デバイスであり、予測条件31と、配車結果32とを記憶する。予測条件31の一例については、
図2を参照して後述し、配車結果の一例については、
図3を参照して後述する。
【0015】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部4は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。
【0016】
具体的には、制御部4は、乗車情報取得部41と、待機環境予測部42と、行先状況取得部43と、配車部44と、通知部45と、走行実績取得部46と、待ち時間取得部47と、補正部48とを備える。
【0017】
なお、制御部4が備える複数の処理部は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0018】
制御部4が備える乗車情報取得部41、待機環境予測部42、行先状況取得部43、配車部44、通知部45、走行実績取得部46、待ち時間取得部47、および補正部48は、それぞれ以下に説明する情報処理を実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0019】
乗車情報取得部41は、シェアタクシーTへの相乗りを望む複数の乗客Uの乗車場所、乗車日時、および行先を含む乗車情報を乗客Uの端末装置Mから取得する。そして、乗車情報取得部41は、取得した乗車情報に基づいて、1つの運行で行先まで送り届けることができる乗客Uをグルーピングする。
【0020】
例えば、乗車情報取得部41は、乗車日時が同一日および同一時間帯であり、乗車場所が半径所定距離以内のエリア内であり、行先が半径所定距離以内のエリアである乗客Uが同じクループに入るようにグルーピングを行う。そして、乗車情報取得部41は、グループ毎に、乗客Uの乗車情報を待機環境予測部42へ出力する。
【0021】
待機環境予測部42は、各乗客Uの行先および行先の到着予想時間に基づいて、各行先での乗客Uの待機状況を予測する。このとき、待機環境予測部42は、記憶部3に記憶された予測条件31を使用して待機環境を予測する。ここで、
図2を参照し、予測条件31の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る予測条件31の一例を示す説明図である。
【0022】
図2に示すように、予測条件31は、複数の各行先に時間帯毎の待機環境を示す行先待ち時間スコアと、行先快適性スコアとが対応付けられた情報である。
図2には、一例として、ある病院D1およびレストランD2の各時間帯における行先待ち時間スコアと、行先快適性スコアとを示している。
【0023】
行先待ち時間スコアは、例えば、行先に到着した乗客Uが行先でサービスを受けられるまでの待ち時間がない場合に100となり、行先での待ち時間が長くなるほど値が小さくなる。行先快適性スコアは、行先に到着した乗客Uの行先での快適性に問題がない場合に100となり、快適性に何らかの問題がある場合に、その問題が乗客Uに与える悪影響が大きいほど値が小さくなる。
【0024】
例えば、行先が病院D1の場合、行先快適性スコアは、待合室に他の患者がいない可能性が高い時間帯では100となり、他の患者がいる可能性が高い時間帯に近くなるほど値が低くなり、その時期がインフルエンザの流行時期である場合には値がさらに低くなる。
【0025】
また、行先がレストランD2の場合、行先快適性スコアは、店舗内の空席数が所定数以上ある可能性が高い時間帯の場合に100となり、満席になる可能性が高い時間帯に近くなるほど値が低くなり、相席が必要となる可能性が高い時間帯では値がさらに低くなる。
【0026】
図2に示すように、病院D1では、診療が開始される朝と、診療が終了する夕方に患者数が多くなり、待ち時間が長くなることがある。このため、病院D1では、朝および夕方の時間帯における行先待ち時間スコアが比較的低くなっている。
【0027】
また、病院D1では、診療終了後の時間外診療の時間帯も患者に対応する職員が少なくなるため、待ち時間が長くなることがある。このため、病院D1では、診療終了後の時間外診療の時間帯に待ち時間スコアが比較的低くなっている。
【0028】
また、病院D1では、例えば、前日にインフルエンザにより発熱した患者が翌朝受診に訪れたり、仕事中にインフルエンザにより発熱した患者が仕事後に受診に訪れたりする場合がある。このため、病院D1では、日中に比べて朝夜の時間帯の行先快適性スコアが比較的低くなっている。
【0029】
また、レストランD2では、昼食および夕食の時間帯に客数が多くなるため、行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアが比較的低くなっている。また、レストランD2では、昼食前、昼食と夕食との間、および深夜の時間帯に客数が少なくなるため、行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアが比較的高くなっている。
【0030】
かかる予測条件31は、例えば、行先となる病院D1から各時間帯の平均的な患者数や院内感染の危険度を事前に取得したり、レストランD2等の店舗から各時間帯の平均的な来客数や店内の混雑度を事前に取得したりすることによって生成することができる。
【0031】
図2へ戻り、待機環境予測部42は、行先の待機環境を予測する場合、まず、乗車情報取得部41から入力される1つのグループに含まれる全乗客Uの乗車場所および行先を走行する複数通りの走行ルートを導出する。そして、待機環境予測部42は、各走行ルートをシェアタクシーTが走行した場合における各行先への到着予想時刻を算出する。
【0032】
続いて、待機環境予測部42は、予測条件31に基づいて各行先への到着予想時刻を含む時間帯の行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアを、各行先での待機環境の予測結果として取得する。これにより、待機環境予測部42は、各行先での乗客Uの待ち時間の状況と、各行先における乗客Uの快適性の状況とを予測することができる。
【0033】
なお、待機環境予測部42は、行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアから逆算して、各行先での乗客Uの待ち時間と、各行先における乗客Uの快適性とを予測する構成であってもよい。
【0034】
また、待機環境予測部42は、行先状況取得部43によって取得される情報に基づいて、各行先での乗客Uの待ち時間と、行先での乗客Uの快適性を予測することもできる。具体的には、待機環境予測部42は、導出した各走行ルートをシェアタクシーTが走行した場合における各行先と、各行先への到着予想時刻とを行先状況取得部43へ出力する。
【0035】
行先状況取得部43は、待機環境予測部42から入力される行先から、到着予想時刻に予想される待ち時間と、行先における快適性の度合いとを含む行先の状況を示す情報を取得して、待機環境予測部42へ出力する。
【0036】
待機環境予測部42は、行先状況取得部43から入力される情報に基づいて、各行先の行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアを算出する。そして、待機環境予測部42は、算出した行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアと、予測条件31から取得した行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアとに差がある場合、差分を小さくする補正を行って、各行先での待ち時間と快適性とを予測する。
【0037】
これにより、待機環境予測部42は、各行先での乗客Uのより正確な待ち時間と、快適性とを予測することができる。待機環境予測部42は、グループ毎の乗車情報と、導出した走行ルートと、各行先への到着予想時刻と、到着予想時刻における各行先の行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアとを対応付けて配車部44へ出力する。
【0038】
配車部44は、待機環境予測部42から入力される情報に基づいて、各々の乗客Uの行先および到着予想時刻に基づいて予測される各々の乗客Uの待機環境が最適となるシェアタクシーTの走行ルートを決定する。
【0039】
具体的には、配車部44は、待機環境予測部42から順次入力される走行ルートを選択し、各走行ルートでシェアタクシーTを走行させた場合に、各行先での乗客U全員の待機環境が最適か否かを判定する。
【0040】
このとき、配車部44は、待機環境予測部42から入力される行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアに加え、各走行ルートによる各乗客Uの移動予測時間スコアに基づいて、各行先での乗客U全員の待機環境が最適か否かを判定する。
【0041】
移動予測時間スコアは、例えば、乗客Uの乗車場所から行先までの最短経路を最短時間で走行できる場合に100となり、渋滞や他の乗客Uの送迎によって行先へ到着するまでの時間が上記した最短時間より長くなるほど値が小さくなる。
【0042】
配車部44は、順次選択する走行ルートのうち、全乗客Uの移動予測時間スコア、行先待ち時間スコア、および行先快適性スコアが最も均等になる走行ルートを決定する。これにより、配車部44は、行先での全乗客Uの待ち時間と、行先における全乗客Uの快適性とに配慮した最適な走行ルートを決定することができる。
【0043】
配車部44は、複数のシェアタクシーTと情報通信することで各シェアタクシーTの位置および配車可否状態を把握しており、決定した走行ルートに最適のシェアタクシーTを選択して、決定したルートと乗車させるグループの乗車情報を送信して配車を行う。これにより、配車装置1は、相乗りする各乗客Uの利便性および快適性を配慮したシェアタクシーTを配車することができる。
【0044】
また、配車部44は、決定した走行ルートをシェアタクシーTが走行した場合の各行先への到着予想時刻を通知部45へ出力する。通知部45は、各行先へシェアタクシーTの到着予想時刻を送信して通知する。
【0045】
これにより、各行先は、乗客Uが到着する前に、乗客Uを受け入れる準備作業の段取り調整等を行うことができるので、作業の効率および乗客Uへ提供するサービスを向上させることができる。
【0046】
走行実績取得部46は、シェアタクシーTから走行ルートの識別情報と、実際に乗客Uを乗車させた場所および乗車時刻と、実際に乗客Uを降車させた行先および降車時刻とを取得して配車結果32に記録する。
【0047】
待ち時間取得部47は、乗客Uが到着した行先から、乗客Uの実際の待ち時間を取得して配車結果32に記録する。また、待ち時間取得部47は、乗客Uが到着した行先から、到着時の実際の快適性に関する快適性情報を取得して配車結果32に記録する。
【0048】
ここで、
図3を参照し、配車結果の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る配車結果32の一例を示す説明図である。なお、
図3には、識別情報がルート#1の走行ルートに関する配車結果32の一例を示している。
図3に示すように、配車結果32には、走行ルート毎に、各乗客Uの乗車場所、乗車時刻、行先、後者時刻、待ち時間、および快適性情報が記録される。
【0049】
図1へ戻り、補正部48は、各行先について、配車結果32からシェアタクシーTの走行結果に基づく行先待ち時間スコア、行先快適性スコア、および移動時間スコアを算出する。
【0050】
そして、補正部48は、算出した走行結果に基づく行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアと、予測条件31の対応する行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアとに差がある場合、予測条件31の行先待ち時間スコアおよび行先快適性スコアを補正する。これにより、待機環境予測部42は、次回以降の待機環境予測精度を向上させることができる。
【0051】
また、補正部48は、算出した移動時間スコアと、配車部44によって算出された移動予測時間スコアとに差がある場合には、移動時間スコアと移動予測時間スコアとの差分を配車部44へ通知する。これにより、配車部44は、次回以降の移動予測時間スコアの信頼性を向上させることができる。
【0052】
次に、
図4および
図5を参照し、実施形態に係る配車装置1によって配車されるシェアタクシーTの走行ルートの一例を示す説明図である。
図3に示すように、配車装置1は、例えば、行先が病院D1の乗客U1と、行先がレストランD2の乗客U2を相乗りさせて、それぞれの行先まで送り届ける場合、まず、シェアタクシーTにルートR11を走行させて家H1の前で乗客U1を乗車させる。
【0053】
続いて、配車装置1は、シェアタクシーTにルートR12を走行させて家H2の前で乗客U2を乗車させる。ここで、病院D1で院内感染の危険性があり、レストランD2に行列待ちがないとする。
【0054】
この場合、配車装置1は、例えば、シェアタクシーTにルートR13を走行させて病院D1で乗客U1を降車させた後、ルートR14を走行させてレストランD2で乗客U2を降車させると、乗客U1が院内感染する可能性があり、乗客U2には遠回りとなる。
【0055】
そこで、配車装置1は、シェアタクシーTにルートR15を走行させてレストランD2で乗客U2を降車させた後、ルートR16を走行させて病院D1で乗客U1を降車させる。これにより、乗客U2を最短距離および最短時間でレストランD2へ送り届けることができ、病院D1への到着時間を遅らせることで、乗客U1が院内感染する可能性を低減することができる。このように、配車装置1は、相乗りする各乗客U1,U2の利便性および快適性を配慮した配車を行うことができる。
【0056】
また、
図5に示すように、配車装置1は、行先が病院D1の乗客U1と、行先がレストランD2の乗客U2を相乗りさせて、行先まで送り届ける場合、先ほどと同様に、まず、シェアタクシーTにルートR11を走行させて家H1の前で乗客U1を乗車させる。
【0057】
続いて、配車装置1は、シェアタクシーTにルートR12を走行させて家H2の前で乗客U2を乗車させる。ここで、病院D1で院内感染の危険性がなく、レストランD2に行列待ちがあるとする。
【0058】
この場合、配車装置1は、例えば、シェアタクシーTにルートR15を走行させてレストランD2で乗客U2を降車させた後、ルートR16を走行させて病院D1で乗客U1を降車させると、乗客U2が行列待ちをすることになり、乗客U1には遠回りとなる。
【0059】
そこで、配車装置1は、シェアタクシーTにルートR13を走行させて病院D1で乗客U1を降車させた後、ルートR14を走行させてレストランD2で乗客U2を降車させる。これにより、乗客U1を最短距離および最短時間で院内感染の危険性がない病院D1へ送り届けることができ、病院D1への到着時間を遅らせることで、乗客U2が行列待ちをする可能性を低減することができる。このように、配車装置1は、相乗りする各乗客U1,U2の利便性および快適性を配慮した配車を行うことができる。
【0060】
次に、
図6を参照し、実施形態に係る配車装置1の制御部4が実行する処理について説明する。
図6は、実施形態に係る配車装置1の制御部4が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
制御部4は、複数の乗客UからシェアタクシーTの乗車予約を受け付けた場合に、
図6に示す処理を実行する。具体的には、
図6に示すように、制御部4は、複数の乗客Uから乗車予約を受け付けると、まず、乗客Uから乗車情報を取得する(ステップS101)。
【0062】
続いて、制御部4は、乗客Uのグルーピングを行い(ステップS102)、行先の待機環境を予測する(ステップS103)。その後、制御部4は、待機環境を予測した走行ルートを順次選択し(ステップS104)、乗客U全員の待機環境が最適か否かを判定する(ステップS105)。
【0063】
そして、制御部4は、待機環境が最適でないと判定した場合(ステップS105,No)処理をステップS104へ移す。また、制御部4は、待機環境が最適であると判定した場合(ステップS105,Yes)、待機環境が最適であると判定した走行ルートを配車する走行ルートとして決定する(ステップS106)。
【0064】
続いて、制御部4は、行先へ到着予想時刻を通知し(ステップS107)、シェアタクシーTの配車を行う(ステップS108)。その後、制御部4は、シェアタクシーTおよび行先から配車結果を取得して蓄積する(ステップS109)。
【0065】
続いて、制御部4は、予測条件31と配車結果32とが一致するか否かを判定し(ステップS110)、一致すると判定した場合(ステップS110,Yes)、処理を終了する。また、制御部4は、予測条件31と配車結果32とが一致しないと判定した場合(ステップS110,No)、予測条件31を補正して(ステップS111)、処理を終了する。
【0066】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 配車システム
1 配車装置
2 通信部
3 記憶部
31 予測条件
32 配車結果
4 制御部
41 乗車情報取得部
42 待機環境予測部
43 行先状況取得部
44 配車部
45 通知部
46 走行実績取得部
47 待ち時間取得部
48 補正部
T シェアタクシー
U1,U2 乗客
M1,M2 端末装置
D1 病院
D2 レストラン