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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】毛髪用水中油型組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230913BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230913BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/06
A61K8/39
A61K8/41
A61K8/55
A61K8/86
A61K8/891
A61Q5/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019066197
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164457
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】永塚 豊史
(72)【発明者】
【氏名】山下 美年雄
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-146844(JP,A)
【文献】特開2004-059540(JP,A)
【文献】特開2005-320295(JP,A)
【文献】特開2003-012466(JP,A)
【文献】国際公開第2004/058198(WO,A1)
【文献】特開平09-235212(JP,A)
【文献】特開2003-089624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)モノ長鎖型アルキル四級アンモニウム
(B)飽和高級アルコール
(C)ジメチルポリシロキサン
(D)リン脂質
(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.1~0.5質量%
を含有し、
前記成分(A)の含有量が、0.2~2.0質量%であり、
前記成分(B)の含有量が、1.5~5.0質量%であり、
前記成分(C)の含有量が、1.0~15.0質量%であり、
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(A)の含有量の割合(A)/[(D)+(E)]が、1.67~7.5である毛髪用水中油型組成物。
【請求項2】
前記成分(E)のHLBが10以下である請求項1の項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【請求項3】
前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合(C)/(A)が、0.5~10である請求項1又は2のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【請求項4】
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の割合(B)/[(D)+(E)]が3.5~20である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【請求項5】
N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料を使用後の毛髪に使用するための請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【請求項6】
前記成分(C)の25℃における粘度が6~100mPa・sである請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用水中油型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、毛髪用水中油型組成物には様々な目的効果を付与することが検討されている。シャンプー後の毛髪にうるおい等を付与するものとしてリンス、コンディショナー、トリートメントなどがあり、カチオン性界面活性剤と高級アルコールによるゲルを形成させる毛髪化粧料(例えば、特許文献1参照)等が開発されている。
また、毛髪に馴染みやすい毛髪用組成物(例えば、特許文献2参照)の開発や、塗布時になじみ易く、毛髪にハリ・コシ感を付与する毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照)の開発が行われている。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-186464号公報
【文献】国際公開2012/115053号パンフレット
【文献】特開2014-94924号公報
【文献】特開2016-88934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術においては、乾燥後の髪に軽いしっとり感、さらさら感及びまとまりを与える場合はあるものの、高級アルコールによって粘度が増加し、経時安定性に優れない場合や、毛髪の滑らかさとツヤ感に優れない場合があった。
特許文献2の技術では、塗布時のなじみやすさに優れるものの、手から流れ落ちない使用性に優れない場合があった。さらに、経時安定性にも優れない場合があった。
特許文献3の技術では、毛髪にハリ・コシ感に優れるものの、毛髪の滑らかさとツヤ感に関しては優れない場合があった。
すなわち、経時安定性に優れながら、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感にも優れる毛髪用組成物は従来知られていなかった。
【0006】
また、近年では使用感と外観安定性に優れる毛髪用洗浄料として、N-アシル酸性アミノ酸の一つであるN-アシルグルタミン酸やカチオン化ポリマーを含有した毛髪用洗浄料(例えば、特許文献4参照)などが開発されている。
N-アシル酸性アミノ酸は洗髪時に、カチオン性ポリマー等と複合体(コアセルベーションと言われる場合がある)を形成することで、すすぎ時の滑らかさに優れると考察される。しかし、上記複合体は、通常の洗い流し動作においては、十分に洗い流されずに、毛髪上に残存する場合があった。その場合、その後に適用する毛髪化粧料等が、物理化学的に、毛髪に十分に付着されず、その後に適用する毛髪化粧料の毛髪への効果が十分に発揮されず、すなわち、塗布時のなじみやすさに優れないという課題も判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、毛髪用水中油型組成物においてモノ長鎖型アルキル四級アンモニウムと飽和高級アルコール、更には油剤としてメチルポリシロキサンを含有することで、毛髪の滑らかさとツヤ感が向上するという知見を得た。さらに検討した結果、リン脂質を配合することで、塗布時の滑らかさが向上することを見出した。これは、乳化界面に配向してαゲルを軟化し得ると考察される。そして更に鋭意検討した結果、さらにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を特定量で含有しつつ、リン脂質とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の合計含有量に対するモノ長鎖型アルキル四級アンモニウムの含有量の割合が特定である水中油型組成物が、経時安定性に優れながら、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供する。
[1]
次の成分 (A)~(E);
(A)モノ長鎖型アルキル四級アンモニウム
(B)飽和高級アルコール
(C)ジメチルポリシロキサン
(D)リン脂質
(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1~0.5質量%
を含有し、
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(A)の含有量の割合(A)/[(D)+(E)]が、1.67~7.5である毛髪用水中油型組成物。
[2]
前記成分(E)のHLBが10以下である[1]の項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[3]
前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合(C)/(A)が、0.5~10である[1]又は[2]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[4]
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の割合(B)/[(D)+(E)]が3.5~20である[1]~[3]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[5]
N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料を使用後の毛髪に使用するための[1]~[4]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪用水中油型組成物は、経時安定性に優れながら、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0011】
<成分(A)>
本発明における成分(A)はモノ長鎖型アルキル四級アンモニウムである。成分(A)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
モノ長鎖型アルキル四級アンモニウムは、第四級アンモニウム型であり、毛髪用水中油型組成物中でカチオン性となり得る。成分(A)のモノ長鎖型アルキルのアルキル鎖の炭素数については、通常化粧料に使用できるものであれば、特に限定されるものではないが、経時安定性の点から、炭素数12~22が好ましく、炭素数18~22がより好ましい。
【0012】
本発明における成分(A)の市販例としては、特に限定されないが、例えば、炭素数12の塩化ラウリルトリメチルアンモニウムとして、カチナールLTC-35A(東邦化学工業社製)、コータミン 24P(花王社製)、炭素数16の塩化セチルトリメチルアンモニウムとして、カチナールCTC-70ET(東邦化学工業社製)、コータミン 86W(花王社製)、炭素数18の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムである、カチナールSTC-25W、CATINAL STC―70ET(以上、東邦化学工業社製)、炭素数22の塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムとして、CATINAL DC-80(C)(東邦化学工業社製)、GENAMIN KDMP(クラリアント・ジャパン社製)等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明において、成分(A)が含有されていない場合は、経時安定性に優れない場合がある。
【0014】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、経時安定性と仕上がりの指通りの点から、0.1~5.0質量%(以下、「質量%」を「%」と略す)が好ましく、0.2~2.0%がより好ましく、1.0~2.0%がさらにより好ましい。
【0015】
<成分(B)>
本発明における成分(B)は、飽和高級アルコールである。成分(B)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
【0016】
成分(B)の炭素数としては、特に限定されないが、経時安定性の点から、炭素数8~24が好ましく、炭素数16~22がより好ましい。また、成分(B)は、経時安定性の点から、直鎖飽和型であることが好ましい。
【0017】
成分(B)としては、特に限定されないが、具体的には、セチルアルコ-ル、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコール等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、成分(B)が、セチルアルコ-ル、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコールからなる群から選ばれる2種以上であることが、仕上がりの指通り、経時安定性の点から好ましい。
【0018】
本発明における成分(B)の市販例としては、特に限定されないが、炭素数16のセタノールとして、NAA-43(日油社製)、コノール1695(新日本理化社製)、炭素数18のステアリルアルコールとして、NAA―46(日油社製)、コノール30F(新日本理化社製)、炭素数22のベヘニルアルコールとして、NAA-422(日油社製)、カルコール 220-80(花王社製)、炭素数16のセチルアルコールと炭素数18のセトステアリルアルコール(高級アルコール工業社製)等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
本発明における成分(B)が含有されていない場合は、塗布時の滑らかさ、経時安定性に優れない場合がある。
【0020】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、塗布時の滑らかさ、経時安定性の点から、1.0~6.0%が好ましく、1.5~5.0%がより好ましく、2.0~4.0%がさらにより好ましい。
【0021】
<成分(C)>
本発明における成分(C)は、ジメチルポリシロキサンである。成分(C)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
【0022】
本発明における成分(C)の市販例としては、特に限定されないが、例えば、SH200 C Fluid 5cs、SH200 C Fluid 6cs、SH200 C Fluid 10cs、SH200 C Fluid 20cs、SH200 C Fluid 30cs、SH200 C Fluid 50cs、SH200 C Fluid 100cs、BY11-040、BY11-003、FZ-3115、FZ-3132、BY11-007、BY11-014、BY11-026(以上、東レダウコーニング社製)、KF-96L-2cs、KF-96L-5cs、KF-96A-6cs、KF-96-10cs 、KF-96-20cs、KF-96-30cs、 KF-96-50cs、KF-96-100cs、シリコンKF-9012、KF-96H-1万cs、KF-96H-10万cs、KF-96H-100万cs(以上、信越シリコーン社製)、XF49-601、XF49-A3818、XF49-B7082、XF49-B7083、XF49-811、XF49-703、XF49-813、XF49-B1747、XF49-B8324(以上、モメンティブ社製)などが挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
成分(C)の25℃における粘度は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感の点から、2~100,000mPa・sであることが好ましく、6~100mPa・sがより好ましい。また、本発明における25℃における粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いた化粧品原料基準・粘度測定法第二法に従って測定する。
【0024】
本発明における成分(C)が含有されていない場合は、塗布時の滑らかさ、ツヤ感に優れない場合がある。
【0025】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、毛髪の滑らかさとツヤ感の点から、1.0~15.0%が好ましく、5.0~10%がより好ましい。
【0026】
<成分(D)>
本発明における成分(D)はリン脂質である。成分(D)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。本発明におけるリン脂質とは、特に記載した場合を除き、グリセリン又はスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつものをいう。
【0027】
リン脂質を構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、炭素数7~22の飽和及び不飽和カルボン酸が挙げられる。リン脂質を構成するアルコールとしては、特に限定されないが、窒素が含まれることが多く、このような例としては、コリン、エタノールアミン、イノシトール、セリン等がある。
本発明には、天然の大豆や卵黄から抽出した大豆レシチン、卵黄レシチン及び/又はこれらを水素添加した水素添加レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンや合成リン脂質など、一般にリン脂質として知られるものが使用できる。
より詳細には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びホスファチジルイノシトール等を好ましく用いることができる。これらの中から、1種または2種以上を用いることができる。
例えば水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリン等が挙げられる。
【0028】
本発明における成分(D)の市販例としては、特に限定されないが、レシノール S-10、レシノール S-10E、レシノール S-10EZ、レシノール S-10M、レシノール S-10EX、レシノール S-PIE(以上、日光ケミカルズ社製)、COATSOME NC-21、COATSOME NC-21E、COATSOME NC-50(以上、油化産業社製)、Phospholipon100H、Phospholipon90H、Phospholipon80H、Phospholipon90G(以上、Phospholipid社製)、HSL-70(以上、ワイエムシイ社製)等があり、これらの中から、1種または2種以上を用いることができる。
【0029】
本発明における成分(D)が含有されていない場合は、塗布時のなじみやすさに優れない場合がある。
【0030】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさの点で、0.1~1.0%が好ましく、0.2~0.5%であることがより好ましい。
【0031】
<成分(E)>
本発明における成分(E)は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。成分(E)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
成分(E)は特に限定されないが、具体的には、ヒマシ油に水素添加して得られる硬化ヒマシ油にオキシエチレンを付加して得られたものを使用することができる(以下、ポリオキシエチレンをPOEと記載し、( )内の数値により、オキシエチレンの平均付加モル数を示す場合がある)。
【0032】
成分(E)は、特に限定されないが、具体的には、POE(5)硬化ヒマシ油(HLB:5)、POE(10)硬化ヒマシ油(HLB:7)、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB:9)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB:11)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB:12)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB:14)等が挙げられ、これらの中から、1種または2種以上を用いることができる。
成分(E)は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさの点で、硬化ヒマシ油に付加される酸化エチレンの平均付加モル数が10~80モルが好ましく、10~20モルがより好ましい。また、成分(E)のHLBは、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点で、10以下であることが好ましく、6~10であることがより好ましい。本発明においては、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点で、成分(E)が、HLBが6~10であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる2種以上であることが好ましい。
【0033】
ここで、本発明におけるHLB(Hydphile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
【0034】
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10・・・(式1)
【0035】
ここで、Σ無機性値/Σ有機性は、IOB(Inorganic-Organicbalance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
【0036】
成分(E)の市販品としては、特に限定されないが、NIKKOL HCO-10、HCO-20、HCO-30、HCO-40、HCO-50、HCO-60、HCO-70、HCO-80(以上、日光ケミカルズ社製)等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
本発明における成分(E)の含有量は、0.1~0.5%である。成分(E)の含有量が、0.1%未満である場合には、塗布時のなじみやすさに優れない場合がある。成分(E)の含有量が、0.5%を越える場合には、手から流れ落ちない使用性に優れない場合がある。本発明における成分(E)の含有量は、0.1~0.5%であれば特に限定されないが、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点で、0.2~0.4%が好ましい。
【0038】
本発明において、成分(D)および成分(E)の合計含有量に対する成分(A)の含有量の割合(A)/[(D)+(E)]は、1.67~7.5である。割合(A)/[(D)+(E)]が、1.67未満である場合には、手から流れ落ちない使用性に優れない場合がある。割合(A)/[(D)+(E)]は、7.5を超える場合には、塗布時のなじみやすさに優れない場合がある。割合(A)/[(D)+(E)]は、1.67~7.5であれば特に限定されないが、経時安定性、塗布時のなじみやすさの点で、1.67~3.8であることが好ましく、2~2.8であることが好ましい。
【0039】
本発明において、成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の割合(C)/(A)は、特に限定されないが、経時安定性、塗布時のなじみやすさの点で、0.5~10であることが好ましく、4~8であることがより好ましく、5~6であることがさらにより好ましい。
【0040】
本発明において、成分(D)および成分(E)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の割合(B)/[(D)+(E)]は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点から、3.5~20が好ましく、4~9がより好ましく、5~8が特に好ましく、5~6がさらに特に好ましい。
【0041】
本発明の毛髪用水中油型組成物には、更に目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内において、上記した成分の他に、通常の化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、例えば、皮膜形成剤、樹脂、抗菌・防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、退色防止剤等を含有することができる。
【0042】
本発明の毛髪用水中油型組成物の製造方法は、特に限定されず、常法により調製されるが、一例としては、成分(A)を含む水系成分と成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)を含む油系区分を加温し、乳化を行ってから、その他成分を加えて、室温まで冷却することなどが挙げられる。
【0043】
本発明の毛髪用水中油型組成物は、特に限定されないが、インバス用、アウトバス用として用いることができる。具体的には、インバス用としては、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパックなどの洗い流して用いるヘアトリートメント、アウトバス用としては、ヘアトリートメント、ヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレーなどが挙げられる。
【0044】
本発明の毛髪用水中油型組成物は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさに優れる点で、N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料を使用後の毛髪に使用されることが好ましい。N-アシル酸性アミノ酸としては、特に限定されないが、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ミリストイルグルタミン酸、N-ココイルグルタミン酸、N-パーム脂肪酸グルタミン酸、N-ラウロイルアスパラギン酸、またはこれらの塩が好ましく、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ミリストイルグルタミン酸、N-ココイルグルタミン酸(N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸)、N-ラウロイルアスパラギン酸またはこれらの塩が挙げられ、本発明の毛髪用水中油型組成物の塗布時のなじみやすさに優れる点で、N-アシル酸性アミノ酸は、N-ココイルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ラウロイルアスパラギン酸またはこれらの塩から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0045】
本発明の毛髪用水中油型組成物の剤型は、特に限定されず、液状、クリーム状、ペースト状、泡状、霧状等が挙げられる。これらの中でも、経時安定性、毛髪の滑らかさとツヤ感の点から、クリーム状、ペースト状であることが好ましい。
【実施例
【0046】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0047】
実施例1~18、比較例1~8:インバス用ヘアトリートメント
下記表1~5に示すインバス用ヘアトリートメントを下記製造方法により調製し、(イ)経時安定性、(ロ)塗布時のなじみやすさ、(ハ)手から流れ落ちない使用性、(ニ)毛髪の滑らかさとツヤ感の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1~5に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
(注1)CATINAL DC-80C(東邦化学社製)
(注2)コノール30C(新日本理化学社製)
(注3)LANETTE 22NF(BASF社製)
(注4)シリコン KF96A(6CS)(信越化学工業社製)
(注5)シリコン KF96A(100CS)(信越化学工業社製)
(注6)シリコン KF9012(信越化学工業社製)
(注7)ニッコール レシノールS-10(日光ケミカルズ社製)
(注8)ニッコール HCO-10(日本サーファクタント工業社製)
【0053】
(製造方法)
A:成分(1)、成分(2)、成分(14)および成分(15)を80℃に加熱して均一混合する。
B:成分(3)~成分(13)を80℃に加熱して均一混合する。
C:AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却し、容器に充填してインバス用ヘアトリートメントを得た。
【0054】
〔評価項目(イ)の評価方法〕
各試料に対し、50℃恒温下での2週間保管した後、室温環境下に戻し、目視測定にて製造後翌日の状態と比較して、以下に示す3段階判定基準に基づいて判定した。
(判定基準)
[判定]:[状態]
◎:キメが良く、油層分離が認められない
○:キメは悪いが、油層分離が認められない
×:油層分離が認められる
〔評価項目(ロ)~(ニ)の評価方法〕
人毛のウィッグ(カツラ) 10個に対し、下記参考調製例のシャンプーA(N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料)で洗髪した。次に、各試料9gを各々人毛ウィッグの毛に塗布したものについて(ロ)塗布時のなじみやすさ、(ハ)手から流れ落ちない使用性について評価した。その後、洗い流し、乾燥させ、(ニ)毛髪の滑らかさとツヤ感を評価した。
【0055】
<評価項目(ロ)>:塗布時のなじみやすさ
[評価基準]:[評点]
なじみやすさを非常に感じる :5点
なじみやすさを感じる :4点
なじみやすさをやや感じる :3点
なじみやすさをやや感じにくい:2点
なじみやすさを感じない :1点
<評価項目(ハ)>:手から流れ落ちない使用性
[評価基準]:[評点]
流れ落ちにくさを非常に感じる :5点
流れ落ちにくさを感じる :4点
流れ落ちにくさをやや感じる :3点
流れ落ちにくさをやや感じにくい :2点
流れ落ちにくさを感じない :1点
<評価項目(ニ)>:毛髪の滑らかさとツヤ感
[評価基準]:[評点]
非常に滑らかさ・ツヤ感を感じる :5点
滑らかさ・ツヤ感を感じる :4点
やや滑らかさ・ツヤ感を感じる :3点
やや滑らかさ・ツヤ感を感じにくい:2点
滑らかさ・ツヤ感を感じない :1点
【0056】
上記評価基準にて、評価した評点の平均値から、以下の判定基準に基づいて判定した。
<判定基準>:
[判定]:[評点の平均点]
◎:4.0以上
○:3.0以上4.0未満
△:2.0以上3.0未満
×:2.0未満
【0057】
参考調製例:シャンプーA(N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料)
下記処方及び製造方法でシャンプーAを調製した。
(成分) (%)
1.N-ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン 8
2.テトラデセンスルホン酸ナトリウム 5
3.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4
4.ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド 3
5.1,3-ブチレングリコール 2
6.カチオン化グアーガム 1
7.エデト酸二ナトリウム 0.2
8.防腐剤 0.1
9.香料 0.1
10.精製水 残量
(製造方法)
成分1~10を70℃で均一に加熱混合し、後に冷却する。
【0058】
表1~5の結果から明らかなように、実施例1~18の毛髪用水中油型組成物は、いずれも経時安定性、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感に優れた。
これに対して、成分(A)を含有しない比較品1は、経時安定性に優れなかった。
成分(B)を含有しない比較品2は、経時安定性に優れなかった。
成分(C)をしない比較品3においては、毛髪の滑らかさとツヤ感に優れなかった。
成分(D)をしない比較品4においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
成分(E)を配合しない比較品5においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
また、成分(E)の含有量が0.1%未満である比較品6においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
成分(E)の含有量が0.5%を超える比較品7においては、手から流れ落ちない使用性に優れなかった。
割合(A)/[(D)+(E)]が、7.5を超える比較品8においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
【0059】
実施例19:ヘアマスク
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 2.0
2.セトステアリルアルコール 3.5
3.ベヘニルアルコール 1.5
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において100mPa・s) 10.0
5.水素添加レシチン 0.1
6.水添ヤシ油 0.2
7.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
8.エチルヘキサン酸セチル 0.5
9.ミリスチン酸イソプロピル 0.5
10.グリセリン 1.5
11.POE(10)硬化ヒマシ油 0.4
12.グリセリン 1.5
13.PEG-8 2.0
14.ジプロピレングリコール 1.0
15.エタノール 0.5
16.乳酸 0.01
17.乳酸Na 0.01
18.ポリクオタニウム-51(注9) 0.1
19.香料 0.3
20.精製水 残量
(注9)LIPIDURE-PMB(BG) (日油社製)
【0060】
(製造方法)
A:No.1~11を均一に加熱混合溶解した。
B:No.12~18、20を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19を添加し、ヘアマスクを得た。
【0061】
以上のようにして得られた実施例19のヘアマスクは、経時安定性、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感について良好であった。
【0062】
実施例20:ヘアトリートメント
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
2.セトステアリルアルコール 2.5
3.ベヘニルアルコール 1.0
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において10mPa・s) 8.0
5.水添ヤシ油 1.5
6.トリエチルヘキサノイン 1.2
7.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
8.エチルヘキサン酸セチル 0.5
9.ステアリン酸グリセリル 0.1
10.水添レシチン 0.3
11.POE(20)硬化ヒマシ油 0.3
12.グリセリン 1.0
13.プロピレングリコール 0.5
14.ジプロピレングリコール 0.5
15.エタノール 0.5
16.クエン酸 0.01
17.クエン酸Na 0.01
18.ジグルコシル没食子酸 0.05
19.香料 0.3
20.精製水 残量
【0063】
(製造方法)
A:No.1~11を均一に加熱混合溶解した。
B:No.12~18、20を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19を添加し、ヘアトリートメントを得た。
【0064】
以上のようにして得られた実施例20のヘアトリートメントは、経時安定性、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感について良好であった。
【0065】
実施例21:アウトバス用ヘアミルク
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.0
2.セトステアリルアルコール 1.5
3.ベヘニルアルコール 0.8
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において6mPa・s) 5.0
5.水添ヤシ油 1.0
6.オレイン酸エチル 0.5
7.イソノナン酸イソノニル 0.3
8.パルミチン酸エチルヘキシル 0.5
9.ジカプリン酸PG 0.2
10.イソステアリン酸PG 0.2
11.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)0.1
12.水添レシチン 0.2
13.POE(60)硬化ヒマシ油 0.2
14.プロピレングリコール 1.0
15.グルコース 0.1
16.スクロース 0.1
17.グリシルグリシン 0.1
18.シトルリン 0.1
19.トレオニン 0.01
20.バリン 0.01
21.ヒスチジン 0.1
22.フェニルアラニン 0.1
23.クエン酸 0.1
24.香料 0.3
25.精製水 残量
【0066】
(製造方法)
A:No.1~13を均一に加熱混合溶解した。
B:No.14~23、25を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.24を添加し、アウトバス用ヘアミルクを得た。
【0067】
以上のようにして得られた実施例21のアウトバス用ヘアミルクは、経時安定性、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感について良好であった。