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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ケーブル保護管
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/06 20060101AFI20230913BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H02G9/06
H02G1/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019066597
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167839
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】竹村 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】水川 賢司
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-278734(JP,A)
【文献】特開2000-152477(JP,A)
【文献】特開2017-210990(JP,A)
【文献】特開2000-291835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/06
H02G 1/06
F16L 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に設けられた第1ダクトスリーブに取付けられ、前記壁体にケーブルを通すためのケーブル保護管であって、
前記第1ダクトスリーブにボルトにより接合された固定板と、
前記固定板に固定され、前記第1ダクトスリーブに接続される管部材の内部空間を区画するセパレート部と、
自身と前記固定板との間に前記セパレート部を挟み込んで固定する固定部材と、
を備えるケーブル保護管。
【請求項2】
前記固定板に取付けられた第2ダクトスリーブを備え、
前記セパレート部は、前記第2ダクトスリーブを挟み込んで保持する請求項1に記載のケーブル保護管。
【請求項3】
前記固定板には、貫通孔が形成され、
前記固定部材は、
前記貫通孔内に配置され、前記固定板における前記貫通孔の周縁部に係止する第1係止部と、
前記セパレート部の外面に係止し、前記第1係止部と連結された第2係止部と、
を有する請求項1に記載のケーブル保護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管部材の内部空間をセパレート部で区画した状態でケーブルを収納する、いわゆる1管セパレート方式のケーブル保護管が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
マス、マンホール、及び作業ホール等の特殊部と、ケーブル保護管と、の接続構造は、特許文献1及び2に開示されているように、特殊部の壁体に設けられるダクトスリーブ(第1ダクトスリーブ)内にリングを配置し、このリングの外周面をダクトスリーブの内周面に接着により固定している。ダクトスリーブにはケーブル保護管の管部材が接続され、リングにはケーブル保護管のセパレート部が接続される。
【0003】
しかしながら、ダクトスリーブとリングとを接着により固定する場合、ダクトスリーブの受口の内径とリングの外径とが適正な寸法関係にないと、固定が不完全となる。具体的には、ケーブル保護のリングは、生産時に寸法を管理することで、適正な寸法の範囲で生産できる。一方で、ダクトスリーブは、一定の範囲の寸法で生産したとしても、特殊部を製造する際に変形等を生じ、ダクトスリーブにリングが固定できない等の課題があった。具体的には、特殊部を製造する際には、通常、予めダクトスリーブを特殊部の型枠にセットした状態で、コンクリート等の特殊部の材料を型枠内に打設して硬化させる。このように特殊部を製造する際に、ダクトスリーブに変形等が生じる。
【0004】
このダクトスリーブに変形が生じる原因は、特殊部の製造方法、材料の違い等にある。例えば、コンクリート製の特殊部では、コンクリートの種類が特殊部を製造するメーカーにより異なる場合がある。また加工時に、ダクトスリーブに収縮が発生するが、製造条件の違い等により、ダクトスリーブの収縮率が異なる。このため、ダクトスリーブにおいてリングに接着される受口部における変形の程度が一定でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-278734号公報
【文献】特開2009-268185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されたケーブル保護では、自重等により、ダクトスリーブに対してケーブル保護管を真直ぐ挿入できず、ダクトスリーブに対してケーブル保護管が斜め挿入になることで、ダクトスリーブとケーブル保護管との接着が不完全になる虞がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、作業者の技量や施工環境等に左右されることなく、安定した施工品質を確保できるケーブル保護管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のケーブル保護管は、壁体に設けられた第1ダクトスリーブに取付けられ、前記壁体にケーブルを通すためのケーブル保護管であって、前記第1ダクトスリーブにボルトにより接合された固定板と、前記固定板に固定され、前記第1ダクトスリーブに接続される管部材の内部空間を区画するセパレート部と、自身と前記固定板との間に前記セパレート部を挟み込んで固定する固定部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、管部材はダクトスリーブに接続され、固定板はダクトスリーブにボルトにより接合され、さらにセパレート部は固定板に固定されている。このため、ダクトスリーブ及び固定板を介して管部材に対するセパレート部の位置や向きが保持され、作業者の技量や施工環境等に左右されることなく、安定した施工品質を確保することができる。
また、固定板にセパレート部を確実に固定することができる。
【0010】
また、上記のケーブル保護管において、前記固定板に取付けられた第2ダクトスリーブを備え、前記セパレート部は、前記第2ダクトスリーブを挟み込んで保持してもよい。
この発明によれば、固定板に固定されたセパレート部で第2ダクトスリーブを保持することで、固定板に対する第2ダクトスリーブの位置や向きを安定させることができる。
【0012】
また、上記のケーブル保護管において、前記固定板には、貫通孔が形成され、前記固定部材は、前記貫通孔内に配置され、前記固定板における前記貫通孔の周縁部に係止する第1係止部と、前記セパレート部の外面に係止し、前記第1係止部と連結された第2係止部と、を有してもよい。
この発明によれば、セパレート部を第1係止部及び第2係止部で挟み込んで固定板に固定することができる。その際に、第1係止部を貫通孔内に配置して、第1係止部が固定板から外部に突出しないようにして、固定板の外観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーブル保護管によれば、作業者の技量や施工環境等に左右されることなく、安定した施工品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のケーブル保護管の縦断面図である。
図2】同ケーブル保護管が固定されるダクトスリーブの縦断面図である。
図3】同ダクトスリーブの正面図である。
図4】同ケーブル保護管の正面図である。
図5】同ケーブル保護管の側面図である。
図6】同ケーブル保護管の平面図である。
図7図4中の要部の拡大図である。
図8】本発明の一実施形態の第1変形例における固定板の正面図である。
図9】同固定板の平面図である。
図10】本発明の一実施形態の第2変形例における固定板の正面図である。
図11】本発明の一実施形態の第3変形例におけるケーブル保護管の正面図である。
図12】同ケーブル保護管の側面図である。
図13】本発明の一実施形態の第4変形例におけるケーブル保護管の正面図である。
図14】同ケーブル保護管の側面図である。
図15】本発明の一実施形態の第5変形例におけるケーブル保護管の正面図である。
図16】同ケーブル保護管の側面図である。
図17】本発明の一実施形態の第6変形例におけるケーブル保護管の正面図である。
図18】同ケーブル保護管の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るケーブル保護管の一実施形態を、図1から図18を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のケーブル保護管1は、マス等の特殊部100の壁体101に固定されたダクトスリーブ(第1ダクトスリーブ)105に取付けて用いられる。ケーブル保護管1は、壁体101に図示しないケーブルを通すためのものである。
特殊部100の壁体101は、ケーブルの中継のために用いる作業孔G1を規定する。作業孔G1は、地中Gに形成されている。壁体101は、上下方向に沿って延びている。壁体101には、壁体101を壁体101の厚さ方向に貫通する連通孔102が形成されている。
特殊部100は、地面に沿って、例えば数十mごとに配置されている。
【0016】
ダクトスリーブ105、及びケーブル保護管1の後述する管部材10は、それぞれ管状に形成され、共通の軸線(中心軸)上に、この軸線に沿って位置をずらして配置されている。以下では、共通の軸線を軸線Oという。軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。ダクトスリーブ105に対する管部材10側を先端側と言い、管部材10に対するダクトスリーブ105側を基端側と言う。
【0017】
ダクトスリーブ105は、ポリ塩化ビニル等の熱伸縮性を有する合成樹脂材料で形成されている。図2及び図3に示すように、ダクトスリーブ105は、大径部106と、小径部107と、を備えている。
大径部106及び小径部107は、それぞれ管状に形成されている。大径部106の外径、内径は、小径部107の外径、内径よりもそれぞれ大きい。大径部106及び小径部107は、それぞれ軸線O上に、小径部107が大径部106よりも先端側に位置するように配置されている。大径部106と小径部107との接続部分には、段部(符号省略)がダクトスリーブ105の全周にわたって形成されている。
図1に示すように、大径部106は、壁体101の連通孔102内に配置され、壁体101に固定されている。ダクトスリーブ105は、地中Gに埋設され、水平面に沿って延びるように配置されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、ダクトスリーブ105の内部において、段部における基端側を向く面には、ナット108が埋め込まれている。ナット108は、軸線O回りに等角度ごとに複数(本実施形態では4つ)埋め込まれている。
図2に示すように、小径部107の内周面における先端側の部分には、小径部107の全周にわたって窪み107aが形成されている。窪み107aには、環状のシール部材110が配置されている。
【0019】
図1図4から図6に示すように、ケーブル保護管1は、固定板20と、セパレート部40と、を備えている。なお、図4中には、管部材10を二点鎖線で示す。
ダクトスリーブ105には、管部材10が接続されている。管部材10は、ダクトスリーブ105と同様の合成樹脂材料で形成されている。図1に示すように、管部材10は、水平面に沿って延びるように地中Gに埋設されている。管部材10は、縮径部11と、拡径部12と、を備えている。
縮径部11及び拡径部12は、それぞれ管状に形成されている。拡径部12の外径、内径は、縮径部11の外径、内径よりもそれぞれ大きい。拡径部12の内径及び縮径部11の外径は、互いに同程度である。縮径部11及び拡径部12は、それぞれ軸線O上に、拡径部12が縮径部11よりも先端側に位置するように配置されている。例えば、縮径部11の内径は、225mmである。
拡径部12の内周面における先端側の部分には、拡径部12の全周にわたって窪み12aが形成されている。窪み12aには、環状のシール部材14が配置されている。
縮径部11の内周面には、図示しない突条が一対形成されている。一対の突条は、軸線Oを挟むように配置され、縮径部11の全長にわたって延びている。
【0020】
縮径部11の基端部は、ダクトスリーブ105の小径部107内に配置されている。縮径部11と小径部107との間は、シール部材110により水密に封止されている。管部材10の縮径部11は、ダクトスリーブ105の小径部107に接続されている。
拡径部12内には、図示はしないが、別の管部材10の縮径部11が配置されている。拡径部12と別の管部材10の縮径部11との間は、シール部材14により水密に封止されている。
このように、複数の管部材10が軸線Oに沿って連なり、軸線O方向に隣り合う管部材10の間は、シール部材14により封止されている。複数の管部材10のうちの最も先端側の管部材10は、別の特殊部100に固定されたダクトスリーブ105に取付けられる。
【0021】
図4に示すように、固定板20は、正面視で半円形の板状に形成されている。固定板20は、固定板20の厚さ方向が軸線O方向に沿うように配置されている。固定板20は、上面が水平面に沿う平坦状であり、下面が下方に向かって凸となるよう湾曲した形状に形成されている。
固定板20における上部に配置された側面21は、セパレート部40の後述するセパレータ41に対応した形状に形成されている。
側面21は、図4における固定板20の正面視で、水平面に沿う左右方向に延びる第1平坦面21aと、第1平坦面21aの左右方向の各端部から傾斜して延びる一対の傾斜面21bと、一対の傾斜面21bにおける左右方向の各端部から左右方向の外側に向かって延びる一対の第2平坦面21cと、を備えている。
各傾斜面21bは、第1平坦面21aの各端部から、第1平坦面21aから離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。各第2平坦面21cは、傾斜面21bにおける第1平坦面21aに連結された端部とは反対側の端部から、第1平坦面21aから離間するように左右方向の外側に向かってに延びている。
【0022】
固定板20の基端側の外面における外縁部には、窪み22が形成されている。窪み22は、固定板20の径方向の外側に開口している。窪み22は、固定板20に、軸線O回りに90度ごとに3つ形成されている。すなわち、3つの窪み22のうちの1つは、固定板20の外縁部のうち軸線Oの下方の部分に配置されている。3つの窪み22のうちの残りの2つは、軸線Oを左右方向に挟む位置に配置されている。
3つの窪み22の底面の中心部には、挿通孔23が形成されている。挿通孔23は、窪み22の底面から固定板20の先端側の外面に達している。すなわち、各挿通孔23は、固定板20を軸線O方向に貫通している。固定板20には、軸線O回りに90度ごとに3つの挿通孔23が形成されている。
なお、挿通孔23は、軸線O回りに均等に90度ごとに配列しなくてもよい。この場合、ダクトスリーブ105のナット108も、挿通孔23に対応した位置に配置される。このように構成することで、ダクトスリーブ105に固定板20を取り付ける位置が固定され、逆向きや、横向き等の固定板20の取り付け間違いが起きなくなる。
【0023】
固定板20には、軸線O方向に延びてに固定板20を軸線O方向に貫通する第1挿通孔26及び第2挿通孔27がそれぞれ複数形成されている。第1挿通孔26の内径は、第2挿通孔27の内径よりも小さい。この実施形態では、固定板20において、各傾斜面21bにおける第1平坦面21a側の端部の下方に、第1挿通孔26(以下、第1挿通孔26Aとも言う)が形成されている。傾斜面21bと第2平坦面21cの接続部分の下方に、第1挿通孔26(以下、第1挿通孔26Bとも言う)が形成されている。すなわち、第1平坦面21a、一対の傾斜面21b、及び、一対の第2平坦面21cに沿って、4つの第1挿通孔26が並べて配置されている。固定板20における4つの第1挿通孔26のうち、2つ目の第1挿通孔26と3つ目の第1挿通孔26との間の部分の下方に、第1挿通孔26(以下、第1挿通孔26Cとも言う)が形成されている。すなわち、固定板20には、5つの第1挿通孔26が形成されている。
【0024】
複数の第1挿通孔26の下方に、複数の第2挿通孔27が形成されている。複数の第2挿通孔27の一部は、固定板20における第1挿通孔26Aと第1挿通孔26Bとの間の部分の下方に配置されている(以下、第2挿通孔27Aとも言う)。複数の第2挿通孔27の他の一部は、固定板20における第2挿通孔27Aと第1挿通孔26Cとの間の部分の下方に配置されている(以下、第2挿通孔27Bとも言う)。本実施形態では、固定板20に4つの第2挿通孔27が形成されている。複数の第1挿通孔26及び複数の第2挿通孔27は、固定板20の上部以外の外縁部を避けるように配置されている。
【0025】
固定板20における第1挿通孔26Aと第1挿通孔26Bとの間の部分には、軸線O方向に延びてに固定板20を軸線O方向に貫通する第1貫通孔(貫通孔)29が一対形成されている。第1貫通孔29の中心と軸線Oとの左右方向の距離は、35mm以上45mm以下であることが好ましい。
また、図7に示すように、固定板20には、各傾斜面21bから軸線O方向に直交(交差)する方向に延びて第1貫通孔29に達する第2貫通孔30が形成されている。第2貫通孔30の内径は、第1貫通孔29の内径よりも小さい。
【0026】
図4に示すように、固定板20の各第1挿通孔26には、第1鞘管ダクトスリーブ(第2ダクトスリーブ)32の基端部が接着剤等により固定されている。第1鞘管ダクトスリーブ32は、呼び径が30(外径34mm)とされ、軸線O方向に沿って延びている。第1鞘管ダクトスリーブ32には、第1鞘管(不図示)が接続されている。第1鞘管ダクトスリーブ32及び第1鞘管内には、ケーブルが収容されている。
固定板20の各第2挿通孔27には、第2鞘管ダクトスリーブ33の基端部が接着剤等により固定されている。第2鞘管ダクトスリーブ33は、呼び径が50(外径54mm)とされ、軸線O方向に沿って延びている。第2鞘管ダクトスリーブ33の外径、内径は、第1鞘管ダクトスリーブ32の外径、内径よりもそれぞれ大きい。第2鞘管ダクトスリーブ33には、第2鞘管(不図示)が接続されている。第2鞘管ダクトスリーブ33及び第2鞘管内には、ケーブルが収容されている。
図1に示すように、固定板20は、ダクトスリーブ105にボルト35により接合されている。すなわち、固定板20の挿通孔23に通されたボルト35がダクトスリーブ105のナット108に嵌め合わされることで、ダクトスリーブ105に固定板20が固定されている。
なお、図4では第1鞘管ダクトスリーブ32と第2鞘管ダクトスリーブ33とが異なる呼び径とされているが、これらは互いに同じ呼び径としてもよい。
【0027】
図4から図6に示すように、セパレート部40は、軸線O方向に沿って延びる板状に形成されている。セパレート部40は、セパレータ41と、脚部42と、を備えている。
図4に示すように、セパレータ41は、管部材10の内部空間Sを上側スペースS1と下側スペースS2とに区画する。
上側スペースS1は、いわゆる共用FA実効スペースである。上側スペースS1には、鞘管に収容されていないケーブルが複数収容されている。下側スペースS2には、鞘管に収容されたケーブルが複数収容されている。すなわち、上側スペースS1及び下側スペースS2の少なくとも一方に、ケーブルが収容されている。
【0028】
セパレータ41は、左右方向に延びる水平片44と、水平片44の左右方向の各端部から傾斜して延びる一対の傾斜片45と、を備えている。
各傾斜片45は、水平片44の各端部から、水平片44から離間するに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。各傾斜片45には、固定板20の第2貫通孔30に対応した位置に第1挿通孔45a(図7参照)が形成されている。また、図6に示すように、各傾斜片45には、第1挿通孔45aよりも先端側に、第2挿通孔45bが形成されている。第2挿通孔45bは、セパレート部40が外気の温度差により軸線O方向に伸縮する際の位置決め用の孔である。
図4及び図6に示すように、水平片44の基端部は、固定板20の第1平坦面21aに接触するように配置され、第1平坦面21aにより水平片44の下方から支持されている。各傾斜片45の基端部は、固定板20の傾斜面21bに接触するように配置され、傾斜面21bにより傾斜片45の下方から支持されている。
【0029】
図7に示すように、セパレータ41は、リベット(固定部材)47により固定板20に固定されている。リベット47は、第1係止部47aと、第2係止部47bと、連結部47cと、を備えている。第1係止部47aは、第1貫通孔29内に配置され、固定板20における第1貫通孔29の周縁部に係止している。第2係止部47bは、セパレート部40の傾斜片45の上面(外面)に、傾斜片45の上方から係止している。連結部47cは、セパレート部40の第1挿通孔45a及び固定板20の第2貫通孔30内に配置され、第1係止部47aと第2係止部47bとを連結している。
このように、リベット47は、固定板20との間にセパレート部40を挟み込んで固定している。
なお、固定部材を、ボルト及びナットで構成してもよいし、ネジで構成してもよい。固定部材をボルト及びナットで構成する場合、例えば、ナットは第1係止部に該当して第1貫通孔29内に配置され、固定板20における第1貫通孔29の周縁部に係止する。ボルトの頭部(第2係止部)は、セパレータ41の傾斜片45の上面に傾斜片45の上方から係止し、ボルトの軸部は、セパレート部40の第1挿通孔45a、及び固定板20の第2貫通孔30内に配置されるとともに、ナットに嵌め合う。
【0030】
図4から図6に示すように、脚部42は、セパレータ41に一対備えられている。一対の脚部42は、セパレータ41の各傾斜片45における左右方向の外側の端部から、管部材10の内周面に沿って下方に向かって延びている。
脚部42の上下方向の中間部及び下端部の基端は、脚部42の上端部の基端よりも先端側に配置され、これらの間に段差部49が形成されている。固定板20は、脚部42の段差部49に配置され、脚部42の上端部における基端部は、固定板20によりこの基端部の下方から支持されている。
【0031】
脚部42における上下方向の中間部には、径方向の外側の外面が径方向の内側に向かって窪んだ凹部(符号省略)が形成されている。凹部は、脚部42のうち凹部に隣接する部分よりも径方向の内側に向かって突出している。この径方向の内側に向かって突出した部分が、凸部50である。凹部は、管部材10の突条に係合している。これにより、管部材10に対してセパレート部40が軸線O回りに回転したり、上下方向に移動するのが規制されている。
図4に示すように、本実施形態では、セパレート部40の凸部50は、第1挿通孔26Bに固定された第1鞘管ダクトスリーブ32を、左右方向の外側かつ下方から支持している。なお、傾斜片45とセパレート部40の凸部50との間には、少なくとも第1鞘管ダクトスリーブ32が収まるように、セパレート部40の凸部50を配置することが好ましい。この第1鞘管ダクトスリーブ32の上部は、セパレート部40の傾斜片45に傾斜片45の下方から接触可能である。すなわち、セパレート部40は、第1鞘管ダクトスリーブ32を、第1鞘管ダクトスリーブ32の径方向に挟み込んで保持している。
図4に示す正面視において、セパレート部40の外径は固定板20の外径よりも小さい。
セパレート部40及び固定板20は、ダクトスリーブ105と同様の合成樹脂材料で形成されている。
【0032】
以上のように構成されたケーブル保護管1を施工するには、ダクトスリーブ105と固定板20とがボルト35により接合されているため、ダクトスリーブ105と固定板20とが接着剤により接合されている場合に比べて施工が容易になり、一人の作業者で施工を行うことができる。この施工の際に、ボルト35により接合するため、作業者の熟練度に影響されず、一定の施工品質を確保することができる。
ダクトスリーブ105が特殊部100の材料の種類や、特殊部100を製造する際の熱履歴による変形等の影響を受けること無く、特殊部100における一定の位置にダクトスリーブ105を取付けることができる。
たとえ、ダクトスリーブ105に固定板20をボルト35により接合する際に、接合位置の間違いがあっても、ボルト35を一度外して再び取付けることで、接合位置の修正を容易に行うことができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のケーブル保護管1によれば、管部材10はダクトスリーブ105に接続され、固定板20はダクトスリーブ105にボルト35により接合され、さらにセパレート部40は固定板20に固定されている。このため、ダクトスリーブ105及び固定板20を介して管部材10に対するセパレート部40の位置や向きが保持され、作業者の技量や施工環境等に左右されることなく、ケーブル保護管1の安定した施工品質を確保することができる。
【0034】
セパレート部40は、第1鞘管ダクトスリーブ32を挟み込んで保持している。固定板20に固定されたセパレート部40で第1鞘管ダクトスリーブ32を保持することで、固定板20に対する第1鞘管ダクトスリーブ32の位置や向きを安定させることができる。
ケーブル保護管1はリベット47を備えているため、固定板20にセパレート部40を確実に固定することができる。ケーブル保護管1が固定部材であるリベット47を備えることで、固定板20とセパレート部40とを接着剤で接続する場合に比べて、固定板20とセパレート部40とを強固に固定することができる。
【0035】
リベット47が第1係止部47a及び第2係止部47bを備えることで、セパレート部40を第1係止部47a及び第2係止部47bで挟み込んで固定板20に固定することができる。その際に、第1係止部47aを第1貫通孔29内に配置して、第1係止部47aが固定板20から外部に突出しないようにして、固定板20の外観を向上させることができる。
【0036】
本実施形態のケーブル保護管1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。なお、以下の図8から図10では、ケーブル保護管のうち固定板のみを示す。
図8及び図9に示す第1変形例の固定板20Aのように、固定板20Aに第1挿通孔26が形成されず、第2挿通孔27が形成されてもよい。
この第1変形例の固定板20Aでは、固定板20Aにおいて、第1平坦面21aの下方に、第2挿通孔27(以下、第2挿通孔27Cとも言う)が形成されている。傾斜面21bと第2平坦面21cの接続部分の下方に、第2挿通孔27(以下、第2挿通孔27Dとも言う)が形成されている。すなわち、第1平坦面21a、一対の傾斜面21b、及び、一対の第2平坦面21cに沿って、3つの第2挿通孔27が並べて配置されている。
固定板20Aにおいて、第2挿通孔27Cの下方に、第2挿通孔27(以下、第2挿通孔27Eとも言う)が形成されている。固定板20Aにおいて、第2挿通孔27Eと第2挿通孔27Dとの間の部分に、第2挿通孔27(以下、第2挿通孔27Fとも言う)が形成されている。
第1変形例の固定板20Aでは、固定板20Aに6つの第2挿通孔27が形成されている。
【0037】
図10に示す第2変形例の固定板20Bのように、本実施形態の固定板20における一対の第1挿通孔26A及び第1挿通孔26Cに代えて、第1変形例の固定板20Aの第2挿通孔27Cが形成されてもよい。
【0038】
図11及び図12に示す第3変形例のケーブル保護管1Aでは、固定板55が正面視で円形の板状に形成されている。
固定板55では、本実施形態のケーブル保護管1の固定板20において、一対の第2平坦面21cの一部同士を接続する円弧状の補強部材57が設けられている。補強部材57と、第1平坦面21a及び一対の傾斜面21bとの間には、開口部56が形成されている。固定板20に補強部材57が設けられることで、固定板55の剛性は固定板20の剛性よりも高い。
補強部材57の径方向の内側の縁部は、管部材10の内周面に対応した形状に形成されている。開口部56は正面視で扇状を呈している。開口部56は、いわゆる共用FA開口部である。
補強部材57の上端部には、前記窪み22及び挿通孔23が形成されている。固定板55には、軸線O回りに90度ごとに4つの挿通孔23が形成されている。
【0039】
図13及び図14に示す第4変形例のケーブル保護管1Bでは、固定板55Aの開口部56Aは正面視で左右方向を長径とする楕円状を呈している。開口部56Aの内接円の径は、100mm以上であることが好ましい。
図15及び図16に示す第5変形例のケーブル保護管1Cでは、固定板55Bの開口部56Bは正面視で矩形状を呈している。開口部56Bの上部の内面は、左右方向に沿って延びている。開口部56Bの左右方向の端部の内面は、開口部56Bの上部の内面における左右方向の端部から、下方に向かって延びている。
【0040】
図17及び図18に示す第6変形例のケーブル保護管1Dでは、ケーブル保護管1Aに対して、固定板55に窪み22及び挿通孔23を形成する位置が、軸線O回りに45度ずれている。この場合、ダクトスリーブ105における窪み22及び挿通孔23に対応する位置に、ナット108が埋め込まれている。
このように構成することで、妻壁への取り付け位置が低い時等に、ボルト35の締め付け作業がしやすくなる。
以上のように、固定板に窪み22及び挿通孔23を形成する数や、軸線O回りの位置は、特に限定されない。
【0041】
以上、本発明の一実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態及び変形例では、セパレート部40に凸部50は形成されず、管部材10に突条は形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,1A,1B,1C,1D ケーブル保護管
10 管部材
20,20A,20B,55,55A,55B 固定板
29 第1貫通孔(貫通孔)
30 第2貫通孔
32 第1鞘管ダクトスリーブ(第2ダクトスリーブ)
35 ボルト
40 セパレート部
47 リベット(固定部材)
101 壁体
105 ダクトスリーブ(第1ダクトスリーブ)
O 軸線
S 内部空間
図1
図2
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