(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】おむつ包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20230913BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20230913BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20230913BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B65D85/07
A61F13/15 210
A61F13/496
A61F13/551 100
(21)【出願番号】P 2019133851
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中岡 健次
(72)【発明者】
【氏名】横川 廣伸
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-042028(JP,A)
【文献】特表2016-509954(JP,A)
【文献】特開2011-111165(JP,A)
【文献】国際公開第2013/136252(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/07
A61F 13/15
A61F 13/496
A61F 13/551
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツタイプの使い捨ておむつが複数容器内に収容されたおむつ包装体であって、
前記使い捨ておむつは
吸収性コアを備え、股部の折り目で区分された前側部と後側部を有し、後側部に廃棄用テープが設けられ
ており、
前記廃棄用テープは固定部とつまみ部を有し、前記使い捨ておむつの上下方向に長い形状を有し、
前記廃棄用テープは前記固定部で前記後側部に固定され、前記固定部が前記吸収性コアと重なる位置に設けられ、前記つまみ部は前記廃棄用テープの上方端に形成され、前記つまみ部の少なくとも一部が前記吸収性コアの後側端よりも後方に位置し、
前記使い捨ておむつは、前記前側部を内側にして
幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように折り返され、さらに前記前側部を内側にして上下方向に折り返されることにより、折り畳まれたおむつが形成され、
折り畳まれたおむつは第1主面と第2主面を有し、第1主面に前記廃棄用テープのつまみ部が位置しており、
折り畳まれたおむつは複数積み重ねられておむつ束を形成し、前記おむつ束が前記容器内に収容され、
前記おむつ束の一方端に位置する折り畳まれたおむつと他方端に位置する折り畳まれたおむつは、前記第2主面がおむつ束の外面を形成するとともに前記容器の内側面に対向しており、
前記股部の折り目を第1折り目とし、前記前側部を内側にして上下方向に折り返す折り目を第2折り目としたとき、前記容器は、
第2折り目が向く方向に取出部が形成可能となっていることを特徴とするおむつ包装体。
【請求項2】
前記折り畳まれたおむつは、折り返された幅方向の両側部が互いに離隔しており、
前記廃棄用テープのつまみ部は、折り返された幅方向の両側部の離隔部と重なって設けられている請求項
1に記載のおむつ包装体。
【請求項3】
前記廃棄用テープは、前記使い捨ておむつの上下方向の断面でZ字状に折り畳まれ、折り畳まれた廃棄用テープの最外層の上方端につまみ部が形成されている請求項
1または2に記載のおむつ包装体。
【請求項4】
前記おむつ束は、複数積み重ねられた折り畳まれたおむつのうち1箇所のみで第1主面どうしが向かい合って配置されている請求項1~
3のいずれか一項に記載のおむつ包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつが複数容器内に収容されたおむつ包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パンツタイプの使い捨ておむつが容器内に収容されたおむつ包装体が知られている。例えば特許文献1には、背側部に使い捨て着用物品の廃棄時止着用の廃棄テープが設けられたパンツ型の使い捨て着用物品を、複数個包装材で包装した使い捨て着用物品の包装構造であって、使い捨て着用物品は、隣接する一方の着用物品の腹側部と他方の着用物品の背側部とを対向させて包装され、何れも股下部が背側部側に向けて折り返されている使い捨て着用物品の包装構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おむつ包装体では、容器から使い捨ておむつを取り出す際、使い捨ておむつをスムーズに取り出せることが望ましい。例えばパンツタイプの使い捨ておむつでは、背側に廃棄用テープが設けられる場合があるが、使い捨ておむつを容器から取り出す際に廃棄用テープが容器の内側面に引っ掛かったりしないことが望まれる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃棄用テープを備えたパンツタイプの使い捨ておむつが複数積み重ねられて容器内に収容されたおむつ包装体であって、使い捨ておむつをスムーズに取り出すことができるおむつ包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明のおむつ包装体とは、パンツタイプの使い捨ておむつが複数容器内に収容されたおむつ包装体であって;使い捨ておむつは、股部の折り目で区分された前側部と後側部を有し、後側部に廃棄用テープが設けられ、前側部を内側にして折り返されることにより、折り畳まれたおむつが形成され;折り畳まれたおむつは第1主面と第2主面を有し、第1主面に廃棄用テープのつまみ部が位置しており;折り畳まれたおむつは複数積み重ねられておむつ束を形成し、おむつ束が容器内に収容され;おむつ束の一方端に位置する折り畳まれたおむつと他方端に位置する折り畳まれたおむつは、第2主面がおむつ束の外面を形成するとともに容器の内側面に対向しており;容器は、おむつ束の積み重ね方向に垂直な方向に取出部が形成可能となっているところに特徴を有する。
【0007】
本発明のおむつ包装体は、容器から使い捨ておむつを取り出す際、おむつ束のどの箇所からもおむつをスムーズに取り出すことができる。特に、折り畳まれたおむつが、第1主面すなわち廃棄用テープのつまみ部が位置する面が容器の内側面と対向しないように容器内に収容されているため、おむつ束の一方端や他方端から使い捨ておむつを取り出す場合でも、おむつが容器の内側面に引っ掛かったりせずにスムーズに取り出すことができる。一方、おむつ束のそれ以外の箇所では、廃棄用テープのつまみ部が隣接する折り畳まれたおむつに対向するように位置するため、容器の内側面と比べてつまみ部が強く接触せず、容器から使い捨ておむつを取り出す際に、つまみ部が引っ掛からずにスムーズに取り出すことができる。
【0008】
使い捨ておむつは、前側部を内側にして幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように折り返され、さらに前側部を内側にして上下方向に折り返されることにより、折り畳まれたおむつが形成されていることが好ましい。この場合、股部の折り目を第1折り目とし、前側部を内側にして上下方向に折り返す折り目を第2折り目としたとき、容器は、第1折り目または第2折り目が向く方向に取出部が形成可能となっていることが好ましい。これにより、容器の取出部から使い捨ておむつを取り出す際、折り畳まれたおむつの第1折り目や第2折り目を掴んで取り出すことができ、折り畳まれたおむつを容器から取り出しやすくなる。
【0009】
折り畳まれたおむつは、折り返された幅方向の両側部が互いに離隔しており、廃棄用テープのつまみ部は、折り返された幅方向の両側部の離隔部と重なって設けられていることが好ましい。この場合、離隔部と重なる部分で折り畳まれたおむつの厚みが薄くなるため、容器内に収容された折り畳まれたおむつのつまみ部が隣接した折り畳まれたおむつに強く接触しにくくなり、容器からおむつを取り出す際につまみ部が引っ掛かりにくくなる。
【0010】
廃棄用テープは、使い捨ておむつの上下方向に長い形状を有し、上方端につまみ部が形成され、容器は、第2折り目が向く方向に取出部が形成可能となっていることが好ましい。廃棄用テープは、使い捨ておむつの上下方向の断面でZ字状に折り畳まれ、折り畳まれた廃棄用テープの最外層の上方端につまみ部が形成されていてもよい。このようにおむつ包装体が構成されることにより、第2折り目を掴んで折り畳まれたおむつを容器から取り出しやすくなるとともに、容器からおむつを取り出す際に、廃棄用テープのつまみ部が隣接した折り畳まれたおむつに引っ掛かりにくくなる。
【0011】
使い捨ておむつは吸収性コアを有し、廃棄用テープのつまみ部は、吸収性コアの後側端よりも後方に位置することが好ましい。このように廃棄用テープが設けられることにより、折り畳まれたおむつが容器内に収容された状態で、つまみ部が隣接した折り畳まれたおむつに強く接触しにくくなり、容器からおむつを取り出す際につまみ部が引っ掛かりにくくなる。
【0012】
おむつ束は、複数積み重ねられた折り畳まれたおむつのうち1箇所のみで第1主面どうしが向かい合って配置されていることが好ましい。このようにおむつ束が形成されていれば、廃棄用テープのつまみ部が位置する第1主面どうしが向き合って配置される箇所が最小限で済む。そのため、容器から折り畳まれたおむつを取り出す際に、隣接して配置された折り畳まれたおむつのつまみ部どうしの接触が最小限に抑えられ、つまみ部が引っ掛かることが起こりにくくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のおむつ包装体によれば、容器から使い捨ておむつを取り出す際、おむつ束のどの箇所からもおむつをスムーズに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】おむつ包装体に用いられるパンツタイプの使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつを前側部から見た斜視図を表す。
【
図2】
図1に示した使い捨ておむつを後側部から見た斜視図を表す。
【
図3】使い捨ておむつの後側部に設けられる廃棄用テープの断面図の例を表す。
【
図4】
図1および
図2に示したパンツタイプの使い捨ておむつの折り畳み方法の一例を表す。
【
図5】折り畳んだおむつの平面図および側面図を表す。
【
図6】折り畳んだおむつが容器に収容されたおむつ包装体の一例を表す。
【
図7】折り畳んだおむつが容器に収容されたおむつ包装体の他の一例を表す。
【
図8】折り畳んだおむつが容器に収容されたおむつ包装体の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつが複数、容器内に収容されたおむつ包装体に関するものである。使い捨ておむつは使用前、おむつ包装体として店頭販売されたり、病院や介護施設等に搬入され、使用の際、使用者がおむつ包装体の容器の取出部からおむつを取り出す。本発明のおむつ包装体は、おむつ包装体の容器の取出部からおむつを取り出す際に、容器内のどの箇所からおむつを取り出してもスムーズにおむつを取り出すことができるものである。本発明で用いられるパンツタイプの使い捨ておむつについてまず説明する。
【0016】
パンツタイプの使い捨ておむつは、前側部と後側部が股部の折り目で繋がって形成され、前側部の幅方向の両側部と後側部の幅方向の両側部とが互いに接合されることにより、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成されている。ウェスト開口部は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部は着用者の脚を通すための開口である。
【0017】
パンツタイプの使い捨ておむつにおいて、前側部は、おむつを着用の際に着用者の腹側に位置する部分であり、後側部は、おむつを着用の際に着用者の背側に位置する部分である。股部は前側部と後側部の間に位置し、使い捨ておむつを平面状に置いた状態で、股部の折り目を境にして前側部と後側部とが区分される。使い捨ておむつは、平面状に置いた状態で上下方向と幅方向が定められ、ウェスト開口部側が上側となり、股部側が下側となる。幅方向は、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。
【0018】
パンツタイプの使い捨ておむつは、例えば、パンツ形状を有する外装部材の肌面側に、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配された吸収性本体が配されて構成される。あるいは、パンツタイプの使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配された積層体からなり、この積層体がパンツ形状に形成されてもよい。使い捨ておむつは、少なくとも股部に吸収性コアが備えられることが好ましい。
【0019】
トップシートは、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0020】
バックシートは、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、バックシートとして、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0021】
外装部材は、肌面側に配された内側シートと、非肌面側に配された外側シートから構成されていることが好ましい。内側シートと外側シートは液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。内側シートと外側シートは透湿性であることが好ましく、これにより、おむつの着用感を向上させることができる。
【0022】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0023】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0024】
使い捨ておむつは、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側にサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部分(立ち上がりフラップが立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材を設けることにより形成することができる。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0025】
使い捨ておむつには、脚開口部の縁に沿って脚部弾性部材が設けられることが好ましい。脚部弾性部材によって、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。脚部弾性部材は、外装部材の内側シートと外側シートの間に配されることが好ましい。
【0026】
使い捨ておむつの前側部と後側部には、おむつの幅方向に延びる複数の胴部弾性部材が設けられることが好ましい。胴部弾性部材は、ウェスト開口部と脚開口部の間に設けられる。胴部弾性部材により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。胴部弾性部材は、外装部材の内側シートと外側シートの間に配されることが好ましい。なお、胴部弾性部材のうち、ウェスト開口部の縁に沿って設けられる弾性部材を腰部弾性部材として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0027】
使い捨ておむつに設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0028】
図1および
図2には、パンツタイプの使い捨ておむつの構成例を示した。
図1は、使い捨ておむつを前側部から見た斜視図を表し、
図2は、使い捨ておむつを後側部から見た斜視図を表す。
【0029】
使い捨ておむつ1はパンツ形状に形成されており、前側部2と後側部3とを有する。前側部2と後側部3は、股部の折り目4で区分される。使い捨ておむつ1には、前側部2から後側部3にかけて吸収性コア5が設けられている。
【0030】
前側部2と後側部3とは、股部の折り目4を挟んで形成されて互いに重ねられ、重ねられた前側部2と後側部3とは、幅方向の両側部が互いに接合されて、ウェスト開口部と脚開口部が形成される。使い捨ておむつ1には、ウェスト開口部の縁に沿って腰部弾性部材6が設けられ、脚開口部の縁に沿って脚部弾性部材7が設けられ、前側部2と後側部3の胴周り部にはおむつの幅方向に沿って胴部弾性部材8が設けられている。
【0031】
使い捨ておむつ1は、後側部3に廃棄用テープ9が設けられている。廃棄用テープ9は、おむつを廃棄する際に粘着部を露出させ、粘着テープとして機能させる。使い捨ておむつ1を廃棄する際は、廃棄用テープ9を使用することにより、おむつを小さく丸めた状態で保持することができる。
【0032】
図3には、廃棄用テープの構成例を示した。
図3には、廃棄用テープの長尺方向の断面図の例が示されている。廃棄用テープ9は、長尺状に形成され、テープ基材に粘着部12が設けられて構成される。
【0033】
廃棄用テープ9は、後側部3に固定された固定部11と、廃棄用テープ9を使用する際に指でつまむ部分としてつまみ部10を有する。つまみ部10は廃棄用テープ9の長手方向の端部に形成され、つまみ部10には粘着部12が設けられない。従って、未使用状態の使い捨ておむつでは、つまみ部10はフラップ状に形成され、つまみ部10が他部材に引っ掛かり得る状態となる。粘着部12は、廃棄用テープ9の長手方向に対して、固定部11とつまみ部10の間に設けられることが好ましい。
【0034】
廃棄用テープ9は、使い捨ておむつ1の上下方向に長い形状を有することが好ましい。この場合、つまみ部10は廃棄用テープ9の上方端に形成されることが好ましく、これにより、使い捨ておむつの廃棄の際に衛生的に処理しやすくなる。具体的には、着用者からの排泄物を吸収した股部を内側に胴周り部を外側にして使い捨ておむつを丸め、廃棄用テープ9で貼り付けることにより、丸めた状態を維持することができるため、使い捨ておむつを衛生的に処理しやすくなる。
【0035】
廃棄用テープ9のつまみ部10は、例えば、吸収性コア5の後側端から後方に20mm以内に設けられていることが好ましく、15mm以内がより好ましく、10mm以内がさらに好ましい。このようにつまみ部10が設けられていれば、吸収性コア5の後側端の厚みの違いによる段差を利用して、廃棄用テープ9を使用の際につまみ部10をつまみやすくなる。一方、固定部11は吸収性コア5と重なる位置に設けられることが好ましく、これにより、使い捨ておむつを廃棄する際、廃棄用テープ9のつまみ部10をつまんで引っ張りながら、おむつを小さくまとめることが容易になる。
【0036】
廃棄用テープ9は、
図3(a)に示すように、一方端に固定部11が形成され、他方端につまみ部10が形成され、固定部11とつまみ部10の間に粘着部12が設けられ、固定部11からつまみ部10にかけて廃棄用テープ9がおむつの上方に向かって真っ直ぐ延びるように形成することができる。この場合、廃棄用テープ9は、おむつの上下方向の断面でI字状に形成されることとなる。
【0037】
廃棄用テープ9は、
図3(b)に示すように、おむつの上下方向の断面で折り畳まれて形成されていてもよい。この場合、廃棄用テープ9を使用する際に折り畳みを展開することで廃棄用テープ9の長さを長くすることができるため、廃棄用テープ9によって使い捨ておむつを小さく丸めた状態でより安定して維持しやすくなる。この場合、つまみ部10は、折り畳まれた廃棄用テープ9の最外層の上方端に形成されることが好ましい。固定部11は、折り畳まれた廃棄用テープ9の最内層(すなわち後側部3と接する層)の少なくとも一部に形成されることが好ましい。粘着部12は、廃棄用テープ9を展開した状態で固定部11とつまみ部10の間に形成されることが好ましい。このように粘着部12が設けられれば、廃棄用テープ9の使用前、粘着部12によって廃棄用テープ9が折り畳まれた状態を維持しやすくなる。廃棄用テープ9の取り扱い性の点からは、廃棄用テープ9はおむつの上下方向の断面でZ字状に折り畳まれることが好ましい。
【0038】
使い捨ておむつ1は、前側部2を内側にして折り返されることにより、折り畳まれたおむつが形成される。折り畳まれたおむつは、パンツ形状の使い捨ておむつ1が幅方向や上下方向に折り返されることにより、平面視略矩形状に形成されることが好ましい。これにより折り畳まれたおむつがコンパクトに形成され、容器内に密に収容することができる。使い捨ておむつ1は、前側部2を内側にして幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように折り返され、さらに前側部2を内側にして上下方向に折り返されることが好ましい。これについて
図4を参照して説明する。
【0039】
図4には、
図1および
図2に示したパンツタイプの使い捨ておむつの折り畳み方法の一例を示した。
図4に示すように、使い捨ておむつ1は、幅方向に両側部21とこれらの間の中央部22とに区分され、上下方向に上方部23と下方部24とに区分される。
図4では、両側部21と中央部22とがA-A線で区分され、上方部23と下方部24とがB-B線で区分されている。使い捨ておむつ1は、前側部2を内側にして両側部21がA-A線で中央部22側に折り返され、両側部21が中央部22に重ねられ(
図4(a),(b)参照)、次いで、使い捨ておむつ1は、前側部2を内側にして上下方向に折り返されることにより、折り畳まれたおむつ30が形成される(
図4(b),(c)参照)。なお、本発明において、使い捨ておむつ1を上下方向に折り返すことにより形成される折り目25を「第2折り目」と称し、前側部2と後側部3を区分する股部の折り目4を「第1折り目」と称する場合がある。
【0040】
図4において、両側部21を中央部22側に折り返すA-A線は、吸収性コア5の非存在部分に形成されることが好ましい。これにより、吸収性コア5どうしが折り重なることによって折り畳まれたおむつ30の厚みが過度に厚くなることが抑えられる。また、使い捨ておむつ1の両側部21を中央部22と重なるように折り返す際、折り返された両側部21は互いに離隔していることが好ましい。この場合、折り返された両側部21どうしが重なり合うことによって両側部21が不規則に折り返されることが抑えられ、使い捨ておむつ1をきれいに折り畳むことができる。また、折り畳まれたおむつ30の厚みが厚くなることを抑えることもできる。
【0041】
図4では、下方部24がB-B線で上方部23側に折り返されて、下方部24が上方部23に重ねられ、上下方向に2つ折りされているが、使い捨ておむつ1は例えば上下方向に3つ折りされてもよい。なお、折り畳まれたおむつ30の厚みが過度に厚くならないようにする点から、折り畳まれたおむつ30は、使い捨ておむつ1が上下方向に2つ折りされることが好ましい。また、B-B線は前側部2の吸収性コア5と後側部3の吸収性コア5の両方と重なっていることが好ましく、これにより、折り畳まれたおむつ30の平面形状が安定化する。この場合、折り畳まれたおむつ30の第1折り目4から第2折り目25までの長さは、折り畳まれたおむつ30の上下方向の長さの75%以上となることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
【0042】
図5には、上記のように形成された折り畳まれたおむつ30の平面図と側面図を示した。
図5(a)は折り畳まれたおむつを第1主面からみた平面図を表し、
図5(b)は折り畳まれたおむつを第2主面からみた平面図を表し、
図5(c)は折り畳まれたおむつの側面図を表す。
【0043】
折り畳まれたおむつ30は、第1主面31と第2主面32を有する。第1主面31と第2主面32は、折り畳まれたおむつ30の外面の最も広い面を構成し、第1主面31の反対側に第2主面32が位置する。第1主面31には、廃棄用テープ9のつまみ部10が位置する。第1主面31に廃棄用テープ9のつまみ部10が位置することにより、折り畳まれたおむつ30の外観から、つまみ部10を目印にして、使い捨ておむつ1の前側と後側を容易に認識することができる。
【0044】
廃棄用テープ9のつまみ部10以外の部分は、第1主面31に位置していてもよく、第2主面32に位置していてもよく、第1主面31から第2主面32にかけて位置していてもよい。なお、第2主面32には廃棄用テープ9のつまみ部10は位置しない。
【0045】
図6~
図8には、折り畳まれたおむつが複数容器内に収容されたおむつ包装体の構成例を示した。
図6~
図8では、おむつ包装体を側面から見た図を模式的に示しており、容器内に収容された折り畳まれたおむつは、容器の外側から不可視であるが、理解を容易にするために実線で表している。図中の「・・・」は、折り畳まれたおむつがその両側と同様に複数配置されていることを表している。
【0046】
折り畳まれたおむつ30は複数積み重ねられておむつ束を形成し、使い捨ておむつ1は、おむつ束の状態で容器33内に収容されることで、おむつ包装体40が形成される。このように使い捨ておむつ1を容器33内に収容することで、使い捨ておむつ1を高密度にパッキングできるとともに、容器33から使い捨ておむつ1を取り出すことが容易になる。
【0047】
おむつ束は、隣接する折り畳まれたおむつ30の第1主面31どうし、第2主面32どうし、または第1主面31と第2主面32が対向するように、折り畳まれたおむつ30が積み重ねられる。おむつ束は、折り畳まれたおむつ30の積み重ね方向に対して一方側と他方側を有する、おむつ束の最も一方側(すなわち一方端)に位置する折り畳まれたおむつ30と最も他方側(すなわち他方端)に位置する折り畳まれたおむつ30は、第2主面32がおむつ束の外面を形成するように、折り畳まれたおむつ30が積み重ねられる。このようにおむつ束が形成されることにより、おむつ束の外面には廃棄用テープ9のつまみ部10が位置しないこととなる。
【0048】
おむつ包装体40は、上記のように形成されたおむつ束が容器33内に収容される。おむつ束は、積み重ね方向に対する一方端と他方端が折り畳まれたおむつ30の第2主面32によって構成されるため、第2主面32が容器33の内側面に対向するように容器33内に配置されることとなる。容器33に収容されおむつ束は1つのみでも、2つ以上でもよい。後者の場合、おむつ束は、容器33内で上下に複数段積まれてもよく、左右に並んで配置されてもよく、またこれらの組み合わせでもよい。
【0049】
折り畳まれたおむつ30は、第1折り目4や第2折り目25がおむつ束の側面を形成するように、すなわち、第1折り目4や第2折り目25がおむつ束の積み重ね方向に垂直な方向を向くように、積み重ねられる。好ましくは、全ての折り畳まれたおむつ30の第1折り目4および/または第2折り目25が同じ方向を向くように、おむつ束が形成される。
【0050】
容器33は、折り畳まれたおむつ30を収容できるものであれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム製の袋、紙製の袋、プラスチック製の硬質容器、段ボール箱等が挙げられる。なかでも容器33はプラスチックフィルム製の袋から構成されることが好ましく、これにより、容器33の高強度化と軽量化を図ることができる。また、容器33に水がかかっても、内部に収容されたおむつが濡れることを防ぐことができる。
【0051】
容器33は、内部に収容された折り畳まれたおむつ30を取り出すための取出部が形成可能となっている。容器33の取出部は、例えば
図6~
図8に示すように、容器33にミシン目34が形成され、ミシン目34に沿って容器33を切断することで形成することができる。あるいは、容器33に切断線を設け、この切断線を含んでシールを貼り、シールを剥がすことにより容器33が切断線に沿って切断され、取出部が形成されるものでもよい。また、取出部として容器33に開口が設けられ、この開口を塞ぐように蓋を設けたりシールを貼り、蓋を取ったりシールを剥がすことにより取出部が形成されるものでもよい。いずれの場合も、容器33は取出部が形成可能となっていればよい。なお
図6~
図8に示したおむつ包装体40では、ミシン目34に沿って容器33を切断することで、容器33の上面(図面における上側)に取出部が形成される。
【0052】
容器33は、おむつ束の積み重ね方向に垂直な方向に取出部が形成可能となっている。好ましくは、容器33は、おむつ束において折り畳まれたおむつ30の第1折り目4または第2折り目25が向く方向に取出部が形成可能となっている。これにより、容器33の取出部から使い捨ておむつ1を取り出す際、折り畳まれたおむつ30の第1折り目4や第2折り目25を掴んで取り出すことができる。
【0053】
上記のように形成されたおむつ包装体40は、容器33から使い捨ておむつ1を取り出す際、おむつ束のどの箇所からもおむつをスムーズに取り出すことができる。特に本発明では、おむつ束の一方端や他方端から使い捨ておむつ1を取り出す場合でも、おむつが容器33の内側面に引っ掛かったりせずにスムーズに取り出すことができる。例えば、おむつ束の一方端や他方端に位置する折り畳まれたおむつ30が、第1主面31すなわち廃棄用テープ9のつまみ部10が位置する面がおむつ束の外面となるように配置されている場合は、つまみ部10と容器33の内側面との接触抵抗により、おむつを容器33から取り出す際につまみ部10が容器33の内側面に引っ掛かったり、場合によっては廃棄用テープ9の粘着部が露出して容器33の内側面に貼り付くおそれがある。しかし本発明のおむつ包装体40は、折り畳まれたおむつ30が、第1主面31すなわち廃棄用テープ9のつまみ部10が位置する面が容器33の内側面と対向しないように容器33内に収容されているため、そのような懸念は不要であり、おむつ束の一方端や他方端からでも折り畳まれたおむつ30をスムーズに取り出すことができる。また、それ以外の箇所からでも、廃棄用テープ9のつまみ部10が隣接する折り畳まれたおむつ30に対向するように位置するため、容器33の内側面と比べてつまみ部10が強く接触せず、容器33からおむつを取り出す際に、つまみ部10が引っ掛からずにスムーズに取り出すことができる。
【0054】
つまみ部10は、廃棄用テープ9の上方端(おむつの上下方向に対する上方端)に形成され、容器33の取出部は、折り畳まれたおむつ30の第2折り目25が向く方向に形成可能となっていることが好ましい。廃棄用テープ9がおむつの上下方向の断面でZ字状などに折り畳まれている場合は、折り畳まれた廃棄用テープ9の最外層の上方端につまみ部10が形成され、容器33の取出部が、折り畳まれたおむつ30の第2折り目25が向く方向に形成可能となっていることが好ましい。
図7および
図8では、そのようにおむつ包装体40が構成されている。このようにおむつ包装体40が構成されることにより、第2折り目25を掴んで折り畳まれたおむつ30を容器33から取り出しやすくなるとともに、容器33からおむつを取り出す際に、廃棄用テープ9のつまみ部10が、隣接して配置された折り畳まれたおむつ30に引っ掛かりにくくなる。
【0055】
おむつ束は、複数積み重ねられた折り畳まれたおむつ30のうち1箇所のみで第1主面31どうしが向かい合って配置されていることが好ましい。このようにおむつ束が形成されていれば、廃棄用テープ9のつまみ部10が向き合って配置される箇所が最小限で済む。そのため、容器33から折り畳まれたおむつ30を取り出す際に、隣接して配置された折り畳まれたおむつ30のつまみ部10どうしの接触が最小限に抑えられ、つまみ部10が引っ掛かることが起こりにくくなる。
図6~
図8では、そのように折り畳まれたおむつ30が積み重ねられている。
【0056】
第1主面31どうしが向かい合って配置される箇所は、おむつ束のいずれの部分であってもよい。例えば、
図6や
図7に示すように、おむつ束の一方端に位置する折り畳まれたおむつ30とそれに隣接する折り畳まれたおむつ30が、第1主面31どうしが向かい合って配置されていてもよく、
図8に示すように、それ以外の箇所で隣接する折り畳まれたおむつ30の第1主面31どうしが向かい合って配置されていてもよい。また、おむつ束の複数箇所で隣接する折り畳まれたおむつ30の第1主面31どうしが向かい合って配置されていてもよく、隣接する折り畳まれたおむつ30の第2主面32どうしが向かい合うように配置されていてもよい。
【0057】
廃棄用テープ9のつまみ部10は、吸収性コア5の後側端よりも後方に位置することが好ましい。詳細には、廃棄用テープ9のつまみ部10の少なくとも一部が、吸収性コア5の後方端よりも後方に位置することが好ましく、つまみ部10の全部が、吸収性コア5の後方端よりも後方に位置することがより好ましい。折り畳まれたおむつ30は、吸収性コア5の存在部分、特に吸収性コア5が折り重なった部分で厚みが厚くなるため、折り畳まれたおむつ30の厚みが厚くなった部分に廃棄用テープ9のつまみ部10が位置すると、つまみ部10が隣接した折り畳まれたおむつ30に強く接触しやすくなる。しかし、上記のように廃棄用テープ9のつまみ部10が設けられていれば、折り畳まれたおむつ30が容器33内に収容された状態で、つまみ部10が隣接した折り畳まれたおむつ30に強く接触しにくくなり、容器33からおむつを取り出す際につまみ部10が引っ掛かりにくくなる。
【0058】
同様の観点から、折り畳まれたおむつ30は、折り返された幅方向の両側部21が互いに離隔し、廃棄用テープ9のつまみ部10は、折り返された幅方向の両側部21の離隔部と重なって設けられていることが好ましい。この場合は、離隔部と重なる部分で折り畳まれたおむつ30の厚みが薄くなることによって、つまみ部10が隣接した折り畳まれたおむつ30に強く接触しにくくなり、容器33からおむつを取り出す際につまみ部10が引っ掛かりにくくなる。
【符号の説明】
【0059】
1: 使い捨ておむつ
2: 前側部
3: 後側部
4: 股部の折り目(第1折り目)
5: 吸収性コア
9: 廃棄用テープ
10: つまみ部
11: 固定部
12: 粘着部
21: 両側部
22: 中央部
23: 上方部
24: 下方部
25: 第2折り目
30: 折り畳まれたおむつ
31: 第1主面
32: 第2主面
33: 容器
40: おむつ包装体