(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ナット締め装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20230913BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B23P19/06 K
B23P19/06 E
B25B23/14 610Y
(21)【出願番号】P 2019137892
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025593(JP,A)
【文献】実開平01-074030(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0102261(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25B 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源の駆動を受け回転可能なビット軸と、このビット軸と一体に回転するボックスビットと、前記ビット軸の外周に配設される測定部と、前記回転駆動源の駆動を制御する制御部と、ボックスビット内部およびビット軸内部を摺動自在な測定ロッドを備えたナット締め装置において、
前記測定部は、
前記測定ロッドと一体に連動する連動部と、前記測定ロッドに連動
して前記ビット軸に対して相対移動可能
かつ、前記ビット軸および前記連動部に対して回転自在に構成された昇降部と、この昇降部から所定の間隔を空けて配される
とともに、前記ビット軸に対して回転自在に構成されたセンサ支持部と、このセンサ支持部に支持され前記昇降部の前記ビット軸に対する相対移動を検出可能なセンサを備え、
前記制御部は、前記センサからの信号に基づいてナットと螺合したおねじの出代の寸法が適切か否か判定することを特徴とするナット締め装置。
【請求項2】
前記ビット軸は、これを回転自在に保持するビットガイド部材に所定の位置に保持されていることを特徴とする請求項1に記載のナット締め装置。
【請求項3】
前記ビットガイド部材は、ビット軸を軸方向の移動自在に挿通させる滑り軸受と、この滑り軸受を回転自在に支持する転がり軸受とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のナット締め装置。
【請求項4】
前記昇降部が付勢部材によって常時ボックスビット側に付勢されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のナット締め装置。
【請求項5】
前記センサは、昇降部に向かい突出する接触子を備え、この接触子の撓み量を測定する接触式のセンサであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のナット締め装置。
【請求項6】
前記測定ロッドの下端部には、硬化処理が施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のナット締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナット締結後のおねじの出代の寸法測定が可能なナット締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナット締め装置としては、ナットと係合可能なボックスビットと、このボックス
ビットに接続され、これと一体に回転可能なビット軸と、このビット軸を回転させるモー
タとからなるものが知られている。このようなナット締め装置は、予め設定した締付けト
ルクに達するとナットの締結を完了するように構成されているため、ナットまたはこれと
螺合するおねじのねじ山に成形不良などがある際、ナットを正規の高さまで螺入できない
という問題があった。
【0003】
その解決手段として特許文献1に示されたナット締め装置9が知られている。このナッ
ト締め装置9は、
図5に示すようにナットNと係合可能なボックスビット91と、このボ
ックスビット91に連続するビット軸91aと、前記ボックスビット91およびビット軸
91a内を昇降可能な測定ロッド92と、この測定ロッド92と連動する昇降部93と、
前記ボックスビット91を回転させるモータ94と、このモータ94の支持部材94aに
吊り下げ支持され、前記昇降部93の上昇を検出可能に構成されたセンサ95とを備えて
おり、ナットNと螺合するおねじ(図示せず)に測定ロッド92が押圧されることで、測
定ロッド92および昇降部93が上昇するように構成されている。この昇降部93の上昇
を前記センサ95が検出することで、締結後のナットNの上面から突出するおねじの出代
に相当する寸法を測定可能となる。このため、ナットNのめねじとおねじが正しく噛み合
っておらず、ナットNの上面からおねじが突出していないようなナット締結を異常判定で
きる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のナット締め装置9は、昇降部93がビット軸91aに支持されて
おり、センサ95が支持部材94aに支持される構成であった。これにより、
図5の二点
鎖線に示すようにビット軸91aが傾いた際、これに追従して傾いた昇降部93がセンサ
95に近づくあるいは遠ざかるため、正確におねじの出代の寸法測定を行うことが困難と
なる等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、ビット軸の傾斜に影響を受けず、
おねじの出代の寸法を測定可能なナット締め装置の提供を目的とする。この目的を達成す
るために本発明は、回転駆動源の駆動を受け回転可能なビット軸と、このビット軸と一体
に回転するボックスビットと、前記ビット軸の外周に配設される測定部と、前記回転駆動
源の駆動を制御する制御部と、ボックスビット内部およびビット軸内部を摺動自在な測定
ロッドを備えたナット締め装置において、前記測定部は、前記測定ロッドに連動し、前記
ビット軸に対して相対移動可能な昇降部と、この昇降部から所定の間隔を空けて配される
センサ支持部と、このセンサ支持部に支持され前記昇降部の前記ビット軸に対する相対移
動を検出可能なセンサを備え、前記制御部は、前記センサからの信号に基づいてナットと
螺合したおねじの出代の寸法が適切か否か判定することを特徴とする。これにより、昇降
部およびセンサ支持部がビット軸の外周に配される構成であるため、ビット軸が傾斜した
際、昇降部およびセンサ支持部ともにビット軸に追従して一体に傾斜することが可能とな
る。そのため、傾斜時においても、昇降部とセンサ支持部との間隔が変わらない。
【0007】
なお、前記ビット軸は、これを回転自在に保持するビットガイド部材に所定の位置に保
持されていることが好ましい。また、前記ビットガイド部材は、ビット軸を軸方向の移動
自在に挿通させる滑り軸受と、この滑り軸受を回転自在に支持する転がり軸受とを備える
ことが好ましい。さらに、前記測定部は、前記測定ロッドと一体に連動する連動部を備え
、前記昇降部は、前記ビット軸および前記連動部に対して回転自在に構成されており、前
記センサ支持部は、前記ビット軸に対して回転自在に構成されていることが好ましい。し
かも、前記昇降部が付勢部材によって常時ボックスビット側に付勢されていることが好ま
しい。また、前記センサは、昇降部に向かい突出する接触子を備え、この接触子の撓み量
を測定する接触式のセンサであることが好ましい。さらに、前記測定ロッドの下端部には
、硬化処理が施されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のナット締め装置によれば、ビット軸が傾斜した際、昇降部およびセンサ支持部
がビット軸と一体に傾斜する。これにより、ビット軸の傾斜時においても、昇降部とセン
サ支持部との間隔が変わらないため、高精度におねじの出代の寸法測定が可能となる等の
利点がある。また、ビット軸がビットガイド部材により保持されるため、締付時にビット
軸が過剰に傾斜することが防止される等の利点がある。さらに、ビットガイド部材がビッ
ト軸を挿通させる滑り軸受と、この滑り軸受を支持する転がり軸受とを備えるため、ビッ
トが傾斜した際、ビットガイド部材との間で接触抵抗が減少する。これにより、傾斜時に
おいても、所定の締付トルクでの締め付けが行える等の利点がある。しかも、昇降部およ
びセンサ支持部がビット軸に対して回転自在に構成されることにより、センサの破損が防
止される等の利点がある。また、前記昇降部が付勢部材によりボックスビット側に付勢さ
れるため、上方への締付けが可能になる等の利点がある。さらに、センサが接触式のセン
サであるため、より高精度な測定が可能となる等の利点がある。しかも、測定ロッドの下
端部に硬化処理が施されており、測定ロッドの摩耗が防止されるため、長期の使用におい
ても高精度の測定が可能となる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るナット締め装置の側面図である。
【
図2】本発明に係るナット締め装置の一部断面正面図である。
【
図3】本発明に係るナット締め装置のナットの締付動作時を示す一部断面正面図である。
【
図4】本発明に係るナット締め装置の他の実施形態を示す一部断面正面図である。
【
図5】従来のナット締め装置の一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図3において1は、ワ
ークWから突出しているおねじScにナットNを螺合させるナット締め装置であり、別途
設けられる水平多関節ロボット(図示せず)等の移動操作機構に連結されている。このナ
ット締め装置1は、前記水平多関節ロボットに支持されている直動機構2と、この直動機
構2に支持されている回転駆動部3と、この回転駆動部3の出力軸31aに接続されてい
るビット軸4と、このビット軸4に接続されているボックスビット5と、前記ビット軸4
の外周に配される測定部6と、前記直動機構2および回転駆動部3の駆動を制御する制御
部(図示せず)とを備える。
【0011】
前記おねじScは、一例としてワークWの下方から圧入された圧入ねじであり、脚部が
ワークWの上面から所定の長さ突出するように構成されている。また、おねじScの下部
には、ワークWと係合可能な凹凸等(図示せず)が設けられており、おねじScは、ワー
クWに対して回転が規制されている。
【0012】
前期直動機構2は、昇降用ACサーボモータ21(以下、昇降モータ21という)と、
この昇降モータ21の駆動を受けて回転可能なボールねじ22と、このボールねじ22の
回転に従い昇降する昇降ユニット23と、前記ボールねじ22の下端を回転自在に保持す
るビットガイド部材24とを備えており、昇降モータ21およびビットガイド部材24は
、前記水平多関節ロボットの所定の位置に支持、固定されている。このビットガイド部材
24は前記ビット軸4が挿通可能に構成された第一摺動部25を備えており、この第一摺
動部25はビット軸4を昇降自在に挿通させる滑り軸受25aと、この滑り軸受25aを
回転自在に保持する転がり軸受25bから構成されている。このような構成により、ビッ
ト軸4は、これを回転自在に保持するビットガイド部材24に所定の位置に保持されてい
る構造となっている。また、前記昇降ユニット23には、前記回転駆動部3が支持されて
いる。
【0013】
前記回転駆動部3は、回転駆動源の一例としてACサーボモータ31(以下、モータ3
1という)を備えており、このモータ31は、その出力軸31aが下方を向くように配さ
れている。このモータ31の下方には、支持部32が設けられており、この支持部32は
、前記直動機構2の昇降ユニット23に一体に連結されている。また、この支持部32に
は、前記モータ31の出力軸31aおよびこの出力軸31aに連続する前記ビット軸4が
回転自在に挿通している。さらに支持部32の下面には、ガイド軸33がビット軸4と並
行に配設されている。
【0014】
前記ビット軸4は、その軸方向に挿通孔41が貫通形成されている筒状部材であり、こ
の挿通孔41と直交して長孔42が貫通形成されている。この長孔42には、これに沿っ
て昇降可能に構成された連結ピン43が挿通しており、この連結ピン43は、後述する測
定部6の連動部61と前記挿通孔41内に配されている測定ロッド44を挿通する。この
測定ロッド44は、挿通孔41より若干小径に構成されている棒状部材であり、その下端
部44aは、挿通孔41より小径かつ前記ボックスビット5に保持されたナットNのめね
じ径より小径に構成されている。また、ビット軸4の下端には、前記ボックスビット5が
螺合しており、このボックスビット5には、挿通孔41と連続して連続孔51が上下方向
に貫通形成されている。この連続孔51は、前記測定ロッド44の下端部44aより大径
に構成されており、その下端開口部には、前記ナットNとの係合部52が形成されている
。このような構成により、測定ロッド44は、挿通孔41および連続孔51内で傾くこと
が規制されるとともに、下端部44aがナットNのめねじに侵入可能な構造となる。なお
、前記係合部52付近は、磁化されている。
【0015】
前記測定部6の連動部61は、前記ビット軸4が挿通している環状部材であり、前記連
結ピン43が挿入されるピン孔61aが形成されている。この連動部61の外周には、ピ
ン孔61aを塞ぐようにOリング61bが装着されており、このOリング61bにより、
連結ピン43は抜け止めされている。また、連動部61の上面には、昇降部62の第二摺
動部62aが当接している。この第二摺動部62aは、前記ビット軸4を回転自在かつ摺
動自在に案内する滑り軸受25aであり、下端が大径のフランジ形状に構成されている。
さらに、前記昇降部62の一端には、前記支持部32のガイド軸33が挿通しており、他
端の後述するセンサ64の直下には押圧部62bが備えられている。この昇降部62の上
方には、これと所定の間隔を空けてセンサ支持部63が配設されており、このセンサ支持
部63には、前記ビット軸4が挿通している。このセンサ支持部63は、ビット軸4との
間に回転自在に構成された第三摺動部63aを備えており、この第三摺動部63aの上下
には、環状固定部材63b、63bが配設されている。この環状固定部材63b、63b
は、ビット軸4に固定されており、この環状固定部材63b、63bにより、センサ支持
部63は、ビット軸4の所定の高さに固定されている。このセンサ支持部63の一端には
、ガイド軸33が挿通しており、他端には、センサ64が支持されている。
【0016】
前記センサ64は、接触子64aが昇降部62に向かい突出するように配された接触式
センサであり、その接触子64aが昇降部62の押圧部62bに押圧されることで撓み、
その撓み量を前記制御部へ出力可能に構成されている。なお、センサ64は、接触式セン
サに限定されることなく、例えば、近接センサやレーザセンサ等の非接触式センサでも良
く、また、昇降部62に当接するようにピストンロッドを突き出すシリンダと、このシリ
ンダに装着されるシリンダセンサとから構成されたもの等でもよい。
【0017】
前記制御部は、前記センサ64から出力される測定値と予め設定された設定値とを比較
し前記測定値が前記設定値の範囲内であれば正常判定する一方、範囲外であれば異常判定
する判定部と、この判定部の設定値および回転駆動部3のモータ31の回転数、回転トル
ク等のナット締め装置1の駆動に必要な条件を記憶する記憶部と、この記憶部に基づきモ
ータ31と直動機構2および前記水平多関節ロボットの駆動を制御する動作制御部とを備
える。
【0018】
次に、上記のように構成されたナット締め装置1の作用を説明する。
前記制御部は前記水平多関節ロボットを作動させ、別途設けられる供給装置(図示せず
)により所定の位置に配されたナットNにボックスビット5の係合部52を係合させる。
この時、ボックスビット5は、係合部52が磁化しているため、係合したナットNを吸着
保持する。また、
図2に示すように、前記測定ロッド44の下端部44aがナットNのめ
ねじに侵入した状態になる。このナットNの吸着後、前記制御部は、再度水平多関節ロボ
ットを作動させ、ナット締め装置1をワークWから突出するおねじScの上方に移動させ
る。この移動後、制御部は、前記直動機構2を作動させてボックスビット5を降下させる
とともに、回転駆動部3のモータ31へ回転指令を送り、所定の回転数および締付トルク
で回転駆動させ、締結動作を開始する。この時、前記昇降部62は、モータ31の回転駆
動を受け回転するビット軸4および連動部61との間に第二摺動部62aを備えるため、
ビット軸4および連動部61と一体に回転しない。同様に、センサ支持部63も、ビット
軸4との間に第三摺動部63aを備えるため、ビット軸4と一体に回転しない。このため
、センサ64の接触子64aが押圧部62bから回転方向の力を受けて破損することが防
止されている。また、昇降部62およびセンサ支持部63は、その一端に回転駆動部3の
ガイド軸33が挿通していることにより、回転方向にずれることがない。
【0019】
上述のような締結動作時において、ナットNと前記おねじScが螺合し始めると、当該
おねじScは、ナットNのめねじに侵入して配される測定ロッド44と当接し、これを上
方へ押し上げる。これにより、
図3に示すように測定ロッド44と連動部61および昇降
部62がビット軸4に対して相対的に上昇する。この時、前記センサ支持部63は、ビッ
ト軸4の所定の高さに固定されているため、昇降部62とセンサ支持部63との間隔が狭
まる。これにより、昇降部62の押圧部62bがセンサ64の接触子64aを押圧し、接
触子64aを徐々に撓ませる。その後、ナットNの下面がワークWに当接し、所定の締付
トルクに達すると、前記制御部は回転駆動部3のモータ31を停止させる。この時、セン
サ64は、接触子64aの撓み量に応じた測定値を制御部に出力し、制御部の判定部は、
当該測定値とあらかじめ設定されている設定値とを比較しておねじScの出代に相当する
寸法の良否判定を行う。この時、測定ロッド44が挿通孔41および連続孔51に対して
傾くことが防止されているため、当該測定ロッド44の傾きにより、測定に誤差が生じる
ことが防止されている。上述のような判定後、前記制御部は、直動機構2および水平多関
節ロボットを作動させ、所定の高さ、位置に復帰する。この時、測定ロッド44はおよび
昇降部62は、これらの自重により、連結ピン43が長孔42の下端に当接する位置まで
降下する。
【0020】
上述のようなナットNの締結動作時において、おねじScがボックスビット5に対して
傾いていたり、位置がずれていたりしている際、ナットNを介してボックスビット5およ
びビット軸4が傾斜する。この時、昇降部62およびセンサ支持部63がともにビット軸
4の外周に配されているため、ビット軸4に追従して一体に傾斜する。これにより、ビッ
ト軸4の傾斜時においても、昇降部62とセンサ支持部63の間隔が変更されることがな
いため、高精度な測定を行うことが可能となる。また、ビット軸4が前記ビットガイド部
材24に回転自在に保持されているため、ビット軸4が大きく傾斜することが防止されて
いる。この時、ビット軸4は、ビットガイド部材24の第一摺動部25の滑り軸受25a
に押圧されるが、この滑り軸受25aが転がり軸受25bに回転自在に支持されているた
め、ビット軸4とビットガイド部材24との間での接触抵抗が減少する。このため、当該
傾斜時においても、適正な締付トルクでの締め付けが可能となる。
【0021】
なお、本発明に係るナット締め装置1は、前述したものに限定するものではなく、発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、
図4に示すように昇降部6
2とセンサ支持部63との間に、昇降部62を常時ボックスビット5側へ付勢する付勢部
材の一例であるばね65を設けてもよい。これにより、昇降部62は、常時ボックスビッ
ト5側に押圧されるため、ビット軸4に対して傾くことが防止される。また、ばね65は
、ボックスビット5を上方に向けて締め付ける際に昇降部62が自重により回転駆動部3
側に移動することも防止する。このため、ボックスビット5を上方へ向けた締め付けにお
いても、上述のような締め付けが可能となる。さらに、
図4に示すようにセンサ支持部6
3は、下方に向かい突出する停止部66を設けてもよい。この停止部66は、昇降部62
が過剰に上昇した際、これに当接し、昇降部
62の上昇を停止させる。このため、センサ
64の接触子64aが押圧部62bに圧壊されることを防止可能となる。しかも、測定ロ
ッド44は、その下端部44aに硬度を上げる等の処理が施されていても良く、潤滑部材
等が装着されていてもよい。これにより、ナット締付時、おねじScとの当接する測定ロ
ッド44の下端の摩耗を防止するため、長期の使用においても高精度に測定可能な状態を
維持することができる。その上、直動機構2を用いず、作業者が任意の場所へ移動させる
ように構成されていてもよい。なお、センサ支持部63が昇降部62より下方に位置して
おり、昇降部62は、ナットNの締結時にセンサ支持部63から離れる方向に移動するよ
うな構成でもよい。これによれば、万一昇降部62が急激に上昇した際にも、センサ64
が圧壊されることがない。
【符号の説明】
【0022】
1 … ナット締め装置
4 … ビット軸
42 … 長孔
43 … 連結ピン
44 … 測定ロッド
61 … 連動部
62 … 昇降部
63 … センサ支持部
64 … センサ