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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/08 20060101AFI20230913BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B65H43/08
B65H37/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019171444
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021046312
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 康伸
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 芳晃
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-145550(JP,A)
【文献】特開2010-001100(JP,A)
【文献】特開2009-091070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/08
B65H 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成システムの装置の外部にシートを排出するシート排出口と、
前記シート排出口内の物体を検知する検知センサと、を備え、
前記シートに後処理を施す後処理装置において、
前記検知センサは、
前記シート排出口でシート幅方向に延びる幅方向経路に検出光を照射する発光部と、
前記幅方向経路を通過した検出光を反射させる反射部と、
前記反射部が反射させた検出光を受光する受光部と、を備え
前記発光部は、前記シート排出口のシート幅方向一方に配置され、
前記反射部は、前記シート排出口のシート幅方向他方に配置され、
前記受光部は、前記シート幅方向と交差する方向で前記シート排出口を避けて配置される、後処理装置。
【請求項2】
画像形成システムの装置の外部にシートを排出するシート排出口と、
前記シート排出口内の物体を検知する検知センサと、を備え、
前記シートに後処理を施す後処理装置において、
前記検知センサは、
前記シート排出口でシート幅方向に延びる幅方向経路に検出光を照射する発光部と、
前記幅方向経路を通過した検出光を反射させる反射部と、
前記反射部が反射させた検出光を受光する受光部と、を備え、
前記検知センサは、単一の発光部と複数の受光部とを備え、
前記複数の受光部は、前記反射部からの反射経路の長さが互いに異なる第一の受光部および第二の受光部を備える後処理装置。
【請求項3】
画像形成システムの装置の外部にシートを排出するシート排出口と、
前記シート排出口内の物体を検知する検知センサと、を備え、
前記シートに後処理を施す後処理装置において、
前記検知センサは、
前記シート排出口でシート幅方向に延びる幅方向経路に検出光を照射する発光部と、
前記幅方向経路を通過した検出光を反射させる反射部と、
前記反射部が反射させた検出光を受光する受光部と、を備え、
前記検知センサは、複数の発光部と、複数の反射部と、複数の受光部と、を備え、
前記複数の発光部は、前記シート排出口におけるシート幅方向一方に配置される第一の発光部と、前記シート排出口におけるシート幅方向他方に配置される第二の発光部と、を備え、
前記複数の反射部は、前記シート排出口におけるシート幅方向他方に配置され、前記第一の発光部が照射した検出光を反射させる第一の反射部と、前記シート排出口におけるシート幅方向一方に配置され、前記第二の発光部が照射した検出光を反射させる第二の反射部と、を備え、
前記複数の受光部は、前記シート幅方向と交差する方向で前記シート排出口を避けて配置され、前記第一の反射部が反射させた検出光を受ける第一の受光部と、前記シート幅方向と交差する方向で前記シート排出口を避けて配置され、前記第二の反射部が反射させた検出光を受ける第二の受光部と、を備える後処理装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の後処理装置を備え、
前記後処理装置は、前記シートが前記シート排出口を通過するタイミング以外のタイミングである判定タイミングで、前記検知センサが物体を検知した場合に、前記後処理の実行を停止する、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を形成した後にステイプル処理等の後処理を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置には、後処理を実行するための空間が設けられる。後処理実行後のシートは排紙されるため、後処理を実行するための空間は、シート排出口を通じて装置外部につながっている。この空間(シート排出口含む)には、後処理実行後のシートを取り出す際に装置外部から手を入れてしまう可能性がある。これに対し、上記空間内の異物を検知する為に、発光ユニットと受光ユニットとを持つ検知センサを配置する手段が提案されている。しかし、上記空間内のシートでの反射光によって、ユーザーの手などの異物が検知できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-145550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、シートでの反射光による誤検知の発生を抑え、シート排出口の物体を精度よく検知することができる後処理装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の後処理装置及び画像形成システムは、シート排出口と、検知センサと、を持つ。シート排出口は、画像形成システムの装置の外部にシートを排出する。検知センサは、シート排出口内の物体を検知する。検知センサは、発光部と反射部と受光部とを持つ。発光部は、シート排出口でシート幅方向に延びる幅方向経路に検出光を照射する。反射部は、幅方向経路を通過した検出光を反射させる。受光部は、反射部が反射させた検出光を受光する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成システムのハードウェア構成の一例を示す概略側面図。
図2】実施形態の後処理装置のハードウェア構成の一例を示す側面図。
図3】実施形態における縦整合ローラに面する回動位置にあるピンチローラの一例を示す側面図。
図4】実施形態の比較例の物体検知装置の発光部および受光部の配置を示す斜視図。
図5】実施形態の比較例の物体検知装置の発光部および受光部の第一の作用を示す説明図。
図6】実施形態の比較例の物体検知装置の発光部および受光部の第二の作用を示す説明図。
図7】実施形態の物体検知装置の発光部、反射部および受光部の配置を示す斜視図。
図8】実施形態の物体検知装置の発光部、反射部および受光部の第一の作用を示す説明図。
図9】実施形態の物体検知装置の発光部、反射部および受光部の第二の作用を示す説明図。
図10】実施形態の物体検知装置の第一の変形例を示す説明図。
図11】実施形態の物体検知装置の第二の変形例を示す説明図であり、(a)は発光部および受光部の第一の配置を示し、(b)は発光部および受光部の第二の配置を示す。
図12】実施形態の物体検知装置の第二の変形例を示す説明図であり、(a)は第一の作用を示し、(b)は第二の作用を示す。
図13】実施形態の物体検知装置の第三の変形例を示す説明図であり、(a)は第一の作用を示し、(b)は第二の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の後処理装置及び画像形成システムを、図面を参照して説明する。
図1図3を参照して、実施形態の画像形成システム1を説明する。
図1は、実施形態の画像形成システム1のハードウェア構成の一例を示す概略側面図である。
図2は、実施形態の後処理装置3のハードウェア構成の一例を示す側面図である。
図3は、実施形態における縦整合ローラ40に面する回動位置にあるピンチローラ47の一例を示す側面図である。
【0008】
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2(MFP)と後処理装置3とを有する。画像形成装置2は、用紙などのシート状の記録媒体(以下、「シートS」という)に画像を形成する。後処理装置3は、画像形成装置2から搬送されるシートSに対して後処理を実行する。後処理は、画像形成装置2による画像形成後に実行される処理であればどのような処理であってもよい。例えば、後処理は、ステイプル処理(ホッチキス止めの処理)であってもよい。以下、ステイプル処理を例に説明する。以下、複数のシートSを重ねた束をシート束SSという。
【0009】
画像形成装置2は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。画像形成装置2は、コントロールパネル(操作部)5、スキャナ部6、プリンタ部7、給紙部8、排紙部9を備えている。
【0010】
コントロールパネル5は、ユーザーの操作を受け付ける各種キーまたはタッチパネル等を備えている。コントロールパネル5は、シートSの後処理の種類に関する入力を受け付ける。コントロールパネル5によって入力された後処理の種類に関する情報は、後処理装置3に送られる。
【0011】
スキャナ部6は、複写対象物の画像情報を読み取る読取部を備える。スキャナ部6は、読み取った画像情報をプリンタ部7に送る。プリンタ部7は、スキャナ部6または外部機器から送信された画像情報に基づき、トナーなどの現像剤によって出力画像を形成する。プリンタ部7は、シートSに転写したトナー像に熱と圧力をかけて、トナー像をシートSに定着させる。給紙部8は、プリンタ部7がトナー像を形成するタイミングに合わせて、シートSを1枚ずつプリンタ部7に供給する。排紙部9は、プリンタ部7から排紙されるシートSを後処理装置3へ搬送する。
【0012】
次に、後処理装置3について説明する。
図1に示すように、後処理装置3は画像形成装置2に隣接して配置されている。後処理装置3は、画像形成装置2から搬送されたシートSに対して、コントロールパネル5を通じて指定された後処理を実行する。後処理装置3は、バスで接続されたプロセッサ151やメモリ152や記憶部153などを備え、プログラムを実行する。
【0013】
図2図3に示すように、後処理装置3は、待機部12、処理部13、排出部14、後処理制御部15、検知センサ16(センサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2)を備えている。
【0014】
待機部12は、画像形成装置2から搬送されるシートSを一時的に滞留(バッファ)させる。待機部12は、待機トレイ17を備えている。例えば、待機部12は、先行するシートSの後処理を処理部13で行う間、後続の複数枚のシートSを待機させる。待機部12は、処理部13の上方に配置されている。例えば、待機部12は、予め設定された複数枚のシートSを重ねて待機させる。待機部12は、処理部13が空くと、滞留させていたシートSを処理部13に向けて落下させる。
【0015】
処理部13は、待機部12から落下したシートSを受ける処理トレイ18を備えている。処理部13は、搬送されたシートSに対して後処理を実行する。処理部13は、複数のシートSを揃えたシート束SSに後処理を実行する。例えば、処理部13が実行する後処理は、ステイプラ35による綴じ処理(ステイプル処理)である。処理部13は、後処理を行ったシートSを排出部14へ排出する。
【0016】
図1に示すように、排出部14は、可動トレイ14aと固定トレイ14bとを備えている。可動トレイ14aは、後処理装置3の側部に設けられ、処理部13から後処理実行後のシートSを排出可能である。可動トレイ14aは、後処理装置3の側部に沿って上下方向に移動可能である。固定トレイ14bは、後処理装置3の上部に設けられている。例えば、固定トレイ14bには、待機部12から適宜シートSを排出可能である。
【0017】
排出部14は、後処理装置3の装置本体外部に露出する可動トレイ14aおよび固定トレイ14bの各々に対し、シートSを排出可能なシート排出口を備えている。処理部13に連通する可動トレイ14aのシート排出口19内には、物品検知装置50の検知センサ16が設けられている。
【0018】
後処理制御部15は、後処理装置3の全体の動作を制御する。後処理制御部15は、プロセッサ151、メモリ152及び記憶部153を含む制御回路で構成されている。後処理制御部15は、後処理装置3の各機能部の動作を制御する。例えば、後処理制御部15は、待機部12、処理部13および排出部14を制御する。後処理制御部15は、入口ローラ20a,20bおよび出口ローラ21a,21bの動作を制御する。入口ローラ20a,20bおよび出口ローラ21a,21bは、シートSを待機トレイ17まで搬送させる。
【0019】
ここで、本実施形態において「上流側」および「下流側」とは、シートSの搬送方向における上流側(画像形成装置2側)および下流側(排出部14側)をそれぞれ意味する。「先端部」および「後端部」とは、シート搬送方向における「下流側端部」および「上流側端部」をそれぞれ意味する。本実施形態では、シートSの平面と平行な方向(シート面方向)であってシート搬送方向とは直交する方向をシート幅方向Wという。
【0020】
図2図3に示すように、後処理装置3は、画像形成装置2の排紙部9に続いてシートSを搬送する搬送路26を有している。搬送路26は、一対の入口ローラ20a,20bを設けたシート供給口26aと、一対の出口ローラ21a,21bを設けたシート搬出口26bと、を有している。シート供給口26aは、画像形成装置2の排紙部9に面している。シート供給口26aには、画像形成装置2からシートSが供給される。シート搬出口26bは、待機部12に面している。搬送路26を通ったシートSは、シート搬出口26bから待機部12に搬送される。
【0021】
待機部12は、待機トレイ(バッファトレイ)17およびアシストガイド22を有している。待機トレイ17の後端部は、出口ローラ21a,21bの近傍に位置している。待機トレイ17の後端部は、搬送路26のシート搬出口26bよりも下方に位置している。待機トレイ17は、シート搬送方向の下流側に進むに従い徐々に高くなるように、水平方向に対して傾いている。待機トレイ17は、処理部13で後処理が行われる間、複数のシートSを重ねて待機させる。
【0022】
待機トレイ17は、シート幅方向Wで互いに接近離反可能な一対のトレイ部材を有している。一対のトレイ部材は、待機トレイ17でシートSが待機する場合には、互いに接近してシートSを支持可能とする。一対のトレイ部材は、待機トレイ17から処理部13の処理トレイ18に向けてシートSを移動させる場合には、互いに離間する。これにより、待機トレイ17は、支持していたシートSを処理トレイ18に向けて落下(移動)させる。
【0023】
待機トレイ17の上流側と処理トレイ18の上流側との間には、パドル部30が設けられている。パドル部30は、シート幅方向Wに沿う回転軸を中心に回転することで、シートSを処理トレイ18に向けて押圧する。パドル部30は、待機トレイ17から処理トレイ18に向けてシートSが移動する際に、シートSの後端部を処理トレイ18に向けて押圧する。パドル部30は、ゴム等の弾性材で形成されたパドル30aを有し、このパドル30aによってシートSの後端部を処理トレイ18に押圧する。
【0024】
処理部13は、処理トレイ18、横整合板33、後端ストッパ32、ステイプラ(綴じ処理部)35、イジェクター36、トラスター36a、束爪ベルト39、縦整合ローラ40(搬送ローラ)及びベルトプーリー43a,43bを有している。
【0025】
処理トレイ18は、待機トレイ17の下方に設けられている。処理トレイ18は、シート搬送方向の下流側に進むに従い徐々に高くなるように、水平方向に対して傾いている。処理トレイ18は、例えば待機トレイ17と平行に傾いている。処理トレイ18は、シートSを支持する(シートSが載置される)搬送面18aを有している。
【0026】
横整合板33は、処理トレイ18の搬送面18aのシート幅方向Wの両側に対向して一対設けられている。一対の横整合板33は、シート幅方向Wに互いに離れて設けられている。横整合板33は、シート幅方向Wにおいて、互いに近付く方向と、互いに離れる方向と、に移動可能である。横整合板33は、シート幅方向WにおけるシートSの整合(いわゆる横整合)を行う横整合装置を構成する。
【0027】
後端ストッパ32は、処理トレイ18の上流側の端部に設けられている。処理トレイ18に載置されたシートSは、縦整合ローラ40が図中時計回りに逆転駆動することで、後端ストッパ32に向けて搬送される。縦整合ローラ40は、パドル部30と協働して、シートSの上流側端を後端ストッパ32に当接させることで、シートSの縦整合を行う。縦整合ローラ40は、図中反時計回りに正転駆動することで、シートSの後端部を押えるパドル部30と協働して、薄く軽量のシートSや湾曲したシートSを引き延ばす。
【0028】
ステイプラ35は、処理トレイ18の後方に配置されている。ステイプラ35は、ステイプルクリンチ35aを備える。ステイプラ35は、後端ストッパ32に当接して揃ったシートSの端部をクリンチ可能である。ステイプラ35は、後端ストッパ32に当接して揃ったシート束SSの端部に対して、ステイプルクリンチ35aによってステイプル処理を行う。ステイプラ35は、シート束SSにおけるコントロールパネルを介してユーザーが指示する位置をホッチキス止めするように、規定範囲を移動可能である。
【0029】
イジェクター36は、処理トレイ18の上流側端部の初期位置に設けられている。イジェクター36は、側面視で後端ストッパ32と重なるように設けられている。イジェクター36は、シートSを搬送方向下流側に向けて移動可能である。イジェクター36は、搬送方向下流側へ移動したとき、後処理が実行されたシート束SSを前進させる。イジェクター36は、シート束SSの端部を束爪へ受け渡し可能な位置に配置する。イジェクター36は、前述した移動前の初期位置に向けて付勢されている。
【0030】
束爪ベルト39は、束爪(押し出し部材)を備えている。束爪ベルト39は、処理トレイ18の搬送方向上流側および下流側に位置する一対のベルトプーリー43a,43bに掛け渡されている。束爪ベルト39とベルトプーリー43a,43bとによって、束爪を駆動する束爪駆動機構23が構成されている。束爪駆動機構23は、束爪、イジェクター36およびトラスター36aで共用する駆動源として、束爪駆動モータ45を備えている。束爪駆動モータ45は、ベルトプーリー43aには常時接続されているが、イジェクター36およびトラスター36aに対しては、電磁クラッチ46を介して断接可能に接続されている。
【0031】
ベルトプーリー43aが図中反時計回りに正転駆動すると、束爪、イジェクター36およびトラスター36aは、処理トレイ18の搬送面18a上を搬送方向上流側から下流側(図中左側)に移動する。ベルトプーリー43aが図中時計回りに逆転駆動すると、束爪、イジェクター36およびトラスター36aは、処理トレイ18の搬送面18a上を搬送方向上流側(図中右側)に移動する。
【0032】
縦整合ローラ40は、図中反時計回りに正転駆動することで、処理トレイ18に載置されたシートSを排出部14の可動トレイ14aに向けて搬送する。縦整合ローラ40は、処理トレイ18に載置されたシートSに下方から接することで、このシートSに駆動力を付与する。このとき、図2に示すように、処理トレイ18上のシートSが撓んで縦整合ローラ40から離間すると、縦整合ローラ40の駆動力をシートSに付与することができない。よって、処理トレイ18の上方(実施形態では待機トレイ17の上方)には、縦整合ローラ40との間にシートSを挟み込むピンチローラ47が押圧ローラとして設けられている。
【0033】
ピンチローラ47は、駆動源を有しない従動ローラである。ピンチローラ47は、待機トレイ17よりも上方に位置する待機位置(図2参照)と、縦整合ローラ40に面する回動位置(図3参照)と、の間で移動可能である。ピンチローラ47は、ピンチローラ駆動機構25によって駆動されることで、待機位置と回動位置との間で移動する。ピンチローラ47は、下方の回動位置に移動(下降)することで、縦整合ローラ40に向けて押圧され、縦整合ローラ40との間にシートSを挟み込む。これにより、縦整合ローラ40の駆動力をシートSに安定して伝えることが可能となる。
【0034】
ピンチローラ駆動機構25は、ピンチローラ47を先端部(前端部)に支持するとともに、基端部(後端部)がシート幅方向Wに沿う軸回りに揺動可能な支持アーム48を有する。支持アーム48の基端部には、ソレノイド49が連結されている。図2に示すように、ソレノイド49が駆動してプランジャを突出させると、軸を中心に支持アーム48が上方に揺動する。この支持アーム48の揺動に伴い、ピンチローラ47が上方に揺動して待機位置に移動する。図3に示すように、ソレノイド49がプランジャを没入させると、軸を中心に支持アーム48が下方に揺動する。この支持アーム48の揺動に伴い、支持アーム48を介してピンチローラ47が下方に揺動して回動位置に移動する。ピンチローラ47は、回動位置において縦整合ローラ40に向けて押圧される。
【0035】
図1に示す後処理制御部15は、画像形成システム1の動作モードを判定する。具体的には、後処理制御部15は、コントロールパネル5において自動後処理モードが選択された場合に、後処理装置3の動作モードを自動後処理モードであると判定する。後処理制御部15は、コントロールパネル5においてマニュアル操作モードが選択された場合に、後処理装置3の動作モードをマニュアル操作モードであると判定する。後処理制御部15は検知センサ16が取得したセンサ情報を取得する。
【0036】
後処理制御部15は、ピンチローラ47の上昇又は下降をピンチローラ47に指示する。ピンチローラ47が上昇の指示を受けて上昇すると、後処理空間と装置外部の空間とを連通させるシート排出口19の実質的な開口面積は広がる。例えば、ピンチローラ47が最も上昇した位置にある場合の前記開口面積は、後処理空間に人の甲が入ることができるほどの面積である。ピンチローラ47が下降の指示を受けて下降すると、シート排出口19の実質的な開口面積は狭まる。例えば、ピンチローラ47が最も下降した位置にある場合、シート排出口19は実質的に閉じ、後処理空間への物体(異物)Bの侵入を不可とする。
【0037】
後処理制御部15は、処理部13に整合処理の実行を指示する。整合処理は、複数のシートSの幅方向及び長さ方向の端部の位置を揃える処理である。処理部13が整合処理を実行すると、横整合板33および縦整合ローラ40が動作して、複数のシートSの幅方向及び長さ方向の端部の位置を揃える。なお、シートSの長さ方向とは、シート面方向であってシート搬送方向に沿う方向である。
【0038】
後処理制御部15は、ステイプラ35に後処理の実行を指示する。後処理の実行の指示を受けたステイプラ35は、シート束SSに対して後処理を実行する。
後処理制御部15は、イジェクター36に排紙処理の実行を指示する。排紙処理の実行の指示を受けたイジェクター36は、後処理が実行されたシート束を後処理装置3の外部に排紙する。
【0039】
次に、物体検知装置50について説明する。
図4は、実施形態の比較例の物体検知装置50aにおけるセンサ送信部(発光部)16-1及びセンサ受信部(受光部)16-2の配置を示す斜視図である。図5は、比較例の物体検知装置50aにおけるセンサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2の第一の作用を示す説明図である。図6は、比較例の物体検知装置50aにおけるセンサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2の第二の作用を示す説明図である。
【0040】
図4に示すように、センサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2は、互いに対をなして透過型の検知センサ16aを構成している。比較例において、物体検知装置50aは、一対の検知センサ16a1,16a2を備えている。以下、一対の検知センサ16a1,16a2を第一検知センサ16a1および第二検知センサ16a2という。また、各検知センサ16a1,16a2のセンサ送信部16-1を符号16-11,16-12で示し、センサ受信部16-2を符号16-21,16-22で示す。
【0041】
各検知センサ16a1,16a2は、センサ送信部16-1およびセンサ受信部16-2を、シート排出口19におけるシート幅方向Wの両側に振り分けて配置している。図中矢印F1,F2は各検知センサ16a1,16a2のセンサ送信部16-11,16-12から照射される検出光を示す。各検出光F1,F2は、シート排出口19でシート幅方向Wに沿って照射される。
【0042】
比較例では、シート排出口19の上部に第一検知センサ16a1が配置され、シート排出口19の下部に第二検知センサ16a2が配置されている。これにより、シート排出口19の高さ方向(上下方向H)の広い範囲で物体Bを検知可能である。
第一検知センサ16a1と第二検知センサ16a2とは、センサ送信部16-1およびセンサ受信部16-2の配置をシート幅方向Wで互いに逆にしている。これにより、第一検知センサ16a1および第二検知センサ16a2の一方の発光部16-aの検出光を他方の受光部16-2が検知してしまうことはない。
【0043】
図5図6では第一検知センサ16a1の作用を例示するが、第二検知センサ16a2もシート幅方向Wで対称の作用を奏する。
図5図6に示すように、比較例の物体検知装置50aでは、シート排出口19のシート幅方向Wのほぼ中央に指ほどの大きさの物体Bがある場合に、この物体Bを検知しないことがある。これは、発光部からの直接光(矢印F1a)を物体Bが遮っても、シート排出口19を通過するシートSで反射した反射光(矢印F1b)が物体Bを避けて受光部に至ることで生じる。
【0044】
図7は、実施形態の物体検知装置50の発光部16-1、反射部16-3および受光部16-2の配置を示す斜視図である。図8は、実施形態の物体検知装置50の発光部16-1、反射部16-3および受光部16-2の第一の作用を示す説明図である。図9は、実施形態の物体検知装置50の発光部16-1、反射部16-3および受光部16-2の第二の作用を示す説明図である。
【0045】
図7に示すように、実施形態の物体検知装置50は、シート排出口19から装置内へ侵入する物体(異物)Bを検知する検知センサ16を以下の構成としている。検知センサ16は、シート排出口19でシート幅方向Wに延びる幅方向経路F1,F2に検出光を照射する発光部(センサ送信部)16-1と、幅方向経路F1,F2を通過した検出光を反射経路R1,R2に反射させる反射部(鏡)16-3と、反射部が反射させた検出光を受光する受光部(センサ受信部)16-2と、を備えている。
【0046】
実施形態において、物体検知装置50は、一対の検知センサ161,162を備えている。以下、一対の検知センサ161,162を第一検知センサ161および第二検知センサ162という。
各検知センサ161,162は、赤外線等の検出光を放射する発光部(発光ユニット、センサ送信部)16-1と、発光部が発光した検出光を受光する受光部(受光ユニット、センサ受信部)16-2と、を備えている。発光部16-1と受光部16-2との間には反射部(鏡)16-3を備えている。
【0047】
各受光部16-2は、各発光部16-1からの光路長が異なる第一の受光部16-21および第二の受光部16-22を構成している。図7の実施形態では、各発光部16-1は、第一の発光部16-11および第二の発光部16-12を構成している。
【0048】
検知センサ16のセンサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2は、互いに連動して動作することで、シート排出口19の物体Bを検知する。センサ送信部16-1は、LED(light emitting diode)等の電磁波の光源である発光素子を備えている。センサ受信部16-2は、センサ送信部16-1が放射した電磁波を受信する受光素子を備えている。センサ受信部16-2は、検知範囲内の空間に物体Bを検知したか否かを示す情報(以下「センサ情報」という。)を後処理制御部15に出力する。検知範囲とは、センサ送信部16-1が放射した電磁波が伝搬する空間である。すなわち、検知範囲とは、センサ送信部16-1及びセンサ受信部16-2が連動して動作することで、物体Bを検知可能な空間である。
【0049】
センサ受信部16-2は、センサ送信部16-1が送信した電磁波の受信状況によって物体Bを検知する。センサ受信部16-2は、前記受信状況が予め定められた所定の条件(以下「検知条件」という。)を満たせば、検知範囲内の空間に物体Bがあることを検知する。センサ受信部16-2は、検知範囲内の空間に物体Bを検知したことを示すセンサ情報を、どのような受信状況で出力してもよい。例えば、前記センサ情報は、センサ送信部16-1が送信した電磁波をセンサ受信部16-2が受信しない場合に、検知範囲内の空間に物体Bを検知したことを示してもよい。例えば、前記センサ情報は、前記電磁波をセンサ受信部16-2が受信する強度が所定の強度以下である場合に、検知範囲内の空間に物体Bを検知したことを示してもよい。
【0050】
なお、検知センサ16は、処理トレイ18の上方の空間およびシート排出口19内の空間を含む所定の検知範囲で物体Bを検知するものであれば、透過型センサに限らない。
【0051】
検知センサ16は、送信部条件と受信部条件とを満たす位置に配置すれば、どのような位置に配置してもよい。送信部条件は、検知範囲の空間にシート面方向に沿う電磁波を放射可能な位置に、センサ送信部16-1が配置されるという条件である。受信部条件は、センサ送信部16-1が放射した電磁波を受信可能な位置に、センサ受信部16-2が配置されるという条件である。
【0052】
例えば、シート排出口19の高さ(上下幅)をV1としたとき、センサ送信部16-1およびセンサ受信部16-2は、シート排出口19下端からの高さがV1よりも低いV2の位置に配置されてもよい。例えば、子供の手の甲の厚さの平均値が20mmであるため、V2は15mmであってもよい。V2が15mmである場合、検知センサ16は、検知範囲に挿入された子供の手を検知可能である。一方、V2が15mmである場合、画像形成システム1は、15mmよりも薄いシートSまたはシート束SSは検知しない。
【0053】
検知センサ16が判定タイミングにおいて、規定以上の厚みの物体Bを検知すると、後処理装置3は、後処理空間に物体Bがあると判定して緊急停止する。これにより、後処理空間に物体Bがある状態で後処理が実行されることが防止される。
【0054】
このように、後処理装置3は、予め定められた所定の厚み(以下「基準厚み」という。
)よりも厚い物体Bが後処理空間に位置する場合に、緊急停止する。前記「厚み」とは、処理トレイ上のシートSの堆積方向の厚みである。前記「予め定められた所定の厚み」とは、センサ送信部16-1が放射する電磁波が伝搬する位置(すなわち検知範囲の位置)に応じた厚みである。つまり、前記「予め定められた所定の厚み」とは、処理トレイ18から電磁波が通過する位置までの高さに相当する距離である。例えば、センサ送信部16-1が放射する電磁波が、処理トレイ18からの高さがV2の位置を伝搬する場合、前記「予め定められた所定の厚み」はV2である。すなわち、検知センサ16の検知範囲は、処理トレイ18との距離が所定の距離V2以上離れた位置にある空間である。検知範囲は、処理トレイの上方の空間(後処理空間)、および処理トレイの下流側に隣接するシート排出口19内の空間を含んでいる。
【0055】
後処理制御部15はセンサ情報に基づいて所定のタイミング(以下「判定タイミング」という。)に検知センサ16が物体Bを検知したか否かを判定する。後処理制御部15は、センサ情報に基づいて判定タイミングに検知センサ16が物体Bを検知したか否かを判定可能であれば、判定タイミングに検知センサ16が物体Bを検知したか否かをセンサ情報に基づいてどのように判定してもよい。判定タイミングは、後処理の実行前であって検知センサ16がシート束SSを検知する可能性が所定の値よりも低いタイミングであればどのようなタイミングであってもよい。
【0056】
判定タイミングは、センサ送信部16-1が放射する電磁波の伝搬する経路上をシート束SSが通過するタイミング以外のタイミングである。判定タイミングは、前記経路上をシート束SSが通過するタイミング以外のタイミングであればどのようなタイミングでもよい。例えば、判定タイミングは、ピンチローラ47が下降した後であってもよい。例えば、判定タイミングは、整合処理が終了した後であってもよい。例えば、判定タイミングは、落下処理が終了した後であってもよい。例えば、判定タイミングは、シート束SSが処理トレイ18へ搬送されてくるタイミングであってもよい。判定タイミングが落下処理の終了後である場合や整合処理の終了後である場合、落下するシートSを検知センサ16が検知してしまう可能性が低くなる。例えば、後処理制御部15は、検知センサ16を判定タイミングだけ動作させてもよい。
【0057】
図7に示すように、各発光部16-11,16-12から各受光部16-21,16-22までの光路には、それぞれ第一の反射部16-31および第二の反射部16-32が配置されている。各反射部16-31,16-32は、シート排出口19を避けた位置に光路を反射させることで、各検知センサ161,162の光路長さを延ばしている。例えば、各検知センサ161,162の光路長は互いに異なっている。
【0058】
図中矢印F1,F2は各検知センサ161,162のセンサ送信部16-11,16-12から照射される検出光を示す。矢印F1,F2の各線分L1,L2はシート排出口19でシート幅方向Wに延びる幅方向経路(検知エリア)の中心線を示す。線分L1の長さは、第一検知センサ161の発光部16-11から反射部16-31までの光路長さを示す。線分L2の長さは、第二検知センサ162の発光部16-12から反射部16-32までの光路長さを示す。
【0059】
図中矢印F3,F4は各反射部16-31,16-32から各受光部16-21,16-22へ反射される反射光を示す。反射光F3,F4は、シート排出口19のシート幅方向Wの両側から下方に延びる反射経路R1,R2に向けて反射される。反射経路R1,R2は、後処理装置3の筐体の側壁内側のデッドスペースを利用して設けられる。矢印F3の線分L3の長さは、第一検知センサ161の反射部16-31から受光部16-21までの光路長さを示す。矢印F4の線分L4の長さは、第二検知センサ162の反射部16-32から受光部16-22までの光路長さを示す。
【0060】
光路長さL3,L4は互いに異なる長さであり、各発光部16-11,16-12から各受光部16-21,16-22までの光路長を互いに異ならせる。なお、図の実施形態では、光路長さL1,L2は互いに同一長さであるが、これらが互いに異なる長さでもよい。
【0061】
実施形態では、シート排出口19の検知範囲をシート幅方向Wで挟んだ両側に、発光部16-11,16-12と反射部16-31,16-32とを配置している。受光部16-21,16-22は、シート幅方向Wと直交する上下方向Hでシート排出口19を下方に避けた位置に配置されている。発光部16-11,16-12は、シート排出口19内でシート幅方向Wに延びる幅方向経路F1,F2に沿って検出光を照射する。反射部16-31,16-32である鏡は、幅方向経路F1,F2を通過した検出光を受光部16-21,16-22に向けて反射させる。換言すれば、反射部16-31,16-32は、幅方向経路F1,F2を避けた反射経路R1,R2に向けて検出光を反射させる。反射部が反射させた光(反射光)を図中符号F1cで示す。受光部16-21,16-22は、反射部16-31,16-32が反射させた反射光F1cが反射経路R1,R2を通過した後、この反射光F1cを受信(受光)可能である。受光部16-21,16-22は、反射光F1cの受信強度が所定の強度以下である場合に、検知範囲内の空間に物体Bがあると検知する。
【0062】
受光部16-21,16-22は、発光部16-11,16-12が照射した検出光(反射光)を所定以上検出するか否かで、シート排出口19の物体(異物)Bの有無を検知する。検知センサ16が物体Bを検知した場合には、装置の処理を停止する等の対応を行うことが可能となる。
【0063】
反射部16-31,16-32が幅方向経路F1,F2に沿って検出光を反射させる場合、前述の比較例のように、検知センサ16がシート排出口19の物体Bを検知しないことがある。発光部16-11,16-12から照射される検出光は、幅方向経路F1,F2に沿ってシート排出口19を通過する直接光F1aの他、シート排出口19にあるシートで反射した反射光F1bがある。この反射光F1bがシート排出口19を通過する場合、シート排出口19にある物体Bが幅方向経路F1,F2に沿う直接光F1aを遮っても、検知センサ16は物体Bを検知しない。すなわち、シート排出口19に物体Bがあっても、検知センサ16が物体Bを検知しない場合がある。
【0064】
実施形態では、幅方向経路F1,F2を通過した検出光を、幅方向経路F1,F2を避けた反射経路R1,R2に向けて反射させることで、以下の効果を奏する。すなわち、互いに異なる幅方向経路F1,F2と反射経路R1,R2との少なくとも一方で物体Bを検知可能となり、誤検知を抑えることができる。反射部16-31,16-32が単に幅方向経路F1,F2に沿って検出光を反射させる場合、検出光が往復ともに同条件でシートSで反射することが有り得る。この場合、検出光が往復ともに物体Bを避けてシート排出口19を通過して誤検知となる可能性がある。これに対し、互いに異なる幅方向経路F1,F2と反射経路R1,R2とを持つことで、検出光が往復ともに同条件でシートSで反射することを抑えることができる。これにより、シートSでの反射光による誤検知の発生を抑え、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。
【0065】
実施形態では、発光部16-11,16-12は、シート排出口19のシート幅方向Wの一方に配置され、反射部16-31,16-32は、シート排出口19のシート幅方向Wの他方に配置されている。受光部16-21,16-22は、シート幅方向Wと交差する上下方向Hでシート排出口19を下方に避けて配置されている。
この構成によれば、シートSでの反射光F1bは、反射部16-31,16-32への入射角が発光部16-11,16-12からの直接光F1aとは異なるので、以下の効果を奏する。シートSでの反射光F1bは、反射部16-31,16-32での反射後は受光部16-21,16-22に至らない設定とすることが可能である。このため、発光部16-11,16-12からの直接光F1aのみ、反射部16-31,16-32での反射後に受光部16-21,16-22に至る設定とすることが可能である。したがって、シートSでの反射光F1bの影響を抑え、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。また、シート幅方向Wと交差する方向で光路長を稼ぎ、反射光がより受光部16-21,16-22に至り難くする。これにより、物体検知装置50の大型化を抑えることができる。
【0066】
2つ以上の受光部16-21,16-22と2つ以上の発光部16-11,16-12とを用いる場合、シート排出口19にシート幅方向Wで検知対象範囲を挟んで発光部16-11,16-12と反射部16-31,16-32とを配置する。また、検知対象範囲外に受光部16-21,16-22を配置する。これにより、検知対象範囲内のシートSで反射した反射光F1bが受光部16-21,16-22に至らないようにする。これにより、シートSでの反射光F1bの影響を抑えた上で、検知特性が異なる複数の条件で異物の検知が可能となる。そして、1つの条件でも異物を検知した場合は直ちに装置を停止させることができる。
【0067】
実施形態では、検知センサ16は、複数の発光部16-11,16-12と、複数の反射部16-31,16-32と、複数の受光部16-21,16-22と、を備えている。複数の発光部16-11,16-12は、シート排出口19におけるシート幅方向Wの一方に配置される第一の発光部16-11と、シート排出口19におけるシート幅方向Wの他方に配置される第二の発光部16-12と、を備えている。複数の反射部16-31,16-32は、シート排出口19におけるシート幅方向Wの他方に配置され、第一の発光部16-11が照射した検出光を反射させる第一の反射部16-31と、シート排出口19におけるシート幅方向Wの一方に配置され、第二の発光部16-12が照射した検出光を反射させる第二の反射部16-32と、を備えている。複数の受光部16-21,16-22は、シート幅方向Wと交差する方向でシート排出口19を避けて配置され、第一の反射部16-31が反射させた検出光を受ける第一の受光部16-21と、シート幅方向Wと交差する方向でシート排出口19を避けて配置され、第二の反射部16-32が反射させた検出光を受ける第二の受光部16-22と、を備えている。
【0068】
この構成によれば、複数の発光部16-11,16-12および複数の反射部16-31,16-32は、それぞれシート排出口19の両側に振り分けて配置される。複数の受光部16-21,16-22は、それぞれシート排出口19を避けた位置に配置される。シートSでの反射光F1bは、反射部16-31,16-32への入射角が発光部16-11,16-12からの直接光とは異なるので、前述と同様の効果を奏する。すなわち、シートSでの反射光F1bの影響を抑え、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。また、シート幅方向Wと交差する方向で光路長を稼ぎ、物体検知装置50の大型化を抑えることができる。
また、複数の発光部16-1および受光部16-2を備えることで、発光部16-1および受光部16-2の故障に対するフェールセーフを図ることができる。
【0069】
実施形態では、前記第一の反射部16-31から前記第一の受光部16-21までの反射経路R1の長さL3は、前記第二の反射部16-32から前記第二の受光部16-22までの反射経路R2の長さL4と異なる。
この構成によれば、検知特性が異なる複数の条件で物体Bの検知が可能となり、シートSでの反射光F1bが生じる状態でも誤検知を抑えることができる。
【0070】
図10は実施形態の物体検知装置50の第一の変形例(符号50b)を示している。
図10に示す物体検知装置50bの検知センサ16bは、1つの発光部16-1と2つの受光部16-21,16-22とを備えている。1つの発光部16-1と2つの受光部16-21,16-22との間には一つの反射部16-3を備えている。
【0071】
この場合、発光部16-1から各受光部16-21,16-22への光路長さが異なるように、各受光部16-21,16-22、発光部16-1および反射部16-3を配置する。これにより、シートSでの反射光F1bの影響を抑えた上で、検知特性が異なる複数の条件で異物の検知が可能となる。そして、1つの条件でも異物を検知した場合は直ちに装置を停止させることができる。
【0072】
つまり、第一の変形例では、検知センサ16bは、単一の発光部16-1と複数の受光部16-21,16-22とを備え、複数の受光部16-21,16-22は、反射部16-3からの反射経路R1,R2の長さL3,L4が互いに異なる第一の受光部16-21および第二の受光部16-22を備えている。
この構成によれば、反射経路R1,R2の長さL3,L4が互いに異なる複数の受光部,16-22を備えることで、検知特性が異なる複数の条件で物体Bの検知が可能となる。これにより、シートSでの反射光F1bが生じる状況でも誤検知を抑え、かつ受光部16-21,16-22の故障に対するフェールセーフを図ることができる。
【0073】
図11は実施形態の物体検知装置50の第二の変形例(符号50c)を示している。
図11図12に示す物体検知装置50cの検知センサ16cは、それぞれ一つの発光部16-1、受光部16-2および反射部16-3を備えている。発光部16-1および受光部16-2は、シート排出口19のシート幅方向Wの一方に配置され、反射部(例えば鏡)16-3は、シート排出口19のシート幅方向Wの他方に配置されている。換言すれば、発光部16-1および受光部16-2はシート幅方向Wの同じサイドにあり、反射部16-3はシート幅方向Wの他方のサイドにある。発光部16-1および受光部16-2は、奥行き方向(シート搬送方向)に離隔させて配置している(図11参照)。
そして、反射部16-3の入射角と反射角との性質を利用して、図11(a)、図12(a)に示すように、反射部16-3に直角方向に対して角度θ1から入ってくる光(直接光F1a)は、直角方向に対して角度θ2で受光部16-2に戻るようにする(反射光F1c)。図中線VLは反射部16-3の反射面に対して垂直となる延長線を示す。
したがって、検知対象範囲内に物体Bが存在する場合、少なくとも発光部16-1から発光された直接光F1a、またはその後に反射部16-3によって反射された反射光F1cのいずれか一方は、物体Bによって遮られてしまう。このため、受光部16-2に発光部16-1からの光が戻ることはなく、検知センサ16cは物体があることを正しく認識する。
また、図12(b)に示すように、直接光F1aが物体B以外の場所において反射し、反射光Fb1が反射部16-3に入射したとしても、反射光Fb1は反射部16-3に対して直角方向ではない所定の角度をもって入射するため、反射部16-3で反射された反射光F1cが受光部16-2に向かって進むことはなく、減衰または発散していくこととなる。
この構成によれば、反射部16-3で検出光を反射させるので、シート排出口19内のいずれかの場所で反射され物体Bで遮られなかった光であっても、反射部16-3に予め設定した角度から入ってくる光以外は受光部16-2に戻らないように設定可能である。これにより、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。
なお、図12では、表記の便宜上、発光部16-1および受光部16-2がシート幅方向Wに離れて配置されているが、発光部16-1および受光部16-2を近接して配置させても良い。
ここで、発光部16-1から反射部16-3へ光が入射する時の入射角θ1(延長線VLに対する角度)と、反射部16-3で反射された光の反射角θ2(延長線VLに対する角度)とは等しくなるため、受光部16-2は反射光F1cの光路上に配置する必要がある。すなわち、上述したように受光部16-2を配置することができれば、例えば図11(b)に示すように、反射部16-3の反射面を奥行方向Dに対して傾けるように配置しても良い。このとき、延長線VLもシート幅方向Wに対して傾くこととなる。
また、上述した変形例においては、発光部16-1および受光部16-2が奥行方向Dに離隔した構成を例に説明したが、上下方向Hに離隔させて配置しても良い。さらには、反射部16-3の角度を適切に調整すれば、シート幅方向W、上下方向H及び奥行き方向のそれぞれに離隔させた三次元的に離隔した位置に配置させても良い。このように、所定の条件さえ満たした配置とすれば、発光部16-1、受光部16-2および反射部16-3の配置に関する自由度は高い。
【0074】
図13は実施形態の物体検知装置50の第三の変形例(符号50d)を示している。
図13に示す物体検知装置50dの検知センサ16dは、第二の変形例の検知センサ16cに対し、反射部16-3がプリズム16-3pである点で特に異なる。発光部16-1および受光部16-2は、シート排出口19のシート幅方向Wの一方に配置され、反射部16-3であるプリズム16-3pは、シート排出口19のシート幅方向Wの他方に配置されている。そして、プリズム16-3pの入射角と反射角との性質を利用して、図13(a)に示すように、プリズム16-3pに略直角の照射方向から入ってくる光(直接光F1a)は、プリズム16-3p内で反射した後に、略直角の反射方向から受光部16-2に戻るようにする。したがって、検知対象範囲内に物体Bが存在する場合、少なくとも発光部16-1から発光された直接光F1a、またはその後にプリズム16-3pによって反射された反射光F1cのいずれか一方は、物体Bによって遮られてしまう。このため、受光部16-2に発光部16-1からの光が戻ることはなく、検知センサ16dは物体があることを正しく認識する。
また、図12(b)に示すように、直接光F1aが物体B以外の場所において反射し、反射光Fb1がプリズム16-3pに入射したとしても、反射光Fb1は前記照射方向に対して所定の角度をもってプリズム16-3pに入射するため、プリズム16-3pで反射された反射光F1cが受光部16-2に向かって進むことはなく、減衰または発散していくこととなる。
この構成によれば、プリズム16-3pで検出光を反射させるので、シート排出口19内のいずれかの場所で反射され物体Bで遮られなかった光であっても、プリズム16-3pに規定の方向から入ってくる光以外は受光部16-2に戻らないように設定可能である。これにより、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。
【0075】
以上説明したように、第二の変形例および第三の変形例の物体検知装置50では、発光部16-1、受光部16-2および反射部16-3の配置をコンパクトに収めることができる。
上記実施形態では、後処理装置3は画像形成装置2と別体としたが、筐体内に胴内フィニッシャーを有した画像形成装置でもよい。後処理装置3はシート綴じ処理部としてステイプラを備えるが、粘着テープを用いたシート綴じ処理部を備えてもよい。
【0076】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、後処理装置3の物体検知装置50の検知センサ16が、発光部16-1と、反射部16-3と、受光部16-2と、を持つことにより、シートSでの反射光による誤検知の発生を抑え、シート排出口19の物体Bを精度よく検知することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…後処理装置、16,161,162,16b,16c,16d…検知センサ、16-1,16-11,16-12…発光部、16-2,16-21,16-22…受光部、16-3,16-31,16-32…反射部、16-3p…プリズム(反射部)、19…シート排出口、50,50b,50c,50d…物体検知装置、S…シート、B…物体、W…シート幅方向、F1,F2…幅方向経路、R1,R2…反射経路、L3,L4…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13