(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
F25D25/00 E
F25D25/00 G
F25D25/00 M
(21)【出願番号】P 2019214602
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆人
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299976(JP,A)
【文献】特開2015-161486(JP,A)
【文献】特開2001-263931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、
を備えており、
前記貯蔵部は、第1種の容器と、前記第1種の容器に重ねて設けられ、前記第1種の容器とは異なる第2種の容器と、を有しており、
前記第1種の容器と前記第2種の容器とは、上下に入替可能に構成されて
おり、
前記第1種の容器の上部に第1の係合部が設けられており、
前記第2種の容器の下部に前記第1の係合部と係合可能な第2の係合部が設けられており、
前記第1種の容器の下部に第3の係合部がさらに設けられており、
前記第2種の容器の上部に前記第3の係合部と係合可能な第4の係合部がさらに設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1種の容器の底面から側面の最上端までの第1の長さと、前記第2種の容器の底面から側面の最上端までの第2の長さと、が異なっている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1種の容器は、前記第1種の容器の収納空間を分割する第1の仕切部を有している、請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第2種の容器は、前記第2種の容器の収納空間を分割する第2の仕切部を有しており、
前記第1種の容器と前記第2種の容器を平面視したときに、前記第1の仕切部と前記第2の仕切部が異なる位置に設けられている、請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1種の容器と前記第2種の容器の少なくとも一方に、切欠部が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1の係合部、前記第2の係合部、前記第3の係合部、及び、前記第4の係合部は、前記貯蔵部の前方側に位置している、請求項
1~5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1種の容器は、左右方向に位置する2つの第1の側面と、前記第1の側面のそれぞれから外側に突出する第1の延出部と、を有しており、
前記第2種の容器は、左右方向に位置する2つの第2の側面と、前記第2の側面のそれぞれから側方に突出する第2の延出部と、を有しており、
前記本体の左右方向の内面のそれぞれには、第1種の容器と第2種の容器のうち、上側に位置する容器の前記延出部を支持する第1の支持部と、下側に位置する容器の前記延出部を支持する第2の支持部と、が設けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記本体の前記内面のそれぞれには、第3の支持部がさらに設けられており、
前記第1種の容器の底面から側面の最上端までの第1の長さと、前記第2種の容器の底面から側面の最上端までの第2の長さと、が異なっており、
前記第2の支持部は、前記第1
種の容器が下側に位置するときに、前記第1の延出部を支持可能な高さに設けられており、
前記第3の支持部は、前記第2
種の容器が下側に位置するときに、前記第2の延出部を支持可能な高さに設けられている、請求項
7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第1種の容器上に前記第2種の容器が重ねて設けられ、
前記第1種の容器を前記本体に対して引き出す過程で、前記第1種の容器の後方部分と前記第2種の容器の前方部分が係合することにより、前記第1種の容器とともに前記第2種の容器が引き出されるように構成されている、請求項
7又は8に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
本体と、本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備える冷蔵庫が知られている。この種の冷蔵庫では、多段に重ねられた複数の容器を用いることによって、貯蔵部内の空間を効率良く利用することができる。一般的に、各容器は、容積(例えば、深さ)や収納空間の間取り(例えば、仕切りの位置)等、その形状が異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、多段に重ねられた引き出し式の貯蔵部を備える冷蔵庫において、ユーザの利便性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する冷蔵庫は、本体と、前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備えている。前記貯蔵部は、第1種の容器と、前記第1種の容器に重ねて設けられ、前記第1種の容器とは異なる第2種の容器と、を有している。前記第1種の容器と前記第2種の容器とは、上下に入替可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施例1に係る冷蔵庫の前後方向に沿う断面図。
【
図4】実施例1に係る冷蔵庫の貯蔵容器の分解斜視図。
【
図8】
図2のVIII-VIII線における断面図。
【
図10】実施例1に係る冷蔵庫の本体の内面の構成を示す図。
【
図11】実施例1に係る冷蔵庫の貯蔵容器の左右方向に沿う断面図(
図8に対応する図)。
【
図12】実施例1に係る冷蔵庫を開扉した状態を示す側面図。
【
図13】実施例2に係る冷蔵庫の貯蔵容器の側面図。
【
図14】実施例2に係る冷蔵庫を開扉した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例1)
図面を参照して、実施例1の冷蔵庫10について説明する。
図1及び
図2に示すように、冷蔵庫10は、本体12を備えている。本体12は、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有している。外箱と内箱の間には、断熱材が配置されており、本体12は断熱性を有している。本体12の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。以下では、冷蔵庫10の前後方向(奥行き方向)において、本体12の正面側を「前方」といい、本体12の裏面側を「後方」という。
【0008】
図1及び
図2に示すように、本体12には、貯蔵室として、冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22が設けられている。冷蔵室14及び野菜室16は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22は冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0009】
冷蔵室14の前面には、冷蔵室14の前面開口部を開閉する左右の扉14a、14bが設けられている。左右の扉14a、14bは、観音開き式の扉であり、扉14aの左端部及び扉14bの右端部がヒンジ(不図示)により本体12に対して回動可能に取り付けられている。冷蔵室14には、前面開口部を介して貯蔵品が収容される。
図2に示すように、冷蔵室14の下部には、チルド室24が設けられている。
【0010】
野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22の前面のそれぞれには、各前面開口部を開閉する引き出し式の扉16a、18a、20a、22aが設けられている。観音開き式の扉14a、14b、及び、引き出し式の扉16a、18a、20a、22aには、それぞれの内部に断熱材(例えば、ポリウレタン)が設けられており、断熱性を有している。各扉14a、14b、16a、18a、20a、22aの前面(外面)部分は、例えば透光性を有するガラス板によって構成された前面板(不図示)で覆われている。
【0011】
図2に示すように、主冷凍室22の後方には、圧縮機26等が配置された機械室25が設けられている。また、野菜室16の後方には、冷蔵室ファン30及び冷蔵室冷却器31が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷蔵室ファン30が回転し、空気が冷蔵室14及び野菜室16に送られる。また、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22の後方には、冷凍室ファン40及び冷凍室冷却器41が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷凍室ファン40が回転し、空気が製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22に送られる。冷蔵室冷却器31及び冷凍室冷却器41は、圧縮機26から供給される冷媒によって冷却される。
【0012】
野菜室16には、貯蔵容器17が設けられている。小冷凍室20には、貯蔵容器21が設けられている。各扉16a、20aを前後方向に引き出すことにより、各貯蔵容器17、21が出し入れ可能に収容されている。主冷凍室22には、貯蔵容器23が設けられている。
図2~
図5に示すように、主冷凍室22の貯蔵容器23は、下段容器50と、第1上段容器52と、第2上段容器54を有している。下段容器50は、扉22aに固定されており、扉22aを前後方向に引き出すことにより、扉22aと一体となって移動する。以下、主冷凍室22の貯蔵容器23について、詳細に説明する。
【0013】
図2、
図3及び
図5に示すように、第1上段容器52及び第2上段容器54は、下段容器50上に重ねて設けられている。第1上段容器52と第2上段容器54は、上下に入替可能に構成されている。
図4及び
図5に示すように、第1上段容器52は、前面52aと、後面52bと、前面52a及び後面52bを接続する2つの側面52cと、底面52dを有している。また、第2上段容器54は、前面54aと、後面54bと、前面54a及び後面54bを接続する2つの側面54cと、底面54dを有している。本実施例では、第1上段容器52の後面52bの上端が、前面52a及び側面52cの上端よりも下側に位置している。また、第2上段容器54の後面52bの上端が、前面54a及び側面54cの上端よりも下側に位置している。また、第1上段容器52の底面52dから側面の最上端(すなわち、前面52a及び側面52cの上端)までの長さ(換言すると、第1上段容器52の深さ)が、第2上段容器54の底面54dから側面の最上端(すなわち、前面54a及び側面54cの上端)までの長さ(換言すると、第2上段容器54の深さ)よりも長い。なお、
図2~
図5では、第1上段容器52上に第2上段容器54が重ねられた状態を示している(第2上段容器54上に第1上段容器52が重ねられた状態は、
図7参照。)。
【0014】
図4及び
図5に示すように、第1上段容器52の前面52aの中央部には、手掛け部52eが設けられている。また、第2上段容器54の前面54aの中央部には、手掛け部54eが設けられている。各手掛け部52e、54eは、ユーザが各容器52、54の操作(各容器52、54の引き出し等)を容易にするために設けられる。なお、下段容器50は、扉22aを前後方向に引き出すことにより、扉22aと一体となって移動するため、下段容器50には手掛け部が設けられていない。
【0015】
図4及び
図5に示すように、下段容器50の両側面(本体12の左右方向に位置する側面)の上部には、上方に突出する凸部60が設けられている。凸部60は、本体12の前面側に設けられている。
【0016】
第1上段容器52の各側面52cの上部には、上方に突出する凸部62が設けられている。各凸部62は、本体12の前後方向において、前面52a側に設けられている。また、各側面52cの下部には、上方に湾曲する凹部64が設けられている。各凹部64は、本体12の前後方向において、前面52a側に設けられている。各凹部64は、各凸部62よりも後面52b側に設けられている。
【0017】
第2上段容器54の各側面54cの上部には、上方に突出する凸部66が設けられている。各凸部66は、本体12の前後方向において、前面54a側に設けられている。また、各側面54cの下部には、上方に湾曲する凹部68が設けられている。各凹部68は、本体12の前後方向において、前面54a側に設けられている。各凹部68は、各凸部66よりも後面54b側に設けられている。
【0018】
第1上段容器52上に第2上段容器54を重ねて本体12内に収納した状態では、
図5に示すように、第1上段容器52の凹部64が下段容器50の凸部60に係合する。また、
図5及び
図6に示すように、第2上段容器54の凹部68が第1上段容器52の凸部62に係合する。一方、
図7に示すように、第2上段容器54上に第1上段容器52を重ねて本体12内に収納した状態では、第2上段容器54の凹部68が下段容器50の凸部60に係合し、第1上段容器52の凹部64が第2上段容器54の凸部66に係合する。すなわち、本実施例では、各凹部64、68は互いに略等しい凹形状を有しており、各凸部60、62、66は互いに略等しい凸形状を有している。また、各凹部64、68は、各凸部60、62、66に対応する形状を有している。なお、
図5に示す状態では、本体12の前後方向において、前面52aが前面54aよりも前方に位置している。また、後面52bが後面54bよりも前方に位置している。また、手掛け部52eが手掛け部54eよりも前方に位置している。また、凸部60が最も前方に位置し、凸部66が最も後方に位置し、凸部62が凸部60と凸部66の間に位置している。また、
図7に示す状態では、本体12の前後方向において、前面54aが前面52aよりも前方に位置している。また、後面54bが後面52bよりも前方に位置している。また、手掛け部54eが手掛け部52eよりも前方に位置している。また、凸部60が最も前方に位置し、凸部62が最も後方に位置し、凸部66が凸部60と凸部62の間に位置している。
【0019】
図8に示すように、第1上段容器52は、各側面52cから外側に突出する2つの延出部53を有している。各延出部53は、各側面52cの上端から外側に突出している。また、第2上段容器54は、各側面54cから外側に突出する2つの延出部55を有している。各延出部55は、各側面54cの上端から外側に突出している。
【0020】
図8~
図10に示すように、本体12の内面には、複数のビード部70、72、74が設けられている。具体的には、本体12の内箱の内面のうち、左右方向に位置する両側面に3対のビード部70、72、74が設けられている。
図10は、主冷凍室22の扉22a及び貯蔵容器23を取り外した状態の冷蔵庫10の内面を示している。
図10に示すように、各ビード部70、72、74は、本体12の内箱の内面を前後方向に伸びている。
【0021】
第1上段容器52上に第2上段容器54を重ねて本体12内に収納した状態では、
図8及び
図9に示すように、ビード部72が第1上段容器52の延出部53を支持するとともに、ビード部74が第2上段容器54の延出部55を支持する。一方、第1上段容器52と第2上段容器54の上下の位置を入れ替えて、第2上段容器54上に第1上段容器52を重ねて本体12内に収納した状態では、
図11に示すように、ビード部70が第2上段容器54の延出部55を支持するとともに、ビード部74が第1上段容器52の延出部53を支持する。すなわち、ビード部70は、第1上段容器52が下側に位置するとき(すなわち、下段容器50上に重ねられたとき)に第1上段容器52の延出部53を支持可能な高さに設けられており、ビード部72は、第2上段容器54が下側に位置するとき(すなわち、下段容器50に重ねられたとき)に第2上段容器54の延出部55を支持可能な高さに設けられている。各ビード部70、72、74は、各延出部53、55を支持するとともに、各上段容器52、54を前後方向に案内するガイドレールとしても機能する。
【0022】
(効果)
本実施例の冷蔵庫10では、主冷凍室22に設けられた第1上段容器52と第2上段容器54とが、上下に入替可能に構成されている。このため、本実施例の冷蔵庫10では、各上段容器52、54の上下を適宜入れ替えることによって、ユーザの使用頻度や用途に応じた利用が可能となり、ユーザの利便性が向上する。例えば、深さが深い容器(すなわち、第1上段容器52)の使用頻度が高いユーザにおいては、第1上段容器52を第2上段容器54の上に重ねて使用することにより、扉22aを開扉したときに、第1上段容器52内に容易にアクセスすることが可能となる。
【0023】
また、本実施例の冷蔵庫10では、
図5に示す状態においては、第1上段容器52が下段容器50に係合し、第2上段容器54が第1上段容器52に係合している。このため、扉22aが開扉されると、
図12に示すように、下段容器50が引き出される際に、第1上段容器52及び第2上段容器54が連動して一体となって引き出される。このため、ユーザは、各上段容器52、54を個別に引き出す手間を要さず、利便性が向上する。
【0024】
また、本実施例の冷蔵庫10では、本体12の内面に3対のビード部70、72、74が設けられている。このような構成とすることで、深さが異なる第1上段容器52及び第2上段容器54の上下を入れ替えたときにも各上段容器52、54の各延出部53、55を適切に支持することができる。
【0025】
(対応関係)
主冷凍室22の貯蔵容器23が「貯蔵部」の一例である。第1上段容器52が、「第1種の容器」の一例であり、第2上段容器54が、「第2種の容器」の一例である。第1上段容器52の底面52dから前面52a及び側面52cの上端までの長さが、「第1の長さ」の一例であり、第2上段容器54の底面54dから前面54a及び側面54cの上端までの長さが、「第2の長さ」の一例である。側面52cが「第1の側面」の一例であり、側面54cが「第2の側面」の一例である。凸部62が「第1の係合部」の一例であり、凸部66が「第3の係合部」の一例である。凹部64が「第2の係合部」の一例であり、凹部68が「第4の係合部」の一例である。延出部53が「第1の延出部」の一例であり、延出部55が「第2の延出部」の一例である。ビード部74が「第1の支持部」の一例であり、ビード部72が「第2の支持部」の一例であり、ビード部70が「第3の支持部」の一例である。
【0026】
(実施例2)
続いて、実施例2の冷蔵庫について説明する。以下では、実施例1と異なる構成についてのみ説明し、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。実施例2では、
図13に示すように、貯蔵容器23の各容器50、52、54が、実施例1において説明した各凸部60、62、66及び各凹部64、68を有していない。
【0027】
図13に示すように、第1上段容器52は、その底面52dに、底面52dから下方に突出する突出部82を有している。突出部82は、本体12の前後方向において、前面52a側に設けられている。また、第2上段容器54は、その底面54dに、底面54dから下方に突出する突出部84を有している。突出部84は、本体12の前後方向において、前面54a側に設けられている。突出部82の数は特に限定されない。複数の突出部82を設ける場合には、当該複数の突出部82それぞれの前後方向における位置が同じであればよい。突出部84についても同様である。
【0028】
(効果)
上述したように、本実施例では、各容器50、52、54に、各凸部60、62、66及び各凹部64、68が設けられていない。すなわち、
図13に示す状態では、第1上段容器52及び第2上段容器54は下段容器50に接触しておらず、第1上段容器52がビード部72によって支持され、第2上段容器54がビード部74によって支持されている。このため、主冷凍室22の扉22aを引き出しても、下段容器50とともに、第1上段容器52及び第2上段容器54が連動して引き出されない。すなわち、下段容器50のみが引き出される。このため、扉22aを開扉したときに、下段容器50の内部に容易にアクセスすることが可能となる。このため、下段容器50の使用頻度が高いユーザにとって利便性が高い。
【0029】
一方で、本実施例では、第1上段容器52に突出部82が設けられている。このため、下段容器50を本体12に対して引き出す過程で、第1上段容器52の突出部82が下段容器50の後面に当接する。すると、
図14に示すように、第1上段容器52がわずかに引き出される。本実施例では、第1上段容器52が下段容器50とともに引き出されると、第1上段容器52の手掛け部52eが、閉扉状態の扉22aの前面の位置(破線220で示す位置)よりもわずかに前方まで引き出されるように構成されている。したがって、ユーザは、第1上段容器52の手掛け部52eを操作しやすく、第1上段容器52の内部へも容易にアクセスすることができる。なお、同様に、第2上段容器54が第1上段容器52の下側に位置している場合には、下段容器50を引き出す過程で、第2上段容器54の突出部84が下段容器50の後面に当接してわずかに引き出される。このため、同様に、手掛け部54eを容易に操作することができ、第2上段容器54の内部へも容易にアクセスすることができる。
【0030】
(対応関係)
下段容器50が、「第1種の容器」の一例であり、第1上段容器52及び第2上段容器54が、「第2種の容器」の一例である。下段容器50の後面が、「第1種の容器の後方部分」の一例であり、突出部82及び突出部84が、「第2種の容器の前方部分」の一例である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0032】
上述した各実施例では、第1上段容器52と第2上段容器54の深さが異なっていた。しかしながら、第1上段容器52と第2上段容器54の深さは同じであってもよい。換言すると、第1上段容器52と第2上段容器54とは、いずれかの点において異なる構成を有していればよい。例えば、
図15A及び
図15Bに示すように、第1上段容器52の収納空間と第2上段容器54の収納空間に異なる形状の仕切部86、88が設けられていてもよい。
図15A及び
図15Bに示す例では、仕切部86は、第1上段容器52の収納空間を前後に分割するように配置されており、仕切部88は、第2上段容器54の収納空間を左右に分割するように配置されている。また、仕切部86の上端の位置は、第1上段容器52の後面52bの上端の位置と略同じであり、仕切部88の上端の位置は、第2上段容器54の後面54bの上端の位置と略同じである。なお、仕切部86、88の位置、高さ、形状等は特に限定されない。例えば、各仕切部86、88は、平面視において、湾曲や屈曲していてもよい。また、
図16に示すように、第1上段容器52の前面52a側の角部に切欠部90が設けられていてもよい。この構成では、
図17に示すように、比較的大きな高さを有する貯蔵品(例えば、ペットボトル等)を収容するスペースを確保することができる。なお、切欠部90の位置は特に限定されない。例えば、第1上段容器52の後方側の角部に設けられてもよいし、前後方向における中間位置に設けられてもよい。
【0033】
また、実施例1において、各凸部60、62、66、及び、各凹部64、68は、各側面52c、54cにおいて本体12の後面側に設けられてもよい。このような構成では、各凸部60、62、66、及び、各凹部64、68がユーザが視認し難い本体12の奥側に設けられているため、下段容器50等を本体12に対して引き出したときに、美感が損なわれることが抑制される。また、各凸部60、62、66、及び、各凹部64、68は、各側面52c、54cの一方のみに設けられてもよい。なお、各凸部60、62、66、及び、各凹部64、68が設けられる位置は、各容器52、54の各側面52c、54cに限られない。例えば、前面52a、54aに設けられてもよいし、後面52b、54bに設けられてもよい。
【0034】
また、実施例1では、各凸部60、62、66、及び各凹部64、68によって、下段容器50、第1上段容器52及び第2上段容器54が係合するように構成されていた。しかしながら、各部60、62、66が凹形状を有しており、各部64、68が凸形状を有していてもよい。
【0035】
また、実施例1において、例えば、第1上段容器52の凹部64及び第2上段容器54の凸部66は設けられていなくてもよい。すなわち、第1上段容器52の凸部62と、第2上段容器54の凹部68のみが設けられていてもよい。このような構成では、上段容器52、54の上下を入れ替えることによって、一方のみ(本変形例では第2上段容器54のみ)が引き出される態様と、双方がともに引き出される態様とを使い分けることができる。
【0036】
また、実施例2では、第1上段容器52の底面52dから突出する突出部82が、下段容器50の後面に当接することにより第1上段容器52が下段容器50とともに引き出される構成であった。しかしながら、下段容器50を引き出す過程で、下段容器50と第1上段容器52とが係合して、第1上段容器52が下段容器50とともに引き出される構成であればどのような構成であってもよい。例えば、下段容器50の後方側(例えば、側面の上部)に突出部を設けて、下段容器50を引き出す過程で、当該突出部が第1上段容器52の前面52aの下端に係合する構成を採用してもよい。
【0037】
また、実施例2において、第1上段容器52及び第2上段容器54は、突出部82、84を有していなくてもよい。
【0038】
また、本明細書に開示の技術は、主冷凍室22以外の引き出し式の貯蔵容器に採用してもよい。例えば、野菜室16の貯蔵容器17等を複数の容器により多段に構成して、当該複数の容器の上下を入替可能に構成してもよい。また、上述した実施例では、貯蔵容器の一部が扉と一体となって引き出される貯蔵室(主冷凍室22)を例に挙げて説明した。しかしながら、扉の開閉と連動しない貯蔵容器を有する貯蔵室に対して本明細書に開示の技術を適用してもよい。例えば、冷蔵室14内に設けられたチルド室24(すなわち、扉14aの開閉と連動しない貯蔵室)の貯蔵容器を複数の容器により多段に構成して、当該複数の容器の上下を入替可能に構成してもよい。
【0039】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
10:冷蔵庫、12:本体、14:冷蔵室、16:野菜室、18:製氷室、20:小冷凍室、22:主冷凍室、22a:扉、23:貯蔵容器、24:チルド室、50:下段容器、52:第1上段容器、52a:前面、52b:後面、52c:側面、53:延出部、54:第2上段容器、54a:前面、54b:後面、54c:側面、55:延出部、60、62、66:凸部、64、68:凹部、70、72、74:ビード部、82、84:突出部、86、88:仕切部、90:切欠部