(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
F25D25/00 E
F25D25/00 G
(21)【出願番号】P 2019214603
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-027650(JP,A)
【文献】特開2002-130933(JP,A)
【文献】特開2014-087459(JP,A)
【文献】特開平08-170873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、
を備えており、
前記貯蔵部は、
上部に第1の開口を有する下段容器と、
前記下段容器上に重ねて設けられ、上部に第2の開口を有する上段容器であって、前記第2の開口の面積が前記第1の開口の面積よりも小さい前記上段容器と、
前記上段容器の底面から上方に延びる側面の複数個所に対して着脱可能である取付容器と、を有して
おり、
前記取付容器が前記上段容器の外側に取り付けられたときに、前記取付容器により、前記下段容器の前記第1の開口を開放する面積が変化するように構成されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
本体と、
前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、
を備えており、
前記貯蔵部は、
上部に第1の開口を有する下段容器と、
前記下段容器上に重ねて設けられ、上部に第2の開口を有する上段容器であって、前記第2の開口の面積が前記第1の開口の面積よりも小さい前記上段容器と、
前記上段容器の底面から上方に延びる側面の複数個所に対して着脱可能である取付容器と、を有して
おり、
前記上段容器の側面の上端には、凹形状を有する第1の係合部が設けられており、
前記取付容器の側面の上端には、前記第1の係合部に係合可能な第2の係合部が設けられており、
前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合させることにより、前記取付容器が前記上段容器に取り付けられるとともに、前記上段容器の前記側面の上縁に沿う方向における前記上段容器に対する前記取付容器の変位が抑制されるように構成されている、
冷蔵庫。
【請求項3】
前記取付容器が前記上段容器に取り付けられたときに、前記取付容器の一部が、前記第2の開口の少なくとも一辺又は前記上段容器の前記側面に接する、請求項1
又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記取付容器は、上部に第3の開口を有しており、
前記取付容器が前記上段容器に取り付けられたときに、前記第3の開口の少なくとも一辺が前記第2の開口の少なくとも一辺と共有される、請求項
3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記取付容器が前記上段容器の外側に取り付けられたときに、前記上段容器及び前記取付容器が、前記下段容器の前記第1の開口を覆うように構成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記取付容器が前記上段容器の外側に取り付けられたときに、前記上段容器及び前記取付容器が、前記下段容器の前記第1の開口の一部を開放するように構成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵部は、複数の前記取付容器を有している、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記取付容器の側面に係合部が設けられており、
前記係合部を前記上段容器の前記側面の上部に係合させることにより、前記取付容器を前記上段容器に取り付けるように構成されている、請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記取付容器の側面に第1の嵌合部が設けられており、
前記上段容器の前記側面に前記第1の嵌合部と嵌合可能な第2の嵌合部が設けられており、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部を嵌合させることにより、前記取付容器を前記上段容器に取り付けるように構成されている、請求項
1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
本体と、本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備える冷蔵庫が知られている。この種の冷蔵庫では、多段に重ねられた複数の容器を用いることによって、貯蔵部内の空間を効率良く利用することができる。複数の容器としては、それぞれの容器の上部に設けられた開口の面積が同一である形態や、それぞれの開口の面積が異なる形態等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、多段に重ねられた引き出し式の貯蔵部を備える冷蔵庫において、ユーザの利便性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する冷蔵庫は、本体と、前記本体に対して前後方向に移動可能な引き出し式の貯蔵部と、を備えている。前記貯蔵部は、上部に第1の開口を有する下段容器と、前記下段容器上に重ねて設けられ、上部に第2の開口を有する上段容器であって、前記第2の開口の面積が前記第1の開口の面積よりも小さい前記上段容器と、前記上段容器の底面から上方に延びる側面の複数個所に対して着脱可能である取付容器と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施例1に係る冷蔵庫の前後方向に沿う断面図。
【
図4】実施例1に係る冷蔵庫の貯蔵容器の後面分解斜視図。
【
図5】実施例1に係る冷蔵庫の上段容器の外側に取付容器を取り付けた状態を示す斜視図。
【
図7】実施例1に係る冷蔵庫の上段容器の内側に取付容器を取り付けた状態を示す斜視図。
【
図8】実施例1に係る冷蔵庫の上段容器の内側に取付容器を取り付けた他の状態を示す斜視図。
【
図9】実施例2に係る冷蔵庫の上段容器に取付容器を取り付けた状態を示す斜視図。
【
図10】実施例2に係る冷蔵庫の上段容器に取付容器を取り付けた他の状態を示す斜視図。
【
図11】実施例3に係る冷蔵庫の貯蔵容器の後面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例1)
図面を参照して、実施例1の冷蔵庫10について説明する。
図1及び
図2に示すように、冷蔵庫10は、本体12を備えている。本体12は、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有している。外箱と内箱の間には、断熱材が配置されており、本体12は断熱性を有している。本体12の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。以下では、冷蔵庫10の前後方向(奥行き方向)において、本体12の正面側を「前方」といい、本体12の裏面側を「後方」という。
【0008】
図1及び
図2に示すように、本体12には、貯蔵室として、冷蔵室14、野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22が設けられている。冷蔵室14及び野菜室16は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22は冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0009】
冷蔵室14の前面には、冷蔵室14の前面開口部を開閉する左右の扉14a、14bが設けられている。左右の扉14a、14bは、観音開き式の扉であり、扉14aの左端部及び扉14bの右端部がヒンジ(不図示)により本体12に対して回動可能に取り付けられている。冷蔵室14には、前面開口部を介して貯蔵品が収容される。
図2に示すように、冷蔵室14の下部には、チルド室24が設けられている。
【0010】
野菜室16、製氷室18、小冷凍室20、及び主冷凍室22の前面のそれぞれには、各前面開口部を開閉する引き出し式の扉16a、18a、20a、22aが設けられている。観音開き式の扉14a、14b、及び、引き出し式の扉16a、18a、20a、22aには、それぞれの内部に断熱材(例えば、ポリウレタン)が設けられており、断熱性を有している。各扉14a、14b、16a、18a、20a、22aの前面(外面)部分は、例えば透光性を有するガラス板によって構成された前面板(不図示)で覆われている。
【0011】
図2に示すように、主冷凍室22の後方には、圧縮機26等が配置された機械室25が設けられている。また、野菜室16の後方には、冷蔵室ファン30及び冷蔵室冷却器31が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷蔵室ファン30が回転し、空気が冷蔵室14及び野菜室16に送られる。また、製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22の後方には、冷凍室ファン40及び冷凍室冷却器41が配置されている。ファンモータ(不図示)が駆動することにより冷凍室ファン40が回転し、空気が製氷室18、小冷凍室20及び主冷凍室22に送られる。冷蔵室冷却器31及び冷凍室冷却器41は、圧縮機26から供給される冷媒によって冷却される。
【0012】
野菜室16には、貯蔵容器17が設けられている。小冷凍室20には、貯蔵容器21が設けられている。各扉16a、20aを前後方向に引き出すことにより、各貯蔵容器17、21が出し入れ可能に収容されている。主冷凍室22には、貯蔵容器23が設けられている。
図2~
図5に示すように、主冷凍室22の貯蔵容器23は、下段容器50、上段容器52、及び、取付容器54を有している。下段容器50は、扉22aに固定されており、扉22aを前後方向に引き出すことにより、扉22aと一体となって移動する。以下、主冷凍室22の貯蔵容器23について、詳細に説明する。
【0013】
図3に示すように、上段容器52は、下段容器50上に重ねて使用される。下段容器50は、前面50aと、後面50b(
図4参照)と、前面50a及び後面50bを接続する2つの側面50cと、底面50dを有している。下段容器50の上部には、前面50a、後面50b、及び側面50cによって開口51(図では一部のみ図示)が規定されている。上段容器52は、前面52aと、後面52bと、前面52a及び後面52bを接続する2つの側面52cと、底面52dを有している。上段容器52の上部には、前面52a、後面52b、及び側面52cによって開口53が規定されている。上段容器52の開口53の面積は、下段容器50の開口51の面積よりも小さい。したがって、下段容器50上に上段容器52が重ねられた状態では、下段容器50の開口51の一部が開放される。具体的には、
図3に示すように、開口51の後方側が上段容器52によって覆われ、開口51の前方側が開放される。
【0014】
図4~
図6に示すように、取付容器54は、上段容器52に対して着脱可能に構成されている。
図4に示すように、取付容器54の一側面には、フック60が設けられている。フック60は、取付容器54の一側面の上端に沿って設けられている。以下では、説明の便宜上、フック60が設けられている面を後面54b、後面54bに対向する面を前面54a、前面54aと後面54bを接続する2つの面を側面54cと称する。フック60の左右方向の幅は、後面54bの左右方向の幅よりも短い。
図5及び
図6に示すように、フック60を上段容器52の一側面(
図5及び
図6では前面52a)に引っ掛けるように係合させることにより、取付容器54を上段容器52に取り付けることができる。なお、上段容器52の前面52aの上端には、フック60の左右方向の幅に対応する(当該幅よりもわずかに広い)段差部52eが設けられている。このため、フック60を段差部52eに係合させることで、取付容器54の上段容器52に対する位置ずれが抑制される。取付容器54の前面54a中央の上部には、前面54aの上端から下方に湾曲する凹部54eが設けられている。凹部54eは、例えば、ユーザが容器を操作するための手掛け部として利用することができる。また、取付容器54の上部には、前面54a、後面54b、及び2つの側面54cによって開口55が規定されている。
【0015】
図5及び
図6は、フック60を上段容器52の前面52aの段差部52eに係合させて、取付容器54を上段容器52に取り付けた状態を示している。このように、取付容器54を上段容器52の外側に取り付けた状態では、取付容器54の開口55の後面54b側の一辺が、上段容器52の開口53の前面52a側の一辺と共有される。したがって、取付容器54を上段容器52の外側に取り付けると、共有された辺が仕切部のように機能する1つの容器として上段容器52及び取付容器54を利用することができる。また、本実施例では、取付容器54が上段容器52の外側に取り付けられると、上段容器52及び取付容器54によって、下段容器50の開口51の略全体が覆われる。換言すると、本実施例では、上段容器52の開口53の面積と取付容器54の開口55の面積の和が、下段容器50の開口51の面積と略等しい。
【0016】
図7及び
図8に示すように、取付容器54はまた、上段容器52の内側に取り付けることもできる。換言すると、取付容器54は、上段容器52の収容空間内に取り付けることができる。
図7に示す状態では、フック60が上段容器52の前面52aの段差部52eに係合している。取付容器54の一方の側面54cから他方の側面54cまでの長さは、上段容器52の一方の側面52cから他方の側面52cまでの長さよりわずかに短い。
図7に示す状態では、取付容器54の開口55の後面54b側の一辺が、上段容器52の開口53の前面52a側の一辺と共有される。また、取付容器54の開口55の側面52c側の両辺が、上段容器52の開口53の側面52c側の両辺の一部と共有される。また、
図8に示す状態では、フック60が上段容器52の後面52bの上端に係合しており、取付容器54の開口55の後面54b側の一辺が、上段容器52の開口53の後面52b側の一辺と共有される。また、取付容器54の開口55の側面52c側の両辺が、上段容器52の開口53の側面52c側の両辺の一部と共有される。このように、本実施例の取付容器54は、開口55を規定する辺のうち、少なくともフック60が設けられた後面54b側の辺を上段容器52と共有するように構成されている。なお、取付容器54を上段容器52の内側に取り付けた状態では、取付容器54の開口55と、上段容器52の開口53の一部が重複する。すなわち、取付容器54を上段容器52の内側に取り付けると、前面54aが上段容器52の収容空間を区画する仕切部のように機能する。なお、上段容器52の後面52bの上端には、前面52aの段差部52eに対応する構成が設けられていない。しかしながら、
図8に示す状態では、取付容器54が上段容器52の内側に取り付けられるため、上段容器52に対する取付容器54の位置ずれをそれほど考慮しなくてもよい。ただし、後面52bの上端にも、段差部52eと同様の段差部を設けてもよい。
【0017】
(効果)
本実施例の冷蔵庫10では、主冷凍室22に設けられた上段容器52に対して着脱可能な取付容器54が設けられている。このため、取付容器54を取り付けたり外したりすることにより、ユーザの使用頻度や用途に応じた利用が可能となり、ユーザの利便性が向上する。例えば、取付容器54を取り外すと、下段容器50の開口51の一部が開放され、下段容器50の高さ方向の空間が拡大する。このため、比較的大きな高さを有する貯蔵品を収容したい場合に利便性が高い。また例えば、取付容器54を上段容器52の外側に取り付けると、貯蔵容器23の上段の収容面積が拡大する。このため、効率良く貯蔵品を収容することができる。
【0018】
また、本実施例の取付容器54は、上段容器52の内側に取り付けることができる。このため、取付容器54を上段容器52の外側に取り付ける必要がない場合には、取付容器54を別途保管しておくことを要さず、ユーザの利便性が向上する。また、取付容器54を上段容器52の内側に取り付けることにより、取付容器54の側面(本実施例では、前面54a)を上段容器52の仕切部として利用することができる。
【0019】
(実施例2)
続いて、実施例2の冷蔵庫について説明する。以下では、実施例1と異なる構成についてのみ説明し、実施例1と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。後述する実施例3においても同様である。実施例2では、
図9及び
図10に示すように、上段容器52に対して2つの取付容器154が設けられている。
【0020】
各取付容器154には、実施例1と同様に、その後面154bの上端に沿うフック160が設けられている。
図9は、取付容器154を上段容器52の内側に取り付けた状態を示している。取付容器154の一方の側面154cから他方の側面154cまでの長さは、上段容器52の前面52aから後面52bまでの長さよりもわずかに短い。
図9に示す状態では、各フック160が上段容器52の各側面52cの上端に係合している。この状態では、取付容器154の開口155の後面154b側の一辺が、上段容器52の開口53の側面52c側の一辺と共有される。また、取付容器154の開口155の側面154c側の両辺が、上段容器52の開口53の前面52a側及び後面52b側の各辺の一部とそれぞれ共有される。
図9に示す状態では、取付容器154の各開口155のそれぞれと、上段容器52の開口53の一部が重複する。したがって、2つの取付容器154を上段容器52の内側に取り付けた状態では、上段容器52が3つの収容空間に区画された1つの容器のように利用することができる。
【0021】
実施例1と同様に、取付容器154は、上段容器52の外側に取り付けることができる。本実施例では、1つの取付容器154を上段容器52の外側に取り付けた状態(
図10に示す状態)では、下段容器50の開口51の一部が開放されたまま残存する。具体的には、
図10に示すように、1つの取付容器154のフック160を段差部52eの左端に係合させた状態では、開口51の前方左側が取付容器154によって覆われ、開口51の前方右側が開放される。また、2つの取付容器154の双方を上段容器52の外側に取り付けると、上段容器52及び2つの取付容器154によって開口51の略全体が覆われるように構成されている。
【0022】
本実施例では、実施例1の取付容器54よりも小さい収容空間を有する取付容器154が複数設けられている。したがって、ユーザが、主冷凍室22の内部の利用において、収容空間のより細やかな調節を行うことができる。
【0023】
(実施例3)
続いて、実施例3の冷蔵庫について説明する。実施例3の取付容器254は、実施例1の取付容器54と異なり、その後面254bにフックが設けられていない。
図11及び
図12に示すように、取付容器254は、2つの延在部262と、2つの突出部260を有している。各延在部262は、取付容器254の側面254cの上端から後方(前面254aから後面254bに向かう方向)に延びている。各突出部260は、各延在部262の下面中央から下方に延びている。また、延在部262の左端及び右端からは、下方に延びる壁部262aがそれぞれ設けられている。2つの壁部262aの間を突出部260が下方に延びている。
【0024】
上段容器252は、2つの挿入孔270を有している。各挿入孔270は、上段容器252の前面252aと側面252cが交差する範囲の上端に設けられている。より詳細には、挿入孔270は、前面252aと側面252cにより構成される角部の内側に設けられている。挿入孔270は、突出部260を挿入可能に構成されている。
【0025】
本実施例では、各突出部260を対応する挿入孔270内に挿入することによって、取付容器254を上段容器252に取り付ける。取付容器254を上段容器252に取り付けると、各突出部260が対応する挿入孔270に挿入されるとともに、挿入孔270の周囲が延在部262及び壁部262aによって覆われるように構成されている。本実施例では、各突出部260が、取付容器254の後面254bと側面254cが交差する範囲の近傍に設けられている。また、各挿入孔270が、上段容器252の前面252aと側面252cが交差する範囲の上端に設けられている。すなわち、比較的強度が高い範囲に各突出部260及び各挿入孔270が設けられている。また、本実施例では、取付容器254を上段容器252に取り付ける際に、上段容器252に対して取付容器254を2か所で固定する。このため、例えば、ユーザが取付容器254を引き出す方向に力を加えたときに、取付容器254と上段容器252との接続部分に加わる力が分散される。このように、本実施例では、取付容器254及び上段容器252に加わる力が分散されるとともに、比較的強度が高い部分に分散された力が加わるため、取付容器254や上段容器252の変形が抑制され、ユーザが取付容器254等を容易に引き出すことが可能となる。また、取付容器254を上段容器252に取り付けたときに、延在部262及び壁部262aによって突出部260と挿入孔270との接続部分が覆われるため、美感が損なわれることが抑制される。
【0026】
(対応関係)
開口51、開口53、開口55が、それぞれ「第1の開口」、「第2の開口」、「第3の開口」の一例である。フック60、160が、「係合部」の一例である。突出部260、挿入孔270が、それぞれ「第1の嵌合部」、「第2の嵌合部」の一例である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0028】
上述した各実施例では、上段容器の開口が矩形状を有していた。しかしながら、上段容器の形状は特に限定されない。例えば、
図13に示すように、前面352a側の角部に切欠部360を有する上段容器352であってもよい。このような形状の上段容器352に対して、下段容器50の開口51を塞ぐポケット型の取付容器を着脱可能に構成してもよい。なお、切欠部360の位置は特に限定されない。例えば、上段容器352の後面352b側の角部に設けられてもよいし、前後方向における中間位置に設けられてもよい。
【0029】
また、上述した実施例では、フック60と段差部52eとが係合することにより、取付容器54の開口55の一辺が、上段容器52の開口53の一辺と共有される構成であった。しかしながら、取付容器54は、上段容器52のいずれかの側面や開口53を規定する辺に対して着脱可能であればよく、開口53と開口55との間に空間が設けられてもよい。すなわち、取付容器54が上段容器52に取り付けられたときに、開口55を規定する辺が、開口53を規定する辺と共有されなくてもよい。
【0030】
また、上述した実施例2において、突出部260及び挿入孔270が設けられる位置や数は特に限定されない。また、実施例2では、取付容器254に設けられた突出部260が、上段容器252に設けられた挿入孔270に挿入されることにより、取付容器254を上段容器252に取り付ける構成であった。しかしながら、例えば、上段容器252の挿入孔270が設けられていた位置に上方に突出する突出部を設け、取付容器254の突出部260が設けられていた位置に挿入孔を設けることにより、取付容器254を上段容器252に取り付けてもよい。
【0031】
また、上述した各実施例では、貯蔵容器23が、下段容器50と、上段容器52、252との2段に構成されていた。しかしながら、多段に重ねられた上段容器を用いて、貯蔵容器23を3段以上に構成してもよい。そして、上段容器(例えば、最上段の上段容器)に対して本明細書に開示の取付容器を設けてもよい。
【0032】
また、本明細書に開示の技術は、主冷凍室22以外の引き出し式の貯蔵容器に採用してもよい。例えば、野菜室16の貯蔵容器17等を複数の容器により多段に構成して、上段に位置する容器に対して着脱可能な取付容器を設けてもよい。また、上述した実施例では、貯蔵容器の一部が扉と一体となって引き出される貯蔵室(主冷凍室22)を例に挙げて説明した。しかしながら、扉の開閉と連動しない貯蔵容器を有する貯蔵室に対して本明細書に開示の技術を適用してもよい。例えば、冷蔵室14内に設けられたチルド室24(すなわち、扉14aの開閉と連動しない貯蔵室)の貯蔵容器を複数の容器により多段に構成して、上段に位置する容器に対して着脱可能な取付容器を設けてもよい。
【0033】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
10:冷蔵庫、12:本体、14:冷蔵室、16:野菜室、17:貯蔵容器、18:製氷室、20:小冷凍室、22:主冷凍室、23:貯蔵容器、24:チルド室、50:下段容器、51:開口、52:上段容器、52a:前面、52b:後面、52c:側面、52d:底面、53:開口、54:取付容器、54a:前面、54b:後面、54c:側面、55:開口、60:フック、154:取付容器、160:フック、252:上段容器、254:取付容器、260:突出部、270:挿入孔、352:上段容器、360:切欠部