(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ケーブル作動式差動装置、ケーブル作動式差動装置を有するシステム、ケーブル作動式差動装置を作動させる方法
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20230913BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B25J17/00 G
B25J19/00 F
(21)【出願番号】P 2019557817
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 US2018029356
(87)【国際公開番号】W WO2018200670
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516231051
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソールズベリー、ジェイ・ケネス・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】カーン、アレックス・ネイサン
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/161449(WO,A1)
【文献】特開2016-120537(JP,A)
【文献】特表平3-505067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0216596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N自由度を有するケーブル作動式差動装置であって、
(a)複数の作動要素と、
(b)複数のプーリであって、各プーリは、それぞれの前記プーリの周囲に沿って独立して取り付けられた1以上の張力ケーブルを有し、前記張力ケーブルの数は少なくともN+1であり、Nは少なくとも1に等しい、該複数のプーリと、
(c)前記プーリの回転を可能にする取り付け構造
とを含み、
各作動要素は、対応する前記張力ケーブルに張力を適用するように構成され、
前記張力ケーブルは、たるみを引き起こすことなく最小限の張力を同時に加えることにより、前記作動要素によって同時に作動され
、
前記取り付け構造は、基部に回動可能に支持された共通シャフトと、前記共通シャフトに結合され、前記共通シャフトに対して垂直に延びる垂直シャフトとを含み、
前記複数のプーリは、第1プーリ、及び1対の第2プーリを含み、
前記第1プーリは、張力下で取り付けられたケーブルを有し、かつ、前記共通シャフトに固定的に取り付けられ、
前記第1プーリに平行に、前記共通シャフトに回動可能に取り付けられた前記1対の第2プーリは、それぞれの第2プーリに独立して取り付けられた1対のケーブルを有し、前記第1プーリは、前記1対の第2プーリに隣接して配置され、
前記1対のケーブルに加えられる様々な1以上の張力は、任意の動作点における前記ケーブルの同時活性化が最小限に抑えられるようなものであり、
前記垂直シャフトは、前記1対の第2プーリの間の位置で前記共通シャフトに結合され、
前記第1プーリ及び前記1対の第2プーリのそれぞれに関連する複数のギアをさらに含み、
前記1対の第2プーリに関連する1対のギアは、円形であり、互いに対向する面を有し、かつ、前記共通シャフトに回動可能に取り付けられ、
前記第1プーリに関連するギアは、前記垂直シャフトに回動可能に取り付けられ、対向する前記1対のギアのそれぞれに噛合されることを特徴とするケーブル作動式差動装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のケーブル作動式差動装置であって、
前記
1対のギアは、
前記共通シャフトに
回動可能に取り付けられたベベルギアであり、
前記第1プーリに関連するギアは、前記対向するベベルギアのそれぞれに噛合されている
中間ベベルギアであることを特徴とするケーブル作動式差動装置。
【請求項3】
請求項
1に記載のケーブル作動式差動装置であって、
少なくとも1つの張力ケーブルに加えられる張力の値は、それぞれのプーリ、及び関連付けられた円形ギアの回転を引き起こす他の張力ケーブルに加えられる張力の値とは異なることを特徴とするケーブル作動式差動装置。
【請求項4】
請求項
1に記載のケーブル作動式差動装置であって、
(a)前記共通シャフトに取り付けられたフォークと、
(b)前記フォークに堅く噛合された
前記垂直シャフトと、
(c)前記
垂直シャフトに関して自由に回転するように取り付けられた出力コネクタと
をさらに含み、
前記1対のギアは、前記1対の第2プーリに堅く取り付けられた1対のベベルギア
であり、
前記第1プーリに関連するギアは、前記1対のベベルギアのそれぞれに噛合された中間ベベルギア
であり、
前記
垂直シャフトは、前記共通シャフトが前記フォークに噛合されて前記第1プーリと共に回転
し、
前記出力コネクタは、前記出力コネクタが前記中間ベベルギアの回転と共に前記
垂直シャフトに関して回転するように、前記中間ベベルギアに堅く接続されていることを特徴とするケーブル作動式差動装置。
【請求項5】
2つ
のケーブル作動式差動装置を有するシステムであって、
前記2つのケーブル作動式差動装置の各々は、請求項1に記載のケーブル作動式差動装置であり、
前記2つのケーブル作動式差動装置は、それぞれの前記
1対の第
2プー
リに接続されたケーブルによって相互接続され、
前記2つのケーブル作動式差動装置は、それぞれのx軸に関して協働して回転することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項
5に記載のシステムであって、
(a)
前記1対のギアは、前記
1対の第2プーリにそれぞれ堅く取り付けられた1対の対向するベベルギア
であり、
(b)
前記第1プーリに関連するギアは、前記対向するベベルギアと噛合された中間ベベルギアであ
り、
前記中間ベベルギアは、それぞれの張力ケーブルに異なる張力を加えることによって、前記
1対の第2プーリの相対運動により回転する
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項
5に記載のシステムであって、
前記第1プーリが他のプーリの外側に配置され、
前記2つのケーブル作動式差動装置は、ケーブル長に応じて360度回転することを特徴とするシステム。
【請求項8】
少なくともN+1の張力下のケーブルを有するN自由度のケーブル作動式差動装置を作動させる方法であって、
前記N+1ケーブル作動式差動装置の各々は、請求項1記載のケーブル作動式差動装置であり、
前記ケーブル作動式差動装置は複数のプーリを含み、各プーリには1以上の前記ケーブルが取り付けられ、
前記ケーブル間の同時活性化が最小化されるように、各ケーブルのたるみ無しに、張力が独立して作用し、
前記ケーブルに、たるみを引き起こすことなく同時に加えられる張力の量を最小化することによって、前記張力下のケーブルの同時活性化が最小化され
、
前記ケーブル作動式差動装置は、前記プーリのそれぞれに関連付けられたベベルギアをさらに含み、
前記ベベルギアの2つは互いに対向し、前記共通シャフトに取り付けられ、対向するベベルギアのそれぞれに中間ベベルギアが噛合され、
前記方法は、
前記対向するベベルギアに関連付けられた前記プーリのケーブルが所定の位置に保持されているときに第3のケーブルを引くステップであって、前記ケーブル作動式差動装置に張力を加えて、それぞれのシャフトに関するいずれのベベルギアの回転も引き起こすことなく、前記中間ベベルギアと、2つの前記対向するベベルギアのいずれかとの間のバックラッシュを排除する、該ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の方法であって
、
前記中間ベベルギアに関連付けられた前記プーリに取り付けられた前記ケーブルが静止状態で保持されているとき、前記対向するベベルギアの一方に関連付けられたケーブルが引かれ、前記対向するベベルギアの他方に関連付けられたケーブルが引き出されることによって、前記中間ベベルギア
が回転することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
8に記載の方法であって
、
前記対向するベベルギアに関連付けられた前記ケーブルが共に引かれ、前記中間ベベルギアに関連付けられた前記ケーブルが引き出されると、前記対向するベベルギアの周囲を前記中間ベベルギアが動くことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、機械的差動装置に関する。より具体的には、本発明は、バンク及びロールの両方の自由度を制御するためにプーリによって作動される機械的差動装置に関する。機械的差動装置は、ロボット工学及び遠隔操作に応用される。
【背景技術】
【0002】
通常、アクチュエータによって生成された運動及び力を別の場所に伝えるために、リンケージ、ギア、シャフト、ベルトが、アクチュエータ(例えば、モータ、手動式、油圧、重り)と組み合わされて使用される。別の場所へのこの運動及び力の伝導(コンダクション)は、伝達(トランスミッション)と呼ばれる。例として、自転車のチェーンドライブ、時計の歯車(ギア)、自動車のタイミングベルトが含まれる。これらの例には、1つの共通の属性が存在する。これらは、双方向の伝達を行う。シャフトは、ギア及びタイミングベルトと同様に、正または負の向きのトルクを発生させる。同様に、電気モータは、いずれの方向にも運動を引き起こすことができる。
【0003】
対照的に、「ユニセンス(単一方向)」アクチュエータ、及び/またはトランスミッションを使用するそのような機構には、別の種類が存在する。ユニセンスアクチュエータとは、一方向の力を生成することのみ可能なアクチュエータを指す(単動空気圧式シリンダ、または人工衛星のステアリングスラスタなど)。ユニセンストランスミッションは、一方向にのみ、運動及び力を引き起こすことができる。張力ケーブル、及び油圧ホースがその例である。張力ケーブルは張力によって運動及び力を伝導するが、油圧ホースは圧力によって運動及び力を伝導する。
【0004】
本開示において、「N+1設計」という用語は、ロボットアームなどのN自由度(DOF)の機構について、N自由度機構を完全に(双方向に)制御できるようにするために必要なユニセンストランスミッション/アクチュエータの最小数はN+1であるという観察を指す。例えば、衛星を完全に6自由度で制御するには、7つのユニセンススラスタが必要である(すなわち、N+1のアクチュエータ)。この関係を用いることにより、参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に開示されているように、4つのモータによって張力がかけられたBodinケーブルを使用して、3DOFスタンフォード/JPLロボットハンドを制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4,921,293号明細書
【文献】米国特許第5,807,377号明細書
【文献】米国特許第5,587,937号明細書
【文献】米国特許第5,327,790号明細書
【文献】米国特許第4,903,536号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該技術分野のニーズに取り組むために、複数の作動要素と、複数のプーリであって、各プーリはそれぞれのプーリの周囲に沿って独立して取り付けられた1以上の張力ケーブルを有する、該複数のプーリとを含み、張力ケーブルの数は少なくともN+1であり、Nは少なくとも1に等しく、プーリの回転を可能にする取り付け構造であって、張力ケーブルは、たるみを引き起こすことなく最小限の張力を同時に加えることにより、作動要素によって同時活性化される、N自由度を有するケーブル作動式差動装置が提供される。
【0007】
一態様によれば、本発明は、プーリのそれぞれに関連する複数のギアをさらに含み、2以上のギアは、円形であり、互いに対向する面を有し、かつ、それぞれのシャフトに取り付けられ、1以上の他のギアは、対向するギアのそれぞれに噛合されている。一態様では、対向するギアの2つは、共通のシャフトに取り付けられたベベルギアであり、中間ベベルギアは、対向するベベルギアのそれぞれに噛合されている。別の態様では、少なくとも1つの張力ケーブルに加えられる張力の値は、それぞれのプーリ、及び関連付けられた円形ギアの回転を引き起こす他の張力ケーブルに加えられる張力の値とは異なる。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、ケーブル作動式差動装置は、2自由度のジョイントであり、複数のプーリは、第1プーリと、第2プーリとを含み、第1プーリは、張力下で取り付けられたそれぞれのケーブルを有し、かつ、回転軸に取り付けられ、第2プーリは、前記第1プーリに対して垂直に取り付けられ、かつ、前記第2プーリに独立して取り付けられた1対のケーブルを含み、1対のケーブルに加えられる1以上の張力は、任意の動作点における前記ケーブルの同時活性化が最小限に抑えられるようなものである。
【0009】
本発明の別の態様では、ケーブル作動式差動装置は、2自由度のジョイントであり、複数のプーリは、第1プーリ、及び1対の第2プーリを含み、第1プーリは、張力下で取り付けられたそれぞれのケーブルを有し、かつ、回転軸に取り付けられ、第1プーリに平行に取り付けられた1対の第2プーリは、それぞれの第2プーリに独立して取り付けられた1対のケーブルを有し、第1プーリは、1対の第2プーリに隣接して配置され、1対のケーブルに加えられる様々な1以上の張力は、任意の動作点におけるケーブルの同時活性化が最小限に抑えられるようなものである。一態様では、本発明は、共通シャフトをさらに含み、共通シャフトは、第1プーリ及び1対の共通プーリの回転軸に沿っており、1対の第2プーリは、共通シャフトに関して自由に回転し、第1プーリは、第1プーリが共通シャフトと共に回転するように、共通シャフトに固定されている。別の態様では、本発明は、共通シャフトに取り付けられたフォークと、フォークに堅く噛合された操作シャフトと、操作シャフトに関して自由に回転するように取り付けられた出力コネクタと、1対の第2プーリに堅く取り付けられた1対のベベルギアと、1対のベベルギアのそれぞれに噛合された中間ベベルギアとをさらに含み、操作シャフトは、共通シャフトがフォークに噛合されて第1プーリと共に回転するように、共通シャフトに対して垂直であり、出力コネクタは、出力コネクタが中間ベベルギアの回転と共に操作シャフトに関して回転するように、中間ベベルギアに堅く接続されている。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、プーリのそれぞれに関連する、複数の、平滑面を有する回転部材と、互いに対向し、共通のシャフトに取り付けられた、平滑面を有する2つの回転部材、及び対向するベベルギアのそれぞれに噛合された、平滑面を有する中間回転部材とをさらに含み、平滑面を有する中間回転部材及び対向する平滑面を有する回転部材の1つは、噛合要素として使用されるケーブルによって噛合されている。一態様では、少なくとも1つの張力ケーブルに適用される張力値は、それぞれのプーリ及び関連付けられた回転部材の回転を引き起こす他の張力ケーブルに適用される張力値とは異なる。
【0011】
一態様によれば、本発明は、プーリに関連する複数のギアをさらに含み、ギアの少なくとも1つは円形であり、かつ、それぞれのシャフトに取り付けられ、他のギアの少なくとも1つは、円形のギアの少なくとも1つに噛合されたラックである。
【0012】
一実施形態では、本発明は、各差動装置の第1プーリ及び第2プーリに接続されたケーブルによって相互接続された2つのN+1ケーブル作動式差動装置を有するシステムであって、2つのケーブル作動式差動装置は、それぞれのx軸に関して協働して回転する。一態様によれば、本発明は、第1プーリ及び第2プーリにそれぞれ堅く取り付けられた1対の対向するベベルギアと、対向するベベルギアと噛合された中間ベベルギアとを含むシステムであって、中間ベベルギアは、それぞれの張力ケーブルに異なる張力を加えることによって、第1プーリ及び第2プーリの相対運動により回転する。別の態様では、第3プーリが他のプーリの外側に配置され、2つのケーブル作動式差動装置は、ケーブル長に応じて360度回転する。
【0013】
別の実施形態によれば、少なくともN+1の張力下のケーブルを有するN自由度のケーブル作動式差動装置を作動させる方法が提供され、ケーブル作動式差動装置は複数のプーリを含み、各プーリには1以上のケーブルが取り付けられ、ケーブル間の同時活性化が最小化されるように、各ケーブルのたるみ無しに、張力が独立して作用し、ケーブルに、たるみを引き起こすことなく同時に加えられる張力の量を最小化することによって、張力ケーブルの同時活性化が最小化される。別の態様では、本方法は、プーリのそれぞれに関連付けられたベベルギアをさらに含み、ベベルギアの2つは互いに対向し、共通シャフトに取り付けられ、対向するベベルギアのそれぞれに中間ベベルギアが噛合されている。一態様によれば、本方法は、対向するベベルギアに関連付けられたプーリのケーブルが所定の位置に保持されているときに第3のケーブルを引くステップであって、差動装置に張力を加えて、それぞれのシャフトに関するいずれのギアの回転も引き起こすことなく、中間ベベルギアと、2つの対向するベベルギアのいずれかとの間のバックラッシュを排除する、該ステップをさらに含む。さらに別の態様では、ケーブル作動式差動装置は、プーリのそれぞれに関連付けられたベベルギアをさらに含み、ベベルギアの2つは互いに対向し、共通シャフトに取り付けられ、対向するベベルギアのそれぞれに中間ベベルギアが噛合され、中間ベベルギアに関連付けられたプーリに取り付けられたケーブルが静止状態で保持されているとき、対向するベベルギアの一方に関連付けられたケーブルが引かれ、対向するベベルギアの他方に関連付けられたケーブルが引き出されることによって、中間ベベルギアがその中央軸に関して回転する。さらに別の態様では、本方法は、プーリのそれぞれに関連付けられたベベルギアをさらに含み、ベベルギアの2つは互いに対向し、共通シャフトに取り付けられ、対向するベベルギアのそれぞれに中間ベベルギアが噛合され、対向するベベルギアに関連付けられたケーブルが共に引かれ、中間ベベルギアに関連付けられたケーブルが引き出されると、対向するベベルギアの周囲を中間ベベルギアが動く。さらに、本方法は、プーリのそれぞれに関連付けられた、複数の、平滑面を有する回転部材をさらに含み、平滑面を有する回転部材の2つは互いに対向し、共通シャフトに取り付けられ、対向するベベルギアのそれぞれに、平滑面を有する中間回転部材が噛合され、各ケーブルに独立して作用する張力は、噛合要素として使用されるケーブルによって、平滑面を有する中間回転部材と、対向する平滑面を有する回転部材の1つとの間に相対回転を引き起こす。別の態様では、本方法は、少なくとも1つの張力ケーブルに、それぞれのプーリ、及び関連付けられた平滑面を有する回転部材の回転を引き起こす他の張力ケーブルとは異なる張力値を加えるステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1自由度の機構に加えられるトルクの概略図である。
【
図3】(A)~(D)よりなり、本発明の例示的な一実施形態による、3ケーブルの機械的差動装置の異なる図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるN+1機械的差動装置の断面図である。
【
図5】
図4のN+1機械的差動装置の斜視図である。
【
図6】本発明の例示的な一実施形態による、双方向ケーブルトランスミッションの斜視図である。
【
図7】本発明の例示的な一実施形態による、N+1機械的差動装置の実施例の斜視図である。
【
図8】本発明の例示的な一実施形態による、相互接続されたケーブルを有する2つのN+1機械的差動装置を示す斜視図である。
【
図9A】本発明の例示的な一実施形態による、N+1機械的差動装置の斜視図である。
【
図9B】本発明の例示的な一実施形態による、N+1機械的差動装置の第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、同様の参照番号は複数の図を通して同一または対応する構成要素を示し、以下の説明は、ロボット工学または遠隔操作の用途のためにジョイントで使用するためのケーブル差動装置に関する。
【0016】
ロボット工学及び遠隔操作のための機構にはジョイントが含まれ、複数の自由度及び様々な力が関与する。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献2に記載されている、低侵襲性手術を実施するための機構は、手術用のエンドエフェクタの広範囲の動きを用いる構成にしたがって操作され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献3に記載されている、遠隔操作用のインターフェースは、ユーザの身体部位の使用を含んでいてもよく、ユーザとの力の物理的交換を可能にする。全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に記載されている、手首の関節と、複数のジョイントをそれぞれ有する複数の指とを有するロボットハンドは、ハンドの一部に取り付けられたケーブル張力感知構造を含む。ロボット工学及び遠隔操作のための機構では、例えばモータから触覚グリップへの機械的トランスミッションには、いくつかの重要な物理的属性が存在する。これらには、摩擦(静止、動的、ストライベック、スティクション)、ヒステリシス、機械的インピーダンス/伝達関数、及びバックラッシュが含まれる。スティクションはスティックスリップ摩擦の現象であり、機械的構成要素が摺動接触するほとんどのデバイスで発生する。スティクションは、離脱力(breakaway force)によって対処される必要があり、これにより、アクチュエータが出力可能な最小の力が制限される。機械的インピーダンスは、負荷運動によって出力に生じる追加の力である。機械的インピーダンスは、負荷運動の周波数の関数である。一例として、バックドライブ可能なシステムは、低インピーダンスであると見なされる。ギア付きアクチュエータは、スティクション及びバックラッシュなどの、非線形で非連続的なダイナミクスを有する。バックラッシュはギア間の噛合に関連し、バックラッシュは噛合したギアの歯の間のクリアランスの量である。動きの方向が逆になると、バックラッシュ(逆戻り)が発生する。
【0017】
ケーブルトランスミッションは、スティクションを最小限に抑え、バックラッシュをゼロにする点において優れている。これは、パラスティックスティクション(parasitic stiction)及びヒステリシスが、振幅及び周波数に依存する非線形性を導入し、ケーブルトランスミッションのゲイン及び位相の変化の両方に影響するので、重要である。パラスティックスティクション及びヒステリシスは、トランスミッションの忠実度を制限し、リミットサイクル及び不安定性の問題をもたらす可能性がある。筋肉は、完全な力源に近い最もよく知られたテクノロジーであり、インピーダンス及びスティクションが非常に低い。
【0018】
ケーブルトランスミッション(ケーブル伝送)用のケーブルは、非常に堅く、強く、可撓性を有し、動作中に受ける応力を考慮して、可能な限り直径が小さいことが好ましい。ケーブルは、スチールまたはその合金、合成材料、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料、及びケブラー(登録商標)で製造され、十分な強度を有しているので、定常状態トルクを超え得る過渡的なインパルス状トルクを含む、トランスミッションにおいて受ける力レベルで疲労(fatigue)に耐えることができる。直径及び特性は、適用トルク、出力トルク、及び出力トルクを生み出すために必要な様々なプーリに必要な曲げ半径などの因子を含む特定の適用に依存する。
【0019】
機械的トランスミッションの品質の重要な尺度は、「動的外力範囲(dynamic force range)」である。動的外力範囲は、システムが処理できる力の範囲の尺度である。動的外力範囲は、システムが摩擦力を及ぼす(伝達する)ことのできる最大の力の比率として定義され得る。一例として、安価なモータは、約10:1の動的外力範囲を伝達することができ、市販のアクチュエータは、約80:1という比較的高い動的外力範囲を有している。人間が有する力検知の動的外力範囲は104を超えている。
【0020】
開示された方法は、ユニセンス作動及びトランスミッション要素を用いて、ターゲット機構に対して双方向の運動及び力を誘発する。双方向のN DOF機構に加えられる運動及び力を制御するためには、少なくともN+1のユニセンストランスミッション要素(例えば、張力ケーブル)が必要である。追加の入力自由度は、同時活性化を最小限に抑えることによって、ユニセンスN+1トランスミッション要素がゆるまないようにすることができる。同時活性化(co-activation)は、両方の筋肉または筋肉のセットが同時に収縮する、特定の筋肉の運動を表すために使用される用語である。筋肉の同時活性化によって関節が圧迫され、これによって、関節がより硬くなり、より安定する。さらに、筋肉の同時活性化の安定性によって、小さな物体を拾うときなどの正確な微動が可能になる。本開示では、同時活性化という用語は、張力要素を同時に引っ張る(張力をかける)こと、または油圧要素に圧力をかけて同時に押すことを指す。換言すれば、張力ケーブルまたは油圧ホースなどのトランスミッション要素は、たるみなく、独立して作動する。N+1番目のトランスミッション作動の変化によって、関節の摩擦、粘性、及び剛性などの機械的特性を調整することができる。
【0021】
本発明の一態様は、N自由度の作動に必要な特定の解決策に影響を与えることなく、機構構造上の内部荷重の「内部運動」または「均質な解決策」、若しくは「同時活性化」を変更するステップを含む。内部運動の変更は、バンクまたは回転運動、若しくはバンクと回転運動との組み合わせを含んでいてもよく、またはラック及びピニオンの運動を含んでいてもよい。均質な解決策によって、2以上のケーブルまたは油圧ホースの同時活性化を同時に行うことができる。
【0022】
本発明の一態様は、力が作用し得る動的範囲を実質的に増加させる方法を含む。作動点での同時活性化を最小限に抑えることによって、対処しなければならない摩擦をその作動点において最小限に抑えることができる。同時活性化を最小限に抑えることによって、摩擦力の低減が可能になり、動的外力範囲の大きな増加が達成され得る。
【0023】
図1は、1自由度(DOF)のケーブル機構に加わるトルクの概略図を示す。この機構は、プーリに独立して取り付けられた2本の張力ケーブルを有している。プーリは、いずれのケーブルにもたるみを生じさせることなく、両方のケーブルに張力をかけることによって回転する。この機構では、同時活性化とは、両方のケーブルを、たるませることなく同時に引っ張る(張力をかける)ことである。各ケーブルに適用される張力は、それぞれ、張力値T
1及びT
2である。各ケーブルの張力における差異は、プーリがトルクτ及び力f
yを受けることにある。同時活性化の量を増加させると、すなわち、両方のケーブルに同時に加えられた張力の量よりも大きな張力を適用すると、摩擦力、例えば支持力(力f
y)に起因して、動的外力範囲が減少する。同時活性化は、両方のケーブルに同時に加えられる張力を、確実にたるみのないレベルまで低減することによって最小限に抑えられ得る。これにより、ベアリングの荷重(力f
y)が減少し、摩擦が低減する。したがって、同時活性化を最小限に抑えることにより、たるみを発生させることなく、システムの動的外力範囲を拡大することができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献4に記載されているようなコントローラを使用することによって、力を非常に正確に制御するために、モータへの電力を調整することができる。
【0024】
図2は、1DOFのケーブル機構の反力を示す概略図である。張力V
1及びV
2によって、反力V
y及びトルクwが発生する。張力V
1及びV
2を変化させることによって、異なる反力及びトルクを発生させることができる。
【0025】
図3は、(A)~(D)よりなり、3本のケーブル(張力ケーブル)301、302、303を有し、かつ2自由度(DOF)のジョイント機構をそれぞれ示す概略図である。3本のケーブル301、302、303の独立した活性化を適用することによって、機構の内部負荷を維持し、同時活性化の量を低減させる均質な解決策を達成することができる。ケーブル301、302に加えられる張力は、ケーブル303に加えられる張力とは異なり、X軸に関する回転をもたらし得る。ケーブル301に加えられる張力は、ケーブル302に加えられる張力とは異なり、ケーブル303に加えられた張力を維持しながら、Y軸に関する回転をもたらし得る。任意の操作点において、同時活性化を最小限に抑えることが好ましい。任意の操作点での同時活性化を最小限に抑えることにより、その操作点で処理しなければならない摩擦を最小限に抑えることができ、それによって、動的外力範囲が拡大する。
【0026】
図4は、本開示の例示的な実施形態のN+1機械的差動装置の断面図を示す。機械的差動装置は、互いに面した、2つの対向するベベルギア421、407を含む。
図4の例はベベルギアを示しているが、他のタイプのギアであってもよい。例えば、ギアは、1対のヘリングボーン状ギアであってもよい。2つの対向するベベルギア421、407は、それに取り付けられたそれぞれのプーリ419、413を有し、それぞれの張力ケーブルを介して共通の車軸(シャフト409)の周りの回転の制御を可能にする。第3のベベルギア(中間ベベルギア405)は、1対の対向するベベルギア421、407と噛合する。第3のベベルギアは、フォーク417に一端で固定的に取り付けられる軸(シャフト415)を有し、フォーク417は、対向するベベルギア421、407の共通軸(シャフト409)に取り付けられている。第3のケーブルは、第3のプーリ411に取り付けられている。第3のベベルギアは、軸及びキャップ403を介して保持された入力/出力装置401を有し得る。入力/出力装置401は、ボルト423によって第3のベベルギアに取り付けられ得る。1対のヘリングボーン状ギアの場合、各ヘリングボーン状ギアは1対のベベルギアと噛合してもよく、第3のベベルギアは1対のヘリングボーン状ギアに対して共通のギアである。
【0027】
図4の例は、ヘリングボーン状ギアの例と同様に、円形のベベルギアに関連しているが、ラック及びピニオンが配置されてもよい。ラック及びピニオンの構成は、第3のベベルギアの回転運動の代わりに、直線運動をもたらし得る。例示的な態様では、それぞれの対向するベベルギア421、407は、それぞれのラックと噛合するピニオンギアに置き換えられて独立した直線運動を生じさせてもよい。
【0028】
一実施形態では、入力/出力装置401は、第3のベベルギアを駆動するモータであってもよい。あるいは、入力/出力装置401は、回転要素に出力してもよい。
【0029】
一実施形態では、共通の車軸は、ほとんどの構成要素のための取り付け本体であるキー溝付きシャフトである。プーリ419及び左のベベルギア421は互いに堅く噛合し、これらの2つの部分の組み合わせは、キー溝付きのシャフト409を中心に自由に回転する。プーリ
413及び右のベベルギア407は互いに堅く噛合し、これらの2つの部分の組み合わせは、キー溝付きのシャフト409に関して自由回転する。プーリ411がキー溝付きのシャフト409と共に回転するように、プーリ411はキー(
図5の509を参照)を介してキー溝付きのシャフト409に堅く接続され、プーリ411及びフォーク417が共に回転するように、フォーク417も、キー(
図5の507を参照)を介してキー溝付きのシャフト409に堅く接続される。しかしながら、左のベベルギア421/プーリ419、及び右のベベルギア407/プーリ413は、キー溝付きのシャフト409に関して自由回転する。キー溝無しのシャフト415は、フォーク417に堅く噛合している。中間ベベルギア405は、キー溝無しのシャフト415に関して自由回転する。入力/出力装置401(入力/出力コネクタ)は、ねじ付き留め具(ボルト423)によって中間ベベルギア405に堅く接続されている。シャフトカラー(キャップ403)は、キー溝無しのシャフト415に堅く接続されている。
【0030】
図5は、
図4のN+1機械的差動装置の斜視図を示す。
図5に見られるように、各プーリ411、413、419には、モータなどのそれぞれの張力装置によってそれぞれの張力が加えられる1本のケーブル(張力ケーブル)501、503、505が取り付けられている。
【0031】
N+1機械的差動装置は、ケーブル501よりもケーブル503、505に、より大きな張力を加えることによって、第3のベベルギアが対向するベベルギア421、407の円周の周りで上下に回転できる旋回運動が可能である。N+1機械的差動装置は、ケーブル503または505の一方により大きな張力を加えることによってバンク運動が可能であり、2つの対向するベベルギア421、407の一方を回転させることにより、第3のベベルギアを一方に移動させる。N+1機械的差動装置は、ピボット運動とバンク運動との組み合わせに基づいた運動が可能である。
【0032】
特に、第1の動作モードでは:
ケーブル1 505及びケーブル2 503が所定の位置に保持されている場合、ケーブル3 501を引っ張るとシステムに張力がかかり、中間ベベルギア405と、左のベベルギア421または右のベベルギア407の2つのベベルギアのいずれかとの間のバックラッシュがなくなるが、それぞれのシャフトの周りのギアのいずれかの回転は発生しない。
【0033】
第2の動作モードでは:
ケーブル3 501(及び、したがってプーリ(3) 411)を固定した状態で、ケーブル1 505を引っ張り、ケーブル2 503が引き出されると(またはその逆)、中間ベベルギア405は、キー溝無しのシャフト415(軸y)に関して回転する。
【0034】
第3の動作モードでは:
ケーブル1 505及びケーブル2 503が共に引っ張られ、ケーブル3 501が引き出されると(またはその逆)、フォーク417はキー溝無しのシャフト415と共に軸xの周りを回転し、その結果、中間ベベルギア405は軸xに関して回転する。
【0035】
入力/出力コネクタは、ケーブル503、505、及び501の張力の同時活性化により、バックラッシュ無しに、前述の3つの動作モードによって軸xまたは軸yに関して制御可能かつ独立して回転するように製造され得る。
【0036】
図4及び
図5に示された構造は噛合したベベルギアを含むが、噛合ギアの機能はケーブルの使用によって達成され得ることが理解される。一実施形態では、3つのベベルギアは、平滑面を有する回転部材に置き換えられてもよい。2以上の、平滑面を有する回転部材間のトランスミッションは、噛合要素としてケーブルを使用することによって提供され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献5には、1以上のケーブルを使用して、非平行な回転軸を有する、平滑な外面を有する回転部材を噛合させる構造が記載されている。例示的な態様では、ケーブルトランスミッションは、ケーブルによって噛合された回転部材405'、407'を用いた単方向トランスミッションとして実装され得る。各回転部材405'、407'は、関連付けられた回転軸の周りを回転する。
【0037】
図6は、2つの平滑な表面(ケーブル搬送面)601、603及び表面(ケーブル搬送面)605、607を、両方の(円筒形、かつ、関連付けられた回転部材405'または回転部材407'の回転軸に対して略平行の)外面が平滑な各回転部材上に設けるための、軸方向に段付けされた回転部材405'、407'を使用した双方向トランスミッションを示す。回転部材は、各回転部材の表面601、603及び表面605、607が、トランスミッションの他の対の回転部材上の対応する平滑な外面からギャップGだけ密に離間するように配置されている。この関係を実現し、回転部材を回転軸615で交差させるために、角度αは90°であることが最も好都合であるが、回転部材の外面と半径との寸法の補正調整によって、角度αは90°から若干変更されてもよい。それぞれの表面601、603及び表面605、607は、別個のケーブル61
9を運搬する。図示のように、ケーブルを反対方向の表面に巻き付けることによって、回転部材405'、407'がいずれかの方向に回転するように駆動される場合、2つの長さのケーブル61
9の1つが、平滑な外面の1つに巻き付くように、差動は双方向となり、確実な駆動が行われる。伝達点621におけるケーブルの中心は、交差点(回転軸615)を通る線に沿っていることに留意されたい。ケーブルに適切に張力がかけられている場合、この双方向駆動には、バックラッシュが実質的に生じないが、これは、標準的な噛合ベベルギアを使用して達成することが困難な動作特性である。
【0038】
図7は、一実施形態のN+1機械的差動装置の斜視図を示す。
図7に示されるように、プーリ411は、対向するベベルギア421とベベルギア407との間に配置されている。張力は、同時活性化が最小限に維持されるように、張力ケーブルに加えられることが好ましい。3本の張力ケーブルがそれぞれのプーリに独立して取り付けられ、各ケーブルに張力が連続的に加えられる。ケーブルの両端に張力をかけることができるようにプーリに巻き付く別のケーブルは、特定の張力条件下でケーブルがプーリの周りを滑り始めるので、スティクションなどの摩擦力の影響を受ける。また、例えばケーブルの一端で張力が変化したときに、ケーブルの一端にたるみが生じ得る。
図7の例に示すように、独立して取り付けられたケーブルは、摩擦力の影響を最小限に抑え、動きを生じさせるために、たるみ無しに、すべてのケーブルに最小限の張力を必要とする。ケーブルを個別に取り付けることによって、スティクションが最小限に抑えられる。動きを誘発するためにすべてのケーブルに張力をかける必要があるので、たるみが生じる可能性は低下する。また、たるみを引き起こさない最小限の量の張力を同時に加えることによって、同時活性化を最小限に抑えることができる。
【0039】
図8は、各差動装置のプーリ(1)419及びプーリ(2)413に接続されたケーブルによって互いに相互接続された2つのN+1機械的差動装置の斜視図を示す。2つの機械的差動装置はそれぞれ、それぞれのx軸に関して、調整された方法で回転する。中間ベベルギア405は、ケーブル505及びケーブル503に加えられる異なる張力により生じるプーリ419とプーリ413との相対運動によって、回転することができる。プーリ(3)411を他のプーリの外側に配置することによって、2つの機械的差動装置は、ケーブル長に応じて、それぞれのx軸に関して360度まで回転することができる。
【0040】
一実施形態では、機械的差動装置の1つは、モータによって作動されてもよい。このような場合、1つの機械的差動装置が他の機械的差動装置に作用することができる。例えば、2つの機械的差動装置のうちの1つは、N双方向アクチュエータを使用して出力装置401、シャフト409について力を加えることにより、第2の差動装置を作動させてもよい。
【0041】
図9A-9Bは、
図8の機械的差動装置の詳細図を示す。
図9Aは機械的差動装置の斜視図であり、
図9Bは機械的差動装置の断面図である。
【0042】
前述の説明の特徴を含むシステムは、多くの利点を提供する。特に、本明細書で説明するケーブル差動装置は、ジョイントの摩擦、粘性、及び剛性などの機械的特性の変調を実現することができる。本明細書で説明するケーブル差動装置は、力を加える際に可能性のある動的外力範囲を大幅に拡大する。
【0043】
上記の教示に照らして、多数の修正及び変更が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている方法以外の方法で本発明が実施されてもよいことを理解されたい。
【0044】
したがって、前述の議論は、本発明の単なる例示的な実施形態を開示及び説明している。当業者に理解されるように、本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよい。したがって、本発明の開示は例示を意図したものであり、本発明の範囲及び他の請求項を限定するものではない。本開示は、本明細書の教示の容易に認識可能な変形を含み、発明の主題が公衆に献呈されないように、部分的に、前述の特許請求の範囲の用語範囲を定義する。