(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】医療情報提供支援ツール
(51)【国際特許分類】
A63H 33/42 20060101AFI20230913BHJP
A63H 33/38 20060101ALI20230913BHJP
A63H 3/52 20220101ALI20230913BHJP
【FI】
A63H33/42 Z
A63H33/38 B
A63H3/52 Z
(21)【出願番号】P 2020055905
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】下田平 理絵
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 かをり
(72)【発明者】
【氏名】八木 剛
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-073893(JP,U)
【文献】特開2002-058882(JP,A)
【文献】特開2002-224465(JP,A)
【文献】特開2019-013703(JP,A)
【文献】米国特許第04624649(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0246819(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/00-52
A63H 33/38
A63H 33/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関の室内に配置されるベッドを模したベッド部と、
前記室内を模した第1領域と、
前記第1領域に接続され、前記ベッド部が配置される第2領域と、
を備え、
前記第1領域と前記第2領域とが折り畳み可能であ
り、
前記第1領域に着脱可能であり、前記医療機関の室内を模した背景パーツと、
を備え、
前記第1領域には、前記背景パーツを着脱する背景用凹部が設けられ、
前記背景用凹部の底面には、前記医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室のいずれかを表したイラストが描かれている、医療情報提供支援ツール。
【請求項2】
前記第1領域の全部又は一部は、前記室内の壁を模した壁領域である、請求項1記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項3】
前記第2領域の全部又は一部は、前記室内の床を模した床領域である、請求項1または請求項2記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項4】
前記ベッド部は、前記第1領域と前記第2領域とが折り畳まれた状態において、前記第1領域と前記第2領域との間で折り畳まれて収納され、
前記ベッド部は、前記第1領域と前記第2領域とが開いた状態において、前記第1領域及び前記第2領域によって形成される空間に突出する、請求項
1~3のいずれか1つに記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項5】
前記背景パーツは、前記背景用凹部に収納可能な平面状であり、
前記背景パーツの少なくとも一方の面に、前記医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室のいずれかを表したイラストであって、前記背景用凹部の底面に描かれたイラストとは異なる前記医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室のいずれかを表したイラストが描かれている、請求項
1~4のいずれか1つに記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項6】
患者を模した患者パーツをさらに備え、
前記患者パーツは、前記ベッド部の内部空間に収納可能な平面状であり、
前記患者パーツの少なくとも一方の面に患者の身体のイラストが描かれている、請求項
1~5のいずれか1つに記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項7】
前記第1領域又は前記第2領域の少なくともいずれか一方に収納可能であり、医療器具を模した医療アイテムパーツをさらに備え、
前記第1領域又は前記第2領域には、前記医療アイテムパーツを収納可能な医療アイテム用凹部が設けられ、
前記医療アイテムパーツは、前記医療アイテム用凹部に収納可能な平面状であり、
前記医療アイテムパーツの少なくとも一方の面に、前記医療機器のイラストが描かれている、請求項
1~6のいずれか1つに記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項8】
前記医療アイテムパーツの他方の面には、前記医療アイテムパーツが示す前記医療機器の名称が記載されている、請求項
7記載の医療情報提供支援ツール。
【請求項9】
前記医療アイテム用凹部の底面には、前記医療アイテム用凹部に収容される前記医療アイテムパーツが示す前記医療機器の名称が記載されている、請求項
7または請求項8記載の医療情報提供支援ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医療情報提供支援ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、患者が子供(以下、「患児」という)である場合には、検査や治療等の医療行為について、患児本人への説明がなされないことが多かった。近年、患児本人への説明によって患児の不安や恐怖心を解消するために、プレパレーションを行うことが増えている。プレパレーションにおいて、患児の発達に合わせた配慮をしながら、患児に対して医療行為についての説明が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、利便性の高い医療情報提供支援ツールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医療情報提供支援ツールは、ベッド部と、第1領域と、第2領域と、を備える。前記ベッド部は、医療機関の室内に配置されるベッドを模している。前記第1領域は、医療機関の室内を模している。前記第2領域は、前記第1領域に接続され、前記ベッド部が配置される。前記第1領域と前記第2領域とが折り畳み可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、利便性の高い医療情報提供支援ツールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの一例を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの一例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの第1領域及び第2領域を説明する図である。
【
図4】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの第1領域及び第2領域を説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールのベッド部を例示する斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールのベッド部を例示する斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの患者パーツを例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの患者パーツを例示する図である。
【
図9】本実施形態に係る医療情報提供支援ツールの背景パーツを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
図1は、実施形態に係る医療情報提供支援ツールの一例を示す正面図である。
図2は、実施形態に係る医療情報提供支援ツールの一例を示す斜視図である。
図1及び
図2に例示するように、医療情報提供支援ツール10は、本体20と、患者パーツ30と、背景パーツ40と、医療アイテムパーツ(50a~50m、
図4参照)と、を含む。
【0010】
本体20は、第1領域21、第2領域22、及び、ベッド部23を含む。
図1及び
図2に示すように、第1領域21と第2領域22とは、境界線24を介して連続している。本体20は、第1領域21と第2領域22とが重なるように境界線24において折り畳み可能である。第1領域21と第2領域22とが折り畳まれた状態において、ベッド部23は、第1領域21と第2領域22との間で折り畳まれて本体20に収納される。
【0011】
図3及び
図4は、第1領域21及び第2領域22を説明する図である。
第1領域21は医療機関の室内を模しており、第1領域の全部又は一部は医療機関の室内の壁を模した壁領域である。第2領域22は、ベッド部23が配置される。第2領域22の全部又は一部は、医療機関の室内の床を模した床領域である。
図1~
図4に示すように、第1領域21の一部には、背景用凹部25が設けられている。背景用凹部25には、後述する背景パーツ40が着脱される。
【0012】
図3及び
図4に示すように、背景用凹部25の底面には、医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室のいずれかを表したイラストが描かれている。本実施形態における背景用凹部25の底面には、処置室を表したイラストが描かれている。
第1領域21及び第2領域22には、医療アイテムパーツ50a~50m(詳細は後述)を収納可能な医療アイテム用凹部26a~26mが設けられている。医療アイテム用凹部26a~26mには、医療アイテムパーツ50a~50mが着脱される。
【0013】
本実施形態に係る医療情報提供支援ツールは、折り畳み可能な本体20と、患者パーツ30、背景パーツ40、及び、医療アイテムパーツ50a~50mを含む。このような構成により、プレパレーションにおける利便性が向上する。
【0014】
例えば、医療行為に対する患児の理解を促すプレパレーションにおいて、患児の恐怖心や不安を低減するための試みがある。例えば、医師や看護師などの医療スタッフは、どのような処置や治療が行われるかを患児自身がイメージしやすいように、手作り又は既製の人形や医療機器を模擬した玩具などを用いて説明を行っている。
【0015】
人形や玩具は、嵩張るため持ち運びに不便であり、収納スペースを要する。目的とする医療機器に対応できる既成の玩具がない場合には、プレパレーションによって説明可能な医療行為に制限がある。
本実施形態においては、折り畳み可能な本体20と、各種のパーツと、を用いることで、持ち運びが便利である。各種のパーツを用いることで、目的とする医療を幅広く説明できる。実施形態によれば、プレパレーションにおける利便性が向上する。
【0016】
例えば、本実施形態に係る医療情報提供支援ツールでは、背景パーツ40及び医療アイテムパーツ50a~50mを、本体20の第1領域21又は第2領域22に収納可能としている。また、利用頻度の高い医療機器にに対応させた医療アイテムパーツ50a~50mを準備している。さらに、ベッド部23が、第1領域21及び第2領域22とともに折り畳み可能である。本体20を折り畳んだときの本体20の大きさは、例えば、A3サイズ(420mm×300mm程度)の大きさである。本体20を広げた際は、第1領域21と第2領域22とが側面視でL字状に維持され、420mm×300mm×300mm程度の大きさとなる。本体20を畳んだときの厚さは、例えば、20mm以下であることが好ましい。
【0017】
例えば、
図3及び
図4の例では、第1領域21における背景用凹部25の周辺には、5つの医療アイテム用凹部26a、26b、26c、26d、26eが設けられている。
図3に示すように、医療アイテム用凹部26a、26b、26c、26d、26eの底面には、それぞれに収納される医療アイテムパーツ(詳細は後述)の名称が記載されている。
図4は、医療アイテム用凹部26a、26b、26c、26d、26eに、対応する5種類の医療アイテムパーツ(点滴セット50a、血圧計50b、体温計50c、採血セット50d、注射器50e)がそれぞれ収納された状態を示している。
【0018】
以下の説明においては、便宜上、すべての医療アイテム用凹部を表すときに医療アイテム用凹部26と符号を付し、個々の医療アイテム用凹部を表すときに医療アイテム用凹部26a、26b・・・と符号を付す。
【0019】
図1~
図4では、第1領域21には、例えば、5種類の医療アイテムパーツ(点滴セット50a、血圧計50b、体温計50c、採血セット50d、注射器50e)に合う形状の医療アイテム用凹部26a、26b、26c、26d、26eが設けられ、これら5種類の医療アイテムパーツが着脱可能となっている。
【0020】
図1~
図4に示すように、第2領域22には、8つの医療アイテム用凹部26f、26g、26h、26i、26j、26k、26l、26m及び姿勢パーツ用凹部27が設けられている。
図3に示すように、医療アイテム用凹部26f、26g、26h、26i、26j、26k、26l、26mの底面には、それぞれに収納される医療アイテムパーツの名称が記載されている。
【0021】
図1~
図4の例では、第2領域22に設けられた8つの医療アイテム用凹部26f、26g、26h、26i、26j、26k、26l、26mは、8種類の医療アイテムパーツ(マスク50f、ストレッチャー50g、パルスオキシメーター50h、聴診器50i、絆創膏50j、心電図検査装置50k、尿バッグ50l、点滴セット50m)のそれぞれに合わせた形状である。医療アイテム用凹部26f、26g、26h、26i、26j、26k、26l、26mには、上述した8種類の医療アイテムパーツがそれぞれ着脱可能となっている。
【0022】
姿勢パーツ用凹部27は、後述する患者の姿勢を表した姿勢パーツ51を収納する。
図3に示すように、姿勢パーツ用凹部27の底面には、姿勢パーツに描かれた患者の姿勢又は体勢を表すイラストのシルエットが描かれている。
【0023】
図5及び
図6は、本実施形態にかかるベッド部を例示する斜視図である。
図5及び
図6に示すように、ベッド部23は、第2領域の一部に配置される。ベッド部23は、医療機関で用いられるベッドを模しており、直方体形状である。ベッド部23の上面23aの裏側の両端部には、磁石29a、29bが取り付けられている。ベッド部23の短手方向に沿う2つの側面23b、23cはフラップ状である。側面23b、23cには、磁石29a、29bと対応する磁石29c、29dが設けられている。ベッド部23の長手方向に沿う一つの側面23bは、第1領域21のベッド貼付部28aに貼り付けられる。ベッド部23の底面23eは、第2領域22のベッド貼付部28bに貼り付けられる。
【0024】
これにより、ベッド部23は、第1領域21と第2領域22とが折り畳まれた状態において、第1領域21と第2領域22との間で折り畳まれて収納される。ベッド部23は、第1領域21と第2領域22とが開いた状態において、第1領域21及び第2領域22によって形成される空間に突出する。第1領域21と第2領域22とが開いたときに、ベッド部23の側面23b、23cの磁石29c、29dをそれぞれ上面23aの磁石29a、29bに接触させることにより、ベッド部23が突出した状態を保持するとともに、第1領域21が第2領域22に対して起立した状態を保持することができる。ベッド部23の内部には、後述する患者パーツを収納することができる。
【0025】
図7及び
図8に、本実施形態にかかる患者パーツ30を例示する図を示す。
患者パーツ30は、患者を模した平面状の人形であり、例えば、男の子を模した患者パーツ30a(
図7)と女の子を模した患者パーツ30b(
図8)がある。プレパレーションの際には、患児の性別に合わせて、いずれかを用いることができる。
【0026】
患者パーツ30a、30bのそれぞれの一方の面には、寝衣を着用した状態のイラストが描かれている(
図7(a)、
図8(a))。患者パーツ30a、30bのそれぞれの他方の面には、腕及び脚が露出したイラストが描かれている(
図7(b)、
図8(b))。
【0027】
例えば、ベッド部23の上面23aに、患者パーツ30a、30bの寝衣を着用した状態のイラストが見えるように載せる。例えば、患児に対して処置室等のベッドに横たわって寝ることをイメージさせやすくなる。患者パーツ30a、30bの腕及び脚が露出したイラストに、医療アイテムパーツを組み合わせる。例えば、患児にどのような処置を受けるのかをイメージさせやすくなる。
【0028】
図9は、本実施形態にかかる背景パーツ40を例示する図である。
背景パーツ40は、第1領域21に設けられた背景用凹部25に着脱される。背景用パーツ40は平面状であり、背景用パーツ40が背景用凹部25に取り付けられた場合に、第1領域21から突出せず、第1領域21と面一となる。背景用パーツ40の、少なくとも一方の面には、医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室のいずれかの様子を表したイラストが描かれている。背景用パーツ40の両面に医療機関のいずれかの部屋の様子を表したイラストを描いても良い。
【0029】
医療機関の手術室、検査室、処置室、及び、病室それぞれの背景パーツ40を準備し、これらを適宜用いることで、医療機関の様々な部屋を表現することができる。本実施形態においては、本体20の背景用凹部25に処置室の様子が描かれているため、背景パーツ40としては、例えば、手術室の様子を描いたもの(
図9(a))と、検査室の様子を描いたもの(
図9(b))とを用意する。プレパレーションの際には、背景パーツ40を背景用凹部25に取り付けたり、背景用パーツを交換したりすることで、患児に対して、入院中に過ごす病室だけでなく、どのような環境で医療行為を受けるのかをイメージさせやすくすることができる。
【0030】
医療アイテムパーツ50a~50mは、例えば、医療アイテム用凹部26に収納可能な平面状である。医療アイテムパーツ50a~50mは、例えば、医療アイテム用凹部26に収納されたときに、第1領域21や第2領域22から突出することなく、第1領域21又は第2領域22と面一となる。医療アイテムパーツ50a~50mは、いずれも患児への治療や処置に用いる頻度の高い医療機器や、口頭での説明で伝わりにくい医療行為に用いる医療機器などを模している。
【0031】
各医療アイテムパーツ50a~50mの少なくとも一方の面に医療機器のイラストが描かれている。医療アイテムパーツ50a~50mの他方の面には、医療アイテムパーツ50a~50mが示す医療機器の名称が記載されている。名称は、日本語、英語、及び、中国語など、種々の言語を記載することができる。これにより、患児がより理解しやすい言語による説明を支援することができる。
【0032】
本実施形態では、
図4に示すように、第1点滴セット50a、血圧計50b、体温計50c、採血セット50d、注射50e、マスク50f、ストレッチャー50g、パルスオキシメーター50h、聴診器50i、絆創膏50j、心電図検査装置50k、尿バッグ50l、及び、第2点滴セット50mの計13種類の医療アイテムパーツを準備する。
【0033】
例えば、第1点滴セット50a、血圧計50b、採血セット50d、注射器50e、マスク50f、パルスオキシメーター50h、心電図検査装置50k、尿バッグ50l、及び、第2点滴セット50mには、医療機器とともに、患者パーツ30の身体の一部が描かれている。これにより、第1点滴セット50a、血圧計50b、採血セット50d、注射器50e、マスク50f、パルスオキシメーター50h、心電図検査装置50k、尿バッグ50l、及び、第2点滴セット50mが患者パーツ30のどの部分にどのように取り付けられるかが、容易にわかる。
【0034】
姿勢パーツ51は、例えば、姿勢パーツ用凹部27に収納可能な平面状である。姿勢パーツ51は、例えば、姿勢パーツ用凹部27収納されたときに、第2領域22から突出することなく、第2領域22と面一となる。例えば、姿勢パーツ51の少なくとも一方の面に、医療行為を受ける際に患者に求められる姿勢を表したイラストが描かれている。
【0035】
図4の例では、姿勢パーツ51の一方の面には、骨髄穿刺の際に患者に求められる姿勢を表したイラストが描かれている。このパーツを用いてプレパレーションを行うことにより、患児は、どのような姿勢が求められるのかを理解しやすくなる。例えば、患児の年齢が低いほど、口頭のみによる説明では伝わりにくい。このような姿勢パーツを示すことで、容易に説明を行い、患児への理解を促すことができる。
【0036】
1つの例において、本体20、患者パーツ30、背景パーツ40、医療アイテムパーツ50a~50m、及び、姿勢パーツ51は、紙製である。体20、患者パーツ30、背景パーツ40、医療アイテムパーツ50a~50m、及び、姿勢パーツ51の表面には、樹脂などのコーティング加工が行われても良い。これにより、例えば、清拭が容易になる。
【0037】
実施形態に係る医療情報提供支援ツールによれば、患者パーツ30、背景パーツ40、医療アイテムパーツ50a~50m、及び、姿勢パーツ51が本体に面一で収納可能である。ベッド部23を含む本体が折り畳み可能である。実施形態に係る医療情報提供支援ツールは、軽量で、持ち運びが容易である。実施形態によれば、収納時の省スペース化を図ることができる。実施形態によれば、利便性の高い医療情報提供支援ツールを提供することができる。
【0038】
本実施形態にかかる医療情報提供支援ツールには、使用頻度の高い又は口頭による説明では伝わりにくい医療行為に関する医療アイテムパーツ50a~50mが含まれているので、プレパレーションを行う医療スタッフにとっては、患児に対してどのような医療行為が行われるのかを容易に説明することができる。特に、医療アイテムパーツ50a~50mのうち、例えば、点滴セットや尿バッグなどの医療機器が患者パーツ30の身体の一部と共に描かれているため、身体のどの部分に医療アイテムが取り付けられるのかを患児に伝えやすくなる。
【0039】
例えば、病室、検査室、処置室及び手術室等の相互の間の移動を伴う医療行為が行われる場合には、患児が環境の変化に対応できずに混乱する場合がある。本実施形態にかかる医療情報提供支援ツールでは、第1領域21に着脱可能な背景パーツ40によって医療機関の部屋を表現している。また、第1領域21の一部は医療機関の室内を模しており、第2領域22の一部は医療機関の床領域を模している。さらに、第1領域21と第2領域22との間にベッド部23を設けることにより、医療機関内の各部屋の内観の全体像を表現している。背景パーツ40を交換、又は、着脱することで、部屋の移動に伴って環境が変化することの説明が容易となる。背景パーツ40を交換、又は、着脱することで、どのような部屋でどのような医療行為が行われるかなどの説明が容易となる。実施形態によれば、患児は環境の変化を想像しやすく、患児の不安を解消または抑制できる。処置室などに対応する背景パーツ40は、実際の処置室に似せている(例えば窓など)。このような工夫により、例えば、環境の変化、医療行為を受けることへの抵抗感を抑制することができる。
【0040】
医療情報提供支援ツールは、プレパレーションを行う医療スタッフだけでなく、医療行為を受ける患児が使用してもよい。背景パーツ40や医療アイテムパーツ50a~50mはいずれも平面状であるので、患児にとっては、背景パーツ40や医療アイテムパーツ50a~50mなどをジグソーパズルのように着脱したり、患者パーツ30に医療アイテムパーツ50a~50mを着せかえ人形のように重ねて玩具のように遊ぶことができる。患児は、遊びながら医療行為についての理解を深め、イメージすることができるようになる。
【0041】
背景パーツ40や医療アイテムパーツ50a~50mを、個別に配布したりダウンロードしたりすることにより、例えば、医療機関毎に準備してもよい。患児によっては、例えば、窓の大きさが実際の処置室と背景パーツ40とに差異があるなどの細部に注目してしまい、医療情報提供支援ツールを用いた説明と現実の医療行為とを結びつけられない場合も想定される。医療機関毎に背景パーツ40や医療アイテムパーツ50a~50mを準備することで、現実の医療行為への理解を促すことができる。
【0042】
第1領域21と第2領域22とが折り畳まれた状態において、第1領域21と第2領域22と裏側(折畳まれた状態で外から見える面)に本実施形態にかかる医療情報提供支援ツールの使い方や、本実施形態にかかる医療情報提供支援ツールを用いたプレパレーションのやり方が記載されていてもよい。プレパレーションを行う医療機関で用いることができる製品の紹介や製品の製造や販売をする企業の情報が記載されていてもよい。背景パーツや医療アイテムパーツを、個別に配布する場所や、ダウンロードできるインターネット上のURLが記載されていてもよい。URLはそのまま記載されていもよいし、QRコード(登録商標)のような形態で記載されていてもよい。
【0043】
実施形態によれば、より利便性の高い医療情報提供支援ツールを提供することができる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、医療情報提供支援ツールに含まれる各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0045】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0046】
その他、本発明の実施の形態として上述した医療情報提供支援ツールを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての医療情報提供支援ツールも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0047】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0048】
10 医療情報提供支援ツール、20 本体、21 第1領域、22 第2領域、23 ベッド部、23a 上面、23b 側面、23e 底面、24 境界線、25 背景用凹部、26 医療アイテム用凹部、27 姿勢パーツ用凹部、28a ベッド貼付部、28b ベッド貼付部、29a 磁石、29c 磁石、30 患者パーツ、30a 患者パーツ、30b 患者パーツ、40 背景パーツ、50a 点滴セット、50b 血圧計、50c 体温計、50d 採血セット、50e 注射器、50f マスク、50g ストレッチャー、50h パルスオキシメーター、50i 聴診器、50j 絆創膏、50k 心電図検査装置、50l 尿バッグ、50m 点滴セット、51 姿勢パーツ