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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】エアハンドリングユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/30 20180101AFI20230913BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20230913BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
F24F11/30
F24F11/89
F24F13/22 222
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020160005
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053265
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2021-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 勇人
(72)【発明者】
【氏名】速水 あいか
(72)【発明者】
【氏名】星山 典子
(72)【発明者】
【氏名】富山 暢仁
(72)【発明者】
【氏名】飯田 龍
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】水野 治彦
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196903(JP,A)
【文献】特開2019-143855(JP,A)
【文献】特開2006-155456(JP,A)
【文献】特許第6642670(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流入口(21)と流出口(22)とが設けられるケーシング(2)と、
前記ケーシング(2)内に設けられ、前記流入口(21)から前記流出口(22)への気流を形成するファン(7)と、
前記ケーシング(2)内のうち前記ファン(7)よりも気流方向上流側に設けられ、空気の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する調整部(4)と、
前記ケーシング(2)の内部空間を前記流入口(21)が設けられる流入側空間(S1)と前記調整部(4)が設けられる調整室(S2)とに仕切る第1仕切板(23)と、
前記ケーシング(2)の内部空間を前記調整室(S2)と前記ファン(7)が設けられるファン室(S3)とに仕切る第2仕切板(24)と、
前記調整室(S2)に設けられ、前記調整室(S2)内を撮像する撮像部(90)と、
前記調整部(4)の下方に設けられるドレンパン(60,62)と、
を備え
前記調整室(S2)は、前記第1仕切板(23)と前記第2仕切板(24)との距離よりも前記第1仕切板(23)及び前記第2仕切板(24)の上下方向の長さの方が長い空間であり、
前記第2仕切板(24)には、前記調整室(S2)の空気が前記ファン室(S3)へと通過する通過口(24a)が形成され、
前記撮像部(90b)は、前記調整部(4)よりも前記第2仕切板(24)側に設けられ、かつ前記通過口(24a)の上端よりも上方であって、前記調整部(4)の上端(4a)よりも下方に設けられた状態で、前記ドレンパン(60,62)及び前記調整部(4)を撮像するエアハンドリングユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアハンドリングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からエアハンドリングユニット(AHU)と称される空気調和装置が用いられている。エアハンドリングユニットは、ケーシング内に空気冷却器、空気加熱器、空気加湿器、エアフィルタ及び送風機を納めた中央式空気調和ユニットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-137826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、エアハンドリングユニットの保守・点検のため、作業者がエアハンドリングユニットの設置現場に赴く必要があった。近年、労働人口の減少に伴い、設備の保守・点検作業の負担を軽減するニーズが高まっている。また、近年の感染症対策等の影響により、人の移動を伴う業務を削減・効率化するニーズが高まっている。
【0005】
本開示は、保守・点検作業の負担を軽減できるエアハンドリングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示のエアハンドリングユニットは、空気の流入口と流出口とが設けられるケーシングと、前記ケーシング内に設けられ、前記流入口から前記流出口への気流を形成するファンと、前記ケーシング内のうち前記ファンよりも気流方向上流側に設けられ、空気の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する調整部と、前記ケーシングの内部空間を前記流入口が設けられる流入側空間と前記調整部が設けられる調整室とに仕切る第1仕切板と、前記ケーシングの内部空間を前記調整室と前記ファンが設けられるファン室とに仕切る第2仕切板と、前記調整室に設けられ、前記調整室内を撮像する撮像部と、を備える。
【0007】
このように構成することで、作業者がエアハンドリングユニットの設置現場に赴くことなく、調整室内の状態を確認することができる。作業者は、調整室内の汚れ等、異常を確認した場合にのみ設置現場に赴けばよいため、エアハンドリングユニットの保守・点検作業の負担を軽減することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記調整部の下方に設けられるドレンパンをさらに備え、前記撮像部は、前記ドレンパンを撮像する。このように構成することで、作業者は、ドレンパンの状態を遠隔地から確認することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記撮像部は、前記ドレンパンから水を排水する排水路に形成され、前記ドレンパンから水が流入する排水孔、及び前記排水孔の近傍、の少なくとも一方を撮像する。このように構成することで、作業者は、遠隔地から排水路の詰まりをより確実に確認することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記撮像部は、前記調整部を撮像する。このように構成することで、作業者は、遠隔地から調整部の状態を確認することができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記第2仕切板には、前記調整室の空気が前記ファン室へと通過する通過口が形成され、前記撮像部は、前記通過口の上端よりも上方に設けられる。このように構成することで、撮像部が通過口を通る気流を妨げることを防止しつつ、作業者は調整室内の状態を確認することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記撮像部は、前記調整部の上端よりも上方に設けられる。このように構成することで、撮像部は、調整室のより広い範囲を撮像することができる。
【0013】
(7)好ましくは、撮像部は、前記調整部よりも前記第2仕切板側に設けられる。このように構成することで、撮像部は、調整部のより広い範囲を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施形態に係るエアハンドリングユニットの斜視図である。
図2図1のエアハンドリングユニットの内部構造を示す斜視図である。
図3図1のエアハンドリングユニットの内部構造を右面パネル側から見た斜視図である。
図4図1のエアハンドリングユニットの断面図である。
図5図1のエアハンドリングユニットの内部構造を示す平面図である。
図6】実施形態に係る管理システムの機能的な構成を示すブロック図である。
図7】実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。
図8】実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。
図9】実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示の実施形態を説明する。
【0016】
[実施形態]
[エアハンドリングユニットの構成]
図1から図5を参照して、本開示の実施形態に係るエアハンドリングユニット1の構成を説明する。エアハンドリングユニット1は、ケーシング2と、フィルタ3と、調整部4と、ファン7と、第1仕切板23と、第2仕切板24と、撮像部90と、を備える。
【0017】
図1は、エアハンドリングユニット1の外観を概略的に示す斜視である。
ケーシング2は、箱状に組み立てられた複数の外壁パネル2a~2fを有する。前面(図1の手前側の鉛直面)は、3つの前面パネル2aによって構成され、背面(図2の奥側の鉛直面)が3つの背面パネル2bによって構成されている。また、左側面(図1の左側の鉛直面)が1つの左面パネル2cによって構成され、右側面(図2の右側の鉛直面)が1つの右面パネル2dによって構成されている。さらに、上面が1つの上面パネル2eによって構成され、下面が1つの土台2fによって構成されている。これらのパネル構成は一例であり、本開示の実施に関してはこれに限られない。
【0018】
上面パネル2eには、空気の流入口21と流出口22とが形成されている。流入口21は、上面パネル2eのうち右面パネル2d側に設けられ、流入口21には、図示しない室外又は室内に連通するダクトが接続されている。流出口22は、上面パネル2eのうち左面パネル2c側に設けられ、流出口22には図示しない室内に連通するダクトが接続されている。これにより、外気又は室内の空気がダクト及び流入口21を介してケーシング2の内部に流入し、温度や湿度が調整された後、流出口22及びダクトを介して室内に供給される。
【0019】
図2は、エアハンドリングユニット1の内部構造を示す斜視図である。図2は、図1と同じ角度の斜視図であり、前面パネル2aの記載を省略している。
図3は、エアハンドリングユニット1の内部構造を右面パネル2d側から見た斜視図である。図3では、土台2f以外のケーシング2の記載を省略している。
図4は、エアハンドリングユニット1の断面図である。図4は、前面パネル2aと背面パネル2bとの中間の断面を示している。
図5は、エアハンドリングユニット1の内部構造を示す上方から見た平面図である。図5では、上面パネル2e、前面パネル2a及び左面パネル2cの記載を省略している。
【0020】
図2を参照する。ケーシング2の内部には、フィルタ3、第1仕切板23、調整部4、第2仕切板24、ファン7、ドレンパン60、排水路61及び撮像部90(図4)が設けられている。フィルタ3、第1仕切板23、調整部4、第2仕切板24及びファン7は、流入口21側の右面パネル2dから流出口22側の左面パネル2cに向かって、この順に設置されている。
【0021】
ファン7は、例えばプラグファンである。ファン7は、流出口22の真下に位置し、架台12に固定されている。架台12は、積層ゴムやスプリング等の振動を吸収する振動吸収機構14を介して土台2fに固定されている。ファン7は、後述の通過口24aから空気を取り込み上方へ吹き出すことで、流入口21から流出口22に向かう気流を形成する。
【0022】
調整部4は、ケーシング2内のうちファン7よりも気流方向上流側に設けられている。調整部4は、冷水コイル41と、温水コイル42と、加湿器43と、を有する。冷水コイル41、温水コイル42及び加湿器43は、右面パネル2dから左面パネル2cに向かって、この順に設置されている。
【0023】
冷水コイル41及び温水コイル42は、それぞれ水冷式の熱交換器である。冷水コイル41には機外の熱源機から冷水が供給され、当該冷水によって空気が冷却される。温水コイル42には機外の熱源機から温水が供給され、当該温水によって空気が加熱される。加湿器43は、空気に水蒸気又は水滴(ミスト)を混合させることで湿度を調整する。これにより、調整部4は、空気の温度及び湿度を調整する。
【0024】
なお、調整部4は、冷水コイル41、温水コイル42及び加湿器43の少なくとも1つを有していればよく、空気の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する構成であればよい。
【0025】
フィルタ3は、ケーシング2内のうち調整部4よりも気流方向上流側に設けられている。フィルタ3は、プレフィルタとメインフィルタとを有する。フィルタ3は、空気中の塵埃を二段階に除去して空気を浄化する。
【0026】
第1仕切板23は、フィルタ3と調整部4との間に設けられている。第1仕切板23は、土台2fから上面パネル2eまで鉛直又は斜めに延びる板状部材であり、鉄鋼等の金属板で形成されている。第1仕切板23は、ケーシング2の内部空間を流入口21が設けられる流入側空間S1と調整部4が設けられる調整室S2とに仕切る。第1仕切板23には、空気が通過する通過口23a(図4)が形成されている。通過口23aは、フィルタ3と調整部4とに挟まれている。
【0027】
第2仕切板24は、調整部4とファン7との間に設けられている。第2仕切板24は、土台2fから上面パネル2eまで鉛直又は斜めに延びる板状部材であり、鉄鋼等の金属板で形成されている。第2仕切板24は、ケーシング2の内部空間を調整室S2とファン7が設けられるファン室S3とに仕切る。第2仕切板24のうち、ファン7に対応する位置には、調整室S2の空気がファン室S3へと通過する通過口24a(図3)が形成されている。通過口24aは、ネット状のファンガード24b(図3)で覆われている。
【0028】
調整室S2は、第1仕切板23、第2仕切板24、前面パネル2a、背面パネル2b、上面パネル2e及び土台2fにより形成される略直方体形状の空間である。第1仕切板23と第2仕切板24との距離(調整室S2の幅)は、例えば700mmである。前面パネル2aと背面パネル2bとの距離(調整室S2の奥行)は、例えば600~1000mmである。上面パネル2eと土台2fとの距離(調整室S2の高さ)は、例えば1600mm~2050mmであり、調整室S2の幅及び奥行よりも長い。このため、調整室S2は、上下方向に長い空間となる。
【0029】
図4を参照する。ドレンパン60は、調整部4(例えば、冷水コイル41)及びその近傍で発生した凝縮水を受けるトレーである。ドレンパン60は、調整室S2の土台2f上に設置されている。ドレンパン60は第1仕切板23から第2仕切板24に向かう方向(気流方向)に沿って下方に傾斜している。
【0030】
排水路61は、ドレンパン60が受けた凝縮水をドレンパン60からケーシング2の外部へ排出するための配管である。排水路61は、架台12の下方に設けられている。排水路61の一方の端部には、ドレンパン60に開口する排水孔61aが形成されている。排水路61の他方の端部61bは、左面パネル2cの下方においてケーシング2の外部に突出している。端部61bは、図示省略する配管と接続する。排水路61は、ドレンパン60が受けた凝縮水を排出する機能を有していれば、配管以外の構成であってもよく、例えば排水溝であってもよい。
【0031】
撮像部90は、調整室S2に設けられ、調整室S2内を撮像する。より具体的には、図4及び図5に示すように、撮像部90は、上面パネル2eの近傍であって、第2仕切板24と背面パネル2bとが接続する角の近傍に、取付金具(図示省略)を介して設置されている。撮像部90の撮像方向D1は、調整部4及びドレンパン60の両方を俯瞰する方向である。このため、撮像部90により取得される画像には、調整部4及びドレンパン60が写っている。
【0032】
また、撮像部90は、調整部4よりも第2仕切板24側に設けられ、撮像方向D1は第1仕切板23側を向いている。このため、調整部4と幅方向(第1仕切板23と第2仕切板24とが向かい合う方向)に距離を保ちつつ、調整部4を撮像することができ、調整部4のより広い範囲を画像に写すことができる。
【0033】
[撮像部の機能構成]
図6は、本開示の管理システム100の機能的な構成を示すブロック図である。
管理システム100は、複数のエアハンドリングユニット1と、管理装置80と、を備える。管理装置80は、例えば複数のエアハンドリングユニット1がそれぞれ設置されている建物(例えば、工場やビル等)とは異なる建物(例えば、管理センター)に設置されている。管理装置80は、複数のエアハンドリングユニット1を遠隔から点検するための装置であり、例えばプロセッサ及びメモリを含む汎用コンピュータ装置である。管理装置80の機能は、当該汎用コンピュータ装置に所定のプログラムを実行させることで実現される。管理装置80は、管理制御部81と、キーボード等の入力部82と、ディスプレイ等の表示部83と、通信部84と、を備える。
【0034】
撮像部90は、撮像素子91と、光源92と、撮像制御部93と、通信部94と、を有する。撮像素子91は、例えばCCDイメージセンサである。光源92は、例えば白色LEDである。撮像制御部93は、プロセッサ及びメモリを含むマイクロコンピュータであり、撮像素子91、光源92及び通信部84を制御する。例えば、撮像制御部93は、撮像素子91が撮像を行う際、光源92を発光させることで調整室S2内を照らす。通信部94は、ネットワークN1を介して管理装置80の通信部84と通信可能に接続されている。撮像素子91が取得した画像は、撮像制御部93に一時的に記憶され、通信部84からネットワークN1を介して管理装置80に送信される。管理装置80には、複数のエアハンドリングユニット1でそれぞれ取得された画像が集約される。
【0035】
[エアハンドリングユニットの運転動作]
機外の熱源機において冷却された冷水を冷水コイル41に、機外の熱源機において加熱された温水を温水コイル42に流通させるとともに、ファン7を回転させる。これにより、調整室S2の空気がファン室S3に吸い込まれ、調整室S2及び流入側空間S1がケーシング2の外部よりも圧力が低い負圧状態となる。このため、外部の空気が流入口21から流入側空間S1に流入する。
【0036】
流入側空間S1に流入した空気は、フィルタ3にて塵埃を除去された後、第1仕切板23の通過口23aから冷水コイル41及び温水コイル42に流入する。流入した空気は、各コイル41,42を流れる冷水/温水と熱交換することで温度を調整される。温度調整された空気は、加湿器43にて湿度を調整される。
【0037】
湿度調整された空気は、通過口24aからファン室S3に流入すると、流出口22から図示しないダクトを介して室内へ供給される。そのため、ファン室S3は、調整室S2、流入側空間S1及びケーシング2の外部よりも圧力が高い陽圧状態となる。
【0038】
[エアハンドリングユニットの点検動作]
エアハンドリングユニット1は、例えば冷房運転中、冷水コイル41で空気が露点温度以下にまで冷却されると、空気中の水分が凝縮する。この凝縮水は、ドレンパン60に受けとめられ、排水路61によってケーシング2の外部へ排出される。このように、調整部4やドレンパン60には凝縮水が付着するため、細菌やカビの発生及び繁殖により、汚れる場合がある。調整部4及びドレンパン60の汚れは、時間の経過とともに悪化し、やがてはケーシング2内の空気を汚染してカビ臭を発生させたり、排水路61を詰まらせたりするおそれがある。
【0039】
従来は、調整部4及びドレンパン60を例えば1ヶ月ごとに作業者が目視点検し、点検の際に調整部4及びドレンパン60の汚れが確認されれば、作業者が汚れを除去していた。このため、調整部4及びドレンパン60が汚れていない場合であっても、定期的に作業者がエアハンドリングユニット1の設置現場に赴く必要があった。
【0040】
これに対し、本実施形態のエアハンドリングユニット1は、例えば1週間ごとに撮像部90により調整部4及びドレンパン60を撮像することで画像を取得する。そして、通信部94を介して管理装置80に画像を送信する。なお、撮像部90による撮像は、上記のように定期的に実行されてもよいし、作業者が管理装置80の入力部82に撮像を指示する旨の入力を行うことにより、管理制御部81から撮像部90に撮像指示がなされることで実行されてもよい。
【0041】
管理制御部81は、管理装置80に送信された画像に基づいて、異常判断を行う。例えば、正常時の画像と、送信された画像とを比較し、差分が所定値以上であれば、調整部4及びドレンパン60に異常ありと判断し、表示部83にアラートを報知する。管理装置80にて行う異常判断は、各種の手法を用いてもよく、上記の方法に限られない。さらに、管理装置80が異常判断を行うことは必須ではない。
【0042】
例えば、管理装置80が異常判断を行わず、画像をそのまま表示部83に表示して、作業者が当該画像に基づいて調整部4及びドレンパン60の異常判断を行ってもよい。また、撮像部90側にエッジデバイス(例えば、汎用コンピュータ装置)を設け、撮像した画像の異常判断を撮像部90側で実行した後、その異常判断結果を管理装置80へ送信してもよい。
【0043】
このように、本実施形態のエアハンドリングユニット1によれば、撮像部90により調整部4及びドレンパン60を含む画像を取得し、当該画像をエアハンドリングユニット1の遠隔に位置する管理装置80に送信及び表示することができる。このため、作業者がエアハンドリングユニット1の設置現場に赴くことなく、調整部4及びドレンパン60の状態を確認することができる。作業者は、調整部4及びドレンパン60の汚れ等、異常を確認した場合にのみ設置現場に赴けばよいため、エアハンドリングユニット1の保守・点検作業の負担を軽減することができる。
【0044】
[変形例]
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下の変形例において、上記の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0045】
[撮像部の設置位置の変形例1]
図7は、実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。変形例に係る撮像部90a,90bは、上記の実施形態に係る撮像部90と設置位置が相違し、その他の点は共通する。なお、撮像部90a,90bは、両方設けられてもよいし、いずれか一方のみ設けられてもよい。
【0046】
撮像部90aは、調整部4の上端4aよりも上方であって、第1仕切板23の近傍に設置されている。撮像部90aの撮像方向D1aは、ドレンパン60及び排水路61の排水孔61aを俯瞰する方向である。このため、撮像部90aにより取得される画像には、ドレンパン60及び排水孔61aが写っている。また、当該画像には、調整部4は写っていない。
【0047】
排水路61が詰まっている場合、ドレンパン60に凝縮水が溜まり、排水が滞る。本変形例では、撮像部90aの撮像方向D1aに排水孔61aを含めることで、排水路61の詰まりをより確実に確認することができる。なお、撮像部90aは、上記のように排水孔61aを撮像してもよいし、排水孔61aを撮像せずに排水孔61aの近傍を撮像してもよい。排水孔61aの近傍とは、例えばドレンパン60の排水孔61a側の領域である。
【0048】
撮像部90bは、第2仕切板24の通過口24aの上端よりも上方であって、通過口24aの上端近傍に設置されている。通過口24aの上端は、調整部4の上端4aよりも下方にあり、撮像部90bの位置は調整部4の上端4aよりも下方である。撮像部90bの撮像方向D1bは、調整部4及びドレンパン60を俯瞰する方向である。なお、撮像部90bは、調整部4のみを俯瞰し、ドレンパン60を画角に含まなくてもよい。
【0049】
撮像部90bは、調整室S2のうち、撮像部90及び撮像部90aよりも下方に位置するため、調整部4の下部分及びドレンパン60との距離が近い。凝縮水は調整部4(例えば、冷水コイル41)を伝って下方に滴るため、調整部4のうち下部分のほうがより汚れやすい傾向がある。撮像部90bは、汚れやすい部分を近くで撮像することで、調整部4及びドレンパン60の状態をより詳細に確認することができる。
【0050】
一方で、撮像部90bを通過口24aよりも下方に設置すると、通過口24aを通る気流の妨げになり、また撮像部90b自体も気流により振動するおそれがある。このため、気流を妨げず、かつ撮像部90bが気流により振動することを防止するために、撮像部90bは通過口24aよりも上方に設置される。
【0051】
[撮像部の設置位置の変形例2]
図8は、実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。変形例に係る撮像部90bは、図7の撮像部90bと同じ構成を有する。本変形例に係るエアハンドリングユニットは、ミラー95をさらに備える。
【0052】
ミラー95は、撮像部90bの撮像方向D1b内に位置し、撮像部90bから見て、排水路61の排水孔61aが映るように位置及び角度が設定される。撮像部90bは、調整部4及びドレンパン60をより詳細に確認することができる一方で、排水路61の排水孔61aを写すことができないという課題を有する。本変形例では、ミラー95をさらに備えることで、ミラー95を介して、撮像部90bが取得する画像に排水孔61aを写すことができる。これにより、調整部4及びドレンパン60をより詳細に確認しつつ、排水路61の詰まりをより確実に確認することができる。
【0053】
[排水孔の変形例]
図9は、実施形態の変形例に係るエアハンドリングユニットの断面図である。本変形例では、ドレンパンから排水路への排水の方法が上記の実施形態と相違する。変形例に係るドレンパン62は、調整室S2の下方に設置されている。ドレンパン62には、凹部62aが形成されている。
【0054】
変形例に係る排水路は、ドレンポンプ64によりドレンパン62から強制的に排出される水L1を導く配管である。以下、ドレンポンプ64よりもドレンパン62側(上流側)の排水路を「排水路63」と称し、その反対側(下流側)の排水路を「排水路65」と称する。排水路63の下端には、水L1が流入する排水孔63aが形成されている。排水孔63aは、凹部62aの底面に向かって開口している。排水路65は前面パネル2aを厚さ方向に貫通してケーシング2の外部に突出している。
【0055】
ドレンポンプ64が運転すると、ドレンパン62に溜まった水L1が排水路63の排水孔63aから吸い込まれる。吸い込まれた水は、ドレンポンプ64を経由して、排水路65に送られ、排水路65を通ってケーシング2の外部に排出される。
【0056】
変形例に係る撮像部90cは、調整部4と、ドレンパン62との両方を撮像する。撮像部90cは、ドレンパン62の凹部62aを撮像方向D1cに含むように撮像する。ここで、排水孔63aは、図9に示すように凹部62aに向かって開口しているため、撮像部90cが撮像する画像には写らない。一方で、撮像部90cが撮像する画像には、凹部62aや、排水路63の側面等、排水孔63aの近傍が写る。
【0057】
排水路63,65が詰まっている場合(又は、詰まりかけている場合)には、排水孔63aの近傍の汚れが目立ったり、排水孔63aの近傍に溜まる水L1が多くなったりする。このため、撮像部90cにより排水孔63aの近傍を撮像することで、排水路63,65の詰まりを間接的に確認することができる。
【0058】
[その他の変形例]
なお、上記の実施形態及び変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
【0059】
[実施形態の作用効果]
(1)上記の実施形態及び変形例に係るエアハンドリングユニット1は、空気の流入口21と流出口22とが設けられるケーシング2と、ケーシング2内に設けられ、流入口21から流出口22への気流を形成するファン7と、ケーシング2内のうちファン7よりも気流方向上流側に設けられ、空気の温度及び湿度の少なくとも一方を調整する調整部4と、ケーシング2の内部空間を流入口21が設けられる流入側空間S1と調整部4が設けられる調整室S2とに仕切る第1仕切板23と、ケーシング2の内部空間を調整室S2とファン7が設けられるファン室S3とに仕切る第2仕切板24と、調整室S2に設けられ、調整室S2内を撮像する撮像部90と、を備える。
【0060】
このように構成することで、作業者がエアハンドリングユニット1の設置現場に赴くことなく、遠隔地から調整室S2内の状態を確認することができる。作業者は、調整室S2内の汚れ等、異常を確認した場合にのみ設置現場に赴けばよいため、エアハンドリングユニット1の保守・点検作業の負担を軽減することができる。
【0061】
(2)上記の実施形態及び変形例に係るエアハンドリングユニット1は、調整部4の下方に設けられるドレンパン60をさらに備え、撮像部90,90a,90b,90cの撮像方向D1,D1a,D1b,D1cは、ドレンパン60を撮像する。このように構成することで、作業者は、遠隔地からドレンパン60の状態を確認することができる。
【0062】
(3)上記の変形例に係る撮像部90a,90cは、ドレンパン60,62から水を排水する排水路61,63に形成され、ドレンパン60,62から水が流入する排水孔61a,63a、及び排水孔61a,63aの近傍、の少なくとも一方を撮像する。このように構成することで、作業者は、遠隔地から排水路61,63の詰まりをより確実に確認することができる。
【0063】
(4)上記の実施形態及び変形例に係る撮像部90,90b,90cは、調整部4を撮像する。このように構成することで、作業者は、遠隔地から調整部4の状態を確認することができる。
【0064】
(5)上記の実施形態及び変形例において、第2仕切板24には、調整室S2の空気がファン室S3へと通過する通過口24aが形成され、撮像部90,90a,90b,90cは、通過口24aの上端よりも上方に設けられる。このように構成することで、撮像部90,90a,90b,90cが通過口24aを通る気流を妨げることを防止しつつ、作業者は調整室S2内の状態を遠隔地から確認することができる。
【0065】
(6)上記の実施形態及び変形例において、撮像部90,90a,90cは、調整部4の上端4aよりも上方に設けられる。このように構成することで、撮像部90,90a,90cは、調整室S2のより広い範囲を撮像することができる。
【0066】
(7)上記の実施形態及び変形例において、撮像部90,90bは、調整部4よりも第2仕切板24側に設けられる。このように構成することで、撮像部90,90bは、調整部4のより広い範囲を撮像することができる。
【0067】
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0068】
1:エアハンドリングユニット、12:架台、14:振動吸収機構、2:ケーシング、2a:前面パネル、2b:背面パネル、2c:左面パネル、2d:右面パネル、2e:上面パネル、2f:土台、21:流入口、22:流出口、23:第1仕切板、23a:通過口、24:第2仕切板、24a:通過口、24b:ファンガード、3:フィルタ、4:調整部、4a:上端、41:冷水コイル、42:温水コイル、43:加湿器、60:ドレンパン、61:排水路、61a:排水孔、61b:端部、62:ドレンパン、62a:凹部、63:排水路、64:ドレンポンプ、65:排水路、7:ファン、80:管理装置、81:管理制御部、82:入力部、83:表示部、84:通信部、90:撮像部、90a:撮像部、90b:撮像部、90c:撮像部、91:撮像素子、92:光源、93:撮像制御部、94:通信部、95:ミラー、100:管理システム、S1:流入側空間、S2:調整室、S3:ファン室、D1:撮像方向、D1a:撮像方向、D1b:撮像方向、D1c:撮像方向、N1:ネットワーク
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図9