(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/04 20060101AFI20230913BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20230913BHJP
C30B 33/02 20060101ALI20230913BHJP
C01B 32/28 20170101ALI20230913BHJP
C30B 33/12 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
C30B29/04 V
B23K26/53
C30B33/02
C01B32/28
C30B33/12
(21)【出願番号】P 2020531833
(86)(22)【出願日】2018-08-19
(86)【国際出願番号】 IL2018050912
(87)【国際公開番号】W WO2019038754
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-12
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520060911
【氏名又は名称】ダイアムテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ドゥエク ドタン
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0240622(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192579(US,A1)
【文献】特開2007-069216(JP,A)
【文献】特開平07-040336(JP,A)
【文献】国際公開第2016/168796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/04
B23K 26/53
C30B 33/02
C01B 32/28
C30B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成する方法であって、
前記ダイヤモンドバルク内の所定の位置に焦点を有する少なくとも1つのレーザを前記ダイヤモンドバルクに照射するステップであって、前記レーザは、前記レーザの前記焦点が前記ダイヤモンドバルクと合う前記ダイヤモンドバルク内の位置で黒鉛化を生じさせる、ステップと、
少なくとも1つの軸に沿って、前記ダイヤモンドバルク内に前記レーザの前記焦点が配置されるように前記ダイヤモンドバルクを移動するステップと、前記ダイヤモンドバルクに前記レーザの前記焦点が配置されるように前記少なくとも1つのレーザを移動するステップと、のうちの少なくとも1つを行うステップと、
前記ダイヤモンドバルクを前記少なくとも一つのレーザに対して少なくとも二つの軸に沿って移動させ、及び/又は、前記少なくとも1つのレーザを前記ダイヤモンドバルクに対して少なくとも二つの軸に沿って移動させることにより、前記ダイヤモンドバルク内
に少なくとも二つの黒鉛
平面層を形成し、
前記少なくとも二つの黒鉛平面層は三次元構造を生成する所定のスキームに従っており、前記移動は、前記
所定のスキームに
も対応するステップと、
前記ダイヤモンドバルク内から
前記黒鉛を除去し、前記ダイヤモンドバルクから前記3次元構造を抽出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレーザが
、紫外線レー
ザである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレーザが、200ナノ秒未満のパルスを有する光を放射する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイヤモンドバルクを照射するステップは、2つ以上の前記レーザで行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2つ以上のレーザが、互いに異なる少なくとも第一の前記レーザおよび第二の前記レーザを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーザが、1ナノ秒~10フェムト秒の範囲内のパルスを有する光を放射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのレーザが、278nm~1500nmの波長を有する光を放射する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
制御可能なプラットフォームを用いて、前記ダイヤモンドバルクを自動的に移動させるステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイヤモンドバルクを少なくとも2つの軸に沿って移動させて、前記三次元構造を生成するステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイヤモンドバルクから少なくとも2つの所定の構造を抽出するステップを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸化を用いて前記ダイヤモンドバルクから黒鉛を除去することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
レーザビームを通過させるために、前記ダイヤモンドバルクの表面を研磨するステップをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する液体中に前記ダイヤモンドバルクを浸漬するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する結晶と、前記ダイヤモンドバルクを合わせることをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成するためのシステムであって、
各々が前記ダイヤモンドバルク内の所定の位置に焦点を有する光を放射するように構成された少なくとも1つのレーザと、
前記ダイヤモンドバルクを保持し、前記ダイヤモンドバルク内に前記焦点を配置できるように構成された可動プラットフォームであって、前記ダイヤモンドバルクを少なくとも1つのレーザに対して少なくとも二つの軸に沿って動かすように構成された可動プラットフォームと、
前記可動プラットフォームおよび前記ダイヤモンドバルクに対して少なくとも2つの軸に沿って可動な前記少なくとも1つのレーザのうちの少なくとも1つを移動させるように構成され、前記移動は三次元のスキームに従うプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのレーザが
、紫外線レー
ザである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
2つ以上のレーザをさらに備える、請求項15または請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記2つ以上のレーザは、互いに異なる少なくとも第一のレーザおよび少なくとも第二のレーザを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つのレーザを動作させるように構成される、請求項15~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのレーザは、前記可動プラットフォームに対して移動可能である、請求項15~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記光は、少なくとも10フェムト秒のパルスで放射される、請求項15~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記放射された光の波長は、157~1500nmである、請求項15~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記可動プラットフォームは、前記ダイヤモンドバルクを少なくとも2つの軸に沿って移動させて三次元構造を形成するように構成される、請求項15~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのレーザから放射された光は、前記レーザの焦点が前記ダイヤモンドバルクを照射する前記ダイヤモンドバルク内の位置で黒鉛化を生じさせ、前記可動プラットフォームは、前記ダイヤモンドバルクを移動させて前記黒鉛を前記ダイヤモンドバルク内から除去するように構成される、請求項15~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記可動プラットフォームは、前記ダイヤモンドバルクを移動させて、酸化容器内で前記黒鉛を前記ダイヤモンドバルク内からエッチングするように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ダイヤモンドバルクは、人工的に成長させたダイヤモンドを含む、請求項15~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記ダイヤモンドバルクは、レーザビームを通過させるための研磨表面を備える、請求項15~26のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ダイヤモンド切断および/または成形に関する。より詳細には、本発明は、ダイヤモンドバルクから1つ以上の所定の構造を生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイヤモンド成形プロセスは、天然および/または人工的に成長させたダイヤモンドが多くの異なる産業で使用されるにつれて、より一般的になってきている。ダイヤモンドは、宝石、医療機器、光学機器、機械機器、その他の機器に、さまざまな目的および用途で使用されている。
【0003】
通常、ダイヤモンドの成形は、複数のステップを含み、これらのステップの間の調製間隔のために人間の介入を必要とする。ときどき、所望の製品を実現するために、複数の研磨ステップが依然として手動で実行されている。典型的な研磨プロセスは、レーザ切断、手動成形、および手動研磨を含み得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの態様は、ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成する方法を対象とし得る。いくつかの実施形態において、この方法は、所定の位置に焦点を有する少なくとも1つのレーザをダイヤモンドバルクに照射するステップであって、レーザは、レーザの焦点がダイヤモンドバルクと合う位置で黒鉛化を生じ得る、ステップと、ダイヤモンドバルク内にレーザの焦点が配置されるように、ダイヤモンドバルクを移動するステップと、ダイヤモンドバルクを少なくとも1つの軸に沿って、レーザの焦点が配置されるように、少なくとも1つのレーザを移動するステップであって、移動が所定のスキームに対応し、これらの移動するステップのうちの少なくとも1つを行うステップと、ダイヤモンドバルクから黒鉛を除去し、ダイヤモンドバルクから所定の構造を抽出するステップを含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザは、超高速レーザおよび紫外線レーザのうちの少なくとも1つであり得る。
【0005】
いくつかの実施形態において、レーザは、200ナノ秒未満のパルスを有する光を放射し得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルクを照射するステップは、2つ以上のレーザで行われる。いくつかの実施形態において、2つ以上のレーザは、互いに異なる第一のレーザおよび第二のレーザを少なくとも含み得る。いくつかの実施形態において、レーザは、1ナノ秒~10フェムト秒の範囲のパルスを有する光を放射し得る。いくつかの実施形態において、レーザは、278nm~1500nmの波長を有する光を放射し得る。いくつかの実施形態において、本方法は、制御可能なプラットフォームを用いて、ダイヤモンドバルクを自動的に移動させるステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、ダイヤモンドバルクを少なくとも2つの軸に沿って移動させて、三次元構造を生成するステップをさらに含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、本方法は、ダイヤモンドバルクから少なくとも2つの所定の構造を抽出するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、酸化を使用してダイヤモンドバルクから黒鉛を除去するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、レーザビームを通過させるために、ダイヤモンドバルクの表面を研磨するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、ダイヤモンドバルクを、ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する液体に浸漬するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する結晶と、ダイヤモンドバルクを合わせるステップをさらに含み得る。
【0007】
本発明のいくつかの態様は、ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成するためのシステムを対象とし得、このシステムは、各々が所定の位置に焦点を有する光を放射するように構成された少なくとも1つのレーザと、ダイヤモンドバルクを保持し、焦点をダイヤモンドバルク内に配置できるように構成された可動プラットフォームであって、少なくとも1つの軸に沿って移動するように構成されたプラットフォームと、所定のスキームに従って、可動プラットフォームおよび各焦点のうちの少なくとも1つを移動させるように構成されたプロセッサとを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザは、超高速レーザおよび紫外線レーザのうちの少なくとも1つである。
【0008】
いくつかの実施形態において、システムは、2つ以上のレーザをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、2つ以上のレーザは、互いに異なる少なくとも第一のレーザおよび少なくとも第二のレーザを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、少なくとも1つのレーザを動作させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザは、可動プラットフォームに対して移動可能である。いくつかの実施形態において、光は、少なくとも10フェムト秒のパルスで放射され得る。いくつかの実施形態において、放射される光の波長は、157~1500nmであり得る。いくつかの実施形態において、プラットフォームは、少なくとも2つの軸に沿ってダイヤモンドバルクを移動させて、三次元構造を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザから放射された光は、レーザの焦点がダイヤモンドバルクに照射する位置で黒鉛化を生じさせ得、プラットフォームは、ダイヤモンドバルクを移動させて黒鉛を除去するように構成される。いくつかの実施形態において、プラットフォームは、ダイヤモンドバルクを移動させて、酸化容器内で黒鉛をエッチングするように構成され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルクは、人工的に成長させたダイヤモンドを含む。いくつかの実施形態において、所定のスキームは、アモルフィック形状を有する。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルクは、レーザビームを通過させるための研磨表面を備える。
【0011】
本発明のいくつかのさらなる態様は、ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成するためのシステムに関連し得、このシステムは、所定の位置に焦点を有する光を放射するように構成された少なくとも1つの可動レーザであって、前記少なくとも1つの超短可動レーザが少なくとも1つの第一の軸に沿って移動するように構成される、少なくとも1つの可動レーザと、ダイヤモンドバルクを保持し、ダイヤモンドバルク内に焦点を配置できるように構成されたプラットフォームと、所定の反応スキームに従って可動レーザを移動させるように構成されたプロセッサとを含み得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、プラットフォームを少なくとも1つの第二の軸に沿って移動させるように構成され得る。
【0012】
本発明と見なされる主題は、本明細書の最後の部分において特に指摘され、明確に特許請求がなされる。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、以下の詳細な説明を参照して、添付の図面と一緒に読まれるときに、最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態によるダイヤモンド成形システムを概略的に示す。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態による所定のダイヤモンドスキームを概略的に示す。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンドスキームの一部分の断面図を概略的に示す。
【
図2C】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンドスキームの断面図を概略的に示す。
【
図2D】は、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルクから抽出された所定のダイヤモンドスキームの断面図を概略的に示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成する方法のフローチャートを示す。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態による所定のダイヤモンド切断スキームを概略的に示す。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの一部分の断面正面図を概略的に示す。
【
図4C】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの一部分の断面側面図を概略的に示す。
【
図4D】本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
説明を簡略で明確にするために、図に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために、他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応または類似する要素を示すために、図面の間で繰り返され得る。
【0015】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細について述べる。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの特定の詳細がなくても実施され得ることが理解されるであろう。他の例では、周知の方法、手順、および構成要素は、本発明を曖昧にしないようにするために、詳細には説明されていない。
【0016】
ここで、
図1を参照するが、この図は、本発明のいくつかの実施形態によるダイヤモンド成形システム100を概略的に示している。ダイヤモンド成形システム100によって、最小限の時間(例えば、約30分)でダイヤモンドバルク10から所定の構造を自動的に作成することが可能になり得るが、これは、数日の作業を必要とする従来知られている多段階ダイヤモンド研磨方法とは対照的である。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、天然および/または人工的に成長させたダイヤモンドのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
ダイヤモンド成形システム100は、所定の位置102に焦点を有する光(
図1に破線で示す)を放射するように構成され得る、レーザ101などの少なくとも1つの集束光源101を含み得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、例えば、200ナノ秒未満の周波数を有する、超高速レーザおよび/またはエキシマ(または紫外線)レーザ(放射光の波長が157~1500nmの範囲にある)のうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの実施形態において、光ビームは、少なくとも10フェムト秒、例えば、1ナノ秒~10フェムト秒の範囲のパルスでレーザ101から放射され得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンド成形システム100は、2つ以上のレーザ101を含み得る。いくつかの実施形態において、2つ以上のレーザは、互いに異なる第一のレーザ101(例えば、CW 532レーザ)および第二のレーザ101(例えば、1064nmパルスレーザ)を少なくとも含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザ101は移動可能であり、焦点102の位置が移動できるように、少なくとも1つの集束光源101を移動させるように構成された(例えば、機械的軸受および/または検流計システムを使用して)少なくとも1つの位置合わせ機構103に連結され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの集束光源101は、少なくとも2つの軸「X」及び「Z」に沿って移動し、ダイヤモンドバルク10内に三次元切断を形成し、それによって、そこから三次元の所定の構造を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのレーザ101は、少なくとも1つの集束光源101を回転および/または傾斜させることによって移動し、それによって、ダイヤモンドバルク10内の焦点102のさらなる位置合わせを可能にするように構成され得る。
【0019】
ダイヤモンド成形システム100は、ダイヤモンドバルク10を保持し、焦点102をダイヤモンドバルク10内に配置できるように構成された可動プラットフォーム104をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、少なくとも1つの軸に沿って移動するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10の表面12(例えば、少なくとも1つの集束光源101に面する表面)は、光ビームが通過できるようにするために、前処理および/または研磨され得る。そのように研磨された表面12は、少なくとも1つのレーザ101からダイヤモンドバルク10の完全な内部構造に光ビームが通過できる窓を形成し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、光ビームが通過できるようにするために、ダイヤモンドバルク10の屈折率(例えば、2.32~2.55)に対応する屈折率を有する液体および/または溶融材料に浸漬され得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、光ビームが通過できるようにするために、ダイヤモンドバルクの屈折率(例えば、2.32~2.55)に対応する屈折率を有する結晶と係合され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、焦点102がダイヤモンドバルク10内で合う位置で黒鉛化を生じるために、少なくとも1つのレーザ101で照射され得る。黒鉛化のこのような部分が除去されると、以下にさらに説明するように、所定の構造をダイヤモンドバルク10から分離することができる。いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、ダイヤモンドバルクを移動させて、黒鉛を除去するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、移動可能であり、ダイヤモンドバルク10を移動させるように構成された少なくとも1つの移動機構105に(例えば、機械的軸受を使用して)結合され得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、少なくとも1つの軸「Z」に沿って移動するように構成され得る。いくつかの実施態様において、プラットフォーム104は、少なくとも2つの軸「X」及び「Z」に沿って移動し、ダイヤモンドバルク10に多次元切断を形成し、それによって、そこから三次元の所定の構造を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、プラットフォーム104を回転および/または傾斜させることによって移動し、それによって、ダイヤモンドバルク10内の焦点102のさらなる位置合わせを可能にするように構成され得る。
【0023】
ダイヤモンド成形システム100は、所定のスキームに従って、可動プラットフォーム104および各焦点102のうちの少なくとも1つを移動させるように構成されたプロセッサ106を含み得る。プロセッサ106は、位置合わせ機構103に結合されること、および/または移動機構105に結合されることもあり得、その結果、プロセッサ106は、所定のスキーム(例えば、ユーザによって受信される)に従って、少なくとも1つの集束光源101の移動を制御すること、および/またはプラットフォーム104の移動を制御することもあり得る。したがって、プロセッサ106は、ダイヤモンドバルクを、ダイヤモンドバルク10内の少なくとも1つの集束光源101の焦点102に合わせて位置決めするように、少なくとも1つの軸「Z」に沿って移動し得、この移動は、所定のスキームに対応し得る。いくつかの実施形態によれば、プロセッサ106は、少なくとも1つのレーザ101の動作を制御し得、例えば、放射された集束光ビームの周波数および強度のうちの少なくとも1つを制御することができる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、黒鉛化の一部分は、ダイヤモンドバルク10から所定の構造を抽出することができるように、酸化(例えば、酸化容器内でのエッチング)を使用してダイヤモンドバルク10から除去し得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム104は、ダイヤモンドバルクを移動させて、酸化容器内で黒鉛をエッチングするように構成され得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10から所定の構造を成形し、抽出する全自動化プロセスは、1時間未満で行われ得る。いくつかの実施形態において、
図4A~
図4Dに関連して図示され、説明されるように、ダイヤモンドバルク10から少なくとも2つの所定の構造が抽出され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10から所定の構造を成形することの約90%は、単一のステップで実施し得る。例えば、ユーザは、所定の構造のための所定のスキームをプロセッサ106に提供し得、プロセッサ106は、黒鉛化の一部分を有するダイヤモンドバルク10から所定の構造が分離されるまで、所定のスキームに従ってプラットフォーム104および/または少なくとも1つの集束光源101を自動的に移動させるようにでき、これらの部分が除去されると、所定の構造が、例えば、酸化容器内でのエッチングによってダイヤモンドバルクから抽出され得る。
【0026】
以前に知られているプロセスは、通常、バルクから不要な材料を研磨することによって余分なダイヤモンド材料を除去し、それを使用しないダイヤモンドダストに変えるが、ダイヤモンド成形システム100は、精密なレーザ照射(例えば、1000ピコ秒未満の超高速レーザ)を使用して、粗いダイヤモンドバルクから研磨されたダイヤモンドを抽出することを可能にし得ることに留意されたい。したがって、ダイヤモンド材料の損失を防止することができ、その材料を他の場所で使用することができる(例えば、追加のダイヤモンドを生成するためにさらに研磨する)。
【0027】
いくつかの実施形態において、(ダイヤモンドバルクから抽出される)所定の構造は、ダイヤモンド成形システム100を使用して自動的に研磨される非晶質形状を含み得る。したがって、ほとんど任意の形状(例えば、ダイヤモンドアンダーカット)が、ダイヤモンドバルク10から生成され得るが、以前は、手動研磨を必要とする多段階研磨方法を使用するので、可能ではなかった。
【0028】
ここで、
図2Aを参照すると、この図は、本発明のいくつかの実施形態による所定のダイヤモンドスキーム200を概略的に示す。ユーザは、ダイヤモンドスキーム200から所定の三次元構造を抽出するために、(例えば、超高速レーザを使用して)ダイヤモンドバルク10を切断および/または成形する指示によって、所定のダイヤモンドスキーム200を(
図1に示す)プロセッサ106に提供し得る。
【0029】
ここで、
図2Bを参照すると、この図は、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク10内で切断された所定のダイヤモンドスキーム200の一部分の断面図を概略的に示す。少なくとも1つのレーザ101(例えば、超高速レーザ)は、所定のスキーム200に従って移動する焦点102を有するダイヤモンドバルク10内を通過するために光ビームを放射し得、その結果、焦点102がダイヤモンドバルク10と合う位置に黒鉛化を生じる。焦点102の移動は、(
図1に示す)プラットフォーム104の移動、および/またはレーザ101の移動によって引き起こされ得る。レーザ101は、三次元構造を生成するために、所定のスキーム200に従って、例えば、少なくとも2つの軸で移動し得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、
図2Bに示されるように、底部から頂部に向かって(例えば、集束光源101に向かって)切断され得、ここでは、ダイヤモンドバルク10内の一部分のみが切断されている。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、ダイヤモンドバルク10は、所定のスキーム200に従って、別々の層(または平面)に切断され得る。いくつかの実施形態において、層を切断するプロセスが一度完了すると、焦点102の位置は、(例えば、集束光源101および/またはプラットフォーム104の移動に起因して)25nm~0.15mmの間でシフトし得、別の層を成形し得る。したがって、層切断プロセス(例えば、ダイヤモンドバルク10の底部から開始する)は、頂面12のレベルに達するまで繰り返され得る。
【0031】
ここで、
図2Cを参照すると、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク10内で切断された所定のダイヤモンドスキーム200の断面図を概略的に示す。すべての層切断手順が完了し、所望の位置で黒鉛化が生じると、例えば、集光点102がダイヤモンドバルク10内の切断されるべきすべての位置を通過する集束光源101の動作の完了後、黒鉛化部分は、(例えば、酸化チャンバ内で)エッチングおよび/または酸化によって除去され得る。いくつかの実施形態において、所定のダイヤモンドスキーム200の形状は、所定のスキーム200とともに抽出されるブロックに含まれる間、所定のスキーム200に含まれないダイヤモンドバルク10の少なくとも1つの界面部分201を残し得る。このような界面部分201は、集束光源101を使用して、所定のスキーム200の成形と同様に自動的に切断され得る。
【0032】
ここで
図2Dを参照すると、この図は、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク10から抽出された所定のダイヤモンドスキーム200の断面図を概略的に示す。すべての切断手順が完了すると、ダイヤモンドバルクは、黒鉛化部分を除去し、それによって、ダイヤモンドバルク10から所定のスキーム200および界面部分201を抽出するために、(例えば、酸化容器内で)エッチングされ得る。いくつかの実施形態において、界面部分201は、酸素環境における高温を使用して、所定のスキーム200から除去され得る。いくつかの実施形態において、除去された界面部分201は、再使用され、さらに、上述のプロセスおよびシステムで処理され、成形され得る。
【0033】
図3は、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルクから所定の構造を生成する方法のフローチャートを示す。
図3の方法は、
図1に示すシステム100によって実行され得る。いくつかの実施形態において、ステップ301で、所定の位置に焦点102を有する少なくとも1つのレーザ101をダイヤモンドバルク10に照射し得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、レーザ101の焦点102がダイヤモンドバルク10と合う位置で黒鉛化を生じ得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、超高速レーザおよびエキシマレーザのうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルクを照射することは、2つ以上のレーザ、例えば、互いに異なる少なくとも第一のレーザ(例えば、CW 532レーザ)および第二のレーザ(例えば、1064nmパルスレーザ)で行われ得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、200ナノ秒未満のパルスを有する光を放射し得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、1ナノ秒~10フェムト秒の範囲のパルスを有する光を放射し得る。いくつかの実施形態において、レーザ101は、278nm~1500nmの波長を有する光を放射し得る。
【0034】
ステップ302で、ダイヤモンドバルク内にレーザの焦点が配置されるように、ダイヤモンドバルクを移動し得ることと、ダイヤモンドバルクを少なくとも1つの軸に沿って、レーザの焦点が配置されるように、少なくとも1つのレーザを移動し得ることであって、移動は所定のスキームに対応し、これらの移動のうちの少なくとも1つを行う。いくつかの実施形態によれば、移動は、所定のスキーム200に対応し得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルクを移動することは、例えば、スキーム200に基づいて、三次元構造を生成するために、少なくとも2つの軸に沿って行われ得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書にて上述したように、ダイヤモンドバルク10を、ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する液体に浸漬するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書にて上述したように、ダイヤモンドバルク10を、ダイヤモンドバルクの屈折率に対応する屈折率を有する結晶と合わせるステップをさらに含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、ステップ303で、黒鉛をダイヤモンドバルク10から除去し得る。いくつかの実施形態において、酸化を使用して黒鉛を除去し得る。いくつかの実施形態において、ステップ304で、所定の構造をダイヤモンドバルク10から抽出し得る。いくつかの実施形態において、例えば、
図4A~
図4Dに関して図示され、説明されるように、所定のスキームが2つまたは所定の構造を含む場合、少なくとも2つの所定の構造がダイヤモンドバルク10から抽出され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、この方法は、例えば、当技術分野で知られている任意のダイヤモンド研磨方法を使用して、レーザビームを通過させるために、ダイヤモンドバルクの表面を研磨するステップをさらに含み得る。
【0038】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態による所定のダイヤモンド切断スキームを概略的に示す。ユーザは、少なくとも2つのダイヤモンド形状410、420を抽出するために、(例えば、超高速レーザを使用して)ダイヤモンドバルク10を切断および/または成形するための指示を用いて、(
図1に示される)プロセッサ106に所定のダイヤモンド切断スキーム400を提供し得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、薄片切断方法で成形され得、そのダイヤモンドの重量損失は0.05%未満であり、切断厚さは5μmである。従来のシステムでは、約50μmの厚さを有するダイヤモンドバルクを(例えば、ウォータージェットを使用して)切断することができたが、これによって約0.5%の重量損失が発生していることに留意されたい。
【0039】
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの一部分の断面正面図を概略的に示す。少なくとも1つの集束光源101(例えば、超高速レーザ)は、所定の切断スキーム400に従って移動する焦点102を有するダイヤモンドバルク10内を通過するために光ビームを放射し得、その結果、焦点102がダイヤモンドバルク10と合う位置に黒鉛化を生じる。例えば、単一平面切断を有する所定の切断スキーム400の場合、焦点102は、切断面に沿って黒鉛化を生成するために平面に沿って移動し、そのため、黒鉛化面によってダイヤモンドブロック10の少なくとも2つの部分を分離することができる。このようなレーザ切断は、ダイヤモンド材料の損失を引き起こす従来から公知の方法による円錐形状の切断が回避され得るように、十分に狭い切断線(例えば、5μm未満の切断厚さ)を維持し得ることに留意されたい。
【0040】
焦点102の移動は、(
図1に示す)プラットフォーム104の移動、および/または所定の切断スキーム400に従って移動し得る集束光源101の移動によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10は、
図4Bに示されるように、底部から頂部に向かって(例えば、集束光源101に向かって)切断され得、ここでは、ダイヤモンドバルク10内で一部分のみが切断されて、黒鉛化面402を形成している(黒鉛化面402の側面のみが
図4Bに示されている)。
【0041】
図4Cは、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの一部分の断面側面図を概略的に示す。いくつかの実施形態によれば、ダイヤモンドバルク10は、所定の切断スキーム400に従って、別々の層(または平面)に切断され得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンドバルク10から少なくとも2つのダイヤモンド形状410、420を分離するために、切断プロセス(例えば、ダイヤモンドバルク10の底部から開始する)は、切断スキーム400の所定の平面に沿った焦点102の移動によって頂面12のレベルに達するまで繰り返され得る。いくつかの実施形態において、黒鉛化面402を生成するための焦点102の移動は、プラットフォーム104の移動および/または集束光源101の移動によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態において、焦点102は、各レベルでダイヤモンドバルク10の側部から側部に移動し、黒鉛化面402が頂面12のレベルに達するまで、黒鉛化面402を生成し得る。
【0042】
図4Dは、本発明のいくつかの実施形態によって、ダイヤモンドバルク内で切断された所定のダイヤモンド切断スキームの断面図を概略的に示す。すべての切断手順が完了すると、ダイヤモンドバルク10は、黒鉛化面402を除去し、それによって、ダイヤモンドバルク10から所定の切断スキーム400を抽出するために、(例えば、酸化容器内で)エッチングされ得る。例えば、ダイヤモンドバルク10を2つの部分410、420に切断するために、焦点は、ダイヤモンドバルク10の底部から切断面に沿って移動させることができ、頂面12のレベルに達するまで、切断面402内に黒鉛化を形成し、その結果、(例えば、エッチングを用いて)黒鉛化を除去した後、2つの部分410、420は、ダイヤモンドバルク10から分離され得る。
【0043】
明示的に述べられない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、時間または時系列の特定の順序に制約されない。さらに、説明された方法要素のいくつかは、スキップされることができ、またはそれらは、方法の動作のシーケンス中に繰り返されることができ、あるいは同時に、同じ時点で、または並行して、発生すること、または実行されることができる。
【0044】
様々な実施形態が提示されてきた。これらの実施形態の各々は、当然ながら、提示された他の実施形態からの特徴を含むことができ、具体的に記載されていない実施形態は、本明細書に記載された様々な特徴を含み得る。