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特許7348905エネルギー生成システムの動作方法及びエネルギー生成システム用のインバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】エネルギー生成システムの動作方法及びエネルギー生成システム用のインバータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20230913BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230913BHJP
   H02J 3/16 20060101ALI20230913BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02M7/48 R
H02J3/16
H02J3/38 150
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020545282
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2019054758
(87)【国際公開番号】W WO2019170479
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】102018105483.1
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ノブロック,アンドレアス
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02490312(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第105186566(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
H02M 7/48
H02J 3/16
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力生成器及びインバータを含むエネルギー生成システムを動作させる方法において、前記インバータとAC電圧グリッドとの間を電力が転送され、前記転送された電力は、有効電力(P)及び無効電力(Q)を含み、前記光起電力生成器は、第1の動作モードにおいて、前記インバータによって最大有効電力点(MPP)にて動作され、
第2の動作モードにおいて、前記有効電力(P)はグリッド周波数瞬時値(f)及びグリッド周波数変化率(df/dt)に応じて設定され、前記第2の動作モードにおいて、前記無効電力(Q)はグリッド電圧瞬時値(U)及びグリッド電圧変化率(dU/dt)に応じて設定され
瞬時周波数偏差(df)が第2の周波数偏差制限値を超えた場合に、又は、
送り込まれた前記有効電力(P)が、瞬時周波数偏差(df)に応じて、第1の時間においてゼロに低減され、その後の第2の時間における前記瞬時周波数偏差(df)が、前記第1の時間における前記周波数偏差(df)より大きい場合に、又は、
前記周波数変化率(df/dt)が周波数変化率制限値を超えた場合に、
前記インバータが前記AC電圧グリッドから有効電力(P)を引き込むように、前記インバータによって前記AC電圧グリッドの中に送り込まれる前記有効電力(P)をゼロ未満に低下させ、
そして、このようにして引き込まれた前記有効電力(P)を整流し、前記インバータを用いて、DC電力として前記光起電力生成器に送り戻す、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第2の動作モードにおいて、前記有効電力(P)は前記グリッド電圧瞬時値(U)及び/又は前記グリッド電圧変化率(dU/dt)に応じて追加的に設定され、及び/又は、前記無効電力(Q)は前記グリッド周波数瞬時値(f)及び/又は前記グリッド周波数変化率(df/dt)に応じて追加的に設定される、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記第2の動作モードにおいて、前記AC電圧グリッドの性質に応じて、特に、前記エネルギー生成システムが開始される前に確立されたか、又は前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへと変化した時点で決定された、前記AC電圧グリッドの慣性及び/又はグリッドインピーダンスに応じて、前記有効電力(P)の設定値及び前記無効電力(Q)の設定値により、皮相電力(S)の設定値が前記インバータに対して規定された皮相電力制限値(SMax)を超える場合に、前記有効電力(P)の設定値と、前記無効電力(Q)の設定値よりも低い無効電力とが好ましくは設定されるか、又は、前記無効電力(Q)の設定値と、前記有効電力(P)の設定値よりも低い有効電力とが好ましくは設定されるかが確立されるということを基礎として、優先順位が規定される、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記第2の動作モードにおいて、前記有効電力(P)の設定値及び前記無効電力(Q)の設定値により、皮相電力(S)の設定値が前記インバータに対して規定された皮相電力制限値(SMax)を超える場合、前記皮相電力制限値に従って皮相電力(S)が設定され、前記皮相電力は
前記グリッド周波数瞬時値(f)及び/又は前記グリッド周波数変化率(df/dt)がそれぞれの周波数優先順位制限値を超えた場合は、前記有効電力(P)の設定値と、前記無効電力(Q)の設定値よりも低い無効電力とを好ましくは備えるか、又は、
前記グリッド電圧瞬時値(U)及び/又は前記グリッド電圧変化率(dU/dt)が電圧優先順位制限値を超えた場合は、前記無効電力(Q)の設定値と、前記有効電力(P)の設定値よりも低い有効電力とを好ましくは備えるか、又は、
前記周波数優先順位制限値及び前記電圧優先順位制限値の両方を超えた場合は、有効電力(P)及び無効電力(Q)を備え、その大きさは、前記有効電力(P)の設定値と前記無効電力(Q)の設定値が、皮相電力(S)が前記皮相電力制限値(SMax)を下回った最後の時間に設定された大きさである、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
光起電力生成器及びインバータを含むエネルギー生成システムを動作させる方法において、
前記インバータはAC電圧グリッドに接続しており、電力を前記AC電圧グリッドと交換し、交換された前記電力は、有効電力(P)及び無効電力(Q)を含み、前記方法は、
前記光起電力生成器が、最大DC電力を、又は、前記最大DC電力と比較して低減され
た所定のDC電力を出力する動作点(MPP)において、前記光起電力生成器を前記インバータにより動作させるステップと、
前記インバータにより、前記DC電力を変換し、それを有効電力(P)として前記AC電圧グリッドの中へと送り込むステップと、
前記AC電圧グリッドの瞬時グリッド電圧(U)を測定するステップと、
前記瞬時グリッド電圧(U)の、基準電圧(U)からの瞬時電圧偏差(dU)を決定するステップと、
前記瞬時電圧偏差(dU)に応じて、前記インバータと前記AC電圧グリッドとの間で交換される前記無効電力(Q)を設定するステップと、
前記AC電圧グリッドの瞬時グリッド周波数(f)を、特に前記インバータ内のPLLを用いて決定するステップと、
前記瞬時グリッド周波数(f)の、基準周波数(fNom)からの瞬時周波数偏差(df)を決定するステップと、
前記瞬時周波数偏差(df)が第1の周波数偏差制限値を超えた場合に、前記インバータによって前記AC電圧グリッドの中に送り込まれる前記有効電力(P)を、前記瞬時周波数偏差(df)に応じて低減させるステップと、を含み、
以下の更なるステップ、すなわち、
前記グリッド電圧(U)の時間的プロファイルから電圧変化率(dU/dt)を決定するステップと、
前記電圧変化率(dU/dt)に応じて、前記インバータと前記AC電圧グリッドとの間で交換される前記無効電力(Q)を設定するステップと、
前記グリッド周波数(f)の時間的プロファイルから周波数変化率(df/dt)を決定するステップと、
前記インバータによって前記AC電圧グリッドの中に送り込まれる前記有効電力(P)を、前記周波数変化率(df/dt)に応じて低減させるステップと、を含み、
前記瞬時周波数偏差(df)が第2の周波数偏差制限値を超えた場合に、又は、
送り込まれた前記有効電力(P)が、瞬時周波数偏差(df)に応じて、第1の時間においてゼロに低減され、その後の第2の時間における前記瞬時周波数偏差(df)が、前記第1の時間における前記周波数偏差(df)より大きい場合に、又は、
前記周波数変化率(df/dt)が周波数変化率制限値を超えた場合に、
前記インバータが前記AC電圧グリッドから有効電力(P)を引き込むように、前記インバータによって前記AC電圧グリッドの中に送り込まれる前記有効電力(P)をゼロ未満に低下させ、
そして、このようにして引き込まれた前記有効電力(P)を整流し、前記インバータを用いて、DC電力として前記光起電力生成器に送り戻す、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、
前記有効電力(P)は、前記瞬時周波数偏差(df)及び前記周波数変化率(df/dt)に応じて計算される有効電力の設定値(PRef)を基礎として指定され、
前記瞬時周波数偏差(df)及び前記周波数変化率(df/dt)に、メンバーシップ関数のメンバーシップ値が割り当てられ、前記メンバーシップ値にAND演算が実施され、前記有効電力の設定値(PRef)は、リンクされた前記メンバーシップ値の標準化された加重に基づいて決定される、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、
前記無効電力(Q)は、前記瞬時電圧偏差(dU)及び前記電圧変化率(dU/dt)に応じて計算される無効電力の設定値(QRef)を基礎として指定され、
前記瞬時電圧偏差(dU)及び前記電圧変化率(dU/dt)に、メンバーシップ関数のメンバーシップ値が割り当てられ、前記メンバーシップ値にAND演算が実施され、前記無効電力の設定値(QRef)は、リンクされた前記メンバーシップ値の標準化された加重に基づいて決定される、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
光起電力生成器を含むエネルギー生成システムのためのインバータにおいて、
前記インバータが請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項9】
請求項8に記載のインバータにおいて、
前記インバータは、AC側インバータブリッジ回路、DC側DC電圧コンバータ、及びDC電圧中間回路を備え、前記DC側DC電圧コンバータは、電力経路内のダイオードと、電力が前記光起電力生成器に送り戻された場合に前記ダイオードをバイパスするための手段とを備える、ことを特徴とするインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC電圧グリッド上のエネルギー生成システムの動作方法及びエネルギー生成システム用のインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー移行との関連において、コンバータベースのエネルギー生成システム、特にインバータを含む光起電力システムがAC電圧グリッドに接続されることが増加し、十分な慣性、したがってAC電圧グリッドの安定性を、これまで確実にしてきた同期生成器、及び対応するフライホイールマスを含む従来の発電所を置き換えている。その結果、局所的飽和が高い場合に、コンバータベースのエネルギー生成システムを用いてAC電圧グリッドの安定性を管理することは、従来の制御方法を使用したのでは困難である。このことは、重大な障害、特に重要なポイントでのグリッド切断に関連する障害が、大規模なグリッド故障につながることを意味する。たとえAC電圧グリッドがコンバータベースのエネルギー生成システムによって完全に飽和している場合であっても、従来の最小限の生成に依存することなく、グリッド安定性を確実にするために、AC電圧グリッドが従来の発電所から概ね技術的に独立しており、したがって再生可能エネルギーを高い割合で実装してAC電圧グリッド内の負荷に供給することを保証可能な、制御プロセス及びシステムソリューションが必要である。この場合、特に重要なのは短期間での、すなわち、例えば伝送グリッド内の大負荷ラインの突然の故障などの障害事象後、ゼロ~約30秒の時間範囲における過渡安定性である。
【0003】
電気AC電圧グリッドの安定性、特に周波数安定性は、AC電圧グリッドにおける生成と消費の間の均衡に依存する。生成電力と消費電力の間に不均衡が生じた場合、結果として、グリッド周波数は、特に、グリッド慣性、生成電力と消費電力の間の電力差の大きさ、及び電力差の変化率に応じて変化する。
【0004】
周波数安定性の観点から最も重要な障害の1つは、送電線が、例えば過負荷に起因して、2つのグリッドセクションの間で切断される、いわゆるシステム分断である。多くの小型の再生可能エネルギー生成システムが比較的広範囲にわたって建設されているが、高電力を有するエネルギー生成システム(例えば大型のPV、風力又は水力発電所)を消費者の近くに建設することは、様々な理由で常に可能とは限らない。太陽及び風がほとんどない時は、グリッドセクションの外側から足りない電力を引き込むことも多くの場合に必要であろう。したがって、切断の前に、グリッドセクション間で高水準の電力交換がある場合は、2つのグリッドセクション間の重要なラインの切断は特に重大である。その理由は、例えば生成器及び消費者が互いに空間的に離れており、切断によって分離されるからである。この場合、送電線を介して電力を引き込んでいたグリッドセクションは、障害が起こった後、利用可能な生成電力が不十分である。このことは、このグリッドセクションにおけるグリッド周波数が低下し始めることを意味し、一方で、送電線を介して電力を出力していたグリッドセクション内に過剰な生成電力が存在し、このことは、このグリッドセクション内でグリッド周波数が増加することを意味する。
【0005】
したがって、グリッドセクションにおける電力不均衡及び生成電力の急速な変化が、より頻繁に予想される傾向があり得る。特に、コンバータベースのエネルギー生成システムだけを高い割合で有するグリッドセクションにおいては、規範的に定められた既知の方法、特に外部から、特に状況に応じてグリッドオペレータによって集中方式で指定された電力低減だけでなく、及び/又は、周波数静態を用いた分散化された周波数依存の電力低減を用い、それにより、エネルギー生成システムが過周波数の場合に、P(f)特性曲線に従ってその電力を低減させるか、又は、例えば欧州特許出願公開第2759033A1号明細書から公知なようにAC電圧グリッドから電力を引き込む方法を用いて、システム分断の場合に突然生じ、強い周波数変動と急峻な周波数勾配を伴う、AC電圧グリッドにおける生成余剰を管理することはできない。エネルギー生成システムの即時運転停止は、原理的にはAC電圧グリッドを停電から保護することを手助けし得るが、これは他の不都合、例えば、エネルギー生成システムの運営者にとっての収益の損失、及びグリッド障害が是正された後にエネルギー生成システムを再開させた時に、結果的に生じる問題を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特にグリッド障害の場合に、AC電圧グリッドを安定化させることに最適に寄与することと、本発明による方法を実施するように構成されたエネルギー生成システムのためのインバータを提供することとが可能な、エネルギー生成システムを動作させる方法を指定するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
目的は、請求項1の特徴を有するエネルギー生成システムの動作方法、及び請求項9の特徴を有するエネルギー生成システム用のインバータによって達成される。好ましい実施形態が、従属請求項において規定される。
【0008】
光起電力生成器及びインバータを含むエネルギー生成システムを動作させる方法では、電力は、インバータとAC電圧グリッドとの間を転送され、転送された電力は、有効電力及び無効電力を含み、光起電力生成器は、第1の動作モードにおいて、インバータによって最大有効電力点にて動作される。本発明による方法は、第2の動作モードにおいて、有効電力がグリッド周波数瞬時値及びグリッド周波数変化率に応じて設定され、第2の動作モードにおいて、無効電力がグリッド電圧瞬時値及びグリッド電圧変化率に応じて設定される、ことを特徴とする。
【0009】
本発明による方法は、特に、電気グリッド内に電力余剰が存在する場合に、再生可能エネルギー生成システムが高い飽和を有することで、はるかに迅速に周波数安定化に寄与し、より大きな、より予測可能な負の制御電力によって、極めて大きなエネルギー貯蔵を有することなく、コンバータベースのインバータを含む電流制御式の光起電力システムを可能にする。周波数静態を使用する、従来技術で公知のP(f)抑制は、特にサブ秒範囲での過渡的な急速な周波数変化の場合に、特に慣性が小さいAC電圧グリッドを安定化させるには動作が遅すぎる。本発明は、AC電圧グリッドにおいて電力余剰が生じた場合に、AC電圧グリッド(周波数及び電圧の点で)を安定化させることに、より迅速且つより効果的に寄与するために、追加的情報、特にグリッド周波数変化率を考慮する制御方法を提供する。
【0010】
エネルギー生成システムの有効電力をグリッド周波数変化率に応じて設定することにより、エネルギー生成システムは、概ね遅延なく、大きな補正変数を有して、すなわち実質的に即座に、大きく急峻な、又は更には急激な周波数変化に応答することができる。方法が多数のインバータに適用される場合は、したがって、AC電圧グリッドでの大きな障害後に、大きな電力不均衡に効果的に対処するために、非常に短い時間内で十分に安価な制御エネルギーを結集することが可能である。
【0011】
本方法は、パワーエレクトロニクスインバータを含むエネルギー生成システムに、特に効果的に適用することができる。その理由は、これらインバータは、原理的には通信遅延が全く生じることなく、外的影響への特に速い応答時間によって特徴付けられるからである。しかし、原理的には、より大きいエネルギー生成システム内で多数のインバータを制御する制御デバイスもまた、本発明による方法を実施するには好適である。設定時間は、基本的にはこの場合、周波数測定の速度及び精度だけによって制限され、通常の設定時間を有するPLL、及びインバータによって送り込まれる電流の制御ダイナミクスのおかげで、1グリッド周期を下回る範囲にある。予測可能な技術的進歩により、市販のインバータにおいて増加しつつあるスイッチング及び制御周波数は、ダイナミクスの更なる改善に寄与し、エネルギー生成システムのための製造費用は、本発明による方法によって増加することはない。
【0012】
本発明は、低減された慣性及び/又は高いグリッドインピーダンスを有する弱いAC電圧グリッドにおいて障害事象が生じた場合のグリッド周波数及びグリッド電圧が、高い慣性及び/又は低いグリッドインピーダンスを有する従来のAC電圧グリッドにおけるよりも、互いに非常に強く結合されているという発見に基づいている。特に、低い慣性及び高いグリッドインピーダンスを有する弱いAC電圧グリッドでは、グリッド周波数に加えて、ローカルグリッド電圧もまた、生成器の有効電力の送り込みによって影響される(有効電力の送り込みによる電圧増加、有効電力の引き込みによる電圧降下)。したがって、グリッド電圧及び周波数変動を、異なる補正変数を有する別々の制御問題と考えることは十分ではない。グリッド電圧瞬時値及びグリッド電圧変化率に応じて無効電力を設定することにより、本発明によりグリッド電圧をサポートするおかげで、制御電力を動的に供給している間の過電圧又は不足電圧に起因してエネルギー生成システムがグリッドから切断されることがない状況が達成される。無効電力供給による従来の静的電圧の維持管理とは対照的に、エネルギー生成システムは、過渡的なグリッド電圧変動の際に、いわゆる障害ライドスルー動作モードに必ずしも入るわけではなく、むしろ、グリッド安定性の観点から、優先順位付けした有効電力及び無効電力の供給により最適な形で応答する。
【0013】
本方法の一実施形態では、第2の動作モードにおいて、有効電力はグリッド電圧瞬時値及び/又はグリッド電圧変化率に応じて追加的に設定されてもよく、及び/又は、無効電力はグリッド周波数瞬時値及び/又はグリッド周波数変化率に応じて追加的に設定されてもよい。
【0014】
本方法の更なる実施形態では、AC電圧グリッドの性質に応じて、特に、エネルギー生成システムが開始される前に確立されたか、又は第1の動作モードから第2の動作モードへと変化した時点で決定された、AC電圧グリッドの慣性及び/又はグリッドインピーダンスに応じて、有効電力の設定値及び無効電力の設定値により、皮相電力が、インバータに対して規定された皮相電力制限値を超える場合、有効電力の設定値と、無効電力の設定値よりも低い無効電力とが好ましくは設定されるか、又は、無効電力の設定値と、有効電力の設定値よりも低い有効電力とが好ましくは設定されるかが確立され得る、ということを基礎として、優先順位が規定され得る。ここで関連する性質の1つが、例えば、エネルギー生成システムが接続されるグリッドレベルによって指定される。その理由は、例えば、低電圧グリッド、特にローカルグリッドは、有効電力及び/又は無効電力の送り込みを通じてグリッド電圧及び/又はグリッド周波数に影響を与える能力に関しては、中間電圧グリッド、又は更には高電圧レベル上の伝送グリッドとも著しく異なる性質を有するからである。より具体的には、グリッドサポートに関連するこれらの性質は、エネルギー生成システムの観点から、慣性及び/又はグリッドインピーダンスによって記載されてもよく、慣性及び/又はグリッドインピーダンスは、エネルギー生成システムのパラメータ表示として指定されてもよく、又は、状況に応じて、エネルギー生成システム又はAC電圧グリッド内の他の装置で決定されてもよい。更には、慣性及び/又はグリッドインピーダンスの最新の決定においては、特に、エネルギー生成システムの比較的近くでシステム分断が生じた場合、エネルギー生成システムの観点からは、AC電圧グリッドの性質が障害事象に起因して変化し得る、という事実が考慮され得る。
【0015】
AC電圧グリッドのそのような性質を考慮することが優先順位付けにとって好都合であり得るが、送り込まれる有効電力及び無効電力の、グリッド周波数瞬時値及びグリッド周波数変化率に対する、又はグリッド電圧瞬時値及びグリッド電圧変化率に対する、実際の依存性には必要ないことに留意すべきである。本発明による方法は、特に、グリッド安定化に対する、エネルギー生成システムの、いわば自己適合的な寄与によって特徴付けられる。その理由は、AC電圧グリッドの性質は、特にグリッド周波数とグリッド電圧の変化率に反映されており、したがって、これらの変化率を考慮することが、既にAC電圧グリッドの性質を考慮することを含んでいるからである。
【0016】
本方法の代替的な一実施形態では、第2の動作モードにおいて、有効電力の設定値及び無効電力の設定値により、皮相電力が、インバータに対して規定された皮相電力制限値を超える場合、制限値に従って皮相電力が設定されてもよく、皮相電力は、グリッド周波数瞬時値及び/又はグリッド周波数変化率がそれぞれの周波数優先順位制限値を超えた場合は、有効電力の設定値と、無効電力の設定値よりも低い無効電力とを好ましくは備えるか、又は、グリッド電圧瞬時値及び/又はグリッド電圧変化率が電圧優先順位制限値を超えた場合は、無効電力の設定値と、有効電力の設定値よりも低い有効電力とを好ましくは備えるか、又は、周波数優先順位制限値及び電圧優先順位制限値の両方が超えた場合は、有効電力及び無効電力を備え、その大きさは、有効電力の設定値と無効電力の設定値が、皮相電力が皮相電力制限値を下回った最後の時間に設定された大きさである。具体的には、この目的のために、グリッド周波数制限値に対応する周波数優先順位制限値を指定することが可能であり、そのグリッド周波数制限値を超えて、又はその僅か下で、エネルギー生成システムは通常、グリッドから切断されなければならない。電圧優先順位制限値は電圧偏差制限値に対応してもよく、その電圧偏差制限値を超えて、又はその僅か下で、エネルギー生成システムは通常、過電圧又は不足電圧に起因してグリッドから切断されなければならない。特に、グリッド周波数の優勢な偏差が、好ましくは有効電力を低減させることによって相殺されることと、逆に、特に低電圧レベルにおいてローカルグリッドにて生じ得る、有効電力を低減させることにより生じるグリッド電圧に対するいかなる望ましくない過剰な影響も、電圧をサポートする、無効電力の提供を優先することによって回避されることとが、確実になり得る。
【0017】
インバータの構造的に制限された性能との関連において、すなわちエネルギー生成システムの制限された皮相電力によって、要求ベースの供給を、有効電力と無効電力との間で、現在のグリッド慣性に応じて、適合的に優先順位付けした結果、本発明によれば、無効電力の供給を優先して有効電力が低減される、又は逆に、有効電力の供給を優先して無効電力が低減される。
【0018】
光起電力生成器及びインバータを含むエネルギー生成システムを動作させる方法において、インバータはAC電圧グリッドに接続しており、電力をAC電圧グリッドと交換し、交換された電力は、有効電力及び無効電力を含み、光起電力生成器は、最大DC電力を、又は最大DC電力と比較して低減された所定DC電力を出力する動作点において、光起電力生成器をインバータにより動作させてもよい。インバータは、DC電力を変換し、それを有効電力としてAC電圧グリッドに供給する。加えて、AC電圧グリッドの瞬時グリッド電圧が測定され、瞬時グリッド電圧の、基準電圧からの瞬時電圧偏差が決定され、瞬時電圧偏差に応じて、インバータとAC電圧グリッドとの間で交換される無効電力が設定される。更には、AC電圧グリッドの瞬時グリッド周波数が、特にインバータ内のPLLを用いて決定され、基準周波数からの、瞬時グリッド周波数の瞬時周波数偏差が決定され、瞬時周波数偏差が第1の周波数偏差制限値を超えた場合に、インバータによってAC電圧グリッドの中に送り込まれる有効電力が、瞬時周波数偏差に応じて低減される。第1の周波数偏差制限値は、この場合もゼロであってよく、このことは、送り込まれる有効電力は、瞬時グリッド周波数が基準周波数から逸脱すると直ぐに瞬時周波数偏差に応じて低下するか、又はAC電圧グリッドの名目周波数の近傍で不感帯を規定することを意味する。不感帯内のグリッド周波数では、瞬時周波数偏差に応じた有効電力の低減は指定されない。本発明による方法は、グリッド電圧の時間的プロファイルから電圧変化率が決定され、インバータとAC電圧グリッドとの間で交換される無効電力は、電圧変化率に応じて設定されるという点を特徴とする。加えて、グリッド周波数の時間的プロファイルから周波数変化率が決定され、インバータによってAC電圧グリッドに送り込まれる有効電力は、周波数変化率に応じて低減される。
【0019】
本発明による方法により、有効電力及び無効電力を、設定可能な時定数に応じて、周波数変化又は電圧変化とは反対方向に連続的に補正することが可能であり、このことは、本方法が、AC電圧グリッドの慣性を実質的にシミュレートし、したがってAC電圧グリッドに対して連続的に安定化させる効果をもたらすことを意味する。
【0020】
本方法の一実施形態では、インバータによってAC電圧グリッドに送り込まれる有効電力はゼロ未満の値に低減される場合がある。それは、インバータがAC電圧グリッドから有効電力を引き込むことを意味する。これは、特に、瞬時周波数偏差が第2の周波数偏差制限値を超え、送り込まれた有効電力が、瞬時周波数偏差に応じて、第1の時間においてゼロに低減され、その後の第2の時間における瞬時周波数偏差が、第1の時間における周波数偏差より大きい場合に、又は、周波数変化率が周波数変化率制限値を超えた場合に、生じ得る。これらのケースのうちの1つにおいて、インバータによってAC電圧グリッドから引き込まれた有効電力は、インバータにおいて整流され、インバータによってDC電力として光起電力生成器の中へと送り戻される。
【0021】
光起電力生成器を含む従来のエネルギー生成システムでは、インバータの回生動作が一般に望ましくなく、概ね回避されるのに対し、一方、本発明による方法は、負荷としての光起電力生成器の電力吸収性能の近傍で制御電力を供給するように、光起電力生成器を含むエネルギー生成システムの動作範囲を拡張させる。これにより、たとえ太陽放射がほとんどないか又は全くなくても、例えば夜間に、そして更に特に夜間における無効電力の供給と並行して、特に、より大きく、確実に予測可能な負の制御電力がもたらされる。AC電圧グリッド内にあって、本発明による方法を用いて動作される各エネルギー生成システムは、したがって常に、安全な形で、グリッド安定化のために、少なくとも可能な回生電力を供給し、それに応じて、光起電力生成器からの利用可能なDC電力から生じる瞬時有効電力の送り込みの場合には更に供給する。更には、特定の時間に抑制のために利用可能な、絶対的な負の制御電力の予測が著しく改善される。その理由は、放射に関連するDC電力変動に関係なく、可能な回生電力が利用可能だからである。したがって本発明は、特にAC電圧グリッドにおける非常に高い及び/又は突然発生する電力余剰の場合に、いかなる極めて大きなエネルギー貯蔵をも負荷として有することなく、エネルギー生成システムの光起電力生成器を用いて、従来技術において以前には考慮されなかった動的な周波数安定化のオプションを使用することを可能にする。
【0022】
従来の周波数静態との関連において、光起電力生成器を含むエネルギー生成システムの送り込み電力を低減させるために、インバータの入力電圧に対応する、光起電力生成器における電圧は、光起電力生成器のPV特性曲線に沿って、最大電力点(MPP)から生成器の無負荷の方向に増加されるという点において、光起電力生成器のDC電力は通常は低減される。本発明による方法の1つの特定の実現形態では、PV生成器において回生電流を実現するために、特に単純な形で、PV特性曲線に沿って、光起電力生成器における電圧を更に増加させることができる。開回路電圧を超える領域のPV特性曲線の傾斜はこの場合、非常に大きいので、電圧の変化がたとえ小さくても、PV生成器の大きな電流供給につながる。このことは特に有利である。その理由は、高速の過渡プロセスが生じた場合に、グリッド安定化のための有効電力の設定を高速で達成することができるからである。この場合、光起電力生成器における増加した電圧ゆえに、MPP電力に対応する大きさで負の電力を光起電力生成器へと送り戻すために、MPPの電流よりも大きさが小さい電流が必要である。
【0023】
本方法の一実施形態では、有効電力は、瞬時周波数偏差及び周波数変化率に応じて計算される有効電力の設定値を基礎として指定されてもよい。この場合、瞬時周波数偏差及び周波数変化率に、メンバーシップ関数のメンバーシップ値が割り当てられてもよく、メンバーシップ値にAND演算が実施されてもよく、有効電力の設定値は、リンクされたメンバーシップ値の標準化された加重に基づいて決定されてもよい。これは、ファジィ論理という意味におけるif-then規則を基礎として、設定値の特に適切な選択に対応し、これは、多数の生成器及び消費者を含むAC電圧グリッドとして、そのように複雑な非線形の時変系に特に好適である。無効電力は更に、瞬時電圧偏差及び電圧変化率に応じて計算される無効電力の設定値を基礎として指定されてもよく、瞬時電圧偏差及び電圧変化率に、メンバーシップ関数のメンバーシップ値が割り当てられ、メンバーシップ値にAND演算が実施され、無効電力の設定値は、リンクされたメンバーシップ値の標準化された加重に基づいて決定される。
【0024】
光起電力生成器を含むエネルギー生成システムのための本発明によるインバータは、インバータが、記載されている方法を実行するように構成されていることを特徴とする。インバータは、AC側インバータブリッジ回路、DC側DC電圧コンバータ、及びDC電圧中間回路を備えてもよく、DC側DC電圧コンバータは、電力経路内のダイオードと、電力が光起電力生成器へと送り戻された場合にダイオードをバイパスするための手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面に示す例示的実施形態を参照して、本発明を以下に更に詳細に説明し記載する。
【0026】
図1図1は、エネルギー生成システムの有効電力Pの、AC電圧グリッドのグリッド周波数fへの依存性を示す。
図2図2は、エネルギー生成システムの無効電力Qの、AC電圧グリッドのグリッド電圧への依存性を示す。
図3図3は、光起電力生成器の既知のPV特性曲線を示す。
図4図4は、図1と比較して修正された、有効電力Pの設定値の、AC電圧グリッドのグリッド周波数fへの依存性を示す。
図5図5は、送り込まれる有効電力P及び送り込まれる無効電力Qに対する設定点値を決定するための制御機能のブロック図を示す。
図6図6は、図5と比較して修正された制御機能のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、エネルギー生成システムによってAC電圧グリッドの中へと送り込まれる有効電力Pの設定値の、AC電圧グリッドのグリッド周波数fへの依存性を示す。グリッド周波数fは3つの範囲I、II、及びIIIに分割されてもよい。範囲Iは、AC電圧グリッドの概ね障害のない正常動作を想定し、範囲IIは、エネルギー生成システムによって相殺される必要がある過周波数(overfrequency)を含む。範囲IIIでは、グリッド周波数は非常に高いので、エネルギー生成システムは通常、AC電圧グリッドから切断されると考えられる。
【0028】
実線として示す周波数静態10は、グリッド周波数fに対する、有効電力Pの通常の依存性に対応し、それを基礎として、分散されたエネルギー生成システムが、例えば50Hzの名目周波数にてAC電圧グリッドに送り込まれる電力Pを設定する。この目的のために、AC電圧グリッドの電圧は、エネルギー生成システムの位置で測定され、AC電圧グリッドのグリッド周波数fは、例えば位相ロックループ(PLL)を備え得るグリッド同期化ユニットによって、測定された電圧から決定され、モニタされる。グリッド周波数fが、周波数範囲I内にある限り、すなわち、この例では50.2Hzを下回る限り(且つ、50Hzをはるかに下回る、図示していない下限値を超えて)、エネルギー生成システムは、いかなる周波数依存の制限も受けず、したがって、生成器、特にエネルギー生成システムの、例えば、光起電力生成器の最大可能電力PMPPに、又はそれを下回る電力に対応する有効電力Pを、例えば、制御リザーブによって、又は、他の外部境界条件によって、送り込むことが可能である。
【0029】
グリッド周波数fが周波数範囲IIにある場合、すなわち、この例では50.2Hzと51.5Hzとの間にある場合、周波数静態10は、電力Pと比較した、送り込まれる有効電力Pの周波数依存の低減を指定する。周波数静態10は、周波数範囲IIにおいて、例えば1Hzあたり0.4×Pの傾斜を有する。加えて、このようにして低減された有効電力Pが、例えば、約2~5秒の最大設定時間内で設定されなければならないという必要条件があってもよい。グリッド周波数fが周波数範囲IIIにある場合、すなわち、この例では51.5Hzを超える場合、エネルギー生成システムは、周波数静態10に応じて、AC電圧グリッドから切断されなければならない、すなわち、有効電力Pをゼロに低減させるという必要条件があってもよい。
【0030】
送り込まれた有効電力Pを、周波数静態10に応じて低減させることにより、何らかの、上位コントローラからの外部コマンド、又はグリッドオペレータからの手動若しくは自動の抑制命令が実施される前にさえ、エネルギー生成システムの周波数依存の応答がもたらされる。しかし、周波数静態10では周波数の瞬時値だけが考慮され、必要とされる設定時間は比較的長い。このことは、エネルギー生成システムは、特に周波数範囲IIにおいて、周波数変化に対して比較的ゆっくりと応答することを意味する。
【0031】
したがって、周波数静態10に加えて、抑制範囲12を提供することができ、抑制範囲は下側抑制制限11を有し、図1の例では、例えば、周波数範囲IIを通過して、周波数範囲Iの中に部分的に延び、そこで直線的に低下する。周波数変化率df/dtに対する、有効電力Pの追加の依存性を基礎として、周波数静態10単独によって供給される電力よりも大幅に低減された有効電力Pを送り込むためのエネルギー生成システムが提供されてもよい。したがって、静的グリッド周波数fの場合、エネルギー生成システムは周波数静態10に応じて有効電力Pを供給し、これに対して、グリッド周波数fが動的に変化する場合、グリッド周波数fは周波数範囲IIの方向に(特に迅速に及び/又は突然に)移動して、その中に入り、周波数範囲IIにおいて、静的周波数静態10単独によって指定されるよりも大幅な有効電力Pの低減を指定することを、周波数変化率df/dtが示す場合は、エネルギー生成システムは、たとえ周波数範囲Iにおける標準準拠のグリッド周波数fにおいても、周波数変化率df/dtに応じて、抑制範囲12内にある有効電力Pを送り込み、有効電力Pの予防的な低減をもたらす。下側の抑制制限11、したがって抑制範囲12はまた、更に延びるか、又は周波数範囲I及びIIIまで延びることはなく、異なる形状、例えば正方形又は段階状プロファイルを有してもよいことは言うまでもない。抑制範囲は、原理的には周波数静態10を超える範囲へと更に延びてもよい。例えば、一方では、周波数fが周波数範囲IIにあり、したがって過周波数が存在し、これを、少なくとも周波数静態10に従って低減される有効電力によって相殺することができ、しかし他方では、負の符号及び特に大きな大きさを有する周波数変化率df/dtが存在して、周波数fが急速に低下していることを示し、そのことが、近い将来に不足周波数が生じる可能性があることを意味し、それが、現在の過周波数を基礎として周波数静態10によって指定されるものよりも(予防的な)低減量が少ない有効電力Pによって相殺される場合には、有効電力Pを、周波数静態10の上にあるこの範囲内に設定することが特に好都合な場合がある。
【0032】
図2は、エネルギー生成システムによってAC電圧グリッドの中へと送り込まれる無効電力Qの設定値の、AC電圧グリッドのグリッド電圧Uへの依存性を示す。グリッド電圧Uは、3つの範囲I、II、及びIIIに分割されてもよく、範囲Iでは、AC電圧グリッドの概ね障害のない正常動作が想定され、一方で範囲IIでは不足電圧があり、範囲IIIでは過電圧があり、これは、エネルギー生成システムによって、容量性又は誘導性の無効電力の供給を介して相殺される必要がある。
【0033】
実線として表す無効電力静態20は、グリッド電圧Uに対する、無効電力Qの通常の依存性に対応し、それを基礎として、分散されたエネルギー生成システムが、名目電圧Uを有するAC電圧グリッドに無効電力Qを供給する。この目的のために、AC電圧グリッドの電圧の時間的プロファイルは、エネルギー生成システムの位置で測定され、そして、測定された時間的プロファイルから、グリッド電圧の明白な振幅が決定され、モニタされる。グリッド電圧Uが電圧範囲Iにある限り、すなわち、概ね標準に準拠したグリッド電圧が存在する限り、エネルギー生成システムから無効電力を送り込む必要はない。
【0034】
グリッド電圧Uが電圧範囲IIにある場合、すなわち、この例では制限電圧UI-IIを下回る場合、無効電力静態20は、電圧依存の振幅を有する容量性の無効電力Qの送り込みを指定する。グリッド電圧Uが電圧範囲IIIにある場合、すなわち、この例では制限電圧UI-IIIを超える場合、無効電力静態20は、電圧依存の振幅を有する誘導性の無効電力Qの送り込みを指定する。この場合、電圧範囲II及びIIIの無効電力静態20はそれぞれ、グリッドオペレータによって特に指定される傾斜を有する直線状プロファイルを有してもよい。このようにして要請された無効電力Qが、最大設定時間内で設定されなければならないという必要条件があってもよい。
【0035】
このようにして規定された無効電力Qを、無効電力静態20に従って提供することにより、何らかの、上位コントローラからの外部コマンド、又はグリッドオペレータからの手動若しくは自動の無効電力要求が実施される前にさえ、エネルギー生成システムの電圧依存の応答がもたらされる。しかし、無効電力静態20では、グリッド電圧の瞬時値だけが考慮され、必要とされる設定時間は比較的長い。このことは、エネルギー生成システムは、特に電圧範囲II及びIIIにおいて、電圧変化に対して比較的ゆっくりと応答することを意味する。
【0036】
したがって、無効電力静態20に加えて、追加の動的なサポート範囲22が提供されてもよく、これは、無効電力静態20と、追加の下側又は上側の無効電力制限21とによって規定され、電圧範囲Iを通り、部分的に電圧範囲II及びIIIまで延びる。電圧変化率dU/dtに対する、無効電力Qの追加の依存性を基礎として、無効電力静態20単独によって供給される電力よりも大きい大きさを有する無効電力Qを供給するためのエネルギー生成システムが提供されてもよい。したがって、エネルギー生成システムは、静的グリッド電圧Uの場合は、無効電力静態20に従って無効電力Qを設定し、これに対して、グリッド電圧Uが動的に変化する場合は、グリッド電圧Uが移動して電圧範囲II又はIIIのうちの1つに入り、電圧範囲II及びIIIにおいて、静的無効電力静態単独によって指定されるものよりも大きな大きさを有する無効電力Qを指定することを、電圧変化率dU/dtが示す場合は、エネルギー生成システムは、電圧変化率dU/dtに応じてサポート範囲22内にある無効電力Qを提供し、電圧範囲I内の標準準拠の電圧Uの場合には、既に無効電力Qの予防的な提供に至っている。グリッド電圧Uが依然として電圧範囲I内にあり、且つUを超えるか又は下回るが、グリッド電圧Uが動的に変化しており電圧範囲II又はIIIへと移動していることを、電圧変化率dU/dtから知ることが可能であれば、容量性又は誘導性の無効電力Qが既に供給されているように、下側又は上側の無効電力制限21、したがってサポート範囲22は、電圧範囲Iにおいて重なり合っていてもよいことは言うまでもない。サポート範囲22は、異なる形状、例えば正方形又は段階状プロファイルも更に有してもよい。
【0037】
図3は、様々な放射を伴う、光起電力生成器の、それ自体既知のPV特性曲線31、32を、生成器の負荷特性で示す。この場合、光起電力生成器に電圧Uが印加された時に、光起電力生成器を通って流れる電流Iが示される。光起電力生成器へと入射する太陽放射の正常動作中は、例えば、光起電力生成器が接続されるインバータを経由して、正の電圧Uが光起電力生成器に印加され、PV特性曲線31に従って電流Iが確立されるので、光起電力生成器は第1象限において、純粋に生成器モードで動作する。光起電力生成器から最大限可能な電力Pmaxを引き込むために、電圧Uが最大電力点(MPP)における電圧Upmaxに対応し、光起電力生成器が電流Ipmaxを分配するように、インバータはPV特性曲線31に沿って電圧Uを設定してもよい。太陽放射がない場合は、光起電力生成器はPV特性曲線32に応じて振る舞い、それにより、第1象限での電流Iはゼロ又はゼロ未満であり、その結果、光起電力生成器はいかなる電力も生成できない。開回路電圧よりも大きい領域のPV特性曲線31の傾斜はこの場合、非常に大きいので、電圧の変化がたとえ小さくても、PV生成器の非常に大きな電流供給につながる。
【0038】
開回路電圧よりも大きい電圧Uが光起電力生成器に印加され、照射状態における開回路電圧が、PV特性曲線31とU軸との交点に対応する場合、その時、電流Iの方向は逆転し、光起電力生成器は電力を消費する。すなわち、光起電力生成器は消費者として動作し、したがって、図3によると第4象限にある。この場合、印加されることが可能な電圧Uは、例えば、光起電力生成器の熱容量によって制限される最大電力を光起電力生成器が吸収できるという点で制限される。加えて、最大電圧Uは、エネルギー生成システムの構造的条件によって、特に更に、インバータの入力における最大電圧U又は最大電流の大きさIによって制限されてもよい。
【0039】
非照射状態においてさえ、十分に高い電圧Uが光起電力生成器に印加され、負の電流Iが流れるならば、光起電力生成器はPV特性曲線32に応じて電力を消費することが可能である。
【0040】
図4は、図1と比較して修正された、有効電力Pの設定値の、AC電圧グリッドのグリッド周波数fへの依存性を示す。グリッド周波数fは、4つの範囲I、II、IIa、及びIIIに分割されてもよく、図1と同様に、範囲Iでは、名目周波数fNomの範囲内にあるグリッド周波数fにてAC電圧グリッドの概ね障害のない正常動作が想定され、範囲IIでは、過周波数が存在し、エネルギー生成システムによって相殺される必要がある。周波数静態40に従って範囲IIに隣接する範囲IIaでは、図1に応じて提供される切断の代わりに、光起電力生成器の中への送り込みが提供されてもよく、それにより、過周波数の原因としての、AC電圧グリッドのいかなる電力余剰をも、切断よりも、より効果的に相殺することができる。その理由は、AC電圧グリッドから有効電力が引き込まれ、光起電力生成器へと送り戻されるからである。範囲IIaにおける周波数静態40のプロファイルは、図4に示す形状以外、例えば正方形又は段階状プロファイルを有してもよいことは言うまでもない。範囲IIIでは、グリッド周波数は再び高いので、エネルギー生成システムはAC電圧グリッドから切断されなければならない。ここでは、AC電圧グリッドの故障が想定され得る。理想的には、全ての生成器及び消費者は、制御された方法でAC電圧グリッドを再開するために、まず第一にAC電圧グリッドから切断されなければならない。
【0041】
周波数静態40に加えて、抑制範囲42を提供することができ、抑制範囲は下側制限41を有し、図4の例では、例えば、周波数範囲IIを通って、周波数範囲I、及びIIaの中に部分的に延び、そこで直線的に低下する。周波数変化率df/dtに対する、有効電力Pの追加の依存性を基礎として、グリッド周波数fが、周波数範囲IIの方向に(迅速に及び/又は突然に)移動して、その中に入り、周波数範囲IIにおいて、静的周波数静態10単独によって指定される電力よりも大幅な有効電力Pの低減を指定することを、周波数変化率df/dtが示す場合は、周波数変化率df/dtに応じて抑制範囲41にあり、既に、周波数範囲Iにおける標準準拠のグリッド周波数fにて、予防的な有効電力Pの低減につながる有効電力Pを送り込むためのエネルギー生成システムが提供されてもよい。加えて、抑制範囲42は負の有効電力Pの範囲へと延び、そこでは、エネルギー生成システムはAC電圧グリッドから有効電力を引き込み、それを光起電力生成器へと送り戻す。周波数静態40に従う静的グリッド周波数fの場合、エネルギー生成システムはしたがって、範囲IIにおいて低減された有効電力Pを供給し、範囲IIaにおいてAC電圧グリッドから追加的な有効電力を引き込んでもよい。グリッド周波数fが動的に変化する場合は、エネルギー生成システムは、有効電力Pを送り込むか、又はAC電圧グリッドから有効電力Pを引き込んでもよく、抑制範囲42における有効電力Pの大きさ及び符号は、一方ではグリッド周波数fによって、他方では周波数変化率df/dtへの依存性によって指定されてもよい。下側制限41、したがって抑制範囲42はまた、更に延びるか、又は周波数範囲I及びIIaまで延びることはなく、異なる形状、例えば正方形又は段階状プロファイルを有してもよいことは言うまでもない。
【0042】
現在のガイドラインに沿って、規定された周波数制限fI-IIを超過した場合、エネルギー生成システムの有効電力の抑制はしたがって、例えば標準によって指定される勾配ΔP/Δfで開始される。更なる規定された周波数制限fII-IIaを超えた場合、又はエネルギー生成システムの有効電力Pが完全に抑制されてP=0Wになった後、グリッド周波数fが更に増加した場合、同じ勾配で又はより急な勾配ΔP/Δfで有効電力Pを更に低減させてもよく、必要ならば、有効電力を光起電力生成器へと送り戻すことにより負の値が設定されてもよい。AC電圧グリッドからの有効電力Pのこの引き込みは、AC電圧グリッドにおいて電力の均衡が回復されるまで起こり得、グリッド周波数fは、許容可能な公差内の値、特に範囲I内の値を想定する。グリッド周波数fが、更なる規定された周波数制限fIIa-IIIを超え、及び/又は、AC電圧グリッドにおいて利用可能な制御電力によって電力を均衡させ且つグリッド周波数fを低減させて範囲Iに入らない場合は、システムはグリッドから切断されてもよい。
【0043】
図5は、送り込まれる有効電力P又は送り込まれる無効電力Qに対する設定点値Psetpoint、Qsetpointを決定する役割を担う制御されるシステム50を示す。この制御されるシステム50は、エネルギー生成システムのインバータの、それ自体既知のカスケード接続された制御システムの一部であってもよく、制御システムは、例えば、内側AC電流制御ループ及び外側DC電圧制御ループを備え、それにより、インバータの入力に、したがって光起電力生成器に存在するDC電圧は、インバータによってAC電圧グリッドの中へと送り込まれるAC有効電流によって制御される。負の設定点値Psetpointを実装するために、すなわち、有効電力を光起電力生成器へと送り戻し、それに応じてPV生成器の動作点を設定するために、負の有効電流がまず第一に負の有効電力の設定点値から計算されてもよく、その負の有効電流は、インバータのAC制御システムで直接調整されてもよい。負の有効電流はインバータの中間回路内で送り戻し電流を引き起こし、それにより中間回路内のDC電圧は増加する。その結果、インバータの中間回路において、光起電力生成器へと流れ出る電力と、AC電圧グリッドから引き込まれる電力との間に均衡が確立されるまで、インバータの入力電圧、したがって光起電力生成器の電圧もまた、インバータの入力側DC-DC変換器を介して直接的に又は間接的に増加する。その時、光起電力生成器は、その現在のPV特性曲線31、32に従って電力を消費する。この制御プロセスのダイナミクスは、グリッド周期の約4分の1の速い立ち上がり時間、及びグリッド周期の数倍の安定化時間によって達成され得る。
【0044】
本発明による、負荷としてのPV生成器の動作は、インバータのためのいかなる従来の制御方法にも原理的には組み込まれてもよく、AC電圧グリッド上のアクチュエータとして、エネルギー生成システムの利用可能な制御の振幅を増加させる。本発明による方法を実現するための可能な制御機能50の1つを図5に示す。AC電圧測定51を使用して、AC電圧グリッドのグリッド電圧Uの時間的プロファイルを測定し、そこから、例えば周波数及び振幅決定ユニット52(例えばPLL)を用いて、グリッド周波数f及びグリッド電圧
が決定され、連続的にモニタされる。それらから、名目周波数fNomから周波数偏差Δf、周波数変化率Δf/Δt、名目電圧
からの電圧偏差
及び電圧変化率
が計算される。計算ブロック53では、有効電力の変化ΔPに対する(暫定的な)設定点値が、特に図1及び図4に示す、グリッド周波数fに対する有効電力Pの例示的な依存性のうちの1つを基礎として、周波数偏差Δf及び周波数変化率Δf/Δtから計算される。無効電力の変化ΔQに対する(暫定的な)設定点値は、計算ブロック53において、特に、図2に示すグリッド電圧
及び電圧変化率
に対する無効電力Qの例示的な依存性を基礎として、電圧変化率
の電圧偏差
から計算される。(暫定的な)設定点値ΔP、
は、最大電力PMPP又は指定された有効電力PExternalの現在値、及び瞬時無効電力QSPTN又は指定された無効電力QExternalの現在値に加算される。制限ブロック54では、有効電力Pに設定される(暫定的な)値と、無効電力Qとを一緒にした結果、インバータの予め定められた皮相電力制限値SMaxよりも高い皮相電力Sになり得る場合は、場合により有効電力Pと無効電力Qとの間の優先順位付けが実施される。その結果、図5による制御機能50は、有効電力Pの設定値、及び無効電力Qの設定値に対する設定点値PRef、QRef、を伝達する。これらは、インバータの更なる制御及び調整の一部として、それ自体既知の更なる方法ステップに実装され、その結果、対応する有効電力PRef及び対応する無効電力QRefが、インバータとAC電圧グリッドとの間で交換される。
【0045】
図6は、図5と比較して修正された制御されるシステム60を示し、有効電力変化ΔPに対する、及び無効電力変化ΔQに対する設定点値、したがって更に計算ブロック63における対応する設定点値PRef、QRefが、それぞれの場合において、4つの変数の全て、すなわち、周波数偏差Δf、周波数変化率Δf/Δt、電圧偏差
及び電圧変化率
を考慮して決定される。この目的のために、アルゴリズムは計算ブロック63内に格納され、このアルゴリズムは、一方で、特に図1又は図4に従う、グリッド周波数fに対する有効電力Pの依存性、及び、特に図3に従う、グリッド電圧Uに対する無効電力Qの依存性を適切に考慮し、他方で、無効電力Qに対するグリッド周波数fの任意の相互依存性、及び有効電力Pに対するグリッド電圧
の依存性を適切に考慮する。
【0046】
無効電力及び有効電力に対して設定される値は、IF-THENルールを使用し、そしてファジィ論理を用いて人間行動に依存して、図5の計算ブロック53による別個のルールベースによって、又は、図6の計算ブロック63による共通のルールベースによって計算されてもよい。大まかな要約として、例えば、有効電力Pの設定値を決定することは、グリッド状態を基準にしてグリッド安定性を維持するために好都合であるが、そのためには、まず第一に、グリッド周波数偏差Δfが正常範囲にあり、且つ周波数変化率Δf/Δtが正常範囲にあるかどうかが決定されてもよく、瞬時に利用可能なMPP電力、すなわちPMPP、又はより小さな有効電力Pexternalが送り込まれてもよく、後者は、何らかの理由で(温度制限、インバータ電流制限、外部仕様など)、インバータの性能を低下させることが必要な場合に該当する。しかし、グリッド周波数f又は周波数変化率Δf/Δtがそれぞれの制限値より高い場合は、有効電力Pは、図1又は図4に応じてΔPだけ低減されてもよく、可能な限り多くの有効電力PがAC電圧グリッドから引き込まれ、負荷としての光起電力生成器の中に送り戻されてもよい。この場合、エネルギー生成システムは、AC電圧グリッドから切断されない。したがって、特に、グリッド状態を基礎としてグリッド安定性を維持するために好都合な無効電力Qの設定値を決定するために、まず第一に、グリッド電圧
及び電圧変化率
が正常範囲にあるかどうかが決定されてもよく、その時、無効電力Qをグリッドに供給する必要はなく、又は、(小さい)補償無効電力Qspnt又はQexternalが提供されてもよく、後者は、何らかの理由で(ACフィルタ無効電力消費など)これが必要な場合に該当する。しかし、グリッド電圧の偏差
又は電圧変化率
が、それぞれの制限値よりも大きい場合は、図2に応じて、相殺する無効電力Qが設定されてもよい。
【0047】
有効電力Pの設定値及び無効電力Qの設定値を具体的に計算するために、いわゆるメンバーシップ関数が使用されてもよく、そうすることにより、変数の所与の値が、いくつかの可能な状態のうちの1つに属する程度を規定することができる。例として、メンバーシップ関数は、3つの状態「正常動作」、「抑制」、及び「グリッド切断」を含み、グリッド周波数fの所与の値が、前述の3つの状態のうちのどれに属するかという程度を指定する、可変のグリッド周波数fに対して規定されてもよい。メンバーシップ値が1であって名目周波数fNomに近いグリッド周波数fは、この場合は特に、「正常動作」状態に割り当てられてもよく、これに対して、メンバーシップ値がゼロ~1であって50.2Hz又はfI-IIの第1の制限値を超える周波数は、「正常動作」状態に割り当てられ、ゼロ~1の補完的なメンバーシップ値は「抑制」状態に割り当てられる。その時、51.5Hz又はfIIa-IIIの第2の制限値を超える周波数fは、メンバーシップ値1を有して、「グリッド切断」状態に割り当てられてもよい。そのようなメンバーシップ関数は、特に、グリッド周波数fと抑制又は切断との間、周波数変化率Δf/Δtと抑制又は切断との間、有効電力Pと動作モード(正常動作/抑制)との間、グリッド電圧
と無効電力送り込みQ(無励起/不足励起/過励起)の間、電圧変化率ΔU/ΔUと無効電力Q(無励起/不足励起/過励起)との間、及び、無効電力Qと動作モード(送り込みなし/容量性送り込み/誘導性送り込み)との間、のそれぞれの関係に対して使用されてもよい。全体として、これらのメンバーシップ関数は、多次元特性要因図を規定してもよい。
【0048】
次に、有効電力Pの設定値及び無効電力Qの設定値に関する具体的な計算の1つは、特に次の工程を含んでもよい。AC電圧測定51を基礎として、グリッド周波数f及びグリッド電圧
の振幅が、周波数及び振幅決定ユニット52(例えばPLL)を介して決定されてもよい。それぞれの名目値からの偏差Δf、
及び微分による周波数変化率及び電圧変化率Δf/Δt、
は、グリッド周波数f及びグリッド電圧
から決定され、連続的にモニタされる。その時、Δf、Δf/Δt、
及び
の決定された値について、メンバーシップ関数のメンバーシップ値が、いわゆるファジィ化と関連させて決定されてもよい。次いで、いわゆる合成(aggregation)及び含意(implication)と関連させて、決定されたメンバーシップ値にAND演算を実施してもよい。AND演算の結果を、いわゆる蓄積及び非ファジィ化と関連させて使用して、対応する標準化された加重公式を使用して、有効電力Pの設定値及び無効電力Qの設定値を計算してもよい。
【0049】
加えて、特に、エネルギー生成システム又はインバータが、結果として得られる対応する皮相電力Sを供給することが技術的にできないために、有効電力Pの設定値と無効電力Qの設定値の決定された組合せが、実際には設定できない場合に、有効電力Pの設定値と無効電力Qの設定値との間で優先順位付けを実施することが可能である。この場合、グリッド状態の1つのパラメータを安定化させるために行われる供給が、グリッド状態の他のパラメータの不安定化につながってはならないことが、追加的に考慮されてもよい。例えば、弱いグリッドにおける有効電力の低減が、グリッド電圧
に、それが制限値を下回って低下するような形で影響を及ぼすような、いかなる電圧変化も引き起こしてはならない。
【0050】
グリッド周波数瞬時値f、及び周波数変化率Δf/Δtの両方を考慮することに基づいて、本方法は、過周波数の場合に、有効電力の無段の安定した設定、及びエネルギー生成システムの急速な応答を可能にする。大きな障害の後、エネルギー生成システムはこの場合、グリッド周波数f及び周波数変化率Δf/Δtの制御偏差が正常値に戻るまで抑制されたままであるか、又は負荷動作状態のままである。有効電力Pは、グリッドセクション内の他のより遅い生成器の抑制ダイナミクスによって自動的に回復されてもよい。障害が是正された後、エネルギー生成システムは、この方法を使用して、放射依存性を有するMPP電力を再び送り込むことができる。過周波数が定常状態に維持される場合、進行中の抑制があってもよいが、それは電圧生成するエネルギー生成システムによってゆっくりと再補正されることが多くの場合に可能である。しかし、持続的な制御偏差は、完全にそれらを補正するためには、蓄積されないことが好ましい。その理由は、記載される方法を使用して動作する単一のエネルギー生成システムがこれを実行することはできないからであり、このことは、個々の生成システムの名目電力定格が、AC電圧グリッドにおける生成電力の合計よりもはるかに小さい場合に特に該当する。
【0051】
エネルギー生成システム、又はエネルギー生成システムのインバータに課される技術的な必要条件に関して、特に、上流のDC-DC変換器を有する二段階インバータが、ある条件下では、DC電流生成器とインバータブリッジ回路との間の電流経路内にダイオードを有してもよく、これらダイオードは生成器への送り戻しを遮断することが可能であることに留意すべきである。このようなインバータは、例えば、特にバイパススイッチを備えてもよい、ダイオード用のバイパスオプションの形で、僅かな修正を必要とする。回生動作のために、そのようなバイパススイッチは、エネルギー生成システムが有効電力を消費し始める直前に閉じられてもよい。
【0052】
本発明は、光起電力生成器を含むが、周波数安定化の目的のための、負荷としての極めて大きな電気エネルギー貯蔵を持たない、電流制御式のエネルギー生成システムを動作させる可能性について説明する。それにより、コンバータベースのフィーダによって、グリッド上のエネルギー生成システムの制御範囲を従来技術と比較して拡張し、高い飽和を有して、AC電圧グリッドのグリッド安定化に、高ダイナミクスを伴って寄与することが可能になる。
【0053】
本発明は、光起電力生成器を含むエネルギー生成システムのPQ制御範囲を2つから4つの象限に拡張する。ベストケースでは、従来技術と比較して、2倍の量の負の制御電力が利用可能である。原理的には、本発明によると、エネルギー生成システムの光起電力生成器を負荷として動作させることにより、放射依存性がより小さく、明確に規定された、絶対的な負の制御電力を提供することが可能である。
【0054】
これにより、大きな事象が発生した場合に、エネルギー生成システムを使用して、拡張されたグリッドサポートオプションがグリッドオペレータに提供され、光起電力生成器を含むエネルギー生成システムのインバータは、生成器として、特に周波数安定化の目的のための急速に制御可能な負荷として好適である。
【符号の説明】
【0055】
10 周波数静態
11 抑制制限
12 抑制範囲
20 無効電力静態
21 無効電力制限
22 サポート範囲
31、32 PV特性曲線
40 周波数静態
41 抑制制限
42 抑制範囲
50、60 制御機能
51 電圧測定
52 周波数及び振幅決定ユニット
53、63 計算ブロック
54 制限ブロック
I、II、IIa、III 範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6