(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 1/30 20060101AFI20230913BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B65B1/30 A
A61J3/00 310F
(21)【出願番号】P 2021563831
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043460
(87)【国際公開番号】W WO2021117469
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019225239
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】東 武
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-139403(JP,A)
【文献】特許第0160210(JP,C1)
【文献】特開昭51-014477(JP,A)
【文献】特表2013-528439(JP,A)
【文献】特開2001-087353(JP,A)
【文献】特開2008-200234(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0135025(KR,A)
【文献】特開2000-344201(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜する底壁にて薬剤を受け止めて、前記薬剤を前記底壁に沿って導出口に向けて進行させるホッパと、
前記ホッパの傾斜によって進行する前記薬剤を堰き止める貯留部と、
前記貯留部によって堰き止められた前記薬剤を、前記ホッパの上を進行させるように前記導出口に向けて送り出す送出部と、を備え、
前記送出部は
、
軸線の方向に沿って延びる板状に形成され、前記軸線の周りに回転することにより、板面にて前記薬剤を前記導出口に向けて押し出し、
前記板面が前記導出口に向くように、前記軸線に対して傾斜している部位を有する、
薬剤供給装置。
【請求項2】
前記貯留部は、前記薬剤が進行することを規制する第1位置と、前記薬剤が進行することを許容する第2位置との間を変位し、
前記送出部は、前記貯留部が前記第2位置に位置する場合に、前記薬剤を前記導出口に向けて送り出す、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記貯留部は、軸線の方向に沿って延びる板状に形成され、前記第1位置に位置する場合に板面にて前記薬剤を堰き止め、前記第2位置に位置する場合に前記薬剤を堰き止めない請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記貯留部と前記送出部とは、一体回転するように構成されている、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記貯留部および前記送出部は、中心軸の周りに回転をする円柱状に形成された第1円柱部材および第2円柱部材によって構成され、
前記第1円柱部材および前記第2円柱部材は、
各々の周側面を互いに接触させるように並べて配置されるとともに、
前記回転が停止されている場合に前記各々の周側面にて前記薬剤を堰き止めて貯留し、前記回転が行われている場合に、前記薬剤を前記各々の周側面の間に挟み込んで、前記薬剤を前記導出口に向けて押し出す、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下方向および左右方向に複数並べられた薬剤収納容器から処方せんで指定された薬剤を排出し、排出した薬剤をこれらの薬剤収納容器の下部に配置されたホッパで集めて小袋に供給する薬剤供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した薬剤供給装置において、ホッパの構成や形状によっては、薬剤がスムーズに進まないことや、薬剤が通路に留まってしまうことが考えられる。また、薬剤の移動時間が長くなることが考えられる。これらの場合、薬剤が供給される時間が長くなることや、誤った組み合わせの薬剤が小袋に供給されることが考えられる。
【0005】
本開示は、薬剤がホッパを短時間で、かつ、スムーズに進行することができる薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示における薬剤供給装置は、傾斜する底壁にて薬剤を受け止めて、薬剤を底壁に沿って導出口に向けて進行させるホッパと、ホッパの傾斜によって進行する薬剤を堰き止める貯留部と、貯留部によって堰き止められた薬剤を、ホッパの上を進行させるように導出口に向けて送り出す送出部と、を備えている。
上述のような薬剤供給装置を実施する場合に、好ましくは、送出部は、軸線の方向に沿って延びる板状に形成され、軸線の周りに回転することにより、板面にて薬剤を導出口に向けて押し出す。
この場合、送出部は、板面が導出口に向くように、軸線に対して傾斜している部位を有してよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の薬剤供給装置によれば、薬剤がホッパをスムーズに進行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る薬剤供給装置の斜視図である。
【
図4】
図3に示すホッパ部の一部の側断面図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る薬剤供給装置のホッパ部の側断面図である。
【
図6】本開示の第3実施形態に係る薬剤供給装置のホッパ部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本開示の薬剤供給装置1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、
図1および2の矢印で示す向きを便宜的に上下左右として説明を行う。また、紙面手前側および紙面奥側をそれぞれ薬剤供給装置1の前方および後方として説明する。
【0010】
図1は、薬剤供給装置1の一例を示す斜視図である。薬剤供給装置1は、1階部10および2階部20を有する。
【0011】
1階部10は、操作部11と、取り出し部12とを備える。また、1階部10は、入力部(不図示)および制御部(不図示)などを備える。
【0012】
操作部11は、操作者によって操作される装置であり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン等を備える。使用者によって操作部11が操作されることにより、薬剤供給装置1に対して各種情報が入力される。
【0013】
取り出し部12からは、薬剤供給装置1において分包された薬剤Mが取り出される。取り出し部12は開口を有し、使用者は開口から薬剤Mを取り出す。
【0014】
入力部は、外部機器から各種情報が入力される入力装置である。入力部は、例えば、パーソナルコンピュータに接続され、パーソナルコンピュータから、例えば、医療機関において発行された処方せんの情報が入力される。
【0015】
制御部は、薬剤供給装置1の各部を制御する制御装置である。制御部は、操作部11、などを制御する。また、制御部は、入力部から入力された処方せんの情報に基づいて、処方せんで指定された薬剤Mを小袋に包装し、薬剤Mが取り出し部12に搬送されるように各部を制御する。
【0016】
2階部20は、複数の引出21~25を備えている。引出21~25は、下方から上方に向けて、この順に重ねて積まれている。各引出21~25の各々は、左右方向に複数並べられている。なお、2階部20が備える引出の数はこれに限られず、上下および/または左右方向にさらに多くの引出を備えてもよく、あるいは、さらに少ない数の引出を備えてもよい。
【0017】
次に、
図2を用いて2階部20および1階部10の内部構造について説明する。
図2は、薬剤供給装置1の縦断面図である。
【0018】
各引出21~25は、薬剤Mを収納するタブレットケースC、および、タブレットケースCから薬剤Mを1個ずつ通路26に排出する排出部Hを備えている。排出部Hから排出された薬剤Mは、通路26を落下して、1階部10に導出される。通路26は、各引出21~25を上下方向に貫通し、各引出21~25の個数に対応して、複数(本実施形態では第1の通路26a~第4の通路26dの4つ)設けられている。また、通路26には、シャッタ部Sが設けられている。
【0019】
シャッタ部Sは、排出部Hが排出した薬剤Mを一時的に保留できるように構成されている。シャッタ部Sは、第1の通路26a~第4の通路26dの各々に複数配置されている。シャッタ部Sの各々は、各引出22~25の排出部Hに対応する位置に配置されている。
【0020】
シャッタ部Sは、閉状態と開状態との間を変位するように制御部によって制御される。
図2において、シャッタ部Sの閉状態が実線にて示され、シャッタ部Sの開状態が破線にて示されている。閉状態は、薬剤Mを保留する状態である。開状態は、薬剤Mを通路26に落下させる状態である。
【0021】
また、通路26の一部、具体的には、左右方向における内側の通路26には、案内部Gが設けられている。案内部Gは、通路26から導出された薬剤Mが落下する方向を方向付けて、薬剤Mが落下する位置を案内するものである。案内部Gは、板状に形成され、薬剤Mが板面を通って落下するように配置されている。第1実施形態において、案内部Gは、第2の通路26bおよび第3の通路26cの下端部に設けられている。案内部Gは、薬剤Mを、後述する第1回転部材32の貯留部32bの近傍に落下するように案内する。なお、通路26に配置される案内部Gの個数や位置を変更してもよい。
【0022】
ここで、上述した2階部20の動作について説明する。上述した処方せんの情報にしたがって薬剤Mが例えば上方に位置する排出部Hから排出されて、この排出部Hに対応するシャッタ部Sにて貯留される。続いて、この薬剤Mが、このシャッタ部Sから通路26に沿って落下され、このシャッタ部Sより下方のシャッタ部Sにて貯留される。このとき、この下方のシャッタ部Sに対応する排出部Hから薬剤Mが排出されることにより、複数の薬剤Mがまとめられる。
【0023】
このように、薬剤Mがシャッタ部Sから下方のシャッタ部Sに通路26に沿って順に落下するとともに、処方せんの情報にしたがって複数の薬剤Mが順にまとめられる。処方せんで指定された薬剤Mが全てまとめられた状態にて、通路26から1階部に導出される。以下、まとめられた薬剤Mを薬剤群とも記載する場合がある。
【0024】
なお、1つの薬剤群がまとめられている間に、この1つの薬剤群より上方に位置するシャッタ部Sにおいて、次の薬剤群を構成する薬剤Mの一部または全部をまとめることができる。このように、複数のシャッタ部Sを有することにより、一の薬剤群に他の薬剤群の薬剤Mが混ざることなく、複数の薬剤群を効率よくまとめることができる。
【0025】
次に、1階部10について説明する。1階部10は、ホッパ部13(30)と、包装ユニット14とを備える。ホッパ部13は、包装ユニット14に薬剤M(薬剤群)を導出するものである。ホッパ部13の詳細は後述する。
【0026】
包装ユニット14は、ホッパ部13から導出された薬剤M(薬剤群)を包装するものである。包装ユニット14は、搬送部15と、プリンタ16と、シール装置17とを有する。
【0027】
搬送部15は、例えば、二つ折りにされた帯状の包装紙が巻かれたローラ(不図示)から包装紙を繰り出し、繰り出した包装紙をシール装置17側に向けて搬送する装置である。ホッパ部13から導出された薬剤Mは、包装紙に乗せられて、包装紙とともにシール装置17に向けて搬送される。
【0028】
プリンタ16は、ローラから繰り出された包装紙の表面に、例えば、患者の氏名、当該包装紙に供給される薬剤Mの名称、および、服用日時などを印刷する印刷機である。
【0029】
シール装置17は、薬剤Mが包まれた包装紙を封止する装置である。
【0030】
薬剤Mが封入された包装紙は、例えば、所定のタイミングで切断されるとともに、所定の装置によって取り出し部12に向けて搬送される。
【0031】
次に、
図3および
図4を用いてホッパ部30(13)の詳細について説明する。
図3は、ホッパ部30の上面図であり、後述する貯留部32bが第2位置P2に位置する状態を示している。
図4は、ホッパ部30の一部の側断面図であり、後述する貯留部32bが第1位置P1に位置する状態を示している。ホッパ部30は、ホッパ31、第1回転部材32および第2回転部材33を備えている。
【0032】
ホッパ31は、薬剤Mを受け止めて、薬剤Mを導出口31cに向けて進行させるものである。ホッパ31は、底壁31a、側壁31b、導出口31cおよび開閉部材31d(
図2)を備えている。
【0033】
底壁31aは、壁面が2階部20の通路26に対向するように配置されている。底壁31aは、左端および右端からホッパ31の中心部に向かうにしたがって、下方に向けて傾斜するように形成されている。また底壁31aは、左端および右端からホッパ31の中心部に向かうにしたがって、前後方向の長さが小さくなるように形成されている。通路26から導出された薬剤Mは、底壁31aにて受け止められて、底壁31aに沿ってホッパ31の中心部に向かって進行する。
【0034】
導出口31cは、底壁31aの中心部に形成され、薬剤Mを上述した包装紙に向けて導出する。開閉部材31dは、導出口31cを閉鎖する閉位置(
図2)と、導出口31cを開放する開位置との間を変位するものである。開閉部材31dが閉位置に位置する場合、薬剤Mが底壁31aの中心部に貯留される。開閉部材31dが開位置に位置する場合、薬剤Mが包装紙に向けて導出される。開閉部材31dの位置および動作タイミングは、制御部によって制御される。
【0035】
側壁31bは、底壁31aの周縁に全周に亘って形成されている。側壁31bは、薬剤Mがホッパ31から外側に落下することを抑制する。
【0036】
第1回転部材32および第2回転部材33の各々は、ホッパ31に、前後方向に沿って延びるように2つずつ配置されている。また、第1回転部材32と第2回転部材33とは、互いに平行に、かつ、第1回転部材32がホッパ31の中心部側に位置するように、左右に並べられている。すなわち、第1回転部材32は、第2回転部材33よりも薬剤Mの進行方向の下流側に配置される。
【0037】
第1回転部材32と第2回転部材33との違いは、前後方向の長さが異なる点のみであるため、第1回転部材32についてのみ説明する。なお、
図4では、ホッパ31の左側に配置された第1回転部材32が示されている。
【0038】
第1回転部材32は、円柱状に形成された軸部材32a、貯留部32bおよび送出部32cを備えている。
【0039】
軸部材32aは、水平面内で前後方向に延びる軸線32a1に沿うように配置され、軸線32a1の周りに回転可能に側壁31bに支持されている。軸線32a1は、軸部材32aの中心軸である。軸部材32aは、制御部によって制御されるステッピングモータ(不図示)によって回転される。
【0040】
貯留部32bは、薬剤Mを貯留するものである。貯留部32bは、2つ形成されている。貯留部32bは、軸部材32aから遠心方向に向かって互いに反対方向に突出し、軸線32a1の方向に沿って延びる板状に形成されている。
【0041】
貯留部32bは、薬剤Mが進行することを規制する第1位置P1と、薬剤Mが進行することを許容する第2位置P2との間を変位する。貯留部32bは、第1位置P1に位置する場合に板面にて薬剤Mを堰き止め、第2位置P2に位置する場合に薬剤Mを堰き止めない。
【0042】
第1位置P1は、具体的には、一方の貯留部32bの先端が底壁31aに最も近づく位置である。一方の貯留部32bが第1位置P1に位置する場合、一方の貯留部32bと底壁31aとの距離が薬剤Mの大きさより小さくなるように設定されている。本実施形態においては、一方の貯留部32bの先端が底壁31aに接触して、一方の貯留部32bと底壁31aとの距離がゼロとなるように形成されている。すなわち、第1位置P1は、一方の貯留部32bの先端が底壁31aに接触する位置である。一方の貯留部32bが第1位置P1に位置する場合、薬剤Mが板面に接触して堰き止められるため、薬剤Mの進行が妨げられる。
【0043】
また、貯留部32bは、先端部32b1がゴム等の弾性を有する材料にて設けられている。これにより、貯留部32bの先端が底壁31aに接触した場合においても、先端部32b1が弾性変形するため、第1回転部材32の回転が妨げられない。さらに、先端部32b1と底壁31aとの間に薬剤Mが挟み込まれた場合においても、薬剤Mが破損しない。
【0044】
第2位置P2は、具体的には、軸部材32aが
図4において反時計回りに回転することによって、一方の貯留部32bが第1位置P1から軸線32a1の周りに回転した位置であって、第1位置P1より導出口31c側の位置に設定されている。また、第2位置P2は、一方の貯留部32bの先端と底壁31aとの距離が薬剤Mの大きさより大きくなるように設定されている。これにより、薬剤Mが貯留部32bの板面に接触しないため、導出口31cへの進行が妨げられない。なお、他方の貯留部32bについても、上述した一方の貯留部32bと同様に変位する。
【0045】
なお、ホッパ31の右側に配置された第1回転部材32については、軸部材32aが
図2において時計回りに回転する。
【0046】
送出部32cは、貯留部32bに貯留された薬剤Mを導出口31cに向けて送り出すものである。送出部32cは、2つ形成されている。送出部32cは、軸部材32aから遠心方向に向かって互いに反対方向に突出し、軸線32a1の方向に沿って延びる板状に形成されている。このように、貯留部32bと送出部32cとは、軸部材32aを介して一体的に形成されているため、一体回転するように構成されている。
【0047】
また、第1回転部材32が回転した場合において、送出部32cの先端と底壁31aとが最も近づいたとき、送出部32cと底壁31aとの距離が薬剤Mの大きさより小さくなるように設定されている。本実施形態においては、送出部32cの先端が底壁31aに接触して、送出部32cと底壁31aとの距離がゼロとなるように形成されている。
【0048】
また、送出部32cは、先端部32c1がゴム等の弾性を有する材料にて設けられている。これにより、送出部32cの先端が底壁31aに接触した場合においても、先端部32c1が弾性変形するため、第1回転部材32の回転が妨げられない。さらに、先端部32c1と底壁31aとの間に薬剤Mが挟み込まれた場合においても、薬剤Mが破損しない。
【0049】
また、一方の貯留部32bが第1位置P1に位置する場合、一方の送出部32cは、一方の貯留部32bから導出口31c側とは反対側の位置であって、他方の貯留部32bよりも一方の貯留部32bに近い位置に配置される。さらに、この場合、一方の送出部32cの先端と底壁31aとの距離が、薬剤Mの大きさよりも大きくなるように設定される。なお、他方の送出部32cは、一方の貯留部32bよりも他方の貯留部32bに近い位置となるように、上述した一方の送出部32cと同様に設けられている。
【0050】
また、送出部32cは、薬剤Mを押し出す板面における前方部および後方部が導出口31cに向くように、軸線32a1に対して傾斜して形成されている(
図3)。
【0051】
送出部32cは、貯留部32bが第2位置P2に位置する場合に、薬剤Mを導出口31cに向けて送り出す。送出部32cは、具体的には、軸線32a1の周りに回転することにより、貯留部32bによって堰き止められていた薬剤Mを、板面にて導出口31cに向けて押し出す、または、たたき出す。
【0052】
このように、薬剤Mが送出部32cによって押し出される、または、たたき出される場合、貯留部32bによる堰き止めが解除されただけで薬剤Mが押し出し等をされずにホッパ31上を移動する場合に比べて、薬剤Mの加速度が大きい。よって、送出部32cによって、薬剤Mがホッパ31上を短時間で移動することができる。
【0053】
次に、ホッパ部30において第1回転部材32によって薬剤M(薬剤群)が送られる動作について、一方の貯留部32bが第1位置P1に位置し、かつ、開閉部材31dが閉状態である状態から説明する。
【0054】
通路26から導出された薬剤Mは、案内部Gに案内されて、第1回転部材32より薬剤Mの進行方向における上流側に落下する。また、このとき、薬剤Mは、第1回転部材32から比較的近い位置に落下する。底壁31aに落下した薬剤Mは、ホッパ31の傾斜によって導出口31cに向かって進行し、
図4の破線にて示された薬剤Mのように、第1位置P1に位置する貯留部32bの板面に堰き止められる。
【0055】
続けて、軸部材32aが所定のタイミングにて回転され、一方の貯留部32bが第1位置P1から第2位置P2に変位する。所定のタイミングは、薬剤Mが一方の貯留部32bによって堰き止められたタイミングであり、例えば、薬剤Mが通路26から導出された時点から第1所定時間(例えば1秒)経過した時点である。所定のタイミングは、実験等によって実測されて設定されている。
【0056】
さらに、一方の貯留部32bの変位と同時に、一方の送出部32cが軸線32a1の周りに回転して、板面にて薬剤Mを導出口31cに向けて押し出す。一方の送出部32cによって押し出された薬剤Mは、
図4の実線にて示された薬剤Mのように、導出口31cに向かって進行する。なお、薬剤Mが底壁31aで停止せずに進行するように、板面から薬剤Mに作用する力ひいては送出部32cの回転速度が設定されている。第1回転部材32は、さらに回転して、他方の貯留部32bが第1位置P1に位置した時点で回転を停止する。なお、第2回転部材33は、第1回転部材32と同様に動作する。
【0057】
導出口31cに進んだ薬剤Mは、閉状態の開閉部材31dによって保留される。保留された薬剤M(薬剤群)は、開閉部材31dが開状態となることにより、導出口31cから包装紙に向けて導出される。
【0058】
上述した第1実施形態の薬剤供給装置1は、薬剤Mを受け止めて、薬剤Mを導出口31cに向けて進行させるホッパ31と、ホッパ31に配置され、薬剤Mを貯留する貯留部32bと、ホッパ31に配置され、貯留部32bに貯留された薬剤Mを導出口31cに向けて送り出す送出部32cと、を備えている。
【0059】
これによれば、薬剤Mがホッパ31の上を短時間で、かつ、スムーズに進行することができる。また、貯留部32bは、進行方向に沿って並べられた複数の回転部材32,33に配置されている。よって、ホッパ31に複数の薬剤群を落下させた場合においても、一の薬剤群を構成する薬剤Mが他の薬剤群に混ざることなく、薬剤M(薬剤群)をホッパ31にて進行させることができる。
【0060】
また、貯留部32bは、薬剤Mが進行することを規制する第1位置P1と、薬剤Mが進行することを許容する第2位置P2との間を変位する。送出部32cは、貯留部32bが第2位置P2に位置する場合に、薬剤Mを導出口31cに向けて送り出す。
【0061】
これによれば、薬剤Mがホッパ31の上を、短時間で、かつ、確実に進行することができる。
【0062】
また、貯留部32bは、軸線32a1の方向に沿って延びる板状に形成され、第1位置P1に位置する場合に板面にて薬剤Mを堰き止め、第2位置P2に位置する場合に薬剤Mを堰き止めない。
【0063】
これによれば、薬剤Mがホッパ31の上を、短時間で、かつ、より確実に進行することができる。
【0064】
また、送出部32cは、軸線32a1の方向に沿って延びる板状に形成され、軸線32a1の周りに回転することにより、板面にて薬剤Mを導出口31cに向けて押し出す。
【0065】
これによれば、薬剤Mがホッパ31の上を、短時間で、かつ、さらに確実に進行することができる。
【0066】
また、貯留部32bと送出部32cとは、一体回転するように構成されている。
【0067】
これによれば、簡便な構成によって、薬剤Mがホッパ31の上を、短時間で、かつ、確実に進行することができる。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本開示の薬剤供給装置1の第2実施形態について、主として上述した第1実施形態とは異なる部分について、
図5を用いて説明する。
図5は、第2実施形態のホッパ部30の側断面図である。第2実施形態において、第1回転部材132および第2回転部材の各々は、上述した第1実施形態の構成に代えて、円柱状に形成された第1円柱部材および第2円柱部材を備えている。第1回転部材132と第2回転部材とは、前後方向の長さが異なるのみであるため、第1回転部材132の第1円柱部材132dおよび第2円柱部材132eについて説明する。
【0069】
第1円柱部材132dおよび第2円柱部材132eは、中心軸が前後方向に沿うように配置され、中心軸の周りに回転をするように形成されている。各円柱部材132d,132eは、制御部によって制御されるモータ(不図示)によって回転される。
【0070】
各円柱部材132d,132eは、各々の周側面を互いに接触させるように並べて配置されている。また、第1円柱部材132dの上端部がホッパ31の内側に位置するように、各円柱部材132d,132eが上下方向に並べて配置される。各円柱部材132d,132eは、発泡ウレタンなどの弾性を有する材料によって設けられている。
【0071】
各円柱部材132d,132eは、回転が停止されている場合に各々の周側面にて薬剤Mを堰き止めて貯留する。具体的には、底壁31aを導出口31cに向けて進行している薬剤Mが、
図5に破線にて示すように、各々の周側面のうち少なくとも第1円柱部材132dの周側面に当たって堰き止められる。各円柱部材132d,132eの回転が停止されている間、この薬剤Mが貯留される。
【0072】
続けて、各円柱部材132d,132eが所定のタイミングにて回転が開始される。各円柱部材132d,132eは、回転が行われている場合に、薬剤Mを各々の周側面の間に挟み込んで、
図5に実線にて示すように、薬剤Mを導出口31cに向けて押し出す。具体的には、各円柱部材132d,132eが回転されることにより、貯留されている薬剤Mが第1円柱部材132dの周側面に乗って各円柱部材132d,132eの周側面の間に向けて搬送される。さらに、薬剤Mは、各円柱部材132d,132eの周側面の間に挟みこまれる。このとき、薬剤Mの形状にあわせて各円柱部材132d,132eがへこむように弾性変形する。
【0073】
さらに、各円柱部材132d,132eが回転されることにより、薬剤Mが、実線にて示すように、導出口31cに向けて押し出される。なお、薬剤Mが底壁31aで停止せずに進行するように、各円柱部材132d,132eから薬剤Mに作用する力ひいては各円柱部材132d,132eの回転速度が設定されている。各円柱部材132d,132eから薬剤Mが押し出されたタイミングで各円柱部材132d,132eの回転が停止される。このタイミングは、例えば各円柱部材132d,132eの回転が開始された時点から第2所定時間(例えば1秒)経過した時点である。このように、各円柱部材132d,132eは、薬剤Mを貯留するとともに薬剤Mを押し出すため、「貯留部」および「送出部」に相当する。
【0074】
上述した第2実施形態の薬剤供給装置1によれば、貯留部および送出部は、中心軸の周りに回転をする円柱状に形成された第1円柱部材132dおよび第2円柱部材132eによって構成される。第1円柱部材132dおよび第2円柱部材132eは、各々の周側面を互いに接触させるように並べて配置される。第1円柱部材132dおよび第2円柱部材132eは、回転が停止されている場合に各々の周側面にて薬剤Mを堰き止めて貯留し、回転が行われている場合に、薬剤Mを各々の周側面の間に挟み込んで、薬剤Mを導出口31cに向けて押し出す。
【0075】
これによれば、薬剤Mがホッパ31の上を、短時間で、かつ、確実に進行することができる。
【0076】
<第3実施形態>
次に、本開示の薬剤供給装置1の第3実施形態について、主として上述した第1実施形態とは異なる部分について、
図6を参照しながら説明する。上述した第1実施形態の送出部32cは、貯留部32bと一体的に設けられている。これに代えて、第3実施形態の送出部232cは、貯留部232bとは別体に設けられている。
【0077】
第3実施形態の送出部232cは、貯留部232bによって貯留されている薬剤Mに当てる圧縮空気を送出して、薬剤Mを導出口31cに向けて押し出すエアブロワである。送出部232cは、貯留部232bが第2位置P2に位置する場合に、圧縮空気を送出する。送出部232cは、制御部によって制御される。なお、薬剤Mが底壁31aで停止せずに進行するように、送出部232cによって送出される圧縮空気の速度および単位時間当たりの流量が設定されている。
【0078】
<変形例>
以上、一つまたは複数の態様に係る薬剤供給装置1について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0079】
上述した第1実施形態では、貯留部32bおよび送出部32cが軸部材32aの周方向において不均等に配置されているが、これに代えて、均等に配置されても良い。この場合、貯留部32bが送出部32cを兼ねてもよいし、送出部32cが貯留部32bを兼ねても良い。
【0080】
上述した第1実施形態では、貯留部32bおよび送出部32cの先端部32b1,32c1が、薬剤Mへの負荷を抑制するために弾性を有する材料にて形成されているが、これに代えて、ブラシによって構成してもよい。
【0081】
上述した第1実施形態では、送出部32cの前方部および後方部の板面が導出口31cに向くように軸線32a1の方向に対して傾斜して形成されているが、これに対して、送出部32cの全体が軸線32a1の方向に沿うように形成されてもよい。
【0082】
上述した第1実施形態では、貯留部32bと送出部32cとが一体回転するように、軸部材32aを介して一体に構成されているが、これに代えて、貯留部32bと送出部32cとを別体に構成してもよい。また、この場合、送出部32cが回転することなく、底壁31aに沿って導出口31cに向けて移動することにより板面にて薬剤Mを導出口31cに向けて押し出してもよい。
【0083】
上述した第2実施形態では、貯留部および送出部が2つの円柱部材132d,132eによって構成されているが、これに代えて、第2円柱部材132eのみを備えるようにしてもよい。この場合、薬剤Mは、第2円柱部材132eの周側面と底壁31aとの間に挟み込まれて、押し出される。
【0084】
また、第1実施形態における軸部材32aに配置される貯留部32bおよび送出部32cの個数を変更してもよい。また、第1実施形態および第2実施形態において、ホッパ31に配置される回転部材の個数を変更してもよい。そして、第3実施形態においてホッパ31に配置される貯留部および送出部の個数を変更してもよい。
【0085】
2019年12月13日出願の特願2019-225239の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、薬剤供給装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 薬剤供給装置
31 ホッパ
31c 導出口
32 第1回転部材
32a 軸部材
32a1 軸線
32b 貯留部
32c 送出部
33 第2回転部材
M 薬剤
P1 第1位置
P2 第2位置