(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】寝台装置
(51)【国際特許分類】
A61G 13/00 20060101AFI20230913BHJP
A61G 11/00 20060101ALI20230913BHJP
A47C 19/02 20060101ALI20230913BHJP
A47D 7/00 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
A61G13/00 Z
A61G11/00 Z
A47C19/02 B
A47D7/00 Z
(21)【出願番号】P 2022017675
(22)【出願日】2022-02-08
(62)【分割の表示】P 2020105108の分割
【原出願日】2015-07-09
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】大村 洸平
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104100(JP,A)
【文献】米国特許第05135191(US,A)
【文献】特開2015-192765(JP,A)
【文献】特開2014-014441(JP,A)
【文献】米国特許第05375276(US,A)
【文献】特開2010-227389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/00 - A47C 23/34
A61G 1/00 - A61G 7/16
A61G 13/00 - A61G 15/12
A47D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台と、
前記寝台を支持する支持架台と、
を備え、
前記支持架台は、脚フレーム材を含む脚部と、前記寝台を支持する支柱部と、を有し、
前記支柱部は、前記脚フレーム材の下縁よりも鉛直方向下方に突出し固定され
、
前記脚部は、
前側に向けて延びるとともに前方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の前脚部と、
後側に向けて延びるとともに後方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の後脚部と、
を有し、
左側の前記前脚部と左側の前記後脚部とは、左側の脚フレーム材により形成され、
右側の前記前脚部と右側の前記後脚部とは、右側の脚フレーム材により形成されていることを特徴とする寝台装置。
【請求項2】
前記寝台は、その平面視において左右方向よりも前後方向に長く、
前記脚部は、前後方向に突出し、末端に点滴棒を差し込み可能であることを特徴とする請求項1記載の寝台装置。
【請求項3】
平面視した場合に、前記各脚部の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲していることを特徴とする請求項1
または2に記載の寝台装置。
【請求項4】
前記左右一対の前脚部同士の間、及び前記左右一対の後脚部同士の間の少なくとも一方に、前後スペースが設けられていることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の寝台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示すような寝台装置が知られている。この寝台装置は、寝台と、寝台を支持する支持架台と、を備えている。支持架台には、前後方向に突出する脚部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の寝台装置では、例えば、寝台上に新生児や乳児が乗せられている場合であって、その児を抱きかかえることを目的として、看護者などの他者がこの寝台装置に接近しようとしたとき等に、支持架台の脚部が邪魔になるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、他者の接近が脚部によって阻害されるのを効果的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る寝台装置は、寝台と、前記寝台を支持する支持架台と、を備え、前記寝台が、その平面視において左右方向よりも前後方向に長く、前記支持架台に、前後方向に突出する脚部が設けられ、前記脚部が、前側に向けて延びるとともに前方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の前脚部と、後側に向けて延びるとともに後方に向かうに従って左右方向に互いに離間する左右一対の後脚部と、を備え、左側の前記前脚部と左側の前記後脚部との間、及び右側の前記前脚部と右側の前記後脚部との間に、左右一対の側方スペースが設けられ、前記各脚部の基端部が、前後方向に沿って直線状に延びており、前記支持架台が、前後方向に延びる左右一対の脚フレーム材を備え、前記脚フレーム材は、その脚先端部の末端に固定された取付け部を備え、前記取付け部に対して鉛直軸線回りに回転自在にキャスターの回転軸が取り付けられ、前記取付け部の開口部に、前記回転軸と同軸となるように、点滴棒を差し込み可能となっていることを特徴とする。
【0007】
この種の寝台装置に対しては、例えば、寝台上に新生児や乳児が乗せられているとき等に、その児を抱きかかえることを目的として、看護者などの他者が前後方向よりも左右方向から接近する機会が多い。
そこで、この寝台装置では、左側の前脚部と左側の後脚部との間、及び右側の前脚部と右側の後脚部との間に、左右一対の側方スペースが設けられている。これにより、他者が寝台装置に左右方向から接近したときに、その人の足を、側方スペースに進入させることができる。その結果、他者の接近が脚部によって阻害されるのを抑制することができる。
しかも、この寝台装置では、各脚部の基端部が、前後方向に沿って直線状に延びている。これにより、例えば、各脚部の基端部が、左右方向の外側に向けて張り出している場合などに比べて、側方スペースを広く確保することができる。その結果、他者の接近が脚部によって阻害されるのを効果的に抑制することができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の寝台装置において、前記支持架台が、前後方向に延びる左右一対の脚フレーム材を備え、前記脚フレーム材における前後方向の中央部に、前後方向に沿って延びる直線部が設けられ、左側の前記前脚部と左側の前記後脚部とが、左側の前記脚フレーム材により形成され、右側の前記前脚部と右側の前記後脚部とが、右側の前記脚フレーム材により形成され、前記各脚部の基端部が、前記直線部により形成されていてもよい。
【0009】
この場合、左側の前脚部と左側の後脚部とが、左側の脚フレーム材により形成され、右側の前脚部と右側の後脚部とが、右側の脚フレーム材により形成されている。さらに、各脚部の基端部が、脚フレーム材の直線部により形成されている。したがって、4つの脚部を、2つの脚フレーム材により構成することが可能になり、部品点数を少なく抑えることができる。
【0010】
(3)上記(2)に記載の寝台装置において、前記支持架台が、前記左右一対の脚フレーム材の前記直線部間に挟まれて固定された支柱部をさらに備えていてもよい。
【0011】
この場合、支柱部が、各脚フレーム材の直線部に固定されている。したがって、支柱部と脚フレーム材との固定部分における接触面積を確保することが可能になり、支柱部と脚フレーム材とを強固に固定することができる。
また、直線部は、脚フレーム材における前後方向の中央部に設けられている。したがって、支柱部を直線部に固定することで、支柱部を脚フレーム材における中央部に固定することが可能になり、寝台装置の前後方向における重さのバランスをとり易くすることができる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の寝台装置において、平面視した場合に、前記各脚部の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲していてもよい。
【0013】
この場合、各脚部の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲している。したがって、寝台装置に接近する他者の足が、側方スペースに進入するときに、仮にその足が、各脚部の先端部に衝突したとしても、その衝撃を弱めることができる。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の寝台装置において、前記左右一対の前脚部同士の間、又は前記左右一対の後脚部同士の間に、架設部材が設けられていてもよい。
【0015】
この場合、左右一対の前脚部同士の間、又は左右一対の後脚部同士の間に、架設部材が設けられているので、架設部材によって脚部を補強することができる。なお、架設部材が、物が載置される載置面や、物が収納される収納部を有している場合には、寝台装置における物の収納容量を確保することもできる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の寝台装置において、前記左右一対の前脚部同士の間、及び前記左右一対の後脚部同士の間の少なくとも一方に、前後スペースが設けられていてもよい。
【0017】
この場合、左右一対の前脚部同士の間、及び左右一対の後脚部同士の間の少なくとも一方に、前後スペースが設けられている。したがって、この前後スペースを開放しておくことで、他者が寝台装置に前後方向から接近した場合であっても、その人の足を、前後スペースに進入させることができる。これにより、他者の接近が脚部によって阻害されるのをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、他者の接近が脚部によって阻害されるのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る寝台装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示す寝台装置を構成する支持架台の要部の平面図である。
【
図4】
図1に示す寝台装置を構成する寝台であって、収容かごを離脱させた状態を示す平面図である。
【
図5】
図1に示す寝台装置を構成する機器載置部を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す寝台装置を構成するガイド部を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す寝台装置の側面図であって、寝台を揺動軸回りに揺動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る寝台装置10を、図面に基づいて以下に説明する。
図1から
図7において、矢印Hは人体(新生児、乳児、児)を乗せる際に頭側となる向きを示し、また矢印Fは人体を乗せる際に足側となる向きを示している。以下の説明においては、矢印H側を後方、矢印F側を前方、矢印H、Fの方向(前後方向)に対して直交する水平方向を左右と言う場合が有る。
【0021】
図1から
図7に示すように、寝台装置10は、寝台11と、寝台11を昇降自在に支持する支持架台12と、寝台11よりも下方に配置された機器載置部13と、寝台11の下方に配置されたガイド部14と、を備えている。この寝台装置10は、例えば、GCUやNICU等の医療環境下において利用する新生児用ベッドとして採用することができる。
【0022】
寝台11は、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い。寝台11は、収容かご15と、かご受け16と、を備えている。寝台11には、人体が収容される収容空間17が設けられていて、本実施形態では、収容空間17は、収容かご15の内部によって形成されている。
【0023】
収容かご15は、平面視において矩形状に形成される。収容かご15は、平坦状に形成された床面部18と、床面部18の外周縁に全周にわたって立設された周壁部19と、を備えている。
床面部18上には、必要に応じてマットレス(不図示)が配置される。周壁部19のうち、後側に位置し平面視U字形状をなす後壁20は、前側に位置し平面視U字形状をなす前壁21よりも高い。周壁部19の上端部のうち、後壁20の上端部と前壁21の上端部とを接続する部分は、上方から下方に向けて傾斜している。
【0024】
かご受け16には、収容かご15が着脱自在に装着され、かご受け16は、収容かご15を下方から支持する。
図4に示すように、かご受け16は、フレーム部22と、グリップ部23と、を備えている。
フレーム部22は、収容かご15の下方に配置される。フレーム部22は、平面視において環状をなし、前後方向に長い矩形状に形成されている。
【0025】
グリップ部23は、前後方向に間隔をあけて一対配置され、各グリップ部23は、フレーム部22の前後両端部上に各別に固定されている。グリップ部23は、フレーム部22の前端部または後端部上に配置される底壁部24と、底壁部24の外周縁から立設される側壁部25と、を備えている。
【0026】
底壁部24の下面には、フレーム部22の前端部または後端部が嵌合される嵌合溝(不図示)が形成されている。
図1及び
図4に示すように、側壁部25は、収容かご15の前壁21または後壁20を外側から覆うように、底壁部24の外周縁に立設されている。一対のグリップ部23間には、収容かご15が着脱自在に装着される装着空間27が形成されている。
【0027】
図1から
図3に示すように、支持架台12は、脚フレーム材28と、キャスター29と、支柱部30(昇降台)と、受け部31と、揺動支持機構32と、を備えている。
脚フレーム材28は、前後方向に延び、左右一対設けられている。脚フレーム材28は、全長にわたって上下方向に同等の位置を維持している。
【0028】
図3に示すように、脚フレーム材28における前後方向の中央部には、前後方向に沿って延びる直線部33が設けられている。直線部33は、水平方向に沿って直線的に延在している。脚フレーム材28は、この直線部33と、この直線部33の両端より平面視して湾曲した湾曲部34と、この湾曲部34に連なって直線的に延在する脚先端部35と、この脚先端部35の末端に溶接固定された取付け部36と、を備えている。
【0029】
左右一対の脚フレーム材28は、左右方向に間隔をあけて配置されるとともに、左右方向に線対称に形成されている。これら一対の脚フレーム材28を平面視した場合、直線部33は互いに平行をなし、湾曲部34は互いに離間する方向に曲がっており、脚先端部35はさらに互いに離間する方向に延在している。
【0030】
各脚フレーム材28は、一方の脚先端部35から湾曲部34及び直線部33及び他の湾曲部34を経て他方の脚先端部35に至るまで、それぞれ一本の長尺部材を水平方向の2箇所で曲げ加工して得られた一体品を主要構成要素としており、この一体品の両端に前記取付け部36が溶接固定されている。
【0031】
図1から
図3に示すように、各取付け部36の上端には、その開口部を覆うゴム栓37が嵌め込まれており、このゴム栓37を外した場合には、開口部に点滴棒38を差し込んで支持具として用いることが可能となっている。
キャスター29は、各取付け部36のそれぞれに対して鉛直軸線回りに回転自在に取付けられた回転軸(不図示)と、この回転軸に対して取付けられた車輪39と、この車輪39の回転を許可又はロックするストッパ40とを備えている。
【0032】
支柱部30は、前記一対の直線部33間に挟まれてかつ鉛直方向に延在するように溶接固定された角パイプ形状の台座部41と、この台座部41内に同軸かつ鉛直方向に昇降自在に挿入された昇降部42と、これら台座部41及び昇降部42間に設けられたガススプリング(不図示)と、昇降部42の昇降動作を許可及び禁止する昇降レバー43と、台座部41及び前記一対の直線部33間の溶接箇所を覆うゴムカバー44と、を備えている。
【0033】
台座部41は、その下端が前記一対の直線部33の各下縁よりも下方に突出するように固定されている。このようにして台座部41の高さ位置を下げることにより、重心位置を下げて安定性をより高めることが可能となる。昇降部42は、台座部41よりも細い角パイプ形状をなしている。前記ガススプリングは、台座部41に対して昇降部42を鉛直上方向に向かって相対的に付勢している。昇降レバー43は、昇降部42を間にして左右両方に設けられており、寝台11の左右どちらからでも操作可能となっている。
【0034】
支柱部30において、作業者が昇降レバー43を操作していない状態では、昇降部42の昇降動作がロックされている。一方、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した場合には、前記ガススプリングによる付勢力を受けて昇降部42が鉛直上方に向かって緩やかに上昇する。また、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した状態で寝台11を鉛直下方に向かって押し込んだ場合には、昇降部42が鉛直下方に向かって緩やかに下降する。
このように、作業者が昇降レバー43を操作してロックを解除した状態で寝台11を上下動させ、寝台11が適切な高さ位置に至った時点で作業者が昇降レバー43を操作してロックをかけることにより、寝台11を所望の高さ位置に設定することができる。
【0035】
ところで
図3に示すように、支持架台12には、前後方向に突出する脚部45が設けられている。脚部45は、前側に向けて延びる左右一対の前脚部45aと、後側に向けて延びる左右一対の後脚部45bと、を備えている。左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとは、左側の脚フレーム材28により形成され、右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとは、右側の脚フレーム材28により形成されている。前脚部45aは、脚フレーム材28のうち、支柱部30(ゴムカバー44)から前方に突出する部分により形成され、後脚部45bは、脚フレーム材28のうち、支柱部30(ゴムカバー44)から後方に突出する部分により形成されている。
【0036】
左右一対の前脚部45a同士は、前方に向かうに従って左右方向に互いに離間して、前脚部45a同士の間には、前方スペースS1(前後スペース)が設けられている。左右一対の後脚部45b同士は、後方に向かうに従って左右方向に互いに離間して、後脚部45b同士の間には、後方スペースS2(前後スペース)が設けられている。左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとの間、及び右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとの間には、左右一対の側方スペースS3が設けられている。
【0037】
各脚部45の基端部は、脚フレーム材28の直線部33により形成されていて、前後方向に沿って直線状に延びている。また各脚部45の先端部は、脚フレーム材28の湾曲部34及び脚先端部35により形成され、平面視した場合に、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲している。
【0038】
図1に示すように、左右一対の前脚部45a同士の間には、架設部材46が設けられている。架設部材46は、平面視において、辺部が前後方向及び左右方向に延びる矩形状に形成されている。架設部材46は、前脚部45aの上面に固定されている。架設部材46は、ケース47と、引き出し48と、を備えるキャビネットとされている。引き出し48は、ケース47から前側に向けて引き出される。なお
図2、
図3及び
図7では、架設部材46の図示を省略している。
【0039】
図1、
図2及び
図4に示すように、受け部31は、平置きの状態の寝台11を下方から支持する。受け部31は、昇降部42の上端部に溶接固定されている。受け部31は、平面視において左右方向に長い矩形状に形成されている。
揺動支持機構32は、寝台11を左右方向に延びる揺動軸O回りに揺動自在に支持する。揺動支持機構32は、寝台11を平置きの状態から揺動させる場合は、寝台11を、揺動軸Oに対して前側の部分が下降し後側の部分が上昇するように揺動支持している。なお、寝台11を傾斜状態から平置き状態に戻す場合には、受け部31が寝台11に当接して動作を止めるので、後側に向けた過度な揺動が禁止されている。
【0040】
揺動支持機構32は、受け部31に対して寝台11を揺動(傾動)自在に連結する揺動軸受け49(傾動軸受け)と、揺動軸受け49を中心として寝台11が揺動する際に前記揺動に追従して伸縮するダンパー50と、ダンパー50の伸縮を許可及び規制する揺動操作部51と、を備えている。
【0041】
揺動軸受け49は、受け部31から前方に向けて突出する金具(金属板)である。揺動軸受け49は、左右一対設けられていて、寝台11のフレーム部22にそれぞれ軸体を介して固定されている。左右一対の揺動軸受け49に挿通された両軸体は、互いに共通軸上に配置されていて、この共通軸が揺動軸Oとなっている。
ダンパー50としては、例えばガススプリングを備える構成などを採用することができる。ダンパー50の一端は受け部31に対して回動自在に連結され、ダンパー50の他端は寝台11に対して回動自在に連結されている。
【0042】
ダンパー50は、前後方向に直線状に延びていて、側面視において前後方向及び上下方向の両方向に傾斜している。ダンパー50は、後側から前側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。ダンパー50の後端部(下端部)は、受け部31から下方に突出する第1支持金具53に、左右方向に延びる第1回動軸(不図示)回りに回動自在に固定されている。ダンパー50の前端部(上端部)は、寝台11から下方に突出する第2支持金具54に、左右方向に延びる第2回動軸(不図示)回りに回動自在に固定されている。
【0043】
揺動操作部51は、ダンパー50に一体に設けられている。揺動操作部51は、ダンパー50の前端部に回動自在に設けられた金属製のレバー55と、このレバー55の先端に固定された樹脂製の手掛け部56とを備えている。レバー55は、ダンパー50の上端部より前方側に向かって延在しているため、手掛け部56が寝台11真下の前端寄りに配置される。よって、手掛け部56へのアクセスが容易となるので、作業者が揺動操作部51を容易に操作することが可能となる。
【0044】
機器載置部13は、上方を向く載置面57を有する。機器載置部13は、表裏面が上下方向を向く平板状に形成され、支柱部30よりも前側に配置されている。機器載置部13は、平面視において辺部が前後方向及び左右方向の両方向に延びている。載置面57は、機器載置部13の上面により形成されている。
機器載置部13は、受け部31に、連結部材58を介して連結されていて、寝台11に間接的に連結されている。機器載置部13は、連結部材58に、前後方向にスライド移動自在に連結されている。
【0045】
図5に示すように、連結部材58は、左右方向に支柱部30を挟む左右一対の連結フレーム59を備えている。連結フレーム59は、受け部31から前方に向けて延びている。連結フレーム59は、受け部31の下面に固定されたフレーム基端部60と、フレーム基端部60の前端部から下方に延びるフレーム中間部61と、フレーム中間部61の下端部から前方に延びるフレーム先端部62と、を備えている。フレーム先端部62は、機器載置部13から後方に向けて開口するガイド孔(不図示)内に、前進移動量が規制された状態で、前後方向に摺動自在に挿通されている。
【0046】
載置面57上には、医療機器64(機器)が配置されている。医療機器64としては、児の生体情報を読み取るサチュレーションモニター等がある。
図2に示すように、医療機器64には、配管及び配線のうちの少なくとも一方である被ガイド体65が接続されている。配管は、気体や液体などの流体を移送し、配線は、電力や電気信号などを伝達する。被ガイド体65としては、例えば電源線、信号線、LANケーブル、酸素等の医療用ガス用のガス管等がある。被ガイド体65は、医療機器64と、寝台11や、寝台11上の人と、を接続することができる。また、例えば電源線などの被ガイド体65は、医療機器64から後方に向けて延ばし、部屋の壁面に設けられたコンセント(不図示)に差し込むこともできる。
【0047】
ガイド部14は、被ガイド体65を下方から支持する。ガイド部14は、支柱部30よりも後側に配置されていて、機器載置部13及びガイド部14は、前後方向に位置をずらして配置されている。
ガイド部14は、寝台11に着脱自在に吊り下げられている。
図6に示すように、ガイド部14は、1本の線材を複数回屈曲することで形成される。ガイド部14は、左右方向に対称に形成されている。ガイド部14は、寝台11のフレーム部22に装着される左右一対の装着部66と、両装着部66間に左右方向に架設された架設部67と、を備えている。
【0048】
装着部66は、逆U字形状をなしフレーム部22に着脱自在に嵌合される前後一対の嵌合部68と、前後一対の嵌合部68を連結する連結部69と、を備えている。後側の嵌合部68のうち、左右方向の内側に位置する部分には、外側に位置する部分よりも下方に延びる延長部70が設けられている。連結部69は、前後方向に延びていて、前後一対の嵌合部68のうち、左右方向の外側に位置する部分同士を連結する。
【0049】
架設部67と寝台11とは、上下方向に離間している。架設部67は、左右一対の装着部66同士のうちの延長部70同士を連結する。架設部67は、左右方向に延びる本体部71と、本体部71における左右方向の両端部から前方に突出する突出部72と、を備えている。突出部72の前端部は、延長部70の下端部に連結されている。本体部71及び突出部72は、同一平面上に位置している。
【0050】
機器載置部13及びガイド部14は、寝台11の昇降に追従する。機器載置部13及びガイド部14は、寝台11の上昇端位置から下降端位置に至るまで寝台11に追従するときに、支持架台12に非接触である。
なお
図7に示すように、揺動支持機構32が寝台11を揺動支持した状態で、寝台11及び揺動支持機構32と載置面57との間に配置空間73が設けられている。医療機器64は、配置空間73内に収まるよう載置面57上に配置されている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る寝台装置10によれば、前脚部45a同士の間に前方スペースS1が設けられ、後脚部45b同士の間に後方スペースS2が設けられている。さらに、左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとの間、及び右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとの間に、左右一対の側方スペースS3が設けられている。したがって、他者が寝台装置10に接近するときに、前後方向、左右方向のいずれの方向から接近した場合であっても、その人の足を、前方スペースS1、後方スペースS2又は側方スペースS3のいずれかに進入させることができる。これにより、他者の接近が脚部45によって阻害されるのを抑制することができる。
ここで、この種の寝台装置10に対しては、例えば本実施形態のように、寝台11上に新生児や乳児が乗せられているとき等に、その児を抱きかかえることを目的として、看護者などの他者が前後方向よりも左右方向から接近する機会が多い。そこで、この寝台装置10では、各脚部45の基端部が、前後方向に沿って直線状に延びている。これにより、例えば、各脚部45の基端部が、左右方向の外側に向けて張り出している場合などに比べて、側方スペースS3を広く確保することができる。その結果、他者の接近が脚部45によって阻害されるのを効果的に抑制することができる。
【0052】
また、左側の前脚部45aと左側の後脚部45bとが、左側の脚フレーム材28により形成され、右側の前脚部45aと右側の後脚部45bとが、右側の脚フレーム材28により形成されている。さらに、各脚部45の基端部が、脚フレーム材28の直線部33により形成されている。したがって、4つの脚部45を、2つの脚フレーム材28により構成することが可能になり、部品点数を少なく抑えることができる。
【0053】
また、支柱部30が、各脚フレーム材28の直線部33に固定されている。したがって、支柱部30と脚フレーム材28との固定部分における接触面積を確保することが可能になり、支柱部30と脚フレーム材28とを強固に固定することができる。
また、直線部33は、脚フレーム材28における前後方向の中央部に設けられている。したがって、支柱部30を直線部33に固定することで、支柱部30を脚フレーム材28における中央部に固定することが可能になり、寝台装置10の前後方向における重さのバランスをとり易くすることができる。
【0054】
また、各脚部45の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲している。したがって、寝台装置10に接近する他者の足が、前方スペースS1、後方スペースS2又は側方スペースS3に進入するときに、仮にその足が、各脚部45の先端部に衝突したとしても、その衝撃を弱めることができる。
【0055】
また、左右一対の前脚部45a同士の間に、架設部材46が設けられているので、架設部材46によって脚部45を補強することができる。なお本実施形態のように、架設部材46が、物が載置される載置面や、物が収納される収納部を有している場合には、寝台装置10における物の収納容量を確保することもできる。
【0056】
また、機器載置部13が、寝台11の昇降に追従する。したがって、載置面57上に載置された医療機器64から延びる被ガイド体65が、寝台11や、寝台11上の人に接続されていても、被ガイド体65が引っ張られたり、撓んだりするのを抑えることが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
【0057】
また、機器載置部13が、寝台11の上昇端位置から下降端位置に至るまで寝台11に追従するときに、支持架台12に非接触である。したがって、寝台11が昇降するときに機器載置部13が支持架台12に接触することにより、寝台11の昇降が意図せず規制されるのを抑えることが可能になり、使い勝手を確実に向上させることができる。
【0058】
また、揺動支持機構32が寝台11を揺動支持した状態で、寝台11及び揺動支持機構32と載置面57との間に配置空間73が設けられていて、寝台11と載置面57とが配置空間73の高さ分、離間している。したがって、例えば本実施形態のように、医療機器64として、配置空間73の高さよりも低いものを載置面57上に配置することで、揺動支持機構32が寝台11を揺動支持した状態であっても、寝台11と医療機器64とが干渉するのを防ぐことができる。これにより、揺動支持機構32による寝台11の揺動が意図せず規制されるのを抑えることが可能になり、使い勝手を確実に向上させることができる。
【0059】
また、例えば、載置面57上の医療機器64から延びる被ガイド体65を、ガイド部14によって下方から支持して目的とする位置に向けて案内することができる。ここで、ガイド部14が、寝台11の昇降に追従するので、ガイド部14によって支持された被ガイド体65が、寝台11や、寝台11上の人に接続されていても、被ガイド体65が引っ張られたり、撓んだりするのを抑えることが可能になり、使い勝手を確実に向上させることができる。
また、ガイド部14が、寝台11の下方に配置されている。したがって、ガイド部14により案内される被ガイド体65を、寝台11によって上方から覆い隠すことが可能になり、見栄えをよくすることもできる。
【0060】
また、機器載置部13及びガイド部14が、前後方向に位置をずらして配置されている。したがって、例えば、載置面57上の機器から延びる被ガイド体65を、ガイド部14によって前後方向に案内することが可能になり、使い勝手をより向上させることができる。
【0061】
また、ガイド部14が、寝台11に着脱自在に吊り下げられている。したがって、例えば、寝台11として、既存の寝台装置を構成する寝台11と同様の構造を採用し、その寝台11にガイド部14を容易に装着させること等ができる。これにより、寝台11の構造についての自由度を高め易くすることができるとともに、組み付け性の向上を図ることができる。
【0062】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
機器載置部13、ガイド部14、揺動支持機構32、点滴棒38、架設部材46がなくてもよい。なお架設部材46は、左右一対の後脚部45b同士の間に設けられてもよい。 各脚部45の先端部が、前後方向の外側に向けて凸となるように湾曲していなくてもよく、例えば、鋭角をなすように屈曲していてもよい。
4つの脚部45が、2つの脚フレーム材28により形成されていなくてもよい。例えば、4つの脚部45を、それぞれ1つずつ4つの別々の部材によって形成することも可能である。この場合、支柱部30に4つの脚部45を各別に固定することができる。
【0064】
上記実施形態では、支持架台12にキャスター29を備えて走行可能としたが、この構成のみに限らず、キャスター29を備えずに床面に据え付ける構成にも本発明は採用可能である。
上記実施形態では、支持架台12が寝台11を昇降自在に支持するが、昇降させなくてもよい。
本発明は、新生児用ベッドに限られず、小児用ベッドなど、他の寝台装置10にも適用することが可能である。
【0065】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 寝台装置
11 寝台
12 支持架台
13 機器載置部
14 ガイド部
28 脚フレーム材
29 キャスター
30 支柱部
32 揺動支持機構
33 直線部
45 脚部
45a 前脚部
45b 後脚部
46 架設部材
65 被ガイド体
S1 前方スペース(前後スペース)
S2 後方スペース(前後スペース)
S3 側方スペース