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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】電解水生成装置及び水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20230913BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20230913BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230913BHJP
【FI】
C02F1/461 A
B01D61/04
C02F1/44 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022078325
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義信
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正人
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-047047(JP,A)
【文献】国際公開第2014/006740(WO,A1)
【文献】特開2016-137421(JP,A)
【文献】特開平06-063550(JP,A)
【文献】特開2000-202447(JP,A)
【文献】特開2001-000972(JP,A)
【文献】特開平06-079279(JP,A)
【文献】特開2016-165667(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108751353(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水生成装置であって、
供給された水を電気分解するための電解ユニットと、
単位時間内に前記電解ユニットに供給される水量を検出するセンサーと、
前記センサーからの出力値に応じて前記電解ユニットの電解電流を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記水量が第1閾値を超えるとき、前記電解電流を前記水量に比例するように増加させる、
電解水生成装置。
【請求項2】
電解水生成装置であって、
供給された水を電気分解するための電解ユニットと、
単位時間内に前記電解ユニットに供給される水量を検出するセンサーと、
前記センサーからの出力値に応じて前記電解ユニットの電解電流を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記水量が第1閾値を超えるとき、前記電解電流を増加させ、
前記水量が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満であるとき、前記電解電流を前記水量に比例するように減少させる、
電解水生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値以上かつ前記第1閾値以下であるとき、前記電解電流を一定値とする、請求項2に記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記水量が前記第1閾値よりも大きい第3閾値を超えるとき、電気分解を停止させる、請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記水量が前記第1閾値を超えるとき、警告を発する警告部をさらに備える、請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値よりも小さい第4閾値未満であるとき、電気分解を停止させる、請求項2に記載の電解水生成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値未満であるとき、警告を発する警告部をさらに備える、請求項2に記載の電解水生成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電解水生成装置と、
前記電解ユニットに供給される水または前記電解ユニットによって生成された電解水に逆浸透処理を施す逆浸透膜ユニットとを含む、
水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水の流量に応じて電解電流を調節するイオン水生成器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-66560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のイオン水生成器にて生成されたイオン水は、飲み水として用いられる。
【0005】
一方、電気分解により生じた水素ガスが溶け込んだ電解水は、血液透析の透析液の調製にも好適に用いられる。上記電解電流は、電解水の溶存水素濃度に影響を及ぼすため、電解電流の制御についてもさらなる改良が望まれている。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる電解水生成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電解水生成装置であって、
供給された水を電気分解するための電解ユニットと、
単位時間内に前記電解ユニットに供給される水量を検出するセンサーと、
前記センサーからの出力値に応じて前記電解ユニットの電解電流を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記水量が第1閾値を超えるとき、前記電解電流を増加させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の前記電解水生成装置は、前記水量が前記第1閾値を超えるとき、前記電解電流を増加させるので、前記第1閾値以上の前記水量で前記電解電流が適正に制御され、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態である電解水生成装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1の電解ユニット2の構成を示す断面図である。
図3】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度との関係を示すグラフである。
図4】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度との別の関係を示すグラフである。
図5】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度とのさらに別の関係を示すグラフである。
図6】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度とのさらに別の関係を示すグラフである。
図7】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度とのさらに別の関係を示すグラフである。
図8】センサーによって検出された水量と、電解電流及び電解水の溶存水素濃度とのさらに別の関係を示すグラフである。
図9図1の電解水生成装置の変形例の概略構成を示すブロック図である。
図10図1の電解水生成装置を含む水処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1の概略構成を示している。
【0011】
電解水生成装置1は、供給された水を電気分解するための電解ユニット2と、単位時間内に電解ユニット2に供給される水量を検出するセンサー6と、センサー6からの出力値に応じて電解ユニット2の電解電流を決定する制御部7とを備えている。
【0012】
図2は、電解ユニット2の構成を示している。電解ユニット2は、入水部3と、電解槽4と、出水部5とを含んでいる。
【0013】
入水部3は、電解槽4に電気分解される水を供給する。電解槽4は、供給された水を電気分解し、電解水を生成する。出水部5は、電解槽4で生成された電解水を取り出して、電解ユニット2の外部に供給する。
【0014】
入水部3は、給水路30を含んでいる。給水路30は、分岐部30aにおいて第1給水路31と、第2給水路32に分岐している。第1給水路31は、電解槽4の第1極室40aに接続され、第1極室40aに電気分解のための水を供給する。一方、第2給水路32は、電解槽4の第2極室40bに接続され、第2極室40bに電気分解のための水を供給する。
【0015】
電解槽4は、電解室40を備え、電解室40内に第1給電体41と、第2給電体42と、を有する。すなわち、第1給電体41及び第2給電体42は、電解室40に設けられている。
【0016】
第1給電体41と第2給電体42との間には、隔膜43が設けられている。電解室40は、隔膜43によって第1給電体41が配された第1極室40aと、第2給電体42が配された第2極室40bとに区分される。
【0017】
第1給電体41及び第2給電体42の極性及び第1給電体41及び第2給電体42に印加される電圧は、制御部7によって制御される。
【0018】
給電体41、42と制御部7との間の電流供給ラインには、電流検出部(図示せず)が設けられている。電流検出部は、第1給電体41、第2給電体42に供給する電解電流を検出し、その値に相当する電気信号を制御部7に出力する。
【0019】
制御部7は、例えば、電流検出部から出力された電気信号に基づいて、第1給電体41及び第2給電体42に印加する直流電圧(電解電圧)を制御する。
【0020】
電解室40内で水が電気分解されることにより、水素ガス及び酸素ガスが発生する。例えば、陰極側の第2極室40bでは、水素ガスが発生し溶存水素水が生成される。なお、このような電気分解を伴って生成された溶存水素水は、「電解水素水」とも称され、電解水素水を用いた透析治療は、「電解水透析」とも称される。一方、陽極側の第1極室40aでは、酸素ガスが発生する。
【0021】
隔膜43には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂からなる固体高分子膜が適宜用いられている。固体高分子膜は、電気分解により、陽極側の第1極室40aで発生したオキソニウムイオンを陰極側の第2極室40bへと移動させて、水素ガスの生成原料とする。従って、電気分解の際に水酸化物イオンが発生することなく、溶存水素水のpHが変化しない。
【0022】
出水部5は、第1取水路51と第2取水路52とを含んでいる。第1取水路51は、電解槽4の第1極室40aに接続され、第1極室40aで生成された電解水を取り出す。第2取水路52は、電解槽4の第2極室40bに接続され、第2極室40bで生成された電解水を取り出す。
【0023】
センサー6は、入水部3に設けられている。例えば、センサー6は、給水路30に設けられる。センサー6は、給水路30を単位時間に流れる水量を検出し、その値に相当する電気信号を制御部7に出力する。
【0024】
センサー6は、陰極側の第2給水路32に設けられていてもよい。この場合、センサー6は、単位時間内に第2極室40bに供給される水量を検出する。
【0025】
制御部7は、給電体41、42等の各部の制御を司る。制御部7は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。
【0026】
制御部7は、電解電流が所望の値となるように第1給電体41及び第2給電体42に印加する直流電圧を制御する。より具体的には、制御部は、電流検出部44によって検出される電解電流が予め設定された所望の値となるように、第1給電体41及び第2給電体42に印加する直流電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御部7は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御部7は、上記電圧を増加させる。これにより、第1給電体41及び第2給電体42に供給する電解電流が適切に制御される。
【0027】
制御部7は、センサー6から入力された電気信号に基づいて、単位時間内に電解槽4に供給される水量を知得し、その水量に基づいて第1給電体41及び第2給電体42に供給する電解電流を制御する。
【0028】
図3、4、5、6、7、8は、センサー6によって検出された水量W(横軸)と、制御部7によって制御される電解電流I(第1縦軸)及び第2極室40bで生成される電解水の溶存水素濃度D(第2縦軸)との関係を示している。なお、電解電流Iの推移は実線で示され、溶存水素濃度Dの推移は2点鎖線で示される。
【0029】
図3に示される制御例では、水量Wが第1閾値S1未満のとき、制御部7は、第1給電体41及び第2給電体42に一定の電解電流Iを供給する。そして、水量Wが第1閾値S1を超えると、制御部7は、電解電流Iを増加させる。本実施形態では、水量Wが第1閾値S1以上の領域で、電解電流Iは水量Wに比例するように制御される。電解電流Iと水量Wとの関係は非線形であってもよい。
【0030】
本発明の電解水生成装置1は、水量Wが第1閾値S1を超えるとき、電解電流Iを増加させるので、第1閾値S1以上の水量Wで電解電流Iが適正に制御され、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる。
【0031】
上記第1閾値S1は、電解水生成装置1の通常の運用での標準水量W0を考慮して定められる。電解水生成装置1が通常の状態で運用されている限り、水量Wが標準水量W0から若干変動したとしても、水量Wが第1閾値S1を超えないように、第1閾値S1が設定される。従って、電解水生成装置1の稼働時間のうち大部分において、制御部7は、第1給電体41及び第2給電体42に一定の電解電流Iを供給することとなる。これにより、電解水生成装置1の稼働時間、すなわち、制御部7が第1給電体41及び第2給電体42に電解電流Iを供給した時間を計測することにより、その電解時間から第1給電体41及び第2給電体42の消耗度を容易かつ正確に推定することが可能となる。
【0032】
図4に示される制御例では、水量Wが第2閾値S2以上のとき、制御部7は、第1給電体41及び第2給電体42に一定の電解電流Iを供給する。そして、水量Wが第2閾値S2未満であるとき、制御部7は、電解電流Iを減少させる。本実施形態では、水量Wが第2閾値S2未満の領域で、電解電流Iは水量Wに比例するように制御される。電解電流Iと水量Wとの関係は非線形であってもよい。
【0033】
本発明の電解水生成装置1は、水量Wが第2閾値S2未満であるとき、電解電流Iを減少させるので、第2閾値S2未満の水量Wで電解電流Iが適正に制御され、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる。
【0034】
上記第2閾値S2も、電解水生成装置1の通常の運用での標準水量W0を考慮して定められる。電解水生成装置1が通常の状態で運用されている限り、水量Wが標準水量W0から若干変動したとしても、水量Wが第2閾値S2を下回らないように、第2閾値S2が設定される。従って、電解水生成装置1の稼働時間、すなわち、制御部7が第1給電体41及び第2給電体42に電解電流Iを供給した時間を計測することにより、その電解時間から第1給電体41及び第2給電体42の消耗度を容易かつ正確に推定することが可能となる。
【0035】
図5に示される制御例では、水量Wが第2閾値S2以上かつ第1閾値S1以下であるとき、制御部7は、第1給電体41及び第2給電体42に一定の電解電流Iを供給する。そして、水量Wが第2閾値S2未満であるとき、制御部7は、電解電流Iを減少させる。また、水量Wが第1閾値S1を超えると、制御部7は、電解電流Iを増加させる。本実施形態では、水量Wが第2閾値S2未満または第1閾値S1以上の領域で、電解電流Iは水量Wに比例するように制御される。電解電流Iと水量Wとの関係は非線形であってもよい。
【0036】
図5に示される制御例でも、図4に示される制御例と同様に、水量Wが第2閾値S2未満であるとき、電解電流Iを減少させるので、第2閾値S2未満の水量Wで電解電流Iが適正に制御され、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる。また、図3に示される制御例と同様に、水量Wが第1閾値S1を超えるとき、電解電流Iを増加させるので、第1閾値S1以上の水量Wで電解電流Iが適正に制御され、所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる。
【0037】
また、図3、4に示される制御例と同様に、電解水生成装置1の稼働時間、すなわち、制御部7が第1給電体41及び第2給電体42に電解電流Iを供給した時間を計測することにより、その電解時間から第1給電体41及び第2給電体42の消耗度を容易かつ正確に推定することが可能となる。
【0038】
図6に示される制御例では、図3に示される制御例に対して、水量Wが第1閾値S1よりも大きい範囲での制御が異なっている。図6に示される制御例では、水量Wが第1閾値S1よりもさらに大きい第3閾値S3を超えるとき、制御部7は、第1給電体41及び第2給電体42への電解電流Iの供給を停止、すなわち、電気分解を停止させる。これにより、第1給電体41及び第2給電体42の消耗及び電解水生成装置1の消費電力が低減される。
【0039】
図7に示される制御例では、図4に示される制御例に対して、水量Wが第2閾値S2よりも小さい範囲での制御が異なっている。図7に示される制御例では、水量Wが第2閾値S2よりもさらに小さい第4閾値S4未満であるとき、制御部7は電気分解を停止させる。これにより、過度な溶存水素濃度の高まり及び電解水生成装置1の消費電力が低減される。
【0040】
図8に示される制御例は、図5に示される制御例に対して、水量Wが第1閾値S1よりも大きい範囲及び水量Wが第2閾値S2よりも小さい範囲での制御が異なっている。図5に示される制御例では、水量Wが第1閾値S1よりもさらに大きい第3閾値S3を超えるとき、制御部7は電気分解を停止させる。これにより、第1給電体41及び第2給電体42の消耗及び電解水生成装置1の消費電力が低減される。また、水量Wが第2閾値S2よりもさらに小さい第4閾値S4未満であるとき、制御部7は電気分解を停止させる。これにより、過度な溶存水素濃度の高まり及び電解水生成装置1の消費電力が低減される。
【0041】
図9は、図1の電解水生成装置1の変形例である電解水生成装置1Aのブロック図である。電解水生成装置1Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電解水生成装置1の構成が採用されうる。
【0042】
電解水生成装置1Aは、警告部8をさらに備える点で、上記電解水生成装置1とは異なる。警告部8は、水量Wが第1閾値S1を超えるとき、警告を発する。これにより、電解水生成装置1Aのユーザーまたは管理者等が、水量Wが過度に大きくなっていることを知得でき、例えば、給水路30に設けられている流量調整弁(図示せず)を操作して、電解ユニット2への水の供給量を抑制することにより、適正な水量Wに復帰させることができる。
【0043】
警告部8は、例えば、音声または光の出力により、警告を発するように構成されている。音声の出力にはスピーカー装置等が用いられ、光の出力にはLED(発光ダイオード)またはLCD(液晶ディスプレイ)等が用いられる。警告部8は、制御部7によって制御される。例えば、水量Wが第1閾値S1を超えるとき、制御部7は、警告部8に音声信号または光信号を出力する。警告部8は制御部7から入力された音声信号または光信号に応じて、音声または光の出力により、警告を発する。
【0044】
警告部8としてLCDが用いられる構成では、例えば、ディスプレイの画面上に警告文等の表示を行うことで、当該装置のユーザーまたは管理者等に水量Wが過度に小さくまたは大きくなっていることを認識させうるように構成されていてもよい。さらにLCDとタッチセンサーとが併用されたいわゆるタッチパネルを用いて、ユーザーまたは管理者等が制御部7に指令信号を入力するための操作部(図示せず)として機能するように構成されていてもよい。
【0045】
警告部8は、水量Wが第2閾値未満であるとき、警告を発するように構成されていてもよい。これにより、電解水生成装置1Aのユーザーまたは管理者等が、水量Wが過度に小さくなっていることを知得でき、例えば、給水路30に設けられている流量調整弁を操作して、電解ユニット2への供給量を増やすことにより、適正な水量Wに復帰させることができる。
【0046】
警告部8は、水量Wが第1閾値S1を超えるときと水量Wが第2閾値未満であるときとで、異なる警告を発するように構成されていてもよい。例えば、警告部8は、水量Wが第1閾値S1を超えるときは音声の出力で警告し、水量Wが第2閾値未満であるときは光の出力で警告してもよい。またはその逆でもよい。また、警告部8は、水量Wが第1閾値S1を超えるときと水量Wが第2閾値未満であるときとで、異なる周波数の音声の出力で警告してもよく、異なる波長の光の出力で警告してもよい。警告部8としてLCDが用いられる構成では、ディスプレイの画面上に異なる表示を出力するように構成されてもよい。このような構成を採用することにより、電解水生成装置1Aのユーザーまたは管理者等が、水量Wが過度に大きくなっているか、または水量Wが過度に小さくなっているかを区別して認識できる。
【0047】
また、警告部8は、水量Wが第3閾値S3を超えるとき及び水量Wが第4閾値未満であるとき、警告を発するように構成されていてもよい。これらのときは、水量Wが第1閾値S1を超えるとき及び水量Wが第2閾値未満であるときとは、異なる警告を発するように構成されていてもよい。
【0048】
図10は、電解水生成装置1を含む水処理装置100の概略構成を示している。本実施形態の水処理装置100は、血液透析の透析液の調製に用いられる調製水を生成するための装置である。
【0049】
水処理装置100は、電解水生成装置1と逆浸透膜ユニット10とを含んでいる。逆浸透膜ユニット10は、逆浸透膜(図示せず)を有し、電解水生成装置1の上流側に配されている。
【0050】
逆浸透膜ユニット10に供給された水は、逆浸透膜を透過する際に浄化される。これにより、逆浸透処理が施された逆浸透水が生成される。逆浸透水は電解水生成装置1の電解ユニット2に供給され、電気分解される。こうして、不純物等が除去された電解水素水が生成され、透析液の調製に用いられる。
【0051】
逆浸透膜ユニット10は、電解水生成装置1の下流側に配されていてもよい。この場合、電解水生成装置1の電解ユニット2で電気分解された電解水が逆浸透膜ユニット10に供給され、逆浸透膜を透過する際に浄化される。こうして、不純物等が除去された電解水素水が生成され、透析液の調製用水として透析原剤の希釈等に用いられる。なお、逆浸透膜によって浄化処理された溶存水素水は、例えば、透析液調製用水の浄化基準であるISO13959の基準を満たす。
【0052】
上記電解水素水は、血液透析治療の際に発生する活性酸素を除去し、患者の酸化ストレスの軽減に適しているとして注目されている。
【0053】
なお、水処理装置100では、電解水生成装置1の替わりに電解水生成装置1Aが適用されていてもよい。水処理装置100では、上記電解水生成装置1等及び逆浸透膜ユニット10に加えて、原水からカルシウムイオン及びマグネシウムイオン等の硬度成分を除去して軟水化する軟水化ユニット及び微細な多孔質物質である活性炭を用いて軟水から塩素等を吸着・除去する活性炭ユニット等が設けられていてもよい(図示せず)。
【0054】
以上、本発明の電解水生成装置1等が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【0055】
すなわち、本発明の電解水生成装置1等は、少なくとも、供給された水を電気分解するための電解ユニット2と、単位時間内に電解ユニット2に供給される水量Wを検出するセンサー6と、センサー6からの出力値に応じて電解ユニット2の電解電流Iを決定する制御部7とを備え、制御部7は、水量Wが第1閾値を超えるとき、電解電流Iを増加させる、ように構成されていればよい。
【0056】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0057】
[本発明1]
電解水生成装置であって、
供給された水を電気分解するための電解ユニットと、
単位時間内に前記電解ユニットに供給される水量を検出するセンサーと、
前記センサーからの出力値に応じて前記電解ユニットの電解電流を決定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記水量が第1閾値を超えるとき、前記電解電流を増加させる、
電解水生成装置。
[本発明2]
前記制御部は、前記水量が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満であるとき、前記電解電流を減少させる、本発明1に記載の電解水生成装置。
[本発明3]
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値以上かつ前記第1閾値以下であるとき、前記電解電流を一定値とする、本発明2に記載の電解水生成装置。
[本発明4]
前記制御部は、前記水量が前記第1閾値を超えるとき、前記電解電流を前記水量に比例する値とする、本発明1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置。
[本発明5]
前記制御部は、前記水量が前記第1閾値よりも大きい第3閾値を超えるとき、電気分解を停止させる、本発明1ないし4のいずれかに記載の電解水生成装置。
[本発明6]
前記水量が前記第1閾値を超えるとき、警告を発する警告部をさらに備える、本発明1ないし5のいずれかに記載の電解水生成装置。
[本発明7]
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値未満であるとき、前記電解電流を前記水量に比例する値とする、本発明2または3に記載の電解水生成装置。
[本発明8]
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値よりも小さい第4閾値未満であるとき、電気分解を停止させる、本発明2、3または7のいずれかに記載の電解水生成装置。
[本発明9]
前記制御部は、前記水量が前記第2閾値未満であるとき、警告を発する警告部をさらに備える、本発明2、3、7または8のいずれかに記載の電解水生成装置。
[本発明10]
本発明1ないし9のいずれかに記載の電解水生成装置と、
前記電解ユニットに供給される水または前記電解ユニットによって生成された電解水に逆浸透処理を施す逆浸透膜ユニットとを含む、
水処理装置。
【符号の説明】
【0058】
1 :電解水生成装置
1A :電解水生成装置
2 :電解ユニット
6 :センサー
7 :制御部
8 :警告部
10 :逆浸透膜ユニット
100 :水処理装置
I :電解電流
S1 :第1閾値
S2 :第2閾値
S3 :第3閾値
S4 :第4閾値
W :水量
【要約】
【課題】所望の溶存水素濃度の電解水を容易に生成できる電解水生成装置を提供する。
【解決手段】電解水生成装置1は、供給された水を電気分解するための電解ユニット2と、単位時間内に電解ユニット2に供給される水量Wを検出するセンサー6と、センサー6からの出力値に応じて電解ユニット2の電解電流Iを決定する制御部7とを備える。制御部7は、水量Wが第1閾値を超えるとき、電解電流Iを増加させる。
【選択図】図1
図1
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図10