(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】位置算出方法および位置算出装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/16 20060101AFI20230913BHJP
B60W 40/00 20060101ALI20230913BHJP
G01C 19/00 20130101ALI20230913BHJP
G01P 21/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
G01C21/16
B60W40/00
G01C19/00 Z
G01P21/00
(21)【出願番号】P 2022208591
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592105859
【氏名又は名称】株式会社東陽テクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】大藪 範昭
(72)【発明者】
【氏名】二上 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】李 从兵
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-185899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/16
B60W 40/00
G01C 19/00
G01P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得ステップと、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索ステップと、
前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出ステップとを備え
、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の平均値に関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する誤差、および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含み、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される前記移動体の移動後の位置との差を含む、
位置算出方法。
【請求項2】
前記1つ以上のパラメータは、前記計測器の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、前記計測器の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、前記計測器の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、前記計測器の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、前記計測器の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータ、および前記計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータを含む、
請求項
1に記載の位置算出方法。
【請求項3】
前記探索ステップでは、ベイズ最適化を用いて前記1つ以上のパラメータを探索する、
請求項
1または2に記載の位置算出方法。
【請求項4】
移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得部と、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索部と、
前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出部とを備え
、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の平均値に関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する誤差、および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含み、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される前記移動体の移動後の位置との差を含む、
位置算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置を算出する位置算出方法および位置算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例として、特許文献1には、向き転換軌跡の誤差が最小または極小となる値または値の組を、少なくとも1つのパラメータの較正結果に決定する較正決定手段を有する角速度測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の角速度測定装置は、位置の時系列データを算出するものではない。ところで、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体の位置の時系列データをより精度良く算出することが望まれている。加速度および角速度の時系列データはたとえばIMU(Inertial Measurement Unit)で計測データとして得られるが、加速度および角速度の時系列データに含まれる微小なオフセット値等により、加速度を時間積分することで得られる速度や、速度を時間積分して得られる位置に大きな誤差が生じるという問題がある。IMUを含む計測器の高性能化に伴いオフセット値は小さくなってきているものの積分誤差の影響は大きく、現状ではIMU等の計測器で得られた加速度、角速度データから高精度な位置算出は困難とされている。
【0005】
そこで、本発明は、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体の位置の時系列データをより精度良く算出できる位置算出方法および位置算出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る位置算出方法は、移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得ステップと、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索ステップと、前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出ステップとを備え、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の平均値に関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する誤差、および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含み、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される前記移動体の移動後の位置との差を含む。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る位置算出装置は、移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得部と、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索部と、前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出部とを備え、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の平均値に関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する誤差、および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含み、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される前記移動体の移動後の位置との差を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る位置算出方法および位置算出装置によれば、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体の位置の時系列データをより精度良く算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る位置算出システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、加速度の時系列データ、速度の時系列データ、および位置の時系列データの一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、
図1の位置算出システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の位置算出システムによる位置算出方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、角速度の二乗和の時系列データ等の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例に係る速度の時系列データを示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施例に係る位置の時系列データを示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施例に係るX軸方向の位置とY軸方向の位置との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、比較例に係る速度の時系列データを示すグラフである。
【
図11】
図11は、比較例に係る位置の時系列データを示すグラフである。
【
図12】
図12は、比較例に係るX軸方向の位置とY軸方向の位置との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0012】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る位置算出システム10を示す模式図である。
【0013】
位置算出システム10は、移動体の加速度の時系列データおよび移動体の角速度の時系列データを計測し、移動体の加速度の時系列データおよび移動体の角速度の時系列データを用いて、移動体の位置の時系列データを算出する。本実施の形態では、移動体は、人1である。なお、たとえば、移動体は、車両等であってもよい。
図1に示すように、位置算出システム10は、計測器20と、位置算出装置30とを備える。
【0014】
計測器20は、人1に取り付けられ、加速度および角速度を計測する。計測器20によって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データが計測される。たとえば、計測器20は、人1の重心近傍に位置するように、人1に取り付けられる。
【0015】
位置算出装置30は、計測器20によって計測された計測データを取得し、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索し、計測データおよび1つ以上のパラメータを用いて人1の位置の時系列データを算出する。たとえば、位置算出装置30としては、パソコンまたはタブレット等の機器を用いることができる。
【0016】
図2は、加速度の時系列データ、速度の時系列データ、および位置の時系列データの一例を示すグラフである。
図2の(a)は、加速度の時系列データを示し、
図2の(b)は、
図2の(a)に示す加速度の時系列データを用いて算出された速度の時系列データを示し、
図2の(c)は、
図2の(b)に示す速度の時系列データを用いて算出された位置の時系列データを示す。
図2の(d)は、加速度の時系列データを示し、
図2の(e)は、
図2の(d)に示す加速度の時系列データを用いて算出された速度の時系列データを示し、
図2の(f)は、
図2の(e)に示す速度の時系列データを用いて算出された位置の時系列データを示す。
図2において、Aは移動前の停止状態の期間を示し、Bは移動中の期間を示し、Cは移動後の停止状態の期間を示す。
【0017】
加速度を正しく計測できている場合(オフセット誤差等が無い場合)、加速度を時間積分すると速度が得られ、速度を時間積分すると位置が得られる(
図2の(d)~(e)を参照)。
【0018】
ここで、加速度のデータに微小でもオフセット誤差等があると、正しい速度および位置を求めることができない。
図2の例(
図2の(a)~(c)を参照)では、最大加速度の1%のオフセットがあった場合を例としているが、移動後の停止状態の期間で求めた速度が0にならず増加していき、位置も正しくなく増加していくという問題が発生する。
【0019】
IMUの性能限界で、計測データにはオフセット誤差等が含まれてしまい、計測データをそのまま使用すると、正しい速度および位置が求められないという課題がある。
【0020】
位置算出システム10は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを用いることによって、位置の時系列データをより精度良く算出できる。以下、位置算出システム10等について詳細に説明する。
【0021】
図3は、
図1の位置算出システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、計測器20は、IMU21と、記憶部22とを有する。
【0023】
IMU21は、人1の加速度および人1の角速度を計測する。具体的には、IMU21は、所定時間毎に、相互に直交するXYZの3軸の各軸方向における人1の加速度、および当該3軸の各軸周りにおける人1の角速度を計測する。ここで、Y軸は進行方向、X軸は横方向、Z軸は縦方向である。IMU21は、人1が移動する前に停止している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。また、IMU21は、人1が移動している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。また、IMU21は、人1が移動した後に停止している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。これによって、IMU21によって計測される計測データには、人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データ、人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データ、人1の移動中における加速度の時系列データ、人1の移動中における角速度の時系列データ、人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データ、および人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データが含まれる。計測データに含まれる各データには、日付および時刻等に関する情報であるタイムスタンプが付加される。これによって、計測データに含まれる各データが計測された日付および時刻等がわかる。
【0024】
記憶部22は、IMU21によって計測された計測データを記憶する。具体的には、記憶部22は、タイムスタンプが付加された計測データを記憶する。たとえば、記憶部22は、メモリ等によって実現される。
【0025】
位置算出装置30は、取得部31と、探索部32と、算出部33と、記憶部34と、出力部35とを有する。
【0026】
取得部31は、計測器20によって計測される計測データを取得する。上述したように、計測器20によって計測される計測データは、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む。たとえば、取得部31は、位置算出装置30と計測器20とがケーブル等を介して接続された状態において、記憶部22に記憶されている計測データを取得する。なお、たとえば、取得部31は、計測器20と無線通信を行って、記憶部22に記憶されている計測データを取得してもよい。
【0027】
探索部32は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する。
【0028】
計測データを用いて算出される人1の移動前の位置は、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される人1の位置である。また、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置は、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される人1の位置である。
【0029】
たとえば、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の平均値に関する誤差、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の平均値に関する誤差、および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含む。
【0030】
たとえば、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の平均値は、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される位置の時系列データの平均値である。また、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の変化の傾きは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される位置の時系列データを線形フィッティングして算出される直線の傾きである。
【0031】
また、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の平均値は、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される位置の時系列データの平均値である。また、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の変化の傾きは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出される位置の時系列データを線形フィッティングして算出される直線の傾きである。
【0032】
たとえば、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の平均値に関する誤差は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の平均値と0との差である。また、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の変化の傾きと0との差である。
【0033】
また、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の平均値に関する誤差は、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される人1の移動後の位置との差である。また、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差は、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の変化の傾きと0との差である。
【0034】
たとえば、カメラを用いて検出される人1の移動後の位置は、モーションキャプチャシステムによって検出される人1の位置である。マーカが装着された人1をカメラによって撮影し、人1が移動した後に停止している状態におけるマーカの位置を計測し、当該マーカの位置から人1の位置を検出できる。なお、たとえば、人1の移動後の位置を、カメラを用いて検出するのではなく、床反力計または方眼紙等を用いて検出してもよい。
【0035】
床反力計を用いて人1の移動後の位置を検出する場合、人1の移動の終了位置に床反力計を設置しておく。人1が移動を終了して床反力計の上に立っているときに床反力計によって計測された反力の分布から人1の移動後の両足の位置を検出でき、人1の移動後の両足の位置から人1の移動後の位置を検出できる。
【0036】
方眼紙を用いて人1の移動後の位置を検出する場合、人1の移動の終了位置に方眼紙を設置しておく。人1が移動を終了して方眼紙の上に立っているときに方眼紙の升目から人1の移動後の両足の位置を検出でき、人1の移動後の両足の位置から人1の移動後の位置を検出できる。
【0037】
カメラ、床反力計、および方眼紙のうち、1つのみを用いて人1の移動後の位置を検出してもよいし、2つのみを用いて人1の移動後の位置を検出してもよいし、全部を用いて人1の移動後の位置を検出してもよい。
【0038】
たとえば、探索部32は、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の平均値の絶対値に重み係数を乗算した値と、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置の変化の傾きの絶対値に重み係数を乗算した値と、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の平均値とカメラ等を用いて検出される人1の移動後の位置との差の絶対値に重み係数を乗算した値と、計測データを用いて算出される人1の移動後の位置の変化の傾きの絶対値に重み係数を乗算した値との和が最小となる1つ以上のパラメータを、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータとして探索する。
【0039】
たとえば、1つ以上のパラメータは、計測器20の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータ、および計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータを含む。
【0040】
計測器20の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータは、計測データに含まれる各データから、加速度のオフセット誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。計測器20の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータは、計測データに含まれる各データから、加速度のスケールファクタ誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。
【0041】
計測器20の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータは、計測データに含まれる各データから、角速度のオフセット誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。計測器20の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータは、計測データに含まれる各データから、角速度のスケールファクタ誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。
【0042】
重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータは、計測データに含まれる各データから、重力加速度のスケールファクタ誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。計測器20の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータは、グローバル座標系に対する計測器20の座標系の傾きを補正するためのパラメータであり、計測器20の座標系をグローバル座標系に一致させるためのパラメータである。計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータは、計測データを用いて算出される速度の時系列データの各データから、速度のオフセット誤差に起因する成分を取り除くためのパラメータである。
【0043】
たとえば、探索部32は、ベイズ最適化を用いて1つ以上のパラメータを探索する。なお、たとえば、探索部32は、他の最適化手法を用いて、1つ以上のパラメータを探索してもよい。具体的には、探索部32は、CMA-ES(共分散行列適応進化戦略)等を用いて、1つ以上のパラメータを探索してもよい。
【0044】
たとえば、探索部32は、計測データから、移動前の停止状態の期間、移動中の期間、および移動後の停止状態の期間を判別する。具体的には、探索部32は、角速度の時系列データにおける各時刻について、X軸周りの角速度とY軸周りの角速度とZ軸周りの角速度との二乗和を算出する。そして、探索部32は、各時刻の前後の所定期間(たとえば、1秒)における二乗和の平均値を算出する。探索部32は、当該平均値が閾値(たとえば、二乗和のピーク値の1%)を初めて超えた時刻を移動開始時刻とし、当該平均値が閾値(たとえば、二乗和のピーク値の1%)を初めて下回った時刻を移動終了時刻とする。探索部32は、移動開始時刻以降かつ移動終了時刻以前の期間を移動中の期間とし、移動開始時刻の直前の所定期間(たとえば、1秒)を移動前の停止状態の期間とし、移動終了時刻の直後の所定期間(たとえば、1秒)を移動後の停止状態の期間とする。なお、たとえば、探索部32は、加速度の二乗和、またはこれらの二乗和の平方根等を用いて、移動前の停止状態の期間、移動中の期間、および移動後の停止状態の期間を判別してもよい。
【0045】
算出部33は、計測データおよび1つ以上のパラメータを用いて、人1の位置の時系列データを算出する。具体的には、算出部33は、1つ以上のパラメータを用いて計測データを補正し、補正後の計測データを用いて人1の位置の時系列データを算出する。
【0046】
たとえば、取得部31、探索部32、および算出部33は、プロセッサ等によって実現される。
【0047】
記憶部34は、計測データ、1つ以上のパラメータ、および人1の位置の時系列データ等を記憶する。たとえば、記憶部34は、メモリ等によって実現される。
【0048】
出力部35は、人1の位置の時系列データを出力する。たとえば、出力部35は、人1の位置の時系列データを表示する。また、出力部35は、人1の位置の時系列データから算出された人1の移動軌跡を表示する。また、出力部35は、人1の位置の時系列データおよび/または人1の移動軌跡を他の装置等に送信する。たとえば、出力部35は、ディスプレイまたは通信ユニット等によって実現される。
【0049】
図4は、
図1の位置算出システム10による位置算出方法の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、計測器20(IMU21)は、計測データを計測する(計測ステップ)(ステップS1)。上述したように、計測器20は、人1が移動する前に停止している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。また、IMU21は、人1が移動している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。また、IMU21は、人1が移動した後に停止している状態において、人1の加速度および人1の角速度を計測する。
【0051】
図5は、計測データの一例を示す表である。たとえば、
図5に示すように、計測器20によって、相互に直交するX,Y,Z軸の各軸方向における人1の加速度の時系列データ、および当該X,Y,Z軸の各軸周りにおける人1の角速度の時系列データを含む計測データが計測される。
【0052】
図4に戻って、取得部31は、計測データを取得する(取得ステップ)(ステップS2)。たとえば、取得部31は、上述したようにして、計測データを取得する。
【0053】
探索部32は、1つ以上のパラメータを探索する(探索ステップ)(ステップS3)。たとえば、探索部32は、上述したようにして、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する。また、上述したように、1つ以上のパラメータは、計測器20の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータ、および計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータを含む。
【0054】
具体的には、たとえば、探索部32は、以下の関数を最小化する1つ以上のパラメータを、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される人1の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータとして探索する。
【0055】
|PA_X_slope|×W1+|PA_X_avg|×W2+|PA_Y_slope|×W3+|PA_Y_avg|×W4+|PA_Z_slope|×W5+|PA_Z_avg|×W6+|PC_X_slope|×W7+|PC_X_avg-PC_X_distance|×W8+|PC_Y_slope|×W9+|PC_Y_avg-PC_Y_distance|×W10+|PC_Z_slope|×W11+|PC_Z_avg-PC_Z_distance|×W12
【0056】
PA_X_slopeは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるX軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0057】
PA_X_avgは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるX軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0058】
PA_Y_slopeは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるY軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0059】
PA_Y_avgは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるY軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0060】
PA_Z_slopeは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるZ軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0061】
PA_Z_avgは、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動前の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるZ軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0062】
PC_X_slopeは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるX軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0063】
PC_X_avgは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるX軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0064】
PC_X_distanceは、カメラ等を用いて検出される人1の移動後の停止状態におけるX軸方向の位置である。
【0065】
PC_Y_slopeは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるY軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0066】
PC_Y_avgは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるY軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0067】
PC_Y_distanceは、カメラ等を用いて検出される人1の移動後の停止状態におけるY軸方向の位置である。
【0068】
PC_Z_slopeは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるZ軸方向の位置の時系列データを線形フィッティングして算出された直線の傾きである。
【0069】
PC_Z_avgは、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における加速度の時系列データと、計測データに含まれる人1の移動後の停止状態における角速度の時系列データとを用いて算出されるZ軸方向の位置の時系列データの平均値である。
【0070】
PC_Z_distanceは、カメラ等を用いて検出される人1の移動後の停止状態におけるZ軸方向の位置である。
【0071】
W1~W12は、重み係数である。W1~W12は、0~1の間で設定される。たとえば、PC_X_distanceを用いない場合、W8=0に設定される。また、PC_Y_distanceを用いない場合、W10=0に設定される。また、PC_Z_distanceを用いない場合、W12=0に設定される。また、変化の傾きに関する誤差を用いない場合、W1、W3、W5、W7、W9、W11=0に設定され、W2、W4、W6、W8、W10、W12≠0に設定される。
【0072】
図6は、角速度の二乗和の時系列データ等の一例を示すグラフである。
図6の(b)は、
図6の(a)のグラフの一部を拡大したグラフである。
図6を参照して、移動前、移動中、および移動後を判別するための方法の一例を説明する。
【0073】
図6に示すように、計測データから3軸周りの角速度の二乗和の時系列データを算出し、当該時系列データの各データと当該データの前後1秒間におけるデータとの平均値の時系列データを算出する。当該時系列データが、3軸周りの角速度の二乗和の時系列データにおけるピークの1%を初めて超えた時刻を移動が開始した時刻と判別し、その後に、3軸周りの角速度の二乗和の時系列データにおけるピークの1%を初めて下回った時刻を移動が終了した時刻と判別する。
【0074】
ここでは、当該平均値の時系列データが、6.5秒においてピークの1%を初めて超え、14.9秒においてピークの1%を初めて下回っている。したがって、6.5秒以降14.9秒以前を移動中と判別し、6.5秒の直前の1秒を移動前の停止状態の期間と判別し、14.9秒の直後の1秒を移動後の停止状態の期間と判別する。
【0075】
このように、時系列データから、人1の移動前の停止状態の期間、人1の移動中の期間、および人1の移動後の停止状態の期間を判別でき、計測データのうち、移動前の停止状態の期間における時系列データ、移動中の期間における時系列データ、および移動後の停止状態の期間における時系列データを判別できる。
【0076】
図4に戻って、算出部33は、位置の時系列データを算出する(算出ステップ)(ステップS4)。たとえば、算出部33は、計測データからグローバル座標系での加速度の時系列データを算出し、当該加速度の時系列データを時間積分することによって、速度の時系列データを算出する。算出部33は、速度の時系列データを時間積分することによって、位置の時系列データを算出する。
【0077】
出力部35は、位置の時系列データを出力する(出力ステップ)(ステップS5)。たとえば、出力部35は、上述したようにして、位置の時系列データを出力する。
【0078】
図7は、実施例に係る速度の時系列データを示すグラフである。
図7の(a)は、X軸方向の速度の時系列データを示し、
図7の(b)は、Y軸方向の速度の時系列データを示し、
図7の(c)は、Z軸方向の速度の時系列データを示す。
図8は、実施例に係る位置の時系列データを示すグラフである。
図8の(a)は、X軸方向の位置の時系列データを示し、
図8の(b)は、Y軸方向の位置の時系列データを示し、
図8の(c)は、Z軸方向の位置の時系列データを示す。
図9は、実施例に係るX軸方向の位置とY軸方向の位置との関係を示すグラフである。
【0079】
図10は、比較例に係る速度の時系列データを示すグラフである。
図10の(a)は、X軸方向の速度の時系列データを示し、
図10の(b)は、Y軸方向の速度の時系列データを示し、
図10の(c)は、Z軸方向の速度の時系列データを示す。
図11は、比較例に係る位置の時系列データを示すグラフである。
図11の(a)は、X軸方向の位置の時系列データを示し、
図11の(b)は、Y軸方向の位置の時系列データを示し、
図11の(c)は、Z軸方向の位置の時系列データを示す。
図12は、比較例に係るX軸方向の位置とY軸方向の位置との関係を示すグラフである。
【0080】
図7~
図12において、モーションキャプチャに基づいて得られたデータを破線で示している。
【0081】
実施例と比較例とは、同じ計測データを使用している。実施例では、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを用いている。一方、比較例では、このような1つ以上のパラメータを用いていない。
【0082】
図7および
図10に示すように、実施例に係る速度の時系列データとモーションキャプチャを用いて検出された速度の時系列データとの差は、比較例に係る速度の時系列データとモーションキャプチャを用いて検出された速度の時系列データとの差よりも小さい傾向にあることがわかる。
【0083】
また、
図8および
図11に示すように、実施例に係る位置の時系列データとモーションキャプチャを用いて検出された位置の時系列データとの差は、比較例に係る位置の時系列データとモーションキャプチャを用いて検出された位置の時系列データとの差よりも小さい傾向にあることがわかる。
【0084】
また、
図9および
図12に示すように、実施例に係る人1の移動軌跡の終了位置とモーションキャプチャを用いて検出された人1の移動軌跡の終了位置とは概ね一致しているが、比較例に係る人1の移動軌跡の終了位置とモーションキャプチャを用いて検出された人1の移動軌跡の終了位置とは一致していないことがわかる。
【0085】
このように、計測データを用いて算出される人1の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを用いることによって、当該1つ以上のパラメータを用いない場合よりも、モーションキャプチャに基づいて得られる位置の時系列データに近づけることができ、より精度良く位置の時系列データを算出できた。
【0086】
本実施の形態に係る位置算出方法は、移動体(人1)に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器20によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得ステップ(ステップS2)と、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索ステップ(ステップS3)と、計測データおよび1つ以上のパラメータを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データを算出する算出ステップ(ステップS4)とを備える。
【0087】
これによれば、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置に関する誤差を最小化できる。したがって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データをより精度良く算出できる。
【0088】
また、本実施の形態に係る位置算出方法において、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置に関する誤差は、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置の平均値に関する誤差、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の平均値に関する誤差、および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含む。
【0089】
これによれば、移動体(人1)の移動前の位置の平均値に関する誤差、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の平均値に関する誤差、および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を最小化できる。したがって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データをさらに精度良く算出できる。
【0090】
また、本実施の形態に係る位置算出方法において、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の平均値に関する誤差は、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される移動体(人1)の移動後の位置との差を含む。
【0091】
これによれば、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される移動体(人1)の移動後の位置との差を最小化できる。したがって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データをさらに精度良く算出できる。
【0092】
また、本実施の形態に係る位置算出方法において、1つ以上のパラメータは、計測器20の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、計測器20の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、計測器20の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータ、および計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータを含む。
【0093】
これによれば、計測器20の加速度のオフセット誤差等を補正できるので、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データをさらに精度良く算出できる。
【0094】
また、本実施の形態に係る位置算出方法において、探索ステップ(ステップS3)では、ベイズ最適化を用いて1つ以上のパラメータを探索する。
【0095】
これによれば、1つ以上のパラメータを容易に探索できる。
【0096】
また、本実施の形態に係る位置算出装置30は、移動体(人1)に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器20によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得部31と、計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体(人1)の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索部32と、計測データおよび1つ以上のパラメータを用いて、移動体(人1)の位置の時系列データを算出する算出部33とを備える。
【0097】
これによれば、上記の位置算出方法と同様の作用効果を奏する。
【0098】
(他の実施の形態等)
以上、本発明に係る位置算出方法および位置算出装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0099】
(付記)
以上の実施の形態等の記載により、下記の技術が開示される。
【0100】
(技術1)
移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得ステップと、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索ステップと、
前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出ステップとを備える、
位置算出方法。
【0101】
(技術2)
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の平均値に関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置の変化の傾きに関する誤差、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する誤差、および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の変化の傾きに関する誤差を含む、
技術1に記載の位置算出方法。
【0102】
(技術3)
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値に関する前記誤差は、前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置の平均値と、カメラ、床反力計、および方眼紙の少なくとも1つを用いて検出される前記移動体の移動後の位置との差を含む、
技術2に記載の位置算出方法。
【0103】
(技術4)
前記1つ以上のパラメータは、前記計測器の加速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、前記計測器の加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、前記計測器の角速度のオフセット誤差を補正するパラメータ、前記計測器の角速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、重力加速度のスケールファクタ誤差を補正するパラメータ、前記計測器の初期チルト角のオフセット誤差を補正するパラメータ、および前記計測データを用いて算出される速度のオフセット誤差を補正するパラメータを含む、
技術1から3のいずれかに記載の位置算出方法。
【0104】
(技術5)
前記探索ステップでは、ベイズ最適化を用いて前記1つ以上のパラメータを探索する、
技術1から4のいずれかに記載の位置算出方法。
【0105】
(技術6)
移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得部と、
前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動前の位置および前記計測データを用いて算出される前記移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索部と、
前記計測データおよび前記1つ以上のパラメータを用いて、前記移動体の位置の時系列データを算出する算出部とを備える、
位置算出装置。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る位置算出方法等は、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて移動体の位置を算出する方法等に適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 人
10 位置算出システム
20 計測器
21 IMU
22 記憶部
30 位置算出装置
31 取得部
32 探索部
33 算出部
34 記憶部
35 出力部
【要約】
【課題】加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを用いて、移動体の位置の時系列データをより精度良く算出できる位置算出方法および位置算出装置を提供する。
【解決手段】位置算出方法は、移動体に取り付けられかつ加速度および角速度を計測する計測器20によって計測される計測データであって、加速度の時系列データおよび角速度の時系列データを含む計測データを取得する取得ステップ(ステップS2)と、計測データを用いて算出される移動体の移動前の位置および計測データを用いて算出される移動体の移動後の位置に関する誤差を最小化する1つ以上のパラメータを探索する探索ステップ(ステップS3)と、計測データおよび1つ以上のパラメータを用いて、移動体の位置の時系列データを算出する算出ステップ(ステップS4)とを備える。
【選択図】
図4