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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-12
(45)【発行日】2023-09-21
(54)【発明の名称】誘電体セラミックフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/205 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
H01P1/205 B
H01P1/205 K
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022527750
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020015604
(87)【国際公開番号】W WO2021096177
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0144935
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147854
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘ キム
(72)【発明者】
【氏名】サン ユーン キム
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076790(JP,A)
【文献】特開昭63-090202(JP,A)
【文献】特開平06-069703(JP,A)
【文献】特開平03-293802(JP,A)
【文献】特開昭62-118603(JP,A)
【文献】特開昭63-250901(JP,A)
【文献】特表2015-510353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側面が金属成分で囲まれ、セラミック素材で満たされた誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの内部に円形の水平断面を有する空間で形成されかつ、金属被膜によって前記誘電体ブロックと区分される複数の共振部と、
前記共振部の一側を覆うように前記誘電体ブロックに結合され、前記共振部に対応する部位に位置して前記共振部の空間に対応する形状変形により前記共振部の周波数をチューニングするチューニングカバーと、
前記複数の共振部の少なくともいずれか1つの一側から、残りの共振部のいずれか一側に延びたカップリングブリッジと、
前記複数の共振部のうちクロスカップリングに関与する共振部間に配置され、前記誘電体ブロックの一面と他面を貫通して形成された複数のカップリング隔壁とを含み、
前記クロスカップリング経路によってクロスカップリングが可能な場合であって、前記クロスカップリングに関与する共振部のいずれか1つの一側に位置した前記カップリングブリッジが前記共振部の他の1つに向かう一直線上に配置されていない場合、パスバンドの右側端にL-切欠が形成され、
前記クロスカップリングに関与する共振部のいずれか1つの一側に位置した前記カップリングブリッジが前記共振部の他の1つに向かう一直線上に配置されている場合、パスバンドの左側端にC-切欠が形成される、誘電体セラミックフィルタ。
【請求項2】
前記カップリングブリッジは、前記誘電体ブロックの一面に配置されかつ、前記クロスカップリングに関与する両共振部の間に相当する前記誘電体ブロックの他面の一部が切開形成されたブリッジ空間を横切るように配置された、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項3】
前記カップリングブリッジは、前記複数の共振部の金属被膜と同一の金属材質のバー形状からなる、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項4】
前記カップリング隔壁は、クロスカップリングに関与する共振部の一側外周面の一点および他側外周面の一点をそれぞれ連結する任意の直線区間であるクロスカップリング経路を完全に遮断しない長さおよび位置で設計される、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項5】
前記チューニングカバーは、前記複数の共振部全体を覆う単一カバーからなる、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項6】
前記チューニングカバーは、前記複数の共振部それぞれを覆う複数のカバーからなる、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項7】
前記複数の共振部は、前記誘電体ブロックの内部に信号が入力される入力コネクタが連結された第1共振部と、前記第1共振部とメインカップリングされるように前記第1共振部から信号を受信する第2共振部と、前記第2共振部とメインカップリングされるように前記第2共振部から信号を受信し、前記誘電体ブロックの外部に信号が出力される出力コネクタが連結された第3共振部とを含み、
クロスカップリングの可否は、前記第1共振部と前記第3共振部との間に存在する前記カップリング隔壁によって前記メインカップリング経路より前記クロスカップリング経路が狭くなったか否かによって決定される、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項8】
前記複数の共振部は、前記誘電体ブロックの内部に信号が入力される入力コネクタが連結された第1共振部と、前記第1共振部とメインカップリングされるように前記第1共振部から信号を受信する第2共振部と、前記第2共振部とメインカップリングされるように前記第2共振部から信号を受信する第3共振部と、前記第3共振部とメインカップリングされるように前記第3共振部から信号を受信する第4共振部と、前記第4共振部とメインカップリングされるように前記第4共振部から信号を受信する第5共振部と、前記第5共振部とメインカップリングされるように前記第5共振部から信号を受信する第6共振部とを含み、
クロスカップリングの可否は、前記クロスカップリングに関与する各共振部の間に存在する前記カップリング隔壁によって前記メインカップリング経路より前記クロスカップリング経路が狭くなったか否かによって決定される、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項9】
前記C-切欠の強度は、前記共振部の他の1つと前記カップリングブリッジとの離隔間隔に反比例する、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項10】
前記円形の水平断面を有する空間は、その一方端が開放端であり、他方端が閉鎖端であり、
前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、前記誘電体ブロックの一面と他面のうちそれぞれ前記複数の共振部の閉鎖された他面に配置された、請求項7に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項11】
前記金属被膜は、プレス加工方式で製造されて前記複数の共振部にそれぞれ配置される、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項12】
前記チューニングカバーは、アルミニウム材質、銅またはその合金材質、および鉄またはその合金材質のいずれか1つで備えられた、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項13】
前記チューニングカバーには、前記周波数のチューニング後に修正が必要な場合、前記チューニングされた周波数を修正するためのチューニング修正ホールが形成された、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項14】
前記複数の共振部は、前記チューニングカバーの外側で打刻装置によって前記チューニングカバーの内側面の形状が少なくとも1つ以上のドットピーン(dot peen)構造を形成しながら周波数チューニングされる、請求項1に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【請求項15】
前記打刻装置は、予め設定されたアルゴリズムによって前記チューニングカバーを打刻する、請求項14に記載の誘電体セラミックフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体セラミックフィルタ(DIELECTRIC CERAMIC FILTER)に関し、より詳しくは、クロスカップリングによる切欠の実現および周波数チューニングが容易な誘電体セラミックフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、無線通信サービスの種類が多くなるにつれて周波数環境が複雑化している。無線通信のための周波数は限られているので、無線通信チャネルをできるだけ隣接して周波数資源を有効に活用する必要性がある。
【0003】
しかし、多様な無線通信サービスが提供される環境で信号干渉が発生するので、アンテナは隣接した周波数資源間の信号干渉を最小化するためには、特定帯域に対する帯域フィルタを含む。
【0004】
一般的に、帯域フィルタの減衰特性改善のために伝送零点(transmission zero)(以下、切欠(notch))の適用が必須であり、これは、隣接しない共振素子の間にクロスカップリング(cross coupling)を適用して実現する。
【0005】
RFフィルタのうち、誘電体導波管フィルタは、周囲が導体膜で覆われた誘電体ブロックに切欠調整のための共振器を含む。
【0006】
共振器は、電磁波に共振特性を付与して特定周波数を制限するように設計される。この時、偶数個の共振器を渡ってクロスカップリング(cross coupling)させると、パスバンドの左右対称の切欠(notch)が発生し、奇数個の共振器を渡ってクロスカップリングさせると、カップリングの種類によって左側または右側に1個のnotchが発生することが一般的である。
【0007】
このような通信用フィルタの切欠の実現は、通信システムの性能によって非常に多様に実現する必要性があるが、通信システムの特性に適したフィルタを実現するには性能が制限的である。
【0008】
それにより、アンテナにおいて特定パスバンドの左右に切欠が実現できるように、フィルタを通信システムによって異なって設定される必要がある。
【0009】
特に、1個のクロスカップリングでパスバンドの左右に切欠を実現するにあたり、左右対称ではない、左側は強いカップリングをさせ、右側は弱いカップリングをさせなければならない場合、不可避に2個のクロスカップリング構造を用いるほかないが、このような2個のクロスカップリングの実現はフィルタの設計に多くの制約として作用し、特にフィルタの内部にクロスカップリングを実現するために追加する構造物を挿入しにくいセラミックフィルタ構造ではさらに大きな問題として作用する。
【0010】
また、パスバンドの左側または右側に2個の切欠を実現して所望の特性を満足させるために、奇数個の共振器を通るクロスカップリング2個を実現しなければならないため、多くの設計上の制約が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、セラミック導波管フィルタの生産歩留まりを維持しながらもクロスカップリング構造の実現が容易な誘電体セラミックフィルタを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、高い生産歩留まりの誘電体セラミックフィルタを提供することを他の目的とする。
【0013】
これとともに、本発明は、最適化された自動周波数チューニングの実現が可能な誘電体セラミックフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、同一体積でより高いQ値の実現が可能な誘電体セラミックフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【0015】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例による誘電体セラミックフィルタは、外側面が金属成分で囲まれ、セラミック素材で満たされた誘電体ブロックと、前記誘電体ブロックの内部に円形の水平断面を有する空間で形成されかつ、金属被膜によって前記誘電体ブロックと区分される複数の共振部と、前記共振部の一側を覆うように前記誘電体ブロックに結合され、前記共振部に対応する部位に位置して前記共振部の空間に対応する形状変形により前記共振部の周波数をチューニングするチューニングカバーとを含む。
【0017】
ここで、前記複数の共振部の少なくともいずれか1つの一側から、残りの共振部のいずれか一側に延びたカップリングブリッジをさらに含むことができる。
【0018】
また、前記カップリングブリッジは、前記誘電体ブロックの一面に配置されかつ、前記クロスカップリングに関与する両共振部の間に相当する前記誘電体ブロックの他面の一部が切開形成されたブリッジ空間を横切るように配置される。
【0019】
また、前記カップリングブリッジは、前記複数の共振部の金属被膜と同一の金属材質のバー形状からなる。
【0020】
また、前記複数の共振部のうちクロスカップリングに関与する共振部間の経路(以下、「クロスカップリング経路」と称する)が、少なくともメインカップリングに関与する隣接経路(以下、「メインカップリング経路」と称する)よりも縮小されるように、前記誘電体ブロックの一面と他面を貫通して形成された複数のカップリング隔壁をさらに含むことができる。
【0021】
また、クロスカップリング時、前記クロスカップリングに関与する各共振部の前記クロスカップリング経路上に前記カップリングブリッジが露出すると、パスバンドの左側端にC-切欠が形成される。
【0022】
また、クロスカップリング時、前記クロスカップリングに関与する各共振部の前記クロスカップリング経路上に前記カップリングブリッジが露出しなければ、パスバンドの右側端にL-切欠が形成される。
【0023】
また、前記カップリング隔壁は、クロスカップリングに関与する共振部の一側外周面の一点および他側外周面の一点をそれぞれ連結する任意の直線区間であるクロスカップリング経路を完全に遮断しない長さおよび位置で設計される。
【0024】
また、前記チューニングカバーは、前記複数の共振部全体を覆う単一カバーからなる。
【0025】
また、前記チューニングカバーは、前記複数の共振部それぞれを覆う複数のカバーからなる。
【0026】
また、前記複数の共振部は、前記誘電体ブロックの内部に信号が入力される入力コネクタが連結された第1共振部と、前記第1共振部とメインカップリングされるように前記第1共振部から信号を受信する第2共振部と、前記第2共振部とメインカップリングされるように前記第2共振部から信号を受信し、前記誘電体ブロックの外部に信号が出力される出力コネクタが連結された第3共振部とを含み、クロスカップリングの可否は、前記第1共振部と前記第3共振部との間に存在する前記カップリング隔壁によって前記メインカップリング経路より前記クロスカップリング経路が縮小されたか否かによって決定可能である。
【0027】
また、前記複数の共振部は、前記誘電体ブロックの内部に信号が入力される入力コネクタが連結された第1共振部と、前記第1共振部とメインカップリングされるように前記第1共振部から信号を受信する第2共振部と、前記第2共振部とメインカップリングされるように前記第2共振部から信号を受信する第3共振部と、前記第3共振部とメインカップリングされるように前記第3共振部から信号を受信する第4共振部と、前記第4共振部とメインカップリングされるように前記第4共振部から信号を受信する第5共振部と、前記第5共振部とメインカップリングされるように前記第5共振部から信号を受信する第6共振部とを含み、クロスカップリングの可否は、前記クロスカップリングに関与する各共振部の間に存在する前記カップリング隔壁によって前記メインカップリング経路より前記クロスカップリング経路が縮小されたか否かによって決定可能である。
【0028】
また、前記クロスカップリング経路によってクロスカップリングが可能な場合、前記クロスカップリングに関与する共振部のいずれか1つの一側に位置した前記カップリングブリッジが前記共振部の他の1つの一直線上に露出しなければ、パスバンドの右側端にL-切欠が形成され、前記クロスカップリングに関与する共振部のいずれか1つの一側に位置した前記カップリングブリッジが前記共振部の他の1つの一直線上に露出すると、パスバンドの左側端にC-切欠が形成される。
【0029】
また、前記L-切欠の強度は、前記カップリング隔壁によって前記クロスカップリング経路の開放程度に比例することができる。
【0030】
また、前記C-切欠の強度は、前記共振部の他の1つと前記カップリングブリッジとの離隔間隔に反比例することができる。
【0031】
また、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、前記誘電体ブロックの一面と他面のうちそれぞれ前記複数の共振部の閉鎖された他面に配置される。
【0032】
また、前記金属被膜は、プレス加工方式で製造されて前記複数の共振部にそれぞれ配置される。
【0033】
また、前記チューニングカバーは、アルミニウム材質、銅またはその合金材質、および鉄またはその合金材質のいずれか1つで備えられる。
【0034】
また、前記チューニングカバーには、前記周波数のチューニング後に修正が必要な場合、前記チューニングされた周波数を修正するためのチューニング修正ホールが形成される。
また、前記複数の共振部は、前記チューニングカバーの外側で打刻装置によって前記チューニングカバーの内側面の形状が少なくとも1つ以上のドットピーン(dot peen)構造を形成しながら周波数チューニングされる。
【0035】
また、前記打刻装置は、予め設定されたアルゴリズムによって前記チューニングカバーを打刻することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施例による誘電体セラミックフィルタによれば、次の多様な効果を達成することができる。
【0037】
第一、セラミック素材からなる誘電体ブロックを含むことから、セラミック導波管フィルタの生産歩留まりを維持しながらもクロスカップリング構造の実現が可能という効果を有する。
【0038】
第二、最適化された自動周波数チューニングの実現が可能という効果を有する。
【0039】
第三、同一体積でより高いQ値の実現が可能という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1実施例による誘電体セラミックフィルタを示す分解切開斜視図である。
図2】本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタを示す斜視図である。
図3図2の分解斜視図である。
図4図2のA-A線に沿った断面図である。
図5図2のA-A線に沿った切開斜視図である。
図6図2のA-A線に沿った断面図である。
図7図2のA-A線に沿った切開斜視図である。
図8図2の構成のうち共振部に対する周波数チューニング方法の一例を示す断面図である。
図9】打刻装置による自動周波数チューニングの概念を説明するためのシステム図である。
図10A】本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタの生成切欠タイプ別のカップリング隔壁の形状およびカップリングブリッジの様子を示す平面図である。
図10B】本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタの生成切欠タイプ別のカップリング隔壁の形状およびカップリングブリッジの様子を示す平面図である。
図11】カップリング隔壁またはカップリングブリッジがない実施例の周波数特性を示すグラフである。
図12A図10Aの透視斜視図である。
図12B図10Bの透視斜視図である。
図13】L-カップリングまたはC-カップリングの実現原理を説明するための概念図である。
図14図10Aおよび図12Aの第2実施例による誘電体セラミックフィルタを用いたクロスカップリングの周波数特性を示すグラフである。
図15図10Bおよび図12Bの第2実施例による誘電体セラミックフィルタを用いたクロスカップリングの周波数特性を示すグラフである。
図16】本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ(1”)を示す斜視図である。
図17図16の誘電体ブロックからチューニングカバーが除去された状態を示す分解斜視図である。
図18図16の構成のうち誘電体ブロックを示す投影斜視図である。
図19図16の構成のうち誘電体ブロックを示す平面図である。
図20】本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ(1”)のクロスカップリング実現時の周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施例による誘電体セラミックフィルタを、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合は、その詳細な説明は省略する。
【0043】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願で明確に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0044】
図1は、本発明の第1実施例による誘電体セラミックフィルタを示す分解切開斜視図である。
【0045】
本発明の第1実施例による誘電体セラミックフィルタ1は、図1に示されるように、外側面が金属成分の被膜で囲まれ、内部はセラミック素材で満たされた誘電体ブロック10と、誘電体ブロック10の内部に溝状の空間で形成された共振部11と、共振部11の一側を覆うように誘電体ブロック10に結合されたチューニングカバー20とを含む。
【0046】
ここで、共振部11は、図1に示されるように、1つの誘電体ブロック10に単数個で備えられてもよいことはもちろん、後述する実施例のように、1つの誘電体ブロック10に3個の共振部11または6個の共振部11が備えられてもよい。
【0047】
以下では、1つの誘電体ブロック10に共振部11が単数個で備えられた実施例を第1実施例(1)と定義し、1つの誘電体ブロック10に共振部11が3個で備えられた実施例を第2実施例(1’)と定義し、1つの誘電体ブロック10に共振部11が6個で備えられた実施例を第3実施例(1”)と定義して説明する。
【0048】
以下、本発明の第1実施例による誘電体セラミックフィルタ1をより詳細に説明する。
【0049】
誘電体ブロック10は、別途に図示しないが、外側面が金属成分の被膜でめっき処理されて囲まれる。これは、誘電体ブロック10が粉末または粉状に備えられたセラミック素材を圧着(または圧縮)して所定の形状をなすが、金属成分によって囲まれるように備えられることにより、外部から形状変形および破損するのを防止するためである。このために、金属成分は、めっき処理より強度がより強い金属ケースで備えられる。
【0050】
これとともに、共振部11は、図1に示されるように、誘電体ブロック10の一部が削除または除去された状態の空間形態で備えられる。より詳しくは、共振部11は、誘電体ブロック10の一側と他側のうち一側が開口しかつ、円形の水平断面を有する溝状に加工形成される。
【0051】
一方、共振部11は、誘電体ブロック10の外部に塗膜された金属成分と同一の材質または異なる材質の金属被膜12によってセラミック素材で備えられた誘電体ブロック10とは物理的に区分されて形成される。
【0052】
金属被膜12は、共振部11を構成する空間の内側面および共振部の開口した一側とチューニングカバー20との間の空間に相当する誘電体ブロック10の対向面に配置される。
【0053】
これとともに、誘電体ブロック10の対向面には、誘電体ブロック10に塗膜された金属成分の被膜と共振部11を形成する金属被膜12との区別のために、両者間を区分する非めっき層が円形のリング状に形成される。
【0054】
ここで、金属被膜12は、空間形態で備えられた共振部11内で周波数チューニングを可能にするための構成であって、アルミニウム素材で備えられる。しかし、金属被膜12がアルミニウム素材によって限定されるものではなく、セラミック素材に相応する膨脹係数を有するものであれば、いかなる金属素材で備えられても構わない。
【0055】
金属被膜12は、共振部11を構成する空間内側に塗布方式で一定の厚さ塗布されることも可能であるが、薄い厚さの金属板材をプレス加工により製造し、共振部11を構成する空間内側に圧入設置する方式で設けられることも可能である。これは、後述する第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’および第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”にもそのまま適用可能である。
【0056】
一方、チューニングカバー20は、誘電体ブロック10の一側と他側のうち、上述のように、共振部11が開口した一側に相当する誘電体ブロック10の一側を覆うように誘電体ブロック10に結合される。
【0057】
一般的に、誘電体セラミックフィルタにおいて誘電体ブロック10を覆うように備えられたカバーは、外部から異物が共振部11の内側に流入するのを防止するための機能に限られ、誘電体セラミックフィルタの共振部の周波数チューニングは、共振部の表面の一部を研磨して内部体積を変更することにより、周波数を変化させて実施する。しかし、本発明による誘電体セラミックフィルタの実施例は、前記カバーに異物流入防止機能とともに、周波数チューニング機能をさらに付与したチューニングカバー20で備えられる。
【0058】
チューニングカバー20は、共振部11の周波数をチューニングするチューニング修正ホール21を含むことができる。チューニング修正ホール21は、チューニングカバー20に備えられかつ、共振部11の円形の水平断面中心に対応する部位に位置して、後述する打刻装置30によって周波数チューニングしようとする場合、当該共振部11の空間を視覚的に確認できるようにすることはもちろん、打刻装置30によって行われてセットされた周波数を修正しようとする場合、図示しない修正装置を用いて修正するための穴としての機能を行う。
【0059】
ここで、チューニングカバー20は、共振部11の空間に対応する形状変形により共振部11の周波数をチューニングする役割を果たす。より詳細には、チューニングカバー20は、共振部11を構成する空間内部の体積変化を起こすことにより、使用者による所望の周波数チューニングを可能にする。これについては、後でより詳しく説明する。
【0060】
チューニングカバー20の厚さは、後述する打刻装置30によってチューニングカバーの内側面の形状がドットピーン20’(dot peen)構造を形成できる程度の厚さを有することが好ましい。チューニングカバー20の厚さが厚すぎる場合には、打刻装置30によるドットピーン20’構造の形成が難しく、チューニングカバー20の厚さが薄すぎる場合には、打刻装置30によるドットピーン20’構造の形成過程で穿孔発生の恐れがあるので、適正形状のドットピーン20’構造を形成できる厚さに設定されなければならない。
【0061】
これとともに、チューニング修正ホール21は、チューニングカバー20に形成されたものであって、より詳しくは、チューニングカバー20のうち共振部11の円形の水平断面中心に対応する部位にホール状に貫通形成可能である。
【0062】
ここで、チューニングカバー20上でドットピーン20’構造が形成される位置は、チューニング修正ホール21近傍であり、仮に、チューニング修正ホール21から所定距離離隔した部分内に形成される。具体的には、共振部11を構成する空間内部の体積変化を起こすためには、できるだけ共振部11周辺のチューニングカバー20を打刻することが効率的であるので、ドットピーン20’の位置がチューニング修正ホール21から所定距離離隔した部分内に形成されるようにし、好ましくは、チューニングカバー20のうち共振部11に構成された金属被膜12に対応する位置にドットピーン20’が形成されるようにする。
【0063】
チューニングカバー20は、アルミニウム材質からなる。しかし、必ずしもチューニングカバー20がアルミニウム材質からなるべきではなく、銅(合金)または鉄(合金)材質からなってもよい。この時、チューニングカバー20は、半田付け作業の容易性のために銀めっきされてもよい。
【0064】
本発明の第1実施例による誘電体セラミックフィルタ1において、チューニングカバー20は、従来のチューニングねじおよび固定用ナット(図示せず)の締結構造を代替できる構成である。周波数チューニングは、当該フィルタリング特性をモニタリングしながらフィルタリング特性が最適化されるか、または基準値を満足するまで当該チューニングカバー20の内側面の形状変形により当該共振部11の体積変化を起こすように(共振部11空間の体積が変化してチューニングカバー20の内側面と共振部11との間のキャパシタンス値を大きくする)、打刻装置30を介して少なくとも1つ以上のドットピーン20’(dot peen)構造を形成することにより実現できる。
【0065】
一方、チューニングカバー20は、金属成分で囲まれた誘電体ブロック10の一側面(より好ましくは、共振部11として開口した一側部分)に半田付け方式で結合される。チューニングカバー20には、半田付け結合が正常に行われたかを視覚的に確認するための少なくとも1つの検査ホール23が設けられる。検査ホール23は、使用者が誘電体ブロック10の一側面を観察できるようにチューニングカバー20を貫通して形成される。
【0066】
図2は、本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタを示す斜視図であり、図3は、図2の分解斜視図であり、図4は、図2のA-A線に沿った断面図であり、図5は、図2のA-A線に沿った切開斜視図であり、図6は、図2のA-A線に沿った断面図であり、図7は、図2のA-A線に沿った切開斜視図である。
【0067】
本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、図2図7に示されるように、金属成分で囲まれ、セラミックで満たされた誘電体ブロック10と、誘電体ブロック10の内部に相互所定距離離隔して配置されかつ、誘電体ブロック10の内部に水平断面を有する空間で形成され、金属被膜12によって誘電体ブロック10と区分されるように備えられた3個の共振部11と、3個の共振部11の一側を覆うように誘電体ブロック10に結合されたチューニングカバー20とを含む。
【0068】
ここで、チューニングカバー20は、上述した第1実施例による誘電体セラミックフィルタ1におけるのと同様に、3個の共振部11に対応する部位の打刻形状変形により共振部11の周波数をチューニングする役割を果たすことができる。チューニングカバー20には、3個のチューニング修正ホール21a、21b、21cがそれぞれ対応する部位に形成される。第1実施例と同じく、チューニングカバー20上でドットピーン20’構造が形成される位置は、チューニング修正ホール21a、21b、21cから所定距離離隔し、共振部11に構成された金属被膜12に対応する位置であってもよい。
【0069】
本発明の第2実施例は、上述した本発明の第1実施例とは異なり、1つの誘電体ブロック10内に3個の共振部11a、11b、11cが備えられるとともに、1つのチューニングカバー20を介して3個の共振部11a、11b、11cそれぞれの周波数チューニングが可能に設けられたものであり、以下に説明する本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、上述した差異を除けば、本発明の第1実施例の構成と同一であると見なして説明し、繰り返される内容は省略する。
【0070】
誘電体ブロック10は、略頂点部位がラウンドになり厚さの小さい三角柱形状に形成され、誘電体ブロック10の一側面を覆うように備えられたチューニングカバー20も、これに対応する形状のカバーで備えられる。すなわち、1つの誘電体ブロック10に3個の共振部11a~11cが備えられた場合、チューニングカバー20a~20cも、それぞれの共振部11a~11cを覆うように3個で備えられる。
【0071】
3個の共振部11は、誘電体ブロック10の内部にそれぞれ相互所定距離離隔するように配置されかつ、各円形の水平断面中心が正三角形または二等辺三角形をなすように配置される。
【0072】
ここで、3個の共振部11a~11cは、上述のように、金属被膜12を含み、金属被膜12は、3個の共振部11a~11cが開口した誘電体ブロック10の一面から外側に直交するように折曲げられて半径方向に所定距離延びることができる。
【0073】
一方、3個の共振部11には、それぞれ誘電体ブロック10の表面に形成された金属被膜との電気的な区分のために設けられた共振部の非めっき層13が備えられる。共振部の非めっき層13は、誘電体ブロック10の一面に折曲延長された金属被膜12の外周部位を囲むリング状に形成される。
【0074】
このように、本発明の第2実施例(1’)では、後述するクロスカップリング(Cross-coupling)による切欠形成のために3個の共振部11で設けられたことを例示しているが、本発明の第3実施例(1”)におけるのと同様に、クロスカップリングの実現が可能な限り、3個以上の共振部11(すなわち、6個の共振部11a~11f)が設けられても構わない。
【0075】
ここで、カップリング(Coupling)は、独立した空間または線路間で電/磁界的に交流信号エネルギーが相互伝達される現象と定義することができ、カップリングのうち共振部間の後述するメインカップリング経路を介して順次にカップリングされることを「メインカップリング(Main-coupling)」と定義することができ、カップリングのうち共振部間の後述するクロスカップリング経路を介して順次ではない少なくとも1つの共振部を渡ってカップリングされることを「クロスカップリング(Cross-coupling)」と定義することができる。
【0076】
ここで、3個の共振部11は、信号が入力される入力コネクタ(後述する図12Aおよび12Bの図面符号「17a」参照)が連結された第1共振部11aと、第1共振部11aから信号を受信する第2共振部11bと、第2共振部11bから信号を受信し、誘電体ブロック10の外側に信号を出力する出力コネクタ(後述する図12Aおよび12Bの図面符号「17b」参照)が連結された第3共振部11cとにより定義される。
【0077】
第1共振部11a、第2共振部11bおよび第3共振部11cは、すべて誘電体ブロック10の一側に開口して形成され、誘電体ブロック10の他側は閉鎖された形態として、略円形の溝形状に形成されるものであるが、入力コネクタと出力コネクタは、誘電体ブロック10の一面と他面のうちそれぞれ第1共振部11aおよび第3共振部11cの閉鎖された他面に溝形状に形成された入力ポートホール18aおよび出力ポートホール18bにそれぞれの一端部が挿入配置される。
【0078】
前述した本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、すでに公知のセラミック導波管フィルタに比べて生産歩留まりを大きく改善させるという利点を提供する。より詳しくは、公知のセラミック導波管フィルタは、図示しないが、セラミック素材で満たされた誘電体ブロック10を貫通するように導波管を形成し、誘電体ブロック10の表面を研磨して周波数チューニングを行うことが一般的であった。
【0079】
ところが、誘電体ブロック10は、粉末のセラミック素材を圧縮(圧着)して製造されることにより、硬化温度および密度の変化に応じてチューニングしようとする周波数位置の差が多いので、歩留まりが良くなく、誘電体ブロック10の表面を研磨して行う周波数チューニングの場合には、可変量が50MHz程度に過ぎない。
【0080】
また、誘電体ブロック10の一側と他側を貫通する導波管形態では、L-切欠の実現は別としても、C-切欠の実現は非常に難しいのが現状であり、C-切欠を実現するためには、別のカップリングワイヤ(coupling wire)を必要とする問題があった。
【0081】
しかし、セラミック素材で備えられた誘電体ブロック10にカップリングワイヤを半田付け方式で連結したり、誘電体ブロック10の内部に挿入連結することは非常に難しいのが現状であり、導波管形態を取ることにより、上述した入力コネクタおよび出力コネクタの位置も、誘電体ブロック10の側面に位置設定しなければならないという限界があった。
【0082】
本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、上述した公知のセラミック導波管フィルタの問題点を改善することができる。すなわち、誘電体ブロック10の3個の共振部11の開口した一側を覆うように設けられたチューニングカバー20を用いた周波数チューニングにより、L-切欠のみならず、C-切欠の実現も極めて簡単に行えるだけでなく、打刻方式による周波数チューニングの可変量は200MHz程度とその範囲が非常に広くて歩留まりが大きく向上でき、入力コネクタおよび出力コネクタの位置設定も、別の連結ワイヤを備えることがなくても、誘電体ブロック10の他側面(図面上、誘電体ブロック10の下部)に位置させることができるという利点を有する。
【0083】
図8は、図2の構成のうち共振部に対する周波数チューニング方法の一例を示す断面図であり、図9は、打刻装置による自動周波数チューニングの概念を説明するためのシステム図である。
【0084】
以下、本発明の第1実施例および第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’を用いて周波数チューニングする過程を、図8および図9を参照して簡略に説明する。ここでの周波数チューニング過程は、後述する第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”の周波数チューニング時にそのまま適用可能であることは当然である。
【0085】
図9に示されるように、周波数チューニング対象である本発明の第1実施例および第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’を打刻ピン31を備えた打刻装置30の棚に据え置く。ここで、打刻装置30は、通常のドットピーンマーキングマシンで備えられる。誘電体セラミックフィルタ1、1’の動作特性は計測装置40により計測されるが、このために、計測装置40は、誘電体セラミックフィルタ1、1’に予め設定された周波数の入力信号を提供し、その出力を受けるように誘電体セラミックフィルタ1、1’と連結される。
【0086】
計測装置40で計測された誘電体セラミックフィルタ1、1’の動作特性は、PCなどで実現できる制御装置50に提供され、制御装置50は、誘電体セラミックフィルタ1、1’の動作特性をモニタリングしながら、フィルタリング特性が最適化されるか、または基準値を満足するまで打刻装置30の動作を制御して、打刻装置30がチューニングカバー20に適切な個数および形状のドットピーン20’構造を形成するようになる。
【0087】
ここで、制御装置50には、予め格納されたアルゴリズムによって打刻装置30を動作させることにより、クロスカップリングによるC-切欠の生成、すなわち容量性カップリング(capacitive coupling)を極めて簡明に実現することができる。
【0088】
図10Aおよび図10Bは、本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタの生成切欠タイプ別のカップリング隔壁の形状およびカップリングブリッジの様子を示す平面図であり、図11は、カップリング隔壁またはカップリングブリッジがない実施例の周波数特性を示すグラフであり、図12Aおよび図12Bは、それぞれ図10Aおよび図10Bの透視斜視図であり、図13は、L-カップリングまたはC-カップリングの実現原理を説明するための概念図であり、図14は、図10Aおよび図12Aの第2実施例による誘電体セラミックフィルタを用いたクロスカップリングの周波数特性を示すグラフであり、図15は、図10Bおよび図12Bの第2実施例による誘電体セラミックフィルタを用いたクロスカップリングの周波数特性を示すグラフである。
【0089】
本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、図10Aおよび図10Bに示されるように、誘電体ブロック10に加工形成されたカップリング隔壁15をさらに含むことができる。
【0090】
カップリング隔壁15は、クロスカップリングによる切欠特性を付与するために形成されたものであって、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にクロスカップリング実現のためにキャビティ加工されたものである。キャビティ加工とは、空間形態の隔壁を意味するものであって、誘電体ブロック10を貫通して形成されたものを含む概念である。
【0091】
より詳しくは、入力コネクタ17aが備えられた第1共振部11aの信号入力と出力コネクタ17bが備えられた第3共振部11cの信号出力との間には、各共振部11の連結関係(すなわち、第1共振部11a-第2共振部11b-第3共振部11cの連結)によってメインカップリングが形成され、カップリング隔壁15の形成によって、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にはクロスカップリングが形成される。
【0092】
以下では、説明の便宜のために、メインカップリングが形成されるための第1共振部11aと第2共振部11bとの間の経路および第2共振部11bと第3共振部11cとの間の経路を「メインカップリング経路」と定義して称し、クロスカップリングが形成されるための第1共振部11aと第3共振部11cとの間の経路を「クロスカップリング経路」と定義して称する。
【0093】
カップリング隔壁15は、少なくともクロスカップリング経路をメインカップリング経路の幅より縮小させる役割を果たすことにより、第1共振部11aと第2共振部11bとの間のメインカップリングだけでなく、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にクロスカップリング可能にするための構造物と定義される。
【0094】
ここで、クロスカップリング経路は、クロスカップリングが可能でなければならない点から、少なくとも第1共振部11aと第3共振部11cとの間を完全に遮断する構造であってはならない。より詳しくは、図10Aに示されるように、カップリング隔壁15は、クロスカップリングに関与する第1共振部11aの外周の任意の一点と第3共振部11cの外周の任意の一点とを連結する直線と干渉されない位置および長さで設計されることが好ましい。カップリング隔壁15によってクロスカップリング経路が完全に遮断される場合には、クロスカップリングの実現が不可能である。
【0095】
このように、クロスカップリング経路を形成するカップリング隔壁15の存否によって、第1共振部11aと第3共振部11cとの間には誘導性カップリング(inductive coupling)または容量性カップリング(capacitive coupling)のいずれか1つのクロスカップリングが可能になる。すなわち、クロスカップリングの可否は、クロスカップリングに関与する各共振部11a、11cの間に存在するカップリング隔壁15によってメインカップリング経路よりクロスカップリング経路が縮小されたか否かによって決定可能である。
【0096】
しかし、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にクロスカップリングが可能な場合でも、これにより実現されるカップリングの種類が、必ずしも誘導性カップリングなのか、それともキャパシタンスカップリングなのかを区分する要素ではない。クロスカップリングの種類が誘導性カップリングなのか、キャパシタンスカップリングなのかは、後述するカップリングブリッジ16が両共振部11a、11cの間に関与するか否かで区分することができる。
【0097】
すなわち、本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、図10Bに示されるように、上述したカップリング隔壁15に併せて、クロスカップリングに関与する各共振部11a、11cに露出するか否かによってクロスカップリングの種類を区分するカップリングブリッジ16をさらに含むことができる。
【0098】
カップリングブリッジ16は、誘電体ブロック10の表面にめっき層としてバー(bar)形状に被膜形成される。カップリングブリッジ16の周辺には、誘電体ブロック10の表面にめっきされた金属被膜の区別のために、ブリッジの非めっき部16aがめっきの剥がれた形態で設けられる。
【0099】
ここで、ブリッジの非めっき部16aは、クロスカップリングに関与する両共振部(例えば、図10Bおよび図12Bの図面符号11aおよび11c)の周辺に形成された共振部の非めっき部13と重なっていても構わない。
【0100】
一方、カップリングブリッジ16が備えられた誘電体ブロック10の一面に対向する他面にはブリッジ空間16bが形成される。
【0101】
ブリッジ空間16bは、クロスカップリングに関与する共振部(すなわち、図10Bおよび図12Bの第1共振部11aおよび第3共振部11c)の間に相当する誘電体ブロック10の他面側を切開して除去されるようにすることで、相対的に両共振部11a、11c間のL-カップリング要素であるH-field(磁界)要素の影響力を最小化し、カップリングブリッジ16を用いるC-カップリング要素であるE-field(電界)要素の影響力を強化させる役割を果たす。
【0102】
ここで、カップリングブリッジ16は、誘電体ブロック10の一面に配置されかつ、両共振部11a、11cの間に形成されたブリッジ空間16bを横切るように配置される。
【0103】
特に、カップリングブリッジ16は、両共振部11a、11cの各中心を結ぶ任意の直線上に配置されても構わないが、前記任意の直線をオーバーラップされて形成されたカップリング隔壁15との関係から、前記任意の直線からより外側に離隔した部位に「-」状に形成されることが好ましい。
【0104】
このような構成からなるカップリングブリッジ16は、クロスカップリングの切欠特性が次のように区分決定される重要な要素になる。
【0105】
より詳しくは、図10Aおよび図12Aに示されるように、カップリング隔壁15が、入力コネクタ17aが連結される位置に対応して形成された第1共振部11aと、出力コネクタ17bが連結される位置に対応して形成された第3共振部11cとの間を完全に区画しない長さに形成されて、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にメインカップリング経路より縮小されたクロスカップリング経路を形成するとともに、クロスカップリングに関与するカップリングブリッジ16が備えられていない場合、パスバンドの右側端にL-切欠を形成する誘導性カップリング(Inductive Coupling)を実現することができる。
【0106】
逆に、カップリング隔壁15が、入力コネクタ17aが連結される位置に対応して形成された第1共振部11aと、出力コネクタ17bが連結される位置に対応して形成された第3共振部11cとの間を完全に区画しない長さに形成されて、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にメインカップリング経路より縮小されたクロスカップリング経路を形成するとともに、クロスカップリングに関与するカップリングブリッジ16が備えられて露出した場合、パスバンドの左側端にC-切欠を形成する容量性カップリングを実現することができる。
【0107】
ここで、カップリングブリッジ16が露出するとの意味は、第1共振部11aと第3共振部11cとの間にクロスカップリング経路が形成されない場合であっても、第1共振部11aまたは第3共振部11cの間に位置したカップリングブリッジ16を介在させて相互関与すると理解することができる。すなわち、第1共振部11aとカップリングブリッジ16とが物理的に完全に連結されたものではなく、第3共振部11cとカップリングブリッジ16とが物理的に完全に連結されたものではないとしても、カップリングブリッジ16を介して新しい経路が形成されたと理解すれば十分である。
【0108】
カップリングブリッジ16が備えられない実施例として、カップリング隔壁15は、図10Aおよび図12Aに示されるように、第1共振部11aと第2共振部11bとの間および第2共振部11bと第3共振部11cとの間は、各共振部11a-11bおよび11b-11cの中心点を結ぶ任意の直線をオーバーラップしない長さに形成され、第1共振部11aと第3共振部11cとの間は、各共振部11a-11cの中心点を結ぶ任意の直線をオーバーラップしない長さに形成される。したがって、カップリング隔壁15bは、図10Bおよび図12Bに示されるように、第1共振部~第3共振部11a~11cの間に「Y」状に備えられる。
【0109】
一方、カップリングブリッジ16は、クロスカップリングの種類のうち容量性カップリングの実現時にのみ適用される追加構造物としての役割を果たすことができる。すなわち、カップリングブリッジ16の存否によってクロスカップリングの種類が変更可能である。
【0110】
このような役割を果たすカップリングブリッジ16は、図10Bおよび図12Bに示されるように、各共振部11a~11cが開口した誘電体ブロック10の一面に導電性材質である金属材質が所定の厚さに被膜されているバー(bar)形状に形成される。
【0111】
ここで、カップリングブリッジ16は、第1共振部11aと第3共振部11cとの間のクロスカップリングの実現時、図10Aおよび図12Aとは異なり、容量性カップリングされてパスバンドの左側端にC-切欠を形成できる追加要素として機能する。
【0112】
第1共振部11aと第3共振部11cとの間のクロスカップリングの実現時、生成される切欠タイプに関する実験的結果を通して、第2実施例によるセラミック誘電体フィルタ1’の具体的な構成の機能を次のように推測することができる。
【0113】
図11は、第1共振部~第3共振部11a~11cの間にクロスカップリングが行われない場合の一般的な周波数特性を示すが、図11を参照すれば、カップリング隔壁15によって第1共振部11aおよび第3共振部11cのクロスカップリング経路が完全に遮断された場合には、別のカップリングブリッジ16が備えられていない場合、パスバンドの左右両端にいかなる切欠も形成されないことが分かる。
【0114】
一方、図3図7および図10A図10Bに示されるように、第1共振部11aと第3共振部11cとの間でクロスカップリングを実現すれば、カップリング隔壁15の存在だけでも誘導性カップリングによる「L-切欠(L-Notch)」および容量性カップリングによる「C-切欠(C-Notch)」のいずれか1つが形成される。
【0115】
推測するに、入力コネクタ17aを介して入力された信号がセラミック材質の誘電体ブロック10という媒質を介在させて第1共振部11aに入力された後、第1共振部11aと第2共振部11bとの間には、同一のセラミック材質である誘電体ブロック10という媒質を介在させてメインカップリングされるとともに、第1共振部11aと第3共振部11cとの間には、メインカップリング経路より縮小されたクロスカップリング経路がカップリング隔壁15によって形成された場合、第1共振部11aにおいてH-fieldである水平方向への方向性を有する磁界要素を利用して、同一のセラミック材質である誘電体ブロック10という媒質を介して第3共振部11cとクロスカップリングされると理解することができる。
【0116】
この時、カップリングブリッジ16が第1共振部11aと第3共振部11cとの間に関与しない実施例(図10Aおよび図12A)の場合には、H-field(磁界)要素によるL-カップリングで実現されるものであって、パスバンドの右側端にL-切欠が形成される。
【0117】
逆に、カップリングブリッジ16が第1共振部11aと第3共振部11cとの間で関与する場合、第1共振部11aにおいてE-fieldである垂直方向への方向性を有する電界要素を利用して、誘電体ブロック10の表面に形成された金属材質のカップリングブリッジ16を介在させて第3共振部11cとC-カップリングを実現することにより、パスバンドの左側端にC-切欠が形成される。
【0118】
特に、内部面が金属被膜12で塗膜形成された独立した機能を行う共振部11a、11cそれぞれの間にクロスカップリング経路を形成するカップリング隔壁15は、その形成位置および形態(長さ的要素を含む)によってパスバンドの右側端に形成されるL-切欠の強度および位置を決定する重要な要素になり得る。すなわち、L-切欠の強度は、カップリング隔壁15によってクロスカップリング経路の開放程度に比例するものと定義することができる。
【0119】
また、クロスカップリングされる第1共振部11aおよび第3共振部11cの間に関与するカップリングブリッジ16は、その形成位置および形態(長さ的要素を含む)によってパスバンドの左側端に形成されるC-切欠の大きさおよび位置を決定する重要な要素になり得る。すなわち、C-切欠の強度は、共振部11a、11cの他の1つ(例えば、第3共振部11c)とカップリングブリッジ16との離隔間隔に反比例するものと定義することができる。
【0120】
本発明の第2実施例による誘電体セラミックフィルタ1’は、3個の共振部11a~11cと、カップリング隔壁15およびカップリングブリッジ16の形状および位置(長さ的要素を含む)によるクロスカップリング時の切欠特性を説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した第2実施例に限定されるものではなく、より多い個数の共振部を含む実施例で実現できることはもちろんである。この場合、カップリング隔壁15およびカップリングブリッジ16の形状および位置設計が複雑になりうることは当然である。
【0121】
図16は、本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”を示す斜視図であり、図17は、図16の誘電体ブロックからチューニングカバーが除去された状態を示す分解斜視図であり、図18は、図16の構成のうち誘電体ブロックを示す投影斜視図であり、図19は、図16の構成のうち誘電体ブロックを示す平面図であり、図20は、本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”のクロスカップリング実現時の周波数特性を示すグラフである。
【0122】
本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”は、図16図19に示されるように、セラミック材質の誘電体材質からなる誘電体ブロック10と、誘電体ブロック10の一面にそれぞれ所定距離離隔して配置された6個の共振部11a~11fと、少なくとも誘電体ブロック10の一面に配置された6個の共振部11a~11fそれぞれを覆うように配置された少なくとも1つのチューニングカバー20とを含むことができる。
【0123】
誘電体ブロック10の他面には、図示しないが、所定の信号を入力または出力するように備えられた入力ポートホールおよび出力ポートホールがそれぞれ形成され、入力ポートホールおよび出力ポートホールには入力コネクタ17aおよび出力コネクタ17bが連結される。
【0124】
また、誘電体ブロック10の他面には、上述した入力コネクタ17aおよび出力コネクタ17bと電気的に連結されるフィルタPCB19が配置される。
【0125】
一方、本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”は、図16図19に示されるように、各共振部11a~11f間のクロスカップリング時、パスバンドの左側端に切欠特性(すなわち、C-切欠特性)を有するようにキャパシタンスカップリングを実現するか、それともパスバンドの右側端に切欠特性(すなわち、L-切欠特性)を有するように誘導性カップリングを実現するかを決定するための多様な形状に形成されたカップリング隔壁15をさらに含むことができる。
【0126】
ここで、カップリング隔壁15は、クロスカップリング時、それぞれ異なる経路を形成するように、クロスカップリングに関与する各共振部11a~11f間で異なる形状に形状設計可能である。
【0127】
このようなカップリング隔壁15は、誘電体ブロック10の一面と他面を完全に貫通するように形成されて、各共振部11a~11f間でセラミック材質の誘電体からなる経路の一部を縮小または閉鎖するものと定義することができる。
【0128】
本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”において、カップリング隔壁15は、図16図19に示されるように、第1共振部11aと第3共振部11cとの間の経路の一部を縮小するとともに、第3共振部11cと第6共振部11fとの間の経路全部を閉鎖し、第1共振部11aと第6共振部11fとの間の経路全部を閉鎖するように形成されてもよい。
【0129】
このようなカップリング隔壁15と同一の形態で誘電体ブロック10の一面と他面を貫通するように形成されたその他の隔壁14a、14b、14cは、クロスカップリング経路を縮小および閉鎖するのとは関係なく、メインカップリング経路のみを縮小させる機能を行うものと理解すれば十分である。
【0130】
6個の共振部11a~11fそれぞれは、図19に示されるように、第1共振部11a-第2共振部11bの間、第2共振部11b-第3共振部11cの間、第3共振部11c-第4共振部11dの間、第4共振部11d-第5共振部11eの間、第5共振部11e-第6共振部11fの間で順次にメインカップリングされる。
【0131】
一方、本発明の第3実施例による誘電体セラミックフィルタ1”は、図16図19に示されるように、カップリングブリッジ16が出力コネクタ17bに対応する位置に備えられた第6共振部11fから第4共振部11dに向かって所定長さ延びた金属バー(bar)形状に形成される。
【0132】
そして、カップリング隔壁15は、図16図19に示されるように、第1共振部11aと第3共振部11cとの間のクロスカップリング経路を半分以上オープンさせる位置および形態(長さ的要素を含む)に形成され、第1共振部11aと第6共振部11fとの間および第3共振部11cと第6共振部11fとの間を一部だけオープンさせる位置および形態(長さ的要素を含む)に形成される。
【0133】
ここで、カップリング隔壁15を用いてクロスカップリングに関与する両共振部間のクロスカップリング経路をほぼ遮断しても(例えば、第1共振部11aと第6共振部11fとの間および第3共振部11cと第6共振部11fとの間は、対向共振部の外周面の一部またはカップリングブリッジ16の一部を除けばほぼ遮断したり塞いでいる形態)、微細なクロスカップリングが可能である。このような微細なクロスカップリングの実現は、図20に示されるように、パスバンドの左側端と右側端に微細な大きさのC-切欠またはL-切欠を追加的に形成することができる。
【0134】
一方、各共振部11a~11f間で実現されるクロスカップリングは、各共振部11a~11fの誘電体ブロック10上の配置位置によって異なって決定され、クロスカップリング経路によりクロスカップリングさせると、パスバンドの左側端および右側端のいずれか1つに形成されるカップリング特性は、カップリング隔壁15の形状および位置による経路の相違点およびカップリングブリッジ16の形状(長さ的要素を含む)および位置による電界および磁界要素によって異なって決定可能である。
【0135】
仮に、クロスカップリングに関与する共振部間のクロスカップリング経路を縮小するカップリング隔壁15だけが存在する場合には、水平方向にのみ作用する磁界要素(H-field)によってセラミック材質の誘電体ブロック10を介在させて伝達されるので、パスバンドの右側端にL-切欠が形成されるのであり、この場合、クロスカップリング経路のオープンサイズ(開放程度)が大きくなるにつれ、より強いL-切欠の形成が行われる。
【0136】
また、クロスカップリングに関与する共振部の間に、上述したカップリング隔壁15とともにカップリングブリッジ16が備えられる場合には、垂直方向にのみ作用する電界要素(E-field)によってカップリングブリッジ16を介在させて伝達されるので、パスバンドの左側端にC-切欠が形成されるのであり、この場合、カップリングブリッジ16の対向共振部に対する離隔距離が小さいほど、より強いC-切欠の形成が行われる。
【0137】
図20を参照すれば、第4共振部11dと第6共振部11fとの間には、カップリング隔壁15によってクロスカップリング経路が形成されかつ、第6共振部11fから第4共振部11dに向かって延長形成されたカップリングブリッジ16がクロスカップリングに関与する水準で備えられるが、図20の「1」で表示されたように、パスバンドの左側端に強いC-切欠が形成される。
【0138】
また、図20を参照すれば、第1共振部11aと第3共振部11cとの間には、カップリング隔壁15によってクロスカップリング経路が形成されかつ、両共振部間のオープン区間が相対的に大きく形成され、カップリングブリッジ16による影響がほとんどない区間であるので、図20の「2」で表示されたように、パスバンドの右側端に強いL-切欠が形成される。
【0139】
これとともに、カップリング隔壁15が、第1共振部11aと第6共振部11fとの間のクロスカップリング経路がある程度遮断および区画される形態に形成されているとはいえ、完全に塞がれた構造ではない点から、第1共振部11aと第6共振部11fとの間をクロスカップリングさせる場合、図20に示されるように、「3、4、5、6」で表示されたL-切欠およびC-切欠が多段形成されてもよい。
【0140】
このように、本発明の多様な実施例による誘電体セラミックフィルタ1、1’、1”によれば、パスバンドの左側端および右側端にそれぞれC-切欠およびL-切欠の生成のために追加的な構造物を複雑な工程で追加する必要がなく、製品の製造過程で簡単なモールディング工程およびめっき工程によりカップリング隔壁15およびカップリングブリッジ16を形成できるので、製品の生産性を大きく向上させるという利点を提供する。
【0141】
また、従来異物の流入のみの防止のために備えられていたチューニングカバーに周波数チューニング機能を付与することにより、高い生産歩留まりを有する誘電体セラミック導波管フィルタを生産できるという利点を提供する。
【0142】
以上、本発明の一実施例および他の実施例による誘電体セラミックフィルタを詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲における実施が可能であることは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、セラミック導波管フィルタの生産歩留まりを維持しながらもクロスカップリング構造の実現が容易な誘電体セラミックフィルタを提供する。
【符号の説明】
【0144】
1、1’:誘電体セラミックフィルタ 10:誘電体ブロック
11:共振部 11a:第1共振部
11b:第2共振部 11c:第3共振部
11d:第4共振部 11e:第5共振部
11f:第6共振部 12:金属被膜
14:その他の隔壁 15:カップリング隔壁
16:カップリングブリッジ 17a:入力コネクタ
17b:出力コネクタ 20:チューニングカバー
21、21a、21b、21c:チューニング修正ホール
23:検査ホール
30:打刻装置 31:打刻ピン
40:計測装置 50:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20