(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】掬い支持具、掬い器具、凝固体の掬い方法および掬い具
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20230914BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A47J43/28
A47G21/04 C
(21)【出願番号】P 2021192525
(22)【出願日】2021-11-26
【審査請求日】2022-06-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000219990
【氏名又は名称】東京オートマック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 治久
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11033122(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0223305(US,A1)
【文献】中国実用新案第212853145(CN,U)
【文献】登録実用新案第3112694(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/28
A47G 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固体を掬い取る掬い具を支持する掬い支持具であって、
前記凝固体に挿入される挿入本体部と、
前記挿入本体部に設けられ前記凝固体に前記挿入本体部が挿入された状態で前記凝固体を掬い取るための前記掬い具の回転動作を支持する回転支持部と
を備える掬い支持具。
【請求項2】
前記挿入本体部は、面状に形成された挿入支持部を備え、
前記回転支持部は、前記挿入支持部の主面に対して直交しない非直交軸線を回転中心とした前記掬い具の回転動作を支持するようになっている請求項1に記載の掬い支持具。
【請求項3】
前記挿入本体部は、前記挿入支持部の主面に交差する方向に延ばされた交差連結部を備え、
前記回転支持部は、前記交差連結部から前記主面に対して直交しない非直交方向に延ばされた非直交軸部を備える請求項2に記載の掬い支持具。
【請求項4】
前記挿入本体部は、前記挿入支持部の幅方向の一端部から延ばされた一端連結部を備え、
前記交差連結部は、前記一端連結部に設けられている請求項3に記載の掬い支持具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の掬い支持具と、
前記掬い具と
を備える掬い器具。
【請求項7】
請求項1に記載の掬い支持具における挿入本体部を前記凝固体に挿入する挿入工程と、 前記挿入工程において前記挿入本体部が前記凝固体に挿入した状態で、前記回転支持部に前記掬い具の回転動作を支持させて前記掬い具により前記凝固体を掬い取る掬い取り工程と
を含む凝固体の掬い方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掬い支持具、掬い器具、凝固体の掬い方法および掬い具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアイスクリームなどの凝固体をすくい取るために種々の掬い器具が利用されている。このような掬い器具としては、アイスクリームを掬い取る碗状の容器体と、この容器体の内面に沿って移動可能な作動片とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような掬い器具では、美味しさを保つためにアイスクリームが冷凍されて固くなっているため、アイスクリームを掬うために大きな力が必要となり作業負担が大きくなってしまうという問題がある。アイスクリームはメーカーよりマイナス20℃以下で店舗などに納入されるのが一般的である
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、凝固体を容易に掬い取ることができる掬い支持具、掬い器具、凝固体の掬い方法および掬い具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、凝固体を掬い取る掬い具を支持する掬い支持具であって、前記凝固体に挿入される挿入本体部と、前記挿入本体部に設けられ前記凝固体に前記挿入本体部が挿入された状態で前記凝固体を掬い取るための前記掬い具の回転動作を支持する回転支持部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、凝固体を容易に掬い取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての掬い支持具を示す正面図である。
【
図4】
図1の掬い支持具および掬い具の動作を示す説明図である。
【
図5】
図3の掬い具の動作の変形例を示す説明図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態としての掬い器具を示す図であって、掬い具と掬い支持具とが互いに閉じられた様子を示す側面図である。
【
図7】
図6の掬い具と掬い支持具とが互いに開かれた様子を示す側面図である。
【
図11】
図10の取出部を示す図であって、(A)は取出部を示す斜視図、(B)は取出部および付勢本体部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における掬い支持具および掬い方法について説明する。
図1は、掬い支持具10を示す正面図である。
図2は、掬い支持具10を示す右側面図である。
図3は、
図2に示すB線矢視図である。
図4は、掬い支持具10および掬い具50の動作を示す説明図である。
掬い支持具10は、凝固体を掬い取る掬い具50とともに利用されるものである。
掬い支持具10は、挿入本体部11と回転支持部20とを備えている。これら挿入本体部11と回転支持部20とは、一体に連結されている。
挿入本体部11は、挿入支持部15と、一端連結部18と、交差連結部19と、補強部23とを備えている。
挿入支持部15は、平面状に形成されており、その先端部は、先端に向かって先細る先細り部12とされている。先細り部12の先端部はアイスクリームAへの挿入抵抗を少なくするためにテーパー状に先細りになっている。挿入支持部15の幅方向Wの一方の側縁部は、高さ方向Hに直線状に延ばされた直線部14とされている。また、他方の側縁部は、先端部から基端部にかけて幅寸法が漸次大きくなるように緩やかな円弧状に形成されている。挿入支持部15の基端部には、一端連結部18が設けられている。また、基端部近くに、掬い支持具10を引き抜くためのフック掛け穴16が設けられている。
【0010】
一端連結部18は、平面状に形成されており、その一端部が挿入支持部15の基端部に一体に連結されている。この一端連結部18は、挿入支持部15の基端部のうち幅方向Wの一端部から同一平面上に延ばされている。そして、挿入本体部11の幅方向Wの一端部は、直線部14から一端連結部18にわたって高さ方向Hに直線状に延ばされている。
一端連結部18の他端部には交差連結部19が設けられている。
交差連結部19は、平面状に形成されており、その一端部が一端連結部18の他端部に一体に連結されている。この交差連結部19は、一端連結部18の他端部から直交軸線M方向に曲げられている。直交軸線Mは、挿入支持部15の主面13に対して直交する方向に延ばされた仮想軸線である。なお、一端連結部18が挿入支持部15と同一平面上に延ばされていることから、直交軸線Mは、挿入支持部15および一端連結部18に対して直交する方向に延ばされており、そのため交差連結部19も挿入支持部15および一端連結部18に対して直交する方向に延ばされている。
これら一端連結部18および交差連結部19の幅方向Wの一端には、補強部23が設けられている。
【0011】
補強部23は、補強一片部24と補強他片部25とを備えている。
補強一片部24は、平面状に形成されており、一端連結部18の幅方向Wの一端から直交する方向に立ち上げられている。補強他片部25は、平面状に形成されており、交差連結部19の幅方向Wの一端から直交する方向に曲げられている。これら補強一片部24および補強他片部25は、互いに係合されており、これにより交差連結部19と一端連結部18および挿入支持部15との強度を補強するようになっている。
また、交差連結部19の他端部には回転支持部20が設けられている。
【0012】
回転支持部20は、後述する回転軸線L(非直交軸線)を回転中心とする掬い具50の回転動作を支持するものである。この回転支持部20は、交差連結部19の他端部に一体に連結されている。回転支持部20は、非直交軸部21を備えている。すなわち、非直交軸部21は、交差連結部19の他端部から挿入支持部15の主面13に沿って幅方向Wに延ばされている。つまり、非直交軸部21は、挿入支持部15の平面方向である幅方向Wに延ばされる延在軸線L方向に延ばされている。なお、回転軸線L1は、延在軸線Lに沿って設けられるようになっている。また、非直交軸部21の横断面形状はU字状になっている。そのため、非直交軸部21の外周面は、円弧状に湾曲した湾曲部22とされている。
これら挿入支持部15、一端連結部18、交差連結部19および非直交軸部21によって、掬い具50が配される回転空間Kが区画されている。
なお、回転軸線L1とは、掬い具50の回転動作の回転中心となる軸線であって、挿入本体部11の幅方向Wに延びる軸線である。
【0013】
次いで、掬い支持具10の動作について、
図4を参照して説明する。
ここでは、凝固体をアイスクリームAとして説明する。
まず、掬い支持具10、掬い具50および容器に入ったアイスクリームAを用意する。
なお、掬い具50は、アイスクリームAを掬い取る掬い本体部51と、この掬い本体部51から延ばされた掬い側把持部71とを備えている。
【0014】
このアイスクリームAに挿入支持部15を挿入する(挿入工程)。すなわち、アイスクリームAの表面に、挿入支持部15を刺してさらに押し込んでいく。このとき、挿入支持部15には先細り部12が設けられかつ平面状に形成されているため、挿入抵抗は小さくアイスクリームAの表面から先細り部12が差し込まれてさらに底面に向かって深く進んで行く。
これにより、挿入支持部15の全面上部P点までがアイスクリームAに挿入されて、非直交軸部21がアイスクリームAの表面の上方に配される。
【0015】
そして、回転空間Kを介して掬い具50を非直交軸部21に接触させる。すなわち、掬い本体部51を挿入支持部15の側に向けた状態で、掬い側把持部71を回転空間Kに通して掬い側把持部71の一端部を湾曲部22に接触させる。そして、
図4において左回転する方向に掬い側把持部71の他端部に力F1を加える。すると、てこの原理により、掬い側把持部71の他端部が力点となり、掬い側把持部71と湾曲部22との接触点が支点となって、掬い本体部51に同方向に回転するよう力が働き掬い本体部51がアイスクリームAの表面を押圧する。このとき、支点を介して挿入支持部15にも左回転する方向等に力が働くが、挿入支持部15がアイスクリームAに挿入されていることから、挿入支持部15の他方の主面が抵抗となって、非直交軸部21および挿入支持部15が掬い具50の回転動作を支持する。さらには、補強部23が設けられていることから、交差連結部19または一端連結部18が屈曲することなく、これら交差連結部19、一端連結部18および補強部23も掬い具50の回転動作を支持する。
【0016】
そのため、掬い側把持部71と湾曲部22との接触点を通ってかつ延在軸線Lに沿って延びる回転軸線L1を回転中心として、掬い具50が回転していく。すなわち、掬い本体部51が挿入支持部15に接近する方向に回転していく。このとき、湾曲部22が設けられていることから、湾曲部22と掬い側把持部71との接触点が湾曲部22の湾曲状の表面に沿ってスムーズに移動していく。そのため、回転軸線L1が湾曲部22の表面に沿って移動しながら、掬い具50が回転していく。これにより、掬い本体部51がアイスクリームAを掬い取っていく(掬い取り工程)。
そして、掬い具50を掬い支持具10から外して、掬い取ったアイスクリームを掬い本体部51から他の容器などに移し換えたり、そのまま口に運んで食したりする。
さらに、掬い支持具10を同じ位置に配したまま、同様にして掬い具50を利用してアイスクリームAをさらに深いところから掬い取っていき、または掬い支持具10を別の場所に挿入してから同様にしてアイスクリームAを掬い取っていく。
【0017】
また、容器の側壁近傍のアイスクリームAを掬い取るときは、挿入支持部15を側壁の近傍のアイスクリームAに挿入する。このとき、一端連結部18および直線部14が直線状に延ばされていることから、容器の内側壁に沿ってこれら一端連結部18および直線部14を配しながら、挿入支持部15をアイスクリームAに挿入する。そして、同様にして掬い具50を利用してアイスクリームAを掬い取っていく。さらには、一端連結部18および直線部14を容器の内側壁に沿って周状に動かすことにより、内側壁に付いたアイスクリームAをそぎ取っていく。
または、
図5に示すように、掬い本体部51を挿入支持部15とは反対側に向けて掬い具50を配することもできる。すなわち、掬い本体部51を挿入支持部15の近傍に配して掬い側把持部71を湾曲部22に接触させる。そして、
図5において右回転する方向に掬い側把持部71の他端部に力F2を加える。すると、同様にして、掬い具50が挿入支持部15から離れる方向に右回転して、掬い本体部51がアイスクリームAを掬い取っていく。
【0018】
以上より、本実施形態における掬い支持具10によれば、挿入本体部11と回転支持部20とを備えていることから、掬い具50を回転させて凝固体を掬い取ろうとするとき、挿入本体部11を凝固体に挿入した状態で回転支持部20によって掬い具50の回転動作を支持することができる。そのため、掬い側把持部71を握り、掬い具50を回転支持部20によって支持させて回転動作させるだけでてこの原理が働き凝固体を容易に掬い取ることができる。
なお、凝固体が、例えばアイスクリームの場合、アイスクリームの美味しい温度は、口元で-10℃~-15℃くらいと言われている。よって、掬い取る時点では、-20℃近くが好ましい温度である。しかし、-10℃~-20℃くらいのアイスクリームは固くなり過ぎてしまい、従来のディッシャーやスプーンなどで掬い取るには、非常に大きな力が必要となり、人手による作業負担が極めて大きかった。
そのため、ディッシャーやスプーンを事前に温めたり、アイスクリームの温度を-5℃~-10℃に上げたりすることにより、アイスクリームを掬い取りやすくすることが考えられるが、そうすると、アイスクリームの美味しい温度から外れてしまう。
本実施形態における掬い支持具10によれば、-10℃~-20℃くらいのアイスクリームであっても、容易に掬い取ることができる。
【0019】
また、面状に形成された挿入支持部15を備えているため、挿入支持部15を面方向に挿入し易くすることができるだけでなく、挿入支持部15に交差する方向の抵抗を大きくすることができ、掬い具50の回転動作を支持することができる。
また、回転支持部20が、回転軸線L1を回転中心として掬い具50を回転させるように支持するため、てこの原理により、掬い具50の回転力を拡大させて凝固体を掬い取ることができる。例えば、掬い側把持部71の一端部を支点とし、他端部を力点とすることにより、掬い本体部51が掬い取る力を、掬い側把持部71の長さ寸法に応じて2~4倍にすることができるため、従来の1/2から1/4の力で凝固体を容易に掬い取ることができる。もちろん、従来の1/2から1/4の力の大きさは適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0020】
また、交差連結部19および非直交軸部21を備えることから、挿入本体部11の主面13に交差する方向に離れた位置において主面13に直交しない方向に非直交軸部21を配することができる。そのため、掬い具50を主面13に交差する方向に離れた位置において掬い具50の回転動作を支持することができ、凝固体を容易に掬い取ることができる。なお、主面13に直交しない方向としては、主面13に対して平行方向が含まれることは言うまでもない。
また、一端連結部18を備えることから、挿入支持部15、一端連結部18、交差連結部19および非直交軸部21によって回転空間Kを区画することができ、この回転空間Kを通して掬い具50を配することができる。そのため、掬い具50により凝固体を容易に掬い取ることができる。
【0021】
また、湾曲部22を備えることから、回転軸線L1を周状にスムーズに移動させることができ、掬い具50の回転動作を容易にすることができる。
また、補強部23が設けられていることから、一端連結部18と交差連結部19との間を補強することができ、掬い具50の回転動作を容易にすることができる。
また、直線部14が設けられていることから、凝固体の容器等の内側壁に沿って挿入支持部15を挿入することができ、内側壁の近傍の凝固体を容易に掬い取ることができる。
また、フック掛け穴16が設けられていることから、フック掛け穴16に鉤状のフックを通して引くことにより、直接手で掬い支持具10に触れることなく掬い支持具10を容易に引き抜くことができる。
【0022】
なお、本発明の技術範囲は上記の第1の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、交差連結部19は、主面13に直交する方向に延ばされるとしているが、これに限ることはなく、主面13に交差する方向に延ばされていればよい。すなわち、交差連結部19が主面13に対して傾斜して設けられていてもよい。
また、一端連結部18が設けられるとしているが、これに限ることはなく、一端連結部18は設けられていなくてもよい。例えば、挿入支持部15、交差連結部19および回転支持部20のみが設けられていてもよい。
【0023】
また、湾曲部22が設けられるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能であり、湾曲部22が設けられていなくてもよい。
また、補強部23が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能であり、補強部23が設けられていなくてもよい。
また、非直交軸部21が、主面13に沿って延ばされるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、主面13に交差する方向に延ばされていてもよい。すなわち、非直交軸部21が主面13に対して傾斜して設けられていてもよい。
また、非直交軸部21が幅方向Wに延ばされるとしているが、これに限ることはなく、幅方向Wに傾斜する方向など、適宜変更可能である。
また、掬い具50は掬い支持具10と別個のものとしているが、これに限ることはなく、例えば掬い具50が回転支持部20に回転動作可能に取り付けられていてもよい。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6から
図9は、本発明の第2の実施形態における掬い器具100を示したものである。
図6から
図9において、
図1から
図5に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第2の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
掬い器具100は、掬い具50Aと、掬い支持具10Aとを備えている。掬い具50Aは、掬い支持具10Aに回転動作可能に取り付けられている。
【0025】
また、掬い具50Aは、掬い本体部51Aと、取出部55と、掬い側把持部71Aとを備えている。
掬い本体部51Aは、碗状に形成された碗状部52を備えている。
碗状部52は、碗状の内面において凝固体を掬い取るようになっている。碗状部52の縁部は、内側に傾バイが設けられ先細りになっており、挿入抵抗が小さくなるようになっている。碗状部52の頂点部には、貫通孔53が形成されている。
取出部55は、碗状部52の内面側に配された凝固体を押し出すものであり、挿通部56と、押圧部(取出本体部)57と、弾性押圧部58と、押圧支持部59と、操作部60とを備えている。
【0026】
挿通部56は、円柱状に形成されており、貫通孔53に挿通されている。そして、挿通部56は、貫通孔53を介して長手方向に移動するようになっている。すなわち、挿通部56は、碗状部52の外面から大きく突出した大突出位置と、碗状部52の内面側に押し込まれて外面から小さく突出した小突出位置との間で往復移動するようになっている。挿通部56の一端部には押圧部57が設けられている。
押圧部57は、碗状部52よりも直径を小さくして碗状に形成されており、碗状部52の内面側に同心状に設けられている。そして、挿通部56が大突出位置に配されると、押圧部57は、その外面が碗状部52の内面に接触した掬い位置Sに配される。一方、挿通部56が小突出位置に配されると、押圧部57は、その外面が碗状部52の内面から離れた取出位置Tに配される。そのため、押圧部57は、挿通部56の往復移動に応じて、碗状部52の内面側において、掬い位置Sと取出位置Tとの間を往復移動するようになっている。
なお、掬い位置Sとは、掬い本体部51Aの近傍において凝固体が掬い取られる位置であり、取出位置Tとは、掬い本体部51Aから厚さ方向に離されて凝固体が取り出される位置である。
【0027】
挿通部56の他端部には、弾性押圧部58が設けられている。
弾性押圧部58は、側面視して、U字状に折り返されて形成されている。これらU字部分の互いの長さ寸法は異なっており、外方側の長さ寸法が長く延ばされている。弾性押圧部58は、U字部分が互いに近づく方向に弾性変形した状態で碗状部52の外面側に設けられている。弾性押圧部58のU字の内底部には押圧支持部59が設けられている。
押圧支持部59は、碗状部52のうち掬い側把持部71A寄りの外面に設けられている。
また、弾性押圧部58の表面には操作部60が設けられている。
操作部60は、板状部材であって、弾性押圧部58の表面から外方に突出している。
【0028】
このような構成のもと、外部から負荷のかからない自然状態においては、押圧支持部59の支持のもと、弾性押圧部58のU字部分が互いに離れる方向に付勢されており、そのため弾性押圧部58の長い方の先端部が、碗状部52の外面から離れる方向に付勢されている。したがって、挿通部56が大突出位置に配され、押圧部57は掬い位置Sに配されるようになっている。一方、操作部60が碗状部52の頂点部に向けて周方向に押圧されると、弾性押圧部58の長い方の先端部が、押圧支持部59を支点として碗状部52の外面側に近づく方向に弾性変形して回転し、そのため挿通部56が小突出位置に配され、押圧部57は取出位置Tに配されるようになっている。
【0029】
掬い側把持部71Aは、本体把持部73と補助把持部80とを備えており、長手方向Dに延ばされて形成されている。
本体把持部73は、本体連結部74と本体握り部75とを備えている。これら本体連結部74と本体握り部75とは一体に連結されている。
本体連結部74は、長手方向Dに延ばされて形成されており、その一端部は碗状部52の外面に取り付けられている。また、本体連結部74の他端部には、S字屈曲部77を介して本体握り部75が一体に連結されている。
本体握り部75は、長手方向Dに延ばされて形成されており、ユーザによって把持されるようになっている。そして、本体握り部75は、S字屈曲部77によるS字カーブを経て、支持側把持部28の側に近づけられるようにして本体連結部74の長手方向Dに沿って延ばされている。
また、本体連結部74には、回転取付部76が設けられている。
【0030】
回転取付部76は、本体把持部73と後述する支持側把持部28との間において、幅方向Wに延びる回転軸線を中心として補助把持部80を回転動作可能に支持するものである。
補助把持部80は、補助連結部81と補助握り部82とを備えている。これら補助連結部81と補助握り部82とは一体に連結されている。
補助連結部81は、長手方向に延ばされて形成されており、その一端部は回転取付部76に一定角度まで回転動作可能に取り付けられている。すなわち、補助把持部80は、掬い支持具10AをアイスクリームAに差し込む角度と、本体把持部73との中間位置で止められるようになっている。つまり、補助把持部80が中間位置に配されると、補助連結部81の端部が本体連結部74に接触して規制されることにより、補助把持部80がそれ以上回転できないようになっている。
また、補助連結部81の他端部には、S字屈曲部88を介して補助握り部82が一体に連結されている。
補助握り部82は、長手方向に延ばされて形成されており、ユーザによって把持されるようになっている。そして、補助握り部82は、S字屈曲部88によるS字カーブを経て、支持側把持部28の側に近づけられるようにして補助連結部81の長手方向に沿って延ばされている。
【0031】
掬い支持具10Aは、挿入本体部11Aと、回転支持部20Aと、支持側把持部28とを備えている。
挿入本体部11Aは、平面状の挿入支持部15Aを備えている。
挿入支持部15Aの円形板状の先端部に先細り部12Aが設けられている。先細り部12Aは、幅方向Wの外方側に傾斜して設けられている。すなわち、先細り部12Aは、上面視して、支持側把持部28の長手方向に対して外方(
図8における上方側)に傾斜する方向に向けられている。
先細り部12Aの先端から挿入支持部15Aの幅方向Wの一端は、直線部14Aとされている。また、先細り部12Aの先端部は、挿入抵抗を少なくするためにテーパー状に先細りになっている。
挿入支持部15Aの基端部には、支持側把持部28の一端部が取り付けられている。
【0032】
支持側把持部28は、弧状部30と、把持連結部31と、支持側握り部32とを備えている。これら弧状部30、把持連結部31および支持側把持部28は、一体に連結されている。
弧状部30は、側面視して、挿入支持部15Aの主面13Aに対して弧状に盛り上がるように形成されており、その一端部が挿入支持部15Aの基端部に取り付けられている。弧状部30には、回転支持部20Aが設けられている。
回転支持部20Aは、長孔37と回転軸部38とを備えている。
長孔37は、弧状部30を幅方向Wに貫通する貫通穴である。この長孔37は、側面視して挿入支持部15Aの略平面方向に延ばされている。
回転軸部38は、柱状に形成されており、本体連結部74に取り付けられている。回転軸部38は、挿入支持部15Aの主面13Aに対して非直交方向である幅方向Wに延ばされている。この回転軸部38が回転軸線L1となる。さらに、回転軸部38は、長孔37を通されており、長孔37内を移動することができるようになっている。
【0033】
また、弧状部30の他端部には、把持連結部31が設けられている。
把持連結部31は、長手方向に延ばされて形成されており、その一端部が弧状部30の他端部に取り付けられている。また、把持連結部31の他端部には、S字屈曲部36を介して支持側握り部32が一体に連結されている。
支持側握り部32は、長手方向に延ばされて形成されており、ユーザによって把持されるようになっている。そして、支持側握り部32は、S字屈曲部36によるS字カーブを経て、本体握り部75の側から離されるようにして把持連結部31の長手方向に沿って延ばされている。
支持側握り部32の一端部には、挿入支持部15Aの主面13Aの側に突出する突出部35が設けられている。また、支持側握り部32の他端部は、主面13Aの反対側に折り返された終端部34が設けられている。
【0034】
このような構成のもと、支持側把持部28と掬い側把持部71Aとを回転軸部38を回転中心として回転させることにより、挿入本体部11Aと掬い本体部51Aとが開閉するようになっている。すなわち、回転支持部20Aが、掬い具50Aの回転動作を支持するようになっている。
また、挿入本体部11Aと掬い本体部51Aとが互いに閉じられた状態で、回転軸部38を長孔37の延ばされた方向に動かすことにより、挿入本体部11Aが掬い本体部51Aに対してスライド移動するようになっている。
また、支持側把持部28と掬い側把持部71Aとが互いに閉じられたときに、本体握り部75および補助握り部82が、支持側握り部32および終端部34に区画された領域内に配されるようになっている。
【0035】
次いで、掬い器具100の動作について、
図9を参照して説明する。
挿入本体部11Aと掬い本体部51Aとを互いに開いた状態で、挿入支持部15AをアイスクリームAに挿入する(挿入工程)。すなわち、アイスクリームAの表面に、挿入支持部15Aを斜めから刺してさらに押し込んでいく。このとき、挿入支持部15Aは先細り部12が設けられかつ平面状に形成されさらに先細り部12Aの周辺端面もテーパー状に薄くなって(尖って)いるため、挿入抵抗は小さく、アイスクリームAの表面から先細り部12Aが差し込まれてさらに平面方向に深く進んで行く。
これにより、挿入支持部15Aの全面が傾斜してアイスクリームAに挿入される。
【0036】
この状態で、ユーザが、支持側握り部32と補助握り部82とにわたって把持して、これら支持側握り部32と補助握り部82とを近づけるように握り締めていく。すると、てこの原理により、回転軸部38を回転中心(支点)として支持側把持部28と掬い側把持部71Aとが互いに近づく方向に回転し、碗状部52が挿入支持部15Aの主面13Aに近づく方向に回転していく。このとき、挿入支持部15Aにも碗状部52に近づく方向等に力が働くが、平面状の挿入支持部15AがアイスクリームAに挿入されていることから、挿入支持部15の主面13Aが数十倍の抵抗となって動かず、回転支持部20Aが掬い具50Aのみの回転動作を支持する。
【0037】
そのため、挿入支持部15AがアイスクリームAに挿入され固定されたまま、碗状部52が主面13Aに近づきながらアイスクリームAを掬い取っていく。さらに、ユーザが、支持側握り部32と補助握り部82との把持を外して、支持側握り部32と本体握り部75とにわたって把持し直す。そして、支持側握り部32と本体握り部75とを近づけるように握り締めていく。すると、同様にして、碗状部52が主面13Aに近づく方向にさらに回転していき、アイスクリームAを掬い取っていく(掬い取り工程)。すなわち、2段階で掬い取っていく。
そして、碗状部52が主面13Aに接触して、碗状部52と挿入支持部15Aとが閉じられる。
ここから、ユーザが、支持側握り部32と本体握り部75とを把持しながら、手前に引いていく。すると、碗状部52と挿入支持部15Aとが閉じられたまま、アイスクリームAの表面から上方に引き抜かれる。
【0038】
そして、支持側把持部28と掬い側把持部71Aとを開くことにより、回転軸部38を回転中心として、碗状部52が挿入支持部15Aに対して離れる方向に回転していく。これにより、碗状部52の内面側においてアイスクリームAが掬い取られる。
なお、碗状部52と挿入支持部15Aとが閉じられたときに、アイスクリームAが凍結粘着力により上面13Aに固着されてそれらを互いに開いた際に、主面13A側にアイスクリームAがくっついてくる場合がある。そのときは、碗状部52と挿入支持部15Aとが閉じられた状態で、支持側把持部28を長手方向に押圧すると、回転軸部38が長孔37内を移動し、挿入支持部15Aが碗状部52に対して平面方向にスライド移動する。これにより、碗状部52と挿入支持部15Aとの凍結等による主面13Aの固着が解除されて、碗状部52側にのみアイスクリームAが密着保持される。
【0039】
また、碗状部52の内面側のアイスクリームAが、凍結や粘着力によって固着して碗状部52からなかなか取れにくい場合がある。そのときは、操作部60を碗状部52の頂点部に向けて倒す方向に力を加えると、弾性押圧部58の長い方の先端部が、押圧支持部59を支点として碗状部52の外面側に近づく方向に弾性変形して回転していく。そして、挿通部56が小突出位置に配されていき、そのため押圧部57がアイスクリームAを押し出しながら取出位置Tに配されていく。これにより、碗状部52の内面側に固着したアイスクリームAが碗状部52から取り出される。
なお、容器の内側壁に沿って直線部14Aを配することにより、上記と同様にして、アイスクリーム容器の内側壁に付いたアイスクリームAをそぎ取ることができ、また、内側壁の近傍のアイスクリームAを碗状部52によって掬い取ることができる。
【0040】
以上より、本実施形態における掬い器具100および掬い方法によれば、掬い具50Aが掬い支持具10Aに回転動作可能に取り付けられていることから、上記と同様の効果を奏することができるだけでなく、掬い支持具10Aを凝固体の任意の位置に容易に挿入することができる。そのため、掬い具50Aを回転動作させるだけで凝固体を容易に掬い取ることができる。
また、支持側把持部28と掬い側把持部71Aとが設けられているため、これら支持側把持部28と掬い側把持部71Aとを把持するという簡易な動作により、掬い本体部51Aを容易に回転させることができる。
また、掬い本体部51AをアイスクリームAに挿入した状態で、支持側把持部28と本体把持部73とを把持するのに両把持部間の距離が大きすぎて掴みにくい場合でも、補助把持部80が設けられているため、支持側把持部28に近い方の補助把持部80と支持側把持部28とを先に把持することにより掬い本体部51Aを回転させて本体把持部73を支持側把持部28に近付け、次いで本体把持部73と支持側把持部28とを把持することにより掬い本体部51Aを同方向に回転させることができる。すなわち、支持側把持部28に近い方の補助把持部80を先に把持し、支持側把持部28に近づいた状態で本体把持部73を後で把持することにより、ユーザが把持する力を効果的に利用することができる。
【0041】
また、補助把持部80が本体把持部73に回転動作可能に設けられていることから、支持側把持部28と本体把持部73とを閉じたときに、補助把持部80も閉じることができ、利便性を向上させることができる。
また、回転支持部20Aが、長孔37と回転軸部38とを備えることから、掬い本体部51Aと挿入本体部11Aとを互いにスライド移動させることができ、凍結や粘着力により固着された主面13AのアイスクリームAを分離させて掬い本体部51Aの内面に密着させておくことができるとともに、食用時のカップや皿に差し替えるときに挿入支持部15Aを開いても掬ったアイスクリームAが押圧部57を動かさない限り、直ちには抜け出さないようにしておくことができる。
また、取出部55が設けられていることから、掬った凝固体を押し出すことにより掬い本体部51Aから容易に取り出すことができる。
また、S字屈曲部36,77,88が設けられていることから、支持側把持部28と本体把持部73とを把持し易くすることができ、支持側把持部28と補助把持部80をも把持し易くすることができる。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は上記の第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、支持側把持部28が設けられているとしているが、これに限ることはなく、支持側把持部28は設けられていなくてもよい。この場合、掬い具50Aが挿入本体部11Aに回転動作可能に取り付けられていてもよい。例えば、支持側把持部28に代えて、弧状部30の周辺に、押し込み握り部があってもよい。
また、補助把持部80が1つ設けられているとしているが、これに限ることはなく、補助把持部80が複数設けられていてもよい。また、補助把持部80が設けられていなくてもよい。
また、補助把持部80が、本体把持部73に回転動作可能に設けられているとしているが、これに限ることはなく、固定して設けられていてもよい。
また、長孔37および回転軸部38が設けられているとしているが、これに限ることはなく、長孔37が設けられずに、掬い本体部51Aと挿入本体部11Aとが互いにスライド移動しないようになっていてもよい。また、長孔37が本体把持部73に設けられ、回転軸部38が支持側把持部28に設けられていてもよい。
【0043】
また、S字屈曲部36,77,88が設けられているとしているが、これに限ることはなく、これらS字屈曲部36,77,88は設けられていなくてもよい。
また、支持側把持部28と掬い側把持部71Aとを把持するとき、最初に支持側把持部28と補助握り部82とを把持するとしているが、これに限ることはなく、補助握り部82を利用せずに、最初から支持側把持部28と本体握り部75とを把持するようにしてもよい。
また、回転軸部38の延在方向が幅方向Wとしているが、これに限ることはなく、掬い本体部51Aが凝固体を掬い取るように回転動作するのであれば、回転軸部38の延在方向は幅方向W以外にも適宜変更可能である。
また、取出部55が設けられているとしているが、この取出部55の構成は適宜変更可能である。
【0044】
また、本発明の技術範囲は上記の第1および第2の実施形態に限定されるものではなく、例えば、直線部14,14Aは設けられていなくてもよい。
また、挿入本体部11,11Aの凝固体に対する挿入方向は、垂直方向であってもよいし、斜めに傾斜する傾斜方向であってもよい。
また、挿入本体部11,11Aが平面状に形成されているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、挿入本体部11,11Aが、曲面やその他の面状に形成されていてもよい。例えば、凝固体を収容する容器の内周面に沿って挿入本体部11,11Aを配することができるように、挿入本体部11,11Aが容器の内周面と同じ曲率の曲面とされていてもよい。また、挿入本体部11,11Aが面状に設けられていなくてもよく、例えば断面が山形状であってもよい。
また、回転軸線L1が幅方向Wに延ばされているものとしているが、これに限ることはなく、その延在方向は適宜変更可能である。例えば、幅方向Wに対して傾斜する方向に延ばされていてもよいし、主面13,13Aに交差する方向に延ばされていてもよい。すなわち、回転軸線L1は、主面13,13Aに直交しない非直交軸線であればよい。
また、凝固体がアイスクリームであるものとして説明しているが、これに限ることはなく、凝固体としてはアイスクリーム以外にも、例えばバター、チーズ、粒状物、砂状物また氷など適宜変更可能である。
【0045】
図10~
図12は、掬い具の変形例を示すものである。
図10から
図12において、
図1から
図9に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1及び第2の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
掬い具500は、掬い本体部51Aと、取出部555と、掬い側把持部71Aとを備えている。
【0046】
取出部555は、取出本体部570と、取付部556と、操作部600とを備えている。これら取出本体部570、取付部556および操作部600は、約0.3tの薄板の弾性体からなり形状記憶状体で一体に形成されている。
取出本体部570は、碗状に形成されており、碗状部52の内面の中央に同心状に配されている。取出本体部570の縁部には取付部556が設けられている。取付部556は、取出本体部570を碗状部52の内面側に取り付けるものである。
取付部556は、幅方向Wの両端において折り返された取付爪部556Aを備えている。これら取付爪部556Aが、碗状部52の不図示の取付孔を通されることにより、取出本体部570が碗状部52の内面側に取り付けられるようになっている。
取出本体部570の縁部のうち、取付部556に対して長手方向に対向する位置から長手方向に延びる操作部600が設けられている。
【0047】
操作部600は、碗状部52の縁部から碗状の開口側に伸ばされた操作連結部603と、この操作連結部603から長手方向に傾斜して伸ばされた操作本体部602と、この操作本体部602の先端において厚さ方向に垂直に起ち上げられた操作凸部601とを備えている。操作連結部603は、操作本体部602から取出本体部570に向かうにしたがって幅寸法が漸次大きくなる案内傾斜部603Aが設けられている。操作本体部602は、碗状部52の不図示の操作孔を通され掬い側把持部71A内において掬い側把持部71Aの基端部側に延ばされている。そして、操作凸部601は、後述する長孔711を通されて、外方に突出している。
【0048】
掬い側把持部71Aの横断面形状は、コ字状に形成されており、掬い本体部51Aの開口側が開放されている。また、掬い側把持部71Aの天面の外面側には、掬い本体部51Aから近い順に凹部71a,71b,71cが設けられている。これにより、掬い側把持部71Aと湾曲部22が接する部分を、凹部71a,71b,71cへと移動させていくことにより、アイスクリームAの浅い部分から深い部分へと段階的に順次掬い取ることができる。
また、掬い側把持部71Aの天面には、長手方向に延ばされた長孔711が形成されている。
掬い側把持部71A内には、R状に形成された案内部557が設けられている。案内部557は、不図示の操作孔の近傍において碗状部52の外面に取り付けられており、碗状部52の内面側から操作孔を通された操作本体部602の長手方向の移動を緩やかに案内するようになっている。
【0049】
また、掬い側把持部71A内には、弾性体からなる付勢部560が案内部557の一部として設けられている。
付勢部560は、案内傾斜部603Aを幅方向Wから挟む付勢本体部561を備えている。これら付勢本体部561は、掬い側把持部71Aの先端から基端に向かうにしたがって漸次大きくなるようにハの字状に傾斜している。すなわち、付勢本体部561は、案内傾斜部603Aが掬い側把持部71Aの先端から基端に移動することによって互いの距離が大きくなるように弾性変形し、これにより幅方向Wにおける互いの距離が小さくなるように案内傾斜部603Aをバネ力で付勢するため、取出本体部570を常に掬い位置Sに戻そうとする役割をする。
また、掬い側把持部71Aの基端面には、押し込み溝91が設けられている。これにより、掬い支持具10をアイスクリームAに挿入するとき、直接手で押し込むことなく押し込み溝91を挿入支持部15の上端Pに嵌めて押し込むことにより、清潔にかつ容易に押し込むことができる。
また、掬い側把持部71Aの基端面には、当該基端面から長手方向に突出する鉤状の引き抜きフック92が設けられている。これにより、掬い支持具10を引き抜くとき、引き抜きフック92をフック掛け穴16に引っ掛けて引くことにより、直接手で掬い支持具10に触れることなく掬い支持具10を容易に抜くことができる。
【0050】
このような構成のもと、力を加えない自然状態においては、付勢本体部561が案内傾斜部603Aを挟んでおり、取出本体部570が碗状部52の内面の近傍における掬い位置Sに配されるようになっている。一方、掬い側把持部71Aの天面から突出する操作凸部601を指で基端部側に移動させると、操作本体部602が案内部557に案内されて基端部側に移動していく。そして、案内傾斜部603Aが付勢本体部561の間を移動していく。案内傾斜部603Aの幅寸法は、取出本体部570側に漸次大きくなるように傾斜していることから、案内傾斜部603Aが基端部側に移動していくことにより、対をなす付勢本体部561が弾性変形して広げられていく。そして、取出本体部570が、取付部556を回転中心として回転移動して碗状部52の厚さ方向に離された取出位置Tに配される。このとき付勢本体部561が案内傾斜部603Aによって弾性変形させられていることから、付勢本体部561は互いに近付く方向の弾性復元力により案内傾斜部603Aを介して操作部600を取付部556側に移動させるように付勢した状態になる。すなわち、このとき付勢本体部561は、取出本体部570が取出位置Tから掬い位置Sに配するように付勢した状態になる。この状態で操作凸部601から指を離すと、付勢本体部561と取付部556の弾性復元力および取出部555全体の形状記憶復元力により、案内傾斜部603Aを介して操作部600が碗状部52側に移動し取出本体部570が掬い位置Sに配される。
【0051】
この掬い具500によって以下のように凝固体を掬い取ってから取出部555によって取り出される。
まず、掬い側把持部71Aを把持して、掬い本体部51Aによって凝固体を掬い取る。このとき、取出本体部570は掬い位置Sに配されている。凝固体を掬い取ってからその凝固体が碗状部52の内面に固着している場合がある。そのときは、操作凸部601を掬い側把持部71Aの基端部側に引いて移動させる。すると、取出本体部570が前述したように掬い位置Sから取出位置Tに移動する。すなわち、取出本体部570が凝固体を碗状部52の開口側に押圧しながら取出位置Tに向かって移動していく。そのため、凝固体が取出本体部570によって開口側に押し出され碗状部52の内面から取り出される。なお、操作凸部601から指を離すと、付勢本体部561および取出部555全体の形状記憶復元力に付勢されて操作連結部603を介して取出本体部570が掬い位置Sに戻っていく。
【0052】
以上より、掬い具500によれば、掬い本体部51Aによって凝固体を掬い取ってから掬い本体部51Aに凝固体が固着していたとしても、操作部600を操作するだけで凝固体を容易に取り出すことができる。
なお、凝固体を取り出すとき取出本体部570を掬い本体部51Aの内面との一定の距離を保ちながらその面に沿って移動させることも考えられるが、このようにすると、取出本体部570の移動を大きくしなければならず構成が複雑になってしまう。
掬い具500によれば、取出本体部570が掬い本体部51Aの厚さ方向に離された取出位置Tに移動することから、少ない移動距離で凝固体を容易に取り出すことができる。
なお、厚さ方向とは、掬い本体部51Aが平面形状であれば、当該平面に交差する方向であり、掬い本体部51Aが碗状部52のように凹状であれば、掬い位置Sを基準位置として、そこから凝固体を開口部の側に押し出す方向であればよい。すなわち、厚さ方向とは、掬い本体部51Aから凝固体を取り出す取出方向となる。
【0053】
また、掬い具500が掬い側把持部71Aを備え、操作部600を長手方向に往復移動させることにより掬い位置Sと取出位置Tとの間で取出本体部570を往復移動させることから、掬い側把持部71Aを把持して操作部600を操作するだけで、凝固体を容易に取り出すことができる。
また、長孔711から操作部600を突出させて往復移動させることから、操作性を向上させることができる。
また、付勢部560の一部に付勢本体部561が設けられていることから、力を加えない自然状態において、取出本体部570を掬い位置Sに移動させることができ、操作性を向上させることができる。
また、取出本体部570が取出位置Tに配されると付勢本体部561が弾性変形されられて付勢することから取出本体部570を容易に掬い位置Sに移動させることができる。
【0054】
なお、取出部としては、取出部55,555を示しているが、これらの構成も適宜変更可能である。
例えば、取出部555が、碗状部52に形成された不図示の取付孔および操作孔を介して取り付けられるとしているが、これに限ることはなく、取付孔または操作孔が形成されていなくてもよい。この場合、例えば、碗状部52の縁部に取付部556が取り付けられるようになっていて、操作部600が反対側の縁部を乗り越えるようにして掬い側把持部71Aの基端部側に延ばされていてもよい。また、両側の縁部を少し切り欠いてもよい。
また、取出本体部570の構成も適宜変更可能であり、例えば平面状であってもよいし、碗状を含む凹状であってもよい。
また、付勢部560の構成も適宜変更可能であり、例えば、他の板バネやコイルバネなどのバネ部材や樹脂などの弾性体を利用してもよい。
また、掬い具500は、掬い支持具10とともに使用されてもよいし、掬い支持具10を使用することなく掬い具500のみで使用されてもよい。
また、前述の第1及び第2の実施形態やその他の変形例を組み合わせることができることは言うまでもない。
【0055】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
凝固体を掬い取る掬い具を支持する掬い支持具であって、
前記凝固体に挿入される挿入本体部と、
前記挿入本体部に設けられ前記凝固体に前記挿入本体部が挿入された状態で前記凝固体を掬い取るための前記掬い具の回転動作を支持する回転支持部と
を備える掬い支持具。
【0056】
(付記2)
前記挿入本体部は、面状に形成された挿入支持部を備え、
前記回転支持部は、前記挿入支持部の主面に対して直交しない非直交軸線を回転中心とした前記掬い具の回転動作を支持するようになっている付記1に記載の掬い支持具。
【0057】
(付記3)
前記挿入本体部は、前記挿入支持部の主面に交差する方向に延ばされた交差連結部を備え、
前記回転支持部は、前記交差連結部から前記主面に対して直交しない非直交方向に延ばされた非直交軸部を備える付記2に記載の掬い支持具。
【0058】
(付記4)
前記挿入本体部は、前記挿入支持部の幅方向の一端部から延ばされた一端連結部を備え、
前記交差連結部は、前記一端連結部に設けられている付記3に記載の掬い支持具。
【0059】
(付記5)
前記非直交軸部は、前記回転動作を案内する湾曲部を備える付記3または付記4に記載の掬い支持具。
【0060】
(付記6)
付記1から付記5のいずれか一項に記載の掬い支持具と、
前記掬い具と
を備える掬い器具。
【0061】
(付記7)
前記掬い具は、前記掬い支持具に前記回転動作可能に取り付けられている付記6に記載の掬い器具。
【0062】
(付記8)
前記掬い支持具は、前記挿入本体部に設けられた支持側把持部を備え、
前記掬い具は、掬い本体部と、前記掬い本体部に設けられた掬い側把持部とを備え、
前記支持側把持部と前記掬い側把持部との把持動作により前記掬い本体部が前記挿入本体部に対して回転するようになっている付記7に記載の掬い器具。
【0063】
(付記9)
前記掬い側把持部は、本体把持部と、前記支持側把持部との把持動作を補助する補助把持部とを備え、
前記補助把持部と前記支持側把持部との把持動作により前記掬い本体部が前記挿入本体部に対して前記回転し、前記本体把持部と前記支持側把持部との把持動作により前記掬い本体部が前記挿入本体部に対してさらに前記回転するようになっている付記8に記載の掬い器具。
【0064】
(付記10)
前記回転支持部は、前記支持側把持部または前記掬い側把持部のいずれか一方に設けられた長孔と、前記支持側把持部または前記掬い側把持部のいずれか他方に設けられ前記長孔に通されて前記掬い具を回転動作可能に支持する回転軸部とを備え、
前記回転軸部が前記長孔を移動することにより、前記掬い本体部と前記挿入本体部とが互いにスライド移動するようになっている付記8または付記9に記載の掬い器具。
【0065】
(付記11)
付記1に記載の掬い支持具における挿入本体部を前記凝固体に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程において前記挿入本体部が前記凝固体に挿入した状態で、前記回転支持部に前記掬い具の回転動作を支持させて前記掬い具により前記凝固体を掬い取る掬い取り工程と
を含む凝固体の掬い方法。
【0066】
(付記12)
凝固体を掬い取る掬い本体部と、
前記掬い本体部に掬い取られた凝固体を取り出す取出部とを備え、
前記取出部は、
前記掬い本体部に設けられる取出本体部と、
前記取出本体部に設けられ前記掬い本体部の近傍において前記凝固体が掬い取られる掬い位置と前記掬い本体部から厚さ方向に離されて前記凝固体が取り出される取出位置との間で前記取出本体部を移動させる操作部と
を備える掬い具。
【0067】
(付記13)
前記掬い本体部に設けられる掬い側把持部を備え、
前記取出本体部に設けられた取付部により前記取出本体部が前記掬い本体部に取り付けられ、前記操作部が前記取出本体部から前記掬い側把持部の基端部に向けて延ばされており、前記操作部が前記掬い側把持部の長手方向に往復移動することにより、前記取出本体部が前記掬い位置と前記取出位置との間で往復移動するように構成されている付記12に記載の掬い具。
【0068】
(付記14)
前記掬い側把持部に前記長手方向に延びる長孔が設けられ、前記操作部が前記長孔を介して突出しており前記長孔内を前記長手方向に往復移動するように構成されている付記13に記載の掬い具。
【0069】
(付記15)
前記取出本体部を前記掬い位置に配するように付勢する付勢部が設けられている付記12から付記14のいずれか一項に記載の掬い具。
【0070】
(付記16)
前記付勢部は、前記操作部の幅方向から前記操作部を挟む付勢本体部を備え、
前記付勢本体部は、前記取出本体部が前記取出位置に配されると前記操作部によって弾性変形させられ前記操作部を介して前記取出本体部を前記掬い位置に配するように付勢して前記取出本体部を前記掬い位置に移動させる付記15に記載の掬い具。
【符号の説明】
【0071】
10,10A 掬い支持具
11,11A 挿入本体部
13,13A 主面
15,15A 挿入支持部
18 一端連結部
19 交差連結部
20,20A 回転支持部
21 非直交軸部
22 湾曲部
28 支持側把持部
37 長孔
38 回転軸部
50,50A,500 掬い具
51,51A 掬い本体部
55,555 取出部
57 押圧部(取出本体部)
570 取出本体部
60,600 操作部
71,71A 掬い側把持部
73 本体把持部
80 補助把持部
100 掬い器具
A アイスクリーム(凝固体)
L1 回転軸線(非直交軸線)
S 掬い位置
T 取出位置