(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】親綱支柱
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
E04G21/32 D
(21)【出願番号】P 2019215312
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】596156886
【氏名又は名称】セイコー機器株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390019541
【氏名又は名称】江戸川機鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】盛高 裕治
(72)【発明者】
【氏名】合田 忠夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-199965(JP,A)
【文献】特開2004-211402(JP,A)
【文献】実開平05-035968(JP,U)
【文献】特開平10-252285(JP,A)
【文献】実開昭62-006849(JP,U)
【文献】特開2017-071951(JP,A)
【文献】特開平08-270207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04D 15/00
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨のフランジを挟持することで前記フランジに固定されるグリップボックスと、
下端から前記グリップボックスに脱着可能に挿入されると共に上端に親綱を支持する支柱本体と、
前記グリップボックス及び前記支柱本体を串刺し様にすることで前記グリップボックス及び前記支柱本体のロックを行って前記グリップボックスからの前記支柱本体の脱落を防止すると共に、前記ロックを解除することで前記グリップボックスからの前記支柱本体の取外しを可能にするロック部材と、を備え
、
前記支柱本体は、
互いに径及び長さが異なっていて径が小さいほど長さが短く、互いに下端の位置が一致するように一方が他方の内側に緩挿されている複数の角形管と、
前記複数の角形管の互いの隙間を保つと共に、前記ロックをする際に前記ロック部材が挿入される複数の座金と、
前記複数の角形管を串刺し様にすることで前記複数の角形管を互いに固定するボルト及びナットと、を有していることを特徴とする
親綱支柱。
【請求項2】
前記ロック部材を前記グリップボックスに繋いでおく繋ぎ具を備えていることを特徴とする
請求項1に記載の親綱支柱。
【請求項3】
前記ボルトは、前記グリップボックス及び前記支柱本体を串刺し様に固定している前記ロック部材と平行に配置されていることを特徴とする
請求項
1又は2に記載の親綱支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親綱支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業者は、墜落時の事故を抑止するために安全帯(墜落抑止用器具)の着用が義務付けられている(例えば、特許文献1参照)。この安全帯について、2022年1月に規制が強化される予定である。現在普及している胴ベルト型の安全帯は、1本のベルトを胴回りに巻き付けるもので、墜落時に身体がくの字となり、腹部等が圧迫される危険性があり、また、身体がベルトからすり抜けて地面に落下する危険性がある。このため、胴ベルト型の安全帯の使用は大きく制限され、原則、フルハーネス型の安全帯の使用が義務付けられる。フルハーネス型の安全帯は、肩、腰、腿などの身体の複数の箇所をベルトで支持するもので、墜落時に身体が複数の箇所で支持されるので、腹部等が圧迫される危険性が低減され、また、身体がベルトからすり抜けて地面に落下する危険性はなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フルハーネス型の安全帯は、背中の上の方に、親綱に繋ぐ連結ベルトを有しているので、フルハーネス型の安全帯を使用する場合、胴ベルト型の安全帯を使用する場合と比べて、親綱を高く設置する必要がある。このため、親綱を支持する親綱支柱の長さが長くなる。これにより、親綱支柱の重量が重くなるので、親綱支柱の設置作業及び撤去作業の負担が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、設置作業及び撤去作業の負担を軽減することができる親綱支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、鉄骨のフランジを挟持することで前記フランジに固定されるグリップボックスと、下端から前記グリップボックスに着脱可能に挿入されると共に上端に親綱を支持する支柱本体と、前記グリップボックス及び前記支柱本体を串刺し様にすることで前記グリップボックス及び前記支柱本体のロックを行って前記グリップボックスからの前記支柱本体の脱落を防止すると共に、前記ロックを解除することで前記グリップボックスからの前記支柱本体の取外しを可能にするロック部材と、を備え、前記支柱本体は、互いに径及び長さが異なっていて径が小さいほど長さが短く、互いに下端の位置が一致するように一方が他方の内側に緩挿されている複数の角形管と、前記複数の角形管の互いの隙間を保つと共に、前記ロックをする際に前記ロック部材が挿入される複数の座金と、前記複数の角形管を串刺し様にすることで前記複数の角形管を互いに固定するボルト及びナットと、を有していることを特徴とする親綱支柱である。
【0007】
本発明によれば、鉄骨のフランジにグリップボックスを固定した後に、長尺で且つ重量物で取り回しが面倒な支柱本体をグリップボックスに挿入するだけで設置作業を行うことができる。このため、グリップボックスと支柱本体とが互いに一体となっている従来品と比較して、設置作業が容易である。
【0008】
また、本発明によれば、長尺で且つ重量物で取り回しが面倒な支柱本体をグリップボックスから抜いた後に、鉄骨のフランジからグリップボックスを外すだけで撤去作業を行うことができる。このため、グリップボックスと支柱本体とが互いに一体となっている従来品と比較して、撤去作業が容易である。
また、本発明によれば、支柱本体が重ね板ばねのように応力を分散するので、支柱本体の強度を向上させることができる。
また、本発明によれば、複数の角形管を串刺し様にするという簡単な構造で支柱本体を一体化することができる。
【0009】
(2)本発明はまた、前記ロック部材を前記グリップボックスに繋いでおく繋ぎ具を備えていることを特徴とする上記(1)に記載の親綱支柱である。
【0010】
本発明によれば、ロック部材がグリップボックスに繋ぎ具で繋がれているので、ロックを行う際にロック部材を探す必要がなく、また、ロックを解除した後にロック部材を紛失することを防止できる。このため、ロックを行わずに高所作業がなされることを防止できる。
【0015】
(3)本発明はまた、前記ボルトは、前記グリップボックス及び前記支柱本体を串刺し様に固定している前記ロック部材と平行に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の親綱支柱である。
【0016】
本発明によれば、設置作業時に、支柱本体に対するボルト及びナットの向きを確認することで、支柱本体をグリップボックスに挿入する向きを容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記(1)~(3)に記載の親綱支柱によれば、設置作業及び撤去作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る親綱支柱の側面図である。
【
図3】
図1に示す親綱支柱が備えている支柱本体の正面図である。
【
図4】(A)は
図3の矢印IVA-IVA方向に視た支柱本体の切断端面図であり、(B)は
図3の矢印IVB-IVB方向に視た支柱本体の切断端面図であり、(C)は
図3の矢印IVC-IVC方向に視た支柱本体の切断端面図である。
【
図6】
図1に示す親綱支柱の設置手順を説明する側面図であり、(A)は設置開始前の状態を示し、(B)はH形鋼のフランジにグリップボックスを固定した状態を示し、(C)はグリップボックスに支柱本体を差し込んだ状態を示し、(D)はロック部材でグリップボックスに支柱本体をロックした状態を示す。
【
図7】
図1に示す親綱支柱の撤去手順を説明する側面図であり、(A)は撤去開始前の状態を示し、(B)はロック部材を外してロックを解除した状態を示し、(C)はグリップボックスから支柱本体を撤去した状態を示し、(D)はH形鋼のフランジからグリップボックスを撤去した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る親綱支柱1について詳細に説明する。
【0020】
まず、
図1~
図5を用いて、本発明の実施形態に係る親綱支柱1の構造について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る親綱支柱1の側面図である。
図2は、
図1に示す親綱支柱1の分解側面図である。
図3は、
図1に示す親綱支柱1が備えている支柱本体3の正面図である。
図4(A)は、
図3の矢印IVA-IVA方向に視た支柱本体3の切断端面図である。
図4(B)は、
図3の矢印IVB-IVB方向に視た支柱本体3の切断端面図である。
図4(C)は、
図3の矢印IVC-IVC方向に視た支柱本体3の切断端面図である。
図5は、
図1に示す親綱支柱1の使用状態図である。
【0021】
図1~
図5に示す親綱支柱1は、高所に水平に設けられているH形鋼等の鉄骨のフランジFに設置すると共に、親綱支柱1同士の間に、高所作業者Wが着用する安全帯Bと繋がれる親綱Rを架け渡すものである。具体的に、親綱支柱1は、グリップボックス2と、支柱本体3と、ロック部材4と、繋ぎ具5と、等を備えている。
【0022】
グリップボックス2は、鉄骨のフランジFを挟持することで当該フランジFに固定されると共に、支柱本体3が脱着可能に挿入されて当該支柱本体3を支持する。このグリップボックス2は、金属部品を溶接する等して、側面視で略コの字形に構成されている。具体的に、グリップボックス2は、フランジ挟持部20と、支柱挿入部21と、支柱ロック部22と、ロック部材繋ぎ部23と、等を備えている。
【0023】
フランジ挟持部20は、鉄骨のフランジFを挟持する。具体的に、フランジ挟持部20は、上顎200と、下顎201と、左右2本のボルト202と、を有している。上顎200及び下顎201は、側面視で略コの字形となるように構成され、当該上顎200及び下顎201の間に挿入されたフランジFを上下で挟み込む。左右2本のボルト202は、上方から貫通するように上顎200に螺合しており、上顎200及び下顎201が上下で挟み込んだフランジFを締め付ける。
【0024】
支柱挿入部21は、当該支柱挿入部21に脱着可能に挿入された支柱本体3を支持する。この支柱挿入部21は、支柱本体3の外径よりも若干大きい内径を有し且つ上方に開口した穴である。
【0025】
支柱ロック部22は、グリップボックス2及び支柱本体3をロック部材4で串刺し様にするための孔であり、グリップボックス2の両側面を貫通している。
【0026】
ロック部材繋ぎ部23には、繋ぎ具5の一端が取り付けられている。
【0027】
支柱本体3は、下端からグリップボックス2の支柱挿入部21に脱着可能に挿入されると共に上端に親綱Rを支持する。この支柱本体3は、金属部品を溶接する等して一体に構成されている。具体的に、支柱本体3は、複数の角形鋼管(角形管)30,31,32と、複数の座金33と、ボルト34aと、ナット34bと、親綱支持部35と、位置決め突起36と、取っ手37と、等を備えている。
【0028】
複数の角形鋼管30,31,32は、互いに径及び長さが異なっていて径が小さいほど長さが短く、互いに下端の位置が一致するように一方が他方の内側に緩挿されている。具体的に、角形鋼管30は、相対的に径が大きく、相対的に長さが長い。角形鋼管31は、角形鋼管30よりも径が小さく、角形鋼管30よりも長さが短い。この角形鋼管31は、互いに下端の位置が一致するように角形鋼管30の内側に緩挿されている。角形鋼管32は、角形鋼管31よりも径が小さく、角形鋼管31よりも長さが短い。
【0029】
複数の角形鋼管30,31,32は、グリップボックス2の支柱挿入部21に挿入されている時にグリップボックス2の支柱ロック部22に対応する位置に、ロック孔30a,31a,32aを有している。ロック孔30aは、角形鋼管30の下方寄りの両側面を貫通している。ロック孔31aは、角形鋼管31の下方寄りの両側面を貫通している。ロック孔32aは、角形鋼管32の下方寄りの両側面を貫通している。これらロック孔30a,31a,32aには、ロックをする際に、複数の座金33やグリップボックス2の支柱ロック部22と共にロック部材4が串刺し様に挿入される。
【0030】
複数の角形鋼管30,31は、相対的に長さが短い角形鋼管32の上方寄りの位置に対応した位置に、互いに対応しているボルト孔(図示省略)を有している。また、角形鋼管32は、上方寄りの位置で且つ角形鋼管30,31のボルト孔(図示省略)に対応している位置に、ボルト孔(図示省略)を有している。角形鋼管30のボルト孔(図示省略)は、角形鋼管30の両側面を貫通している。角形鋼管31のボルト孔(図示省略)は、角形鋼管31の両側面を貫通している。角形鋼管32のボルト孔(図示省略)は、角形鋼管32の両側面を貫通している。これら複数の角形鋼管30,31,32のボルト孔(図示省略)には、ボルト34aが串刺し様に挿入される。
【0031】
複数の座金33は、ロック孔30a,31a,32aに対応するように複数の角形鋼管30,31,32の互いの間に配置され、複数の角形鋼管30,31,32の互いの隙間を保つ。角形鋼管30,31同士の間に配置されている一対の座金33は、ロック孔31aに対応するように角形鋼管31の外面に溶接等で固定されている。角形鋼管31,32同士の間に配置されている一対の座金33は、ロック孔32aに対応するように角形鋼管32の外面に溶接等で固定されている。このような複数の座金33は、ロックをする際に、ロック孔30a,31a,32aやグリップボックス2の支柱ロック部22と共にロック部材4が串刺し様に挿入される。
【0032】
ボルト34a及びナット34bは、ボルト孔(図示省略)に挿入されて複数の角形鋼管30,31,32を串刺し様にすることで、当該複数の角形鋼管30,31,32を互いに固定する。ボルト34aは、グリップボックス2及び支柱本体3を串刺し様に固定しているロック部材4と平行に配置されている。
【0033】
親綱支持部35は、角形鋼管30の上部に溶接等で固定されている。この親綱支持部35には、親綱Rに連結されているフック(符号省略)又は緊張器(符号省略)が取り付けられ、親綱支柱1同士の間に親綱Rが架け渡される。
【0034】
位置決め突起36は、グリップボックス2の支柱挿入部21に脱着可能に支柱本体3が挿入された際に、グリップボックス2の支柱挿入部21に対する支柱本体3の位置決めを行う。この位置決め突起36は、角形鋼管30の外面に溶接等で固定されており、グリップボックス2の支柱挿入部21に脱着可能に支柱本体3が挿入された際に、支柱挿入部21の縁に当接することで位置決めを行う。
【0035】
取っ手37は、支柱本体3を手に持つための部分である。この取っ手37は、角形鋼管30の外面に溶接等で固定されている。
【0036】
ロック部材4は、グリップボックス2及び支柱本体3を串刺し様にすることでグリップボックス2及び支柱本体3のロックを行ってグリップボックス2からの支柱本体3の脱落を防止すると共に、ロックを解除することでグリップボックス2からの支柱本体3の取外しを可能にする。
【0037】
具体的に、ロック部材4は、Lピン40と、Iピン41と、等を備えている。Lピン40は、L字形のピンである。Lピン40の一端には繋ぎ具5が取り付けられ、Lピン40の他端には互いに回動可能にIピン41が取り付けられている。Iピン41は、I字形のピンである。Iピン41の一端には、互いに回動可能にLピン40が取り付けられている。ロック部材4は、Lピン40とIピン41を直線状にした状態で、グリップボックス2及び支柱本体3のロック及びその解除が可能となる。また、ロック部材4は、グリップボックス2及び支柱本体3のロックを行った後に、Iピン41の自重によってIピン41がLピン40に対して回動することで、串刺し様にしているグリップボックス2及び支柱本体3からの脱落が防止される。
【0038】
繋ぎ具5は、ロック部材4をグリップボックス2に繋いでおく。繋ぎ具5の一端はグリップボックス2のロック部材繋ぎ部23に取り付けられ、繋ぎ具5の他端にはロック部材4が取り付けられている。
【0039】
次に、
図6を用いて、親綱支柱1の設置手順を説明する。
図6は、
図1に示す親綱支柱1の設置手順を説明する側面図である。
図6(A)は、設置開始前の状態を示す。
図6(B)は、H形鋼のフランジFにグリップボックス2を固定した状態を示す。
図6(C)は、グリップボックス2に支柱本体3を差し込んだ状態を示す。
図6(D)は、ロック部材4でグリップボックス2に支柱本体3をロックした状態を示す。
【0040】
まず、H形鋼のフランジFにグリップボックス2を固定する(
図6(A)→
図6(B)参照)。次に、H形鋼のフランジFに固定されているグリップボックス2に支柱本体3を差し込む(
図6(B)→
図6(C)参照)。そして、ロック部材4でグリップボックス2に支柱本体3をロックする(
図6(C)→
図6(D)参照)。これにより、親綱支柱1の設置が完了する。
【0041】
次に、
図7を用いて、親綱支柱1の撤去手順を説明する。
図7は、
図1に示す親綱支柱1の撤去手順を説明する側面図である。
図7(A)は、撤去開始前の状態を示す。
図7(B)は、ロック部材4を外してロックを解除した状態を示す。
図7(C)は、グリップボックス2から支柱本体3を撤去した状態を示す。
図7(D)は、H形鋼のフランジFからグリップボックス2を撤去した状態を示す。
【0042】
まず、ロック部材4を外してロックを解除する(
図7(A)→
図7(B)参照)。次に、グリップボックス2から支柱本体3を抜いて、当該支柱本体3を撤去する(
図7(B)→
図7(C)参照)。そして、H形鋼のフランジFからグリップボックス2を外し、当該グリップボックス2を撤去する(
図7(C)→
図7(D)参照)。これにより、親綱支柱1の撤去が完了する。
【0043】
このように、親綱支柱1によれば、鉄骨のフランジFにグリップボックス2を固定した後に、長尺で且つ重量物で取り回しが面倒な支柱本体3をグリップボックス2に挿入するだけで設置作業を行うことができる。このため、グリップボックスと支柱本体とが互いに一体となっている従来品と比較して、設置作業が容易である。
【0044】
また、親綱支柱1によれば、長尺で且つ重量物で取り回しが面倒な支柱本体3をグリップボックス2から抜いた後に、鉄骨のフランジFからグリップボックス2を外すだけで撤去作業を行うことができる。このため、グリップボックス2と支柱本体3とが互いに一体となっている従来品と比較して、撤去作業が容易である。
【0045】
すなわち、親綱支柱1によれば、設置作業及び撤去作業の負担を軽減することができる。
【0046】
また、親綱支柱1によれば、ロック部材4がグリップボックス2に繋ぎ具5で繋がれているので、ロックを行う際にロック部材4を探す必要がなく、また、ロックを解除した後にロック部材4を紛失することを防止できる。このため、ロックを行わずに高所作業がなされることを防止できる。
【0047】
また、親綱支柱1によれば、支柱本体3が重ね板ばねのように応力を分散するので、支柱本体2の強度を向上させることができる。
【0048】
また、親綱支柱1によれば、複数の角形鋼管30,31,32を串刺し様にするという簡単な構造で支柱本体2を一体化することができる。
【0049】
また、親綱支柱1によれば、設置作業時に、支柱本体3に対するボルト34a及びナット34bの向きを確認することで、支柱本体3をグリップボックス2に挿入する向きを容易に把握することができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。
【0051】
例えば、上記実施形態において、支柱本体3は、3本の角形鋼管30,31,32から構成されている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、支柱本体は、2本以上の角形鋼管から構成されていれば、何本の角形鋼管から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 親綱支柱
2 グリップボックス
20 フランジ挟持部
200 上顎
201 下顎
202 ボルト
21 支柱挿入部
22 支柱ロック部
23 ロック部材繋ぎ部
3 支柱本体
30,31,32 角形鋼管(角形管)
30a,31a,32a ロック孔
33 座金
34a ボルト
34b ナット
35 親綱支持部
36 位置決め突起
37 取っ手
4 ロック部材
40 Lピン
41 Iピン
5 繋ぎ具
F フランジ
W 高所作業者
B 安全帯
R 親綱