(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】光受信機
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20230914BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G02B6/42
G02B6/46 331
(21)【出願番号】P 2019200689
(22)【出願日】2019-11-05
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】517123173
【氏名又は名称】KAIフォトニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 康博
(72)【発明者】
【氏名】井上 梓
(72)【発明者】
【氏名】板倉 和寿
(72)【発明者】
【氏名】平岡 佑一
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-199316(JP,A)
【文献】特開2008-065210(JP,A)
【文献】特開2007-114314(JP,A)
【文献】特開2012-113972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0011514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/36-6/43
G02B 6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の壁面に取り付けられ、第1の面に電気信号を出力する出力端子が設けられた筐体基部と、
前記筐体基部の前記第1の面とは異なる第2の面に形成され、光ケーブルが接続される筐体側コネクタを有し、前記筐体側コネクタを介して前記光ケーブルから供給される光信号を電気信号に変換して前記出力端子に供給するように構成された筐体付加部と、
前記第2の面に形成され、前記光ケーブルに許容された最小曲率半径より大きな曲率半径の曲面を有する一つ以上のガイドピンと、
前記第1の面に対して直交する前記筐体基部の面である筐体側面の少なくとも一部に形成され、前記筐体側面に沿って巻回される前記光ケーブルを収容するガイド溝と、
を備え、
前記筐体側コネクタは、該筐体側コネクタに接続される前記光ケーブルが非屈曲状態で配線された場合の位置を表す仮想軸が、前記第2の面と平行となるように設けられ、
前記ガイドピンは、前記筐体側コネクタから見て前記仮想軸が位置する側に設けられた
光受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の光受信機であって、
前記ガイドピンは、前記仮想軸を挟んで対向する二つの位置の少なくとも一方に設けられた
光受信機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光受信機であって、
前記筐体付加部は、当該光受信機が前記壁面に取り付けられた状態で、前記筐体基部の上端側に位置するように設けられ、
前記筐体側コネクタは、下方から前記光ケーブルが接続されるように下向きに設けられた
光受信機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光受信機であって、
前記筐体側コネクタに接続される前記光ケーブル側のコネクタをケーブル側コネクタ、前記光ケーブルにおける前記ケーブル側コネクタの取付部位を補強する部材をブーツ、前記光ケーブルにおいて前記ブーツに覆われた部位と前記ブーツから露出した部位との境界をブーツ境界として、
前記筐体側コネクタおよび前記ガイドピンの配置、並びに前記ブーツによって覆われる前記光ケーブルの範囲は、前記筐体側コネクタに接続された前記光ケーブルの前記ブーツ境界が、前記筐体側コネクタから前記ガイドピンの前記筐体側コネクタ側端までの間に位置するように設定された、
光受信機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光受信機であって、
前記ガイドピンに着脱され、前記ガイドピンの曲面との間に前記光ケーブルを挟み込むことで、前記ガイドピンに沿って配線された状態に前記光ケーブルを保持するように構成された返片を更に備える
光受信機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光受信機であって、
前記筐体基部の第2の面に、前記光ケーブルを保持するケーブル保持部を更に備える
光受信機。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の光受信機であって、
前記ガイド溝には、該ガイド溝に収容された前記光ケーブルに係合して、前記ガイド溝からの前記光ケーブルの脱落を抑止する係止片を更に備える、
光受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁面端子を有した光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路である光ケーブルを、オフィスや住宅の壁面に設けられたスイッチボックスまで引き込む FTTH(Fiber To The Home)が知られている。
特許文献1には、スイッチボックスに取り付けて使用されるテレビ端子等を備えた壁面ユニットに光受信機を設け、光ケーブルを介して伝送されてくる光信号を電気信号に変換して、テレビ端子から提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光受信機には、光ケーブルの先端に取り付けられたプラグを着脱するレセプタクルが設けられる。一方、光ケーブルには、プラグの根元部分で、光ケーブルが折れ曲がって光ケーブルの心線が破損することを防止するために、プラグの根元部分の光ケーブルを覆うブーツが設けられている。
【0005】
しかしながら、ブーツの材質は、曲げに対する柔軟性がプラグよりは高いが光ケーブルよりは低いため、今度は、ブーツにより被覆された部位とブーツによる被覆がない部位との境界部分(以下、ブーツ境界)で、光ケーブルの心線が破損するおそれがあった。このため、光受信機に光ケーブルを接続してスイッチボックスに収納する一連の作業時には、ブーツ境界で光ケーブルが限界を超えて折れ曲がることがないように、注意を払って作業する必要があり手間を要するという問題があった。
【0006】
本開示は、壁面端子を有した光受信機のスイッチボックスへの取り付け作業を容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、光受信機であって、筐体基部と、筐体付加部と、一つ以上のガイドピンと、を備える。筐体基部は、建造物の壁面に取り付けられ、第1の面に電気信号を出力する出力端子が設けられる。筐体付加部は、筐体基部の第1の面とは異なる第2の面に形成され、光ケーブルが接続される筐体側コネクタを有し、筐体側コネクタを介して光ケーブルから供給される光信号を電気信号に変換して出力端子に供給するように構成される。ガイドピンは、第2の面に形成され、光ケーブルに許容された最小曲率半径より大きな曲率半径の曲面を有する。筐体側コネクタは、筐体側コネクタに接続される光ケーブルが非屈曲状態で配線された場合の位置を表す仮想軸が、第2の面と平行となるように設けられる。ガイドピンは、筐体側コネクタから見て前記仮想軸が位置する側に設けられる。
【0008】
このような構成によれば、筐体側コネクタに接続された光ケーブルの余長を、光受信機に巻き取るときに、光ケーブルがガイドピンの側面に沿って配線される。このため、壁面ユニット1によれば、光ケーブルが許容最小曲率半径より小さな曲率半径に屈曲した状態で配線されること、ひいては、光ケーブルの破損(特に、心線の破断)が抑制される。その結果、光ケーブルの破損について過大な注意を払うことなく作業を実施できるため、作業効率を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、ガイドピンは、仮想軸を挟んで対向する二つの位置の少なくとも一方に設けられてもよい。このような構成によれば、筐体側コネクタとの接続部からガイドピンによって光ケーブルが屈曲させられる箇所までの長さを最大限に確保できる。
【0010】
本開示の一態様では、筐体付加部は、当該光受信機が壁面に取り付けられた状態で、筐体基部の上端側に位置するように設けられ、筐体側コネクタは、下方から光ケーブルが接続されるように下向きに設けられてもよい。このような構成によれば、第2の面から突出する部位を低背にできる。
【0011】
本開示の一態様では、筐体側コネクタに接続される光ケーブル側のコネクタをケーブル側コネクタ、筐体側コネクタおよびガイドピンの配置、並びにブーツによって覆われる光ケーブルの範囲は、筐体側コネクタに接続された光ケーブルのブーツ境界が、筐体側コネクタからガイドピンの筐体側コネクタ側端までの間に位置するように設定されてもよい。なお、ブーツは、光ケーブルにおけるケーブル側コネクタの取付部位を補強する部材である。ケーブル側コネクタは、筐体側コネクタに接続される光ケーブル側のコネクタである。ブーツ境界は、光ケーブルにおいてブーツに覆われた部位とブーツから露出した部位との境界である。
【0012】
このような構成によれば、光ケーブルのブーツで覆われていない部位がガイドピンに当接するため、ブーツ境界にて許容最小曲率半径より小さな曲率半径に光ケーブルが屈曲させられることを、より抑制できる。
【0013】
本開示の一態様は、ガイドピンに着脱され、ガイドピンの曲面との間に光ケーブルを挟み込むことで、ガイドピンに沿って配線された状態に光ケーブルを保持するように構成された返片を更に備えてもよい。
【0014】
このような構成によれば、光送受信機と光ケーブルとが、一体になった状態に保持されるため作業性をより向上させることができる。
本開示の一態様は、筐体基部の第2の面に、光ケーブルを保持するケーブル保持部を更に備えてもよい。
【0015】
このような構成によれば、光送受信機と光ケーブルとが、より一体になった状態に保持されるだけでなく、光ケーブルにテンションが加わっても、光ケーブルがガイドピン等に押し付けられる力が抑制される。このため、作業性を向上させることができると共に、作業時の光ケーブルの破損を抑制できる。
【0016】
本開示の一態様は、第1の面に対して直交する筐体基部の面である筐体側面の少なくとも一部に形成され、筐体側面に沿って巻回される光ケーブルを収容するガイド溝を更に備えてもよい。
【0017】
このような構成によれば、光ケーブルの余長を無理なく光受信機1の側面に巻き取ることができる。
本開示の一態様は、ガイド溝には、ガイド溝に収容された光ケーブルに係合して、ガイド溝からの光ケーブルの脱落を抑止する係止片を更に備えてもよい。
【0018】
このような構成によれば、光受信機に巻き取られた光ケーブルの緩みが抑制され、光受信機と光ケーブルとがより一体になった状態に保持されるため、作業性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の壁面ユニットを正面側から見た斜視図である。
【
図2】第1実施形態の壁面ユニットを分解した状態を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の壁面ユニットを背面側から見た斜視図である。
【
図4】第1実施形態の壁面ユニットの使用状態を示す説明図である。
【
図5】第1実施形態の壁面ユニットの使用状態を示す説明図である。
【
図7】スイッチボックスの導入口と壁面ユニットでの余長処理の方向との関係を示す説明図である。
【
図8】第2実施形態の壁面ユニットを背面側から見た斜視図である。
【
図9】第3実施形態の壁面ユニットを背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
本実施形態の壁面ユニット1は、大角3口用の1端子型の直列ユニットである。壁面ユニット1は、伝送路である光ケーブルを、オフィスや住宅の壁面に設けられたスイッチボックスまで引き込むFTTH(Fiber To The Home)が適用された建物等で用いられる。配線用の光ケーブルとして、POF(Plastic Optical Fiber)が用いられる。
【0021】
図1および
図2に示すように、壁面ユニット1は、テレビ用のアウトレット端子22を有し、住宅の壁面等に埋め込まれたスイッチボックスに、取付枠を介して固定される。なお、取付枠は、3口用のスイッチボックスに適用される市販品であり、矩形状に形成された枠体である。アウトレット端子22が出力端子に相当する。
【0022】
壁面ユニット1は、光受信機2と、カバー3とを備える。
以下では、
図1、
図2における上下左右方向を壁面ユニット1の上下左右方向とし、上下方向および左右方向のいずれにも直交する方向を前後方向とする。そして、前方向に位置する図に見えている側の面を正面、その反対側の後方向に位置する面を背面という。
【0023】
カバー3は、樹脂性のカバーであり、その中心付近には、アウトレット端子22を外部に露出させる円形の端子孔31が形成されている。カバー3の左右縁および上下縁は、いずれも背面側に折り返された形状を有する。カバー3の上下縁には、光受信機2に当該カバー3を取り付ける際に使用する係合孔32が形成されている。
【0024】
光受信機2は、
図1~
図3に示すように、筐体21と、アウトレット端子22と、枠体固定部23と、筐体側コネクタ24と、ガイドピン25とを備える。
筐体21は、電子部品等を収納する空間を有した金属製の箱体であり、筐体基部211と、筐体付加部212とを有する。
【0025】
筐体基部211は、厚みのある長方形かつ板状の部位であり、ここでは長方形の板面の長手方向が上下方向、短手方向が左右方向、板の厚さ方向が前後方向と一致する。筐体付加部212は、筐体基部211の上端側に位置し、且つ、筐体基部211の背面側板面から突設され、筐体基部211と一体成型された直方体状の箱体である。
【0026】
アウトレット端子22は、筐体基部211の正面側板面の中央に設けられる。アウトレット端子22は、F型コネクタのレセプタクルである。つまり、筐体基部211の正面側板面が第1の面に相当し、背面側板面が第2の面に相当する。
【0027】
枠体固定部23は、筐体基部211の正面側板面の四隅にそれぞれ設けられる。枠体固定部23は、光受信機2(ひいては壁面ユニット1)を取付枠に固定するための構造を有する。枠体固定部23の構造は、市販の取付枠が取り付けられることからもわかるように周知であるため、ここでの説明は省略する。但し、枠体固定部23には、カバー3に形成された係合孔32と係合することで、光受信機2にカバー3を固定するための突起231が設けられている。
【0028】
筐体側コネクタ24は、筐体付加部212の下端面、即ち、筐体基部211の背面側板面に対して直交しかつ下方を向いた面に設けられる。筐体側コネクタ24は、光ケーブル6の先端に設けられたプラグ状のケーブル側コネクタ61が挿入されるレセプタクルである。なお、光ケーブル6には、
図4等に示すように、ケーブル側コネクタ61が取り付けられた根元部分にて、光ケーブル6が過度に屈曲することがないように補強するブーツ62が取り付けられている。なお、筐体側コネクタ24は、該筐体側コネクタ24に接続される光ケーブル6が非屈曲状態で配線される方向を表す仮想軸Aが、筐体基部211の背面側板面と平行となるように設けられる。ここでは、仮想軸Aは、筐体基部211の左右方向における中心に位置する。
【0029】
筐体付加部212には、筐体側コネクタ24に接続された光ケーブル6によって伝送されてくる光信号を受光して電気信号に変換するO/E変換回路を搭載した回路基板が収納される。O/E変換回路にて変換された電気信号は筐体基部211の内部に設けられた配線用基板を介してアウトレット端子22に供給される。
【0030】
筐体基部211の背面下端部には、円筒状に形成された二つのガイドピン25,25が、仮想軸Aを挟んで対向する位置に設けられる。二つのガイドピン25,25の配置間隔は、光ケーブル6の直径より広く設定される。
【0031】
ガイドピン25の側面の曲率半径は、光ケーブル6を曲げたときに許容される曲率半径の最小値(以下、許容最小曲率半径)以上の値となるように設定される。なお、光ケーブル6の許容最小曲率半径は、例えば、10mmである。
【0032】
なお、ガイドピン25は、必ずしも円筒形である必要はなく、光ケーブルを配線したときに光ケーブルと接触する可能性がある部位に、許容最小曲率半径以上の曲面を有する形状であればよい。また、筐体側コネクタ24とガイドピン25との配置間隔、およびブーツ62の大きさは、ケーブル側コネクタ61が筐体側コネクタ24に挿入された状態で、ブーツ境界が、筐体側コネクタ24とガイドピン25の筐体側コネクタ24側端との間に位置するように設定される。ブーツ境界とは、光ケーブルにおいてブーツ62に覆われた部位とブーツ62に覆われていない部位との境界のことをいう。つまり、筐体側コネクタ24に接続された光ケーブル6のブーツ62が、ガイドピン25と接触することがないように設定される。
【0033】
ガイドピン25には、ガイドピン25の側面との間に光ケーブル6が保持された状態にする返片4(
図6参照)をネジ止めするためのネジ孔251を有する。返片4は細長い板材を直角に折り曲げた形状を有し、直交する二つの板面のうち一方の板面にはネジ孔が設けられる。返片4は、ガイドピン25にネジ止めされたときに、ネジ孔を有さない他方の板面は、ガイドピン25の側面と、光ケーブルの直径程度の間隔を開けて対向した位置に保持される。
【0034】
筐体基部211の左右側面および下側面には、光ケーブル6を収納可能な幅を有したガイド溝213が連続的に形成されている。また、ガイド溝213は、左右側面に一箇所ずつ、溝幅の広い幅広部214を備える。各幅広部214には、それぞれ、一端が固定され他端が解放された舌片状の係止片215が設けられる。係止片215は、ガイド溝213に収納された光ケーブル6がガイド溝213から脱落することを抑止する。
【0035】
筐体付加部212の左右側面には、それぞれ、ガイド溝213より溝幅の広い導入溝216が形成されている。
更に、ガイド溝213および導入溝216において、筐体21の右上、左上、右下、および左下の四隅は、ガイド溝213および導入溝216に沿って光ケーブルが配線されたときに、光ケーブル6が許容最小曲率半径より小さな曲率半径に屈曲させられることがないように曲面が形成されている。
【0036】
[1-2.使用例]
ここで、
図7に示すように、壁面ユニット1を、壁面に固定されたスイッチボックス7に取り付ける作業について説明する。まず、壁面ユニット1に取付枠を固定する。取付枠の図示は省略する。次に、スイッチボックスから光ケーブル6を引っ張り出し、引っ張りだした光ケーブルの先端にケーブル側コネクタ61およびブーツ62を取り付ける。次に、光ケーブル6に取り付けられたケーブル側コネクタ61を、筐体側コネクタ24に挿入することで、光ケーブル6を壁面ユニット1に接続する。最後に、光ケーブル6が接続された壁面ユニット1を、光ケーブル6の余長部分と共にスイッチボックス7内に収納し、取付枠を用いて壁面ユニット1をスイッチボックス7に固定する。
【0037】
なお、壁面ユニット1をスイッチボックスに収納する際、光ケーブル6の余長部分は、次のように処理される。すなわち、筐体側コネクタ24に接続された光ケーブル6を、二つのガイドピン25,25の間に配置する。この状態から壁面ユニット1を右回りまたは左回りに回転させることで、
図4に示すように、光ケーブル6の余長を、ガイドピン25および導入溝216に沿わせる。このとき、光ケーブル6の余長に余裕がある場合は、
図5に示すように、ガイド溝213に光ケーブル6を収納しながら壁面ユニット1に光ケーブル6を巻き取らせる。係止片215のところでは、幅広部214を利用して、光ケーブルをガイド溝213内に収納する。ガイド溝213内に収納された光ケーブル6は、係止片215によって、ガイド溝213からの脱落が抑止される。
【0038】
なお、スイッチボックス7内に光ケーブルを導入するための導入口71は、通常、スイッチボックス7の右上側、左上側、右下側、および左下側の4箇所のうち、少なくとも1箇所に設けられる。ここでは、壁面ユニット1を収納するスイッチボックス7の開口側、および壁面ユニット1のアウトレット端子22が位置する側を正面(以下、同様)とする。例えば、
図7に示すように、スイッチボックス7の左上側に導入口71が存在する場合、正面側から見て右巻きに光ケーブル6を巻き取ることで壁面ユニット1の左上側に光ケーブルが導かれる。このため、スイッチボックス7の左上側の導入口71から壁面ユニット1への光ケーブル6の配線を無理なく行うことができる。
【0039】
また、スイッチボックス7の導入口71が、正面から見て右下側に存在する場合、光ケーブル6の余長に更なる余裕がなければ、
図7の状態で壁面ユニット1を上下反対にしてスイッチボックス7に収納すればよい。光ケーブル6の余長に余裕がある場合は、ガイド溝213に沿って、更に、壁面ユニット1の右下端まで光ケーブル6を巻き取ってから、スイッチボックス7に収納すればよい。
【0040】
同様に、スイッチボックス7の導入口71が、正面から見て右上側または左下側に存在する場合は、正面側から見て右巻きに光ケーブル6を巻き取るようにして余長を処理すればよい。
【0041】
また、二つのガイドピン25,25のうち、光ケーブル6が折り返される側に位置するガイドピン25には、
図6に示すように、返片4をネジ止めし、ガイドピン25の側面と返片4の間に光ケーブル6を保持させてもよい。これにより、壁面ユニット1をスイッチボックス7に収納する作業時に、壁面ユニット1に巻き取られた光ケーブル6が壁面ユニット1から脱落することが抑制される。
【0042】
なお、
図6では、図面を見易くするために、光ケーブル6がガイドピン25に接触していない状態を示す。実際に配置する場合にも、光ケーブル6は余裕を持って配線されるが、何らかの理由で光ケーブル6にテンションが加わると、光ケーブル6はガイドピン25の側面に当接した状態で配線される。このとき、光ケーブル6は許容最小曲率半径より小さな曲率半径に屈曲させられることがない。
【0043】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)壁面ユニット1では、筐体側コネクタ24に接続された光ケーブル6の余長を、当該壁面ユニット1に巻き取るときに、光ケーブル6がガイドピン25の側面に沿って配線される。このため、壁面ユニット1によれば、光ケーブル6が許容最小曲率半径より小さな曲率半径に屈曲した状態で配線されること、ひいては、光ケーブル6の破損(特に、心線の破断)が抑制される。その結果、光ケーブル6の破損について過大な注意を払うことなく作業を実施できるため、作業効率を向上させることができる。
【0044】
(1b)壁面ユニット1では、筐体側コネクタ24に接続された光ケーブル6を、余長処理をしつつ、壁面ユニット1(ひいては、スイッチボックス7)の四隅のいずれにも無理なく配線できる。このため、スイッチボックス7の導入口71の位置によらず、光ケーブル6を無理に屈曲させたり、光ケーブル6に過剰なテンションが加わったりすることを抑制できる。
【0045】
(1c)壁面ユニット1では、筐体21の側面に、光ケーブル6の配線位置をガイドする導入溝216およびガイド溝213が設けられているため、光ケーブル6の余長を無理なく壁面ユニット1の側面に巻き取ることができる。更に、ガイドピン25には、ガイドピン25と共に光ケーブル6を保持する返片4を取り付けることができるだけでなく、ガイド溝213には、光ケーブル6の脱落を抑制する係止片215が設けられている。このため、壁面ユニット1と光ケーブル6とが、より一体になった状態に保持されるため、作業性をより向上させることができる。
【0046】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0047】
第2実施形態の壁面ユニット1aは、
図8に示すように、光受信機2aの筐体付加部212の左右側面に、導入溝216の代わりに、弾性挟持片217を備える点で、第1実施形態とは相違する。
【0048】
弾性挟持片217は、断面形状がL字状の部材であり、筐体付加部212の左右側面に対して平行に配置される第1部位と、第1部位が壁面に対して光ケーブルの直径程度の間隔を空けて対向するように保持する第2部位とを有する。
【0049】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1c)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0050】
(2a)このような構成によれば、壁面ユニット1aに巻き付けた光ケーブル6を弾性挟持片217に挟持させることで、壁面ユニット1aと光ケーブル6とはより一体に保持されるため、作業性をより向上させることができる。
【0051】
[3.第3実施形態]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0052】
第3実施形態の壁面ユニット1bは、
図9に示すように、光受信機2bの筐体付加部212の左右側面に、導入溝216を設ける代わりに、筐体基部211の背面側板面にケーブル保持部218を備える点で第1実施形態とは相違する。
【0053】
ケーブル保持部218は、各ガイドピン25を経由して筐体付加部212の側面に到る光ケーブル6の各配線経路(
図9では二つの配線経路)中に千鳥状に配置された複数の挟持ピンを備える。光ケーブル6は、複数の挟持ピンにより蛇行した状態に配線される。また、複数の挟持ピンと光ケーブルとの摩擦によって、配線方向に引っ張っても、光ケーブルが抜け難くなる。なお、ケーブル保持部218を形成する複数の挟持ピンの配置は、挟持ピンによって蛇行した状態で配線される光ケーブル6の曲率半径が、許容最小曲率半径より小さくなることがないよう設定される。
【0054】
[3-2.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1c)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0055】
(3a)このような構成によれ、壁面ユニット1bに巻き付けた光ケーブル6の緩みがケーブル保持部218によって抑制されるため、壁面ユニット1bと光ケーブル6とは、より一体になった状態に保持されるため、作業性をより向上させることができる。
【0056】
なお、ケーブル保持部218は、光ケーブル6が蛇行して配線されるように光ケーブル6を保持するが、光ケーブル6が直線状や曲線状に配線されるように光ケーブル6を保持するように構成されてもよい。
【0057】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0058】
(4a)上記実施形態では、ガイドピン25を二つ設けたが、いずれか一方が省略されてもよい。また、ガイドピン25が着脱自在に構成されてもよい。
(4b)上記実施形態では、光受信機2の左右側面に形成されたガイド溝213のそれぞれに1箇所ずつ係止片215を設けているが、本開示において、係止片215を設ける位置および数は、図示された位置および数に限定されるものではない。
【0059】
(4c)第3実施形態では、筐体基部211の背面側板面にケーブル保持部218を備えているが、この位置の代わりに、或いはこの位置に加えて、例えば、筐体付加部212の上面や側面に、ケーブル保持部218を設けてもよい。
【0060】
(4d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1a,1b…壁面ユニット、2,2a,2b…光受信機、3…カバー、4…返片、6…光ケーブル、7…スイッチボックス、21…筐体、22…アウトレット端子、23…枠体固定部、24…筐体側コネクタ、25…ガイドピン、31…端子孔、32…係合孔、61…ケーブル側コネクタ、62…ブーツ、71…導入口、211…筐体基部、212…筐体付加部、213…ガイド溝、214…幅広部、215…係止片、216…導入溝、217…弾性挟持片、218…ケーブル保持部、231…突起、251…ネジ孔、A…仮想軸。