(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】振動減衰構造を備えたエアーインパクトツール
(51)【国際特許分類】
B25D 17/24 20060101AFI20230914BHJP
B25D 9/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B25D17/24
B25D9/04
(21)【出願番号】P 2022024223
(22)【出願日】2022-02-18
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】522066506
【氏名又は名称】大里興業股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】STORM PNEUMATIC TOOL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.539, Dali Rd., Dali Dist., Taichung City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】孫永勇
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-266257(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02108594(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0245350(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0344418(US,A1)
【文献】米国特許第06668942(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/00-17/32
B25D 9/04
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹空間が内設され、前記凹空間に連接され
る吸気チャンネルが設けられ、前記吸気チャンネル中には気流スイッチが設置されているグリップと、
前記凹空間中に収容されているチューブであって、前記チューブ中には気流逆転弁が設置され、高圧ガスを前記気流逆転弁に導入するように、前記チューブの側壁には前記吸気チャンネルと連通されているスルーホールが設けられているチューブと、
前記チューブに固定されている環状壁及び前記環状壁により包囲されているチャンバーを含み、前記環状壁に密接しているハンマーは前記チャンバー中に設置されて前記チャンバーをフロントチャンバー及びリアチャンバーに分画し、前記環状壁の前端にはツールヘッドが設置され、前記環状壁には前記チャンバーを外界に連通させるための少なくとも1つの排気口が設けられ、前記環状壁には前記気流逆転弁及び前記フロントチャンバーに連通されている気流チャンネルが内設され、前記気流チャンネルは前記フロントチャンバーに第一吸気口が形成され、前記リアチャンバーには前記気流逆転弁に連接されている第二吸気口が設けられ、気流は前記第一吸気口から前記フロントチャンバーに入力されるか、前記第二吸気口から前記リアチャンバーに入力されるインナーチューブと、を備え、
上述の前記ハンマーは前記第一吸気口に近接している先端及び前記第二吸気口に近接している末端を有し、前記ハンマーの外周面上には排気チャンネルが設けられ、前記排気チャンネルは前記先端まで延伸されていると共に前記フロントチャンバーに連通され、且つ前記排気チャンネルは前記末端に連接されておらず、前記リアチャンバーに連通されておらず、高圧ガスが前記第二吸気口から前記リアチャンバーに注入されると、前記ハンマーが高圧ガスにより押動されて前記ツールヘッドに向けて移動し、高圧ガスが前記第一吸気口から前記フロントチャンバーに注入されると、前記ハンマーが高圧ガスにより押動されて前記ツールヘッドから離間し、この過程において、前記排気チャンネルが前記排気口に連通されると、前記フロントチャンバー中の高圧ガスが前記排気チャンネル及び前記排気口を経て漏出し、前記ハンマーを押動する力が減少
し、
前記排気チャンネルは相互に連通されている凹溝部及び円筒状ギャップを備え、前記凹溝部はハンマーの移動方向に沿って直線状を呈して前記先端まで延伸されていると共に前記フロントチャンバーに連通され、前記円筒状ギャップは前記ハンマーの外周面に凹設されている帯状凹部と前記環状壁との間にある空間であり、前記環状壁には3つの前記排気口が設けられ、各排気口及び前記ツールヘッドの距離はそれぞれ異なり、前記排気口と前記ツールヘッドとの間の距離は前記チャンバーの全長の半分より長くなく、前記ハンマーが前記ツールヘッドに接触する箇所に位置した場合、前記円筒状ギャップが前記ツールヘッドに最も近接する2つの前記排気口に連通されることを特徴とする振動減衰構造を備えたエアーインパクトツール。
【請求項2】
前記排気チャンネルは前記ハンマーの外周面上に凹設されている螺旋状の凹溝で構成され、前記環状壁には3つの前記排気口が設けられ、各排気口及び前記ツールヘッドの距離はそれぞれ異なり、前記排気口と前記ツールヘッドとの間の距離は前記チャンバーの全長の半分より長くなく、前記ハンマーが前記ツールヘッドと接触する箇所に位置した場合、前記凹溝が前記ツールヘッドに最も近接する2つの前記排気口に連通されることを特徴とする請求項1に記載の振動減衰構造を備えたエアーインパクトツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドツールに関し、より詳しくは、エアーインパクトツールに関する。
【背景技術】
【0002】
エアーインパクトツールは使用過程においてハンマーの往復変位により振動が形成され、長時間使用すると把持しているユーザーの手が悪影響を受けた。特に打撃力が強いエアーインパクトツールほどその振動が大きくなり、ユーザーに対する傷害も深刻になるため、改良する必要があった。
【0003】
従来の特許文献では、例えば、下記特許文献1と特許文献2の「エアーツール」という記載があって、そのバレル構造において、後方にはエアーチャンバーが設置され、ハンマーが後方に向けて移動する際にエアーチャンバー内の空気を圧縮することで緩衝作用を発生させ、且つバレルに対し与えるハンマーの振動を低減させている。また、特許文献2の
図4には他の「エアーツール」という記載があって、そのバレルの後方にはバネまたはゴムブロックが設置され、ハンマーが後方に向けて移動する際にバネまたはゴムブロックを圧縮し、その変形により緩衝作用を発生させ、且つバレルに対し与えるハンマーの振動を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】台湾特許出願公開第I235700号明細書
【文献】台湾特許出願公開第I729809号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した2つの従来の構造は共にエアーツールの既存構造であるほか、他の部材を別途増設せねばならず(空間の配置を改変してエアーチャンバーを形成し、バネまたはゴムブロック等を増設する)、エアーツールに大きな振動が発生した後に緩衝することで前記振動を低減しているため、コストが増加するという欠点以外に、振動低減効果が理想的ではなく、ユーザーが操作する上で手に不快感を感じる点が最も深刻であった。
【0006】
前述した特許文献1の
図5に示す構造において、バレル前端に連通されている吸気管が設けられ、前記吸気管はバレル前端まで移動したハンマーを高圧ガスにより後方に向けて移動させるために用いられ、バレル上の略中間の位置箇所には圧力を逃がすための排気口以が設けられている。然しながら、ハンマーが前方に向けてツールヘッドに衝突して後方に向けて跳ね返る過程において、ハンマーが前記中間位置の排気口を通過した後にバレル内の高圧ガスが漏出するが、ガスが漏出する前には高圧によりハンマーが駆動されてバレル後端まで後退している。このため、強めの力でバレル後端を打撃しなければならず、これがエアーツールの振動の根本的な原因となっていた。
【0007】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを提供することにある。すなわち、ハンマー上にインナーチューブのフロントチャンバーに連通されている排気チャンネルを設け、ハンマーの後退過程の初期に持続的にガスを逃がすことで、ハンマーを後退させる衝撃力を直接減弱し、振動を減少させる。これにより、本発明は別途部材を増設せずに振動を低減する効果を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールは、
凹空間が内設され、前記凹空間の吸気チャンネルに連接され、前記吸気チャンネル中には気流スイッチが設置されているグリップと、
前記凹空間中に収容されているチューブであって、前記チューブ中には気流逆転弁が設置され、高圧ガスを前記気流逆転弁に導入するように、前記チューブの側壁には前記吸気チャンネルと連通されているスルーホールが設けられているチューブと、
前記チューブに固定されている環状壁及び前記環状壁により包囲されているチャンバーを含み、前記環状壁に密接しているハンマーは前記チャンバー中に設置されて前記チャンバーをフロントチャンバー及びリアチャンバーに分画し、前記環状壁の前端にはツールヘッドが設置され、前記環状壁には前記チャンバーを外界に連通させるための少なくとも1つの排気口が設けられ、前記環状壁には前記気流逆転弁及び前記フロントチャンバーに連通されている気流チャンネルが内設され、前記気流チャンネルは前記フロントチャンバーに第一吸気口が形成され、前記リアチャンバーには前記気流逆転弁に連接されている第二吸気口が設けられ、気流は前記第一吸気口から前記フロントチャンバーに入力されるか、前記第二吸気口から前記リアチャンバーに入力されるインナーチューブと、を備え、
上述の前記ハンマーは前記第一吸気口に近接している先端及び前記第二吸気口に近接している末端を有し、前記ハンマーの外周面上には排気チャンネルが設けられ、前記排気チャンネルは前記先端まで延伸されていると共に前記フロントチャンバーに連通され、且つ前記排気チャンネルは前記末端に連接されておらず、前記リアチャンバーに連通されておらず、高圧ガスが前記第二吸気口から前記リアチャンバーに注入されると、前記ハンマーが高圧ガスにより押動されて前記ツールヘッドに向けて移動し、高圧ガスが前記第一吸気口から前記フロントチャンバーに注入されると、前記ハンマーが高圧ガスにより押動されて前記ツールヘッドから離間し、この過程において、前記排気チャンネルが前記排気口に連通されると、前記フロントチャンバー中の高圧ガスが前記排気チャンネル及び前記排気口を経て漏出し、前記ハンマーを押動する力が減少する。
【0010】
本発明の好適例において、前記排気チャンネルは前記ハンマーの外周面上に凹設されている螺旋状の凹溝で構成されている。
【0011】
本発明の好適例において、前記ハンマーが前記ツールヘッドと接触する箇所に位置した場合、前記凹溝が前記排気口に連通される。更に、前記環状壁には3つの前記排気口が設けられ、各排気口及び前記ツールヘッドの距離はそれぞれ異なる。前記ハンマーが前記ツールヘッドと接触する箇所に位置した場合、前記凹溝が前記ツールヘッドに最も近接する2つの前記排気口に連通される。
【0012】
本発明の好適例において、前記排気チャンネルは相互に連通されている凹溝部及び円筒状ギャップを備え、前記凹溝部はハンマーの移動方向に沿って直線状を呈して前記先端まで延伸されていると共に前記フロントチャンバーに連通され、前記円筒状ギャップは前記ハンマーの外周面に凹設されている帯状凹部で構成されている。
【0013】
本発明の好適例において、前記ハンマーが前記ツールヘッドと接触する箇所に位置した場合、前記円筒状ギャップが前記排気口に連通される。更に、前記環状壁には3つの前記排気口が設けられ、各排気口及び前記ツールヘッドの距離はそれぞれ異なる。前記ハンマーが前記ツールヘッドと接触する箇所に位置した場合、前記円筒状ギャップが前記ツールヘッドに最も近接する2つの前記排気口に連通される。
【0014】
本発明の好適例において、前記排気口と前記ツールヘッドとの間の距離は前記チャンバーの全長の半分より長くない。
【0015】
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを示す分解概略図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを示す断面概略図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールのハンマーを示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【
図6】本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを示す分解概略図である。
【
図8】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを示す断面概略図である。
【
図9】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールのハンマーを示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【
図11】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールの作動状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1~12を参照しながら、本発明に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールをさらに詳しく説明する。
【0018】
<第1実施例>
まず、
図1と
図2は本発明の第1実施例に係る振動減衰構造を備えたエアーインパクトツールを示す構成概略図であって、グリップ1と、チューブ2と、インナーチューブ3と、ハンマー4と、を備えている。前記グリップ1はピストル形または直筒形に形成してもよく、本実施例では、前記グリップ1がピストル形である。前記グリップ1の上部には凹空間11が設けられている。前記グリップ1の底部には上向きに延伸されていると共に前記凹空間11に連通されている吸気チャンネル12が設けられ、外部の高圧ガス供給源に接続されている。前記吸気チャンネル12中には気流の通過を制御するための気流スイッチ13が設置され、且つ前記グリップ1の一側はボタン14が前記気流スイッチ13に接続されることで操作可能となっている。
【0019】
本実施例の前記チューブ2は前記凹空間11中に収容され、且つ前記凹空間11の底端には前記チューブ2を緩衝するためのバネ15が設置されている。前記チューブ2の側壁には前記吸気チャンネル12に連通されているスルーホール21が設けられ、且つ前記チューブ2中には従来の気流逆転弁22が設置されている。高圧ガスは前記吸気チャンネル12に導入された後、前記スルーホール21を経て前記気流逆転弁22に進入し、前記気流逆転弁22は高圧ガスを2つの異なる経路から排出するために用いられている。
【0020】
前記インナーチューブ3は円管構造であり、環状壁31及び前記環状壁31により包囲されているチャンバー32を有している。前記環状壁31は前記チューブ2中に延伸され、且つねじ山により前記チューブ2上にロックされている。前記チャンバー32中には前記環状壁31に密接しているハンマー4が設置され、前記チャンバー32を分画してフロントチャンバー321及びリアチャンバー322を形成している。前記インナーチューブ3は前記チューブ2の外に延出され、その前端にはツールヘッド5が設置され、前記ツールヘッド5は実際の需要に応じて交換可能である。前記環状壁31中の前記チャンバー32とは異なる内部には前記気流逆転弁22に連通されている気流チャンネル33が設けられ、前記フロントチャンバー321に第一吸気口34が形成されている。また、前記リアチャンバー322には前記気流逆転弁22に連接されている第二吸気口35が設けられている。これにより、前記気流逆転弁22が最適な時間を選択して高圧ガスを前記気流チャンネル33に排出し、前記第一吸気口34から前記フロントチャンバー321に注入する。または、高圧ガスを前記第二吸気口35から前記リアチャンバー322に注入する。
【0021】
さらに、前記環状壁31には前記チャンバー32を外界に連通するための少なくとも1つの排気口36が設けられている。本実施例において、前記排気口36の数量は3つであり、前記インナーチューブ3の軸方向に沿って直線状に配列されている。各排気口36及び前記ツールヘッド5の距離はそれぞれ異なる。さらに、上述の3つの排気口36は前記第一吸気口34と前記第二吸気口35との間に設けられ、且つ前記排気口36と前記ツールヘッド5との間の距離は前記チャンバー32の全長の半分より長くない。
【0022】
図2と
図3を参照し、前記ハンマー4は前記第一吸気口34に近接している先端41及び前記第二吸気口35に近接している末端42を備え、両者の間には外周面43を有している。前記ハンマー4の外径は前記チャンバー32の内径に等しく、前記外周面43が前記環状壁31に密接している。前記外周面43上には排気チャンネルが設けられ、前記排気チャンネルは前記先端41まで延伸されていると共に前記フロントチャンバー321に連通され、且つ前記排気チャンネルは前記末端42に連接されていないため、前記リアチャンバー322にも連通されていない。本実施例において、前記排気チャンネルは前記外周面43上に凹設されている凹溝44で構成され、前記凹溝44は螺旋状に延伸され、前記凹溝44の数量及びねじのピッチ等は設計の需要に応じて変化させることができる。
【0023】
本実施例では、前記凹溝44及び前記排気口36の相対的な位置関係は
図4に示す。詳しくは、前記ハンマー4が前記ツールヘッド5に接触する位置まで移動すると、前記凹溝44が前記ツールヘッド5に最も近接する2つの排気口36に連通される。
【0024】
上述の構造により、ボタン14を押して気流スイッチ13を制御すると、高圧ガスが前記吸気チャンネル12を経て前記気流逆転弁22に導入された後、前記気流逆転弁22が先ず高圧ガスを前記第二吸気口35から前記リアチャンバー322に注入する。この際、高圧ガスが前記ハンマー4を押動して前方に向けて高速に移動させ、且つ前記ツールヘッド5に衝突させて作動効果を発生させる。次いで、前記気流逆転弁22が給気経路を切り換え、高圧ガスを前記第二吸気口35から前記リアチャンバー322に注入するのを停止し、高圧ガスを前記気流チャンネル33に導入するように改変し、前記第一吸気口34から前記フロントチャンバー321に注入する。気流逆転弁22の給気経路を切り換える技術はよくある従来の技術であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0025】
この際、高圧ガスが前記ハンマー4を後方に向けて移動させるように押動を開始する。
図4に示すように、前記ハンマー4が前記ツールヘッド5から離間し始めると、前記フロントチャンバー321中の高圧ガスが相互に連通されている前記凹溝44及び前記排気口36で構成されているチャンネルから外界に漏出し始め、前記フロントチャンバー321内の圧力が低下し、前記ハンマー4を押動する力が減弱する。これにより、前記ハンマー4が
図6に示す行程の終点まで移動すると、振動幅が減少する。
【0026】
なお、本発明は振動を低減する作用過程において、前記ハンマー4が
図4に示す行程の起点にある場合、前記凹溝44が前記排気口36に連通されることにより、ガス排出を開始する。換言すれば、本発明のガス排出時期は従来の構造よりも大幅に早まっており、ハンマー4を押動する力を大幅に減少させている。
【0027】
そして、ハンマー4の後退過程において、
図5に示すように、前記凹溝44が異なる排気口36に連通されることによりガスが持続的に排出され、前記ハンマー4を後退させるように押動する力が持続的に減弱し、振動が大幅に減少する。
【0028】
本発明の特徴は、エアーツールに振動を発生させる発生源に(即ち、ハンマー4を後退させる衝撃力)、ガス排出方式を採用してハンマー4を後退させる衝撃力を直接減弱し、根本的に解決する目的を達成させる。従来の構造よりも好適な振動低減効果を生むと同時に、高圧ガスがハンマーを前進するように駆動してツールヘッドを打撃させる力に影響を与えず、エアーツールの出力パワーを兼ね備えつつ振動低減効果を発生させている。
【0029】
<第2実施例>
本発明の第2実施例の構成を
図7から
図9に示す。これは前述の実施例と同じ構造を有しているエアーインパクトツールであり、当該相違点について、ハンマー9の構造にあり、よって、後続の説明には前述の実施例の構造を加えている。
【0030】
前記ハンマー9は前述の実施例と同様に先端91及び末端92を有し、両者の間には外周面93を有している。前記外周面93上には排気チャンネルが設けられ、前記排気チャンネルは前述の実施例と同様に前記先端91まで延伸されていると共に前記フロントチャンバー321に連通され、且つ前記排気チャンネルは前記末端92に連接されていないため、前記リアチャンバー322にも連通されていない。本実施例では、前記排気チャンネルは凹溝部95及び円筒状ギャップ96を備えている。前記凹溝部95はハンマー9の移動方向に沿って直線状を呈して延伸され、その一端は前記先端91に連接されていると共に前記フロントチャンバー321に連通され、他端は前記円筒状ギャップ96に連接されている。前記円筒状ギャップ96は前記外周面93から凹設されている帯状凹部97と前記環状壁31との間にある空間である。
【0031】
このように形成されている前記排気チャンネル及び前記排気口36の相対的な位置関係は
図10に示す。詳しくは、本実施例では、前記ハンマー9が前記ツールヘッド5に接触する位置まで移動すると、前記円筒状ギャップ96が前記ツールヘッド5に最も近接する2つの排気口36に連通される。
【0032】
本実施例の第1実施例と同じ部分について下述する。本実施例では、前記ハンマー9が
図10に示す行程の起点にある場合、前記円筒状ギャップ96が前記排気口36に連通されることにより、ガスの排出を開始する。換言すれば、ガス排出時期は従来の構造よりも大幅に早まっている。ハンマー9の後退過程において、
図11に示すように、前記円筒状ギャップ96が異なる排気口36に連通されてガスを持続的に排出することにより、第1実施例と同様に、前記ハンマー9を後退するように押動する力が持続的に減弱され、前記ハンマー9が
図12の行程の終点に到達した際に、振動が大幅に減弱している。
【0033】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0034】
1 グリップ
11 凹空間
12 吸気チャンネル
13 気流スイッチ
14 ボタン
15 バネ
2 チューブ
21 スルーホール
22 気流逆転弁
3 インナーチューブ
31 環状壁
32 チャンバー
321 フロントチャンバー
322 リアチャンバー
33 気流チャンネル
34 第一吸気口
35 第二吸気口
36 排気口
4 ハンマー
41 先端
42 末端
43 外周面
44 凹溝
5 ツールヘッド
9 ハンマー
91 先端
92 末端
93 外周面
95 凹溝部
96 円筒状ギャップ
97 帯状凹部