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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ボイラの水位測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/18 20060101AFI20230914BHJP
   F22D 5/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01F23/18
F22D5/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019049246
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020153662
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 正成
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝太郎
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-317982(JP,A)
【文献】実開昭58-144234(JP,U)
【文献】特開2013-108810(JP,A)
【文献】特開平08-062375(JP,A)
【文献】特開平9-133566(JP,A)
【文献】特開2007-71878(JP,A)
【文献】実開昭56-133520(JP,U)
【文献】米国特許第4643025(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/14-23/18,23/22,
F22D 5/00,
F22B 37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラに併設された水柱管内の水位にもとづく圧力と蒸気側の基準水位圧力とを受けて、水柱管内の水位に基づく圧力と基準水位に基づく圧力との圧力差から、差圧式水位発信器によって水柱管内の水位を測定するようにしたボイラの水位測定装置において、
基準水位を生じさせるための水面を内部に有するドレンポットが、配管を挟まずに水柱管に直付けされ、
水柱管へのドレンポットの直付け部には水柱管からドレンポットへの蒸気の流入が可能となる孔が設けられ、
前記基準水位を生じさせるための水面の高さは前記孔の下縁に位置することを特徴とするボイラの水位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの水位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラは、その中に蒸気と水が入っている。ボイラの低い水位による事故の防止を目的として、ボイラの水位を測定するために、水柱管が用いられている。図8に、従来の水柱管6の例を示す。水柱管6は、ボイラの内部に連通されて、ボイラ内の熱水と水蒸気とが導かれる。詳細には、図8に示すように、ボイラにおいて蒸気が存在する上部50と、ボイラにおいて水が存在する下部へつながるフランジ51とには、それぞれ蒸気側連絡管4と水側連絡管5とをつないで、水柱管6へ接続している。すなわち、水柱管6は、水側連絡管5によってボイラ内の水と連通し、蒸気側連絡管4によってボイラ内の蒸気と連通する。
【0003】
水柱管6において、その上部の蒸気20が存在しているところと、その下部の水21が存在しているところとには、それぞれ蒸気側導圧管7と水側導圧管8とをつないで、差圧式水位発信器9へ接続している。蒸気側導圧管7にはドレンポット10を設ける。ドレンポット10には、差圧式水位発信器9から上向きに水11をためており、一方で水側導圧管8には、差圧式水位発信器9から上向きに水21をためている。差圧式水位発信器9には両者の水による圧力がかかり、ドレンポット10でためられた水11による圧力と水側導圧管8にためられた水21による圧力との差を、差圧式水位発信器9が検出する。ドレンポット10内の水位14は変化しないため、たとえば水柱管6内の水位22が通常より低くなったときに、差圧式水位発信器9で検出される圧力の差は大きくなる。ボイラの水位は、水柱管6内の水位22と等しいため、水柱管6内の水位22の状態を確認することで、ボイラの水位が通常より低いかどうかを確認できる。同様にボイラ内の水位が通常より高いかどうかも確認できる。図8に示される装置は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-236790号公報
【0005】
図8の装置において、水柱管6内の蒸気20は、蒸気側導圧管7とドレンポット10とに流入する。蒸気側導圧管7とドレンポット10とは、水柱管6よりもボイラから離れており、水柱管6を除き、熱源がないこともあり、水柱管6内よりも温度が低く、流入した蒸気の一部は冷やされて凝縮水となる。すると、凝縮水に含まれる酸化鉄などの成分はその場に残り、スケールとなる。蒸気量の多い場所だと多量の凝縮水が発生しやすく、水柱管6と蒸気側導圧管7との境目12や境目12の近傍では蒸気量は多いため、スケールがたまりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水柱管6と蒸気側導圧管7との境目12で、凝縮水に含有される酸化鉄などの残留が繰り返され、境目12で生じるスケールが大きくなる。最終的には水柱管6と蒸気側導圧管7の境目12がスケールで塞がり、塞がった先の水位発信器9に蒸気の圧力が伝わらなくなり、ボイラの水位を正しく測れなくなる。
【0007】
本発明は、スケールによって、差圧式水位発信器9に伝えられる圧力が不安定となり、ボイラの水位を正しく測れなくなることの回避を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、ボイラに併設された水柱管内の水位にもとづく圧力と蒸気側の基準水位圧力とを受けて、水柱管内の水位に基づく圧力と基準水位に基づく圧力との圧力差から、差圧式水位発信器によって水柱管内の水位を測定するようにしたボイラの水位測定装置において、基準水位を生じさせるための水面を内部に有するドレンポットが、配管を挟まずに水柱管に直付けされ、水柱管へのドレンポットの直付け部には水柱管からドレンポットへの蒸気の流入が可能となる孔が設けられ、前記基準水位を生じさせるための水面の高さは前記孔の下縁に位置することを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
以上のように、水柱管と蒸気側導圧管との間に水をためた設備を挟み、凝縮水が発生する空間を小さくし、凝縮水が水柱管に流れる量を減らすことで、スケールがたまりやすい場所をなくし、スケールによって塞がりやすい場所をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の1つの実施の形態に係る、ボイラの水位測定装置の概略構成を示す図である。
図2】この発明のもう1つの実施の形態に係る、ボイラの水位測定装置の概略構成を示す図である。
図3図1のドレンポットに開けられた孔の1つの例を示す図である。
図4図1における水柱管へのドレンポットの取り付け構造を示す図である。
図5図1のドレンポットに開けられた孔のもう1つの例を示す図である。
図6図5の孔を有するドレンポットの構造を示す図である。
図7図2の蒸気側導圧管の先端の形状のもう1つの例を示す図である。
図8】従来のボイラの水位測定装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1のボイラの水位測定装置100を示す。ボイラの水位測定装置100は、水柱管6と、横向きに円柱型のドレンポット30と、差圧式水位発信器9とを備えている。ボイラの水位測定装置100における、水柱管6とドレンポット30と差圧式水位発信器9とのつながりは以下のとおりである。
【0015】
全体の図示を省略したボイラには水が入っており、蒸気を発生させる。蒸気を水から発生させるので、蒸気がボイラ内で上昇し、蒸気の一部はボイラの上部50にまで上がる。この蒸気の一部は、ボイラの上部50から蒸気側連絡管4に流入する。
【0016】
ボイラ内の蒸発していない水はボイラの中の下部に入ったままであるが、その一部はボイラへつながるフランジ51に向かい、フランジ51から水側連絡管5に流入する。
【0017】
2つの連絡管4、5は水柱管6につなげられている。
【0018】
水柱管6は、密封構造の柱状の縦長の管であり、ボイラからの蒸気と水とが2つの連絡管4、5を通して導入される。
【0019】
水柱管6の中にボイラから蒸気と水とが流れ込み、水柱管6の中で水位22が形成される。水柱管6の中での水位22はボイラの水位と同じ高さである。水柱管6の中は水位22を境に上には蒸気20、水位22から下には水21が入っており、ボイラの水位が上昇すれば、水柱管6内の水位22は追従して上昇し、ボイラの水位が低下すれば、水柱管6内の水位22は追従して低下する。
【0020】
水柱管6における水位22から上の部分には、横向きの円柱型のドレンポット30を、配管を挟まずに直付けしている。そして、水柱管6から蒸気と水とをそれぞれドレンポット30と水側導圧管8とに送り出し、送り出した蒸気と水との圧力を受ける差圧式水位発信器9にて水位を検出させる。ドレンポット30と差圧式水位発信器9とは蒸気側導圧管7によって互いに接続されている。水柱管6の水位測定のために、ドレンポット30から差圧式水位発信器9にわたって水をためて、ドレンポット30の内部に水位23が形成されている。ドレンポット30内の水位23は、水柱管6内の水21による水位22よりも高い。
【0021】
水柱管6の蒸気の圧力がドレンポット30に伝えられ、水柱管6の蒸気の圧力とドレンポット30とにためられた水の水頭圧とが差圧式水位発信器9に伝達される。一方で、水柱管6の蒸気の圧力と、水柱管6の水位22による水頭圧とが、差圧式水位発信器9に伝達される。
【0022】
ドレンポット30と水柱管6との接続部分における壁の部分に孔32があけられている。これによって、ドレンポット30には、隣り合っている水柱管6内に入っている蒸気20が孔32を通って入り込む。ドレンポット30の水位23は、孔32の下縁33の位置となるようにされている。すなわち孔32よりも下側の壁36の部分が堰として機能する。ドレンポット30には水差し34が設けられ、水差し34によりドレンポット30内に水の追加が可能である。ドレンポット30にはドレンポット30内の水位を目視で点検できるように内部点検窓35も設けられている。
【0023】
差圧式水位発信器9では、蒸気側導圧管7と水側導圧管8とを通って伝えられる圧力の差を検出する。両方の導圧管7、8における蒸気圧は等しいので、その差圧はゼロである。よって、両方の導圧管7、8における水頭圧の差が検出されるが、蒸気側導圧管7につながったドレンポット30の水位23は一定であるため、差圧から水柱管6内の水位すなわちボイラの水位を測定することができる。
【0024】
ドレンポット30の内部の水位23に関し、ドレンポット30に至る経路やドレンポット30の内部で蒸気が凝縮するが、凝縮水を蒸気側導圧管7などを介して水柱管6に戻す機能を有していることで、ドレンポット30の内部の水の量は増減しない。つまり、ドレンポット30内の蒸気が水により冷却されて凝縮しても水位上昇は起こらず、ドレンポット30内の水位23は変化しない。よって、その水頭圧も変化しない。
【0025】
つぎに、このボイラの水位測定装置100でのスケールの生成について説明する。水柱管6内の蒸気20はドレンポット30に流入し、流入した蒸気の一部はドレンポット30内にたまった水や蒸気温度よりも低温のドレンポット30の内壁などによって冷却されるため、蒸気から水へと凝縮する。凝縮により生じた水には酸化鉄などの成分が含まれており、この成分は残留してスケールとなる。
【0026】
つぎに、ボイラの水位測定装置100でのスケールがたまる場所について説明する。ドレンポット30の内部の水面が、壁36の上縁すなわち水柱管6とドレンポット30とを連通させる孔32の下縁33まで到達しているため、水柱管6からドレンポット30に流入する蒸気が冷却される場所は、ドレンポット30内とドレンポット30の孔32とのみである。詳細には、ドレンポット30は蒸気側導圧管7とつながっているが、ドレンポット30には水がためられており、ドレンポット30の孔32からドレンポット30に蒸気20が流入しても、蒸気20はドレンポット30の水位23よりも下にある蒸気側導圧管7に入ることはできない。蒸気側導圧管7内では、蒸気が入らないためにその凝縮が起こらず、凝縮による水の発生もない。このため、系全体として、図8に示す従来の系と比べて、凝縮により水が生じる箇所は減少する。ドレンポット30内の水面では若干の凝縮が起こるだけであるので、スケールがたまりにくい。
【0027】
ドレンポット30に開けられた孔32の形状はなんでもよいが、例の1つとして図3図4とのような半円が挙げられる。半円の孔32の弦の部分を孔32の下縁33とする。半円の半径は、円柱型のドレンポット30の半径よりも若干小さめのサイズである。
【0028】
孔32の形状のもう1つの例として図5図6との円を挙げることができる。図示の例では、円形の孔32の直径はドレンポット30の半径よりも若干小さめのサイズである。この場合も、孔32の下縁33が水位23のレベルであり、ドレンポット30の内部の水面が、水柱管6とドレンポット30とを連通させる孔32の下縁33まで到達している。
【0029】
実施の形態2
図2は、本発明の実施の形態2のボイラの水位測定装置200を示す。このボイラの水位測定装置200と実施の形態1のボイラの水位測定装置100とは、水柱管6内の蒸気20の圧力を差圧式水位発信器9に導く経路である蒸気側導圧管7における水面の位置が大きく異なる。以下、主にこの点ついて説明する。実施の形態1と相違して、蒸気側導圧管7は、水柱管6の内部にまで横向きに挿入されている。42は、蒸気側導圧管7における、水柱管6の内部への挿入部である。水柱管6の内部における挿入部42の先端には、上下方向の軸心を有する円筒容器状の先端部40が設けられている。先端部40は、挿入部42に連通されるとともに上向きに開孔している。43はその開孔部である。蒸気側導圧管7の中の水は先端部40の開孔部43の高さにまで満たされている。23は、その水位であって、差圧式水位発信器9のための基準となる高さに設定されている。
【0030】
つぎに、このボイラの水位測定装置200でのスケールの生成について説明する。図2に示されるボイラの水位測定装置200では、蒸気側導圧管7の開孔部43の水面は、その温度条件が、水柱管6の内部の水21の水面とほぼ同等となる。よって開孔部43の水面およびその近傍において有害なスケールが発生することが防止される。また図2に示される構成では、蒸気の凝縮が生じる可能性のあるドレンポットを設ける必要が無いため、図1などに示されるものと比べて、よりいっそうスケールの発生を防止することができる。
【0031】
蒸気側導圧管7の先端部40のもう1つの例として、図7のようなストレートタイプが挙げられる。図7に示されるストレートタイプの蒸気側導圧管7は、横向きに水柱管6へ挿入される。挿入された蒸気側導圧管7の先端部40には蓋52が取り付けられ、蓋52の近傍における蒸気側導圧管7の上部には、上向きに開孔する貫通孔51が設けられている。孔51の高さに水位23が形成される。
【0032】
この図7のストレートタイプでは、図2に示した構成と同様に蒸気側導圧管7は水柱管6の内部で開孔している。よって、図2の場合と同様に、スケールの発生が防止される。しかも、この図7の構成では、蒸気側導圧管7に直接的に貫通孔51が形成されており、図2に示すような円筒容器状の先端部40を設ける必要が無いため、その分だけ簡単な構造となる。
【0033】
本発明によれば、図示したもの以外の構成を採用することもできる。すなわち、本発明によれば、たとえば図1に示されるようにドレンポット30を水柱管6に直付けすることに代えて、スケール発生のおそれの無いごく短い配管で水柱管6とドレンポット30とを接続する構成や、それ以外の構成を採用することもできる。このような構成も、本発明にいう、水柱管内の蒸気の圧力を差圧式水位発信器に導く経路内の水面の位置を、この経路に導かれる蒸気の凝縮により発生するスケールによってこの経路が塞がれることを防止可能な位置としたものに含まれる。
【符号の説明】
【0034】
6 水柱管
7 蒸気側導圧管
9 差圧式水位発信器
30 ドレンポット
23 水位
22 水位
40 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8