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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】連結型マット及び連結型マットセット
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
E04F15/16 C
E04F15/16 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019221645
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092035
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000157278
【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100215393
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 祐資
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 将之
(72)【発明者】
【氏名】乙倉 美希
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128967(JP,A)
【文献】登録実用新案第3123213(JP,U)
【文献】登録実用新案第3189224(JP,U)
【文献】特開2013-040547(JP,A)
【文献】実開昭47-012724(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0137195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0177723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
A47G 27/00-27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結可能な複数枚の連結型マットで構成され、連結する連結型マットの枚数又は配置を変更することによって、敷設形態を変更することができるようにした連結型マットセットであって、
それぞれの連結型マットに、
連結型マットを厚さ方向に貫通する複数の連結用穴部と、
連結型マットの厚さ方向一側から突出する、連結用穴部の深さよりも大きな高さを有する複数の連結用凸部と
が周期的に設けられ、
連結用凸部が上向きとなる向きで敷き詰めた連結型マット(以下「上向き状態の連結型マット」という。)のうち2枚以上に跨る状態で、連結用凸部が下向きとなる向きの連結型マット(以下「下向き状態の連結型マット」という。)を、上向き状態の連結型マットの上面に敷き詰めるとともに、
上向き状態の連結型マットの連結用凸部を下向き状態の連結型マットの連結用穴部に嵌め込んで当該連結用凸部の先端部を下向き状態の連結型マットの上面から突出させ、下向き状態の連結型マットの連結用凸部を上向き状態の連結型マットの連結用穴部に嵌め込んで当該連結用凸部の先端部を上向き状態の連結型マットの下面から突出させることによって、
上向き状態の連結型マットを下向き状態の連結型マットで連結して、下向き状態の連結型マットを上向き状態の連結型マットで連結するとともに、
下向き状態の連結型マットの上面から突出した連結用凸部の先端部、又は、上向き状態の連結型マットの下面から突出した連結用凸部の先端部を滑り止めとして機能させる
ことができるようにしたことを特徴とする連結型マットセット。
【請求項2】
それぞれの連結型マットにおける連結用凸部が設けられる側の面に、複数本の凸条部が格子状に設けられるとともに、
連結用穴部が、前記凸条部が交差する凸条交差部に「十」の字状に設けられる一方、
連結用凸部が、連結用穴部が設けられていない凸条交差部に「十」の字状に設けられた
請求項1記載の連結型マットセット。
【請求項3】
それぞれの連結型マットにおける連結用凸部が設けられない側の面の連結用凸部に重なる箇所に、連結用凸部の先端部と同一形態を有する支持用凸部が設けられた請求項1又は2記載の連結型マットセット。
【請求項4】
連結型マットを、
連結型マットの敷設領域における外縁部を除いた箇所に敷くための、同一形状を有する複数枚の基本マットと、
連結型マットの敷設領域の外縁部に敷くための、複数枚の外縁用マットと
で構成する請求項1~3いずれか記載の連結型マットセット。
【請求項5】
外縁用マットを、
前記敷設領域の外縁部における辺部に敷設する辺部用マットと、
前記敷設領域の外縁部における角部に敷設する角部用マットと
で構成する請求項4記載の連結型マットセット。
【請求項6】
連結する枚数又は配置を変更することによって、敷設形態を変更することができるようにした連結型マットであって、
連結型マットを厚さ方向に貫通する複数の連結用穴部と、
連結型マットの厚さ方向一側から突出する複数の連結用凸部と
が周期的に設けられ、
連結用穴部の断面形状と連結用凸部の断面形状とが略同一に揃えられるとともに、
連結用凸部の高さが、連結用穴部の深さよりも大きく設定された
ことを特徴とする連結型マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に敷くための連結型マットと、複数枚の連結型マットで構成される連結型マットセットとに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の各種作業場では、作業員が滑りにくくしたり防音効果を高めたりするために、床面にゴムマットを敷くことが行われている。このような用途では、3フィート(約90cm)×6フィート(約180cm)のゴムマット(その寸法から「サブロク板」と呼ばれる。)を敷くことが多い。しかし、サブロク板は、寸法が大きいため、その運搬や保管や敷設が大変であるという欠点があった。
【0003】
この点、一般家屋の室内等の床面に敷くマットとしては、比較的小さな寸法(30cm×30cm程度の寸法)のものが販売されている。この種のマットとしては、例えば、特許文献1に示されるように、その外縁部に連結用凸部(同文献の図2における「凸部20」を参照。)と連結用凹部(同文献の図2における「凹部22」を参照。)とが繰り返し形成され、一のマットにおける連結用凸部を、当該一のマットの隣に配置される他のマットにおける連結用凹部に嵌め込むことによって、隣り合うマットを連結できるようにしたものも販売されている。以下においては、上記の連結用凸部や連結用凹部のように、隣り合うマットに連結させるための手段を有するマットを「連結型マット」と呼ぶことがある。
【0004】
しかし、特許文献1に示すように、外縁部を連結させる構造の連結型マットは、家庭用には使用し得ても、工場や倉庫等の作業場では使用しにくいという問題があった。というのも、これらの作業場では、フォークリフトや、荷物を載せた台車等が頻繁に走行するところ、連結型マットを外縁部で連結すると、フォークリフトや台車がその上を走行する際に、連結型マットの外縁部が浮き上がり、隣り合う連結型マットの連結が外れるおそれがあるからである。
【0005】
このような実状に鑑みて、本出願人は、特許文献2に示す連結型マットを提案した。この連結型マットは、同文献の図1に示されるように、その片面側に、複数の連結用凸部(同図における「連結用凸部A」を参照。)と複数の連結用凹部(同図における「連結用凹部B」を参照。)とが周期的に配されたものとなっている。この連結型マットは、連結用凸部が上向きとなる向きで床面等に敷き詰めた複数枚の連結型マット(上向き状態の連結型マット)のうち2枚以上に跨る状態で、連結用凸部が下向きとなるように裏返された連結型マット(下向き状態の連結型マット)を被せるとともに、上向き状態の基本マットの連結用凸部を下向き状態の基本マットの連結用凹部に嵌め込み、下向き状態の基本マットの連結用凸部を上向き状態の基本マットの連結用凹部に嵌め込むことによって、複数枚の連結型マットを連結するものとなっている。
【0006】
特許文献2の連結型マットは、その外縁部で連結されるのではなく、他の連結型マットと重なり部分を設けてその重なり部分で連結される構造のものとなっている。このため、隣り合う連結型マットを強固に連結することが可能になる。加えて、同文献の連結型マットの上側にフォークリフトや台車が載ると、その重みによって、連結用凸部と連結用凹部とには、互いの嵌合が深くなる向きの力が働くようになる。このため、フォークリフトや台車が走行しても、隣り合う連結型マットの連結が外れないようにすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3137684号公報
【文献】特開2017-128967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献2の連結型マットは、隣り合う連結型マットを強固に連結することができ、その上側を重量物が走行しても連結が外れにくいという利点を有しているため、工場や倉庫等の作業場を中心に、その需要が高まりつつある。しかし、特許文献2の連結型マットは、さらに改善する余地もあるものとなっていた。
【0009】
例えば、特許文献2の連結型マットは、それを施工すると、同文献の図3に示すように、その上面が概ね平坦になることに加えて、同文献の図6に示すように、その下面も概ね平坦になる。このため、同文献の連結型マットは、連結型マットの上側を歩く人の滑り防止や、床面等に対する連結型マットの滑り防止については、改善する余地があった。
【0010】
また、特許文献2の連結型マットは、連結用凸部を嵌め込むことができる深さの連結用凹部を設ける必要があることから、厚手に形成する必要があり、その重量が大きくなりやすいという欠点があった。このため、同文献の連結型マットは、その運搬性や施工性についても、改善する余地があった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、滑り防止の機能が高められる等、より高機能化された連結型マットを提供するものである。また、この連結型マットを含む連結型マットセットを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、
互いに連結可能な複数枚の連結型マットで構成され、連結する連結型マットの枚数又は配置を変更することによって、敷設形態を変更することができるようにした連結型マットセットであって、
それぞれの連結型マットに、
連結型マットを厚さ方向に貫通する複数の連結用穴部と、
連結型マットの厚さ方向一側から突出する、連結用穴部の深さよりも大きな高さを有する複数の連結用凸部と
が周期的に設けられ、
連結用凸部が上向きとなる向きで敷き詰めた連結型マット(以下「上向き状態の連結型マット」という。)のうち2枚以上に跨る状態で、連結用凸部が下向きとなる向きの連結型マット(以下「下向き状態の連結型マット」という。)を、上向き状態の連結型マットの上面に敷き詰めるとともに、
上向き状態の連結型マットの連結用凸部を下向き状態の連結型マットの連結用穴部に嵌め込んで当該連結用凸部の先端部を下向き状態の連結型マットの上面から突出させ、下向き状態の連結型マットの連結用凸部を上向き状態の連結型マットの連結用穴部に嵌め込んで当該連結用凸部の先端部を上向き状態の連結型マットの下面から突出させることによって、
上向き状態の連結型マットを下向き状態の連結型マットで連結して、下向き状態の連結型マットを上向き状態の連結型マットで連結するとともに、
下向き状態の連結型マットの上面から突出した連結用凸部(上向き状態の連結型マットの連結用凸部)の先端部、又は、上向き状態の連結型マットの下面から突出した連結用凸部(下向き状態の連結型マットの連結用凸部)の先端部を滑り止めとして機能させる
ことができるようにしたことを特徴とする連結型マットセット
を提供することによって解決される。
【0013】
ここで、「(複数の連結用穴部と複数の連結用凸部とが)周期的に配され」とは、三角格子、四角格子又は六角格子等の格子における格子点となる位置に、連結用穴部と連結用凸部とが交互に繰り返し配されていることをいう。連結用穴部と連結用凸部は、通常、連結用穴部、連結用凸部、連結用穴部、連結用凸部、連結用穴部・・・というように、1個ずつを交互に配するが、連結用穴部、連結用穴部、連結用凸部、連結用凸部、連結用穴部、連結用穴部、連結用凸部、連結用凸部、連結用穴部、連結用穴部・・・というように、複数個ずつを交互に配してもよい。
【0014】
本発明の連結型マットセットでは、上記のように、下向き状態の連結型マットの上面から突出した連結用凸部の先端部を滑り止めとして機能させることができるようになっている。このため、連結型マットの上側を歩く人が滑りにくくすることが可能となっている。加えて、本発明の連結型マットセットでは、上向き状態の連結型マットの下面から突出した連結用凸部の先端部を滑り止めとして機能させることもできるようになっている。このため、床面等に対して連結型マットが滑りにくくすることもできるようになっている。
【0015】
本発明の連結型マットセットにおいては、連結用穴部や連結用凸部の形態等、その具体的な構造を特に限定されないが、
それぞれの連結型マットにおける連結用凸部が設けられる側の面(以下「オモテ面」と呼ぶことがある。)に、複数本の凸条部を格子状に設けるとともに、
連結用穴部を、前記凸条部が交差する凸条交差部に「十」の字状に設ける一方、
連結用凸部を、連結用穴部が設けられていない凸条交差部に「十」の字状に設ける
ことが好ましい。
【0016】
連結型マットのオモテ面に複数本の凸条部を格子状に設けるということは、逆に言うと、その格子の目の部分(隣り合う凸条部の隙間)が肉抜きされた状態になるということである。すなわち、連結型マットに必要な強度を前記凸条部で確保しながらも、連結型マットを軽量化することが可能になる。このため、連結型マットの運搬性や施工性を高めることが可能になる。
【0017】
ただし、連結型マットのオモテ面に複数本の凸条部を格子状に設けると、連結用凸部の断面積(連結用凸部の高さ方向に垂直な断面の面積。以下同じ。)や、連結用穴部の断面積(連結用穴部の深さ方向に垂直な断面の面積。以下同じ。)を広く確保しにくくなる。換言すると、連結用凸部や連結用穴部の寸法を大きくしにくくなる。連結用凸部や連結用穴部の寸法を大きくすると、連結用凸部や連結用穴部が凸条部から食み出してしまうからである。この点、上記のように、連結用凸部及び連結用凹部を「十」の字状とすれば、寸法の大きな連結用凸部及び連結用穴部を、前記凸条部が交差する凸条交差部から食み出ない状態で設けることが可能になる。
【0018】
また、上記のように、連結用凸部及び連結用穴部を「十」の字状とすると、連結用穴部の内周面と、それに嵌め込まれた連結用凸部の外周面との接触面積を増大させ、連結用穴部から連結用凸部がさらに抜けにくくなるという効果も奏される。加えて、連結用凸部の先端部は、滑り止めとして機能する部分であるところ、その先端部を、滑り止め作用の高い形態とすることができる。
【0019】
本発明の連結型マットセットにおいては、それぞれの連結型マットにおける連結用凸部が設けられない側の面(以下「ウラ面」と呼ぶことがある。)の連結用凸部に重なる箇所に、連結用凸部の先端部と同一形態を有する支持用凸部を設けることも好ましい。というのも、上向き状態の連結型マットの下面における連結用凸部に重なる箇所と敷設面との間に隙間があると、その連結用凸部の先端部(上端部)に下向きの荷重が掛かったときに、その隙間に相当する距離だけ、連結用凸部の先端部(上端部)が下側に移動し、連結用凸部の突出量が小さくなって、その連結用凸部が所望の滑り止め機能を発揮しにくくなるおそれがある。この点、上記の支持用凸部を設けることによって、支持用凸部を下側から支持し、連結用凸部の先端部(上端部)が下側に移動しないようにすることができるからである。加えて、この支持用凸部は、滑り止めとして機能させることもできる。したがって、連結型マットの滑り止め機能をさらに高めることも可能になる。
【0020】
本発明の連結型マットセットにおいては、
連結型マットを、
連結型マットの敷設領域における外縁部を除いた箇所に敷くための、同一形状を有する複数枚の基本マットと、
連結型マットの敷設領域の外縁部に敷くための、複数枚の外縁用マットと
で構成することが好ましい。
【0021】
というのも、本発明の連結型マットセットは、「下向き状態の連結型マットを、上向き状態の連結型マットの上面に敷き詰める」旨の記載等から明らかなように、連結型マットを2重に敷設することを想定したものとなっているところ、1種類の連結型マットのみでは、連結型マットの敷設領域の外縁部に、連結型マットが2重に重ならない箇所が出てくる。この場合でも、連結型マットにおけるはみ出た部分(2重になっていない箇所)をカットすれば対処することができ、連結型マットを壁等にピッタリとくっつけた状態で施工する場合等には、逆にそのような施工が好ましいこともある。しかし、連結型マットを壁等から離れた箇所に施工する場合には、連結型マットの敷設領域の外縁部に、段差や凹凸が形成されてしまう。この点、連結型マットとして、上記の基本マットと、上記の外縁用マットとを用意することによって、前記敷設領域における広い範囲を基本マットでカバーしながらも、基本マットが2重にならない前記敷設領域における外縁部を、外縁用マットで処理することが可能になる。
【0022】
連結型マットとして基本マットと外縁用マットとを用意する場合には、
その外縁用マットを、
前記敷設領域の外縁部における辺部に敷設する辺部用マットと、
前記敷設領域の外縁部における角部に敷設する角部用マットと
で構成することが好ましい。
【0023】
連結型マットの敷設領域の外縁部における角部は、単純な形状の外縁用マットだけではカバーしきれない箇所が出てくるおそれがあるところ、外縁用マットとして、上記の辺部用マットと、上記の角部用マットとを用意しておけば、前記敷設領域の外縁部における角部を角部用マットで処理することが可能になる。したがって、単純な形状の限られた種類の外縁用マットで、前記敷設領域の外縁部を処理することが可能になる。
【0024】
また、上記課題は、
連結する枚数又は配置を変更することによって、敷設形態を変更することができるようにした連結型マットであって、
連結型マットを厚さ方向に貫通する複数の連結用穴部と、
連結型マットの厚さ方向一側から突出する複数の連結用凸部と
が周期的に設けられ、
連結用穴部の断面形状と連結用凸部の断面形状とが略同一に揃えられるとともに、
連結用凸部の高さが、連結用穴部の深さよりも大きく設定された
ことを特徴とする連結型マット
を提供することによっても解決される。
【0025】
本発明の連結型マットは、上述した本発明の連結型マットセットを構成する連結型マットとして好適に用いることができるものとなっている。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によって、滑り防止の機能が高められる等、より高機能化された連結型マットを提供することが可能になる。また、この連結型マットを含む連結型マットセットを提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】床面Fに敷設された上向き状態の連結型マットの上面に、下向き状態の連結型マットを重ねている途中の状態を示した斜視図である。
図2図1における連結型マットのうち、基本マットを示した図で斜視図であって、その基本マットが、(a)上向き状態にあるときと、(b)下向き状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
図3図1における連結型マットのうち、第一の辺部用マットを示した図で斜視図であって、その辺部用マットが、(a)上向き状態にあるときと、(b)下向き状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
図4図1における連結型マットのうち、第二の辺部用マットを示した図で斜視図であって、その辺部用マットが、(a)上向き状態にあるときと、(b)下向き状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
図5図1における連結型マットのうち、第一の角部用マットを示した図で斜視図であって、その角部用マットが、(a)上向き状態にあるときと、(b)下向き状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
図6図1における連結型マットのうち、第二の角部用マットを示した図で斜視図であって、その角部用マットが、(a)上向き状態にあるときと、(b)下向き状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
図7】床面Fに敷設された上向き状態の連結型マットの上面に、下向き状態の連結型マットを重ねている途中の状態を示した断面図である。
図8】床面Fに敷設された上向き状態の連結型マットの上面に、下向き状態の連結型マットを全て重ね終えた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の連結型マットセット及びそれを構成する連結型マットの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0029】
図1は、床面Fに敷設された上向き状態の連結型マット10,20,30,40,50の上面に、下向き状態の連結型マット10を重ねている途中の状態を示した斜視図である。本実施態様の連結型マットセットは、図1に示すように、複数種類の連結型マット10,20,30,40,50で構成されたものとなっている。具体的には、基本マット10と、第一の辺部用マット20と、第二の辺部用マット30と、第一の角部用マット40と、第二の角部用マット50との計5種類の連結型マット10,20,30,40,50で連結型マットセットを構成している。
【0030】
図2は、基本マット10を示した斜視図であり、図3は、第一の辺部用マット20を示した斜視図であり、図4は、第二の辺部用マット30を示した斜視図であり、図5は、第一の角部用マット40を示した斜視図であり、図6は、第二の角部用マット50を示した斜視図である。各図(a)は、各種の連結型マット10,20,30,40,50が上向き状態(後述する連結用凸部βが上向きになる状態)にあるときを、各図(b)は、各種の連結型マット10,20,30,40,50が下向き状態(後述する連結用凸部βが下向きになる状態)にあるときを示している。
【0031】
各図においては、上向き状態にあるときの、基本マット10、第一の辺部用マット20、第二の辺部用マット30、第一の角部用マット40及び第二の角部用マット50を、それぞれ「基本マット10A」、「第一の辺部用マット20A」、「第二の辺部用マット30A」、「第一の角部用マット40A」及び「第二の角部用マット50A」というように、それぞれの符号に「A」を付して表わしている。一方、下向き状態にあるときの、基本マット10、第一の辺部用マット20、第二の辺部用マット30、第一の角部用マット40及び第二の角部用マット50を、それぞれ「基本マット10B」、「第一の辺部用マット20B」、「第二の辺部用マット30B」、「第一の角部用マット40B」及び「第二の角部用マット50B」というように、それぞれの符号に「B」を付して表わしている。
【0032】
また、「連結型マット」という語句は、上述した、基本マット10、第一の辺部用マット20、第二の辺部用マット30、第一の角部用マット40又は第二の角部用マット50のうち、いずれか1種類又は複数種類のマットを示すものとして用いている。このため、「連結型マット」を符号付きで表わすと、「連結型マット10,20,30,40,50」になる。しかし、「連結型マット」という語句の全てにその符号を付すと煩わしくなる。このため、以下においては、「連結型マット」に符号を付さずに表わす。
【0033】
図2に示した基本マット10は、図1に示すように、連結型マットの敷設領域の非外縁部(外縁部を除いた中央部分)に敷くためのものとなっている。図3に示した第一の辺部用マット20及び図4に示した第二の辺部用マット30は、図1に示すように、連結型マットの敷設領域の外縁部における辺部に敷くためのものとなっている。第一の辺部用マット20と第二の辺部用マット30は、後述する連結用穴部α及び連結用凸部βの配置が逆になっている以外は、同じ形態を有している。図5に示した第一の角部用マット40及び図6に示した第二の角部用マット50は、図1に示すように、連結型マットの敷設領域の外縁部における角部に敷くためのものとなっている。第一の角部用マット40と第二の角部用マット50は、後述する連結用穴部α及び連結用凸部βの配置が逆になっている以外は、同じ形態を有している。
【0034】
それぞれの連結型マットには、図2~6に示すように、複数の連結用穴部αと複数の連結用凸部βとが、所定の配置ピッチで周期的に設けられている。連結用穴部αは、それぞれの連結型マットを厚さ方向に貫通した状態で設けられている。一方、連結用凸部βは、連結型マットの厚さ方向一側から突出した状態で設けられている。以下においては、連結型マットにおける連結用凸部βが設けられた側の面を「オモテ面」と呼び、それと反対側の面を「ウラ面」と呼ぶことがある。複数の連結用穴部αと複数の連結用凸部βの配置は、周期的であれば特に限定されないが、本実施態様の連結型マットセットにおいては、方形格子の格子点となる位置に、連結用穴部αと連結用凸部βとを1つずつ交互に繰り返し設けている。
【0035】
また、連結型マットのうち、連結型マットの敷設領域の外縁部に敷かれる辺部用マット20,30及び角部用マット40,50には、図3~6に示すように、そのオモテ面側にスロープ部Sを形成している。これにより、後掲する図8に示すように、連結型マットの敷設を完了したときに、その敷設領域の外縁部にスロープSを形成して段差を無くすことができる。したがって、歩行者が躓きにくくするだけでなく、フォークリフトや台車の車輪が引っ掛かりにくくすることが可能となっている。
【0036】
これらの連結型マットで構成される連結型マットセットは、
[1] 図1の基本マット10A、辺部用マット20A,30A及び角部用マット40A,50Aのように、床面F等の敷設面に対して、複数枚の連結型マットを上向き状態で敷き詰めていく。
[2] 図1の基本マット10Bのように、下向き状態の連結型マットを、上記[1]で敷かれた上向き状態の連結型マットのうち2枚以上に跨る状態で、上向き状態の連結型マットの上面に重ねて敷き詰めていく。
ことによって、敷設するものとなっている。
【0037】
図1の例では、床面Fに対して、方形を為す16枚の連結型マットを4行4列で敷き詰めており、それぞれの連結型マットの角部(頂点部分)で4枚の連結型マットが突き当るようにしているところ、上記[2]の工程では、その4枚の連結型マットが突き当る部分を覆うように、下向き状態の連結型マット10を重ねている。このため、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)は、上向き状態の4枚の連結型マットに跨った状態となるようになっている。
【0038】
図7は、床面Fに敷設された上向き状態の連結型マット(基本マット10A及び第一の辺部用マット20等)の上面に、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)を重ねている途中の状態を示した断面図である。既に述べたように、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)においては、連結用凸部βが上向きとなっており、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)においては、連結用凸部βが下向きとなっているところ、図7に示すように、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)を重ねる際には、同図の太線矢印で示すように、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)の連結用凸部βを、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)の連結用穴部αに嵌め込むとともに、上向き状態の連結型マット(基本マット10A及び第一の辺部用マット20等)の連結用凸部βを、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)の連結用穴部αに嵌め込む。
【0039】
これにより、全ての連結型マットの敷設を終えると、それら全ての連結型マットを、互いに固定されて連結された状態とすることができる。図8は、床面Fに敷設された上向き状態の連結型マット(基本マット10A、辺部用マット20A,30A、角部用マット40A,50A)の上面に、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)を全て重ね終えた状態を示した斜視図である。図8の例では、下向き状態の9枚の連結型マット(基本マット10B)を3行3列に敷き詰めている。
【0040】
敷設を完了した後の連結型マットはいずれも、それぞれの連結型マットの上面又は下面が、他の連結型マットの下面又は上面に重なり、当該他の連結型マットに対して面で接触した状態となっていることに加えて、その重なり部分にある連結用穴部αと連結用凸部βとの嵌合によって、上下方向に連結された状態となっている。このため、敷設後の連結型マットの上側に重量物が載ると、連結用凸部βと連結用凹部αとの嵌合がさらに深くなるようになっている。したがって、フォークリフトや台車等が連結型マットの上側を走行しても、連結型マットの連結が外れにくくなっている。
【0041】
また、本発明の連結型マットセットを構成する各連結型マットにおいては、連結用凸部βの高さを、連結用穴部αの深さよりも大きく設定している。このため、図7に示すように、連結用穴部αに対して連結用凸部βを嵌め込むと、同図における段差Hに示すように、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)における連結用凸部βの先端部(上端部)が、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)の上面から突出するとともに、同図における段差Hに示すように、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)における連結用凸部βの先端部(下端部)が、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)の下面から突出するようになっている。
【0042】
連結用凸部βにおける、連結用穴部αから突出した部分(連結用凸部βの先端部)は、滑り止めとして機能する。すなわち、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)における連結用凸部βの先端部(段差Hで表わされる部分)は、敷設後の連結型マットの上側を歩く人が滑りにくくするための滑り止めと機能する。一方、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)における連結用凸部βの先端部(段差Hで表わされる部分)は、敷設後の連結型マットが、床面F等の敷設面に対して滑り動かないようにするための滑り止めとして機能する。このように、本発明の連結型マットセット及びそれを構成する連結型マットは、滑り止めの機能が高められたものとなっている。
【0043】
ただし、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)の下面における連結用凸部βに重なる箇所と床面F(敷設面)との間に隙間があると、その連結用凸部βの先端部(上端部)に下向きの荷重が掛かったときに、その隙間に相当する距離だけ、連結用凸部βの先端部(上端部)が下側に移動し、段差Hが小さくなるおそれがある。したがって、その連結用凸部βが所望の滑り止め機能を発揮しにくくなるおそれがある。
【0044】
このため、本実施態様の連結型マットセットにおいては、図7に示すように、連結型マットのウラ面(連結用凸部βが設けられていない側の面)における連結用凸部βに重なる箇所に、連結用凸部βの先端部と同一形態を有する支持用凸部γ(段差Hで表わされる部分)を設けている。これにより、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)の連結用凸部βの先端部に下向きの荷重が掛かっても、その部分を支持用凸部γで下側から支持し、その連結用凸部βが下側に移動しないようにすることができる。
【0045】
この支持用凸部γは、滑り止めとして機能させることもできる。すなわち、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)のウラ面(下面)にある支持用凸部γ図7の段差Hで表わされる部分)は、その連結型マットが敷設面に対して滑り動かないようにするための滑り止めとして機能する。また、この支持用凸部γは、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)では、その連結型マットの上面に形成されることになるが、その支持用凸部γ図7の段差Hで表わされる部分)は、その連結型マットの上側を歩く人が滑らないようにするための滑り止めとして機能する。
【0046】
本実施態様の連結型マットセットにおいては、図2~6に示すように、連結型マットのウラ面における、連結用凸部βと重ならない箇所に、支持用凸部γを設けている。この支持用凸部γは、連結用凸部βの先端部や支持用凸部γと同じ形態としている。この支持用凸部γも、連結型マットを支持するとともに、滑り止めとして機能する部分となっている。連結用凸部βの先端部と、支持用凸部γと、支持用凸部γは、図8にも表わしている。図8では、これらが峻別できるよう、連結用凸部βの先端部を目の細かい網掛けハッチングで示しており、支持用凸部γを白抜きで示しており、支持用凸部γを目の大きな網掛けハッチングで示している。
【0047】
連結用穴部αに連結用凸部βを嵌め込んだときにおける連結用凸部βの先端部の突出量(図7における段差H,Hの高さ。以下同じ。)は、特に限定されない。しかし、この突出量が小さすぎると、連結用凸部βの先端部による滑り止め効果が奏されにくくなる。このため、連結用凸部の先端部の突出量は、1mm以上とすることが好ましい。連結用凸部の先端部の突出量は、1.5mm以上とすることがより好ましく、1.7mm以上とすることがさらに好ましい。
【0048】
ただし、連結用凸部βの先端部の突出量を大きくしすぎると、連結用凸部βの先端部に躓きやすくなるおそれがある。また、連結用凸部βの強度を維持することが難しくなるおそれもある。このため、連結用凸部βの先端部の突出量は、10mm以下とすることが好ましい。連結用凸部βの先端部の突出量は、7mm以下とすることがより好ましく、5mm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様の連結型マットセットにおいて、連結用凸部βの先端部の突出量は、約2mmとしている。支持用凸部γ,γの高さ(図7における段差H,Hの高さ)は、通常、連結用凸部βの先端部の突出量と同じとされる。
【0049】
連結用穴部αや連結用凸部βの具体的な形態は、特に限定されないが、通常、連結用凸部βは、柱状とされ、連結用穴部αは、その連結用凸部βを嵌め込むことが可能な形態とされる。連結用穴部αの内周形状と、連結用凸部βの外周形状は、通常、略同一とされる。これにより、連結用穴部αに連結用凸部βを嵌め込んだ際に、連結用穴部αの内周部の略全体が連結用凸部βの外周部に密着するようになり、連結型マットの連結強度を高めることができる。
【0050】
連結用穴部αの内周形状や、連結用凸部βの外周形状は、特に限定されない。連結用穴部αの内周形状や、連結用凸部βの外周形状は、円形や、楕円形や、三角形や、四角形等、単純な形状とすることもできる。本実施態様の連結型マットセットにおいては、これらの形状をいずれも「十」の字状としている。これにより、連結用穴部αの内周部と、連結用凸部βの外周部との接触面積を増大させ、連結型マットの連結強度をさらに高めることができる。また、以下で述べるように、連結型マットの強度を維持しながらも、連結型マットの肉抜きを行いやすくし、連結型マットの軽量化を図ることも可能になる。
【0051】
すなわち、図2~6に示すように、連結型マットのオモテ面(連結用凸部βが設けられる側の面)に、縦方向の凸条部δと横方向の凸条部δとを格子状に設ける(格子状に残す)ことによって、その格子の目となる部分の肉抜きを行っている。このため、連結型マットに必要な強度を凸条部δ,δで確保しながらも、連結型マットを軽量化することに成功している。
【0052】
ただし、このように、連結型マットのオモテ面側に上記の凸条部δ,δを設けると、連結用穴部αや連結用凸部βを設けるのに適した場所は、凸条部δ,δくらいしかなくなる。ところが、内周長や外周長が長くて連結強度が高い連結用穴部αと連結用凸部βを凸条部δ,δに収まるように設けることは、容易ではない。連結用穴部αの内周長や、連結用凸部βの外周長を長くしようとすると、通常、連結用穴部αや連結用凸部βの断面積を大きくする必要が生じるが、断面積の大きな連結用穴部αや連結用凸部βを凸条部δ,δに収めることは難しいからである。
【0053】
この点、上記のように、連結用穴部αと連結用凸部βを「十」の字状とすれば、連結用穴部α及び連結用凸部βの断面積を広く確保しながらも、凸条部δと凸条部δとが交差する部分(凸条交差部)に、連結用穴部α及び連結用凸部βを収めることが可能になる。このように、「十」の字状は、連結用穴部αと連結用凸部βとの連結強度を確保しながらも、連結型マットを軽量化するのに適した形態となっている。
【0054】
ところで、本実施態様の連結型マットセットにおいては、図1~6に示すように、連結型マットのオモテ面には、斜め方向(凸条部δ,δに対して傾斜した方向)にも、凸条部δ,δを設けている。同様に、連結型マットのウラ面にも、斜め方向の凸条部δ,δを設けている。これにより、基本マット10の強度をさらに高めるだけでなく、ウラ面の凸条部δ,δを滑り止めとして機能させることも可能となっている。
【0055】
連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチ(一の連結用穴部αの中心から、当該一の連結用穴部の隣に配された連結用凸部βの中心までの水平距離のこと。以下同じ。)は、連結型マットの寸法等によっても異なり、特に限定されない。しかし、この配置ピッチが短すぎると、連結用穴部α及び連結用凸部βが密に配されすぎ、連結型マットの連結作業が煩わしくなるおそれがある。このため、連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチは、3cm以上とすることが好ましく、5cm以上とすることがより好ましい。連結型マット(特に基本マット10)の寸法がある程度あり、それぞれの基本マット10に、連結用穴部α及び連結用凸部βを、2行2列以上(辺部用マット20,30の場合で2行1列以上乃至は1行2列以上、角部用マット40,50の場合で1行1列以上)に配置できるのであれば、連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチは、10cm以上とさらに長くすることもできる。連結用穴部α及び連結用凸部βは、それぞれの基本マット10に4行4列以上(辺部用マット20,30の場合で4行2列以上乃至は2行4列以上、角部用マット40,50の場合で2行2列以上)に配置することもできる。
【0056】
ただし、連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチを長くしすぎると、連結用穴部α及び連結用凸部βがまばらになり、連結型マットの連結強度が低下するおそれがある。このため、連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチは、30cm以下とすることが好ましい。連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチは、20cm以下とすることがより好ましく、15cm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様の連結型マットセットにおいて、連結用穴部αと連結用凸部βの配置ピッチは、約12.5cmとしている。
【0057】
連結型マットの平面視形状は、その種類(基本マット10、辺部用マット20,30又は角部用マット40,50のうちいずれであるか)等によって異なり、特に限定されないが、通常、方形等の敷き詰め可能な形状とされる。本実施態様の連結型マットセットにおいて、基本マット10の平面視形状は、正方形となっている。また、辺部用マット20,30の平面視形状は、長方形となっており、その長方形の長辺の長さは、基本マット10の平面視形状である正方形の一辺の長さと等しくなっている。さらに、角部用マット40,50の平面視形状は、正方形となっており、その正方形の一辺の長さは、辺部用マット20,30の平面視形状である長方形の短辺の長さと等しくなっている。
【0058】
連結型マットの寸法も、その種類(基本マット10、辺部用マット20,30又は角部用マット40,50のうちいずれであるか)や形状等によっても異なり、特に限定されない。しかし、それぞれの連結型マットを小さくしすぎると、連結型マットの敷設作業が煩わしくなるおそれがある。また、連結用穴部αや連結用凸部βの数を確保しにくくなる。このため、それぞれの連結型マットの一辺の長さは、20cm以上とすることが好ましく、30cm以上とすることがより好ましい。連結型マットの面積は、200cm以上とすることが好ましく、400cm以上とすることが好ましい。
【0059】
ただし、それぞれの連結型マットを大きくしすぎると、連結型マットの運搬や保管や敷設が容易に行えなくなるおそれがある。このため、それぞれの連結型マットの一辺の長さは、2m以下とすることが好ましい。それぞれの連結型マットの一辺の長さは、1.5m以下とすることがより好ましく、1.2m以下とすることがさらに好ましい。連結型マットの面積は、4m以下とすることが好ましく、2m以下とすることがより好ましい。
【0060】
連結型マットの厚さ(連結用凸部βが設けられた部分の厚さ。以下同じ。)も、特に限定されない。しかし、連結型マットを薄くしすぎると、連結型マットの強度が低下するおそれがある。このため、連結型マットの厚さは、5mm以上とすることが好ましく、10mm以上とすることがより好ましく、15mm以上とすることがさらに好ましい。ただし、連結型マットを厚くしすぎると、連結型マットを軽量化しにくくなる。このため、連結型マットの厚さは、50mm以下とすることが好ましく、30mm以下とすることがより好ましい。本実施態様の連結型マットセットにおいては、連結型マットの厚さを、約20mm(連結用凸部βが設けられていない部分の厚さでいえばその半分の約10mm)としている。
【0061】
連結型マットの成形材料も、その用途等によっても異なり、特に限定されない。連結型マットの成形材料としては、樹脂材料や金属材料等を使用することもできるが、連結型マットに弾力性を付与して敷設面の凹凸に追従しやすくすることや、重量物が載った際の緩衝性や防音性を高めること等を考慮すると、ゴム材料を使用すると好ましい。ゴム材料としては、天然ゴムや各種の合成ゴム等を使用することができるが、耐候性や耐久性に優れるゴム材料を使用すると好ましい。例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、シリコンゴム(Si)等のゴム材料を、連結型マットの成形材料として好適に使用することができる。
【0062】
連結型マットセットを構成する連結型マットは、その全てを同じ材料で形成してもよいが、一部の連結型マットを異なる材料で形成することもできる。例えば、基本マット10をゴム製とし、辺部用マット20,30及び角部用マット40,50を金属製とすることができる。また、上向き状態で配される基本マット10Aをゴム製とし、下向き状態で配される基本マット10Bを金属製とすると、敷設後の連結型マット10にダンパー機能を持たせることも可能になる。
【0063】
また、連結型マットセットを構成する連結型マットは、その全てを同じ色としてもよいが、一部の連結型マットを異なる色にしてもよい。例えば、外縁用マット(辺部用マット20,30及び角部用マット40,50)を1つおきに交互に色を変える(例えば、黄色のものと黒色のものとが交互になるようにする)と、敷設後の連結型マットを目立たせることが可能になり、その上を通過しようとする者の注意を促すことが可能になる。また、上向き状態の連結型マット(基本マット10A等)における連結用凸部βの先端部は、図8に示すように、下向き状態の連結型マット(基本マット10B)の連結用穴部αを通じて歩行者等が視認できる状態となる。このため、上向き状態で敷き詰められる連結型マット(基本マット10A等)と下向き状態で敷き詰められる連結型マット(基本マット10B)とのうち、いずれか一方を黄色とし、他方を黒色とする等、上向き状態の連結型マットと下向き状態の連結型マットとで色を変えことによっても、敷設後の連結型マットを目立たせることが可能になる。敷設後の連結型マット10の上面には、メッセージや図形等が記された板やシートを貼り付けてもよい。
【0064】
以上で説明した本発明の連結型マットセットは、連結する連結型マットの枚数又は配置を変更することによって、敷設形態を変更することができるものとなっている。連結型マットの敷設形態は、図8に示した正方形状に限らず、長方形状としたり、「L」字状や「T」字状や「H」字状等とすることもできる。さらに、外縁用マット(辺部用マット20,30及び角部用マット40,50)の平面視形状を、曲線を有する形状とすれば、連結型マットの敷設形態を、円形や楕円形とすることもできる。
【0065】
本発明の連結型マットは、その用途を特に限定されない。本発明の連結型マットは、室内等の床面に敷くフロアマットや、家屋や店舗等の入口に敷くエントランスマットとして好適に使用することができる。また、本発明の連結型マットは、[1]重量物が載っても連結が外れにくい、[2]設置面に対して動きにくい、[3]その上を歩行又は走行する人や物が滑りにくい、という特徴を有するため、特殊な用途でも好適に使用することができる。例えば、フォークリフトや台車等が走行する工場や倉庫等の各種事業施設の床面に対しても好適に使用することができる。また、トラックや重機等が走行する工事現場の路面や地面に対しても好適に使用することができる。未舗装の地面のぬかるみを防止するための仮敷きマットとしても好適に使用することができる。さらに、道路や駐車場で通行車両の注意を促したり、車両のスピードを低下させたりするためのハンプ用マットとしても好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 基本マット(連結型マット)
10A 上向き状態の基本マット
10B 下向き状態の基本マット
20 第一の辺部用マット(連結型マット)
20A 上向き状態の第一の辺部用マット
20B 下向き状態の第一の辺部用マット
30 第二の辺部用マット(連結型マット)
30A 上向き状態の第二の辺部用マット
30B 下向き状態の第二の辺部用マット
40 第一の角部用マット(連結型マット)
40A 上向き状態の第一の角部用マット
40B 下向き状態の第一の角部用マット
50 第二の角部用マット(連結型マット)
50A 上向き状態の第二の角部用マット
50B 下向き状態の第二の角部用マット
α 連結用穴部
β 連結用凸部
γ 支持用凸部
γ 支持用凸部
δ 縦方向の凸条部
δ 横方向の凸条部
δ 斜め方向の凸条部
δ 斜め方向の凸条部
S スロープ
F 床面(敷設面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8