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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ケーブル支持体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230914BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230914BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 075
H02G3/30
H05K7/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020534779
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2019030552
(87)【国際公開番号】W WO2020027328
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2018147006
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226507
【氏名又は名称】株式会社ニックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松林 由紘
(72)【発明者】
【氏名】中野 高雅
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-052028(JP,A)
【文献】特開2007-336666(JP,A)
【文献】特開2000-295731(JP,A)
【文献】特開2014-171275(JP,A)
【文献】実開平04-086021(JP,U)
【文献】特開2015-126672(JP,A)
【文献】特開2016-152749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0215901(US,A1)
【文献】米国特許第6437243(US,B1)
【文献】米国特許第05411443(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを支持するケーブル支持体において、
前記ケーブルの延設方向に直線的に延びて、前記ケーブルを保持する保持部と、
前記延設方向に直交する前記ケーブル支持体の幅方向、及び前記延設方向及び前記幅方向に直交する前記ケーブル支持体の高さ方向に屈曲可能な屈曲部とを備えており、
前記保持部及び前記屈曲部は、前記延設方向に隣接して配置されており、
前記屈曲部は、
屈曲底壁と、
前記屈曲底壁の前記幅方向の両端部から前記高さ方向に延びる一対の屈曲側壁とを有しており、
前記一対の屈曲側壁それぞれは、前記高さ方向に延びる切り欠きによって前記延設方向に分断されており、
前記切り欠きは、前記屈曲底壁から遠ざかるほど、前記延設方向の幅が広くなることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項2】
ケーブルを支持するケーブル支持体において、
前記ケーブルの延設方向に直線的に延びて、前記ケーブルを保持する保持部と、
前記延設方向に直交する前記ケーブル支持体の幅方向、及び前記延設方向及び前記幅方向に直交する前記ケーブル支持体の高さ方向に屈曲可能な屈曲部とを備えており、
前記保持部及び前記屈曲部は、前記延設方向に隣接して配置されており、
前記屈曲部は、
屈曲底壁と、
前記屈曲底壁の前記幅方向の両端部から前記高さ方向に延びる一対の屈曲側壁とを有しており、
前記一対の屈曲側壁それぞれは、前記高さ方向に延びる切り欠きによって前記延設方向に分断されており、
前記屈曲底壁は、各々が前記幅方向に延設された複数の柱状部で構成されており、
前記複数の柱状部のうち、前記延設方向に所定の間隔を隔てて隣り合う第1柱状部及び第2柱状部は、前記幅方向の一方側端部でのみ互いに連結されており、
前記複数の柱状部のうち、前記延設方向に所定の間隔を隔てて隣り合う前記第2柱状部及び第3柱状部は、前記幅方向の他方側端部でのみ互いに連結されていることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項3】
請求項に記載のケーブル支持体において、
前記第1柱状部は、前記屈曲部の前記延設方向の端部に配置されており、前記延設方向に所定の間隔を隔てて隣り合う前記保持部と、前記幅方向の他方側端部でのみ連結されていることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項4】
請求項またはに記載のケーブル支持体において、
前記切り欠きは、
前記幅方向の他方側端部において、前記屈曲側壁を前記延設方向に分断すると共に、前記第1柱状部及び前記第2柱状部の間に前記延設方向の隙間を形成し、
前記幅方向の一方側端部において、前記屈曲側壁を前記延設方向に分断すると共に、前記第2柱状部及び前記第3柱状部の間に前記延設方向の隙間を形成することを特徴とするケーブル支持体。
【請求項5】
ケーブルを支持するケーブル支持体において、
前記ケーブルの延設方向に直線的に延びて、前記ケーブルを保持する保持部と、
前記延設方向に直交する前記ケーブル支持体の幅方向、及び前記延設方向及び前記幅方向に直交する前記ケーブル支持体の高さ方向に屈曲可能な屈曲部とを備えており、
前記保持部及び前記屈曲部は、前記延設方向に隣接して配置されており、
前記保持部は、
保持底壁と、
前記保持底壁の前記幅方向の一方側端部から前記高さ方向に延びる第1保持側壁と、
前記保持底壁の前記幅方向の他方側端部から前記高さ方向に延びる第2保持側壁と、
前記保持底壁、前記第1保持側壁、及び前記第2保持側壁で囲まれた空間から前記ケーブルが飛び出すのを防止する抑え部とを有し、
前記抑え部は、
前記第1保持側壁の先端から前記高さ方向に延びる開放姿勢と、
前記第1保持側壁の先端から前記第2保持側壁に向けて前記幅方向に延びる保持姿勢との間を、弾性変形可能に構成されており、
前記第2保持側壁は、
前記保持姿勢の前記抑え部を受け入れる凹部と、
前記凹部に進入した前記抑え部が前記開放姿勢に弾性復帰するのを阻止する阻止部とを備えることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載のケーブル支持体において、
前記保持部は、
保持底壁と、
前記保持底壁の前記幅方向の一方側端部から前記高さ方向に延びる第1保持側壁と、
前記保持底壁の前記幅方向の他方側端部から前記高さ方向に延びる第2保持側壁と、
前記保持底壁、前記第1保持側壁、及び前記第2保持側壁で囲まれた空間から前記ケーブルが飛び出すのを防止する抑え部とを有することを特徴とするケーブル支持体。
【請求項7】
請求項に記載のケーブル支持体において、
前記抑え部は、
前記高さ方向における前記第1保持側壁の先端から前記幅方向に延び、且つ前記第2保持側壁から離間した第1抑え部と、
前記第1抑え部と前記延設方向に離間した位置において、前記高さ方向における前記第2保持側壁の先端から前記幅方向に延び、且つ前記第1保持側壁から離間した第2抑え部とを有することを特徴とするケーブル支持体。
【請求項8】
請求項に記載のケーブル支持体において、
前記抑え部は、前記第1保持側壁及び前記第2保持側壁の間隔より長く、
前記凹部は、
前記延設方向に離間した位置において、前記第2保持側壁の先端から前記高さ方向に突出する一対の突出部と、
前記一対の突出部の先端同士を接続する前記阻止部とで構成され、
前記阻止部の前記抑え部に対面する面は、前記一対の突出部から遠ざかるほど前記抑え部から離れる向きに傾斜していることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項9】
ケーブルを支持するケーブル支持体において、
前記ケーブルの延設方向に直線的に延びて、前記ケーブルを保持する保持部と、
前記延設方向に直交する前記ケーブル支持体の幅方向、及び前記延設方向及び前記幅方向に直交する前記ケーブル支持体の高さ方向に屈曲可能な屈曲部とを備えており、
前記保持部及び前記屈曲部は、前記延設方向に隣接して配置されており、
前記保持部は、前記ケーブルが敷設される空間を画定する壁に係止されて、前記ケーブル支持体を前記壁に固定する係止部を有し、
前記係止部は、
前記保持部から前記高さ方向に延びる柱部と、
前記柱部の先端から前記幅方向に突出し、且つ前記延設方向に張り出した爪部とを備え、
前記保持部の底壁の一部は、前記延設方向に延び、且つ先端に向かうほど前記底壁から離れる向きに傾斜する舌部を備えることを特徴とするケーブル支持体。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載のケーブル支持体において、
前記延設方向の一端に位置する前記保持部は、連結部及び前記連結部が連結される被連結部の一方を有し、
前記延設方向の他端に位置する前記屈曲部は、前記連結部及び前記被連結部の他方を有することを特徴とするケーブル支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを支持するケーブル支持体に関し、特に、狭い空間内に敷設されるケーブルを支持するのに適したケーブル支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の内部には、制御信号を伝送する信号ケーブル、電力を供給する電力ケーブルなど、様々なケーブルが敷設されている。ただし、電気機器の内部にケーブルを敷設する際に、ケーブルが浮き上がってモータや可動機構に巻き込まれることが懸念される。そこで、「ガイド」等と称される部品を用いて、電気機器の内部に敷設されるケーブルを保護することが、従来から行われている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-40862号公報
【文献】特開2004-314572号公報
【文献】実用新案登録第2524837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルのレイアウトは電気機器毎に異なるので、ガイドも電気機器毎に設計するのが一般的である。そのため、ガイドを設計する手間やガイドの製造に用いる金型のコストが、電気機器の製造コストを押し上げる一因になっている。特に、電気機器の小型化が進むのに伴って、ケーブルを敷設する空間も狭くなっており、ガイドの設計負担が増加している。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、様々なレイアウトで敷設されるケーブルを支持可能な自由度の高いケーブル支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような技術的課題を解決するため、ケーブルを支持するケーブル支持体において、前記ケーブルの延設方向に直線的に延びて、前記ケーブルを保持する保持部と、前記延設方向に直交する前記ケーブル支持体の幅方向、及び前記延設方向及び前記幅方向に直交する前記ケーブル支持体の高さ方向に屈曲可能な屈曲部とを備えており、前記保持部及び前記屈曲部は、前記延設方向に隣接して配置されており、前記屈曲部は、屈曲底壁と、前記屈曲底壁の前記幅方向の両端部から前記高さ方向に延びる一対の屈曲側壁とを有しており、前記一対の屈曲側壁それぞれは、前記高さ方向に延びる切り欠きによって前記延設方向に分断されており、前記切り欠きは、前記屈曲底壁から遠ざかるほど、前記延設方向の幅が広くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、屈曲部が幅方向及び高さ方向に屈曲するので、3次元的にレイアウトされたケーブルに沿うように、ケーブル支持体を変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係るケーブル支持体1の斜視図である。
図2図1に示すケーブル支持体1の平面図である。
図3図1に示すケーブル支持体1の側面図である。
図4(A)】ケーブル支持体1を高さ方向に湾曲させた状態を示す斜視図である。
図4(B)】ケーブル支持体1を高さ方向に湾曲させた状態を示す側面図である。
図5(A)】ケーブル支持体1を左側にのみ湾曲させた状態を示す斜視図である。
図5(B)】ケーブル支持体1を左側にのみ湾曲させた状態を示す平面図である。
図6(A)】ケーブル支持体1を左右に湾曲させた状態を示す斜視図である。
図6(B)】ケーブル支持体1を左右に湾曲させた状態を示す平面図である。
図7(A)】変形例1に係るケーブル支持体1Aを示す下面斜視図である。
図7(B)】変形例1に係るケーブル支持体1Aを示す側面図である。
図8(A)】変形例2に係るケーブル支持体1Bを示す上面斜視図である。
図8(B)】変形例2に係るケーブル支持体1Bを示す平面図である。
図9(A)】変形例3に係る抑え部51の開放状態を示す図である。
図9(B)】変形例3に係る抑え部51の保持状態を示す図である。
図10】変形例4に係るケーブル支持体1Cの斜視図である。
図11】変形例4に係るケーブル支持体1Cの延設方向の断面図である。
図12(A)】変形例4に係るケーブル支持体1Cにおいて、抑え部60の開放状態を示す図である。
図12(B)】変形例4に係るケーブル支持体1Cにおいて、抑え部60の保持状態を示す図である。
図13】変形例5に係るケーブル支持体1Dの斜視図である。
図14】変形例5に係るケーブル支持体1Dの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施形態に係るケーブル支持体1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0037】
まず、図1図3を参照して、本実施形態に係るケーブル支持体1の構造を説明する。図1はケーブル支持体1の斜視図であり、図2はケーブル支持体1の平面図であり、図3はケーブル支持体1の側面図である。なお、ケーブル支持体1を説明するための方向として、図1に示すように、ケーブル支持体1及びケーブル束2をまっすぐに伸ばした状態で、ケーブル束2の「延設方向」、ケーブル支持体1の「幅方向」、及びケーブル支持体1の「高さ方向」を定義する。延設方向、幅方向、高さ方向は、互いに直交する方向である。また、本明細書では、幅方向の一方側を「右側」と表記し、幅方向の他方側を「左側」と表記するが、左右が逆転しても良いことは言うまでもない。
【0038】
図1に示すように、ケーブル支持体1は、電気機器などの内部に敷設されたケーブル束2を支持する部材である。電気機器の具体例は特に限定されないが、例えば、パソコン、FAX、複合機などのオフィス機器や、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの家電などが該当する。特に、モータ、発電機、回転軸、ギヤなどの駆動機構を含む電気機器が望ましい。ケーブル束2は、複数のケーブル2a、2bが束ねられたものである。ケーブル2a、2bの具体例は特に限定されないが、例えば、制御信号を伝送する信号ケーブル、電力を供給する電力ケーブルなどである。また、ケーブル支持体1が支持するケーブルの数は、複数に限定されず、1本であってもよい。
【0039】
ケーブル支持体1は、例えば、樹脂材料を射出成形して製造される。ケーブル支持体1を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、汎用エンジニアリングプラスチックなど、弾性変形能の高い材料が挙げられる。ケーブル支持体1の製造方法は射出成形に限定されないが、一体成形されるのが望ましく、例えば、3Dプリンタなどを用いてもよい。
【0040】
図1図3に示すように、ケーブル支持体1は、複数の保持部3a、3b、3c(以下、これらを総称して、「保持部3」と表記することがある。)と、複数の屈曲部4a、4b(以下、これらを総称して、「屈曲部4」と表記することがある。)とを主に備える。ただし、保持部3の数(3個)及び屈曲部4の数(2個)は、図1図3の例に限定されない。
【0041】
保持部3a、3b、3cと屈曲部4a、4bとは、ケーブル束2の延設方向において、交互に配置されている。換言すれば、保持部3a~3cは、ケーブル束2の延設方向に所定の間隔を隔てて配置されている。そして、屈曲部4a、4bは、保持部3a~3cの間に配置されている。また、ケーブル束2の延設方向の両端部には、保持部3a、3cが配置されている。すなわち、屈曲部4aは保持部3a、3bの間に配置されており、屈曲部4bは保持部3b、3cの間に配置されている。
【0042】
保持部3は、ケーブル束2がケーブル支持体1から飛び出すのを防止する役割を担う。一方、保持部3は、ケーブル支持体1の幅方向及び高さ方向にほとんど屈曲せず、ケーブル束2の延設方向に直線的に延びる部分である。保持部3は、保持底壁31と、一対の保持側壁32、33と、抑え部34、35、36と、係止部37、38とを主に備える。なお、本実施形態では、保持部3a、3cと保持部3bとは、抑え部34~36の配置が左右逆転していることを除いて同一形状である。ただし、保持部3a~3cは、延設方向の長さ、抑え部34~36の数、係止部37、38の有無などが異なっていてもよい。
【0043】
保持底壁31は、ケーブル支持体1の底壁の一部を構成する。ケーブル支持体1を射出成形で一体成形する場合において、保持底壁31には、保持底壁31の厚み方向(換言すれば、ケーブル支持体1の高さ方向)に貫通する貫通孔31aを形成するのが望ましい。貫通孔31aは、ケーブル支持体1の高さ方向から見て、抑え部34~36の全体と重なる位置及び大きさである。これにより、ケーブル支持体1の高さ方向に金型を抜くことができるので、ケーブル支持体1の製造工程を簡素化することができる。
【0044】
保持側壁32(第1保持側壁)は、ケーブル支持体1の右端において、保持底壁31から高さ方向に突設されている。また、保持側壁32は、ケーブル束2の延設方向において、保持底壁31の全域に亘って形成されている。保持側壁33(第2保持側壁)は、ケーブル支持体1の左端において、保持底壁31から高さ方向に突設されている。また、保持側壁33は、ケーブル束2の延設方向において、保持底壁31の全域に亘って形成されている。
【0045】
保持部3a、3cの抑え部34、36(第1抑え部)は、ケーブル支持体1の高さ方向における保持側壁32の先端(保持底壁31と反対側の端部)から、ケーブル支持体1の幅方向(保持側壁33の方向)に延びている。また、保持側壁33と抑え部34、36とは、ケーブル支持体1の幅方向に離間している。保持部3a、3cの抑え部35(第2抑え部)は、ケーブル支持体1の高さ方向における保持側壁33の先端(保持底壁31と反対側の端部)から、ケーブル支持体1の幅方向(保持側壁32の方向)に延びている。また、保持側壁32と抑え部35とは、ケーブル支持体1の幅方向に離間している。
【0046】
抑え部34~36は、ケーブル束2の延設方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、保持側壁32に接続された抑え部34、36と、保持側壁33に接続された抑え部35とが、ケーブル束2の延設方向に交互に配置されている。抑え部34~36は、保持底壁31及び保持側壁32、33で囲まれた空間から、ケーブル束2が飛び出すのを防止する役割を担う。抑え部34~36の数は3つに限定されないが、保持側壁32に接続された抑え部と、保持側壁33に接続された抑え部とが、少なくとも1つずつ設けられているのが望ましい。
【0047】
保持部3bは、抑え部35(第1抑え部)が保持側壁32に接続され、抑え部34、36(第2抑え部)が保持側壁33に接続されている点で、保持部3a、3bと異なる。ただし、抑え部34~36の形状及び役割は、保持部3a~3cで共通する。
【0048】
係止部37は、ケーブル支持体1の右端において、保持底壁31から保持側壁32と逆向きに突設されている。係止部38は、ケーブル支持体1の左端において、保持底壁31から保持側壁33と逆向きに突設されている。係止部37、38の先端には、ケーブル支持体1の幅方向の外側に突出する係止片37a、38aが形成されている。
【0049】
係止部37、38は、電気機器の内部において、ケーブル束2が敷設される空間を画定する壁(隔壁、内壁など)5に係止されて、ケーブル支持体1を壁5に固定する役割を担う。より詳細には、係止部37、38は、予め壁5に設けられた孔5a、5b(5aは図示省略)に挿入される。そして、孔5a、5bを通過した係止片37a、38aが壁5の裏面に係止されて、ケーブル支持体1が壁5に固定される。
【0050】
屈曲部4は、ケーブル支持体1の幅方向及び高さ方向に屈曲することによって、電気機器の内部に敷設されるケーブル束2のレイアウトに沿って、ケーブル支持体1を湾曲させる役割を担う。屈曲部4は、屈曲底壁41と、一対の屈曲側壁42、43とを主に備える。なお、本実施形態では、屈曲部4a、4bを同一構成としているが、例えば、後述する柱状部41a~41eの数、後述する切り欠き42a、42b、43a、43bの数などが異なっていてもよい。以下、屈曲部4aについて詳細に説明する。
【0051】
屈曲底壁41は、ケーブル支持体1の底壁の一部を構成する。すなわち、ケーブル支持体1がまっすぐに延ばされた状態において、保持底壁31と屈曲底壁41とは概ね面一となる。屈曲底壁41は、各々がケーブル支持体1の幅方向に延設された複数の柱状部41a~41eによって構成される。屈曲底壁41を構成する柱状部41a~41eの数は5つに限定されないが、3つ以上が望ましい。
【0052】
柱状部41a~41eは、ケーブル束2の延設方向に所定の間隔を隔てて配置されている。ケーブル束2の延設方向において所定の間隔を隔てて隣り合う柱状部41a、41bは、ケーブル支持体1の右端でのみ連結されている。また、ケーブル束2の延設方向において所定の間隔を隔てて隣り合う柱状部41b、41cは、ケーブル支持体1の左端でのみ連結されている。以下同様に、柱状部41c、41dは右端でのみ連結され、柱状部41d、41eは左端でのみ連結されている。
【0053】
また、複数の柱状部41a~41eのうち、ケーブル束2の延設方向の端部に位置する柱状部41a、41eは、ケーブル束2の延設方向に所定の間隔を隔てて隣り合う保持部3a、3bの保持底壁31と接続される。より詳細には、柱状部41aは、保持部3aの保持底壁31とケーブル支持体1の左端でのみ連結されている。一方、柱状部41eは、保持部3bの保持底壁31とケーブル支持体1の右端でのみ連結されている。すなわち、屈曲底壁41には、ケーブル束2の延設方向において、ケーブル支持体1の左右交互に隙間が形成されている。
【0054】
屈曲側壁42は、ケーブル支持体1の右端において、屈曲底壁41から高さ方向に突設されている。また、屈曲側壁42は、切り欠き42a、42bによってケーブル束2の延設方向に分断されている。換言すれば、屈曲側壁42は、ケーブル支持体1の右端において、互いに連結された柱状部41a、41b、柱状部41c、41dの間で連続し、連結されていない柱状部41b、41c、柱状部41d、41eの間で分断されている。さらに換言すれば、切り欠き42a、42bは、ケーブル支持体1の右端において、屈曲側壁42を分断すると共に、柱状部41b、41cの間及び柱状部41d、41eの間にケーブル束2の延設方向の隙間を形成する。
【0055】
屈曲側壁43は、ケーブル支持体1の左端において、屈曲底壁41から高さ方向に突設されている。また、屈曲側壁43は、切り欠き43a、43bによってケーブル束2の延設方向に分断されている。換言すれば、屈曲側壁43は、ケーブル支持体1の左端において、互いに連結された柱状部41b、41c、柱状部41d、41eの間で連続し、連結されていない柱状部41a、41b、柱状部41c、41dの間で分断されている。さらに換言すれば、切り欠き43a、43bは、ケーブル支持体1の左端において、屈曲側壁43を分断すると共に、柱状部41a、41bの間及び柱状部41c、41dの間にケーブル束2の延設方向の隙間を形成する。
【0056】
さらに、屈曲側壁42は、柱状部41aと保持部3aの保持底壁31とが離間している箇所において、切り欠き42cによって保持側壁32と分断されている。一方、屈曲側壁42は、柱状部41eと保持部3bの保持底壁31とが連結されている箇所において、保持側壁32と連結されている。同様に、屈曲側壁43は、柱状部41aと保持部3aの保持底壁31とが連結されている箇所において、保持側壁33と連結されている。一方、屈曲側壁43は、柱状部41eと保持部3bの保持底壁31とが離間している箇所において、切り欠き43cによって保持側壁33と分断されている。
【0057】
切り欠き42a~42c、43a~43cは、ケーブル支持体1の高さ方向において、屈曲側壁42、43の全域に亘って形成されている。また、切り欠き42a~42c、43a~43cは、ケーブル束2の延設方向において、所定の幅を有している。さらに、切り欠き42a~42c、43a~43cの幅は、屈曲底壁41に近いほど狭くなり、屈曲側壁42から遠ざかるほど広くなっている。すなわち、切り欠き42a~42c、43a~43cは、ケーブル支持体1の幅方向から見て、概ねV形状或いはY形状を呈する。
【0058】
次に、図4(A)~図6(B)を参照して、ケーブル支持体1を湾曲させたときの各構成要素の位置関係を説明する。図4(A)及び図4(B)はケーブル支持体1を高さ方向に湾曲させた図であり、図5(A)及び図5(B)はケーブル支持体1を左側にのみ湾曲させた図であり、図6(A)及び図6(B)はケーブル支持体1を左右に湾曲させた図である。
【0059】
まず図4(A)及び図4(B)に示すように、ケーブル支持体1を高さ方向に湾曲させると、屈曲部4a、4bそれぞれは、切り欠き42a~42c、43a~43cの幅を狭める向きに屈曲する。本実施形態では、屈曲部4a、4bそれぞれが最大45°程度屈曲するので、ケーブル支持体1全体として最大90°まで湾曲することができる。一方図示は省略するが、図4(A)及び図4(B)と反対向きにケーブル支持体1を湾曲させると、屈曲部4a、4bそれぞれは、切り欠き42a~42c、43a~43cの幅を広げる向きに屈曲する。
【0060】
また図5(A)及び図5(B)に示すように、ケーブル支持体1を左側に湾曲させると、屈曲部4a、4bそれぞれは、湾曲外側に位置する切り欠き42a~42cの幅を広げ、且つ湾曲内側に位置する切り欠き43a~43aの幅を狭める向きに屈曲する。本実施形態では、屈曲部4a、4bそれぞれが最大45°程度屈曲するので、ケーブル支持体1全体として最大90°まで湾曲することができる。すなわち、柱状部41a、41bの間、柱状部41c、41dの間、柱状部41e及び保持底壁31の間の隙間が狭まり、柱状部41a及び保持底壁31の間、柱状部41b、41cの間、柱状部41d,41eの間の隙間が広がる。
【0061】
一方図示は省略するが、図5(A)及び図5(B)と反対向きにケーブル支持体1を湾曲させると、屈曲部4a、4bそれぞれは、湾曲外側に位置する切り欠き43a~43cの幅を広げ、且つ湾曲内側に位置する切り欠き42a~42aの幅を狭める向きに屈曲する。すなわち、柱状部41a、41bの間、柱状部41c、41dの間、柱状部41e及び保持底壁31の間の隙間が広がり、柱状部41a及び保持底壁31の間、柱状部41b、41cの間、柱状部41d,41eの間の隙間が狭まる。
【0062】
さらに図6(A)及び図6(B)に示すように、ケーブル支持体1を左側に湾曲させると、屈曲部4aは、湾曲外側に位置する切り欠き42a~42cの幅を広げ、且つ湾曲内側に位置する切り欠き43a~43aの幅を狭める向きに屈曲する。すなわち、柱状部41a、41bの間、柱状部41c、41dの間、柱状部41e及び保持底壁31の間の隙間が狭まり、柱状部41a及び保持底壁31の間、柱状部41b、41cの間、柱状部41d、41eの間の隙間が広がる。
【0063】
一方、屈曲部4bは、湾曲外側に位置する切り欠き43a~43cの幅を広げ、且つ湾曲内側に位置する切り欠き42a~42aの幅を狭める向きに屈曲する。すなわち、柱状部41a、41bの間、柱状部41c、41dの間、柱状部41e及び保持底壁31の間の隙間が広がり、柱状部41a及び保持底壁31の間、柱状部41b、41cの間、柱状部41d、41eの間の隙間が狭まる。
【0064】
なお、ケーブル支持体1を高さ方向に湾曲させた例を図4(A)及び図4(B)に示し、ケーブル支持体1を幅方向に湾曲させた例を図5(A)~図6(B)に示したが、本実施形態に係るケーブル支持体1は、高さ方向及び幅方向に同時に湾曲することができる。
【0065】
上記の実施形態によれば、例えば、以下のような作用効果を奏する。
【0066】
上記の実施形態によれば、複数の屈曲部4a、4bそれぞれが幅方向及び高さ方向に屈曲するので、3次元的にレイアウトされたケーブル束2に沿うように、ケーブル支持体1を変形させることができる。一方、特許文献1~3に記載のガイドは、ケーブルの延設方向に直交する1方向にのみ屈曲可能であるに過ぎない。そのため、上記の実施形態によれば、電気機器毎にケーブル支持体1を設計する必要がなく、様々な電気機器に共通して使用できるので、電気機器の製造コストを抑制することができる。
【0067】
また、図4(A)及び図4(B)に示すように、屈曲部4a、4bを高さ方向に屈曲させると、切り欠き42a~42c、43a~43cが広がったり狭まったりして、屈曲側壁42、43の塑性変形や破損が防止される。さらに、切り欠き42a~42c、43a~43cの幅を、屈曲底壁41から遠ざかるほど広くすることによって、屈曲部4a、4bの高さ方向の屈曲量を増大させることができる。
【0068】
また、図5(A)~図6(B)に示すように、屈曲部4a、4bを幅方向に屈曲させると、隣り合う柱状部41a~41の間の隙間が広がったり狭まったりして、屈曲底壁41の塑性変形や破損が防止される。さらに、保持部3と屈曲部4とを幅方向の片側でのみ連結することによって、ケーブル支持体1の幅方向の屈曲量を増大させることができる。
【0069】
また、上記の実施形態のように、共通の切り欠き42a~42c、43a~43cによって、屈曲部4a、4bを高さ方向に屈曲させるための隙間と、屈曲部4a、4bを幅方向に屈曲させるための隙間とを形成することによって、ケーブル支持体1の小型化を実現できる。
【0070】
また、保持部3a~3cそれぞれに抑え部34~36を設けることによって、ケーブル束2を3次元的にレイアウトした場合でも、ケーブル支持体1からケーブルが飛び出すのを防止できる。なお、左右方向に湾曲するケーブル束2は、保持側壁32、33の一方に押し付けられた状態で、ケーブル支持体1に支持される。そのため、抑え部34~36を保持側壁32、33の両方に設けることによって、ケーブル支持体1からケーブル束2が飛び出すのをさらに有効に防止できる。
【0071】
さらに、上記の実施形態のように、ケーブル支持体1を壁5に係止固定する係止部37、38を保持部3に設けることによって、3次元的に変形する屈曲部4に設けるのと比較して、壁5側に設ける孔5a、5bの位置を設計しやすくなる。
【0072】
(変形例1)
次に図7(A)及び図7(B)を参照して、変形例1に係るケーブル支持体1Aを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、図7(A)及び図7(B)において、図1図6(B)と共通する構成要素の参照番号の一部は、図示を省略している。
【0073】
図7(A)に示すように、ケーブル支持体1Aは、屈曲部4a、4bに突起44a、44c、44eが形成されている点において、上記の実施形態と相違する。突起44a、44c、44eは、柱状部41a、41c、41eの下面(係止部37、38が突出する側の面)で且つ幅方向の略中央から、係止部37、38と同じ方向に突出している。突起44a、44c、44eは、概ね球の一部を切り取った外形を呈する。
【0074】
図7(B)に示すように、ケーブル支持体1Aを壁5に取り付けると、係止部37、38の係止片37a、38a(38aは図示省略)と、突起44a、44c、44eとで壁5を挟持する。そのため、壁5の板厚が薄い場合でもケーブル支持体1Aにがたつきが生じるのを抑制できる。また、保持部3a~3cではなく屈曲部4a、4bに突起44a、44c、44eを設けることにより、壁5の板厚が厚い場合でも屈曲部4a、4bが反る向きに変形するので、ケーブル支持体1A全体のゆがみが少なくなる。
【0075】
なお、突起44a、44c、44eの位置及び形状は、図7(A)及び図7(B)の例に限定されない。例えば、図7(A)では、突起44a、44c、44eが設けられた柱状部41a、41c、41eと、突起が設けられていない柱状部41b、41dとがケーブル束2の延設方向に交互に配列された例を説明した。しかしながら、全ての柱状部41a~41eに突起が設けられてもよいし、特定の位置(例えば、延設方向の両端、延設方向の中央)の柱状部にのみ突起が設けられてもよい。また、突起44a、44c、44eの形状は、円錐、円錐台、三角錐、円柱などでもよい。
【0076】
(変形例2)
次に図8(A)及び図8(B)を参照して、変形例2に係るケーブル支持体1Bを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、図8(A)及び図8(B)において、図1図6(B)と共通する構成要素の参照番号の一部は、図示を省略している。
【0077】
図8(A)及び図8(B)に示すように、ケーブル支持体1Bは、係止部37、38に代えて、係止部39a、39b、39c、39d、39e、39fを備える点で、上記の実施形態と相違する。係止部39a~39fは、保持側壁32、33の基端(保持底壁31に接続された側の端部)から、ケーブル支持体1Bの幅方向の外側に突出している。また、係止部39a~39fの先端は、二股に分かれて隙間が形成されている。係止部39a~39fの隙間は、ケーブル支持体1Bを壁5に固定するねじ(図示省略)の軸部(ねじ山が形成された部分)を通過させ、頭部を通過させない大きさである。
【0078】
ケーブル支持体1Bを壁5の所定の位置に載置し、係止部39a~39fの隙間にねじを捻じ込むことによって、ケーブル支持体1Bを壁5に固定することができる。これにより、係止部37、38と比較して、ケーブル支持体1Bと壁5との結合力を強化することができる。また、屈曲側壁42、43ではなく保持側壁32、33に係止部39a~39fを設けることによって、ケーブル支持体1Bを湾曲させた状態で壁5に固定する場合に、係止部39a~39fからねじが外れるのを抑制できる。
【0079】
なお、図8(A)及び図8(B)の例では、全ての保持側壁32、33に係止部39a~39fを設けた例を示したが、係止部39a~39fの位置及び個数はこれに限定されない。他の例として、ケーブル束2の延設方向の両端部にのみ、係止部39a、39c、39d、39fを設けてもよい。さらに他の例として、ケーブル束2の延設方向の一方側で且つケーブル支持体1Bの幅方向の一方側に位置する係止部39aと、ケーブル束2の延設方向の他方側で且つケーブル支持体1Bの幅方向の他方側に位置する係止部39fとで、ケーブル支持体1Bを壁5に固定してもよい。
【0080】
さらに、係止部39a~39fの先端を二股にすることに代えて、係止部39a~39fにケーブル束2の高さ方向に貫通する貫通孔を設けてもよい。この貫通孔は、ねじの軸部が通過し、且つねじの頭部が通過しない大きさに設定される。これにより、ねじが全周に亘って囲われるので、ケーブル支持体1Bと壁5との結合力がさらに強化される。
【0081】
(変形例3)
次に図9(A)及び図9(B)を参照して、ケーブル支持体1A、1Bが備える抑え部51を説明する。図9(A)及び図9(B)に示す保持部3aは、抑え部34~36に代えて、抑え部51、凹部52、及び阻止爪(阻止部)を備える点で図1図6(B)に示す保持部3aと相違し、その他の点で図1図6(B)に示す保持部3aと共通する。また、ケーブル支持体1A、1Bが備える保持部3b、3cは、図9(A)及び図9(B)に示す保持部3aと同様の構成である。
【0082】
抑え部51は、保持側壁32、33のうち、ケーブル支持体1A、1Bの幅方向の一方側の保持側壁32に形成されている。より詳細には、抑え部51は、保持側壁32の先端(保持底壁31と反対側の端部)に形成されている。抑え部51は、基端部が薄肉に形成されており、図9(A)に示す開放姿勢と、図9(B)に示す保持姿勢との間を、弾性変形可能に構成されている。
【0083】
図9(A)に示す開放姿勢は、抑え部51がケーブル支持体1A、1Bの高さ方向(すなわち、保持側壁33と略平行)に延びた状態を指す。そのため、開放姿勢の抑え部51は、保持底壁31及び保持側壁32、33で囲まれた空間に挿入されたケーブル束2を保持することができない。一方、図9(B)に示す保持姿勢は、抑え部51が保持側壁32に向かう方向(すなわち、ケーブル支持体1A、1Bの幅方向)に延びた状態を指す。そのため、保持姿勢の抑え部51は、保持底壁31及び保持側壁32、33で囲まれた空間に挿入されたケーブル束2を保持することができる。
【0084】
凹部52は、ケーブル支持体1A、1Bの幅方向から見て抑え部51と重なる位置において、保持側壁32に形成されている。換言すれば、凹部52は、保持姿勢の抑え部51の先端が進入可能な位置に形成されている。ケーブル束2の延設方向における凹部52の幅は、抑え部51の幅より大きい。また、ケーブル支持体1A、1Bの高さ方向における凹部52の高さは、抑え部51を保持姿勢側に最大限弾性変形させたとしても、抑え部51の先端が保持側壁32に干渉しない高さである。
【0085】
阻止爪53は、保持側壁32に形成されている。より詳細には、阻止爪53は、ケーブル束2の延設方向における凹部52の両端部から、凹部52の内側(すなわち、凹部52の幅を狭める)向きに突出している。また、阻止爪53の先端同士の距離は、ケーブル束2の延設方向における抑え部51の幅より小さい。さらに、阻止爪53は、ケーブル支持体1A、1Bの高さ方向のうち、上面が突出方向に傾斜し、下面が傾斜していない。阻止爪53は、保持姿勢の抑え部51の先端を凹部52内に保持して、開放姿勢に弾性復帰するのを阻止する役割を担う。
【0086】
なお、図9(A)に示すように、開放姿勢の抑え部51の肉厚部分は、保持側壁33の内面より内側まで延在している。また、阻止爪53は、保持側壁32の内面より内側に配置されている。そこで、ケーブル支持体1A、1Bを射出成形で一体成形する場合には、上記の実施形態と同様に、保持底壁31には、ケーブル支持体1の高さ方向から見て、開放姿勢の抑え部51及び阻止爪53の全体と重なる位置に、貫通孔31aを形成するのが望ましい。これにより、ケーブル支持体1A、1Bの高さ方向に金型を抜くことができるので、ケーブル支持体1の製造工程を簡素化することができる。
【0087】
変形例3によれば、抑え部51を開放姿勢にした状態で、ケーブル束2をケーブル支持体1A、1Bに簡単に挿入することができる。また、抑え部51を開放姿勢から保持姿勢に弾性変形させるとき、抑え部51が傾斜面に案内されて阻止爪53を乗り越えることができる。その結果、少ない力で抑え部51を開放姿勢から保持姿勢に姿勢変化させることができる。一方、阻止爪53を乗り越えた後の抑え部51が保持姿勢から開放姿勢に姿勢変化するには大きな力が必要になるので、電気機器の運搬中や使用中の振動によって、ケーブル支持体1A、1Bからケーブル束2が脱落するのを有効に防止できる。
【0088】
(変形例4)
次に図10図12(B)を参照して、変形例4に係るケーブル支持体1Cを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。図10図12(B)に示す保持部3aは、抑え部34~36に代えて抑え部60及び被係合部61を備える点、舌部62を備える点、係止部37、38に代えて係止部63、64を備える点において、図1図6(B)に示す保持部3aと相違し、その他の点で図1図6(B)に示す保持部3aと共通する。
【0089】
抑え部60は、保持側壁32、33のうち、ケーブル支持体1Cの幅方向の一方側の保持側壁33に形成されている。より詳細には、抑え部60は、保持側壁33の先端(保持底壁31と反対側の端部)に形成されている。また、抑え部60の長さは、保持側壁32、33の間隔より長く設定されている。さらに、抑え部60の先端には、係合爪60aが形成されている。そして、抑え部60は、基端部が薄肉に形成されており、図12(A)に示す開放姿勢と、図12(B)に示す保持姿勢との間を、弾性変形可能に構成されている。
【0090】
図12(A)に示す開放姿勢は、抑え部60がケーブル支持体1Cの高さ方向(すなわち、保持側壁32と略平行)に延びた状態を指す。そのため、開放姿勢の抑え部60は、保持底壁31及び保持側壁32、33で囲まれた空間に挿入されたケーブル束2を保持することができない。一方、図12(B)に示す保持姿勢は、抑え部60が保持側壁32に向かう方向(すなわち、ケーブル支持体1Cの幅方向)に延びた状態を指す。そのため、保持姿勢の抑え部60は、保持底壁31及び保持側壁32、33で囲まれた空間に挿入されたケーブル束2を保持することができる。
【0091】
被係合部61は、ケーブル支持体1Cの幅方向から見て抑え部60と重なる位置において、保持側壁32に形成されている。被係合部61は、保持姿勢の抑え部60に係合されて、抑え部60を保持姿勢に維持する役割を担う。すなわち、換言すれば、被係合部61は、保持姿勢の抑え部60の先端が進入可能な位置に形成されている。
【0092】
被係合部61は、一対の突出部61a、61bと、阻止部61cとで構成されている。一対の突出部61a、61bは、基端部が保持側壁32の外面に接し、先端部が保持側壁32の先端からケーブル支持体1Cの高さ方向に突出している。また、一対の突出部61a、61bは、ケーブル支持体1Cの延設方向に離間した位置に配置されている。
【0093】
阻止部61cは、一対の突出部61a、61bの先端同士を接続している。すなわち、一対の突出部61a、61b及び阻止部61cで囲まれた部分に、保持姿勢の抑え部60の先端を受け入れる凹部(変形例4では、貫通孔)が形成されている。また、阻止部61cの抑え部60に対面する面は、一対の突出部61a、61bから遠ざかるほど、抑え部60から離れる向きに傾斜している。
【0094】
変形例4において、抑え部60を開放姿勢から保持姿勢に姿勢変化させようとすると、抑え部60の先端が阻止部61cの傾斜面を押して被係合部61を弾性変形させる。そして、抑え部60をさらに保持姿勢に向けて姿勢変化させると、図12(B)に示すように、傾斜面に案内された抑え部60が凹部に進入する。これにより、片手で抑え部60を被係合部61に係合させることができるので、抑え部60を保持姿勢に姿勢変化させる作業が容易になる。
【0095】
また、図12(B)のように、抑え部60を被係合部61に係合させると、係合爪60aが阻止部61cに係合する。これにより、抑え部60が自然に開放姿勢に戻るのを防止できる。一方、抑え部60を保持姿勢から開放姿勢に戻すときは、一方の手で抑え部60を抑えた状態で、他方の手で被係合部61を保持側壁33から離れる向きに弾性変形させればよい。
【0096】
舌部62は、貫通孔31aの位置において、保持底壁31から延設方向に延設されている。また、舌部62は、ケーブル支持体1Cの幅方向から見て係止部63、64と重なる位置において、保持底壁31に形成されている。そして、舌部62は、基端から先端に向かって、保持底壁31から離れる向きに傾斜している。換言すれば、舌部62は、基端から先端に向かって、保持側壁32、33の延設方向と逆向きに傾斜している。
【0097】
係止部63、64は、ケーブル束2が敷設される空間を画定する壁5に係止されて、ケーブル支持体1Cを壁5に固定する役割を担う。係止部63、64は、ケーブル支持体1Cの高さ方向から見て抑え部60及び被係合部61に重なる位置に配置される。より詳細には、係止部63、64は、保持側壁32、33の下部に設けられた切り欠きの位置に配置される。
【0098】
係止部63、64は、柱部63a、64aと、爪部63b、64bとを主に備える。柱部63a、64aは、保持側壁32、33の切り欠きから、高さ方向の保持側壁32、33と反対向きに延設されている。そして、柱部63a、64aの先端は、保持底壁31より下方にまで達している。爪部63b、64bは、柱部63a、64aの先端から互いに近づく向きに突出している。さらに、爪部63b、64bは、柱部63a、64aの先端からケーブル支持体1Cの延設方向に張り出している。
【0099】
変形例4の係止部63、64を孔5a、5bに挿入すると、舌部62が壁5の表面に押圧されると共に、爪部63b、64bが壁5の裏面に係止される。上記構成によれば、係止部63、64で壁5にケーブル支持体1Cを係止したときに、舌部62が壁5に押圧されてケーブル支持体1Cを押し上げる。その結果、爪部63b、64bが壁5の裏面に当接するので、ケーブル支持体1Cのガタツキが抑制される。
【0100】
(変形例5)
次に図13及び図14を参照して、変形例5に係るケーブル支持体1Dを説明する。なお、上記の実施形態との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。図13及び図14に示すケーブル支持体1Dは、保持部3a及び屈曲部4aを1つずつ備える点、屈曲部4aに連結凸部(連結部)65が形成されている点、保持部3aに被連結凹部(被非連結部)66が形成されている点において、図1図6(B)に示すケーブル支持体1と相違し、その他の点で図1図6(B)に示すケーブル支持体1と共通する。
【0101】
変形例5に係るケーブル支持体1Dは、1つの保持部3aと、1つの屈曲部4aとが延設方向に隣接して配置されている。すなわち、本発明に係るケーブル支持体は、1以上の保持部と、1以上の屈曲部とを備えていればよい。
【0102】
連結凸部65は、屈曲部4aの保持部3aとは反対側の端部に設けられている。より詳細には、連結凸部65は、屈曲底壁41(柱状部41a)の幅方向の中央からケーブル支持体1Dの延設方向に突出している。連結凸部65の幅(ケーブル支持体1Dの幅方向の長さ)は、基端部より先端部の方が長い。
【0103】
被連結凹部66は、保持部3aの屈曲部4aとは反対側の端部に設けられている。より詳細には、被連結凹部66は、保持底壁31の幅方向の中央において、ケーブル支持体1Dの延設方向に凹んだ部分である。被連結凹部66の形状は、連結凸部65の形状に対応する。すなわち、被連結凹部66は、連結凸部65を受け入れ可能な形状である。
【0104】
図13及び図14に示すケーブル支持体1Dを2つ用意して、一方のケーブル支持体1Dの連結凸部65を、他方のケーブル支持体1Dの被連結凹部66に連結することによって、2つのケーブル支持体1Dを一体化することができる。なお、ケーブル支持体1Dを3つ以上連結してもよい。これにより、所望の長さのケーブル支持体を得ることができる。
【0105】
なお、連結凸部65が保持部3aに形成され、被連結凹部66が屈曲部4aに形成されていてもよい。すなわち、保持部3aが連結凸部65及び被連結凹部66の一方を有し、屈曲部4aが連結凸部65及び被連結凹部66の他方を有していればよい。
【0106】
なお、上記の実施形態及び変形例1~5は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。例えば、図1図6(B)に示す抑え部34~36、図7(A)及び図7(B)に示す突起44a、44c、44e、図8(A)及び図8(B)に示す係止部39a~39f、図9(A)及び図9(B)に示す抑え部51、凹部52、阻止爪53、図10図12(B)に示す抑え部60、被係合部61、舌部62、係止部63、64、図13及び図14に示す連結凸部65、被連結凹部66の一部または全部を、他のケーブル支持体1、1A、1B、1C、1Dに適用してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B,1C,1D…ケーブル支持体、2…ケーブル束、2a,2b…ケーブル、3,3a,3b,3c…保持部、4,4a,4b…屈曲部、5…壁、31…保持底壁、31a…貫通孔、32,33…保持側壁、34,35,36,51…抑え部、37,38,39…係止部、41…屈曲底壁、41a,41b,41c,41d,41e…柱状部、42,43…屈曲側壁、42a,42b,42c,43a,43b,43c…切り欠き、44a,44c,44e…突起、52…凹部、53…阻止爪、60…抑え部、60a…係合爪、61…被係合部、61a,61b…突出部、61c…阻止部、62…舌部、63,64…係止部、63a,64a…柱部、63b,64b…爪部、65…連結凸部(連結部)、66…被連結凹部(被連結部)
図1
図2
図3
図4(A)】
図4(B)】
図5(A)】
図5(B)】
図6(A)】
図6(B)】
図7(A)】
図7(B)】
図8(A)】
図8(B)】
図9(A)】
図9(B)】
図10
図11
図12(A)】
図12(B)】
図13
図14