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特許7349159腹腔鏡トレーナーの作業ツールおよび操作・測定セット
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  • 特許-腹腔鏡トレーナーの作業ツールおよび操作・測定セット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】腹腔鏡トレーナーの作業ツールおよび操作・測定セット
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/24 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
G09B19/24 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020547123
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2019051888
(87)【国際公開番号】W WO2019171339
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】P.424841
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】520339806
【氏名又は名称】ラパロ エスペー・ゾオ
【氏名又は名称原語表記】LAPARO SP. Z O.O.
【住所又は居所原語表記】ul. Wilcza 25c Wroclaw Republic of Poland
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォシェルスキ ラドスワフ
(72)【発明者】
【氏名】ルレヴィチュ マテウシュ
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-500157(JP,A)
【文献】特開2005-218749(JP,A)
【文献】特開2014-130184(JP,A)
【文献】特開2015-107249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0142525(US,A1)
【文献】米国特許第05403191(US,A)
【文献】国際公開第2009/094621(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
G09B 19/24
G09B 23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定アーム(7)と、作業用先端部(4)のあご部(5)を操作するための剛体タイ・ロッド(9)を備える可動アーム(8)と、を備えるハンドル(6)を装備するスリーブの形態を有する腹腔鏡トレーナーの作業ツールであって、前記作業ツールが、前記作業ツール(1)の前記ハンドル(6)の中に収容される、前記作業用先端部(4)のあご部(5)の開きを検出するセンサ・ユニット(10)を備え、前記センサ・ユニット(10)が、第1の反射センサ(11)と、第1のリフレクタ(12)とを含み、前記センサ・ユニット(10)のこれらの要素のうちの一方が、前記作業ツール(1)の前記ハンドル(6)に取り付けられ、他方が、前記タイ・ロッド(9)上に設置されることを特徴とする、作業ツール。
【請求項2】
作業ツール(1)およびトロカール(2)を備える、腹腔鏡トレーナーの操作・測定セットであって、前記作業ツール(1)が、固定アーム(7)と、作業用先端部(4)のあご部(5)を操作するための剛体タイ・ロッド(9)を備える可動アーム(8)と、を備えるハンドル(6)を装備するスリーブの形態を有し、前記トロカールが、前記作業ツール(1)を摺動可能に中に配置するための誘導チャネル(15)を有し、前記セットが、前記作業ツールの動作の特徴を表すパラメータを決定するための少なくとも1つのセンサを装備する、操作・測定セットにおいて、前記操作・測定セットが、前記作業ツール(1)の前記ハンドル(6)の中に収容される、前記作業用先端部(4)のあご部(5)の開きを検出するセンサ・ユニット(10)を備え、前記センサ・ユニット(10)が、第1の反射センサ(11)と、第1のリフレクタ(12)とを含み、前記センサ・ユニット(10)のこれらの要素のうちの一方が、前記作業ツール(1)の前記ハンドル(6)に取り付けられ、他方が、前記タイ・ロッド(9)上に設置されることを特徴とする、操作・測定セット。
【請求項3】
前記トロカールに取り付けられる第2の反射センサ(21)と、前記作業ツール(1)に取り付けられる第2のリフレクタ(13)と、を備える、前記作業ツール(1)の挿入深さを測定するためのセンサ・ユニットを含むことを特徴とする、請求項2に記載のセット。
【請求項4】
前記第2の反射センサ(21)が、前記トロカール(2)の中に位置し、前記トロカール(2)が、前記第2の反射センサ(21)の反対側に位置する、光ビームのための少なくとも1つの貫通孔(17)をその蓋(14)の中に有することを特徴とする、請求項3に記載のセット。
【請求項5】
前記セットが、前記作業用先端部(4)の回転を測定するためのセンサ・ユニットを含み、前記センサ・ユニットが、前記誘導チャネル(15)の軸上に回転可能に設置されるエンコーダ・ディスク(25)と、前記エンコーダ・ディスク(25)の回転を測定するためのエンコーダ・センサ(23)とを含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のセット。
【請求項6】
前記エンコーダ・ディスク(25)が、圧力ローラ(27)を備える押圧ユニット(26)に接続されることを特徴とする、請求項5に記載のセット。
【請求項7】
前記誘導チャネル(15)の軸上で中央に位置する、前記作業ツールの存在を検出するセンサ(20)を含むことを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載のセット。
【請求項8】
2軸の、前記作業ツールの傾斜センサを含むことを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載のセット。
【請求項9】
前記トロカールが、前記誘導チャネル(15)の軸上に位置する、中央孔(19)を備える水平方向プレート(18)を含み、前記水平方向プレート(18)の上に、前記第2の反射センサ(21)、および/または前記作業ツール(1)の存在を検出するセンサ(20)、および/または前記作業ツールの傾斜センサ、および/またはエンコーダ・センサ(23)が位置することを特徴とする、請求項3又は4に記載のセット。
【請求項10】
前記セットが、作業ツール(1)と、トロカール(2)とを含み、前記作業ツール(1)が、固定アーム(7)と、前記作業用先端部(4)のあご部(5)を操作するための剛体タイ・ロッド(9)を備える可動アーム(8)と、を備えるハンドル(6)を装備するスリーブの形態を有し、前記作業用先端部のあご部の開きを検出するセンサを装備し、漏斗形状の前記トロカールが、前記作業ツールを中で摺動可能に固定するための誘導チャネル(15)と、前記作業ツール(1)を誘導するための圧力ローラ(27)を備える押圧ユニット(26)と、を有し、前記作業ツールの存在を検出するセンサ(20)と、前記作業ツールの挿入深さを測定するためのセンサと、前記作業ツールの種類を検出するセンサと、2軸の、前記作業ツールの傾斜センサと、前記ツールの前記作業用先端部の回転センサと、回転ディスクを備えるエンコーダとを含めた、前記作業ツールの動作の特徴を表す必要なパラメータを決定するためのセンサを装備し、前記作業用先端部(4)のあご部(5)の前記開きを検出する前記センサ・ユニット(10)が、前記作業ツール(1)の前記ハンドル(6)の中に恒久的に設置される第1の反射距離センサ(11)と、前記第1の反射距離センサ(11)の下方または上方に配置される第1のリフレクタ(12)と、を含み、前記第1のリフレクタ(12)が、前記剛体タイ・ロッド(9)に垂直に固定され、前記剛体タイ・ロッド(9)が、前記ハンドル(6)の前記可動アーム(8)の端部に接続され、前記スリーブ(3)の上側端部と前記ハンドル(6)の底部との間には、前記トロカール(2)の中に配置される、前記作業ツール(1)の前記挿入深さを測定するための第2の反射センサ(21)からの光を反射するための、中央に設置される第2の平坦なリフレクタ(13)が存在し、前記トロカール(2)が、光ビームのための少なくとも1つの貫通孔(17)をそのカバー(14)の中に有し、前記貫通孔の中に設置される、前記作業ツール(1)の前記挿入深さを測定するための前記第2の反射センサ(21)が、前記貫通孔(17)の反対側に位置し、前記作業ツール(1)の前記作業用先端部(4)の回転を測定するための前記エンコーダ・センサ(23)が、前記エンコーダ・ディスク(25)の外側部分に対向して取り付けられ、前記エンコーダ・ディスク(25)が、スリーブ・ホルダ(24)を介して、前記誘導チャネル(15)の軸上に回転可能に固定され、前記作業ツールの前記存在を検出する前記センサ(20)が、前記誘導チャネル(15)の前記軸上の中央に位置することを特徴とする、請求項5又は6に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡テクニックを用いる最小侵襲的手術を実施するために必要となる特定の手動スキルを訓練し、練習するために使用される、腹腔鏡トレーナーの作業ツールおよび操作・測定セットに関する。
【0002】
本発明による作業ツールおよび操作・測定セットは、特に、実施される訓練の評価を自動化すること、および習熟曲線の追跡を可能にすることを含めた、手術テクニックの習得および向上を改善するトレーナーにおいて適用可能である。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願第2005/142525号は、外科的な腹腔鏡手技のための訓練デバイスを開示している。このデバイスは、訓練手技中に1つまたは複数の作業器具の位置を追跡するための、および手術器具の位置情報を使用するインジケータに基づいて訓練生のパフォーマンスを客観的に評価するための、追跡システムを備える。訓練手技の進行中の器具の位置に関する情報が、熟練者によって使用される場合の器具の位置情報と比較されて、分析の結果が生成され得る。デバイスは、管状スリーブの形態の作業ツールを有し、一方の側において固定アームおよび可動アームを備えるハンドルで終端しており、他方の側において握持部材を備える。作業ツールは、リミッターによって決定される深さにおいてトロカール・シャフトの中に位置する。作業ツールは、握持部材の位置を追跡するためのホール・センサを備える。このセンサは、作業ツールのシャフトの軸外に位置し得る。デバイスは、ロール運動エンコーダおよび軸方向運動エンコーダも有する。
【0004】
欧州特許EP2922048は、ハイブリッド型の腹腔鏡シミュレータを開示している。この発明によるシミュレータに腹腔鏡器具の模倣物(laparoscopic instrument imitator)が取り付けられている。腹腔鏡器具の模倣物の各々は、実際の器具の形態で作られ、センサ・ユニットを含み、さらにトロカールの模倣物から独立しており、トロカールの模倣物の各々は、トロカールの模倣物の対応する変位ノードに結合され、ロボット患者の腹腔の前壁上でのトロカールの模倣物の位置が、追跡され、決定される。チャネル状のトロカール・ホルダ(channel trocar holder)の中に位置する腹腔鏡器具の模倣物は、長手方向ロッドを備え、このロッドの両側においてハンドル・アームを用いて制御される鉗子を装備する先端部を備える。腹腔鏡器具のハンドルはフランジ・ナットにより終端しており、フランジ・ナットの下方に、マイクロコントローラと、ロッド回転センサと、ロッド先端部における鉗子の開きを検出するセンサと、トロカールの中に位置する腹腔鏡ツール・タイプの検出センサと協働する赤外線LEDとを含む、センサのセットが存在する。トロカール・ボディ・フレームは、長手方向モーション検出センサと、XおよびY方向回転センサと、を備え、腹腔鏡の模倣物の長手方向ロッドが、保持用ローラを備える誘導路ユニットによりトロカール・ボディ・フレーム内で誘導される。
【0005】
米国特許明細書第5403191号は、腹腔鏡トレーナーを開示しており、ここでは、技術を習得し、視覚と手の協調スキル(eye-hand coordination skill)および手先の器用さの技能を常に向上させるために、個別の使用者が実際の実物にそっくりな状態で実施される手術ステップを再現することにより内視鏡的外科手技を練習することができる。トロカールの中に配置される手術器具は、透明プラスチック・パネル上に予め形成されるアパーチャを通してデバイスの内部に挿入され、手術器具は、訓練中に手術器具を直接に目視するのを必要とすることなく、練習手技を実施しながら操作される。訓練生は、内視鏡ビデオ・モニター・システムを使用して、または実際の手術状態を模倣する類似の間接的な視認方法により、模倣を行って器具の向きを操作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、手動的なおよび仮想的な腹腔鏡訓練を可能にする、単純で機能的な構成の、腹腔鏡トレーナーの作業ツールおよび操作・測定セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の対象は、固定アーム(7)と、作業用先端部(4)のあご部(5)を操作するための剛体タイ・ロッド(9)を備える可動アーム(8)と、を備えるハンドル(6)を装備するスリーブの形態を有する腹腔鏡トレーナーの作業ツールであって、この作業ツールが、作業ツール(1)のハンドル(6)の中に収容される、作業用先端部(4)のあご部(5)の開きを検出するセンサ・ユニット(10)を含み、センサ・ユニット(10)が、第1の反射センサ(11)と、第1のリフレクタ(12)とを備え、センサ・ユニット(10)のこれらの要素のうちの一方が、作業ツール(1)のハンドル(6)に取り付けられ、他方が、タイ・ロッド(9)上に設置されることを特徴とする作業ツールである。
【0008】
また、本発明の対象は、本発明による作業ツール(1)と、トロカール(2)と、を備える腹腔鏡トレーナーの操作・測定セットであって、トロカールが、作業ツール(1)を摺動可能に中に配置するための誘導チャネル(15)を有する、操作・測定セットである。
【0009】
好適には、セットが、トロカールに取り付けられる第2の反射センサ(21)と、作業ツール(1)に取り付けられる第2のリフレクタ(13)と、を備える、作業ツール(1)の挿入深さを測定するためのセンサ・ユニットを含む。
【0010】
好適には、第2の反射センサ(21)が、トロカール(2)の中に位置し、トロカール(2)が、第2の反射センサ(21)の反対側に位置する、光ビームのための少なくとも1つの貫通孔(17)をその蓋(14)の中に有する。
【0011】
好適には、セットが、作業用先端部(4)の回転を測定するためのセンサ・ユニットを含み、このセンサ・ユニットが、誘導チャネル(15)の軸上に回転可能に設置されるエンコーダ・ディスク(25)と、エンコーダ・ディスク(25)の回転を測定するためのエンコーダ・センサ(23)とを含む。
【0012】
好適には、エンコーダ・ディスク(25)が、好適にはスリーブ・ホルダ(24)により、圧力ローラ(27)を備える押圧ユニット(26)に接続される。
【0013】
好適には、セットが、誘導チャネル(15)の軸上で中央に位置する、作業ツールの存在を検出するセンサ(20)を含む。
【0014】
好適には、セットが、好適にはMEMSセンサ(22)の形態である、2軸の、作業ツールの傾斜センサを含む。
【0015】
好適には、トロカールが、誘導チャネル(15)の軸上に位置する、中央孔(19)を備える水平方向プレート(18)を含み、水平方向プレート(18)の上に、第2の反射センサ(21)、および/または作業ツール(1)の存在を検出するセンサ(20)、および/または作業ツールの傾斜センサ、および/またはエンコーダ・センサ(23)が位置する。
【0016】
好適には、セットが、作業ツール(1)と、トロカール(2)とを含み、作業ツール(1)が、固定アーム(7)と、作業用先端部(4)のあご部(5)を操作するための剛体タイ・ロッド(9)を備える可動アーム(8)と、を備えるハンドル(6)を装備するスリーブの形態を有し、作業用先端部のあご部の開きを検出するセンサを装備し、漏斗形状のトロカールが、作業ツールを中で摺動可能に固定するための誘導チャネル(15)と、作業ツール(1)を誘導するための圧力ローラ(27)を備える押圧ユニット(26)と、を有し、作業ツールの存在を検出するセンサ(20)と、作業ツールの挿入深さを測定するためのセンサと、作業ツールの種類を検出するセンサと、2軸の、作業ツールの傾斜センサと、ツールの作業用先端部の回転センサと、回転ディスクを備えるエンコーダとを含めた、作業ツールの動作の特徴を表す必要なパラメータを決定するためのセンサを装備し、作業用先端部(4)のあご部(5)の開きを検出するセンサ・ユニット(10)が、作業ツール(1)のハンドル(6)の中に恒久的に設置される第1の反射距離センサ(11)と、第1の反射距離センサ(11)の下方または上方に配置される第1のリフレクタ(12)と、を含み、第1のリフレクタ(12)が、剛体タイ・ロッド(9)に垂直に固定され、剛体タイ・ロッド(9)が、ハンドル(6)の可動アーム(8)の端部に接続され、スリーブ(3)の上側端部とハンドル(6)の底部との間には、トロカール(2)の中に配置される、作業ツール(1)の挿入深さを測定するための第2の反射センサ(21)からの光を反射するための、中央に設置される第2の平坦なリフレクタ(13)が存在し、トロカール(2)が、光ビームのための少なくとも1つの貫通孔(17)をそのカバー(14)の中に有し、貫通孔の中に設置される、作業ツール(1)の挿入深さを測定するための第2の反射センサ(21)が、貫通孔(17)の反対側に位置し、作業ツール(1)の作業用先端部(4)の回転を測定するためのエンコーダ・センサ(23)が、エンコーダ・ディスク(25)の外側部分に対向して取り付けられ、エンコーダ・ディスク(25)が、スリーブ・ホルダ(24)を介して誘導チャネル(15)の軸上に回転可能に固定され、作業ツールの存在を検出するセンサ(20)が、誘導チャネル(15)の軸上の中央に位置する。
【0017】
本発明による作業ツールおよび操作・測定セットは、手動的な訓練および仮想的な訓練を可能にする単純な構成を特徴とし、したがって、訓練コストの低減に寄与する。本発明による作業ツールおよび操作・測定セットはまた、完全に機能的な腹腔鏡器具を訓練で使用することを可能にし、それにより、医療シミュレーションが、手術室において見られるような条件に近いものとなる。
【0018】
作業ツールのあご部の開きを検出するセンサが、ハンドルの内部に隠されており、したがって、このセンサが、作業ツールの操作を邪魔することがない。リフレクタと共に反射センサを使用することにより、ツールのハンドルの内部で目立たないように設置することが可能となる。このような解決策は、腹腔鏡ツールの外形を変化させず、それによりシミュレーションが現実を正確に再現することになる。
【0019】
作業ツールの動作の特徴を表すパラメータを決定するために操作・測定セットの中でセンサを使用することにより、訓練の完了後に作業ツールの先端部の運動軌跡を容易に計算することが可能となる。訓練の完了後に作業ツールの先端部の運動の軌跡を復元することが可能であることにより、作業ツールの運動の効率および円滑性を完全に分析することが可能となる。
【0020】
手動的な訓練が、以下のパラメータに関して分析され得る:作業ツールの先端部の移動距離、作業ツールの瞬間速度および加速度、作業ツールの作業先端部のクランプ回数、作業ツールの運動の円滑性、カメラの視野内での作業ツールの視認性。
【0021】
基本的なスキルおよび縫合(sewing)の腹腔鏡訓練が、物理的な対象物上で手動的に実施され得、一方で、外科手技訓練が、シミュレートされる仮想的な環境で実施されることになる。高価な使い捨ての臓器模倣カートリッジを使用することの必要性が排除される。
【0022】
本発明の対象は、添付の図面に実施形態として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】腹腔鏡トレーナーの操作・測定セットを概略的に示す長手方向断面図である。
図2】腹腔鏡トレーナーの操作・測定セットからのトロカールを概略的に示す長手方向断面図である。
図3】トロカールの代替の方式を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
図1および図2は、作業ツール1と、トロカール2とから構成される操作・測定セットを示している。作業ツール1が、スリーブ3を備え、スリーブ3が、あご部5を備える作業用先端部4をその底部に装備し、さらに、固定アーム7と、剛体タイ・ロッド9により作業用先端部4のあご部5を操作するための可動アーム8とを備えるハンドル6をその頂部に装備する。ハンドル6が、作業用先端部4のあご部5の開きを検出するセンサ・ユニット10を備え、センサ・ユニット10が、作業ツール1のハンドル6の中に恒久的に固定される第1の反射距離センサ11と、その下方に位置して剛体タイ・ロッド9に対して垂直に固定される光反射のための第1の平坦なリフレクタ12と、を備え、剛体タイ・ロッド9が、ハンドル6の可動アーム8の端部に接続される。スリーブ3の上側端部とハンドル6の底部との間に、作業ツールの挿入深さを測定するための第2の反射センサ(21)からの光の反射のための、中央に設置される第2の平坦なリフレクタ13が存在する。
【0025】
トロカール2は、カバー14によって上から閉じられる漏斗形状のボディを有する。ボディの内部に、作業ツール1のための軸方向に位置する誘導チャネル15が存在する。トロカール2のカバー14が、誘導チャネル15の軸上に配置される、作業ツール1のための導入孔16と、光ビームのための貫通孔17と、を有する。トロカール2のカバー14の下に、誘導チャネル15の軸上に配置される中央孔19を有する水平方向プレート18が存在する。トロカール2の水平方向プレート18の上には、中央孔19の近くに位置する、作業ツールの存在を検出するセンサ20と、トロカール2のカバー14内の貫通孔17の下に位置する、光学距離センサの形態の、作業ツール1の挿入深さを測定するための第2の反射センサ21と、2軸の、トロカールの傾斜を測定するのに使用されるMEMSセンサ22と、が配置される。MEMSセンサ22、すなわち、3軸加速度計と、3軸ジャイロスコープと、3軸磁気計とが、作業ツール1の軸の傾斜角に関する情報を提供する。トロカール2の水平方向プレート18の底部には、作業ツール1の作業用先端部4の回転を測定するためのエンコーダ・センサ23が設置される。トロカール2の水平方向プレート18の下方において、誘導チャネル15の軸上でエンコーダ・ディスク25がスリーブ・ホルダ24を通して回転可能に固定され、エンコーダ・ディスクの回転がエンコーダ・センサ23によって測定される。誘導チャネル15の中で作業ツール1を直線的に誘導するのを可能にする圧力ローラ27を備える押圧ユニット26が、エンコーダ・ディスク25のスリーブ・ホルダ24の下側部分に取り付けられる。圧力ローラ27を備える押圧ユニット26がスリーブ3の回転中に抵抗するように作用し、その結果、スリーブ3の回転と共にエンコーダ・ディスク25が回転する。
【実施例2】
【0026】
図1および図3は、実施例1と同様に製作される代替のトロカールを備える操作・測定セットを示しているが、中央孔19を備える水平方向プレート18が誘導チャネル15の上方においてトロカール2の底部に配置され、ここでは、水平方向プレート18に固定される、作業ツールの作業用先端部4の回転を測定するためのエンコーダ・センサ23が、水平方向プレート18の上側表面に位置する点が異なる。さらに、エンコーダ・ディスク25が、水平方向プレート18の上方においてスリーブ・ホルダ24を介する形で取り付けられており、一方で、圧力ローラ27を備える押圧ユニット26が、スリーブ・ホルダ24の上側部分に取り付けられている。
図1
図2
図3