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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/48 20060101AFI20230914BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F16T1/48 D
G01H17/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021028417
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129655
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2017/212786(JP,A1)
【文献】特開2017-37052(JP,A)
【文献】特開2016-11904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/48
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームトラップの振動を計測する計測装置であって、
複数の構成部品によって構成され、前記スチームトラップに当接されることにより前記スチームトラップの振動を伝達するプローブと、
前記プローブから伝達された前記スチームトラップの振動に応じた電気信号を出力する振動センサと、
前記振動センサから出力された前記電気信号を増幅する増幅回路と、
を備え、
前記プローブは、少なくとも、前記複数の構成部品の形状に起因する、振幅の第1のピーク値を有する第1の共振周波数と、前記第1のピーク値より低い第2のピーク値を有する第2の共振周波数とを有し、
前記増幅回路は、前記電気信号のうち前記第1の共振周波数の帯域の信号を、第1のゲインによって増幅し、前記電気信号のうち前記第2の共振周波数の帯域の信号を、前記第1のゲインより高い第2のゲインによって増幅する、計測装置。
【請求項2】
前記プローブは、前記複数の構成部品の形状に起因する、前記第2のピーク値より低い第3のピーク値を有する第3の共振周波数をさらに有し、
前記増幅回路は、前記電気信号のうち前記第3の共振周波数の帯域の信号を、前記第2のゲインより高い第3のゲインによって増幅する、請求項1に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、特に、スチームトラップの振動を計測する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、1年に1回等の定期的に、スチームトラップの状態を点検する作業が行われる。
【0004】
下記特許文献1には、背景技術に係る計測装置が開示されている。当該計測装置は、スチームトラップに当接されることによりスチームトラップの振動を伝達する振動プローブと、振動プローブから伝達されたスチームトラップの振動に応じた電気信号を出力する振動センサと、振動センサから出力された電気信号から所定の周波数帯域の信号を得るフィルタ回路と、フィルタ回路から出力された信号を所定のゲインで増幅する増幅回路と、増幅回路から出力されたアナログ信号をディジタルデータに変換(AD変換)するAD変換回路と、AD変換回路から出力されたデータを処理するデータ処理部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-11904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動プローブは、その構成部品の形状等に起因して、振幅のピーク値が異なる複数の共振周波数を有する。しかし、背景技術に係る計測装置では、振動プローブの共振周波数と増幅回路のゲインとの不整合に起因して、SN比が十分ではないという課題がある。つまり、スチームトラップの所望の振動周波数と振動プローブの共振周波数とが相違する場合に、当該所望の振動周波数の信号レベルを上げるためには増幅回路のゲインを大きく設定する必要があり、その結果、ノイズも増幅されてSN比が低下する。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、プローブの共振周波数と増幅回路のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能な計測装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る計測装置は、スチームトラップの振動を計測する計測装置であって、複数の構成部品によって構成され、前記スチームトラップに当接されることにより前記スチームトラップの振動を伝達するプローブと、前記プローブから伝達された前記スチームトラップの振動に応じた電気信号を出力する振動センサと、前記振動センサから出力された前記電気信号を増幅する増幅回路と、を備え、前記プローブは、少なくとも、前記複数の構成部品の形状に起因する、振幅の第1のピーク値を有する第1の共振周波数と、前記第1のピーク値より低い第2のピーク値を有する第2の共振周波数とを有し、前記増幅回路は、前記電気信号のうち前記第1の共振周波数の帯域の信号を、第1のゲインによって増幅し、前記電気信号のうち前記第2の共振周波数の帯域の信号を、前記第1のゲインより高い第2のゲインによって増幅する。
【0009】
この態様によれば、計測装置は、第1のピーク値を有する第1の共振周波数と、第1のピーク値より低い第2のピーク値を有する第2の共振周波数とを有するプローブを備える。このようなプローブを備える計測装置において、増幅回路は、振動センサから出力された電気信号のうち第1の共振周波数の帯域の信号を第1のゲインによって増幅し、当該電気信号のうち第2の共振周波数の帯域の信号を、第1のゲインより高い第2のゲインによって増幅する。これにより、共振周波数のピーク値の大小のばらつきを、増幅回路のゲインの大小によって補正できるため、プローブの共振周波数と増幅回路のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記プローブは、前記複数の構成部品の形状に起因する、前記第2のピーク値より低い第3のピーク値を有する第3の共振周波数をさらに有し、前記増幅回路は、前記電気信号のうち前記第3の共振周波数の帯域の信号を、前記第2のゲインより高い第3のゲインによって増幅する。
【0011】
この態様によれば、ピーク値が異なる3つの共振周波数を有するプローブを備える計測装置においても、3つの共振周波数のピーク値のばらつきを、増幅回路の3つのゲインによって補正することにより、プローブの共振周波数と増幅回路のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローブの共振周波数と増幅回路のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る可搬型の計測装置の構成を簡略化して示す図である。
図2】温度プローブ及び振動プローブの具体的な構成例を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る計測装置における、周波数に対する振幅特性及びゲイン特性の第1の例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る計測装置における、周波数に対する振幅特性及びゲイン特性の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る可搬型の計測装置1の構成を簡略化して示す図である。計測装置1は、スチームトラップの温度及び振動を計測する機能と、その計測結果に基づいてスチームトラップの状態を診断する機能とを備えている。但し、診断機能は、計測装置1の外部装置(診断装置又はサーバ装置等)が備えても良い。また、可搬型に限らず設置型の計測装置であっても良い。
【0016】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、配管系内に生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出するために、配管系の適所に複数のスチームトラップが設置されている。スチームトラップは、1年に1回等の定期点検によって、その状態が点検される。定期点検の作業者は、可搬型の計測装置1を携帯してプラント内を移動することにより、計測装置1によって各スチームトラップを順に点検する。なお、スチームトラップの点検は、定期点検に限らず、不定期な点検であっても良い。
【0017】
計測装置1は、プローブ(温度プローブP1及び振動プローブP2)、温度センサ11、増幅回路12、AD変換回路13、振動センサ61、フィルタ回路62、増幅回路63、AD変換回路64、制御部71、操作部41、表示部42、記憶部43、及び通信部44を有している。
【0018】
温度プローブP1及び振動プローブP2は、例えば円筒状パイプの外観形状を有している。温度プローブP1は、振動プローブP2の内側の空間において、振動プローブP2の内周面に対して非接触に、同心の位置関係で配置されている。温度プローブP1及び振動プローブP2は、計測対象であるスチームトラップの表面に当接されることによって、当該スチームトラップの温度及び振動を温度センサ11及び振動センサ61に伝達する。
【0019】
図2は、温度プローブP1及び振動プローブP2の具体的な構成例を示す断面図である。振動プローブP2は、計測対象であるスチームトラップからの振動が入力される振動プローブ本体20を含む。
【0020】
振動プローブ本体20は、上下方向(図2では左右方向)に延びる断面円環状の金属製パイプ、具体的にはステンレス製のパイプからなる振動入力部22と、この振動入力部22の下端部(基端部)に繋がる台座部24とを含む。
【0021】
台座部24は、複数の異径部分が軸方向に並んだ金属製の段付き円柱体である。具体的には、台座部24は、下側から順に大径部24a、中径部24b及び小径部24cの3つの異径部分を備える。台座部24は、振動入力部22と同じ金属材料(ステンレス)で構成されている。
【0022】
振動入力部22を構成する金属製パイプの内径は、台座部24の中径部24bの外径と同等、又はそれよりも若干大きく設定されている。当該パイプは、台座部24の中径部24bに外嵌され、大径部24aの上面に突き当てられた状態で、外側からボルトB2で台座部24に固定されている。これにより、円筒状の振動入力部22を先端に備えた振動プローブ本体20が構成されている。
【0023】
振動センサ61は、台座部24の下面、すなわち台座部24のうち反振動入力部22側の位置に配置されている。振動センサ61は、台座部24の下面中央部に、下側からボルトB1で固定されている。
【0024】
温度プローブP1は、振動プローブ本体20における振動入力部22の内側に配置されている。詳しくは、温度プローブP1は、振動入力部22の中心部に、当該振動入力部22の内周面に対して非接触の状態で配置されている。
【0025】
温度プローブP1の内部空間には、熱電対32が配置されている。具体的には、温度プローブP1は、振動入力部22に沿ってその軸方向に延びる円筒状のハウジング30と、出没可能となるように当該ハウジング30の先端に配置される接触板34と、ハウジング30内に配置されて、接触板34を先端側に向かって弾性的に付勢するコイルスプリング等の図略の付勢部材と、ハウジング30の内側の空間に配置される熱電対32と、ハウジング30内で熱電対32を保持するための部材等とを含む。ハウジング30及び接触板34は、同一の又は互いに異なる金属材料で構成されている。
【0026】
ハウジング30の内径は、振動プローブ本体20における台座部24の小径部24cの外径と同等、又はそれよりも若干大きく設定されている。ハウジング30は、台座部24の小径部24cに外嵌され、中径部24bの上面に突き当てられた状態で、外側からボルトB3で台座部24に固定されている。これにより、温度プローブP1は、振動入力部22の中心部に、当該振動入力部22の内周面との間に一定の隙間Sを隔てた状態(振動入力部22に対して非接触の状態)で、振動プローブ本体20に対して一体に組付けられている。
【0027】
図2に示すように、上下方向(図2では左右方向)において、ハウジング30の先端は、振動入力部22の先端と面一に設けられている。従って、接触板34は、上記付勢部材の付勢力によって、その上端面(図2では左端面)が振動入力部22及びハウジング30の端面から上方(図2では左方)に飛び出した突出位置に配置されている。
【0028】
熱電対32は、互いに異なる材質の金属線で構成された二本の熱電対素線32a,32bを備えている。例えば、一方の熱電対素線32aはクロメル線で、他方の熱電対素線32bはアルメル線で構成されている。各熱電対素線32aは、ガラス繊維やフッ素樹脂等の被覆材によって被覆されている。
【0029】
各熱電対素線32a、32bの一端(先端)は、接触板34の下面(図2では右面)の同じ位置に接合されている。具体的には、各熱電対素線32a、32bの一端は、共に接触板34の下面中心部に溶接されている(符号33は溶接部分を示す)。これにより、当該接触板34によって熱電対32の測温接点が構成されている。上記の通り、温度プローブ6は、振動入力部22の中心部に配置されており、従って、熱電対32の測温接点は、振動入力部22の中心部、すなわち振動プローブP2の軸心上に配置されていると言える。
【0030】
各熱電対素線32a,32bは、ハウジング30に沿って配索されている。各熱電対素線32a,32bの他端は、振動プローブ本体20の台座部24に形成されたスリット状の溝部25を通じて振動プローブP2の外側に導出されている。
【0031】
本実施の形態に係る計測装置1では、スチームトラップの振動の強度及び表面温度を計測する場合に、振動入力部22の先端とハウジング30の先端とがスチームトラップの表面に当接される。このため、スチームトラップの振動は、振動入力部22及びハウジング30の双方を伝達する。換言すると、計測装置1では、スチームトラップの表面と振動センサ61との間の振動の伝達経路において、振動入力部22、ハウジング30、及び台座部24の、3つの構成部品が介在することとなる。振動の伝達経路において、ハウジング30は、振動入力部22に対して並列に配され、台座部24に対して直列に配されている。
【0032】
図1を参照して、温度センサ11は、上記一対の熱電対素線32a,32bと図略の温度計測回路とを備えて構成されており、温度プローブP1から伝達された温度を電気信号に変換して出力する。温度センサ11から出力された電気信号は、増幅回路12に入力される。増幅回路12は、入力された電気信号を増幅して出力する。増幅回路12から出力された電気信号は、AD変換回路13に入力される。AD変換回路13は、入力されたアナログの電気信号をディジタルデータに変換して出力する。AD変換回路13から出力された、温度計測値を示すディジタルデータ(温度データ)は、制御部71に入力される。
【0033】
振動センサ61は、例えば圧電型加速度センサを備えて構成されており、振動プローブP2から伝達された振動を電気信号に変換して出力する。振動センサ61から出力された電気信号は、フィルタ回路62に入力される。フィルタ回路62は、入力された電気信号のうち所定の周波数帯域の電気信号を通過して出力する。フィルタ回路62から出力された電気信号は、増幅回路63に入力される。増幅回路63は、入力された電気信号を増幅して出力する。増幅回路63から出力された電気信号は、AD変換回路64に入力される。AD変換回路64は、入力されたアナログの電気信号をディジタルデータに変換して出力する。AD変換回路64から出力された、振動計測値を示すディジタルデータ(振動データ)は、制御部71に入力される。
【0034】
操作部41は、作業者が各種の情報を入力するための操作スイッチ等によって構成されている。表示部42は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部41と表示部42とが一体として構成されても良い。記憶部43は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリ等を用いて構成されている。通信部44は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信モジュールを備えて構成されている。
【0035】
制御部71は、CPU等を備えて構成されている。制御部71は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、診断部51を有している。診断部51は、AD変換回路13,64から入力された測定データ(温度データ及び振動データ)に基づいてスチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを出力する。例えば、診断部51は、入力された温度データと予め設定された所定の温度しきい値とを比較し、また、入力された振動データと予め設定された所定の振動しきい値とを比較する。診断部51は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、スチームトラップが正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。制御部71は、スチームトラップの診断データを含めて診断結果情報(点検日及び診断結果等)を作成し、当該診断結果情報を記憶部43に記憶する。また、制御部71は、診断データを表示部42に入力する。これにより、スチームトラップの診断結果が表示部42に表示される。さらに、制御部71は、スチームトラップの診断結果情報を通信部44に入力する。通信部44は、入力された診断結果情報を、計測装置1の外部のデータ処理装置に送信する。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る計測装置1における、周波数に対する振幅特性及びゲイン特性の第1の例を示す図である。上段は、周波数に対する振動プローブP2の振幅特性を示しており、下段は、周波数に対する増幅回路63のゲイン特性を示している。
【0037】
上記の通り、本実施の形態に係る計測装置1では、スチームトラップの表面と振動センサ61との間の振動の伝達経路において、振動入力部22、ハウジング30、及び台座部24の、3つの構成部品が介在する。従って、振動プローブP2は、これら3つの構成部品の形状等に起因して、振幅のピーク値が異なる3つの共振周波数を有する。図3の例において、振動プローブP2は、ピーク値K2の共振周波数F1と、ピーク値K1の共振周波数F2と、ピーク値K3の共振周波数F3とを有する。周波数の大きさはF1<F2<F3であり、ピーク値の大きさはK3<K2<K1である。
【0038】
本実施の形態に係る計測装置1では、このような振動プローブP2の振幅特性に対して逆特性となるように、増幅回路63のゲイン特性が設定されている。具体的に、共振周波数F3におけるゲインをAとした時に、共振周波数F1におけるゲインがA×K3/K2となり、共振周波数F2におけるゲインがA×K3/K1となるように、増幅回路63のゲインが設定されている。各共振周波数F1~F3間のゲインは、直線近似又は曲線近似によって滑らかに連続するように設定されている。
【0039】
周波数帯域別にゲインが異なる特性は、通過帯域が異なる複数のバンドパスフィルタを用いてフィルタ回路62を構成し、ゲインが異なる複数の増幅器を用いて増幅回路63を構成することによって、実現することができる。
【0040】
このように、本実施の形態に係る計測装置1では、振動プローブP2の振幅特性に対して増幅回路63のゲイン特性が逆特性となるように設定されている。そのため、増幅回路63から出力された電気信号においては、全ての周波数帯域において信号レベルが整合される。
【0041】
図3では、振動伝達経路に3つの構成部品が介在することによって3つの共振周波数を有する振動プローブP2の例について示した。しかし、共振周波数の数は3つに限らず、本発明は、振動伝達経路に複数の構成部品が介在することによって複数の共振周波数を有する振動プローブについて適用することが可能である。
【0042】
図4は、本実施の形態に係る計測装置1における、周波数に対する振幅特性及びゲイン特性の第2の例を示す図である。図4では、振動伝達経路に2つの構成部品が介在することによって2つの共振周波数を有する振動プローブの例について示している。
【0043】
図4の例において、振動プローブは、ピーク値K4の共振周波数F4と、ピーク値K5の共振周波数F5とを有する。周波数の大きさはF4<F5であり、ピーク値の大きさはK5<K4である。共振周波数F5におけるゲインをAとした時に、共振周波数F4におけるゲインがA×K5/K4となるように、増幅回路63のゲインが設定されている。図4の例においても、増幅回路63から出力された電気信号において、全ての周波数帯域で信号レベルを整合させることが可能である。
【0044】
このように本実施の形態によれば、計測装置1は、第1のピーク値(例えばK1)を有する第1の共振周波数(例えばF2)と、第1のピーク値より低い第2のピーク値(例えばK2)を有する第2の共振周波数(例えばF1)とを有する振動プローブP2を備える。このような振動プローブP2を備える計測装置1において、増幅回路63は、振動センサ61から出力された電気信号のうち第1の共振周波数の帯域の信号を第1のゲイン(例えばA×K3/K1)によって増幅し、当該電気信号のうち第2の共振周波数の帯域の信号を、第1のゲインより高い第2のゲイン(例えばA×K3/K2)によって増幅する。これにより、共振周波数のピーク値の大小のばらつきを、増幅回路63のゲインの大小によって補正できるため、振動プローブP2の共振周波数と増幅回路63のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能となる。
【0045】
また、図3に示した例によれば、ピーク値が異なる3つの共振周波数F1~F3を有する振動プローブP2を備える計測装置1において、3つの共振周波数F1~F3のピーク値K1~K3のばらつきを、増幅回路63の3つのゲインによって補正することにより、振動プローブP2の共振周波数と増幅回路63のゲインとの不整合に起因するSN比の低下を改善することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 計測装置
61 振動センサ
62 フィルタ回路
63 増幅回路
P2 振動プローブ
図1
図2
図3
図4