(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】表示ドライバ、表示装置及び表示ドライバの動作方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20230914BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230914BHJP
G09G 5/39 20060101ALI20230914BHJP
G09G 5/393 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G09G3/20 631B
G09G3/20 631C
G09G3/20 631R
G09G3/20 631V
G09G3/20 612U
G09G5/00 550P
G09G5/00 550T
G09G5/00 550X
G09G5/39 100
G09G5/393
(21)【出願番号】P 2017182756
(22)【出願日】2017-09-22
【審査請求日】2020-09-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】四方 淳史
(72)【発明者】
【氏名】新保 二郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 誠
(72)【発明者】
【氏名】太田 茂
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】濱本 禎広
【審判官】田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-94239(JP,A)
【文献】特開2017-102369(JP,A)
【文献】特開2014-203102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルに表示される画像の垂直解像度よりも少ない複数の記憶領域を備え、前記複数の記憶領域のそれぞれが前記表示パネルに表示される前記画像の1ラインの画像データを格納するように構成されたメモリと、
前記垂直解像度をN-p+1以上N以下の整数である複数の候補によって除算することで剰余を算出し(ただし、Nは、前記複数の記憶領域の数であり、pは、前記複数の候補の数である)、
算出された前記剰余がいずれも0でない場合、前記複数の記憶領域のうち前記画像データの格納に用いられる使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの最大の剰余に対応する候補として決定し、
算出された前記剰余のうちの或る剰余が0である場合、前記使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの前記或る剰余に対応する候補として決定し、
前記画像の各ラインの画像データを、固定された順序で循環的に前記使用記憶領域に格納するように前記メモリを制御し、
各フレームの開始時に前記画像の各ラインの画像データを書き込むべき使用記憶領域の選択に用いられる書き込みアドレスをリセットするように構成された制御回路部と、
を備える
表示ドライバ。
【請求項2】
表示パネルと、
表示ドライバ
とを具備し、
前記表示ドライバは、
前記表示パネルに表示される画像の垂直解像度よりも少ない複数の記憶領域を備え、前記複数の記憶領域のそれぞれが前記表示パネルに表示される前記画像の1ラインの画像データを格納するように構成されたメモリと、
前記垂直解像度をN-p+1以上N以下の整数である複数の候補によって除算することで剰余を算出し(ただし、Nは、前記複数の記憶領域の数であり、pは、前記複数の候補の数である)、
算出された前記剰余がいずれも0でない場合、前記複数の記憶領域のうち前記画像データの格納に用いられる使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの最大の剰余に対応する候補として決定し、
算出された前記剰余のうちの或る剰余が0である場合、前記使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの前記或る剰余に対応する候補として決定し、
前記画像の各ラインの画像データを、固定された順序で循環的に前記使用記憶領域に格納するように前記メモリを制御し、
各フレームの開始時に前記画像の各ラインの画像データを書き込むべき使用記憶領域の選択に用いられる書き込みアドレスをリセットするように構成された制御回路部と、
前記メモリに格納された前記画像データを受け取り、前記メモリから受け取った前記画像データに応じて前記表示パネルを駆動するように構成された駆動回路部
とを備える
表示装置。
【請求項3】
表示パネルに表示される画像の垂直解像度よりも少ない複数の記憶領域を備え、前記複数の記憶領域のそれぞれが前記表示パネルに表示される前記画像の1ラインの画像データを格納するように構成されたメモリを備える表示ドライバを動作する方法であって、
前記垂直解像度をN-p+1以上N以下の整数である複数の候補によって除算することで剰余を算出することと(ただし、Nは、前記複数の記憶領域の数であり、pは、前記複数の候補の数である)、
前記複数の候補のそれぞれについて算出された前記剰余がいずれも0でない場合、前記複数の記憶領域のうち前記画像データの格納に用いられる使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの最大の剰余に対応する候補として決定することと、
算出された前記剰余のうちの或る剰余が0である場合、前記使用記憶領域の数を、前記複数の候補のうちの前記或る剰余に対応する候補として決定することと、
前記
画像の各ラインの画像データを、固定された順序で循環的に前記使用記憶領域に格納するように前記メモリを制御することと、
各フレームの開始時に前記画像の各ラインの画像データを書き込むべき使用記憶領域の選択に用いられる書き込みアドレスをリセットすることと、
を含む
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを一時的に格納するメモリを備える表示ドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル及びOLED(organic light emitting diode)表示パネルなどの表示パネルを駆動する表示ドライバは、画像データを一時的に格納するメモリを備えることがある。また、表示パネルがタッチ検出も可能になっている場合には、タッチ検出のための期間を確保するメモリが設けられることがある。
【0003】
メモリは回路規模が大きいので、表示ドライバに搭載されるメモリの容量は抑制される。このため、各フレームに表示される画像の全てのラインに対応する画像データを記憶するには満たない容量のメモリしか表示ドライバに用意されない場合がある。例えば、各フレームに表示される画像の垂直解像度を表すライン数がMラインである場合に、Nラインの画像データ(ただし、N<M)を記憶する容量しか有していないメモリ、より具体的には、それぞれが1ラインの画像データを記憶可能なN個の記憶領域又はN個のラインメモリを備えるメモリが表示ドライバに搭載されることがある。このような場合、各フレームに表示される画像について、当該N個の記録領域が、当該フレームに表示される画像に対応する画像データを一時的に格納するために循環的に、ラップアラウンドで用いられる(特開2014-203102号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
一の観点では、表示ドライバが、各フレームに表示される画像の1ラインの画像データを格納するように構成された複数の記憶領域を備えるメモリと、メモリの複数の記憶領域のうち、画像データの格納に用いられる使用記憶領域の数を、各フレームに表示される画像の垂直解像度に応じて調節する制御回路部とを具備している。制御回路部は、各フレームに表示される画像の各ラインの画像データを、固定された順序で循環的に使用記憶領域に格納するようにメモリを制御する。
【0006】
他の観点では、表示ドライバが、各フレームに表示される画像の1ラインの画像データを格納するように構成された複数の記憶領域を備えるメモリと、レジスタ値を格納するレジスタ回路と、メモリの複数の記憶領域のうち、画像データの格納に用いられる使用記憶領域の数を、該レジスタ値に応じて調節するように構成された制御回路部とを具備する。制御回路部は、各フレームに表示される画像の各ラインの画像データを、固定された順序で循環的に使用記憶領域に格納するようにメモリを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像データを記憶するメモリの構成及び動作の一例を示す図である。
【
図2】
図1のメモリを搭載する表示ドライバの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】一実施形態の表示ドライバ及びこれを備える表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】メモリの制御に関連する回路部分の構成を示すブロック図である。
【
図6】Yアドレス最大値生成回路の構成を示すブロック図である。
【
図8】表示ドライバの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】Yアドレス最大値生成回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付図面を参照しながら、一実施形態の表示ドライバ及び表示装置を説明する。なお、同一の構成要素を、同一の参照番号で参照することがある。また、複数の同一の構成要素を区別する場合には、添字が参照番号に付されることがある。
【0009】
まず、各フレームに表示される画像の全てのラインに対応する画像データを記憶するには満たない容量のメモリしか搭載していない表示ドライバにおける、当該メモリへの画像データの書き込み、及び、当該メモリからの画像データの読み出しについて説明する。一例として、各フレームに表示される画像の垂直解像度がMラインである場合において、
図1に図示されているように、それぞれが1ラインの画像データを記憶する容量を有するN個の記憶領域101を備えるメモリ100が表示ドライバに搭載されている場合について説明する。なお、
図1には、Mが1920であり、Nが58である例が図示されている。N個の記憶領域101は、当該フレームに表示される画像の画像データを格納するために循環的に用いられる。
【0010】
表示ドライバは、回路規模やコストに対する制約が強いことから、メモリ100へのアクセス制御が簡便であるように設計される。このため、各フレームについて、メモリ100のN個の記憶領域への画像データの書き込み順序が固定されることがある。
図1の例では、各フレームに表示される画像の最初のライン(ライン#1)の画像データは記憶領域101
1に書き込まれ、2番目のラインの画像データは記憶領域101
2に書き込まれる。以下同様に、第3番目~第58番目のラインの画像データは、記憶領域101
3~101
58に順次に書き込まれる。続いて、第59番目~第106番目のラインの画像データは、それぞれ、記憶領域101
1~101
58に順次に書き込まれる。残りのラインの画像データについても同様である。各記憶領域101は、各フレームに表示される画像の複数のラインの画像データの格納に用いられ得る。このような動作は、各フレームの開始後にメモリ100において画像データを書き込むべき記憶領域101の選択に用いられる書き込みアドレスをリセットする(初期値に設定する)ことで容易に実現できる。画像データの読み出し及び読み出した画像データに応じた表示パネルの駆動は、画像データの書き込みと並行して行われる。
【0011】
N個の記憶領域101が各フレームに表示される画像の画像データの格納のために循環的に用いられる場合、各記憶領域101に新たな画像データを書き込むタイミングは、当該記憶領域101に従前に記憶されていた画像データが読み出され、対応するラインの画素回路の駆動に用いられた後に設定される。そうでなければ、画像データが不適切に上書きされ、不適正な画像が表示パネルに表示され得る。
【0012】
図2は、メモリ100が58個の記憶領域101
1~101
58を有しており、各フレームに表示される画像の垂直解像度Mが1920である場合において、画像データの書き込みタイミングが不適正に設定されている例を示している。“Ext_Vsync”は、当該表示ドライバに画像データを供給するホストにおいて生成される垂直同期信号を示しており、“Disp_Vsync”は、当該表示ドライバにおいて生成される垂直同期信号を示している。
【0013】
ホストにおいて垂直同期信号Ext_Vsyncがアサートされ、第kフレームに表示される画像の画像データ(以下では、単に、「第kフレームの画像データ」ということがある。)がホストから表示ドライバに供給されると、第kフレームの画像データがメモリ100に順次に書き込まれる。ここで、
図2の“書き込み画像データ”の欄の記号“#1”~“#1920”は、それぞれ、ライン#1~#1920の画像データを示しており、“画像データ書き込みアドレス”の欄の記号“#1”~“#58”は、画像データが書き込まれる記憶領域101を示しており、それぞれ、画像データが記憶領域101
1~101
58に書き込まれることを示している。
【0014】
画像データの書き込み先は、記憶領域1011~10158が循環的に用いられるように選択される。詳細には、ライン#1~#58の画像データは、それぞれ、記憶領域1011~10158に書き込まれ、ライン#59~#116の画像データは、それぞれ、記憶領域1011~10158に書き込まれる。残りのラインの画像データも、同様に書き込まれる。
【0015】
ここで、1920を58で割った剰余は6であり、各フレームに表示される画像の最後の6ラインの画像データ(ライン#1915~#1920の画像データ)は、それぞれ、記憶領域101
1~101
6に格納される。
図1に図示されているように、各フレームに表示される画像の最後のライン#1920の画像データは、記憶領域101
6に格納される。
【0016】
図2に戻り、引き続いて垂直同期信号Ext_Vsyncが再度アサートされると、第k+1フレームの画像データがホストから表示ドライバに供給される。供給された第k+1フレームの画像データは、メモリ100に順次に書き込まれる。第kフレームと同様に、第k+1フレームのライン#1~#58の画像データは、それぞれ、記憶領域101
1~101
58に書き込まれる。
【0017】
仮に、この第k+1フレームの画像データのメモリ100への書き込みの開始が早すぎると、第kフレームに表示される画像の最後のライン及びその近傍のラインの画像データは、読み出しが完了する前に上書きされてしまう。
図2の例では、第kフレームに表示される画像の最後の6ラインの画像データは、それぞれ、記憶領域101
1~101
6に書き込まれる。一方で、第k+1フレームに表示される画像の最初の6ラインの画像データも、記憶領域101
1~101
6に書き込まれる。これは、各フレームに表示される画像のライン#1~#6の画像データの書き込みを、直前のフレームに表示される画像の最後の6ライン#1915~#1920の画像データの読み出しの後に実行する必要があるという制約があることを意味している。
【0018】
画像データの格納に用いられる記憶領域101の数を垂直解像度に応じて調節することで、上記のような書き込みタイミング及び読み出しタイミングの設定の制約を緩和できる。具体的には、各フレームの画像データの書き込みを開始するタイミングを、前フレームの画像データの読み出しが完了するタイミングよりも早めることができる。
【0019】
図3に示す一実施形態では、表示装置10は、表示パネル1とタッチコントローラ内蔵表示ドライバ2とを備えており、ホスト3から受け取った画像データ4に対応する画像を表示パネル1に表示するように構成されている。表示パネル1としては、例えば、液晶表示パネルやOLED(organic light emitting diode)表示パネルが使用され得る。なお、以下では、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2を、単に、「表示ドライバ2」と表記する。
【0020】
表示パネル1は、表示領域5とGIP回路6とを備えている。
【0021】
表示領域5には、複数のソース線(信号線)及び複数のゲート線(走査線)が設けられており(いずれも図示されない)、ソース線とゲート線とが交差する位置に画素回路が設けられている。各画素回路は、対応するソース線及びゲート線に接続されている。画像が表示される場合、ゲート線が順次に選択される。選択されたゲート線に接続された画素回路に、画像データに記述された階調値に応じて生成された駆動電圧がソース線を介して書き込まれる。これにより、表示領域5の各画素回路が階調値に応じて駆動され、画像が表示領域5に表示される。
【0022】
GIP回路6は、表示ドライバ2から受け取ったゲート制御信号7に応じて表示領域5に設けられたゲート線を駆動する。
【0023】
本実施形態では、表示パネル1には、タッチ検出(表示パネル1への導電体の接触の検出)に用いられるタッチ検出電極が設けられる。自己容量方式によるタッチ検出が行われる場合、タッチ検出電極のそれぞれの自己容量が検出され、検出された自己容量に基づいてタッチ検出が行われる。相互容量方式によるタッチ検出が行われる場合、表示パネル1に駆動電極が設けられ、駆動電極とタッチ検出電極との間に形成される相互容量が検出され、検出された相互容量に基づいてタッチ検出が行われる。なお、表示パネル1とは別に、タッチ検出電極が形成されたタッチパネルが用意され、該タッチパネルが表示パネル1に重ねられてもよい。
【0024】
表示ドライバ2は、タッチコントローラ回路8と、表示ドライバ回路9とを備えている。一実施形態では、タッチコントローラ回路8と表示ドライバ回路9とが同一のチップに集積化されてもよい。タッチコントローラ回路8と表示ドライバ回路9とは、別々のチップに集積化されてもよい。
【0025】
タッチコントローラ回路8は、表示パネル1(又は、表示パネルに重ねられたタッチパネル)に設けられたタッチ検出電極の静電容量、具体的には、タッチ検出電極の自己容量、及び/又は、駆動電極とタッチ検出電極との間に形成される相互容量に基づいてタッチ検出を行う。
【0026】
表示ドライバ回路9は、システムインターフェース11と、メモリ12と、ソースドライバ回路13と、階調電圧生成回路14と、パネルインターフェース回路15と、電源回路16と、発振回路17と、タイミングジェネレータ18と、レジスタ回路19とを備えている。
【0027】
システムインターフェース11は、ホスト3と通信し、表示ドライバ2の制御に用いられる様々なデータをホスト3と交換する。具体的には、システムインターフェース11は、ホスト3から画像データ4を受け取り、受け取った画像データ4をメモリ12に転送する。また、システムインターフェース11は、ホスト3から表示ドライバ2を制御するための様々な制御データを受け取る。制御データは、表示ドライバ2を制御するためのコマンドや、レジスタ回路19に保持すべきレジスタ値を含んでいる。本実施形態では、レジスタ回路19に保持されるレジスタ値が、表示パネル1の垂直解像度に対応するレジスタ値を含んでいる。また、制御データは、表示ドライバ2における垂直同期期間の開始を指示する垂直同期パケット、水平同期期間の開始を指示する水平同期パケットを含んでいる。
【0028】
メモリ12は、システムインターフェース11から画像データ4を受け取って一時的に格納する。メモリ12に格納された画像データ4は、適宜のタイミングで読み出されてソースドライバ回路13に供給され、表示パネル1の駆動に用いられる。
【0029】
ソースドライバ回路13は、メモリ12から受け取った画像データに応じて表示パネル1の表示領域5のソース線を駆動する駆動回路部として動作する。詳細には、ソースドライバ回路13は、階調電圧生成回路14から画像データの可能な階調値にそれぞれに対応する電圧レベルを有する階調電圧を受け取り、受け取った階調電圧を用いて画像データに対してデジタル-アナログ変換を行い、各ソース線に供給すべき駆動電圧を生成する。生成された駆動電圧は、ソース線を介して表示領域5の各画素回路に供給され、これにより、表示パネル1の各画素回路が駆動される。
【0030】
階調電圧生成回路14は、ソースドライバ回路13におけるデジタル-アナログ変換に用いられる階調電圧を生成し、ソースドライバ回路13に供給する。
【0031】
パネルインターフェース回路15は、ホスト3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号を生成し、生成したゲート制御信号を表示パネル1のGIP回路6に供給する。
【0032】
電源回路16は、ソースドライバ回路13とパネルインターフェース回路15に電源電圧を供給する。
【0033】
発振回路17は、表示ドライバ2に含まれる回路群に、クロック信号を供給する。
図3には、システムインターフェース11に供給されるドットクロックのみが矢印で示されている。
【0034】
タイミングジェネレータ18は、表示ドライバ2に含まれる回路群(例えば、ソースドライバ回路13及びパネルインターフェース回路15、電源回路16)のタイミング制御を行う。本実施形態では、タイミングジェネレータ18は、メモリ12の制御(例えば、書き込みアドレス及び読み出しアドレスの生成)を行う制御回路部の機能も有している。
【0035】
レジスタ回路19は、表示ドライバ2の制御に用いられるコマンドやレジスタ値を保持する。ホスト3から受け取った制御データに含まれるコマンドやレジスタ値は、レジスタ回路19に格納される。
【0036】
図4は、メモリ12の構成を概略的に示す。本実施形態では、メモリ12は、N個の記憶領域20
1~20
Nを備えている。各記憶領域20は、各フレームに表示される画像の1ラインの画像データを格納する容量を有するラインメモリとして構成されており、よって、全体では、メモリ12は、Nラインの画像データを格納する容量を有している。ただし、記憶領域20の数Nは、各フレームに表示される画像の垂直解像度Mよりも小さい。メモリ12は、各フレームに表示される画像の全てのラインに対応する画像データを格納するには満たない容量しか有していない。
【0037】
ただし、後に詳細に説明するように、本実施形態では、N個の記憶領域201~20Nの全てが画像データの格納に用いられるとは限られない。本実施形態では、各フレームに表示される画像の垂直解像度M(各フレームに表示される画像のライン数)に応じて、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数が変更される。以下では、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数を、N_inuseと記載することにする。N_inuseは、1以上N以下の整数である。
【0038】
画像データの格納に用いられる記憶領域20の数がN_inuseである場合、N個の記憶領域20のうち記憶領域201~20N_inuseが、各フレームに表示される画像の画像データの格納に用いられる。各フレームに表示される画像の各ラインの画像データは、システムインターフェース11からメモリ12に順次に転送され、記憶領域201~20N_inuseに循環的に、ラップアラウンドで格納される。
【0039】
詳細には、各フレームに表示される画像の最初のライン#1の画像データは、記憶領域201に格納される。更に、2番目のライン#2の画像データは、記憶領域202に格納され、3番目のライン#3の画像データは、記憶領域203に格納される。同様に、ライン#4~ライン#N_inuseの画像データは、それぞれ、記憶領域204~20N_inuseに格納される。更に、ライン#(N_inuse+1)~#(2×N_inuse)の画像データは、それぞれ、記憶領域201~20N_inuseに格納され、ライン#(2×N_inuse+1)~#(3×N_inuse)の画像データは、それぞれ、記憶領域201~20N_inuseに格納される。残りのラインの画像データについても同様である。一般に、i番目のライン#iの画像データは、iがN_inuseで割り切れる場合には記憶領域20N_inuseに格納され、割り切れない場合には、iをN_inuseで割ったときの剰余をRiとして、記憶領域20Riに格納される。
【0040】
図5は、表示ドライバ2のうち、メモリ12の制御に関連する回路部分の構成を示す。システムインターフェース11は、ホスト3から受け取った画像データ4をメモリ12に転送するデータ制御回路11aを有している。タイミングジェネレータ18は、メモリ12の書き込みアドレス及び読み出しアドレスを制御するアドレス制御回路18aを備えている。
【0041】
アドレス制御回路18aは、メモリ12の書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readを生成する。書き込みアドレスADR_writeは、XアドレスとYアドレスを含んでいる。ここで、書き込みアドレスADR_writeのYアドレスは、メモリ12に含まれるN個の記憶領域20のうち画像データを書き込むべき記憶領域20を選択するアドレスであり、Xアドレスは、選択された記憶領域20のどのメモリセルに画像データのビットを書き込むかを指定するアドレスである。読み出しアドレスADR_readも同様に、XアドレスとYアドレスを含んでいる。読み出しアドレスADR_readのYアドレスは、メモリ12に含まれるN個の記憶領域20のうち画像データを読み出すべき記憶領域20を選択するアドレスであり、Xアドレスは、選択された記憶領域20のどのメモリセルから画像データのビットを読み出すかを指定するアドレスである。
【0042】
本実施形態では、アドレス制御回路18aは、Xアドレス制御回路21と、Yアドレス最大値生成回路22と、Yアドレス制御回路23と、アドレス供給回路24とを備えている。
【0043】
Xアドレス制御回路21は、書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readのXアドレスを生成する。Xアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_xmaxがレジスタ回路19に格納されており、Xアドレス制御回路21は、パラメータ値set_xmax以下の範囲で、書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readのXアドレスを決定する。上述のように、Xアドレスは、選択された記憶領域20のどのメモリセルに画像データのビットを書き込むかを指定する、又は、選択された記憶領域20のどのメモリセルから画像データのビットを読み出すかを指定するアドレスなので、結局、Xアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_xmaxは、各記憶領域20について、画像データの格納に用いられるメモリセルを指定するために用いられることになる。
【0044】
Yアドレス最大値生成回路22は、Yアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを生成する。上述のように、Yアドレスは、N個の記憶領域20のうち画像データを書き込むべき記憶領域20を選択する、又は、画像データを読み出すべき記憶領域20を選択するアドレスなので、結局、Yアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxは、N個の記憶領域20のうち画像データの格納に用いられる記憶領域の数N_inuseを設定するために用いられることになる。
【0045】
Yアドレス制御回路23は、書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readのYアドレスを生成する。Yアドレス制御回路23は、Yアドレス最大値生成回路22から受け取ったパラメータ値set_ymax以下の範囲で、書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readのYアドレスを決定する。
【0046】
アドレス供給回路24は、書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readをメモリ12に供給する。メモリ12は、システムインターフェース11から受け取った画像データを書き込みアドレスADR_writeにより指定された書き込み先に書き込み、また、読み出しアドレスADR_readにより指定された読み出し元から読み出した画像データをソースドライバ回路13に供給する。
【0047】
図6は、一実施形態におけるYアドレス最大値生成回路22の構成を示す。本実施形態では、レジスタ回路19にレジスタ値set_valueが格納されており、Yアドレス最大値生成回路22は、レジスタ値set_valueに応じてYアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを生成する。レジスタ値set_valueは、表示パネル1に各フレームに表示される画像の垂直解像度Mに対応づけられた値に設定されている。よって、Yアドレス最大値生成回路22は、垂直解像度Mに応じてYアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを生成することになる。
【0048】
ここで、パラメータ値set_ymaxは、N個の記憶領域20のうち画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを指定しているので、本実施形態では、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseが、垂直解像度Mに応じて決定されることになる。後に詳細に議論するように、このような動作は、画像データの書き込みタイミングと読み出しタイミングの制約を緩和するために有効である。
【0049】
図5の構成では、Yアドレス最大値生成回路22は、レジスタ値set_valueに応じてYアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを選択するセレクタ31を備えている。一実施形態では、レジスタ値set_valueが2ビットであり、セレクタ31は、レジスタ値set_valueに応じてパラメータ値set_ymaxを、値N、N-1、N-2、N-3のうちから選択する。ここで、Nは、メモリ12に含まれている記憶領域20の数である。よって、Yアドレス最大値生成回路22は、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数を、レジスタ値set_valueに応じてN、N-1、N-2、N-3のうちから選択することになる。
【0050】
一実施形態では、レジスタ値set_valueが、それぞれ、値“0”、“1”、“2”、“3”である場合、セレクタ31は、パラメータ値set_ymaxを、それぞれ、値N、N-1、N-2、N-3に設定する。Yアドレス最大値生成回路22によって決定されたパラメータ値set_ymaxは、Yアドレス制御回路23に供給され、Yアドレス制御回路23における書き込みアドレスADR_write及び読み出しアドレスADR_readのYアドレスの生成に用いられる。
【0051】
Yアドレス最大値生成回路22のセレクタ31に入力される値N、N-1、N-2及びN-3は、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数の候補となる数であることに留意されたい。画像データの格納に用いられる記憶領域20の数の候補となる数は、値N、N-1、N-2及びN-3に限定されない。しかしながら、タッチ検出期間を確保するために、基本的には、なるべく多い数の記憶領域20が画像データの格納に用いられることを考慮すると、一実施形態では、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数の候補、即ち、セレクタ31に入力される値は、N-m以上N以下の整数である。mは、1以上の整数である。これにより、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数がN-m以上N以下の整数から選択され、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数を可能な限り多くするという要求に対応することができる。
【0052】
続いて、本実施形態の表示装置10の動作について説明する。一例として、表示パネル1の各フレームに表示される画像の垂直解像度Mが1920ラインであり、メモリ12に含まれる記憶領域20の数Nが、58である場合について説明する。この場合、Nは、58であり、よって、セレクタ31は、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数を、58、57、56、55のうちから選択することになる。
【0053】
各フレームに表示される画像の垂直解像度Mを画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseで除算して得られる剰余を適切に設定することで、画像データの書き込みタイミングと読み出しタイミングの制約を緩和できる。
【0054】
上記のように、各フレームに表示される画像の垂直解像度Mが1920であり、58個の全ての記憶領域20を画像データの格納に用いる場合(即ち、N=N_inuse=58である場合)、垂直解像度Mを画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseで除算して得られる剰余は6である。この場合、各フレームに表示される画像の最後の6ラインの画像データ(ライン#1915~#1920の画像データ)が、各フレームに表示される画像の最初の6ラインの画像データ(ライン#1~#6の画像データ)が格納される記憶領域201~206に格納される。このような場合、各フレームに表示される画像の最初の6ラインの画像データを書き込む動作は、直前のフレームに表示された画像の最後の6ラインの画像データを読み出す動作よりも後に開始する必要がある。
【0055】
一方、58個の記憶領域20のうち57個の記憶領域201~2057を各フレームに表示される画像の画像データの格納に用いるように設定した場合、即ち、N_inuse=57である場合、各フレームに表示される画像の最初のラインの画像データを書き込む動作を早めることができる。このような設定は、レジスタ値set_valueを“1”に設定してセレクタ31にパラメータ値set_ymaxとして値57(=N-1)を選択させることで可能である。
【0056】
図7に図示されているように、各フレームに表示される画像の垂直解像度M(=1920)を画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuse(=57)で除算して得られる剰余は39である。よって、各フレームに表示される画像のライン#1920の画像データは、記憶領域20
39に書き込まれる。このような場合、各フレームに表示される画像の最初のラインの画像データを書き込む動作を、直前のフレームに表示された画像の最後のライン及びその近傍のラインの画像データを読み出す動作よりも早く開始することが許容される。
【0057】
図8のタイミングチャートにおいて、“Ext_Vsync”は、ホスト3において生成される垂直同期信号を示しており、“Disp_Vsync”は、表示ドライバ2において生成される垂直同期信号を示している。垂直同期信号Ext_Vsyncは、ホスト3のフレーム(垂直同期期間)を規定する信号であり、垂直同期信号Disp_Vsyncは、表示ドライバ2のフレームを規定する信号である。ホスト3は、ホスト3の各フレームにおいて当該フレームに表示される画像の画像データを表示ドライバ2に転送する。表示ドライバ2は、表示ドライバ2の各フレームにおいて、ホスト3から受け取った画像データに応じて画像を表示する。表示ドライバ2において生成される垂直同期信号Disp_Vsyncは、ホスト3において生成される垂直同期信号Ext_Vsyncと同期しているが、垂直同期信号Disp_Vsyncがアサートされる(
図8では、ローレベルになる)タイミングは、垂直同期信号Ext_Vsyncがアサートされるタイミングから遅れている。
【0058】
ホスト3は、ホスト3の各フレームにおいて、表示パネル1に表示すべき画像に対応する画像データを表示ドライバ2に供給する。
図8には、ホスト3が、第kフレーム及び第k+1フレームに表示すべき画像の画像データを供給する動作が図示されている。
【0059】
一方、表示ドライバ2は、表示ドライバ2の各フレームにおいて、ホスト3から供給された画像データに応じて表示パネル1に画像を表示すると共に、表示パネル1に設けられたタッチ検出電極を用いてタッチ検出を行う。
図8に図示されている動作では、表示ドライバ2の各フレームに、3つの表示期間と2つのタッチ検出期間が設けられる。表示期間とは、表示パネル1の表示領域5の画素回路がソースドライバ回路13によって駆動される期間であり、タッチ検出期間とは、タッチコントローラ回路8によってタッチ検出が行われる期間である。各タッチ検出期間は、隣接する2つの表示期間の間に設けられる。
【0060】
詳細には、ホスト3において垂直同期信号Ext_Vsyncがアサートされ、第kフレームの画像の画像データがホスト3から表示ドライバ2に供給されると、供給された第kフレームの画像の画像データがメモリ12に順次に書き込まれる。ここで、
図8の“書き込み画像データ”の欄の記号“#1”~“#1920”は、それぞれ、ライン#1~#1920の画像データを示している。また、“画像データ書き込みアドレス”の欄の記号“#1”~“#57”は、画像データが書き込まれる記憶領域20を示しており、それぞれ、画像データが記憶領域20
1~20
57に書き込まれることを示している。
【0061】
画像データの書き込み先は、書き込みアドレスADR_writeにより、記憶領域201~2057が循環的に用いられるように選択される。詳細には、ライン#1~#57の画像データは、それぞれ、記憶領域201~2057に書き込まれ、ライン#58~#114の画像データは、それぞれ、記憶領域201~2057に書き込まれる。残りのラインの画像データも、同様に書き込まれる。一般に、i番目のライン#iの画像データは、iが57で割り切れる場合には記憶領域2057に格納され、割り切れない場合には、iを57で割ったときの剰余をRiとして、記憶領域20Riに格納される。
【0062】
ここで、1920を57で割ったときの剰余が39であることから理解されるように、各フレームに表示される画像の最後の39ラインの画像データ(ライン#1882~#1920の画像データ)は、それぞれ、記憶領域20
1~20
39に格納される。各フレームに表示される画像の最後のライン#1920の画像データは、記憶領域20
39に格納される(
図7参照)。
【0063】
画像データの書き込みに並行して、メモリ12の記憶領域201~2057に格納された、第kフレームのライン#1~#1920の画像データが順次に読み出され、読み出された画像データに応じて表示パネル1が駆動される。画像データの読み出し元は、読み出しアドレスADR_readによって指定される。i番目のライン#iの画像データは、iが57で割り切れる場合には記憶領域2057から読み出され、割り切れない場合には、iを57で割ったときの剰余をRiとして、記憶領域20Riから読み出される。
【0064】
ホスト3において垂直同期信号Ext_Vsyncが再度アサートされると、第k+1フレームの画像データが表示ドライバ2に供給される。供給された第k+1フレームの画像データは、メモリ12に順次に書き込まれる。第kフレームと同様に、第k+1フレームのライン#1~#57の画像データは、それぞれ、記憶領域201~2057に書き込まれる。
【0065】
ここで、
図8の動作では、記憶領域20
1に格納されている、第kフレームに表示される画像のライン#1882の画像データの読み出しが、最後のライン#1920の画像データの読み出しよりも相当に前に行われる。したがって、第k+1フレームに表示される画像の最初のライン#1の画像データの記憶領域20
1への書き込みは、第kフレームに表示される画像の最後のライン#1920の画像データの記憶領域20
39からの読み出しよりも相当に早いタイミングで行うことが許容される。
【0066】
上述されているように、本実施形態の表示ドライバ2は、レジスタ回路19に格納されているレジスタ値set_valueにより、Yアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを選択可能に、即ち、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを選択可能に構成されている。このような構成は、表示パネル1に表示される画像の垂直解像度の切り換えに応じて画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを適正に選択し、これにより、画像データの書き込みタイミングと読み出しタイミングの制約を緩和することを可能にしている。
【0067】
例えば、垂直解像度を切り換える場合、ホスト3は、システムインターフェース11を介して、レジスタ回路19に格納されているレジスタ値set_valueを、所望の垂直解像度に合わせて書き換える。
【0068】
画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseは、例えば、下記の手順で決定してもよい。
【0069】
まず、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補が複数選択される。この候補を、以下では、N#1~N#pと記載する。ここで、pは、2以上の整数である。候補N#1~N#pは、互いに異なる整数であり、候補N#1~N#pのうちの1つは、メモリ12に含まれる記憶領域20の数Nに一致する。
【0070】
画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補N#1~N#pは、どの候補が画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択されてもタッチ検出期間を確保することが可能であるように選択される。タッチ検出期間の確保の観点から、候補N#1~N#pは、なるべく大きい数に選択される。一実施形態では、候補N#1~N#pの値は、それぞれ、N-p+1~Nである。
【0071】
候補N#1~N#pのそれぞれについて、垂直解像度Mを当該候補N#iで除算したときの剰余が算出される。ここで、iは、1以上p以下の整数である。ここで、垂直解像度MをN#iで除算したときの剰余を、R#iと記載する。
【0072】
垂直解像度Mが、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseで割り切れる場合、即ち、MをN_inuseで除算して得られる剰余が0である場合、各フレームに表示される画像の最後のライン#Mの画像データが、使用される最後の記憶領域20N_inuseに格納されるので、各フレームにおいて、各フレームに表示される画像の画像データを書き込む動作を早く開始することができる。
【0073】
よって、あるiについて、垂直解像度MがN#iで割り切れる場合、候補N#iが画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。垂直解像度Mが複数の候補N#iで割り切れる場合、当該複数の候補N#iのうち最大のものが画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択されてもよい。
【0074】
一方、垂直解像度Mが、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseで割り切れない場合には、剰余が大きいほど、各フレームにおける画像データの書き込みタイミングを早めることができる。そこで、垂直解像度MをN#iで除算したときの剰余R#iが最大であるような候補N#iが画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。
【0075】
第1の例として、垂直解像度Mが1920ラインであり、メモリ12に含まれる記憶領域20の数Nが58であり、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補の数pが4である場合について考える。ここで、4つの候補N#1、N#2、N#3、N#4は、それぞれ、58(=N)、57(=N-1)、56(=N-2)、55(=N-3)であるとする。
【0076】
垂直解像度Mをそれぞれ候補N
#1、N
#2、N
#3、N
#4で除算したときの剰余R
#1、R
#2、R
#3、R
#4は、それぞれ、6、39、16、50であり、よって、剰余R
#4が最大である。この場合、候補N
#4(=55)が画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。レジスタ回路19に格納されているレジスタ値set_valueは、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseが候補N
#4になるように設定される。
図6に図示されているYアドレス最大値生成回路22が用いられる場合には、レジスタ値set_valueを“3”に設定することで、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを55に設定することができる。レジスタ回路19へのレジスタ値set_valueの設定は、例えば、ホスト3によって行われてもよい。
【0077】
第2の例として、垂直解像度が2280ラインであり、メモリ12に含まれる記憶領域20の数Nが58であり、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補の数pが4である場合について考える。この場合も、4つの候補N#1、N#2、N#3、N#4は、それぞれ、58、57、56、55であるとする。
【0078】
第2の例では、垂直解像度Mをそれぞれ候補N
#1、N
#2、N
#3、N
#4で除算したときの剰余R
#1、R
#2、R
#3、R
#4は、それぞれ、18、0、40、25である。垂直解像度M(=2280)は、候補N
#2(=57)で割り切れる。この場合、候補N
#2が画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。レジスタ回路19に格納されているレジスタ値set_valueは、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseがN
#2になるように設定される。
図6に図示されているYアドレス最大値生成回路22が用いられる場合には、レジスタ値set_valueを“1”に設定することで、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを57に設定することができる。レジスタ回路19へのレジスタ値set_valueの設定は、例えば、ホスト3によって行われてもよい。
【0079】
上記のような手順による画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの選択は、表示ドライバ2のハードウェア、例えば、Yアドレス最大値生成回路によって行われてもよい。
【0080】
図9は、垂直解像度Mに基づいて画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの選択を行うように構成されたYアドレス最大値生成回路22Aの構成の一例を示す。Yアドレス最大値生成回路22Aが用いられる場合、各フレームに表示される画像の垂直解像度Mを記述する垂直解像度パラメータがレジスタ回路19に格納され、該垂直解像度パラメータが、Yアドレス最大値生成回路22Aに供給される。Yアドレス最大値生成回路22Aは、垂直解像度パラメータから、Yアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymaxを生成する。画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseは、パラメータ値set_ymaxにより決定されるので、結果として、Yアドレス最大値生成回路22Aは、垂直解像度Mから画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを選択する回路として動作することになる。
【0081】
Yアドレス最大値生成回路22Aは、剰余計算回路321~324と、使用ライン数選択回路33とを備えている。Yアドレス最大値生成回路22Aは、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補が、N、N-1、N-2、N-3である場合に対応している。
【0082】
剰余計算回路321~324には、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの候補が設定されている。一実施形態では、剰余計算回路321~324に、N_inuseの候補としてN、N-1、N-2、N-3がそれぞれ設定される。
【0083】
剰余計算回路321~324のそれぞれは、垂直解像度パラメータに示されている垂直解像度Mを、それぞれに設定された候補の値で除算したときの剰余を算出する。詳細には、剰余計算回路321は、MをNで除算したときの剰余を算出し、剰余計算回路322は、MをN-1で除算したときの剰余を算出する。同様に、剰余計算回路323は、MをN-2で除算したときの剰余を算出し、剰余計算回路324は、MをN-3で除算したときの剰余を算出する。
【0084】
使用ライン数選択回路33は、剰余計算回路321~324によって算出された剰余に基づいて、Yアドレスの最大値を指定するパラメータ値set_ymax、即ち、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを選択する。使用ライン数選択回路33による画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseの選択の手順は、上述されているとおりである。垂直解像度Mが、N、N-1、N-2、N-3のいずれかの値で割り切れる場合、その値が、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。垂直解像度Mが、N、N-1、N-2、N-3のいずれかの値でも割り切れない場合、N、N-1、N-2、N-3のうち剰余を最大にする値が、画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseとして選択される。使用ライン数選択回路33は、選択された画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseに対応するパラメータ値set_ymaxを生成する。
【0085】
Yアドレス最大値生成回路22Aを用いることにより、表示ドライバ2自身に、垂直解像度Mに応じて画像データの格納に用いられる記憶領域20の数N_inuseを適正に選択する機能を与えることができる。
【0086】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0087】
10 :表示装置
1 :表示パネル
2 :タッチコントローラ内蔵表示ドライバ
3 :ホスト
4 :画像データ
5 :表示領域
6 :GIP回路
7 :ゲート制御信号
8 :タッチコントローラ回路
9 :表示ドライバ回路
11 :システムインターフェース
11a :データ制御回路
12 :メモリ
13 :ソースドライバ回路
14 :階調電圧生成回路
15 :パネルインターフェース回路
16 :電源回路
17 :発振回路
18 :タイミングジェネレータ
18a :アドレス制御回路
19 :レジスタ回路
201~20N:記憶領域
21 :Xアドレス制御回路
22、22A:Yアドレス最大値生成回路
23 :Yアドレス制御回路
24 :アドレス供給回路
31 :セレクタ
321~324:剰余計算回路
33 :使用ライン数選択回路
100 :メモリ
101 :記憶領域