(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】位相マスクおよび顕微鏡を較正するための方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
G02B21/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019114236
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】10 2018 115 001.6
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイヒェルクラウト トニ
(72)【発明者】
【氏名】ジーベンモルゲン ドクター イェルク
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501513(JP,A)
【文献】特表2018-513404(JP,A)
【文献】特表2016-507078(JP,A)
【文献】Zheng Zhang 外2名,Simple method for measuring phase modulation in liquid crystal televisions,OPTICAL ENGINEERING,1994年09月01日,Vol. 33, Issue 9,p. 3018-3022
【文献】H. Dammann 外1名,High-efficiency in-line multiple imaging by means of multiple phase holograms,OPTICS COMMUNICATIONS,1971年07月01日,Vol. 3, No. 5,p. 312-315
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を観察するための顕微鏡のビーム経路において、位相マスクを較正するための方法であって、
前記顕微鏡は、照明光を送出するための少なくとも1つの光源と、前記試料上に前記照明光を導くための少なくとも1つの顕微鏡対物レンズと、検出光を前記試料からカメラ上に導くための光学手段と、を備え、較正対象の前記位相マスクが、前記顕微鏡の前記ビーム経路中に配置され、
前記方法において、次の方法ステップ、
前記位相マスクが、グレーレベルの異なるパターンとともに連続的に駆動される、ステップであって、
セグメントの第1の部分量の第1のグレーレベルが、一定に維持され、セグメントの第2の部分量の第2のグレーレベルが、1つのパターンから次のパターンに変化する、ステップと、
前記ビーム経路中
の光の全強度の少なくとも一部分が、前記
グレーレベルの異なるパターンに関して前記位相マスクの下流で測定され
、測定強度の特性が、前記第2のグレーレベルに依存して取得される、ステップと、
前記第2のグレーレベルと前記位相マスクによって与えられた位相シフトとの間の関係が、前記特性から取得される、ステップと、
前記位相マスクの駆動が、グレーレベルと位相シフトとの間の取得された関係に基づいて較正される、ステップと
が実行され、
較正用
の測定のために、前記光源からの光が前記位相マスクに当てられ、
蛍光試料が、前記較正用
の測定に使用される、および/または、前記試料を保持するための対象物担体またはカバーグラスにおいて反射された光が、前記較正用
の測定に使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記位相マスクが、ピクセル列およびピクセル行を有する2D位相マスクであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記位相マスクが、空間光変調器であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記位相マスクが、ネマチック型空間光変調器であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記
グレーレベルの異なるパターンが、少なくとも1つの空間方向に周期的であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記
グレーレベルの異なるパターンが、ダマン格子を作製するためのパターンであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第2のグレーレベルが、前記位相マスクのダイナミックレンジ全体にわたって変化することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記較正用
の測定に使用される
前記照明光が、ビーム検出手段を介して前記カメラに導かれることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ビーム経路中の励起光を遮断するためのフィルタが、前記較正用
の測定のために除去されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
0次の回折光が、前記位相マスクの下流で空間フィルタを使用して遮断されることと、
前記ビーム経路の積分強度が、前記空間フィルタの下流で測定されることと、
前記第2のグレーレベルと前記位相シフトとの間の前記関係が、I=const*(1-cosφ)との比較によって取得されることと、
を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
0次の回折光のみが、前記較正のために測定され、前記第2のグレーレベルと前記位相シフトとの間の前記関係が、I=const*(1+cosφ)との比較によって取得される、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記位相マスクの前記較正用
の測定のためにのみ使用される、カメラが存在することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法であって、
実際の顕微鏡法測定にも使用されるカメラが、前記
ビーム経路中の光の強度を測定するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法であって、
前記顕微鏡が、レーザー走査顕微鏡、広視野顕微鏡、または光シート顕微鏡であることを特徴とする方法。
【請求項15】
試料を観察するための顕微鏡であって、
照明光を放射するための少なくとも1つの光源と、
前記試料上に前記照明光を導くための少なくとも1つの顕微鏡対物レンズと、
検出光を前記試料からカメラ上に導くための光学手段と、
励起ビーム経路中および/または検出ビーム経路中に配置された位相マスクと、
前記検出ビーム経路中の光を測定するための前記カメラと、
前記位相マスクおよび前記カメラを駆動し、前記カメラによって測定された光を評価するための制御/評価ユニットと
を含む、顕微鏡において、前記制御/評価ユニットが、
前記位相マスクを、グレーレベルの異なるパターンとともに連続的に駆動することであって、セグメントの第1の部分量の第1のグレーレベルが、一定に維持され、セグメントの第2の部分量の第2のグレーレベルが、1つのパターンから次のパターンに変化する、ことと、
前記検出ビーム経路中
の光の全強度の少なくとも一部分を、前記
グレーレベルの異なるパターンに関して前記位相マスクの下流で測定するための前記カメラを駆動することと、
前記第2のグレーレベルに依存し
た測定強度の特性を形成することと、
前記第2のグレーレベルと前記位相マスクによって与えられた位相シフトとの間の関係を前記特性から取得することと、
グレーレベルと位相シフトとの間の前記取得された関係に基づいて前記位相マスクの駆動を較正することと、
のために設定され、
較正用
の測定のための蛍光試料が、前記較正用
の測定のために存在し、および/または、前記試料を保持するための対象物担体またはカバーグラスが存在し、前記対象物担体または前記カバーグラスにおいて反射された光が、前記較正用
の測定に使用されることを特徴とする顕微鏡。
【請求項16】
請求項15に記載の顕微鏡であって、
前記位相マスクが、試料平面に光学的に共役な平面内に配置されることを特徴とする顕微鏡。
【請求項17】
請求項15に記載の顕微鏡であって、
前記位相マスクが、後方の対物レンズ瞳に光学的に共役な平面内に配置され、励起ビーム経路と前記検出ビーム経路の両方によって使用されることを特徴とする顕微鏡。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載の顕微鏡であって、
0次回折光を遮断するための絞りが、前記位相マスクの下流に存在することを特徴とする顕微鏡。
【請求項19】
請求項15から17のいずれか1項に記載の顕微鏡であって、
0よりも大きい回折次数の光を遮断するための絞りが存在することを特徴とする顕微鏡。
【請求項20】
請求項15から19のいずれか1項に記載の顕微鏡であって、
前記位相マスクが、ピクセル列およびピクセル行を有する2D位相マスクであることを特徴とする顕微鏡。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか1項に記載の顕微鏡であって、
前記位相マスクが、空間光変調器であることを特徴とする顕微鏡。
【請求項22】
請求項15から21のいずれか1項に記載の顕微鏡であって、
前記較正用
の測定に使用される照射光を前記カメラに導くための、ビーム偏向手段が存在することを特徴とする顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様では、本発明は、光学デバイス、特に顕微鏡のビーム経路において、位相マスク特にSLMを較正するための方法に関する。第2の態様では、本発明は、特に、本発明による方法を実行するのに適した顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
試料を観察するための一般的な顕微鏡は、次の構成要素、すなわち、照明光を放射するための少なくとも1つの光源と、試料上に照明光を導くための少なくとも1つの顕微鏡対物レンズおよび試料からの検出光をカメラ上に導くための光学手段と、ビーム経路中に配置された位相マスクと、検出ビーム経路中の光を測定するためのカメラと、位相マスクおよびカメラを制御し、カメラによって測定された光を評価するための制御/評価ユニットとを含む。
【0003】
顕微鏡法では、様々な使用領域において、構造化された照明が必要とされる。たとえば、光シート顕微鏡法は、薄いシートに似ている照明を必要とする。このことは、第1の横軸方向にできる限り薄く、第2の横軸方向に広く、光の伝搬方向にできる限り長い、光シートとして知られているものが、生成されるべきであることを意味する。このことを達成するために、たとえば、ベッセルビームが、干渉可能に重畳されてよい。加えて、拡張されさらに構造化された光シートを生成するための個々のベッセルビーム間の干渉効果を特に使用することが知られている。小さい2次極大値のみを有する試料中の立方体光シートをなし得る、sinc3ビームと呼ばれるものも知られている。
【0004】
位相マスク、特に空間光変調器(SLM)を使用するさらなる分野は、3次元体積が集光点を用いて走査される、レーザー走査顕微鏡法である。蛍光顕微鏡法では、試料の領域が、特定の技法で意図的に光学的に増白される。ここでは、増白するために使用される光の適切な空間的構造化が同様に必要である。構造化された照明の顕著な使用法は、点拡がり関数(PSF)が、目標とされる形状に形成される、超解像顕微鏡法として知られているものである。たとえば、STED法として知られているものにおいて照明用に使用される点拡がり関数は、ドーナツの形状を有する。
【0005】
構造化された照明の上述の例は、位相マスク、たとえば空間光変調器(SLM)を用いて実現されることが可能である。一般に、使用される液晶に関して異なる、2つの異なるタイプのSLMが存在する。ネマチック型SLMは、0から6πの連続的に設定可能な最大位相偏移を可能にするが、比較的時間がかかる。一般に、ネマチック型SLMは、約60Hzのフレームレートを有する。特別なネマチック型SLMは、500Hzまでのフレームレートを有することができる。ネマチック型SLMは、90パーセントを超える高い回折効率を達成するために使用されてよい。
【0006】
強誘電体型SLMは、位相偏移0を有する状態と位相偏移πを有する状態との間だけで切り替わることができる。強誘電体型SLMの利点は、その高速性である。4kHzまでのフレームレートが得られる可能性がある。しかし、回折効率は、約10パーセントと比較的低い。
【0007】
両タイプのSLMは、達成可能な位相偏移が、入射するレーザー光の波長に依存しているという共通点がある。
【0008】
ネマチック型SLMは、0から2πまでの連続的な位相偏移を有するように較正されるべきである。しかし、この位相偏移は、設計波長においてのみ設定されてよい。SLMが異なる波長の光を照射されるとすぐ、前記光に与えることができる位相偏移は、2πから偏移する。波長がより小さくなると、位相偏移は、より大きくなり、より大きい波長では、位相偏移は、減少する。
【0009】
この状況は、強誘電体型SLMでも同様である。ここでも、位相偏移πは、設計波長においてのみ達成される。設計波長から偏移する波長では、πから偏移する位相偏移が生成される。
【0010】
入手可能なSLMのこれらの特性は、上述の例の構造化された照明の生成に直接影響を及ぼす。前記ビームは、位相偏移が、たとえばベッセルビームおよびマシュー(Mathieu)ビームにおいて0から2πまで連続的に設定可能であるか、または、たとえば干渉可能に重畳されるベッセルビームもしくは干渉可能に重畳されるsinc3ビームの場合において正確にπであるときにのみ、最適に生成される可能性がある。
【0011】
SLMは、通常、制御/評価ユニット、通常はグレースケール画像をSLMが利用できるようにするPCを介して制御される。個々の画像点のグレーレベルは、SLM内で電圧に変換され、したがって、個々のSLMピクセルの位相偏移に対応する。たとえば、8ビットのビット深度がある場合、画像のグレーレベル0は、位相偏移0に対応してよく、グレーレベル255は、位相偏移2πに対応してよい。以上に説明されたように、SLMは、波長依存の位相偏移がそれに応じて較正されたときにのみ、最適に使用されることが可能である。このことは、たとえば、所望の位相偏移をもたらすそれぞれの電圧にグレーレベルを割り当てるSLMが表を利用可能にすることを意味する。
【0012】
会社Holoeyeは、SLMを較正するための測定準備について記載し、そこでは、レーザービームが2つの部分に分割され、これらの2つの部分ビーム束が、各場合において較正されるべきSLMの部分領域上に導かれる。両ビームは、カメラ上で再び重畳され、形成される縞模様の干渉パターンが記録される。2つのビームの相対位相を変化させ、したがって、カメラ上の干渉パターンをシフトさせるために、異なるグレーレベルが、SLMの2つの部分領域上に置かれる。カメラ上の最大干渉縞のシフトは、相対位相偏移に直接比例する。この較正方法では、SLMは、顕微鏡などの光学デバイスにしっかりと取り付けられる前に、所望の波長に関して較正される。後続の較正は、それぞれのデバイスからSLMを除去しなければ、これ以上この方法では可能とならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特に低い出費で実行される、光学デバイスにおける位相マスクを較正するための方法を特定することは、本発明の目的であると考えられてよい。加えて、内部に存在する位相マスクが高い出費なしで較正されることが可能である顕微鏡が作られることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法の手段と、請求項16の特徴を有する顕微鏡の手段とによって達成される。
【0015】
本発明による方法の有利な変形形態および本発明による顕微鏡の好ましい構成が、特に従属クレームおよび図に関連して以下に説明される。
【0016】
光学デバイスのビーム経路中の位相マスクを較正するための本発明による方法では、次の方法ステップが実行される。すなわち、位相マスクは、セグメントの第1の部分量の第1のグレーレベルが一定に維持され、セグメントの第2の部分量の第2のグレーレベルがパターンごとに変化する、グレーレベルの異なるパターンとともに連続的に制御され、位相マスクは、光学デバイスの光に露出され、ビーム経路中の光の全強度の少なくとも一部分が、異なるパターンに関して位相マスクの下流で測定され、第2のグレーレベルに依存した測定強度の特性が得られ、第2のグレーレベルと位相マスクによって与えられた位相シフトとの間の関係が、その特性から取得され、位相マスクを制御することが、グレーレベルと位相シフトとの間で取得された関係に基づいて較正される。
【0017】
上述のタイプの顕微鏡は、セグメントの第1の部分量の第1のグレーレベルが一定に維持され、セグメントの第2の部分量の第2のグレーレベルがパターンごとに変化する、グレーレベルの異なるパターンとともに連続的に位相マスクを制御し、異なるパターンに関して位相マスクの下流でビーム経路中の光の全強度の少なくとも一部分を測定するためのカメラを制御し、第2のグレーレベルに依存した測定強度の特性を形成し、第2のグレーレベルと位相マスクによって与えられた位相シフトとの間の関係をその特性から取得し、グレーレベルと位相シフトとの間で取得された関係に基づいて位相マスクの制御を較正するために設定される制御/評価ユニットを介して、本発明に従ってさらに開発される。
【0018】
本発明の意味の位相マスクは、対応するセグメントの制御に応じて変えられる規定の位相シフトを、伝搬または反射されるそれぞれの光に与える複数の制御可能なセグメントを有する光学装置を意味するものと理解される。原則として、セグメントが1つの空間方向にのみ分割された位相マスクが使用されてよい。位相マスクの1つの例は、縞模様のセグメントを有する位相マスクである。
【0019】
特定の選好によって、2次元構造を有する位相マスクが使用される。そのような位相マスクは、2D位相マスクと呼ばれる場合があり、特にピクセル列およびピクセル行を有するピクセル構造を有する場合がある。位相マスクの個々に設定可能または制御可能なセグメントは、したがって、個々のピクセルである。そのような2次元の位相マスクにおけるビーム操作の可能性は、特に様々である。
【0020】
原則として、強誘電体型SLMは、位相マスクとして使用されてよい。可変の設定オプションのために、ネマチック型空間光変調器(SLM)が一般に使用される。
【0021】
位相マスクを較正することは、位相マスクのそれぞれが制御されるセグメントの所望の位相偏移への、制御、たとえばデジタル制御値の規定の割当てが提供されるプロセスを指す。
【0022】
原則として、適切である光学デバイスは、位相マスクが、光に対する制御された規定の微小影響のために使用される、すべてのデバイスである。本発明による方法の使用の主な領域は、特に照明光も検出光も多種多様な方法で構造化される、顕微鏡である。
【0023】
たとえば、光学デバイスは、レーザー走査顕微鏡(LSM:laser scanning microscope)、広視野顕微鏡、または光シート顕微鏡であってよい。しかし、本発明による方法の使用の有利な可能性は、光学デバイスとして染料配色の微小操作用のフォトマニピュレータのためにも存在する。
【0024】
本説明の意味におけるグレーレベルという用語は、位相マスクの特定のセグメントに与えられる制御値を指す。特に、グレーレベルは、たとえば8ビットのビット幅を有するデジタル制御値であってよい。したがって、この値は、0から255の値を仮定することができる。制御することは、特定の制御値が特定のセグメントまたは特定のピクセルに与えられることを意味する。前記ピクセルは、それによって、このピクセルが伝搬または反射される光に特定の位相偏移を与える状態に置かれる。特定の制御値に対するこの位相偏移の範囲は、最初は明確でない。本発明による方法の目的は、この範囲を特定することである。
【0025】
グレーレベルのパターンは、使用される位相マスクの異なるセグメント、特にピクセルに関する制御値の特定の組合せを意味するものと理解される。
【0026】
セグメントの部分量は、原則として位相マスク上に要望通りに分布してよく、特に隣接している必要がない、セグメントの特定の部分集合を意味するものと理解される。
【0027】
本発明の説明に関する光学デバイスの光という用語は、光学デバイスの動作中に位相マスクによって操作される光を意味する。たとえば、顕微鏡の場合には、光は、試料に衝突する照明光を意味する。
【0028】
本発明によれば、この目的は、異なるパターンに関して位相マスクの下流でビーム経路中の光の全強度の少なくとも一部分を測定することである。このことは、特に、ビーム断面の一部分が強度に関して評価されることを意味する。特に、全強度の一部分は、少なくとも1つの回折次数、たとえば0次または1次の回折光の光であってよい。
【0029】
第2のグレーレベルに依存した測定強度の特性という用語は、値の対(設定された第2のグレーレベル、前記グレーレベルのために測定された強度)の全体を指す。
【0030】
特定の設定されたグレーレベルと前記グレーレベルによって実際に引き起こされた位相シフトとの間の実際の関係を特定することは、較正にとって必須である。この関係を知ることは、グレーレベルと位相シフトとの間で取得されたまさにその関係に基づいて位相マスクの制御を較正することを最終的に可能にする。
【0031】
本発明の重要な利点は、位相マスクが、原則として、それぞれの光学デバイス、すなわち特に顕微鏡内に取り付けられた状態で同様に較正される可能性があると見なされる場合がある。そのような後続の較正は、たとえば、顕微鏡が異なる温度で動作するとき、または、SLMの制御ユニット、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)が欠陥のために置き換えられなければならないとき、必要になる場合がある。SLMの経年劣化は、再較正が同様に必要になる場合があることの結果として、グレーレベルと位相偏移との間の最初の関係を変化させる可能性もある。これらの後続の較正は、それぞれの位相マスクを除去する必要なしに、本発明による方法を使用して、本発明による顕微鏡の場合に実行されてよい。この関連において本発明のさらに重要な利点は、さらに、再較正されるべき位相マスクが除去される必要がないので、光学デバイスのビーム経路中の複雑な調整が必要ないことである。
【0032】
位相マスクに与えられる利用パターンでは、原則として、多量の自由度がある。重要なことは、セグメントの第1のグループまたは部分量の制御が変化しないことと、セグメントの第2の部分量の制御がパターンごとに変化することである。
【0033】
原則として、パターンは、非周期的であってもよい。しかし、特定の選好によって、パターンは、位相マスクの平面において少なくとも1つの空間方向に周期的である。
【0034】
たとえば、グレーレベルの設定されたパターンは、ダマン格子を作製するためのパターンであってよい。
【0035】
特に本発明による方法の好ましい変形形態では、第2のグレーレベルが、位相マスクのダイナミックレンジ全体にわたって変化する。本発明につながった予備作業は、次いで、較正が、比較的簡単な数学的関係に基づいて実行されてよいことを示した。
【0036】
原則として、較正を目的として、較正用の測定に使用される照明光がカメラに導かれる、独立したビーム偏向手段が存在する場合がある。
【0037】
代替の変形形態では、特にレーザー走査顕微鏡または広視野顕微鏡において、特別な蛍光試料が、較正用の測定に使用されてよい。
【0038】
しかし、本発明による方法を実施するために、位相マスクが影響を及ぼした光が何らかの方法でカメラまたは検出器に到達する場合は、原則として、本発明の方法は十分である。本発明による方法の特に好ましい変形形態では、較正用の測定のために対象物担体において反射された光が、結果的に使用される。その際、較正測定の実行に必要な指標は、あまり複雑でない。
【0039】
便宜的に、較正用の測定では、検出ビーム経路中の励起光を遮断するために存在する場合がある任意のフィルタが、ビーム経路から除去される。本発明は、グレーレベルと位相シフトとの間の関係が、本発明による方法の特に好ましい変形形態において比較的容易に特定されてよいことを認識したが、位相マスクの下流で、0次の回折光が空間フィルタを使用して遮断され、続いて下流でビーム経路の積分強度が空間フィルタによって測定される。その際、第2のグレーレベルと位相シフトとの間の関係は、次式との比較によって取得することができる。
I=const*(1-cosφ)
【0040】
本発明による顕微鏡の対応する変形形態では、0次の回折光を遮断するための絞りが、位相マスクの下流に存在する。
【0041】
較正において0次の回折光のみが測定される場合、同様に簡単な関係が存在する。その際、第2のグレーレベルと位相シフトとの間の関係は、次式との比較によって取得することができる。
I=const*(1+cosφ)
【0042】
本発明による顕微鏡の対応する例示的な実施形態は、0よりも大きい回折次数の光を遮断するための絞りが存在するという点で特徴づけられる。
【0043】
原則として、位相マスクの較正用の測定のためにのみ使用される、独立したカメラが存在する場合がある。
【0044】
しかし、本発明の特有の利点は、実際の顕微鏡法測定にも使用されるカメラが、強度を測定するために使用されることが可能であるという点である。したがって、較正測定を実行するための装置に関する出費は、極めて低い。
【0045】
本発明による顕微鏡は、特に本発明による方法を実行するために設定されてよい。
【0046】
本発明が、たとえば強度格子の形態の位相マスクを用いて構造化された照明を提供する場合、位相マスクは、便宜的に、試料平面に光学的に共役な平面に配置される。そのような構造は、たとえば、広視野顕微鏡において有用である。取得された顕微鏡法データは、SIMまたはApotomeの計算に従うことができる。たとえば、縞模様の位相パターンが、SLM上に示されてよく、このパターンは、0および128のグレーレベルを交互に有する線からなる。理想的に較正されたSLMでは、このグレーレベルは、0またはπの位相偏移に対応する。レーザー遮断フィルタを除去することによって、後方反射が測定されてよい。ここで、後方反射は、独立した鏡または対象物担体もしくはカバーグラスから生じる可能性もある。代替として、蛍光試料、たとえば薄い蛍光層が使用されてよい。
【0047】
異なる用途では、波面操作のための位相マスクが使用される。たとえば、収差が補正されてよい。これらの目的から、位相マスクは、後方の対物レンズ瞳に光学的に共役な平面に配置されることが好ましい。
【0048】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図2】本発明による顕微鏡のビーム形成モジュール内のビーム経路の概略図である。
【
図3】本発明による方法を説明するための例示的な位相マスクの第1の概略図である。
【
図4】本発明による方法を説明するための、
図3の位相マスクの第2の概略図である。
【
図5】本発明による方法を説明するための第1のダイアグラムである。
【
図6】本発明による方法を説明するための第2のダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明による顕微鏡100の1つの例示的な実施形態および本発明による方法の変形形態が、
図1から
図6を参照して説明される。同一の構成要素および均等な効果を有する構成要素は、全体的に、複数の図において同じ参照符号によって示される。
【0051】
図1は、必須の構成要素として、最初に、レーザーモジュールなどの、照明光11を放射するための光源10と、照明光11を観察されるべき試料48上に導くための顕微鏡対物レンズ30と、検出光54を試料48からカメラ62、66上に導くためのさらなる光学手段40、50、64とを含む、倒立光シート顕微鏡を概略的に示す。光シート顕微鏡法に適した照明光11のビーム形状を生成するために、光源10のすぐ下流に配置されたビーム形成モジュール20が存在する。その際、スキャナ12を使用して、励起光11は、顕微鏡対物レンズ30内を通過して、ここから、メニスカスレンズ40を介して試料48上に達する。
図1に示された例における試料48は、トレイ状の対象物担体44内に配置され、対象物担体44は、励起光11と検出光54の両方に対して透明であり、検出光54は、励起光11、特に蛍光を用いて照射すると、試料48によって放射される。試料48は、水46によって囲まれてよい。対象物担体44は、試料台42によって保持され、試料台42は、特に知られている方式で3つのすべての空間方向x、y、zに配置することができる。図示された例では、光シートは、前記対象物担体44の垂直方向に対して45度の角度で対象物担体44上に放射される。
【0052】
圧電構造体32が、顕微鏡対物レンズ30の光軸に沿った方向に顕微鏡対物レンズ30を配置するために存在する。
【0053】
検出光学ユニットは、必須の構成要素として、メニスカスレンズ40および検出対物レンズ50を含む。再び、圧電構造体52が、検出対物レンズ50を配置するために存在する。検出光54は、検出対物レンズ50を通過した後、ビームスプリッタ64上に入射し、次いで、第1のカメラ62または第2のカメラ66のいずれかに当たる。ビームスプリッタ64は、たとえば、第1のカメラ62および第2のカメラ66の各々の場合に異なる配色を観測することができる結果から、カラースプリッタであってよい。
【0054】
ビーム形成ユニット20の構造が、
図2にさらに詳細に示されている。特にガウスビーム形状を有することができる入射光21が、最初に第1の円柱レンズ22に当たり、第1の円柱レンズ22が、第2の円柱レンズ23とともに、第1の望遠鏡を形成する。位相マスク80、特にネマチック型SLMは、ビーム経路の平行になった部分に配置される。位相マスク80における反射後、光は、最終的に、第2の望遠鏡を形成する、第3のレンズ24および第4のレンズ26を通過して出口平面27に達する。絞り25が、第3のレンズ24と第4のレンズ26との間に配置される。絞り25は、特に、ビーム形状の中央領域の0次の回折光のみが遮断される、円形ディスクの形状の絞りであってよい。代替の変形形態では、絞りは、0次の回折光のみが通過することを可能にするピンホールである。位相マスクは、出口平面27に光学的に共役な平面内に配置される。
図1に示された例示的な実施形態では、この平面は、中間の画像平面であることが好ましい。このことは、平面27が、顕微鏡対物レンズ30の試料平面に光学的に共役であることを意味する。
【0055】
原則として、ビーム形成モジュール20は、平面27および位相マスク80が配置される平面が結果的に、瞳平面、すなわち後方の対物レンズ瞳に共役な平面内に配置されるように、顕微鏡内に配置されてもよい。
【0056】
SLM80を駆動するために、制御/評価ユニット70、通常PCが、顕微鏡100の場合では存在する。制御/評価ユニット70を使用すると、位相マスク80は、グレーレベルGの異なるパターンGi(x,y)、Gj(x,y)とともに駆動されてよい。
【0057】
位相マスク80を較正するための本発明による方法では、次に、次のステップが実行される。すなわち、位相マスク80は、グレーレベルGの異なるパターンGi(x,y)とともに時間的に連続して駆動される。セグメントの第1の部分量91の第1のグレーレベルG1は、ここでは一定に維持され、セグメントの第2の部分量92の第2のグレーレベルG2は、1つのパターンGi(x,y)から次のパターンGj(x,y)に変化する。このことは、概略
図3および概略
図4を参照してより詳細に説明される。各場合の
図3および
図4は、1つの同じ位相マスク80を示すが、グレーレベルの異なるパターンを有する各場合において駆動される。
図3では、位相マスク80は、パターンGi(x,y)とともに駆動され、
図4ではパターンGj(x,y)とともに駆動される。パターンGi(x,y)、Gj(x,y)は各々、規則的な縞模様を有し、すなわち、これらのパターンはx方向に周期的である。原則として、そのようなパターンは、縞模様のセグメントを有する位相マスクを用いて実現されてよい。しかし、行および列にピクセルを有する2D位相マスクが一般に使用される。たとえば、1280×1024までの解像度を有するSLMが入手可能である。
【0058】
パターンGi(x,y)、Gj(x,y)は、セグメントの第1の部分量91のグレーレベルが変化しないという点で特徴づけられる。このことは、
図3および
図4の各場合における領域91が、同じグレーレベルG1を有することを意味する。第2の部分量92のセグメントが駆動される第2のグレーレベルG2は、対照的に、
図4のパターンGj(x,y)の場合には
図3のパターンGi(x,y)と異なる。このことは、
図3および
図4の領域92の異なる網かけ線によって概略的に示されている。
【0059】
しかし、周期的なパターンが位相マスクに与えられる必要はない。任意の所望の非周期的なパターンも使用されてよいが、それは、より高い空間周波数がそのようなパターンにも含まれ、所望の回折効果をもたらすからである。
【0060】
図1に概略的に示された構造を有する本発明による方法を実行するための1つの可能性は、位相マスク80の助けによって変調された光ビーム(説明された例では、これは光シートである)を、試料48と同じ場所に配置された偏向ミラー49を用いて検出ビーム経路に直接結合することであり、したがって、直接カメラ62、66のうちの1つの上に光シートを結像することである。
【0061】
偏向ミラー49の代わりに、特別な蛍光試料48が使用されてよい。
【0062】
顕微鏡内の追加の構成要素なしでまさに完全に効果的であるさらに簡単な可能性は、対象物担体44における反射を使用するものである。上述の幾何学的形状のために、光シートの光は、対象物担体44において検出対物レンズ50に直接反射される。
【0063】
原則として、ビームが試料48に入る前に、またはビームを独立したカメラに導くためにビームが対象物担体44上に入射する前に、ビーム経路からのビームを結合することも可能である。そのような独立したカメラは、顕微鏡に長期間取り付けられることも可能であり、前記独立したカメラの方向で結合する出力は、ビームスプリッタの助けによってもたらされてよい。
【0064】
以上に説明されたように、0次の回折光が遮断された場合、すなわち、絞り25が円形ディスクの形状の絞りである場合、高次の回折光のみがカメラ62または66上で干渉し、周期的強度の格子が視認可能となる。しかし、カメラ上のこの強度格子それ自体は、実際の較正にはどんな役割も果たさない。重要なことは、カメラに当たる光全体の強度Iが測定されることである。この強度は、ビーム経路の全強度から遮断された1次回折光を減算した値である。その際、本発明によれば、これらの強度は、複数の異なるパターンGi(x,y)に関して測定され、説明されたように、セグメントの第1の部分量91の第1のグレーレベルG1は一定に維持され、セグメントの第2の部分量92の第2のグレーレベルG2は変化する。
【0065】
特定の選好によって、第2のグレーレベルG2は、位相マスク80のダイナミックレンジ全体にわたって変化する。
【0066】
測定強度(I)の特性I(G2)は、第2のグレーレベル(G2)に依存した測定データから取得される。
図5は、そのような特性の例を示し、最大値Imaxで正規化された強度は、グレーレベルG2に対してプロットされた。
【0067】
カメラ62または66上に入射する光の全強度に関して、
I=const(1-cosφ)
ここで、φは位相マスク80によって実際に与えられる位相シフトである。この関係を用いれば、G2に依存して測定された強度から第2のグレーレベルG2に依存した位相シフトφを取得することが可能である。位相シフトφの設定されたグレーレベルG2への依存性は、
図6のダイアグラム内で
図5の測定データに対して示され、位相シフトφがグレーレベルGに対してプロットされる。
図6は、位相マスク80の較正の結果であると見なされてよく、原則として、達成されるべき特定の所望の位相偏移φに対して位相マスク80がどのように駆動されなければならないかに関して所望の情報を提供する。たとえば、
図6の情報は、制御/評価ユニット70の表中に記憶されてよい。
【0068】
本発明による方法を実施するために、0次の回折光を遮断する必要はない。0次の回折光を含むビームの全強度が測定されるとき、カメラに当たる全強度ではなく、強度の変調度、すなわちカメラ画像内の最大強度と最小強度との間の差が測定されなければならない。
【0069】
その際、測定のために0次の回折光を専ら使用することも可能である。その際、測定強度Iは、次式のように位相シフトφに関連づけられる。
I=const(1+cosφ)
【0070】
最後に、位相マスク80は、中間の画像平面内に必ずしも配置される必要はない。原則として、位相マスク80は、任意の所望の平面内に配置されてよい。たとえば、位相マスク80が瞳平面内に配置される場合、グレーレベルのパターンの空間周波数スペクトルは、カメラ上で見ることができる。この場合の強度測定は、たとえば、1次の回折、または以上に説明されたように0次の回折に対応するカメラの画像領域内で正確に実行される。
【0071】
原則として、
図6の測定データは、さらなる計算において、たとえばガンマ値として知られているものに対して使用され、SLM駆動を目指して直接プログラミングされてよい。しかし、これらのさらなるステップは、実際の較正方法にはこれ以上関係しないが、特別なデバイス内での実施には関係する。
【0072】
光シート顕微鏡において
図1に関連して説明されたものと同様に、本発明による方法は、SLMがビーム形成に使用される、レーザー走査顕微鏡に使用されてもよい。ここで、SLMは、原則として、中間画像平面内に配置されてよい。しかし、レーザー走査顕微鏡内のSLMは、通常、波面変調のために瞳平面内に配置される。実際の測定動作中に励起照射がカメラに達しないことを確実にするフィルタが、検出ビーム経路から除去される場合、後方反射が測定されてもよい。ここで、後方反射は、特別に取り付けられた鏡から、または、以上に説明されたように光シート顕微鏡では対象物担体から生じる可能性がある。代替として、特別な蛍光試料、たとえば薄い蛍光層が、ここで、使用されてもよい。
【0073】
レーザー走査顕微鏡では、特に、ダマン格子がグレーレベルのためのパターンとして作製されるパターンを使用することが可能である。グレーレベルを変調し、グレーレベルに依存した少なくとも1つの回折次数の光の強度を測定することによって、グレーレベルに依存した位相シフトが、以上に説明されたように次式の関係から特定されてもよい。
I=const(1+cosφ)
【0074】
位相マスク、特にSLMは、たとえば細胞核における配色のオンとオフの目的とする切り替えに使用されるフォトマニピュレータの一部分であってもよい。
【0075】
収差を補正するために、位相マスク、特にSLMは、検出ビーム経路中で使用されてもよい。たとえば、SLMは、照明ビーム経路と検出ビーム経路の両方によって使用される瞳内に配置されてもよい。その際、SLMを較正するための本発明による方法が、
図1に関連して説明されたように実行されてよい。SLMが検出ビーム経路によってのみ使用される瞳内に配置された場合、レーザー走査顕微鏡などでは、たとえば対象物担体からレーザー遮断フィルタを除去することによって後方反射を測定することが可能である。対象物担体に焦点を絞ることは、ここでは、照明側と検出側の両方からもたらされてよい。この場合、瞳内のSLMは、全体が照明される。SLMが周期的なパターンで駆動された場合、前記パターンの空間周波数スペクトルは、再びカメラ上で見られてよい。以上に説明されたように、1次回折光の強度は、測定され、SLMを較正するために使用されてよい。
【0076】
本発明は、特に顕微鏡において、位相マスクを較正するための新規の方法を提供するために使用される。本方法の最も重要な利点は、本発明が、原則として、SLMを除去する必要なしに、すなわちそのままの状態で動作中の装置に使用することもできることである。したがって、光学ユニットに関する複雑な調整努力は、もはや必要ない。
【符号の説明】
【0077】
10 光源、 11 照明光/励起光、 12 スキャナ、 20 ビーム形成ユニット、 21 入射ビーム束、特にガウスビーム、 22 第1のレンズ、たとえば円柱レンズ、 23 第2のレンズ、たとえば円柱レンズ、 24 第3のレンズ、 25 ピンホール、 26 第4のレンズ、 27 位相マスクの平面に光学的に共役な平面、 30 顕微鏡対物レンズ、 32 圧電構造体、 40 メニスカスレンズ、 42 試料台、 44 対象物担体、 46 水、 48 試料、特に蛍光試料、 49 独立したビーム偏向手段、 50 検出対物レンズ、 52 圧電構造体、 54 検出光、 62 カメラ、 64 ビームスプリッタ、 66 カメラ、 70 制御/評価ユニット、 80 位相マスク、 91 セグメントの第1の部分量、 92 セグメントの第2の部分量、 100 顕微鏡、 G グレーレベル、 G1 第1のグレーレベル、 G2 第2のグレーレベル、 Gi(x,y)、Gj(x,y) グレーレベルGの異なるパターン、 I ビーム経路中の光の強度の測定部分、 I(G2) 第2のグレーレベルG2に依存した測定強度の特性、 LSM レーザー走査顕微鏡、 SLM 空間光変調器、 φ(G) 第2のグレーレベルG2と位相マスク80によって与えられた位相シフトφとの間の関係。