(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ジッパーテープ付き容器およびジッパーテープ付き容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/25 20060101AFI20230914BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20230914BHJP
A44B 19/16 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B65D33/25 A
B65D81/34 Z
A44B19/16
(21)【出願番号】P 2019142207
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻生 知里
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/119449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/25
B65D 81/34
A44B 19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、前記第1面および前記第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、
前記第1面と前記第2面との間に配置されて前記収納空間の一辺を画定し、前記第1面に接合される第1基部条片、前記第1基部条片から突出する第1係合部、前記第2面に接合される第2基部条片、および前記第2基部条片から突出し前記第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープと
を備えるジッパーテープ付き容器であって、
前記第2面に面する前記第2基部条片の一部に前記容器本体との接合強度が前記ジッパーテープの他の部分よりも低くなるように構成された低接合強度層が形成され、
前記第2基部条片は、前記ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では前記低接合強度層のみで前記第2面に接合され、残りの区間では前記低接合強度層以外の部分で前記第2面に接合され、
前記ジッパーテープの長手方向中心から前記第1の区間の長手方向の中間部までの距離Yの前記ジッパーテープ付き容器の開口幅の半分の長さXに対する比Y/Xが0.22以上であるジッパーテープ付き容器。
【請求項2】
前記ジッパーテープの幅方向について、前記低接合強度層は前記第2基部条片の前記第2係合部の根部と前記収納空間とは反対側の端部との
間に形成され、
前記第2基部条片と前記第2面との間の接合領域は、前記残りの区間では前記低接合強度層に対して前記収納空間とは反対側に形成され、前記第1の区間では前記収納空間側に張り出すことによって前記第2基部条片を前記低接合強度層のみで前記第2面に接合する、請求項1に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項3】
少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、前記第1面および前記第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、
前記第1面と前記第2面との間に配置されて前記収納空間の一辺を画定し、前記第1面に接合される第1基部条片、前記第1基部条片から突出する第1係合部、前記第2面に接合される第2基部条片、および前記第2基部条片から突出し前記第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープと
を備えるジッパーテープ付き容器であって、
前記第2面に面する前記第2基部条片の一部が、前記第1基部条片および前記第2基部条片の残りの部分を形成する第1の樹脂組成物とは異なる第2の樹脂組成物で形成され、
前記第2基部条片は、前記ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では前記第2の樹脂組成物で形成される部分のみで前記第2面に接合され、残りの区間では前記第1の樹脂組成物で形成される部分で前記第2面に接合され、
前記ジッパーテープの長手方向中心から前記第1の区間の長手方向の中間部までの距離Yの前記ジッパーテープ付き容器の開口幅の半分の長さXに対する比Y/Xが0.22以上であるジッパーテープ付き容器。
【請求項4】
少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、前記第1面および前記第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、
前記第1面と前記第2面との間に配置されて前記収納空間の一辺を画定し、前記第1面に接合される第1基部条片、前記第1基部条片から突出する第1係合部、前記第2面に接合される第2基部条片、および前記第2基部条片から突出し前記第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープと
を備えるジッパーテープ付き容器であって、
前記ジッパーテープの幅方向で前記収納空間とは反対側に位置する第1の領域と、前記第1の領域に隣接する第2の領域と、前記第2の領域に隣接し前記収納空間側に位置する第3の領域とについて、前記第1係合部および前記第2係合部は前記第1の領域でそれぞれ前記第1基部条片および前記第2基部条片から突出し、
前記ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では、前記第1基部条片が少なくとも前記第1の領域で前記第1面に接合され、前記第2基部条片が前記第3の領域のみで前記第
2面に接合され、
前記ジッパーテープの長手方向の残りの区間では前記第1基部条片および前記第2基部条片が少なくとも前記第1の領域で前記第1面および前記第2面にそれぞれ接合され、
前記ジッパーテープの長手方向中心から前記第1の区間の長手方向の中間部までの距離Yの前記ジッパーテープ付き容器の開口幅の半分の長さXに対する比Y/Xが0.22以上であるジッパーテープ付き容器。
【請求項5】
前記第1の区間の全体が、前記ジッパーテープの長手方向中心に重複しない、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項6】
前記ジッパーテープの長手方向における前記第1の区間の長さWの前記ジッパーテープ付き容器の開口幅の半分の長さXに対する比W/Xが0.04以上である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項7】
前記容器本体は、袋状である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、
前記第1基部条片を前記ジッパーテープの全長で前記第1面に接合する工程と、
前記第2基部条片を前記第1の区間を含む少なくとも1つの区間では前記低接合強度層のみで前記第2面に接合し、前記残りの区間では前記低接合強度層以外の部分で前記第2面に接合する工程と
を含むジッパーテープ付き容器の製造方法。
【請求項9】
請求項3に記載のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、
前記第1基部条片を前記ジッパーテープの全長で前記第1面に接合する工程と、
前記第2基部条片を前記第1の区間を含む少なくとも1つの区間では前記第2の樹脂組成物で形成される部分で前記第2面に接合し、前記残りの区間では前記第1の樹脂組成物で形成される部分で前記第2面に接合する工程と
を含むジッパーテープ付き容器の製造方法。
【請求項10】
請求項4に記載のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、
前記第1基部条片を前記ジッパーテープの全長で少なくとも前記第1の領域で前記第1面に接合する工程と、
前記第2基部条片を前記第1の区間を含む少なくとも1つの区間では前記第3の領域のみで前記第2面に接合し、前記残りの区間では少なくとも前記第1の領域で前記第2面に接合する工程と
を含むジッパーテープ付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープ付き容器およびジッパーテープ付き容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などが収納され加熱調理が可能な袋状容器が広く利用されている。特許文献1には、このような袋状容器として、加熱調理時に過度に膨張して破裂することを防止する水蒸気抜き機構を設けた構成が記載されている。特許文献1に記載された袋状容器は、袋本体のサイドシール部の近傍に円形に設けられた切り欠きを塞ぐように、周縁が袋本体に弱化シールされた弱化シール部が形成された水蒸気抜き機構を有する。この水蒸気抜き機構は、加熱調理時に発生する水蒸気によって内圧がある程度高まると、弱化シール部が剥がれ、切り欠きから水蒸気が放出されることで、袋本体が過度に膨張して破裂することを防止する。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のように水蒸気抜き機構に弱化シール部を用いる場合、弱化シール部の接合強度によって水蒸気の放出が開始される内圧が変動する。また、弱化シール部の接合強度が均一でなければ、弱化シール部が一部だけ剥がれることによって水蒸気の放出量が少なくなる可能性がある。そこで、特許文献2では、袋本体を構成するフィルムに接合されるジッパーテープの一部に低接合強度層を設け、ジッパーテープの長手方向の一部分では低接合強度層とフィルムとの間を接合し、それ以外の部分では低接合強度層でない部分とフィルムとの間を接合することによって、安定した水蒸気の放出が可能な蒸気出口を容易に形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-46644号公報
【文献】国際公開2017/119449号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のように加熱調理用の袋状容器にジッパーテープが取り付けられている場合、加熱調理中の容器内の蒸気圧によって、ジッパーテープの異形断面部に大きなせん断方向の力が加わる場合がある。この場合、せん断方向の力によってジッパーテープの嵌合が外れることはなかったとしても異形断面部が変形し、加熱調理の終了後に蒸気圧が低下した際にジッパーテープの開封感が弱くなる可能性がある。ユーザーの安心感を考慮すると、加熱調理の終了後にも開封感は維持されていた方が好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、内容物の加熱時に蒸気出口を形成可能な容器において、蒸気圧によるジッパーテープの変形を抑制することが可能なジッパーテープ付き容器およびジッパーテープ付き容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある観点によれば、少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、第1面および第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、第1面と第2面との間に配置されて収納空間の一辺を画定し、第1面に接合される第1基部条片、第1基部条片から突出する第1係合部、第2面に接合される第2基部条片、および第2基部条片から突出し第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器であって、第2面に面する第2基部条片の一部に容器本体との接合強度がジッパーテープの他の部分よりも低くなるように構成された低接合強度層が形成され、第2基部条片は、ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では低接合強度層のみで第2面に接合され、残りの区間では低接合強度層以外の部分で第2面に接合されるジッパーテープ付き容器が提供される。
【0008】
本発明の別の観点によれば、少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、第1面および第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、第1面と第2面との間に配置されて収納空間の一辺を画定し、第1面に接合される第1基部条片、第1基部条片から突出する第1係合部、第2面に接合される第2基部条片、および第2基部条片から突出し第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器であって、第2面に面する第2基部条片の一部が、第1基部条片および第2基部条片の残りの部分を形成する第1の樹脂組成物とは異なる第2の樹脂組成物で形成され、第2基部条片は、ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では第2の樹脂組成物で形成される部分のみで第2面に接合され、残りの区間では第1の樹脂組成物で形成される部分で第2面に接合されるジッパーテープ付き容器が提供される。
【0009】
本発明のさらに別の観点によれば、少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有し、第1面および第2面の間に収納空間が形成される容器本体と、第1面と第2面との間に配置されて収納空間の一辺を画定し、第1面に接合される第1基部条片、第1基部条片から突出する第1係合部、第2面に接合される第2基部条片、および第2基部条片から突出し第1係合部に係合可能な第2係合部を断面形状に含むジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器であって、ジッパーテープの幅方向で収納空間側に位置する第1の領域と、第1の領域に隣接する第2の領域と、第2の領域に隣接し収納空間とは反対側に位置する第3の領域とについて、第1係合部および第2係合部は第1の領域でそれぞれ第1基部条片および第2基部条片から突出し、ジッパーテープの長手方向中心に対して偏心して配置された第1の区間を含む少なくとも1つの区間では、第1基部条片が少なくとも第1の領域で第1面に接合され、第2基部条片が第3の領域のみで第1面に接合され、ジッパーテープの長手方向の残りの区間では第1基部条片および第2基部条片が少なくとも第1の領域で第1面および第2面にそれぞれ接合されるジッパーテープ付き容器が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の観点によれば、上記のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、第1基部条片を前記ジッパーテープの全長で第1面に接合する工程と、第2基部条片を第1の区間を含む少なくとも1つの区間では低接合強度層のみで第2面に接合し、残りの区間では低接合強度層以外の部分で第2面に接合する工程とを含むジッパーテープ付き容器の製造方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の観点によれば、上記のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、第1基部条片をジッパーテープの全長で第1面に接合する工程と、第2基部条片を第1の区間を含む少なくとも1つの区間では第2の樹脂組成物で形成される部分で第2面に接合し、残りの区間では第1の樹脂組成物で形成される部分で第2面に接合する工程とを含むジッパーテープ付き容器の製造方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の観点によれば、上記のジッパーテープ付き容器の製造方法であって、第1基部条片をジッパーテープの全長で少なくとも第1の領域で第1面に接合する工程と、第2基部条片を第1の区間を含む少なくとも1つの区間では第3の領域のみで第2面に接合し、残りの区間では少なくとも第1の領域で第2面に接合する工程とを含むジッパーテープ付き容器の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、内容物の加熱時に形成される蒸気出口がジッパーテープの長手方向中心に対して偏心していることによって、蒸気圧によるジッパーテープの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
【
図2A】
図1に示したジッパーテープ付き袋のII-II線断面図である。
【
図2B】
図1に示したジッパーテープ付き袋の内容物を加熱したときのII-II線断面図である。
【
図3】
図1に示したジッパーテープ付き袋のIII-III線断面図である。
【
図4】
図1に示したジッパーテープ付き袋の変形例を示す図である。
【
図5】
図1に示したジッパーテープ付き袋の別の変形例を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
【
図7A】
図6に示したジッパーテープ付き袋のVII-VII線断面図である。
【
図7B】
図6に示したジッパーテープ付き袋の内容物を加熱したときのVII-VII線断面図である。
【
図8】
図6に示したジッパーテープ付き袋のVIII-VIII線断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
【
図10A】
図9に示したジッパーテープ付き袋のX-X線断面図である。
【
図10B】
図9に示したジッパーテープ付き袋の内容物を加熱したときのX-X線断面図である。
【
図11】
図9に示したジッパーテープ付き袋のXI-XI線断面図である。
【
図12】内容物の加熱時の蒸気圧によるジッパーテープの変形の例を示す図である。
【
図13】ジッパーテープの変形を抑制するための第1の検討例について説明するための図である。
【
図15】ジッパーテープの変形を抑制するための第2の検討例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
図2A、
図2Bおよび
図3は、
図1に示したジッパーテープ付き袋のII-II線およびIII-III線の断面図である。図示されているように、ジッパーテープ付き袋100は、互いに対向する第1面111Aおよび第2面111Bを有するフィルム110によって形成される袋状の容器本体と、フィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に配置されるジッパーテープ120とを含む。ジッパーテープ120は、後述するように全長にわたって幅方向の少なくとも一部が第1面111Aおよび第2面111Bに接合されており、これによってフィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に形成され内容物Cが収納される収納空間SPの一辺を画定する。
【0017】
フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、フィルム110は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。フィルム110が多層である場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。また、フィルム110は無機材料の層を含んでもよい。
【0018】
なお、本実施形態では、2枚のフィルム110がボトムシール部112およびサイドシール部113において互いに接合されることによって第1面111Aおよび第2面111Bを有する容器本体を形成しているが、別の実施形態では、1枚のフィルム110がサイドシール部113に対応する部分で折り返されることによって第1面111Aおよび第2面111Bが形成されてもよい。あるいは、
図1の例におけるボトムシール部112またはサイドシール部113に対応する部分でフィルム110が内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、フィルム110によって形成されてもよいし、フィルム110に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。また、ジッパーテープ付き袋100は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。
【0019】
また、本実施形態では、ボトムシール部112およびサイドシール部113が形成される一方で、トップシール部が形成されないことによってジッパーテープ付き袋100の開口101が形成されているが、別の実施形態では、ボトムシール部112およびサイドシール部113に加えてトップシール部が形成され、トップシール部とジッパーテープ120との間を切断することによって事後的にジッパーテープ付き袋100に開口101を形成することが可能であってもよい。さらに別の実施形態では、ボトムシール部112が形成されない、すなわち収納空間SPがジッパーテープ120とは反対側で封止されていない状態でジッパーテープ付き袋が提供されてもよい。この場合、ボトムシール部112は収納空間SPに内容物を充填した後で形成される。これ以外にも、公知の各種の構成のジッパーテープ付き袋に本発明を適用することが可能である。
【0020】
ジッパーテープ120は、第1面111Aに接合される第1基部条片121Aと、第2面111Bに接合される第2基部条片121Bと、第1基部条片121Aおよび第2基部条片121Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1係合部122A,123Aおよび第2係合部122B,123Bとを断面形状に含む長尺状の部材である。ジッパーテープ120は、例えばポリオレフィン系樹脂で形成される。より具体的には、ジッパーテープ120は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。ジッパーテープ120の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0021】
なお、ジッパーテープ120に形成される係合部について、図示された例では第1係合部122Aが雄型、第2係合部122Bが雌型、第1係合部123Aおよび第2係合部123Bが鉤型であるが、図示された例に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーテープの係合部の形状を採用することが可能である。また、図示された例では2対の係合部が示されているが、係合部は1対であってもよいし、3対以上であってもよい。また、図示された例では形状の異なる係合部(雄型および雌型ならびに鉤型)が1対ずつ配置されているが、同じ形状の係合部(例えば雄型および雌型)が2対以上配置されてもよい。第1係合部122A,123Aおよび第2係合部122B,123Bは、ジッパーテープ付き袋100を封止、開封、および再封止することを可能にする。
【0022】
本実施形態では、第2係合部122B,123Bに対して開口101側(収納空間SPとは反対側)で、第2面111Bに面する第2基部条片121Bの一部に低接合強度層124が形成される。低接合強度層124は、ジッパーテープ120の他の部分よりもフィルム110との接合強度が低くなるように構成された層である。具体的には、例えば、ジッパーテープ120の他の部分をポリプロピレンで形成し、低接合強度層124をポリエチレン、またはポリエチレンとポリプロピレンとの混合物(LLDPE、LDPEと高密度ポリエチレン(HDPE)との混合物、またはLDPEとポリプロピレンとの混合物が例示される)で形成することによって、低接合強度層124のフィルム110との接合強度をジッパーテープ120の他の部分とフィルム110との接合強度よりも低くすることができる。
【0023】
なお、図示された例では低接合強度層124が第2基部条片121Bと同じ厚さで形成されているが、他の例では低接合強度層124が第2基部条片121Bよりも薄く、第2基部条片121Bの第2面111B側だけが低接合強度層124になっていてもよい。あるいは、他の部分と同じ厚さで形成された第2基部条片121Bの第2面111B側に低接合強度層124が積層されてもよい。低接合強度層124を含むジッパーテープ120は、例えば低接合強度層124を形成する樹脂材料と他の部分を形成する樹脂材料とを共押出成形することによって製造される。
【0024】
本実施形態において、第1基部条片121Aは、ジッパーテープ120の全長で第1面111Aに接合される。第1基部条片121Aには低接合強度層が形成されないため、第1基部条片121Aを第1面111Aに接合する領域は任意である。一方、第2基部条片121Bもジッパーテープ120の全長で第2面111Bに接合されるが、
図1に示すジッパーテープ120の長手方向の第1の区間S
1では
図2Aに示すように低接合強度層124のみで第2面111Bに接合され、残りの区間では
図3に示すように低接合強度層124以外の部分で第2面111Bに接合される(低接合強度層124でも接合されてもよい)。
【0025】
より具体的には、ジッパーテープ120の幅方向について、低接合強度層124は第2基部条片121Bの第2係合部122Bの根部と開口101側(収納空間SPとは反対側)の端部との間の中間部分に形成されるため、低接合強度層124よりも開口101側に低接合強度層124ではない領域が存在する。第2基部条片121Bと第2面111Bとをヒートシールまたは超音波シールによって接合する接合領域140は、
図1に示されるようにジッパーテープ120の長手方向の他の区間では低接合強度層124に対して収納空間SP側に形成されるが、第1の区間S
1では開口101とは反対側、すなわち収納空間SP側に張り出すことによって、第2基部条片121Bを低接合強度層124のみで第2面111Bに接合する。
【0026】
このような構成によって、内容物Cが加熱されたことによって収納空間SP内の蒸気圧が上昇した場合には、第1の区間S
1において
図2Bに示すようにフィルム110の第2面111Bと第1面111Aとの間で最も接合強度が低い部分、すなわち低接合強度層124と第2面111Bとの間の接合が破壊される。第1の区間S
1では第2基部条片121Bが低接合強度層124のみでフィルム110の第2面111Bに接合されているため、上記のような接合の破壊によって第2基部条片221Bは第2面111Bから分離され、収納空間SPが外部に連通することによって蒸気が排出される。このような構成によって、本実施形態では、内容物の加熱時に第1の区間S
1において安定した蒸気の放出が可能な蒸気出口を形成することができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、上記のような構成によって蒸気出口が形成される第1の区間S
1が、ジッパーテープ120の長手方向中心120Cに対して偏心して配置される。つまり、第1の区間S
1の中心は、ジッパーテープ120の長手方向中心120Cとは異なる。さらに、
図1に示された例のように、第1の区間S
1の全体がジッパーテープ120の長手方向中心120Cに重複しないように配置されてもよい。このような構成によって、後述する実施例によって示されるように、内容物Cの加熱時の蒸気圧によるジッパーテープの変形を抑制することができる。
【0028】
なお、第2基部条片121Bが
図2Aに示すように低接合強度層124のみで第2面111Bに接合される区間は、上記のようにジッパーテープ120の長手方向中心120Cに対して偏心して配置された第1の区間S
1を含む少なくとも1つの区間であればよく、第1の区間S
1だけでなくてもよい。つまり、例えば、第2基部条片121Bは、
図4に示されるように、第1の区間S
1と同様にジッパーテープ120の長手方向中心120Cに対して偏心して配置された第2の区間S
2でも低接合強度層124のみで第2面111Bに接合されてもよい。あるいは、第2基部条片121Bは、
図5に示されるように、第1の区間S
1とは異なりジッパーテープ120の長手方向中心120Cと同心で配置された第3の区間S
3でも低接合強度層124のみで第2面111Bに接合されてもよい。また、第2基部条片121Bが低接合強度層124のみで第2面111Bに接合される区間は、第1の区間S
1を含む3つ以上であってもよい。
【0029】
本実施形態において、蒸気出口が形成されるジッパーテープ120の長手方向の第1の区間S1の長手方向中心120Cに対する偏心の割合は、ジッパーテープ120の長手方向中心120Cから第1の区間S1の長手方向の中間部までの距離Yのジッパーテープ付き袋100の開口幅の半分の長さXに対する比Y/Xで表される。ここで、開口幅は、ジッパーテープ120の全長からサイドシール部113によってシールされた部分を除いた長さである。第1の区間S1がジッパーテープ120の長手方向中心120Cから偏心している場合、Y>0であるため、Y/Xは0よりも大きい。さらに、後述するように内容物Cの加熱後にジッパーテープ120の変形量を測定した結果から、Y/Xは好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.20以上、さらに好ましくは0.40以上、よりさらに好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.80以上である。上限値は特に限定されず、1未満である。なお、蒸気出口が形成される区間のうち複数の区間が上記の第1の区間S1と同様に偏心している場合は、各区間の長手方向の中間部からジッパーテープ120の長手方向中心120Cまでの距離のうち最大のものを距離Yとして、上記のY/Xに関する条件を満たせばよい。
【0030】
また、本実施形態において、ジッパーテープ120の長手方向における第1の区間S1の長さW(形成される蒸気出口の幅にほぼ等しい)のジッパーテープ付き袋100の開口幅の半分の長さXに対する比W/Xは、0.04以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましく、0.15以上が特に好ましい。上限に特に制限はなく、用いる食品等の特徴により適宜調整するが、例えば0.6である。これは、蒸気出口の幅が狭すぎるとジッパーテープ120の長手方向中央部の変形量が大きくなるためである。なお、蒸気出口が形成される区間のうち複数の区間が上記の第1の区間S1と同様に偏心している場合は、いずれか1つの区間の長さWが上記のW/Xに関する条件を満たせばよい。
【0031】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
図7A、
図7Bおよび
図8は、
図6に示した袋体のVII-VII線およびVIII-VIII線の断面図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態に係るジッパーテープ付き袋の構成について説明する。
【0032】
図示されているように、ジッパーテープ付き袋200は、互いに対向する第1面111Aおよび第2面111Bを有するフィルム110によって形成される袋状の容器本体と、フィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に配置されるジッパーテープ220とを含む。ジッパーテープ220は、後述するように全長にわたって幅方向の少なくとも一部が第1面111Aおよび第2面111Bに接合されており、これによってフィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に形成される収納空間SPの一辺を画定する。なお、フィルム110の構成については、上記の第1の実施形態と同様であるため重複した説明は省略する。
【0033】
ジッパーテープ220は、第1面111Aに接合される第1基部条片221Aと、第2面111Bに接合される第2基部条片221Bと、第1基部条片221Aおよび第2基部条片221Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1係合部222Aおよび第2係合部222Bとを断面形状に含む長尺状の部材である。ジッパーテープ220は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、ジッパーテープ220は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。ジッパーテープ220の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0034】
なお、第1係合部222Aおよび第2係合部222Bは、図示された例のような形状に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーテープの係合部の形状にすることが可能である。また、図示された例では1対の第1係合部222Aおよび第2係合部222Bが配置されているが、複数対の第1係合部222Aおよび第2係合部222Bが配置されてもよい。第1係合部222Aおよび第2係合部222Bは、ジッパーテープ付き袋200を封止、開封、および再封止することを可能にする。
【0035】
本実施形態では、ジッパーテープ220の断面形状が、第1の樹脂組成物で形成された第1の部分225と、第2の樹脂組成物で形成された第2の部分226とを含む。第1の部分225は第1の樹脂組成物で形成され、第2の部分226は第2の樹脂組成物で形成される。より具体的には、第2の部分226は、第2面111Bに対向する第2基部条片221Bの一部(面221B1として図示する)を形成する。一方、第1の部分225は、第1基部条片221A、第1係合部222A、および第2係合部222Bの全部と、第2面111Bに対向する面(面221B2として図示する)を含む第2基部条片221Bの残りの部分とを形成する。
【0036】
上記の第2の部分226を形成する第2の樹脂組成物は、第1の部分225を形成する第1の樹脂組成物は異なる樹脂組成物である。例えば、表1に例示するような構成によって、内容物の加熱時における第1の部分225と第2の部分226との間の接合強度が、第1の部分225と第2面111Bおよび第1面111Aのそれぞれとの間、および第2の部分226と第2面111Bとの間の接合強度よりも低くなっている。具体的には、例えば第2面111Bと第2の部分226との間に第3の樹脂組成物で第3の部分(図示せず)を形成したり、第2面111Bと第2の部分226との間に接着剤を介在させたりすることによって第2の部分226と第2面111Bとの間の接合強度を高め、第1の部分225と第2の部分226との間の接合強度を相対的に第2の部分226と第2面111Bとの間の接合強度よりも低くすることができる。
【0037】
【0038】
あるいは、表2に例示するような樹脂組成物の組み合わせを採用することによって、内容物の加熱時における第1の部分225と第2の部分226との間の接合強度を、第1の部分225と第2面111Bおよび第1面111Aのそれぞれとの間、および第2の部分226と第2面111Bとの間の接合強度よりも低くしてもよい。
【0039】
【0040】
本実施形態において、第1基部条片221Aは、ジッパーテープ220の全長で第1面111Aに接合される。第1基部条片221Aは全体が第1の樹脂組成物で形成される第1の部分225であるため、第1基部条片221Aを第1面111Aに接合する領域は任意である。一方、第2基部条片221Bもジッパーテープ220の全長で第2面111Bに接合されるが、
図6に示すジッパーテープ220の長手方向の第1の区間S
1では
図7Aに示すように第2の部分226(面221B1)のみで第2面111Bに接合され、残りの区間では
図8に示すように第1の部分225(面221B2)で第2面111Bに接合される(第2の部分226でも接合されてもよい)。
【0041】
より具体的には、ジッパーテープ220の幅方向について、第2の部分226は第2基部条片221Bの第2係合部222Bの根部と開口101側(収納空間SPとは反対側)の端部との間の中間部分に形成されるため、第2の部分226よりも開口101側に第1の部分225が存在する。第2基部条片221Bと第2面111Bとをヒートシールまたは超音波シールによって接合する接合領域240は、
図6に示されるようにジッパーテープ220の長手方向の他の区間では第2の部分226に対して収納空間SP側に位置する第1の部分225に形成されるが、第1の区間S
1では開口101とは反対側、すなわち収納空間SP側に張り出すことによって、第2基部条片221Bを第2の部分226のみで第2面111Bに接合する。
【0042】
このような構成によって、内容物Cが加熱されたことによって収納空間SP内の蒸気圧が上昇した場合には、
図7Bに示すように第1の区間S
1においてフィルム110の第2面111Bと第1面111Aとの間で最も接合強度が低い部分、すなわちジッパーテープ220の第1の部分225と第2の部分226との間の接合が破壊される。第1の区間S
1では第2基部条片221Bが面221B1のみでフィルム110の第2面111Bに接合されているため、上記のような接合の破壊によって第2基部条片221Bにおける第2の部分226(面221B1を含む部分)が第1の部分225(面221B2を含む残りの部分)から分離され、収納空間SPが外部空間に連通することによって蒸気が排出される。このような構成によって、本実施形態では、内容物の加熱時に第1の区間S
1において安定した蒸気の放出が可能な蒸気出口を形成することができる。
【0043】
さらに、本実施形態でも、
図6に示されるように、蒸気出口が形成される第1の区間S
1がジッパーテープ220の長手方向中心220Cに対して偏心して配置される。つまり、第1の区間S
1の中心は、ジッパーテープ220の長手方向中心220Cとは異なる。このような構成によって、第1の実施形態と同様に、内容物Cの加熱時の蒸気圧によるジッパーテープの変形を抑制することができる。さらに、第1の区間S
1の全体がジッパーテープ220の長手方向中心220Cに重複しないように配置されてもよい。蒸気出口が形成されるその他の区間の構成についても第1の実施形態と同様である。
【0044】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図である。
図10A、
図10Bおよび
図11は、
図9に示した袋体のX-X線およびXI-XI線の断面図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態に係るジッパーテープ付き袋の構成について説明する。
【0045】
図示されているように、ジッパーテープ付き袋300は、互いに対向する第1面111Aおよび第2面111Bを有するフィルム110によって形成される袋状の容器本体と、フィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に配置されるジッパーテープ320とを含む。ジッパーテープ320は、後述するように全長にわたって幅方向の少なくとも一部が第1面111Aおよび第2面111Bに接合されており、これによってフィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bの間に形成される収納空間SPの一辺を画定する。なお、フィルム110の構成については、上記の第1の実施形態と同様であるため重複した説明は省略する。
【0046】
ジッパーテープ320は、第1面111Aに接合される第1基部条片321Aと、第2面111Bに接合される第2基部条片321Bと、第1基部条片321Aおよび第2基部条片321Bの互いに対向する面からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1係合部322Aおよび第2係合部322Bとを断面形状に含む長尺状の部材である。ジッパーテープ320は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、ジッパーテープ320は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。ジッパーテープ320の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0047】
なお、第1係合部322Aおよび第2係合部322Bは、図示された例のような形状に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーテープの係合部の形状にすることが可能である。また、図示された例では1対の第1係合部322Aおよび第2係合部322Bが配置されているが、複数対の第1係合部322Aおよび第2係合部322Bが配置されてもよい。第1係合部322Aおよび第2係合部322Bは、ジッパーテープ付き袋300を封止、開封、および再封止することを可能にする。
【0048】
本実施形態では、ジッパーテープ320の長手方向の第1の区間S
1とそれ以外の残りの区間との間で、ジッパーテープ320とフィルム110の第1面111Aおよび第2面111Bとの間の接合状態が異なる。この接合状態について説明するために、ジッパーテープ320の幅方向について、
図10A、
図10Bおよび
図11に示すように第1の領域R
1、第2の領域R
2、および第3の領域R
3を定義する。ここで、図示されているように、第1の領域R
1は開口101側(収納空間とは反対側)に位置し、第2の領域R
2は第1の領域R
1に隣接し、第3の領域R
3は第2の領域R
2に隣接し収納空間SP側に位置する。第1係合部322Aおよび第2係合部322Bは、第1の領域R
1でそれぞれ第1基部条片321Aおよび第2基部条片321Bから突出する。なお、他の例では、図示された例とは逆に、収納空間SP側から順に第1の領域R
1、第2の領域R
2、および第3の領域R
3を定義してもよい。
【0049】
図10Aに示すように、第1の区間S
1では、第1基部条片321Aが少なくとも第1の領域R
1で第1面111Aに接合され(他の領域でも第1面111Aに接合されていてもよい)、第2基部条片321Bが第3の領域R
3のみで第2面111Bに接合される。一方、
図11に示すように、第1の区間S
1以外の残りの区間では、第1基部条片321Aおよび第2基部条片321Bが少なくとも第1の領域R
1で第1面111Aおよび第2面111Bにそれぞれ接合される。つまり、本実施形態において、第1基部条片321Aはジッパーテープ320の全長にわたって少なくとも第1の領域R
1で第1面111Aに接合される。第2基部条片321Bは第1の区間S
1では第3の領域R
3のみで第2面111Bに接合される一方で、残りの区間では第1基部条片321Aと同様に少なくとも第1の領域R
1で第2面111Bに接合される。
【0050】
このような構成によって、内容物Cが加熱されたことによって収納空間SP内の蒸気圧が上昇した場合には、
図10Bに示すように第1の区間S
1においてジッパーテープ320の第2基部条片321Bが幅方向の第2の領域R
2で破断することによって、収納空間SPが外部空間に連通して蒸気が排出される。これは、第1の区間S
1では第2基部条片321Bが幅方向の第3の領域R
3のみで第2面111Bに接合されるのに対し、第1基部条片321Aは第1の領域R
1で第1面111Aに接合され、収納空間SPの内圧が上昇して第1面111Aと第2面111Bとを離隔させる力が作用すると第2基部条片321Bの幅方向の第2の領域R
2が第1の領域R
1側(第1の領域R
1にある係合部322A,322Bを介して第1基部条片321Aによって引っ張られる)および第3の領域R
3側(第3の領域R3における第2基部条片321と第2面111Bとの接合によって引っ張られる)からそれぞれ引っ張られることによって破断する。破断を容易にするために、第2基部条片321Bの幅方向の第2の領域R
2には薄肉部327が形成されてもよい。このような構成によって、本実施形態では、内容物の加熱時に第1の区間S
1において安定した蒸気の放出が可能な蒸気出口を形成することができる。
【0051】
さらに、本実施形態でも、
図9に示されるように、蒸気出口が形成される第1の区間S
1がジッパーテープ320の長手方向中心320Cに対して偏心して配置される。つまり、第1の区間S
1の中心は、ジッパーテープ320の長手方向中心320Cとは異なる。このような構成によって、第1の実施形態と同様に、内容物Cの加熱時の蒸気圧によるジッパーテープの変形を抑制することができる。さらに、第1の区間S
1の全体がジッパーテープ320の長手方向中心320Cに重複しないように配置されてもよい。蒸気出口が形成されるその他の区間の構成についても第1の実施形態と同様である。
【実施例】
【0052】
図12は、内容物の加熱時の蒸気圧によるジッパーテープの変形の例を示す図である。上記で
図1から
図3Bを参照して説明したようなジッパーテープ付き容器では、内容物Cの加熱時の蒸気圧によって収納空間SPが膨張し、ジッパーテープ120の異形断面部、すなわち第1係合部122A,123Aおよび第2係合部122B,123Bにせん断方向、すなわちジッパーテープ120の幅方向の力が加わる。これによって異形断面部が変形すると、
図12に示すような変形量dが発生する。係合部の嵌合が外れなくても、変形量dが大きいと開封感が弱くなるため、変形量dを可能な限り小さくすることが好ましい。
【0053】
図13は、ジッパーテープの変形を抑制するための第1の検討例について説明するための図である。第1の検討例では、ジッパーテープ120の長手方向中心120Cから第1の区間S
1の中間部からのまでの距離Yと、内容物Cの加熱後に測定されたジッパーテープ120の変形量dとの関係について検討した。なお、変形量dは、ジッパーテープ120の長手方向中心120Cの位置B、および長手方向中心120Cから長手方向両側に60mmずつ離れた位置A,Cで測定した。なお開口幅は、180mmである。
【0054】
図14は、
図13に示す検討例の結果を示すグラフである。第1の区間S
1の長さ、すなわち蒸気出口の幅を15mmとし、
図13に示す距離Yを15mm、20mm、40mm、60mmおよび75mmで変化させた結果、蒸気出口の中心がジッパーテープ120の長手方向中心120Cから離れるほど、ジッパーテープ120の変形量dが小さくなる傾向が確認された。この結果から、上記で説明した実施形態において第1の区間S
1をジッパーテープ120の長手方向中心120Cに対して偏心させることによって、内容物Cの加熱時のジッパーテープ120の変形が抑制されることがわかる。
【0055】
図15は、ジッパーテープの変形を抑制するための第2の検討例について説明するための図である。第2の検討例では、内容物Cの加熱時に第1の区間S
1に形成される蒸気出口の幅Wと、内容物Cの加熱後に測定されたジッパーテープ120の変形量dとの関係について検討した。なお、変形量dは、ジッパーテープ120の中央部(長手方向中心120C)、端部(サイドシール部113から10mm離れた位置)、および蒸気出口部(蒸気出口の幅方向中心)で測定した。なお開口幅は、180mmである。
【0056】
図16は、
図15に示す検討例の結果を示すグラフである。第1の区間S
1に形成される蒸気出口の中心のジッパーテープ120の長手方向中心120Cからの距離を15mmとし、蒸気出口の幅W(第1の区間S
1の長さ)を5mm、10mmおよび15mmで変化させた結果、蒸気出口の幅Wが大きいほど、ジッパーテープ120の変形量dが小さくなる傾向が確認された。この結果から上記で説明した実施形態において第1の区間S
1をジッパーテープ120の長手方向中心120Cに対して偏心させ、さらに蒸気出口の幅を調整することで、内容物Cの加熱時のジッパーテープ120の変形を抑制できることがわかる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0058】
100…ジッパーテープ付き袋、101…開口、110…フィルム、111A…第1面、111B…第2面、112…ボトムシール部、113…サイドシール部、120…ジッパーテープ、120C…長手方向中心、121A…第1基部条片、121B…第2基部条片、122A,123A…第1係合部、122B,123B…第2係合部、124…低接合強度層、140…接合領域、200…ジッパーテープ付き袋、220…ジッパーテープ、220C…長手方向中心、221A…第1基部条片、221B…第2基部条片、222A…第1係合部、222B…第2係合部、225…第1の部分、226…第2の部分、240…接合領域、300…ジッパーテープ付き袋、320…ジッパーテープ、320C…長手方向中心、321…第2基部条片、321A…第1基部条片、321B…第2基部条片、322A…第1係合部、322B…第2係合部、327…薄肉部、C…内容物、R1…第1の領域、R2…第2の領域、R3…第3の領域、S1…第1の区間、SP…収納空間。