(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20230914BHJP
B65D 43/02 20060101ALI20230914BHJP
B65D 1/10 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B65D41/04 300
B65D43/02
B65D1/10
(21)【出願番号】P 2019215381
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 崇志
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199296(JP,A)
【文献】特開2013-119408(JP,A)
【文献】特開2016-101961(JP,A)
【文献】米国特許第04289248(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 43/02
B65D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状を有する開口部を有した容器本体と、
前記開口部の外周面と螺合する内周面を有した螺子式外蓋と、を備え、
前記外周面と前記内周面とのいずれか一方が、第1部であり、
前記外周面と前記内周面とのうち前記第1部以外が、第2部であり、
前記第1部は、前記第2部に向けて突き出る複数の第1突起を備え、
前記第2部は、前記第1部に向けて突き出る第2突起を備え、
前記螺子式外蓋の螺合に際して前記第2突起が進む方向が螺合方向であり、
前記複数の第1突起は、前記各第1突起と前記第2部との間の距離が前記螺合方向に小さくなるように、前記第1部の周方向に並び、
前記複数の第1突起は、半円柱状であり、
前記第2突起は、前記螺合の完了前に前記複数の第1突起を通過し、少なくとも1つの前記第1突起と当接して当該第1突起を乗り越えるように構成されている
樹脂製容器。
【請求項2】
前記第1部は、前記開口部の外周面であり、
前記第2部は、前記螺子式外蓋の内周面である
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記第2突起は、上下方向において前記第1突起よりも長い
請求項1または2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記複数の第1突起は、第1突起群であり、
前記第1部は、前記周方向に等配された複数の前記第1突起群を備え、
前記第2部は、前記周方向に等配されて前記第1突起群と同数である複数の前記第2突起を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記第1部は、前記周方向に等配された複数の第1螺子山を備え、
前記第2部は、前記周方向に等配されて前記第1螺子山と同数である複数の第2螺子山を備え、
前記第1突起群は、各第1螺子山に1つずつ位置し、
前記第2突起は、各第2螺子山に1つずつ位置する
請求項4に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記周方向において互いに隣り合う前記第1突起の間隔は、当該間隔に位置する前記第2突起を前記周方向に移動可能にする大きさである
請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と外蓋との螺合によって容器本体を閉蓋する樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と外蓋とが螺合する樹脂製容器において、容器本体が2つの係合部を有し、外蓋が1つの被係合部を有する樹脂製容器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。こうした樹脂製容器では、容器本体に対して外蓋が螺合方向に回ることによって、2つの係合部の間に被係合部が入り込み、これによって、外蓋と容器本体との螺合が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、外蓋の螺合方向に向けた移動は、前段の係合部と後段の係合部との間に被係合部を入り込ませて、外蓋と容器本体との螺合を完了させる。被係合部が前段の係合部を乗り越えることは、音や振動などによる螺合感をユーザーに提供する。螺合感が提供されたユーザーは、容器本体と外蓋との螺合が適正に進められていることを認識する。こうした螺合感の提供には、被係合部が前段の係合部を乗り越えるような大きさが、容器本体の外周面と外蓋の内周面との距離である螺合隙間に求められる。
【0005】
一方で、内容物が電子レンジによって加熱される樹脂製容器では、加熱のたびに熱収縮が生じると共に、加熱の繰り返しによって熱収縮が蓄積される。例えば、容器本体のみが加熱される場合、あるいは、蓋体のみが加熱される場合のように、容器本体と外蓋との間で収縮量が異なる場合では、閉蓋された樹脂製容器において、螺合隙間に変化が生じる。そして、螺合隙間の増大、あるいは、螺合隙間の縮小が、上述した乗り越えを不能にして螺合感を低めてしまう。
【0006】
本発明の目的は、螺合感が低められることを抑制可能にした樹脂製容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する樹脂製容器は、筒状を有する開口部を有した容器本体と、前記開口部の外周面と螺合する内周面を有した螺子式外蓋と、を備える。前記外周面と前記内周面とのいずれか一方が、第1部である。前記外周面と前記内周面とのうち前記第1部以外が、第2部である。前記第1部は、前記第2部に向けて突き出る複数の第1突起を備え、前記第2部は、前記第1部に向けて突き出る第2突起を備える。前記螺子式外蓋の螺合に際して前記第2突起が進む方向が螺合方向である。前記複数の第1突起は、前記各第1突起と前記第2部との間の距離が前記螺合方向に小さくなるように、前記第1部の周方向に並ぶ。前記第2突起は、前記螺合の完了前に前記複数の第1突起を通過し、少なくとも1つの前記第1突起と当接して当該第1突起を乗り越えるように構成されている。
【0008】
上記構成によれば、容器本体の熱収縮量が螺子式外蓋の熱収縮量よりも大きい場合、第1部と第2部との距離は大きくなる。反対に、容器本体の熱収縮量が螺子式外蓋の熱収縮量よりも小さい場合、第1部と第2部との距離は小さくなる。そして、容器本体と螺子式外蓋との螺合が完了するときも、第1突起と第2部との間の距離は、各部材の熱収縮量に応じて変わる。
【0009】
ここで、上述した構成では、螺子式外蓋の螺合において第2突起が複数の第1突起を通過し、螺合が進むに連れて、第1突起のいずれかと第2突起とが当接しやすくなる。そして、第2突起が少なくとも1つの第1突起を乗り越えるように、複数の第1突起が並んでいる。結果として、第1部と第2部との距離が小さい場合であれ、第1部と第2部との距離が大きい場合であれ、第2突起がいずれかの第1突起を乗り越えるときに、螺合感の提供が行われる。
【0010】
上記樹脂製容器において、前記第1部は、前記開口部の外周面であり、前記第2部は、前記螺子式外蓋の内周面であってもよい。この構成によれば、開口部と螺子式外蓋との距離が小さい場合であれ、開口部と螺子式外蓋との距離が大きい場合であれ、第2突起がいずれかの第1突起を乗り越えるときに、螺合感の提供が行われる。
【0011】
上記樹脂製容器において、前記第2突起は、上下方向において前記第1突起よりも長くてもよい。
螺子式外蓋の螺合が進むに連れて、螺子式外蓋に位置する第2突起は、周方向に変位しながら下方にも変位する。この点、第2突起の上下方向における長さが第1突起よりも大きい構成であれば、螺子式外蓋の螺合が進むに連れて、上下方向に長い第2突起が下方に変位する。結果として、第2突起の上下方向における長さが短い構成と比べて、螺合の完了前に第2突起が複数の第1突起を通過すること、および、少なくとも1つの第1突起と第2突起とが当接して当該第1突起を乗り越えることを満たすことが容易となる。
【0012】
上記樹脂製容器において、前記複数の第1突起は、第1突起群であり、前記第1部は、前記周方向に等配された複数の前記第1突起群を備え、前記第2部は、前記周方向に等配されて前記第1突起群と同数である複数の前記第2突起を備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2突起が第1突起を乗り越えるタイミング、すなわち、螺合感の提供が行われるタイミングを、複数の第2突起において整合させることが可能となる。これにより、各第2突起が第1突起を乗り越えることによる螺合感を重畳させて強めることが可能となる。
【0014】
上記樹脂製容器において、前記第1部は、前記周方向に等配された複数の第1螺子山を備え、前記第2部は、前記周方向に等配されて前記第1螺子山と同数である複数の第2螺子山を備え、前記第1突起群は、各第1螺子山に1つずつ位置し、前記第2突起は、各第2螺子山に1つずつ位置してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1螺子山と第2螺子山との螺合の完了によって、容器本体と螺子式外蓋との螺合が完了する。そして、各第1螺子山に1つずつ第1突起群が位置し、各第2螺子山に1つずつ第2突起が位置するため、各第2突起が第1突起を乗り越えるタイミングと、各第2螺子山と第1螺子山との螺合が完了する前のタイミングとを整合させやすい。すなわち、螺合感の提供が行われるタイミングが螺合の完了前となるように、螺合感の提供が行われるタイミングと、螺合の進捗状況とを整合させやすい。
【0016】
上記樹脂製容器において、前記周方向において互いに隣り合う前記第1突起の間隔は、当該間隔に位置する前記第2突起を前記周方向に移動可能にする大きさであってもよい。
容器本体や螺子式外蓋が加熱される温度は、樹脂製容器の使用環境に応じて区々である。そして、容器本体の熱収縮量や螺子式外蓋の熱収縮量もまた、区々となる。結果として、容器本体と螺子式外蓋との螺合が完了した状態では、樹脂製容器の使用環境に応じて、第1突起群と第2突起との相対位置が区々となる。ここで、上述した従来例に記載のように、前段の係合部と後段の係合部との間に被係合部を入り込ませて、これにより、容器本体と螺子式外蓋との螺合を完了させる構成では、容器本体と螺子式外蓋との螺合が実際には完了していないにも関わらず、容器本体と螺子式外蓋との螺合が強制的に止められてしまう。この点、上記樹脂製容器によれば、周方向において互いに隣り合う第1突起の間隔で第2突起が周方向に移動可能であるから、本来進められるべき螺合がその途中で止められることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】樹脂製容器の一実施形態における斜視構造を示す分解斜視図。
【
図2】樹脂製容器の一実施形態における断面構造を示す断面図。
【
図3】樹脂製容器の一実施形態における容器本体の底面構造を示す底面図。
【
図4】第1突起群と蓋側突起とが当接した状態における部分拡大断面図。
【
図5】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図6】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図7】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図8】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図9】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図10】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図11】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図12】樹脂製容器の一実施形態における作用を示す作用図。
【
図13】変更例1における第1突起群および蓋側突起の構造を示す拡大断面図。
【
図14】変更例2における第1突起群および蓋側突起の構造を示す拡大断面図。
【
図15】変更例3における第1突起群および蓋側突起の構造を示す拡大断面図。
【
図16】変更例4における第1突起群および蓋側突起の構造を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[樹脂製容器]
図1から
図12を参照して樹脂製容器の一実施形態を説明する。
まず、
図1から
図3を参照して、樹脂製容器の構成を説明する。次いで、
図4から
図8を参照して、容器本体の熱収縮量が螺子式外蓋の熱収縮量よりも大きい場合の螺合について説明する。そして、
図9から
図10を参照して、螺子式外蓋の熱収縮量と容器本体の熱収縮量とがほぼ等しい場合の螺合について説明し、
図11から
図12を参照して、螺子式外蓋の熱収縮量が容器本体の熱収縮量よりも大きい場合の螺合について説明する。
【0019】
図1が示すように、樹脂製容器10は、有底筒状を有した容器本体20と、有蓋筒状を有した螺子式外蓋50とを備える。容器本体20は、容器螺子部25を備える。螺子式外蓋50は、容器螺子部25と螺合可能に構成されている。
【0020】
樹脂製容器10を構成する材料は、加熱によって熱収縮を生じる樹脂であって、例えば、結晶性樹脂、あるいは非結晶性樹脂である。結晶性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択されるいずれか一種である。非結晶性樹脂は、例えば、ポリスチレンである。容器本体20を構成する材料と、螺子式外蓋50を構成する材料とは、互いに等しくてもよいし、互いに異なってもよい。
【0021】
樹脂製容器10は、例えば、耐熱温度が140℃以下であり、内容物を電子レンジによって加熱可能に構成されている。樹脂製容器10は、電子レンジによる加熱を繰り返すことによって、加熱されるごとに熱収縮を生じさせると共に、加熱が繰り返されることによって熱収縮が蓄積される。なお、樹脂製容器10の柔軟性が得られる観点から、樹脂製容器10を構成する材料は、結晶性樹脂であることが好ましい。
【0022】
樹脂製容器10では、容器本体20の熱収縮量と螺子式外蓋50の熱収縮量とが互いに異なることによって、容器本体20の外周面と螺子式外蓋50の内周面との間の距離である螺合隙間HAが変化する。例えば、容器本体20の熱収縮量が螺子式外蓋50の熱収縮量よりも大きい場合、螺合隙間HAは大きく、容器本体20の熱収縮量と螺子式外蓋50の熱収縮量とが互いに等しい場合、螺合隙間HAは小さい。また、螺子式外蓋50の熱収縮量が容器本体20の熱収縮量よりも大きい場合、螺合隙間HAはさらに小さい。
【0023】
[容器本体]
容器本体20は、円筒状を有した周壁部22と、多角平板状を有した容器底壁部40とを備える。周壁部22と容器底壁部40とは、凹状を有した収容部21を区画する。収容部21は、食料品などの内容物を収容する。なお、樹脂製容器10において、容器本体20に対する螺子式外蓋50の側を上側、螺子式外蓋50に対する容器本体20の側を下側とも言う。
【0024】
周壁部22は、円筒状を有した壁である開口部23を備え、開口部23の外周面に容器螺子部25が位置する。開口部23は、容器本体20の上端面である頂面24を備える。容器螺子部25は、円筒状を有した1つの容器側螺子周壁26と、第1螺子山の一例である6本の容器螺子山27とを備える。各容器螺子山27は、容器側螺子周壁26の外周面において、容器側螺子周壁26の径方向外側に突出する突条である。6本の容器螺子山27は、容器側螺子周壁26の周方向において、互いに隣り合う容器螺子山27の端部同士が上下方向で重なるように、周方向に沿って等配されている。
【0025】
容器螺子山27の本数は、6本に限らず、1本以上であればよい。なお、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を完了するに際し、容器螺子山27の本数が多いほど、螺子式外蓋50の回転角度は小さい。例えば、容器螺子山27の本数が2本であれば、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を完了させるうえで、螺子式外蓋50の回転角度は、約180°である。一方で、容器螺子山27の本数が6本であれば、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を完了させるうえで、螺子式外蓋50の回転角度は、約60°で足りる。ただし、容器螺子山27の本数が過度に多い場合には、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合の強度が弱まる。そのため、容器螺子山27の本数は、上述した螺合時の利便性と螺合強度との観点から、適宜選択される。
【0026】
周壁部22は、円環板状を有したフランジ部30を備える。フランジ部30は、開口部23の一部であって、開口部23の下端部に位置する。フランジ部30は、開口部23における周方向の全体にわたり、開口部23における径方向の外側に突出する。フランジ部30は、開口部23の径方向において、容器本体20の機械的な強度を高める。フランジ部30は、フランジ部30の外周面に、さらに第1突起群31を備える。第1突起群31は、フランジ部30の周方向に沿って、間隔を空けて等配されている。第1突起群31は、各容器螺子山27に対して1つずつ存する。フランジ部30の外周面は、第1部の一例である。
【0027】
第1突起群31は、第1突起の一例である第1前段突起32、および第1後段突起33を備える。第1前段突起32、および第1後段突起33は、閉蓋された樹脂製容器10において、フランジ部30の外周面から螺子式外蓋50の内周面に向けて突出している。樹脂製容器10が閉蓋される際に、螺子式外蓋50が容器本体20に対して回転する一方向は、螺合方向RDである、すなわち、螺子式外蓋50の螺合に際して第2突起が進む方向である。第1後段突起33は、第1前段突起32に対する螺合方向RDに位置する。第1前段突起32と第1後段突起33とは、螺合方向RDにおいて、互いに離間している。
【0028】
フランジ部30の径方向において、第1前段突起32が突出する大きさは、第1後段突起33が径方向に突出する大きさよりも小さい。言い換えれば、閉蓋された樹脂製容器10において、螺子式外蓋50の内周面と第1前段突起32との距離は、螺子式外蓋50の内周面と第1後段突起33との距離よりも大きい。すなわち、螺子式外蓋50の内周面と第1突起群31との距離が螺合方向RDに向けて小さくなるように、第1前段突起32と第1後段突起33とが並ぶ。
【0029】
周壁部22は、フランジ部30の下端に、フランジ部30の周方向における全体にわたり上側波状壁48を有する。上側波状壁48は、下方に向けて突き出る波状を有する。上側波状壁48の上端は、フランジ部30と連設し、上側波状壁48の下端は、下側波状壁46と連設している。下側波状壁46は、上方に向けて突き出る波状を有し、下側波状壁46の下端が有する内径は、下方に向けて縮径されている。下側波状壁46の上端は、上側波状壁48と連設し、下側波状壁46の下端は、下側波状壁46が有する1つの波形状に対して、平面壁部45、および、角部44に1つずつ連設している。
【0030】
図3が示すように、平面壁部45と角部44とは、フランジ部30の周方向に沿って交互に並んでいる。平面壁部45は、フランジ部30の下方内側に向けた傾きを有する矩形平板状を有する。角部44は、互いに隣り合う平面壁部45の間に位置し、フランジ部30の下方内側に向けた傾きを有する三角板状を有する。角部44は、平面壁部45の間の境界部を面取りした形状を有する。平面壁部45と角部44とは、下方に向けて縮径された多角筒状を有する。平面壁部45の下端は、底曲部43と連設し、角部44の下端は、底曲角部47と連設している。底曲部43と底曲角部47とは、フランジ部30の周方向に沿って交互に並び、底曲部43の下端と底曲角部47の下端とは、容器底壁部40と連設している。
【0031】
容器底壁部40の下面は、4つの底支持部41を備える。容器底壁部40の下面中心には、ゲート痕42が位置する。各底支持部41は、ゲート痕42を中心とした円上に位置する弧状を有した突条である。各底支持部41は、樹脂製容器10が載置される載置面と接する。各底支持部41は、容器底壁部40の下面と載置面との隙間を形成して、樹脂製容器10が加熱された際に、放熱を促す。
【0032】
[螺子式外蓋]
図1に戻り、螺子式外蓋50は、円板状を有した蓋板部60と、円筒状を有した蓋周壁51とを備える。
【0033】
蓋周壁51は、蓋周壁51の周方向に沿って点在する複数の滑り止め部52を備える。滑り止め部52は、下方に向けて突き出る半円状の領域に小さい凹凸を有する。滑り止め部52は、例えば、サンドブラスト加工によって形成される。滑り止め部52は、螺子式外蓋50を容器本体20に螺合する際に、螺子式外蓋50に対して手が滑ることを抑制する。蓋周壁51と蓋板部60との境界部は、外周段差部57である。外周段差部57は、蓋板部60の外縁に連設されて、外周段差部57の下端から外側下方に向けて蓋周壁51が突出している。外周段差部57は、蓋板部60の外縁よりも外側に蓋周壁51を配置させる。
【0034】
蓋板部60は、蓋板部60の最外周に位置する蓋外周部61と、蓋中間部62と、蓋板部60の最内周に位置する蓋内周部63とを備える。蓋内周部63の中心には、ゲート痕64が位置している。蓋外周部61、および、蓋中間部62は、ゲート痕64を中心として互いに同心となる円環板状を有する。蓋外周部61と蓋中間部62との境界部、および、蓋中間部62と蓋内周部63との境界部は、下方に向けた段差を有する。蓋板部60は、蓋板部60の外周部からゲート痕64に向けて、各境界部の段差によって徐々に下方に窪んでいる。
【0035】
図2が示すように、蓋周壁51は、蓋側螺子部53、薄肉部56、および、アウターリング72を備える。蓋側螺子部53は、蓋側螺子周壁54と、第2螺子山の一例である蓋螺子山55とから構成される。蓋側螺子周壁54は、アウターリング72よりも外側に位置している。なお、蓋側螺子周壁54には、6つの蓋螺子山55が、周方向の全体にわたって位置している。6本の蓋螺子山55は、蓋側螺子周壁54の周方向において、互いに隣り合う蓋螺子山55の端部同士が上下方向で重なるように、周方向に沿って配置されている。すなわち、各蓋螺子山55は、別々の容器螺子山27と螺合可能に構成されている。薄肉部56は、蓋側螺子部53の下端に位置し、蓋側螺子周壁54よりも薄い。
【0036】
図3が示すように、薄肉部56の内周面は、第2部の一例であり、上下方向に延在する複数の蓋側突起58を備える。複数の蓋側突起58は、第2突起の一例であり、螺子式外蓋50の内周面に位置する、上下方向に延在した6つの突条である。蓋側突起58は、螺子式外蓋50の径方向において、螺子式外蓋50の内周面から容器本体20の外周面に突出する。蓋側突起58は、上下方向において、薄肉部56の下端から蓋側螺子部53の下端までの全体に位置する。蓋側突起58は、容器螺子部25と蓋側螺子部53とが螺合するときに、螺合の完了前に、第1前段突起32、あるいは第1後段突起33を螺合方向RDに乗り越えて、これによって、ユーザーに螺合感を提供する。
【0037】
6つの蓋側突起58は、薄肉部56の周方向に沿って、間隔を空けて等配されている。また、6つの第1突起群31もまた、フランジ部30の外周面に沿って、等間隔を空けて並んでいる。すなわち、蓋側突起58と第1突起群31との組合せは、各容器螺子部25に1組ずつ、また、各蓋側螺子部53に1組ずつである。容器螺子部25と蓋側螺子部53とが螺合するとき、各蓋側突起58は、別々の第1突起群31を同時期に乗り越える。そして、蓋側突起58と第1突起群31との全ての組みが、螺合感の提供に寄与する。
【0038】
蓋外周部61の下面における外周部は、下方に向けて開口したU字溝である容器挿入部70を備える。容器挿入部70は、蓋板部60のゲート痕64を中心とした円環状の突溝である。容器挿入部70は、外周壁から順に、アウターリング72、溝底壁73、および、インナーリング71を備える。
【0039】
インナーリング71は、蓋板部60の周方向に沿った円環突条であって、溝底壁73よりも径方向の内側に位置する。インナーリング71は、開口部23における周方向の全体にわたり、蓋板部60の下面から開口部23の内側に向けて突出する。アウターリング72とインナーリング71とは、U字溝の溝側壁を構成する。
【0040】
容器本体20の開口部23が有する頂面24は、閉蓋された樹脂製容器10において、容器挿入部70に挿入される。容器挿入部70に挿入された開口部23の頂面24は、容器挿入部70の底面と密着し、これによって、樹脂製容器10の閉蓋、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が完了する。
【0041】
[突起]
図4は、第1後段突起33と蓋側突起58とが当接して、蓋側突起58が紙面奥側から紙面手前側に向けて第1後段突起33を乗り越えるときの状態を示す。
【0042】
図4が示すように、蓋側突起58は、第1後段突起33に対する紙面奥側に位置し、破線によって示されている。蓋側突起58は、上下方向に延在する半円柱状を有し、薄肉部56の内面において、薄肉部56の上下方向の全体にわたって位置する。蓋側突起58の上下方向における長さは、薄肉部56の上下方向における長さと等しい。薄肉部56と蓋側螺子周壁54との境界から薄肉部56の下端までの距離は、第2突起高さFTである。蓋側突起58の上下方向における長さは、第2突起高さFTと等しい。
【0043】
第1前段突起32、および第1後段突起33は、上下方向に延在する半円柱状を有する。第1突起群31は、フランジ部30の外周面において、フランジ部30の上下方向にわたって位置する。第1後段突起33の上下方向における長さは、フランジ部30の上下方向における長さと等しい。フランジ部30の上端から下端までの距離は、第1突起高さYTである。第1突起高さYTは、第2突起高さFTよりも短い。
【0044】
蓋側突起58の位置は、螺子式外蓋50の螺合が完了するまでに、第1後段突起33に向けて螺合方向RDに進み、かつ、第1後段突起33に向けて下方に変位する。このように変位する蓋側突起58と第1後段突起33とが、螺合の完了前に当接するように、第1後段突起33の螺合方向RDにおける位置、第1後段突起33の周方向における位置、および第2突起高さFTが設定されている。また、蓋側突起58と第1後段突起33とが、螺合の完了前に互いを乗り越えるように、第1後段突起33の螺合方向RDにおける位置、および第1後段突起33の周方向における位置が設定されている。
【0045】
例えば、互いに螺合する容器螺子山27と蓋螺子山55との組において、容器螺子山27に対応する蓋側突起58は、螺合方向RDにおいて、容器螺子山27の先端近傍に位置する。また、蓋螺子山55に対応する第1後段突起33は、螺合方向RDにおいて、蓋螺子山55の先端近傍に位置する。これによって、容器螺子山27の先端と蓋螺子山55の先端との螺合の完了前に、これらに対応する蓋側突起58と第1後段突起33とが当接して互いを乗り越える。
【0046】
蓋側螺子周壁54の外周壁と内周面との間の径方向における長さは、雌螺子厚さNAである。薄肉部56の外周面と内周面との間の径方向における長さは、薄肉厚さUAである。雌螺子厚さNAは、薄肉厚さUAよりも大きい。雌螺子厚さNAが薄肉厚さUAよりも大きいことは、蓋側螺子周壁54の機械的な強度を高めて、螺子式外蓋50の変形を抑制する。薄肉厚さUAが雌螺子厚さNAよりも小さいことは、第1後段突起33と蓋側突起58とが互いを乗り越える程度の隙間を、フランジ部30と薄肉部56との間に、確保しやすくする。
【0047】
蓋側螺子周壁54の内周面と樹脂製容器10の中心軸CAとの間の径方向における距離は、第1蓋内径NWである。薄肉部56の内周面と樹脂製容器10の中心軸CAとの間の径方向における距離は、第2蓋内径KWである。第1蓋内径NWは、第2蓋内径KWよりも短く、蓋側螺子周壁54の内周面は、蓋側突起58よりも径方向の内側に位置する。蓋側螺子周壁54が蓋側突起58よりも径方向の内側に位置することは、射出成型における型抜きの際に、螺子式外蓋50の内側に位置する金型を下方向に抜き出しやすくする。
【0048】
[作用]
図5から
図8を参照して、容器本体20の熱収縮量が螺子式外蓋50の熱収縮量よりも大きい場合の螺合感の提供について説明する。
図5は、蓋側突起58が螺合方向RDに対して、第1突起群31の手前に位置することを示す。また、
図5には、螺子式外蓋50の熱収縮量と容器本体20の熱収縮量とがほぼ等しい場合におけるフランジ部30の外周面3Sの位置を二点鎖線で示す。
【0049】
図5が示すように、螺合方向RDに向けて、蓋側突起58、第1前段突起32、第1後段突起33の順に位置する。蓋周壁51の内周面5Sから蓋側突起58が突出する大きさは、蓋側突出量H0である。フランジ部30の外周面3Sから第1前段突起32が突出する大きさは、第1前段突出量HSである。フランジ部30の外周面3Sから第1後段突起33が突出する大きさは、第1後段突出量HHである。第1前段突起32と第1後段突起33との間の周方向における距離は、離間距離BWである。離間距離BWは、蓋側突起58が有する周方向の距離よりも十分に大きく、第1前段突起32と第1後段突起33との間において、蓋側突起58が移動することを許容する。蓋周壁51の内周面5Sとフランジ部30の外周面3Sとの間の距離は、螺合隙間HAである。
【0050】
例えば、容器本体20のみが加熱される場合などのように、容器本体20の熱収縮量が螺子式外蓋50の熱収縮量よりも大きい場合では、閉蓋をはじめられた樹脂製容器において、第1前段突起32と第1後段突起33とが、蓋側突起58に対して内側に変位しており、螺合隙間HAが広がっている。
【0051】
ここで、容器本体20の熱収縮量が螺子式外蓋50の熱収縮量よりも大きい場合では、蓋側突出量H0と第1前段突出量HSとの合計が、螺合隙間HAよりも小さくなるように、第1前段突起32、第1後段突起33、および蓋側突起58が配置されている。結果として、
図6が示すように、螺合方向RDに向けて進む蓋側突起58は、第1突起群31を通過するとき、第1前段突起32と当接せずに第1前段突起32を通過して、第1後段突起33に向けて進む。
【0052】
一方で、容器本体20の熱収縮量が螺子式外蓋50の熱収縮量よりも大きい場合では、蓋側突出量H0と第1後段突出量HHとの合計は、螺合隙間HAよりも大きい。そのため、
図7が示すように、第1前段突起32を通過した蓋側突起58は、第1後段突起33と当接し、蓋側突起58の進行を一旦止める。そして、蓋側突起58と第1後段突起33とが当接することによる抵抗感が、螺合感として提供される。
【0053】
次いで、螺合方向RDに向けた応力を蓋側突起58が受けると、
図8が示すように、蓋側突起58が第1後段突起33を乗り越える。蓋側突起58が第1後段突起33を乗り越えるとき、蓋側突起58の弾性変形や第1後段突起33の弾性変形が生じ、弾性変形によって生じる音や振動が、螺合感として提供される。そして、蓋側突起58が螺合方向RDに向けてさらに進むと、螺合の進行と共に、容器挿入部70の底面と開口部23の頂面24とが密着し、これによって、樹脂製容器10の閉蓋、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が完了する。
【0054】
次に、
図9を参照して、螺子式外蓋50の熱収縮量と容器本体20の熱収縮量とがほぼ等しい場合の螺合感の提供について説明する。
図9は、蓋側突起58が螺合方向RDに対して、第1突起群31の手前に位置することを示す。
【0055】
例えば、樹脂製容器が出荷後から未加熱である場合などのように、容器本体20の熱収縮量と螺子式外蓋50の熱収縮量とがほぼ等しい場合では、閉蓋をはじめられた樹脂製容器において、第1前段突起32と第1後段突起33とは、
図5に示した状態よりも、蓋側突起58に近い。
【0056】
ここで、容器本体20の熱収縮量と螺子式外蓋50の熱収縮量とがほぼ等しい場合、蓋側突出量H0と第1前段突出量HSとの合計が、螺合隙間HAよりも大きくなるように、第1前段突起32、第1後段突起33、および蓋側突起58が配置されている。結果として、
図9が示すように、螺合方向RDに向けて進む蓋側突起58は、第1突起群31に当接し、蓋側突起58の進行を一旦止める。そして、蓋側突起58と第1前段突起32とが当接することによる抵抗感が、螺合感として提供される。
【0057】
次いで、螺合方向RDに向けた応力を蓋側突起58が受けると、
図10が示すように、蓋側突起58が第1前段突起32を乗り越える。蓋側突起58が第1前段突起32を乗り越えるとき、蓋側突起58の弾性変形や第1前段突起32の弾性変形が生じ、弾性変形によって生じる音や振動が、螺合感として提供される。そして、蓋側突起58が螺合方向RDに向けてさらに進むと、蓋側突起58が第1前段突起32と第1後段突起33との間を移動し、蓋側突起58は、第1後段突起33に当接して第1後段突起33も乗り越える。
これによって、樹脂製容器10の閉蓋、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が完了する。あるいは、蓋側突起58は、第1後段突起33に当接して止まり、これによって、樹脂製容器10の閉蓋、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が完了する。
【0058】
次に、
図11及び
図12を参照して、螺子式外蓋50の熱収縮量が容器本体20の熱収縮量よりも大きい場合の螺合感の提供について説明する。
図11を参照に、螺合完了時における蓋側突起58が第1前段突起32より手前に位置する場合について説明する。次いで、
図12を参照に、螺合完了時における蓋側突起58が第1前段突起32と第1後段突起33との間に位置する場合とについて説明する。なお、
図11及び
図12には、螺子式外蓋50の熱収縮量と容器本体20の熱収縮量とがほぼ等しい場合における蓋周壁51の内周面5Sの位置を二点鎖線で示す。
【0059】
図11が示すように、容器本体20が未加熱品であって螺子式外蓋50が加熱品である場合などのように、螺子式外蓋50の熱収縮量が容器本体20の熱収縮量よりも大きい場合では、閉蓋をはじめられた樹脂製容器において、第1前段突起32と第1後段突起33とは、
図9に示した状態よりも、蓋側突起58に近い。言い換えれば、螺合隙間がさらに狭まった状態である。
【0060】
そして、蓋側突起58が第1前段突起32より手前に位置する状態からさらに螺合が進むと、蓋側突起58は、第1前段突起32と当接して第1前段突起32を乗り越える。この際、蓋側突起58と第1前段突起32とが当接することによる抵抗感、および、蓋側突起58が第1前段突起32を乗り越えるときの音や振動は、螺合感として提供される。
【0061】
図12が示すように、螺合方向RDに向けた応力を蓋側突起58がさらに受けると、蓋側突起58は、第1後段突起33に当接するが、螺合隙間HAが狭まっていることにより、第1後段突起33を乗り越えられず、これによって、螺合が完了する。あるいは、蓋側突起58は、螺合隙間HAが狭まっていることにより、第1後段突起33まで到達せず、蓋周壁51の内周面5Sと接触して止まり、これによって、螺合が完了する。
【0062】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第1突起群31は、螺合隙間HAが大きい場合に蓋側突起58が乗り越える第1後段突起33を備え、さらに、螺合隙間HAが小さい場合に蓋側突起58が乗り越える第1前段突起32を備える。そのため、螺合隙間HAが熱収縮によって変化しても、螺合感の提供を行うことが可能である。
【0063】
(2)螺子式外蓋50の螺合が進むに連れて、螺子式外蓋50に位置する蓋側突起58は、周方向に変位しながら下方にも変位する。この際、蓋側突起58の上下方向における長さが、第1突起群31の上下方向における長さよりも大きい構成であれば、螺子式外蓋50の螺合が進むに連れて、上下方向に長い蓋側突起58が下方に変位する。これによって、蓋側突起58が第1突起群31に横切られる確度を高めることが可能となる。
【0064】
結果として、蓋側突起58の上下方向における長さが短い構成と比べて、螺合の完了前に蓋側突起58が第1突起群31を通過することが容易となる。また、第1前段突起32と蓋側突起58とが当接して蓋側突起58が第1前段突起32を乗り越えること、あるいは第1後段突起33と蓋側突起58とが当接して蓋側突起58が第1後段突起33を乗り越えることを満たすことが容易となる。
【0065】
(3)フランジ部30の外周面は、周方向に等配された複数の第1突起群31を備え、薄肉部56の内周面は、周方向に等配されて第1突起群31と同数である複数の蓋側突起58を備える。これによって、蓋側突起58が第1前段突起32や第1後段突起33を乗り越えるタイミング、すなわち、螺合感の提供が行われるタイミングを、複数の蓋側突起58において整合させることが可能となる。これにより、各蓋側突起58が第1突起群31を乗り越えることによる螺合感を重畳させて強めることが可能となる。
【0066】
(4)各容器螺子山27に1つずつ第1突起群31が位置し、各蓋螺子山55に1つずつ蓋側突起58が位置するため、各蓋側突起58が第1突起群31を乗り越えるタイミングと、各蓋螺子山55と容器螺子山27との螺合が完了するタイミングとを整合させやすい。すなわち、螺合感の提供が行われるタイミングが螺合の完了前となるように、螺合感の提供が行われるタイミングと、螺合の進捗状況とを整合させやすい。
【0067】
(5)容器本体20や螺子式外蓋50が加熱される温度は、樹脂製容器10の使用環境に応じて区々である。そして、容器本体20の熱収縮量や螺子式外蓋50の熱収縮量もまた、区々となる。結果として、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が完了した状態では、樹脂製容器10の使用環境に応じて、第1突起群31と蓋側突起58との相対位置が区々となる。
【0068】
ここで、第1前段突起32と第1後段突起33との間に蓋側突起58を入り込ませて、これにより、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を完了させる構成では、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が実際には完了していないにも関わらず、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が強制的に止められてしまう。例えば、蓋側突起58は、螺合の開始から螺合の完了までに、フランジ部30の周方向に沿って所定の螺合距離だけ回転することを要する。ここで、螺子式外蓋50が熱収縮せずに容器本体20が熱収縮した場合、フランジ部30のなかで螺合の開始時における蓋側突起58と対向する位置と、螺合の開始時における第1突起群31との間の螺合方向RDの距離は、容器本体20が熱収縮した分だけ螺合距離よりも短くなる。結果として、第1前段突起32と第1後段突起33との間に蓋側突起58が入り込むことが、容器挿入部70の底面と開口部23の頂面24との密着、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合の完了よりも先行してしまう。
【0069】
この点、上記樹脂製容器10によれば、第1前段突起32と第1後段突起33との間隔で蓋側突起58が周方向に移動可能であるから、本来進められるべき螺合がその途中で止められることが抑制される。
【0070】
(6)フランジ部30の外周面は、容器本体20の最表面であって、樹脂製容器10のなかで洗浄を行うことが比較的に容易な部分であり、また、樹脂製容器10のなかで比較的に加工が容易な部分である。この点、第1前段突起32と第1後段突起33とから構成される第1突起群31が、フランジ部30の外周面に位置するため、上記(1)から(5)に準じた効果を得るうえで、樹脂製容器10の洗浄性が低下すること、および樹脂製容器10の製造が困難になることを抑制可能でもある。
【0071】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
[変更例1:中間突起]
図13が示すように、複数の係合部を有する第1突起群31は、第1前段突起32と第1後段突起33との間に中間突起34を更に備えてもよい。中間突起34が突出する大きさである突出量CHは、第1前段突起32が突出する大きさよりも大きく、かつ、第1後段突起33が突出する大きさよりも小さい。螺合方向RDにおいて、中間突起34は、第1前段突起32と第1後段突起33との間に位置する。第1前段突起32と中間突起34との間の螺合方向RDにおける距離BWAは、中間突起34と第1後段突起33との間の螺合方向RDにおける距離BWBと等しくてもよいし、異なってもよい。
【0072】
中間突起34を備える構成であれば、より適切な螺合感を提供すること、あるいは、螺合感が得られる温度の範囲を広げることが可能である。
例えば、第1前段突起32と第1後段突起33との間の離間距離BWが上述した実施形態と同様である場合、第1突起群31のなかでより好適な螺合感を提供する突起と蓋側突起58とを第1突起群31のなかから選択的に当接させることが可能である。また、例えば、第1前段突起32と第1後段突起33との間の離間距離BWが上述した実施形態よりも大きい場合、より大きな熱収縮差においても、螺合感の提供が可能である。
【0073】
[変更例2:第3突起]
図14に示すように、第1後段突起33の螺合方向RDに、第3突起35を備えてもよい。第3突起35の突出量HTは、第1後段突出量HHよりも高い。第1後段突起33と第3突起35との周方向における距離TWは、離間距離BWよりも十分に小さく、例えば、蓋側突起58の周方向における距離と略等しく、第1後段突起33と第3突起35との間に蓋側突起58を係止可能な大きさである。
【0074】
この構成によれば、第1後段突起33を乗り越えた蓋側突起58が、第1後段突起33と第3突起35との間に係止される。そのため、蓋側突起58が螺合方向RDとは反対方向に進むこと、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が弛むことが抑制可能ともなる。
【0075】
[変更例3:合一突起]
図15が示すように、第1前段突起32と第1後段突起33とは、2つの突起が合一した形状を有する1つの突起であってもよい。例えば、第1前段突起32と第1後段突起33との間には、第1前段突起32と第1後段突起33とを連結する突起連結部36が備えられてもよい。
【0076】
この構成によれば、第1前段突起32を乗り越えた蓋側突起58が、突起連結部36が突出する分だけ、第1前段突起32と第1後段突起33との間で突起連結部36と当接し得る。そのため、第1前段突起32を乗り越えた蓋側突起58が螺合方向RDとは反対方向に進むこと、すなわち、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が弛むことが抑制可能ともなる。
【0077】
[変更例4:突起の数量]
図16が示すように、螺子式外蓋50は、2つの蓋側突起80,81を備えてもよく、また、容器本体20は、2つの第1前段突起32,37と、2つの第1後段突起33,38とを備えてもよい。この際、2つの蓋側突起80,81の周方向における間隔は、2つの第1前段突起32,37の周方向における間隔、および2つの第1後段突起33,38の周方向における間隔と互いに等しい。
【0078】
こうした構成において、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が進められると、蓋側突起80,81は、第1前段突起32,37と当接せずに、第1前段突起32,37を螺合方向RDに通過する。続いて、第1前段突起32,37を通過した蓋側突起81は、第1後段突起33と当接し、第1後段突起33を乗り越えた後に、第1後段突起38と当接する。この際、第1前段突起32,37を通過した蓋側突起81は、第1後段突起33と当接する。そして、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合が進められると、2つの蓋側突起80,81は、別々の第1後段突起33,38を同じタイミングで乗り越える。これによって、より強い螺合感を提供することが可能となる。
【0079】
・第1突起群31と蓋側突起58との組合せは、螺子山に1組みずつに限らず、例えば、2つの螺子山に1組みずつであってもよく、1つの螺子山に2組ずつであってもよい。
・容器本体20は、上下方向に並ぶ複数の第1突起群31を備えてもよい。この際、螺子式外蓋50は、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を通じて各第1突起群31と係合するように、複数の蓋側突起58を備えてもよい。
【0080】
・第1突起群31の位置は、フランジ部30に限らず、開口部23に変更可能である。この際、容器本体20は、フランジ部30を割愛された構成であってもよい。要は、第1突起群31は、容器本体20と螺子式外蓋50との螺合を通じて蓋側突起58と係合するように、容器本体20に位置する構成であればよい。
【符号の説明】
【0081】
10…樹脂製容器
20…容器本体
23…開口部
30…フランジ部
31…第1突起群
50…螺子式外蓋
56…薄肉部
58…蓋側突起
60…蓋板部
RD…螺合方向