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特許7349362化合物、化合物の製造法、富化抽出物、富化抽出物の活性な分画、富化抽出物の製造法、富化抽出物を製造するため植物バイオマスを選択する方法、免疫障害を治療するための組成物とその利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-13
(45)【発行日】2023-09-22
(54)【発明の名称】化合物、化合物の製造法、富化抽出物、富化抽出物の活性な分画、富化抽出物の製造法、富化抽出物を製造するため植物バイオマスを選択する方法、免疫障害を治療するための組成物とその利用
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/94 20060101AFI20230914BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/35 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/215 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
C07D311/94 101
C07D311/94 CSP
A61P37/06
A61P17/00
A61K36/185
A61K31/35
A61K31/215
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019544005
(86)(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 BR2018050037
(87)【国際公開番号】W WO2018148816
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】BR1020170033180
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509231204
【氏名又は名称】アシェ ラボラトリオス ファルマセウチコス ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーノ ラッチ ウェルネック ギマランイス
(72)【発明者】
【氏名】カルロス エドゥアルド ビトル
(72)【発明者】
【氏名】リサンドラ ラバネッリ ペッサ
(72)【発明者】
【氏名】ロムロ ドラガーニ レイス
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドラ マスカレッロ
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド エンリケ デ ソウザ ガマ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-024670(JP,A)
【文献】特開平03-066682(JP,A)
【文献】特表2010-518127(JP,A)
【文献】Journal of the Amerian Chemical Society,1941年,63,1558-63
【文献】Pharmacia Sinica,2011年,2(3),207-210
【文献】Org. Biomol. Chem.,2016年,14,1244-1251
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 311/94
A61P 37/06
A61P 17/00
A61K 36/185
A61K 31/35
A61K 31/215
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イポラミイド誘導体である、下記一般式C:
【化1】
{ここで、Rは、Hに対応し;R1、R1'、R1"は、HまたはOHに対応し;R2は、H、COOH、COOCH3、またはCHOに対応し;R3は、HまたはOHに対応し;R4、R4'は、H、OH、CH2OH、またはCH3に対応する}
の化合物。
【請求項2】
下記:
【化2】
から選択される、化合物。
【請求項3】
CD8+ T細胞の活性化阻止とIFN-γの分泌減少のための、請求項1記載の式Cの化合物または請求項2に記載の化合物を含む組成物。
【請求項4】
白斑の治療における使用のための、請求項1記載の式Cの化合物または請求項2に記載の化合物を含む組成物。
【請求項5】
治療に有効な量の請求項1記載の式Cの化合物または請求項2に記載の化合物、および医薬として許容可能なビヒクルを含み、場合によりイポラミイドをさらに含む、CD8+ T細胞の活性化阻止とIFN-γの分泌減少のための医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の式Cの化合物または請求項2に記載の化合物が富化された抽出物の製造法であって、
a)ナガボソウ属の植物から得られるイポラミイドの含有量が2.5%~3.5%である投入植物バイオマスを選択する工程と;
b)工程a)で選択されたバイオマスを、湿度が10~12%に安定するまで40~80℃の温度のオーブンで乾燥させる工程と;
c)該植物バイオマスを粉砕する工程と;
d)以下の工程:
i.該植物バイオマスを、常に撹拌しながら70~100℃の温度に加熱する工程と;
ii.該植物バイオマスを室温で浸軟する工程と;
iii.該植物バイオマスを70~100℃の温度に加熱する工程
を通じて該植物バイオマスを抽出する工程
を含む、上記抽出物の製造法。
【請求項7】
iv.前記抽出物を濾過して濃縮する工程と;
v.除湿器に接続されたスプレー乾燥器の中で、入口温度を155~165℃、出口温度を85~95℃にして1~60秒間乾燥させる工程
をさらに含む、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項8】
工程d)iiiの前記植物バイオマスの加熱を5~30分間実施する、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項9】
工程d)iの前記植物バイオマスの加熱を5~15時間実施する、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項10】
前記投入植物バイオマスが、ナガボソウ属の植物の空中部分を含む、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項11】
前記植物がウスイロホナガソウである、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項12】
水性抽出を含む、請求項6に記載の抽出物の製造法。
【請求項13】
請求項1記載の式Cの化合物または請求項2に記載の化合物が富化された、ナガボソウ属の植物に由来する抽出物。
【請求項14】
CD8+ T細胞の活性化阻止とIFN-γの分泌減少のための、請求項13に記載のナガボソウ属の植物に由来する抽出物。
【請求項15】
白斑の治療における使用のための、請求項14に記載の抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の発明は、ナガボソウ(Stachytarpheta)属の植物に由来していて免疫抑制活性を有する新規かつ進歩性のある単離された化合物および抽出物と、この植物に由来するイポラミイドから化合物と抽出物を製造する方法を記述している。そこで本出願は、新規かつ進歩性のある組成物と、免疫障害を治療するためのその利用も記述している。本発明は、薬学、医学、化学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫障害(immnological disorders)
免疫障害は、免疫系のあらゆる不均衡または機能不全であると見なすことができる。免疫系は主に、外部因子または未知因子に対する身体の防御を、有害な抗原を認識してその抗原と闘う抗体を通じて支援する役割を主に有する。
【0003】
自己免疫疾患は、生体が自身の分子に対する抗体を産生し始める免疫障害の一例であり、内在性因子と外来性因子を区別しない。そのような場合には、患者がこのタイプの異常によって引き起こされる症状を緩和するのを助けるため、免疫抑制活性を有する薬が強く望まれる。
【0004】
自己免疫疾患は、関節リウマチと自己免疫性甲状腺炎を除くと個人が発症することは稀だが、合計すると西側諸国の人口の約5%が罹患している。その病因は完全にはわかっていない。臓器特異的な自己免疫疾患と全身性自己免疫疾患では、免疫系が自己を非自己から識別する能力が失われていることが観察されている。自己寛容と呼ばれるこの能力は、免疫を担当するB細胞とT細胞において、中枢性機構と末梢性機構の両方によって維持されている。自己寛容の喪失は、内因性の原因または外因性の原因による可能性がある。環境因子(細菌やウイルスの感染など)と、物理的因子や化学的因子(UV、殺虫剤、薬など)への曝露が、外因性の原因の例である。内因性の原因、すなわち個人の特徴に関係する原因は、通常は、遺伝子の制御下にあるホルモン因子に加え、組織適合性分子の多型、自然免疫の成分(補体系、トル様受容体など)、獲得免疫の成分(調節性リンパ球、サイトカインなど)に関係している。
【0005】
自己免疫疾患における治療戦略は主に、免疫抑制剤を用いて免疫系を抑制することからなり、免疫抑制剤は、免疫が発達する初期段階を抑制するように作用する。この治療法は免疫を選択的に抑制しているのではないため、多彩な抗体が開発されることになった。生物剤を用いるとサイトカインの効果を抑制することができる。抗サイトカインモノクローナル抗体を用いたり、サイトカインに結合して標的細胞に対するその効果を阻止する可溶性受容体を使用したりするとき、そのようなことが起こる。サイトカインは、元のサイトカインの効果を模倣する類似した組み換えタンパク質による生物学的療法でも用いられている。抗サイトカイン療法における主要な治療標的は、炎症促進サイトカインであるインターロイキン-1(IL-1)、TNFα、IL-6であり、主要なサイトカインアゴニスト療法は、I型インターフェロン(IFN)を用いて実施される。I型インターフェロンのファミリーの中では、IFNαとIFNβの組み換えタンパク質が、臨床において主にウイルス性肝炎(B型肝炎とC型肝炎)の治療と多発性硬化症の治療にそれぞれ用いられている。後者に関しては、提案されている作用機構は、IFNβがIFNγに対して及ぼす拮抗性であり、それが、多発性硬化症の生理病理学において非常に重要である。IFNαも、皮膚粘膜、眼、神経に現われたベーチェット病とチャーグ-ストラウス症候群の治療に用いられてきた。フォントリズマブは、ヒト化抗IFNγ剤であり、樹状細胞に異常がある患者で評価されて良好な結果が得られている。
【0006】
モノクローナル抗体は、特異性と大きな選択性がある標的化療法であるため、従来の治療法と比べて自己免疫疾患の治療に有利である。しかしモノクローナル抗体は、自己免疫疾患をコントロールするに従来の治療法が有効でないときに第2の選択肢として使用される。モノクローナル抗体には、効果が限定されることに加え、コストと入手しやすさに関するいくつかの制約もある。いくつかの自己免疫疾患には、患者によく忍容される有効な治療法が相変わらず存在していない。
【0007】
何百年にもわたって天然の産物がさまざまな疾患の治療に用いられてきた。最近、免疫抑制効果を有する植物製品の新たな研究に多大な努力が払われている。例えばアメリカ合衆国で実施されたいくつかの臨床試験では、関節リウマチの患者におけるトリプテリジウム・ウィルフォルディ(T. wilfordii)抽出物の顕著な利点がすでに示されている。いくつかの種でその活性成分の作用機構が報告されているとはいえ、免疫に基づく疾患でのインビトロと生体内の研究と将来の臨床試験に関しては、まだ探索すべき広大な分野が存在している。これら天然の産物は、自己免疫疾患の治療での有効性を保証するため、適切な医薬組成物に製剤化する必要がある。
【0008】
これまで有効な薬が存在しておらず、ましてや天然の抽出物から得られる薬の選択肢は存在しない自己免疫疾患の例として、白斑が挙げられる。白斑は一般に、機能するメラノサイトの喪失と関係していて、ヒトで最も一般的な後天的色素消失異常であると見なされており、世界の人口の少なくとも0.5%が罹患している。白斑は、上皮メラノサイトが失われる結果として白い斑点が発達することを特徴としている。その結果として、メラノサイトに対する特異的細胞傷害免疫反応を通じて細胞が破壊されるとともに、その接着系にダメージが及ぶ可能性がある。
【0009】
遺伝的傾向、環境による活性化、代謝異常、免疫反応と炎症反応の変化など、多くの機構が白斑と結び付けられてきた。それに加え、紫外光線や酸化ストレスへの曝露などの条件が、この白斑を悪化させることが知られている。
【0010】
この疾患の最初の発症に関する具体的な知識が欠けているため、いくつかの研究で、この発症に関与する生物学的経路の解明が試みられている。その大半は、そのような疾患が複雑で困難なものであることを示しているため、効果的な治療法を見いだすのは非常に困難である。たいていの免疫障害は社会的インパクトが大きく、患者に高レベルの心理的ストレスを引き起こすことを忘れてはならない。今日まで、白斑を治癒させることのできる介入法は存在していない。
【0011】
そのため、免疫抑制活性を促進できて長期にわたって効果がある新たな化合物を同定することが大いに必要とされるようになっている。そこで本発明は、免疫障害の治療におけるこのギャップに、単離されたときに免疫活性を示す新規な化合物と、さまざまな活性な化合物を含んでいて独自かつ進歩性のあるやり方で得られる活性な抽出物によって対処する。
【0012】
白斑に関する科学的知識の複雑さと欠如が強調されてきたため、これまでは、元のままの形態のイポラミイドの構造が、白斑がある患者の治療にとって重要な免疫抑制活性と結び付いている可能性があると考えられていた。しかし本発明では、この活性が、イポラミイドの特別な誘導体からと、そのような化合物を含み、好ましくは本明細書に記載した独自かつ進歩性のある製造方法によって得られる抽出物から生じることを示す。化合物と抽出物の両方が免疫抑制活性を示すことが、実験で確認された。この活性を、本明細書では、CD8+ T細胞の活性化阻止とIFN-γの分泌減少によって証明した。患者の皮膚内のこれら成分の定量に関する最近の臨床での知見に照らし、この機構が白斑にとって有望であることが示されている。具体的には、高濃度のCD8+ T細胞とIFN-γは、メラノサイトのアポトーシスと結び付いているため、これらの調節(modulation)が、有望な作用機構である。
【0013】
本発明の教示内容を予期または示唆する文献は見当たらなかったことを、文献調査から導出することができる。そのため本明細書に提示する技術的解決法は、先行技術に照らして新規性と進歩性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、イポラミイドから誘導されて免疫抑制活性を有する新規かつ進歩性のある化合物を記述する。したがってこの化合物は、免疫障害の治療に用いることができる。それに加え、本発明は、イポラミイドから誘導されたその化合物が富化されていて、独自な製造方法を通じて得られ、免疫抑制活性も有する植物抽出物を記述している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって本発明の1つの目的は、一般式の化合物:
【化1】
を含むイポラミイド誘導体である。
【0016】
ここで、Rは、H、OH、OGlyc(グリコシド)に対応し;R1、R1'、R1"は、H、OHに対応し;R2は、H、COOH、COOCH3、CH3、CHOに対応し;R3は、H、OH、CH3に対応し;R4、R4'は、H、OH、CH2OH、CH3に対応し;R5、R5'は、H、CH3、COOCH3、CHO、CH2OHに対応し;R6は、CHO、COOH、COOCH3に対応し;R7は、H、CH3に対応し;そして点線の結合は、炭素間の単結合(C-C)または二重結合(C=C)(構造1つにつき二重結合は2つまで)を表わす。そして、
式(I)はフルボイポラミイドを含まない。
【0017】
好ましい一実施形態では、本発明の少なくとも1つの好ましい化合物は、以下の構造:
【化2】
を含む群から選択することができる。
【0018】
この好ましい実施形態では、一般式(I)の化合物は、式(IV)、(V)、(VIII)、(IX)の化合物を含んでおり、一般式(II)の化合物は、式(VII)(X)、(XI)の化合物を含んでいる。
【0019】
免疫障害を治療する方法も本発明の1つの目的であり、この方法は、一般式(I)および/または(II)の化合物を、免疫抑制効果を提供するのに十分な量で患者に投与することを含んでいる。好ましい一実施形態では、この治療法は、白斑を治療することを目的としている。
【0020】
そのため免疫障害を治療するための組成物において、一般式(I)および/または(II)の少なくとも1つの化合物を用いることも考えられる。
【0021】
さらに、免疫障害を治療するための医薬組成物も本発明の1つの目的であり、この医薬組成物は、以下の一般式の化合物:
a)
【化3】
および/または
b)
【化4】
含む群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいる。
【0022】
ここで、Rは、H、OH、OGIyc(グリコシド)に対応し;R1、R1'、R1"は、H、OHに対応し;R2は、H、COOH、COOCH3、CH3、CHOに対応し;R3は、H、OH、CH3に対応し;R4、R4'は、H、OH、CH2OH、CH3に対応し;R5、R5'は、H、CH3、COOCH3、CHO、CH2OHに対応し;R6は、CHO、COOH、COOCH3に対応し;R7は、H、CH3に対応し;そして点線の結合は、炭素間の単結合(C-C)または二重結合(C=C)(構造1つにつき二重結合は2つまで)を表わす。そして、
式(I)はフルボイポラミイドを含まない。そしてこの組成物は、
c)医薬として許容可能なビヒクル
を含んでいる。
【0023】
オプションの一実施形態では、本発明の組成物はさらに、イポラミイド化合物を含んでいる。
【0024】
オプションの一実施形態では、本発明の組成物はさらに、以下の化合物:
【化5】
のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0025】
それに加え、本発明は、一般式(I)および/または(II)の化合物を製造する方法を記述しており、この方法は、少なくとも1つの適切な溶媒の中で少なくとも1つのイポラミイド化合物を十分な時間にわたって高温に加熱する少なくとも1つの工程を実施して一般式(I)および/または(II)の化合物を取得する工程を含んでいる。
【0026】
好ましい一実施形態では、本発明の高温は、35℃超の温度を含み、より好ましくは35℃~165℃の間の温度を含んでいる。
【0027】
好ましい一実施形態では、一般式(I)および/または(II)の化合物を製造する方法は、少なくとも1つのイポラミイド化合物に対して少なくとも1つの加水分解工程および/または加溶媒分解工程を実施することを含んでいる。場合によっては、少なくとも1つのイポラミイド化合物に対してアルカリ/塩基加水分解工程を実施する。
【0028】
上述のように、単離されたイポラミイドが免疫抑制活性を示さないことをわれわれは確認した。それに対してイポラミイドから誘導されたある種の化合物は、そのような活性を有する。それと同時にわれわれは、疾患の治療に植物薬を得ることの利点も具体的に示した。なぜならその化合物製造システムによって植物の諸成分と活性な化合物の間の一連の生産的な相互作用を、しばしばより相乗的に明らかにできるからである。そこでそのような活性な化合物を含む植物薬をさらに取得するため、興味ある化合物が富化された抽出物の取得を可能にする独自の製造法を開発した。後述のように、本発明の抽出物の製造法は、免疫抑制活性を有するイポラミイド誘導体が富化された抽出物に至る独自の工程を含んでいる。イポラミイドを2.5%~3.5%含有する投入植物バイオマス(input vegetal biomass)をあらかじめ選択することの重要性をわれわれは確認した。その結果として、イポラミイドと、イポラミイドから誘導された化合物が富化されて、イポラミイドと誘導体の含有量が約1%~約20%、好ましくは約8.5%~約11.5%になった抽出物が得られる。
【0029】
上述のように、この化合物を含有する植物バイオマスは、抽出物の製造法のための出発材料として用いられることになる。本発明の製造法によってだけ、イポラミイドから誘導された特別な化合物が富化された抽出物を得ることができる。この富化抽出物はさらに、免疫抑制活性を示す。
【0030】
したがって本発明の追加の1つの目的は、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物を製造する方法であり、この方法は、主に、
a)ナガボソウ属の植物から得られるイポラミイドの含有量が2.5%~3.5%である投入植物バイオマスを選択する工程と;
b)工程a)で選択されたバイオマスを、湿度が10~12%に安定するまで40~80℃の温度のオーブンで乾燥させる工程と;
c)植物バイオマスを粉砕する工程と;
d)以下の工程:
i.植物バイオマスを、常に撹拌しながら70~100℃の温度に加熱する工程と;
ii.植物バイオマスを室温で浸軟する工程と;
iii.植物バイオマスを70~100℃の温度に加熱する工程
を通じて植物バイオマスを抽出する工程を含んでいる。
【0031】
好ましい一実施形態では、本発明の製造法はさらに、
iv.抽出物を濾過して濃縮する工程と;
v.除湿器に接続されたスプレー乾燥器の中で、入口温度を155~165℃、出口温度を85~95℃にして1~60秒間乾燥させる工程
を含んでいる。
【0032】
好ましい一実施形態では、本発明の抽出法は、水性法または水アルコール法だが、はるかに好ましいのは水性法である。
【0033】
したがって本発明の製造法により、イポラミイドから誘導された化合物が富化された標準化された抽出物を好ましくは約8%~約10%の収率で得ることができる。
【0034】
したがって本発明の追加の1つの目的は、上記の方法によって得られる、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物である。イポラミイドから誘導された化合物が富化された本発明の標準化された抽出物は、一般式(I)および/または(II)の化合物を含んでいることが好ましい。
【0035】
本発明の植物バイオマスは、ナガボソウ属の植物のすべての部分を含んでいる。好ましいのは、植物バイオマスがその植物の空中部分(aerial parts)、より好ましくは葉を含んでいることである。
【0036】
好ましい一実施形態では、投入植物バイオマスは、イポラミイドの含有量が均一で2.5%~3.5%である少なくとも1つの植物バイオマスを含んでいる。オプションの一実施形態では、投入植物バイオマスは、2つ以上の植物バイオマスを含んでいて、それら異なる植物バイオマスは、イポラミイドの含有量が独立で異なっているが、合わさって均一な含有量(2.5%~3.5%)のイポラミイドを実現する。
【0037】
別の好ましい一実施形態では、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量を、得られる抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量を予測するためのパラメータとして用いることができる。この予測を、実験的に得られるいくつかのパラメータに数式(I)を適用する工程を含む方法によって実現し、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの理想的な割合を見いだすことができる。この予測から、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の含有量が8.5%~11.5%と見積もられることが好ましい。数式(I)は以下のように定義される。
【0038】
抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量(%)=[(植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量(%)×DER)/(〈抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の実際の含有量/投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量〉)]±標準偏差(数式(I))。
【0039】
このようにして、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量を、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量から予測することができる。好ましいのは、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の実際の含有量/投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの含有量の比が、約3.0~約3.5であることである。
【0040】
より一層好ましい一実施形態では、本発明の植物は、ウスイロホナガソウ(Stachytarpheta cayennensis)を含んでいる。
【0041】
したがって本発明の追加の1つの目的は、ナガボソウ属の植物から得られるイポラミイドから誘導された化合物が富化された標準化された抽出物を、免疫抑制活性を有する薬の製造に用いることである。
【0042】
したがって本発明の追加の1つの目的は、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物の少なくとも1つの活性な分画である。好ましいのは、少なくとも1つの分画が、一般式(I)および/または(II)のイポラミイドから誘導された少なくとも1つの化合物を含むことである。
【0043】
オプションの一実施形態では、富化抽出物の活性な分画はさらに、イポラミイドを含んでいる。
【0044】
したがって本発明の追加の1つの目的は、ナガボソウ属の植物から得られるイポラミイドから誘導された化合物が富化された少なくとも1つの標準化された分画を、免疫抑制活性を有する薬の製造に用いることである。
【0045】
本発明のこれらの目的と他の目的は、当業者によって、そしてこの分野に興味を持つ企業によって容易に理解されるであろうゆえ、再現できるよう以下の説明で詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】まとめのフローチャートであり、ウスイロホナガソウから得られるイポラミイド誘導体が富化された活性な抽出物の製造方法を説明している。
図2】ウスイロホナガソウの水性抽出物(イポラミイドの濃度は3、10、30μM)と、単離されたイポラミイド(3、10、30μM)が、αCD3/CD28によって活性化されるCD8+ T細胞の増殖(A)と、INFγの産生(B)に及ぼす効果。イポラミイド(30μM)の酸加水分解の後に生成した化合物(IV~VIII)のプールと、5つの新規な単離された化合物(IV~VIII)が、αCD3/CD28によって活性化されるCD8+ T細胞の増殖(C)と、INFγの産生(D)に及ぼす効果も同じ実験で評価した。すべての実験でタクロリムス(0.5μM)を陽性対照として用いた。データは、3つのレプリケートの平均値±SDである。
図3】イポラミイドの酸加水分解がイポラミイドの誘導体の形成に及ぼす効果。元のままのイポラミイドのクロマトグラム(青色);0.1NのHClを用いて40℃で1時間加水分解したイポラミイドのクロマトグラム(緑色);0.1NのHClを用いて40℃で2時間加水分解したイポラミイドのクロマトグラム(赤色);0.1NのHClを用いて40℃で5時間加水分解したイポラミイドのクロマトグラム(マゼンタ色)。IPO=イポラミイド。
図4】本明細書の請求項の製造法から得られたウスイロホナガソウ抽出物のクロマトグラム。この図は、イポラミイドマーカーと、保持時間が5.5分;9.7分;12.0分;14.3分;17.3分の時点でのその特定の誘導体を示している。IPO=イポラミイド。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書に示した実施例は、本発明を実施するいくつかのやり方のうちの1つを例示することだけを目的としており、本発明の範囲を制限することはない。
【0048】
活性な化合物
本発明では、以下の一般式を含む新規かつ進歩性のある化合物群:
【化6】
を提供する。
【0049】
ここで、Rは、H、OH、OGIyc(グリコシド)に対応し;R1、R1'、R1"は、H、OHに対応し;R2は、H、COOH、COOCH3、CH3、CHOに対応し;R3は、H、OH、CH3に対応し;R4、R4'は、H、OH、CH2OH、CH3に対応し;R5、R5'は、H、CH3、COOCH3、CHO、CH2OHに対応し;R6は、CHO、COOH、COOCH3に対応し;R7は、H、CH3に対応し;そして点線の結合は、炭素間の単結合(C-C)または二重結合(C=C)(構造1つにつき二重結合は2つまで)を表わす。そして、
式(I)はフルボイポラミイドを含まない。
実施例1:一般式(I)および(II)の化合物は、以下の構造:
【化7】
を含んでいる。
【0050】
上記の構造は、式(I)および/または(II)に含まれる化学的骨格構造を例示している。
【0051】
免疫障害
本発明の「免疫障害」という用語は、免疫系のあらゆる機能不全を含む。一般に、免疫障害は、免疫系で影響を受ける成分によって、または免疫系の活性レベルによって特徴付けることができる。本発明では、免疫障害は、自己免疫の何らかの証拠を有する疾患を意味することが好ましい。本発明では、白斑を、可能性のある免疫障害のうちで非常に好ましく選択される免疫障害と見なすことができる。
【0052】
免疫障害の治療法
本発明は、免疫障害を治療する方法を記述しており、この方法は、一般式(I)および/または(II)の化合物を、免疫抑制効果を提供するのに十分な量で患者に投与することを含んでいる。本特許出願の目的では、免疫障害の治療は、イポラミイド誘導体を用いて、および/またはイポラミイド誘導体を含有する分画および/または抽出物(これらはすべて、免疫抑制活性を有する)を用いて実現できることに注意されたい。好ましい一実施形態では、この治療法は、白斑の治療を目的としている。
【0053】
イポラミイドから誘導された単離された化合物を含む医薬組成物
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、免疫障害を治療するため、単独で、または組み合わせて使用される単離されたイポラミイド誘導体を含んでいて、その誘導体は、以下の一般式の化合物:
a)
【化8】
および/または
b)
【化9】
を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいる。
【0054】
ここで、Rは、H、OH、OGIyc(グリコシド)に対応し;R1、R1'、R1"は、H、OHに対応し;R2は、H、COOH、COOCH3、CH3、CHOに対応し;R3は、H、OH、CH3に対応し;R4、R4'は、H、OH、CH2OH、CH3に対応し;R5、R5'は、H、CH3、COOCH3、CHO、CH2OHに対応し;R6は、CHO、COOH、COOCH3に対応し;R7は、H、CH3に対応し;そして点線の結合は、炭素間の単結合(C-C)または二重結合(C=C)を表わす(構造1つにつき二重結合は2つまで)。そして、
式(I)はフルボイポラミイドを含まない。そしてこの医薬組成物は、
c)医薬として許容可能なビヒクル
を含んでいる。
【0055】
オプションの一実施形態では、上記の医薬組成物はさらに、イポラミイド化合物を含んでいる。
【0056】
好ましい一実施形態では、本発明の医薬組成物は、化合物:
【化10】
を含んでいる。
【0057】
この好ましい実施形態では、一般式(I)の化合物は、式(IV)、(V)、(VIII)、(IX)の化合物を含んでおり、一般式(II)の化合物は、式(VII)、(X)、(XI)の化合物を含んでいる。
【0058】
般式(I)および/または(II)の化合物は、活性を発揮するには、動物、哺乳動物、特にヒトに、医薬組成物の形態で、すなわち各投与経路に適した医薬として、許容可能なビヒクルと組み合わせて投与されねばならない。
【0059】
本発明の医薬組成は、活性成分としての本明細書に提示した1つ以上の化合物を、医薬として許容可能な1つ以上のビヒクルとともに含有している。活性成分は、一般に、少なくとも1つのビヒクルを用いて混合されたり、希釈されたり、封止されたりする。
【0060】
ビヒクルが希釈剤であるときには、それを固体、半固体、液体の形態にして、活性成分のための基剤、賦形剤、媒体のいずれかとして機能させることができる。したがって組成物は、錠剤、ピル、粉末、サシェ、懸濁液、乳液、溶液、(固体媒体または液体媒体の中の)エアロゾル、クリーム、硬カプセル、軟カプセル、座薬、注射可能な溶液の形態にすることができる。
【0061】
本発明では、一般式(I)および/または(II)の化合物とは別で、投与経路にとって適切な医薬剤形を製造するために意図的に添加されている任意の物質を、適切な医薬用ビヒクルと見なすことが好ましい。医薬組成物の調製に適した医薬用賦形剤の非限定的な例は、『Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations』、第1巻~第6巻、2004年、Sarfaraz K. Niazi、CRC Press社と、『Remington's Pharmaceutical Sciences』、Mack Publishing社に記載されている。
【0062】
一般式(I)および/または(II)の化合物を含む組成物の投与経路の非限定的な例は、局所経路、経口経路、非経口経路、鼻腔経路、直腸経路、経粘膜経路、経皮経路である。
【0063】
本発明の化合物で用いる治療用量は、選択した投与経路と、患者の年齢、体重、状態と、治療する異常の重症度に合わせて計画し、計算する必要がある。一般に、本発明の化合物は、治療に有効な用量で投与される。有効な用量は、インビトロモデルまたは動物モデルから導出される用量-応答曲線から外挿することができる。典型的には、臨床医師が、望む効果を実現するのに適切な用量になるまで化合物を投与する。
【0064】
活性な化合物の製造法
本発明は、一般式(I)および/または(II)の活性な化合物の製造法を詳細に記述する。本質的には、単離された化合物の製造法は、適切な溶媒の中で少なくとも1つのイポラミイド化合物を十分な時間にわたって高温に加熱する少なくとも1つの工程を実施して、イポラミイドから誘導される一般式(I)および/または(II)の化合物を取得する工程を含んでいる。
【0065】
オプションの一実施形態では、本発明の組成物はさらに、イポラミイド化合物を含んでいる。
【0066】
好ましい一実施形態では、本発明の溶媒は水を含んでいる。
【0067】
それに加え、本発明は、一般式(I)および/または(II)の化合物を製造する方法を記述しており、この方法は、適切な溶媒の中で少なくとも1つのイポラミイド化合物を十分な時間にわたって高温に加熱する工程を実施して、イポラミイドから誘導される一般式(I)および/または(II)の化合物を取得する工程を含んでいる。
【0068】
好ましい一実施形態では、本発明の式(I)および/または(II)の化合物の高濃度は、それぞれの製造法で用いられるイポラミイドの含有量をすべて変換する(100%)ことから得られる。
【0069】
より一層好ましいのは、本発明の高濃度が、混合物の中に各化合物(IV~VIII)を約0.5%~約45%含んでいることである。この場合には、濃度は、約1%~約5%、好ましくは4%の化合物IV;約15%~約25%、好ましくは19%の化合物V;約35%~約45%、好ましくは37%の化合物VII;約0.5%~約4%、好ましくは2%の化合物VIIIまたはその異性体(例えば化合物IX)を含んでいる。
【0070】
好ましい一実施形態では、本発明の高温は、35℃超の温度、より好ましくは35℃~165℃の間の温度を含んでいる。
【0071】
別の好ましい一実施形態では、本発明の溶媒は、適切な他の溶媒を含んでいる。
【0072】
好ましい一実施形態では、イポラミイドから誘導される活性な化合物を製造する方法は、イポラミイドの加水分解工程または加溶媒分解工程を含んでいる。
【0073】
より一層好ましいのは、イポラミイドの加水分解を酸タイプにできることである。イポラミイドの酸加水分解に適した酸として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸が挙げられるが、そのどれにも特別な制限はない。本発明の好ましい一実施形態では、塩酸を用いる。
【0074】
オプションの一実施形態では、イポラミイドの加水分解は、塩基/アルカリタイプが可能である。イポラミイドの塩基/アルカリ加水分解に適した塩基として、アルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、そのどれにも特別な制限はない。本発明の好ましい一実施形態では、水酸化ナトリウムを用いる。
【0075】
より一層好ましい一実施形態では、酸性媒体の中での加水分解の後に塩基性/アルカリ性媒体の中での加水分解が続く。一例として、少なくとも1つのイポラミイド化合物を高温と0.1 N(当量/l)の塩酸に曝露した後、さまざまな時間の間インキュベートする工程を含む製造法を挙げることができる。時間は、0~120分の範囲が可能である。その後、0.1 Nの水酸化ナトリウムを用いることが好ましい中和プロセスによって加水分解を中断する。
【0076】
オプションの一実施形態では、一般式(I)および/または(II)の化合物を製造する方法は、40℃に維持した塩基性媒体(0.1 Nの水酸化ナトリウム水溶液)の中で2時間にわたってイポラミイドを加水分解する工程を含んでいる。
【0077】
イポラミイド誘導体が富化された活性な分画/抽出物の製造法
本発明の発明者により、本発明のいくつかの単離された活性な化合物は、分子を設計して合成する技術によって取得できることが確認された。それと同時にわれわれは、疾患の治療に植物薬を得ることの利点も具体的に示した。なぜならその化合物製造システムによって植物の諸成分と活性な化合物の間の一連の生産的な相互作用が、しばしばより相乗的に、可能となるからである。そこでそのような活性な化合物を含む植物薬をさらに取得するため、興味ある化合物が富化された抽出物の取得を可能にする独自の製造法を開発した。
【0078】
後述のように、本発明の抽出物の製造法は、免疫抑制活性を有するイポラミイド誘導体が富化された抽出物に至る独自の工程を含んでいる。イポラミイドを2.5%~3.5%含有する投入植物バイオマスをあらかじめ選択することの重要性をわれわれは確認した。その結果として、イポラミイドと、イポラミイドから誘導された化合物が富化されて、イポラミイドと誘導体の含有量が約8.5%~約11.5%になった抽出物が得られる。上述のように、イポラミイドを含有する植物バイオマスは、抽出物の製造法のための出発材料として用いられることになる。本発明の製造法によってだけ、イポラミイドから誘導された特別な化合物が富化された抽出物を得ることができる。この富化抽出物はさらに、免疫抑制活性を示す。
【0079】
したがって本発明により、ナガボソウ属の植物からのイポラミイド誘導体が富化された標準化された抽出物を製造する方法が提供される。
【0080】
したがって本発明の追加の1つの目的は、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物を製造する方法であり、この方法は、主に、
a)ナガボソウ属の植物から得られてイポラミイドの含有量が2.5%~3.5%である投入植物バイオマスを選択する工程と;
b)工程a)で選択されたバイオマスを、湿度が10~12%に安定するまで40~80℃の温度のオーブンで乾燥させる工程と;
c)植物バイオマスを粉砕する工程と;
d)以下の工程:
i.植物バイオマスを、常に撹拌しながら70~100℃の温度に加熱する工程と;
ii.植物バイオマスを室温で浸軟する工程と;
iii.植物バイオマスを70~100℃の温度に加熱する工程
を通じて植物バイオマスを抽出する工程を含んでいる。
【0081】
好ましい一実施形態では、本発明の製造法はさらに、
iv.抽出物を濾過して濃縮する工程と;
v.除湿器に接続されたスプレー乾燥器の中で、入口温度を155~165℃、出口温度を85~95℃にして1~60秒間乾燥させる工程
を含んでいる。
【0082】
好ましい一実施形態では、本発明の抽出法は、水性法または水アルコール法だが、はるかに好ましいのは水性法である。
【0083】
したがって本発明の製造法により、イポラミイドから誘導された化合物が富化された標準化された抽出物を好ましくは約8%~約10%の収率で得ることができる。
【0084】
したがって本発明の追加の1つの目的は、上記の方法によって得られた、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物である。イポラミイドから誘導された化合物が富化された本発明の標準化された抽出物は、一般式(I)および/または(II)の化合物を含んでいることが好ましい。
【0085】
本発明の植物バイオマスは、ナガボソウ属の植物のすべての部分を含んでいる。好ましいのは、植物バイオマスがその植物の空中部分、より好ましくは葉を含んでいることである。
【0086】
好ましい一実施形態では、投入植物バイオマスは、イポラミイドの含有量が均一で2.5%~3.5%である少なくとも1つの植物バイオマスを含んでいる。オプションの一実施形態では、投入植物バイオマスは、2つ以上の植物バイオマスを含んでいて、それら異なる植物バイオマスは、イポラミイドの含有量が独立で異なっているが、合わさって均一な含有量(2.5%~3.5%)のイポラミイドを実現する。
【0087】
別の好ましい一実施形態では、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量を、得られる抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量を予測するためのパラメータとして用いることができる。この予測を、実験的に得られるいくつかのパラメータに数式(I)を適用する工程を含む方法によって実現し、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの理想的な割合を見いだすことができる。この予測から、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の含有量が8.5%~11.5%と見積もられることが好ましい。数式(I)は以下のように定義される。
【0088】
【数1】
【0089】
このようにして、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量を、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量から予測することができる。好ましいのは、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の実際の含有量/投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの含有量の比が、約3.0~約3.5であることである。
【0090】
本発明はさらに、上記の製造法で得られたナガボソウ属の植物に由来するイポラミイドから誘導された化合物が富化された標準化された抽出物の権利を主張する。
【0091】
より一層好ましい一実施形態では、本発明の植物は、ウスイロホナガソウを含んでいる。
【0092】
ナガボソウ属の植物に由来する標準化された抽出物は、上記の製造法によって得られることが好ましく、その結果として、イポラミイドと、イポラミイドから誘導された化合物が富化されて、イポラミイドと誘導体の含有量が約1%~約20%、好ましくは約8.5%~約11.5%になった抽出物が得られる。
【0093】
したがって本発明の追加の1つの目的は、ナガボソウ属の植物の標準化された抽出物でイポラミイドから誘導された化合物を含有するものを、免疫抑制活性を有する薬の製造に用いることである。より具体的には、ナガボソウ属の植物の標準化された抽出物で、一般式(I)および/または(II)のイポラミイドから誘導された化合物を含有するものを、免疫抑制活性を有する薬の製造に用いる。
【0094】
したがって本発明の追加の1つの目的は、イポラミイドから誘導された化合物が富化された抽出物の少なくとも1つの活性な分画である。好ましいのは、少なくとも1つの分画が、一般式(I)および/または(II)のイポラミイドから誘導された少なくとも1つの化合物を含むことである。
【0095】
オプションの一実施形態では、富化抽出物の活性な分画はさらに、イポラミイドを含んでいる。
【0096】
したがって本発明の追加の1つの目的は、ナガボソウ属の植物から得られるイポラミイドから誘導された化合物が富化された少なくとも1つの標準化された抽出物を、免疫抑制活性を有する薬の製造に用いることである。
【実施例
【0097】
実施例 - 好ましい実施形態
実験の部で説明する実施例は、本発明を実施するいくつかのやり方のうちの1つを例示することだけを目的としており、本発明の範囲を制限することはない。
【0098】
活性な化合物を製造して同定する方法
本発明の単離された化合物は、イポラミイド化合物を40℃と100℃で0.1 Nの塩酸に1時間、2時間、5時間にわたって曝露することによって得られる。図3は、40℃での状態を示している。この実験から、本発明者らは、この加水分解によるいくつかの生成物を観察することができ、そしてクロマトグラムに基づいて、例えば、図3に示されるように、以下の構造のような、イポラミイドのいくつかの誘導体を同定することができた。
【化11】
【0099】
あるいは加水分解は、塩酸の濃度を0.1~1 Nの間で変えて実施することができ、実験の温度は、35℃~165℃の間で変えることができる。それに加え、加水分解の時間を1分間~24時間の間で変えてより高濃度のいくらかのイポラミイド誘導体が容易に形成されるようにすることができる。
【0100】
抽出物を取得する方法
本発明によると、イポラミイド誘導体が豊富なウスイロホナガソウの水性抽出物を取得する方法は、免疫学の前臨床研究を進展させるための材料を取得することを目的として、図1のフローチャートに示した標準化された抽出物を製造する工程で主に構成される。
【0101】
最初に、ウスイロホナガソウの遺伝子型によって好ましくは選択される種が、温度と湿度と光が制御された環境内での2ヶ月間にわたる播種プロセスに供された。この播種は、基質で満たした発泡ポリエチレン製トレイの中で実施され、水の供給が制御されたこの保護された環境内に維持された。実生が10~15日間で出現し始めた。トレイは、実生が恒久的な植え替えをするサイズと理想的な条件に達するまで、この条件に維持した。
【0102】
高さがほぼ5~8 cmで2~3対の明確な葉がある実生を栽培地に移した。その場所は、年平均温度が30℃、年平均相対湿度が55%未満であることが好ましく、また、その場所の土壌については、すべての領域での化学的・物理的な土壌分析(例えば、酸性度、カルシウム、窒素、有機肥料の使用)の結果がわかっていることが好ましいが、それに限定されない。
【0103】
実生を植え替えた後、最初の収穫は6ヶ月後に、それ以外の再成長では4ヶ月ごとに実施した。したがってその低木にとって、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの含有量を最大にすることを目的とした最適なライフサイクルが保証される。
【0104】
植え替えの後、温度と湿度が所定の条件下での温室乾燥プロセスを通じて植物バイオマスを安定化させた。この植物は、熱交換器を備えていて強制空気循環がある乾燥器の中で、50~70℃の範囲、好ましくは60℃の温度にて乾燥させた。乾燥は、湿度が10~12%となって植物バイオマスが安定化するまで、植物の間に熱風を通過させて水分を除去することからなっていた。好ましい一実施形態では、乾燥時間は8~20時間である。
【0105】
図1に示してあるように、植物バイオマスを、1800 RPMのハンマーミルと19 mmの篩によって粉砕し、室温で50~150 kg/時の製造速度を得た。粉砕の後、植物バイオマスを常に撹拌しながら80~90℃の温度で15分間にわたって水抽出した。使用する抽出溶液の量は、使用する植物バイオマスの量の10倍でなければならない。そうすることで、植物バイオマスに含まれる興味のある物質の徹底的な抽出が保証される。
【0106】
前工程の後、材料を浸軟する工程を室温で10時間にわたって実施した。その後、材料を15分間にわたって再び80~90℃の温度に加熱した。
【0107】
材料を、40μmのポリエステルメッシュを有するロータリーフィルタで濾過した。この濾過工程の後、材料を「Bernauer」蒸発器および/または流下膜式蒸発器で全固体が約30%になるまで濃縮した。
【0108】
この工程の生成物を、残留含水量をできるだけ少なくすることを目的として、除湿器(Bry-Airタイプが好ましい)に接続されたスプレー乾燥器の中で、入口温度を155~165℃、出口温度を85~95℃にして20~40秒間乾燥させた(表1)。このプロセスにより、富化抽出物の品質が実質的に改善される。なぜなら材料中の残留水分が、植物抽出物/誘導体の保存可能期間の間に興味ある成分の安定性を最初のうちに損なうからである。この抽出プロセスにより、10~12:1の比と、8~10%の収率が得られた。
【表1】
【0109】
上記の抽出法により、イポラミイドの徹底的な抽出が確実になされ、このプロセスで生成したイポラミイド誘導体の存在に起因する抽出物の免疫抑制活性が保証される。したがって表2に示してあるように、投入植物バイオマスに関するプロセス制御を確立することで、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の実際の含有量が8.5~11.5%になるようにする必要があった。植物バイオマスに含まれるイポラミイドを制御することで、本明細書に記載した方法で製造される抽出物の中に免疫抑制活性を有するイポラミイド誘導体が存在することが保証される。
【表2】
【0110】
これにより、富化抽出物に含まれるイポラミイドとその誘導体の理論的含有量を予測する方法を決めることができた。その目的で、上記の抽出法によって得られると考えられる(理論的)含有量を植物バイオマスに含まれるイポラミイドの実際の含有量から見積もる数式(数式I)を使用した。
【0111】
【数2】
【0112】
上記の数式において、DERは、粗抽出物(native extract)を1キログラムを得るのに必要な植物バイオマスの量として理解することができる。投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの抽出物/含有量に対するイポラミイドと誘導体の実際の含有量の比は、約3.0~約3.5であることが好ましい。
【0113】
したがって上記の数式を用いた見積もり法では、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の理論的含有量が8.5~11.5%と十分であることが見積もられる植物バイオマス(その中のイポラミイドの含有量は、HPLCなどの分析法によって得られる)だけを選択し、この範囲に入らない植物バイオマスは廃棄することができる。本発明では、新規かつ進歩性のあるやり方で、抽出物に含まれるイポラミイドと誘導体の実際の含有量と、投入植物バイオマスに含まれるイポラミイドの含有量の間の関係が好ましくは3.0~3.5になることが確認された。
【0114】
HPLC分析には、以下に示すように、サンプル溶液および標準とその溶離液を調製する工程が含まれていた。
1.溶液の調製
1.1 - 0.1%ギ酸溶液(移動相A):約800 mlの超純水を収容した1000 mlのメスフラスコに、1 mlのギ酸を添加した。このフラスコの容積を超純水で満たしてよく均一化した。
1.2 - ギ酸希釈溶液:メタノール(1:1):ビーカーの中で50 mlの0.1%ギ酸溶液を50 mlのメタノールと混合した。
2.サンプルの調製:
【0115】
原料(ハーブ):粉砕したハーブを1.0 g計量し、褐色の250 mlのエーレンマーヤーフラスコに移すか、アルミホイルで覆った。蒸留水を50 ml添加し、環流下で80℃にて2時間抽出した。溶液を紙で濾過して50 mlのメスフラスコに入れ、蒸留水で満たした。その溶液を0.22 OR 0.45μm膜で濾過してHPLCバイアルに入れた。
3.標準の調製:
【0116】
標準イポラミイド100 ppm:イポラミイド標準を1.0 mg計量し、褐色の10 mlのエーレンマーヤーフラスコに移した。そこに希釈液を5 ml添加したフラスコを、超音波浴の中に10分間放置するか、イポラミイド標準が完全に溶けるまで放置した。そのフラスコを希釈液で満たした後、均一化した。この標準ポラミイドについて、Karl Fischerによる水分の分析を実施した。
4.HPLCによる分析:
4.1 - パラメータ/装置
- カラム:Zorbax SB-C18(250 mm×4 mm;5μm)
- 移動相:(A)0.1%ギ酸;
(B)メタノール。
【表3】

- 流速:1.0 ml/分
- 検出:254 nm
- 分析時間:45分間
- 注入体積:30μl
4.2 - イポラミイド含有量の計算
【数3】
ここで、
Aサンプル:サンプル中のイポラミイドのピーク面積
M標準:標準イポラミイドの質量(単位はmg)
P標準:標準の純度(小数値)
Dサンプル:サンプルの希釈液(単位はml)
A標準:標準に含まれるイポラミイドのピーク面積
Mサンプル:使用したサンプルの質量(単位はg)
D標準:標準の希釈液(単位はl)
U標準:Karl Fischerによって定量された標準の水分
10000:単位の変換
である。
【0117】
抽出物に含まれる含有量の結果は、乾燥ベースで与えられ、すなわち水分が除外されている。したがって抽出物の質量の計算は以下であった:
【数4】
ここで、
質量=乾燥抽出物の質量(単位はg)
Uサンプル=iT2-052による乾燥抽出物の水分(単位は%)
5.HPLCによるイポラミイド誘導体の分析
5.1 - パラメータ/装置
- カラム:Eclipse XDB Agilent - C18(150×4.6 mm)5ミクロン
- 移動相:(A)0.1%ギ酸緩衝液;
(B)アセトニトリル
【表4】

- 流速:1.2 ml/分
- 検出:DAD(205~280 nm)
- 分析時間:15分間
- 注入体積:20μl
5.2 イポラミイド誘導体の含有量の計算
【0118】
所与のイポラミイド誘導体(Y)を分析するため、その誘導体を規定された濃度の溶液に添加した。この濃度は、クロマトグラムで観察される面積と直接相関している。クロマトグラムの全面積に対するこの面積は、以前に規定されている濃度を掛けると、下記のように、サンプル中のその誘導体(Y)のパーセント値を与える。
【数5】
【0119】
生物活性/免疫抑制活性
ウスイロホナガソウの水性抽出物の生物活性のほか、イポラミイドとその誘導体のインビトロでの生物活性の評価を以下のようにして実施した。
【0120】
ウスイロホナガソウの抽出物、イポラミイド、誘導体を、CD8+ T細胞とIFNγが関与する実験的インビトロ免疫学的モデルで研究した。この研究の目的は、抽出物とそれ以外の物質が、単離されたものであれ、混合されたものであれ、CD8+ T細胞の活性化とその帰結であるIFNγの分泌を阻止することによって作用するかどうかを評価することであった。
【0121】
健康なボランティアからの末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll-Hystopaque遠心分離によって白血球層から単離した。その後、CD8+ T細胞単離キット(Miltenyi Biotec社、#130-096-495)を用いてヒトCD8+ T細胞を単離した。これらの細胞(3×105細胞/ウエル)をRPMI+10%FBS培地の中でインキュベートし、αCD3/CD28(1μg/ml)を用いて活性化し、10%のイポラミイドの中で標準化したウスイロホナガソウの水性抽出物と、単離されたイポラミイドと、酸加水分解によって得られたイポラミイド誘導体をさまざまな濃度にして処理し、CD8+ T細胞活性化とIFNγ分泌の阻止に対する効果を研究した。細胞増殖の評価には、増殖アッセイで一般に用いられるチミジン類似体であるブロモデオキシウリジン(BrdU)を増殖のマーカーとして用いた。具体的には、Biotrak ELISA系(GE Healthcare社、RPN250)を製造者の指示に従って用いてBrdUの組み込みを評価した。インターフェロンγを定量する方法は、ヒトIFNγ ELISA Ready-SET-GOキット(eBiosciences社、88-7316-88)の使用を含んでおり、製造者の指示に従った。図2の一連のグラフに示してあるように、イポラミイド誘導体が富化されたウスイロホナガソウの水性抽出物は、αCD3/CD28によって誘導されるCD8+ T細胞の活性化を阻止した。単離されたイポラミイドは、αCD3/CD28によって誘導されるCD8+ T細胞の増殖やIFNγの分泌に対する効果がなかった。しかし酸加水分解のために得られた混合物の中のイポラミイドから誘導された化合物は、CD8+ T細胞の増殖とIFNγの分泌を有意に減少させた。この混合物から単離されたイポラミイド誘導体も、CD8+ T細胞の増殖とIFNγの分泌を統計的に有意に減少させることが証明された。よく知られている免疫抑制剤であるタクロリムスを参照化合物として用いるとともに、実験のための陽性対照として用いた。タクロリムスによって得られる効果は、細胞増殖とIFNγ産生の両方において、加水分解されたイポラミイドで得られた効果と似ていた。
【0122】
したがってこれらの結果から、免疫抑制活性はイポラミイド誘導体に由来するのであり、元のままの分子に由来するのではないことがわかった。図4に示してあるように、単離されたイポラミイドを酸加水分解する実験条件によって得られる化合物が、ウスイロホナガソウの水性抽出物の中に存在していることを強調しておくことが重要である。しかしそのような化合物の存在は、本発明で用いた抽出法に起因する。
【0123】
当業者は、本明細書に提示した知識を理解するであろうゆえ、提示されている実施形態の中と、添付の請求項の範囲に入るそれ以外の実施形態の中の本発明を再現することができる。
図1
図2
図3
図4